都会のノラ猫は、警戒心が強く、遠距離から望遠で狙わないと撮れない。
ネコにもパーソナルスペース(注:本来は、人間同士が生理的な不快感を伴わない距離)
があると見えて、そのネコの固有のある距離まで近づくと、ふっと身を翻して逃げる。
人間のパーソナルスペースは人間関係により、近づけることができる、
ただ、ネコの場合はどのようなものか・・? よほどネコの扱いに慣れているか、
ネコの心理を読めるようにならないと、なかなか近づくことは難しいのであろう。
けど、まあ、このシリーズでの、離島のネコは、実にそのあたりはおっとりしていて、
人間からエサを貰い人間と共存しているから、たいがいの場合は近づいても逃げない。
この島シリーズで記事を書いている、沖縄、直島、犬島、前島、真鍋島などは、まさに
ネコを撮るにはうってつけの場所だ。
ただ、いくら近づけると言っても、マクロレンズや広角マクロで思い切り寄って
撮ってばかりでも面白みにかける。
ノラ猫、あるいはそれに準ずる飼われていないネコの場合、ある程度周囲の状況まで
入れて撮ってみるのも良い。
それから、警戒心の無いネコの場合は、逃げる準備の為の前動作をする事もなく、
自由きままに好きな格好をしている場合もあるから、そういうのを狙っても面白い。
あるいは、複数のネコを何等かのストーリー的な作画意図を持たせて撮ってみるのも
良いであろう。
離島の、ちょっとひなびた感じの背景をうまく利用して、ネコの気ままさ、
あるいは「ネコ天国」というイメージを出してみるのも楽しい。
勿論、島特有の風景、たとえば漁船の停泊する港とか、そういうのを背景にしても良い。
近寄れる、という事は、被写体そのものを大きく写すことのみならず、
周囲の風景、背景を自在に選択できるという意味もある。
もし、望遠で撮ったら「被写体をいかに大きく写すか?」という事ばかり頭に思い
浮かんできてしまうであろう。 だから、(初級者が)望遠を使うと、より焦点距離の
長い大望遠(超望遠)がどんどん欲しくなってしまう。
広角で寄って撮るということは、被写体のみならず、被写体以外の脇役を自在に
できるということで、ベテランになればなるほど、広角を好むようになるという
理由の1つも、そのことから説明できると思う。
ネコの撮影のみならず、このことは、様々な被写体において、同じように言える事である。