以前の沖縄の猫の記事で、猫の写真を撮るのに何らかのドラマやストーリーの
ようなものが欲しいと書いたのであるが、その時、猫好きの読者の方から
「猫の生き方の背景にあるドラマを見出すと良い」という主旨のコメントをいただいた。
なるほどなあ・・ と感心したのであるが、じゃあ、猫の人生(?)って、いったい
なんなんだろう? と思い、家の近所に住み着いているノラ猫の観察を始めた(笑)
その観察の中でまず気になったのは、暖冬とは言え寒い冬であるので、
朝方、ノラ猫達がいっせいにひなたぼっこを始める事であった。
ノラ猫達は、陽のあたる暖かい場所を良く知っている。
マンションの上層階から見下ろすと、一定の時刻になると近所の家の屋根などに
ノラ猫達が集ってきたり、刻々と変わる日当たりに応じ、色々と場所を移動して
いる様子であった。
では、そんな場合に、いわゆる「縄張り争い」みたいな事は起こらないのであろうか?
いや、実際それは起こっている様子だ。 快適な場所を巡って、あるいはもしかすると
エサを貰える縄張りを巡って、ノラ猫達が小競り合いの喧嘩をしているシーンを
見かけたりした。
いつも喧嘩をしているわけでは無いのは、おそらくすでに上下関係が出来上がっていて、
自分より地位の高い(あるいは強い)ノラ猫が来ると場所を明け渡すのはノラ猫界の
中での暗黙のルールなのかもしれない。
で、ウチの近所のエリアでは、茶色い猫が、どうやらボス猫である事が判明した。

ふてぶてしい顔つき、そこそこ太っているところを見るとエサには不自由していない様子だ。
人間を恐れることは恐れるのだが、パーソナルスペース(近寄ると逃げる範囲)は意外に
狭く、小型コンパクトデジカメのズームを望遠側にいっぱいにすれば十分撮影圏内に入る。
そこで、1ヶ月強の期間、このボス猫を見るたびにコンパクトで写真を撮ってみた。

ボス猫の居所は一定では無い、その時間帯によって暖かい場所やエサを貰える
可能性のあるところに移動する。
概ね高い場所を好み、地面を歩いているシーンは滅多に見かけない。

この猫を見つける為に、毎日家からの行き帰りの道筋を微妙に変更する。
猫がいそうな場合は、バッグからカメラを取り出しすぐにでも撮影できるように待機する。
何度か急に遭遇して慌てて立ち止まってバッグを開けてカメラを取り出すと、その隙に
逃げてしまう。 要は人間が立ち止まっているのを警戒する様子であり、歩きながらとか、
気をかけないそぶりをしていればボス猫もあまり逃げない事に気が付いた。
まあ、それはそうであろう、毎日大勢の人が通る往来があるのだから、
通り過ぎる人間にいちいち反応していたら、ボス猫も気が持たない。

しかし、高いところにいる場合はともかく、ゴミ袋をあさる為等で地面に降りてきている
場合は、パーソナルスペースがかなり広くなる様子で、すなわち警戒されて、あまり
近寄ることができなくなる。
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そして、ボス猫の行動半径はおよそ100mというところか・・
もしかすると姿が見えない場合はそれより広い範囲に遠征している可能性もあるが、
さすがにボス猫を追っかける目的だけでそれを調べるほど私も暇では無い・・(笑)
ちなみに夜はどこで寝ているのだろうか?
たぶん寒い冬のことであるから、どこかの家の床下や廃材置き場などに潜り込んで
寝ているのであろう・・
でも昼寝をする場合もあるだろう・・ よし、見つけたぜ、屋根瓦の上にいたか・・

ちなみに今回の写真はすべて別の日の撮影である、猫が動き出したらもうそれで終り、
そこから追っかけたって人間が猫道に入っていくのは不可能である。
そして同じ場所で止まっている猫を何枚も撮っても面白く無い、猫の表情を捉える
ために数枚撮ることはあるが、連写のきかないコンパクトの撮影だし、
せいぜい2~3枚で、「今日はこのへんで勘弁しておいてやろう」となる(笑)

ボス猫の写真撮影は、まだ始めたばかりにすぎない、きっとこれを何年も
続けていれば、この猫の生態ももっとわかるようになってくると思うし、
愛着すら湧いてくるかもしれない。
そうなった時、たとえばボス猫に対抗する新たな強者猫が現れて、ボス猫と
喧嘩になった時などは、私はボス猫を応援するかもしれない。
で、そんな事をしているうちに、ノラ猫とは言うものの、そのノラ猫の背後に
あるドラマというものが、ほんの少しだけわかってくるかもしれない。
そんな風になってから、猫を撮ったら、きっとその写真は全然違うものに
なってくるのだろうなあ・・ と、思っている。
つまり、そのボス猫の生活のドラマやドキュメンタリー、そんな風な視点で
猫の写真を撮れるようになってくる事であろう・・
ノラ猫の撮影技法も、ただ猫を綺麗に撮ったり、その良い表情を撮ったりする事が
必要なのではなく、結局他の写真撮影ジャンルと同様に、その被写体の背後にある
ドラマやストーリーをいかに捉えるか、それが大切なんだろうと思う。
勿論簡単な事では無いと思う、でも、不可能というわけでも無い事だとも思っている。