梅雨時に気になるのは、やはりレンズのカビであろう。
せっかくの高性能レンズも、カビが生えてしまうと、その性能が引き出せず
写りに影響が出てしまう。
防湿庫のなかにしっかりと保管してあったが、数年ぶりに取り出して使う
ある1本のレンズ、それを持ち出して、まずはパシャリと撮ってみる・・

「ひょえ~、なんだかフレアっぽいよ、こんなレンズだったけか?」
フレアというのは、主に逆光で、光がレンズ内部に乱反射して写真が
光の部分を中心に、(あるいは全体に)白っぽくなり、コントラストが落ちて
しまう現象である。
普通は、正常なレンズであれば、(レンズ)フードを装着する事で、
斜めから光が入るこの状態を条件っては緩和することができるが、
それでもモロに逆光の状態になったりすれば、フードの有無は関係なく、
むしろレンズの性能や特性でフレアの多寡は決まってくる。
けど、それはあくまで正常なレンズの場合だ・・ 不調なレンズはその限りでは無い。

レンズにカビあるいは、ホコリ、気泡などが入っている場合、レンズを取り外し
絞りを開放にした状態で、明るいところに向けて後ろから覗いてみる。
覗けば一目瞭然、レンズのどこかに異物が入っていればすぐわかる。
注意するのは開放で見ること、一部のマウントのレンズは絞り開放にするには、
レンズ後部のレバーを動かさないと開放にはならない。
それは指先あるいはペン先などで動かして見る事になる。
それからレンズ表面(前玉、後玉)のホコリや指紋などは、ブロワーや、レンズ用の
クリーニング布、紙などで慎重に落としてから見ることも大事である。
写真には写っていないが、このレンズは、カビでは無いが小さい気泡が沢山入っていた。

このレンズは、SIGMA 14mm/f3.5(MF)という超広角レンズである。
3年ほど使っていなかったので気が付かなかったのであるが、以前はこんなに
気泡が入っておらず、ヌケの良い描写力を持つレンズであった。
おそらくこのレンズは、超広角が故に特殊なレンズ構成であるのだろう、どこかの
レンズ面の張り合わせが経年劣化でこのようになったのかもしれない。
こうなるともう修理に出すしかないのであるが、せっかくの機会だ、このフレアが
出るレンズで色々撮ってみよう。

たいして逆光では無いのに壮大にフレアが出る、気泡でなくカビでもこんな感じに
なるであろう。
しかし、ここまで壮大に出ると、被写体によっては、こうしたお寺関連の施設など
では「荘厳なイメージ」になるのも楽しい。
以前、ロシアレンズの中で特にフレアやゴーストが出やすいものを、わざわざ
お寺に持っていって、荘厳な雰囲気で撮る、というのをやっていたことがあった。
それでも、ジャンクで買って、調整や加工精度も出ていないロシアレンズであっても
まだこれよりマシだった。

ここまでフレアが出ると、むしろ面白くなってくる。
まるで霧の中で撮ったようなイメージもあるので、古い街道沿いの宿場町などで
このレンズで撮ったら、すごい良い雰囲気になるかもしれない。
まあ、気泡は若干やむを得ないという点があるが、まずはレンズのカビには十分に
メンテナンスの面で注意する必要があるだろう。
最も良くないのが、レンズを買ったときについてくるレンズケース、これに長期間
しまっておくと間違いなくカビが出る。 マニアの間では立派なレンズケースのことを
「カビ培養器」と言って、使わないようにし、使っている人にもそうやって教える。
私はレンズケースは買った店に持っていって、ジャンク(ワゴンセール)で売って
もらうようにしている、何も知らない人が買っていくということで、別にイジワルを
しているわけではなく、運搬などで本当に必要とする人もいるだろうからという意味である。
あと、ドライボックスという、衣装ケースのようなプラスチックの箱に乾燥剤を
詰めておくものがあるが、これも乾燥剤は定期的(少なくとも毎年梅雨時には)
交換してあげないと効果が少なくなってくるので要注意だ。
まあ、一番良いのは、防湿庫ということだ。

防湿庫は、若干高価ではあるが、それでもレンズ1本分くらいの値段で買える、
大事なレンズ数本をいっぺんにカビカビにしてしまったら、修理代で防湿庫の
値段くらいかかってしまう。
それから、梅雨時ということで、雨の撮影の後も注意しなければならない。
柔らかい布でレンズやボディの水分をきっちりふき取ることも重要だし、
レンズの内部にはそれでも水分は残っているのだから、(ちなみに、伸び縮みする
ズームレンズは特に内部に水分が入りやすい)まずはそのまま湿度の低いところで
数日乾かしておくなどの配慮が必要だ。
決してそのまま皮製のレンズケースなどにしまってはならない。 確実にカビる・・
ともかく、この梅雨の時期、レンズのメンテナンスには十分注意をする必要が
あるだろう・・