さて、近々大阪の天保山でオフ会があるので、ちょっと事前に夕景でも撮っておこう・・
天保山はいちおう山という名前であるのだが、大阪港に面した海抜4.5m程度の
丘にすぎない。 (日本一低い山という説もある)
このあたりには、むしろ海遊館、サントリーミュージアム、天保山マーケットプレース、
大観覧車、観光船サンタマリアなどの名物が多数があり、ファミリーで遊びに来るにも、
デートを楽しむスポットにも良いであろう。
ただし、もちそんそうした総合アミューズメント施設であるから、休日は混む事は
覚悟しなければならない。 恋人同士で二人きりになりたい、といった「恵まれた」
カップルは、わざわざ天保山に遊びに来なくても、その辺の人気(ひとけ)の無い公園で
十分であろう・・(つまり、ラブラブカップルは何処へも行く必要が無い・・苦笑)
さて、悔しいので(笑) 今日は感覚面の話ではなくて、純粋に撮影技法の解説から。
今日の機材・・ まずは、最初はGR Digital である。

↑GRD F6.3 ISO400 露出補正-1.0 1/640秒 日中シンクロ
夕景と言ってもまだ太陽が地平線近くまで下がって無い状態では、ISOは無理に
高くする必要は無い、昼間同様に明るいのである。
ただ、どうしても夕日を入れたくなってくるのであるが、太陽とその他の景色等の
輝度差は非常に大きく、基本的には肉眼で見たままのような情景をカメラは再現
することはできない。 そこで色々テクニック(撮影技法)が必要になってくる。
ここでのポイントは、マイナス補正と、日中シンクロである。
日中シンクロは、ご存知、昼間でもフラッシュを使う技法。
本来は、逆光時の人物撮影などで使われる場合が多いが、最近では、「雪の撮影」や、
「擬似夜景技法」といった撮影技法を
記事中で紹介している。
まず、何故マイナス補正をするかは、必要以上に画面上部を「白トビ」させない
ようにするため、さらには影を強調するため。
そして、何故日中シンクロを使うかと言えば、マイナス補正と輝度差で手前が真っ黒
になるから、そこにフラッシュをあてて主要被写体の存在を目立たせながら、輝度差を
吸収する目的である。(輝度差の緩和の為のフラッシュ使用は重要な概念である)
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さて、次の機材は、コニカミノルタα-7D + APO AF200/2.8Gである。
いわゆる白レンズであるが、ミノルタのレンズ群の中ではもっともフラットで
クールな描写をする、いわゆる「優等生レンズ」である。 ボディはご存知
「夜間戦闘機」であり、開放f値の明るいこの大口径望遠レンズを装着すると、
銀塩換算300mm相当の「夜間望遠戦闘機」となる。

観光船サンタマリアをシルエットにしつつ、船の舳先(へさき)で太陽の直接光を
減衰させて撮る。 まあ、太陽を何か別の被写体で僅かに隠して撮るのは、夕景等
での常套手段であるのだが、使い古されたテクニックなのであまり面白くも無い。
そこで、もう少し色々やってみよう。

↑α-7D AF200/2.8 F=9.0 ISO400 絞り優先 露出補正 +2.0 1/4000秒
「プラス補正しているのに何故アンダー露出なのか?」
・・・いい所に気が付いた、実はこれはシャッター速度がこのカメラの最大の1/4000
秒の限界値に張り付いているのである。 だから本来はAEの範囲外で撮れない状況
である、これがいわゆる初級者がやる「デタラメ露出、結果オーライ」である(苦笑)
カメラやレンズの性能限界に達している事に気が付かずにいると、こんな風になる。
これでも太陽の中に雲が見えているので面白い写真となっている、
けどもし初級者がこれと同じ写真を撮ろうとしたら2度と撮れない、カメラをどう
設定したらこうなったのか、その原理がわかりようが無いからである。
じゃあ、ちゃんとカメラを設定してやってみよう。

↑α-7D AF200/2.8 F=11.0 ISO100 マニュアル露出 中央重点測光 1/200秒
AEでは正確な露出が得られない状況であるので、マニュアル露出に変更、
さらに中央重点に切り替え「カメラの測光アルゴリズムが何を考えているのかわからない」
状況を回避、つまり露出をカメラのコンピュータではなく人間の制御下に置くということ
である。 ISO100、絞りF11と比較的経験則が用いやすい状況にカメラをセット。
しかし、それでも撮る前に露出計の針(グラフ)は、プラスいっぱいに張り付いて
点滅している、「オーバー露出になるよ」という警告であるのだが、この露出値で大きく
外してはいない筈だ、これは露出計がうまく判断できていないのである。
よくSF映画などで、宇宙船や戦闘機が危険な状況に・・ 操縦パネルの機器類は
すべて「警告」を発して赤いランプが点滅してブザーが鳴る・・ ベテランパイロット
である主人公は「ええい、うるさい!」と機械を全部止めて手動で操縦を行い危機を
脱する。 見ている方は「ほっ、機械に頼っていたら、危なかったかも・・」と胸をなで
降ろすのである。
まあ、カメラにおいても、特殊な撮影条件では機械に頼らず人間のカンや経験の
方が頼りになる場合もある。
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ちなみに、被写体前後のボケは無限遠風景撮影では関係無いので、絞り値は
言ってみればいくつでも良い。
良く風景を撮るのに絞り値を神経質にうんぬん言う古いタイプのカメラマンがいるが、
風景で絞りなんて多少絞り込んでも解像度が劇的に向上するわけでも無い。
そんなにシャープネスが欲しかったら、後でレタッチで「アンシャープマスク処理」
でもかければ良いだけの話である。
また絞込みすぎると「回折現象」が出て解像度が悪化するからうんぬん・・という
神経質なカメラマンも多いが、レンズテストをしている技術者じゃあ無いんだから、
そんな事に気を使って本来撮りたい写真(表現)が撮れなくなるのは本末転倒であろう。
ぐちゃぐちゃ、ガタガタ言ってないで、まず自分が「何をどう撮りたいのか?」を
最優先に考えるべきであろう。
さて、あとは少しづつ沈み行く太陽の明るさにあわせ、M露出モードで
割り振られた後ろダイヤルでシャッター速度のみを調整していけば良い。
一応(ボディ内)手ブレ補正はONにしておけば、この後、さらに太陽が沈んで
手ブレ限界のシャッター速度(300mm相当レンズでは本来は1/300秒)を下回っても
安心である。 勿論三脚は不要、そんな事を考えるほど手ブレが怖ければ、
絞りをF11ではなく、F5.6あたりに設定しておけば、あと2段シャッター速度は速くなるし
さらにはF2.8の開放まで、まだまだ4段の余裕がある。
シャッター速度を変えずに前ダイヤルで絞りを開けていってもこの場合は結果としての
写真は同じである。 絞り値も関係ない、シャッター速度も関係ない、そんなのは
写真としては簡単すぎて、つまり作画表現ができずに、つまらない写真である。
そして、この作例では「ゴースト」が出ている。
ゴーストが何故出るかというと、太陽からレンズへの直接入射光がレンズ内で乱反射
しているから。 で、ゴーストが出ているから、ダメなレンズだとか、ダメな写真
というわけでは無い、撮影アングルを少し変えてあげればゴーストは消すことができる
があえてここでは、「太陽の強い光」の作画意図を意識したから、ゴーストが出ている
写真を選んでいる。 さらに言うなら、ゴーストの中に、↑のド・アンダーな写真で
やっと見えた「太陽の中の雲」が見えているところが面白いと思ったのである。
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さて、日没はあっと言う間である、モタモタしていると何枚も写真を撮ることが
できない。 ただ、沢山撮れば良いか、というとそうでもなくて、たとえば三脚を
立てて連写をしているようでは、同じような写真ばかりになってしまい面白みが無い、
ISO100でも、1/4000秒でも夕日の写真が撮れるのであるから、ただでさえ短い日没の
時間で三脚で構図を固定したら時間やアングルの自由度が勿体無い。
たとえば後ろを振り返ってみたら良い。

建物に反射する夕日が綺麗だったりしないだろうか?
そんな風に、太陽という「被写体」ばかり追いかけていても視野が狭くなるばかりなのである。
何度も言っているが、写真とは「被写体を綺麗に撮る行為」では無いわけだから、
自分がその場の状況において、何を感じ、何を撮りたいと思ったかを全方位に神経を
払って、自分が撮りたい「表現」を探していく必要がある。
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さて、「夜間望遠戦闘機」の出番はここまでである。
太陽が沈んだ以降は、望遠を持っていても何の役にもたたない。
ここのところは、デジタル一眼は、単焦点レンズ1本のみ、というのがいつもの
私のスタイルであるのだが、今日は珍しく 50/1.4の大口径レンズ、つまり、本当の
「夜間戦闘機」仕様のレンズをカメラバッグの中に忍ばせてある。
50/1.4は、200/2.8に比べ、開放F値が2段明るいばかりではなく、
レンズの焦点距離も1/4である、つまり、手ブレ限界シャッター速度も2段低い、
だから都合4段分、夜景の撮影において有利、ということになる。
この差は非常に大きい。融通の効かない望遠なんていくら高性能レンズだろうが
夜間でその価値も目的も無い、もうさっさとカメラバッグに仕舞ってしまおう。
いつまでも夜間撮影で「白レンズ」を見せびらかしているようでは、
何もわかってないと思われ、むしろ滑稽である。
そして、一眼のほかに、今日の第三の秘密兵器を取り出す。

本ブログ初登場の Fuji FinePix F10である。
いわゆる高感度コンパクトの走りであり、ISO1600の高感度を実用的なものとして
搭載した初期の機種である。 今でこそISO3200やISO6400のコンパクトも多数
登場しているし、手ブレ補正を内蔵している機種も殆どであるのだが、
「画素加算」などの技術による擬似的な高感度は、どうも実用というよりも
ただ単にカタログスペックを追い求めているようにも思う。
で、勿論F10も、今やF30やF31fdといった高性能な新機種が出ているのであるが、
何も絶対に最新のコンパクトでなくてはならないという理由も無い。
古いF10でも写真が撮れないというわけでは無いのである。
とは言え、いきなりの最高感度では撮らない。
まずは最低感度のISO80、まだ完全に太陽が沈んでおらず、十分明るいし、
無理に高感度テストをする必要も無い。
少々水平線が曲がる歪曲収差が出ているが、これはズーム機であるからいたしかたない。
GR Digital のような、高性能単焦点と比較する方がかわいそうである。
水平線の曲がりが気になるなら、たとえばきっちり2分割構図にして、かつズームを
ちょいと、広角いっぱいから少しだけ伸ばしてやれば、歪曲収差は完全に消える。
レンズの弱点をごちゃごちゃ言ってないで、テクニックでカバーすればいいだけの話。
あるいは、歪曲収差が目立たない被写体を撮れば良いだけの話である。

↑FinePix F10 F2.8 ISO800 1/13秒
このカメラには手ブレ補正機能は無いが、1/13秒程度であれば手持ちでも
手ブレ限界の2段落ち程度なのでカメラの構え方を工夫すれば、どうにか撮れる。
あるいは、最大感度のISO1600までまだ1段の余裕もあるし、
マイナス補正を行う「デジタル増感」だって手段として残っているし、
最悪は、画面右下隅にチラリと見えている、てすりの上にカメラを置いてしまえば、
もっともっと遅いシャッター速度だって問題は無い。
なにが何でも「手ブレ補正」が必要なんだ、とは思い込む必要は無い・・・
もし、それでも感度もアウト、増感も効かない、あるいは置くところすらない、
そんな最悪の条件になったとしても、まだ「撮れない」と諦める必要は無い、
ほら、アレがあるじゃあないですか・・

↑FinePix F10 F2.8 ISO80 1/4秒
そう、花火撮影等で紹介した「
踊り撮り」である。
これは、長時間露光で、絶対に手持ち撮影が出来ない状況で、開き直って(笑)
カメラを振りながら撮る特殊撮影技法である。
ここでISO80は誤記ではない、わざとISO800で撮ってたのを最低感度の80まで
落として、スローシャッターを得て「踊り撮り」が可能な状況を作り出している。
ブレ無いように「キレイ」に撮るばかりが技術では無いのである。
さて、プログラム露出しか無い F10であるが、ISO感度の変更や露出補正等の
基本設定で色々遊べる。 そりゃあ、絞りやシャッター速度を自由にいじくれる
方が良いに決まっているが、別にコンパクトだけしか持って来て無いわけでも
無いのだから、そんな細かい設定を要する撮影技法が必要ならば一眼を取り出せば
良いだけの話である。
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そんなわけで、一眼(α-7D + AF50/1.4)を取り出し、夜景撮影を続けるとしよう。
でも、もう普通の撮り方をしていたら面白くない、観覧車は観覧車でしか無いのである。
そんな写真は1枚撮れば十分であろう・・
で、まずは夜景撮影の定番「
全ピンボケ技法」を使ってみる。

え? これも良く出てくる技法だから新鮮味が無い・・?(汗)
う~ん、そう言われてもなあ・・
んじゃ、こうしよう。 「夜景全ピンボケ技法」に、オネイサンを入れて
ちょっとロマンチックな作画意図のバージョンだ。

これなら文句あるまい? 観覧車をピンボケにする意味もちゃんと出てくる。
え? 「わかるけど、一緒に行ってくれるオネイサンがいない・・・」とな・・?
そんなの知るかよ・・(苦笑)
そういうのはカメラを扱う以上に自分自身で努力するべき問題だ・・(笑)
それに「被写体を愛すべき心」(笑)を持たずに、何を目的に写真を撮っているんだよ?
高価な機材を使って「夜景がキレイに撮れた」などと言っているだけでは、
人間として心が狭くないであろうか?
・・でもまあ、ここで言いたいのは、そんな精神論よりも、全ピンボケ技法を使うと、
いかにもテクニカル優先で、表現的に「あざとく」なってしまう場合には、なにか
前方あるいは後方に別の被写体を置いて、自然に被写界深度外でボカしてしまうように
すれば良い、ということだ。
たとえば、ここで広角のGRDに持ち替える。
勿論広角だからあまりボケない、でもまあ、絞り開放で近距離の橋の欄干のあたりに
ピントを当ててやれば、前後はうっすらと絵画的タッチでボカす事ができる。

え? やはりオネイサンがいないとつまらない・・? (汗)
そりゃあ、一度そんなのを見てしまったからな・・
まったく人間の欲望というのは限りないものだ・・(苦笑)
何かを見たら、それがすぐ欲しくなる、カメラでもレンズでもオネイサンでも一緒だ(笑)
で、そうなんだよね・・
いくら撮影技法の解説とは言え、本来はロマンチックな夕景撮影で、オッサンが一人
夕日や観覧車にカメラを向けて寒空の中で写真を撮っていてもなんだかむさくるしい。
大口径標準レンズを持てば、昼でも夜でもオネイサンの撮影と相場は決まっている(笑)
そうと決まれば、もう夜景撮影なんかどうでもいいよ。
「お~い、S嬢、ちょっとあちらを見てね・・ カメラ目線はいらないよ。
うん、そうそう、クールな感じで、うんうん、メガネがなかなかカワイイね・・」

「ヲイヲイ・・夜間撮影技法の解説が、なんでメガネ萌えフェチになるんだ・・?苦笑」
・・・そんなの知るかよ・・ 自分が撮りたいものを撮りたいだけの話だ。
元々撮影技法なんかどうでも良い・・(汗)