(語り)
それは今から1000年も昔の平安の頃・・
都には薫(かおる)の君というたいそう美しい若者がおったそうな・・

そう、それは今日のように雨がしとしと降る春の日の事であった。
牛車に揺られながら、美しい若者は都を離れ南に向かっていた。
方違(かたちがえ)を繰り返しながら、しばらく進むと、どうやら目的の地についたのか、
牛車がしずしずと止まった。
若者は牛車を降り、傘をも差さず、差し付き人も伴わずに社(やしろ)に入っていった・・

静かな社は、まるで時が止まったようであったが、雨はそれでも降り続ける、

そう、都では若者の父親は、かの有名な光源氏だと噂されているそうな、
父親譲りの性格か、若者にも恋の噂も耐えないが、まあ、あの美貌ではそれも
いたしかたあるまい。
若者はさらに社の中を進み、山吹が咲き誇る道に出ると、その一輪をそっと手にとった。

牛車に戻った若者は、従者にひそひそと道をつげた・・
宇治のあたりの、小さな庵に向かってくれ、と・・

日もどっぷりと暮れたころ、宇治についた若者は一輪の山吹を手にし、
ほのかな灯りのがともる庵の入り口に立つ。

小さな庵からは、美しい琴と琵琶の音が響いている。
どうやらそこに想い人でもいるのであろうか、若者はじっと庵の中を見つめるだけで
しばらくの間、ただそこに立ち続けているだけであった。

庵の中には、美しい姫君が2人、姉妹であろうか・・
こんな山里の庵に居を構えていても、高貴の出であることは、その立ち居振る舞いからも
見てとれる・・・ が、もしやかの姫君は、あの・・
若者「もし・・」
ああ!、薫の君、そこで声をかけてはならぬぞ・・
今わかった、その姫君は、今をときめく、匂宮(におうのみや)の想い人ぞ・・
そんな事をしたら、一大「すきゃんだる」になってしまうぞ。
父君の光源氏が週刊誌でさんざん叩かれたのを、もはや忘れたわけではあるまいぞ・・

・・・ほら、言わんことない。 マスコミの格好のネタになってしまった・・
「週間光源氏」は、ある事無いこと書く雑誌ぞ、匂宮と薫の君の確執とな・・
ああ、おそろしゅうて、ぺーじをめくるのもままならぬ・・
若者「ガビ~ン!」

うむ、いくら自由恋愛の平安の世だからと言って、危ない三角関係はいかんぞなあ・・
・・父君の源氏の君が嘆いておるぞ。 ああ、もっとも、父君はそんな事はいっさい
気にしない人だったかもしれないが・・(苦笑)

ネコ「ん? 都でなんかあったのか?」
まあよろしい・・ 今回の一件では、若者も少しは懲りたことであろう・・
次からは、父君のように、どこからか年輪もいかない幼い姫を見つけてきて、
屋敷に軟禁し、時間をかけて育て妻にすると良いぞ。 それなら姫を独占できるし・・
若者「むう、さっきから黙って聞いていれば・・ オレはロリコンでは無い!(怒)」

こうして、平安の世は何事もなかったかのように、また平静を取り戻すのであった、
めでたし、めでたし・・
(注:このストーリーはまったくの架空のものです・・・)