さて、ひさびさの名機対決、今回はデジタル一眼のKONICA MINOLTA α-7Digitalと
CANON EOS 20Dの対決である。 どちらももう2~3年前の古い機種であるが、
移り変わりの激しいデジタルカメラの世界にあって、比較的長い期間にわたり
あまり古さを感じさせず使える機種である。
名機対決シリーズは基本的には銀塩名機で、発売後20年あるいはそれ以上の
歴史を持ち、かつその間も価値があまり下がらず、未だに現役機として十分に
使用できるカメラを紹介してきた。
最新機種を紹介しないのは、1つは、その最新機種の評価は短期間ではあまり
わからない部分があること、そしてもう1つは、私は自分で身銭を切って買った
カメラで、かつ十分に使いこんだ後でないと評価記事を書きたくないからである。
(それはつまり、最新機種はそんなに簡単にポンポンとは買えないということ・・笑)
世の中には、ちょっと借りて触ったくらいで、あるいは使ってもせずに、
カメラの事をどうのこうのと言う人達がいるが、私はそれは正当な評価をしている
とは言えないと思っている。 カメラを語るならば、ちゃんと自分で買って評価して
こそ本来あるべきだと思っている。 それから「テストマニア」と呼ばれるように
新機種を買ってはすぐ売り、を繰り返すタイプのマニアもいるが、それもまた
カメラあるいは機材に対する愛情・愛着の面ではどうかと思う。
せっかく高いお金を出して買ったカメラなんだから、壊れるまで、いや壊れても、
直してしっかり使い続けることが大事なのだろうと思う。
「いや、このカメラ(レンズ)の、ここが気に食わないから・・」という意見も
あるかもしれない、でもそれも自分の責任、単に目利きができていなかっただけの
話である。
たとえば、結婚してから、パートナーの欠点をあれこれ言うのは禁物であると同様に、
もはやそれは自分が選んだ以上、ちゃんと責任を持たなければならないのである。
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さて、前置きが長くなった・・(汗)
「夜間戦闘機」とは、例によってこのブログの造語である。
これはすなわち、夜間あるいはそれに準ずる暗所での撮影などにも耐えうる性能や
特徴を持つカメラの事である。
銀塩時代は「夜間戦闘機」は存在しなかった。 何故なら夜間撮影に必要な
低速シャッターなどは普通どのカメラも備えているわけだし、ISO感度などは
カメラではなく、フィルムで決まってしまうから、カメラ自身が夜間の撮影に
強いとか弱いとかの区別は無かった。
でも、デジタル(一眼)カメラは違う。
基本的に「夜間戦闘機」の条件は
①実用的な高ISO設定
②高性能な画像処理エンジン
③手ブレ補正機能の搭載
④ブレにくいカメラ設計
⑤暗所でも操作しやすい操作性、操作系
⑥暗所でも見易いファインダーの搭載
⑦大口径レンズがラインナップされていること
である。
現状、これに当てはまる機種は、コニミノ/ソニーのαシリーズ、できればα-7D。
ペンタックスKシリーズ、そして、準夜間戦闘機としてキヤノンEOSの中級機
以上が上げられる。 ニコンD2シリーズでもISO6400の超高感度を持つものが
あるが、ちょっと他の条件が苦しい。
では、まず1機種目として、コニミノのα-7Dをあげる。

装着レンズは、αの最大口径の、F1.4レンズ(AF85/1.4 G(D) Limited)である。
幻の限定レンズであるが、まあ、ノーマルのAF85/1.4でも同じこと。
α用は、他に、AF35/1.4、AF50/1.4、そして新鋭ソニー・ツアイスのプラナー85/1.4
がF1.4の最大口径としてラインナッされている。
次は、2機種目、キヤノン EOS 20D である。

スペック的には夜間戦闘機の条件を満たすカメラでは無いが、準夜間戦闘機として
なかなか役に立つ優れものである。特に高感度でのノイズの少なさ、ホールディング
しやすい軽量(中量?)ボディ、さらに軽快に動作し準高速連写も可能なバランス
感覚が良い。 これは EOS 20Dに限らず後継機種の EOS 30Dでも同等だと思う。
装着レンズは、EOS(EF)最大口径の、EF85/1.2L である。
EOSには、過去EF50/1.0というバケモノレンズ(通称=金魚鉢)という超大口径
レンズが存在したが、私はこのレンズを一度借りて試写してみたのであるが、
「う~ん・・・」というレベルであったので、購入することは無かった・・
まあ、詳細は言うまい・・(苦笑)
で、F1.2級レンズは、最近また、EF50/1.2Lというレンズが発売されたらしいが
これは当然まだ持ってないので何とも言えない。
その他、EOSには、F1.4級の大口径レンズも24mm、35mm、50mmと存在して
いて、これも大口径レンズとしては十分なラインナップであろう。
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さあ、まずは夜間戦闘機の条件である、高感度性能である。
α-7D、EOS 20とも最大感度はISO3200である(最低はどちらもISO100)
ニコンのデジタル一眼やペンタックスのKシリーズで提示されたISO自動追従という
考え方は、今度のデジタル一眼の撮影技法すらも変えてしまうと思われる革新的な
ものであるが、残念ながら現在の技術ではISOの可変範囲がその機能を持つためには
狭すぎる・・ と、記事で何度か述べているように、現状より上下に3段増し、すなわち、
ISO12~ISO25600までは可変できないと、ISO自動追従は十分な効果を発揮
できないと思う。
で、高感度側であるが、夜間戦闘機としての最低水準は、ISO3200である。
ニコンには、ISO6400が使えるカメラもあるが、ノイジーであり一般的な使用では
推奨されていない。
高感度設定での低ノイズや発色などにおいて、定評があるのはコンパクトでは
FUJI(フジ)のFおよびZシリーズ、そして一眼ではEOSがあげられる。
まあ、それもそうであろう、フジのコンパクトもEOSも手ブレ補正の機能を
搭載していない。 それでかつ他社製品に対抗できる商品力があるということは、
高感度性能が優れているということを暗に示している。
(もちろんEOSにはISレンズがあるが・・)
でも、ただ単に高感度性能が優れているだけではダメだ・・
明るい実験室(研究室)でカメラを設計しているエンジニアには分からないかも
しれないが、高感度にカメラを設定するということは、当然の事ながら、真っ暗な
場所でカメラを操作しなければならないのである・・
さて、α-7DでISOを変更してみよう・・・
おっとISOのボタンがどこにあるか暗闇では探せない・・慣れるしかないのだが
数台、数十台、数百台(汗)のカメラを使っている以上は、いちいちどのカメラの
どこにどんなボタンがあるかなんて覚えてられない・・まあそれでも慣れたとしよう。

ISOボタンを押すと同時に、背面の2.5インチ液晶にISOの設定が大きく表示
される。 左右の三角印は、背面の設定ボタンをその方向に押せ、という意味であり
次の操作を促している。 うん、この操作系は合格である。
対して、EOS 20Dである。
まずはISOボタン・・ カメラ上部前面の5つのボタンからISOを選ぶ必要がある
真っ暗だったら当然見えないし、カメラを構えながらの操作もままならない、
いちどファインダーから目を外し、シャッターボタンからも指を外し、
カメラを上から覗き込んで、右手でボタンを探さなくてはならない。
当然何も見えないから、上部液晶のバックライト照明のスイッチをONにする、
しかし、そのスイッチ自体探せない・・(汗)
まあ、これも「慣れ」で探したとしよう。

ISO数値が出た。
しかし、さて、数値を変更するのは、前ダイヤルか後ろダイヤルか?
もし前ダイヤルだったら、ピアノの「超絶技巧練習曲」並みの、複雑な指使いを
強いられてしまう(苦笑) でも、幸いISOは後ろダイヤルで変更する。
けど、まあ、やりにくい・・
いきおい、メニューボタンを呼び出して、背面液晶から選ぶ操作系を選択したく
なってしまう・・ しかし、EOSのメニューは階層化されておらず、延々1ページ
に長く続く古臭い操作系であり、かつ、ISOの設定なんかどこにもありゃしない(怒)
まあいい、なんとかISOは変更できた。 でもこれだったら、その場の明るさや、
撮影条件や、シャッター速度とのからみにおいて、頻繁にISOを変更しよう、
などと言う気にはなれない。 ISO1600かISO3200に固定して、あとは
EOSの低ノイズ性能を信じるしかないのである。
けど、EOSにおけるISOの設定はまだマシな方である、
もしWB(ホワイトバランス)を変えたいと思ったら・・

いったい何これ?(怒) 虫眼鏡で見ないとわからないような小さいアイコン(絵文字)
おまけに、このアイコンは何を意味しているの?
「ゲゲゲの鬼太郎の妖怪ポスト」なのだろうか・・・?(苦笑)
で、ここでもまた、メニューボタンを呼び出して、背面液晶からホワイトバランス
調整を選び出そうとすると・・ これもメニューの中に無い・・(怒)
ヲイヲイ・・もう夜間や暗所での、ライトアップやステージ照明なんて、
とっくに青から赤に変わっているよ・・設定を変更していても間に合わないじゃないか・・(苦笑)
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まあいい、別にこの名機対決ではEOSをこき下ろす為に書いているわけではない。
EOSの操作系が1989年の銀塩EOS-1から、大きな進化もなく現在に至っているのは、
まあ承知しているわけだし、EOSの弱点がその操作系であることもわかりきっている。
その弱点をとがめるのではなく、カメラの長所を活かして撮ることが大事なのである。
弱点をとやかく言っていたら、準夜間戦闘機、などと重宝して持ち出すこともない、
わかった上でカメラを買っているのだから、「使えねえ・・ポイ」などと捨てる
ことも無いのである。
それよりEOSの軽快にバランスされたトータルの性能を評価するべきであろう。
特に露出補正の操作性(注:操作系ではない)は、EOSの長所である。
背面の大型電子ダイヤルでクリクリと手軽に操作できるのは嬉しい。
おまけに、EOSはマウントアダプター母艦であるので、旧レンズや他社マウントの
レンズをEOSに装着しても、A(絞り優先)モードで実絞り込み測光ながらも、
露出補正が簡便にできるのは感激である。
ただ、後ろダイヤルを有効にするには、一部のEOSではI/O(ON/OFF)
スイッチ、あるいは、他のEOSでは電源スイッチを、ダイヤル有効のポジション
にセットするのは考え物である。 I/Oスイッチならまだしも、デジタルにおける
電源スイッチは、バッテリーの無駄な消耗を避けるために、頻繁にOFFにするのが
常識だから、そのたびに、ダイヤル有効ポジションまで切り替えるのは面倒なのである。
あ、ちなみに、電源をいちいちOFFにするのか? と思うかもしれないが、
私は、下手をすると1枚撮ってはOFFにするような撮り方をする場合も多々ある。
ほとんど習慣なのであるが、幸いにしてこれで予備バッテリーを持たずしても
1日撮影してバッテリー切れを起こした経験は無い。
(とは言え、ほとんど写真を撮らないわけではなく、数百枚は撮るのである)
心配だからと、予備のバッテリーを買って持っていき、何GB(ギガバイト)もある
高価な予備のメモリーカードを持っていく・・ でも、それ使ったことあるか?
ちなみに、私は、1日の撮影くらいならば、予備バッテリーはほとんど持たず、
カードも 128MBか256MBの1枚、128のときは、せいぜいもう1枚の128を持っていく
程度であるが、それでも128MBで最低画質で200枚弱くらい撮れるので、1台の
カメラの受け持ち枚数としては十分なのである(まあ、他のカメラも持っていくが・・)
で、露出補正の話に戻るが、α-7Dには、銀塩α-9、α-7から踏襲した
「第三のダイヤル」がついている。

各社のデジタル一眼普及機には、1ダイヤル方式のカメラがいまだに多いが、
デジタルにおいては、露出補正や、その他の複雑な操作を頻繁に行う理由から、
1ダイヤル方式のカメラは実用的には物足りない、いやもっと厳しく言えば
操作系としては「失格」である。
最低でも2ダイヤルで、絞り+露出補正、あるいは、Mモードでの絞り+シャッター
速度、の変更を任意に行うことができないと、デジタルの狭いラティチュード
(Dレンジ)での作画表現、あるいは、デジタルでの撮影技法には対応できない
のである。 1ダイヤルで済むのは、銀塩のネガを使った撮影のみであり、
デジタルにおいては、1ダイヤルでの撮影はありえない、と言ってもいい。
ボタンを押しながらでいいじゃないか・・ と思うかもしれないが、
またさっきの話に戻って「超絶技巧練習曲」を利用者に弾かせたいのだろうか?(苦笑)
で、デジタルにおいては、まだ実現できていないが、ISOダイヤルがいずれ必須に
なるのである、これはデジタルの撮影技法を学ぶ(開拓)すればするほど必要と
思われる機能であろう。 そして、新たな露出概念、まあ、(古くからあるが)
ペンタックスやミノルタのハイパー露出系操作、あるいは、ニコン、ミノルタ、
ペンタックスなどの、ISO自動追従系の操作、においては、ハイパーあるいは
ISO自動追従において2ダイヤルを必要とし、かつその時点から露出補正を
かけるための第三のダイヤルの存在が必須となるのである。
コニミノα-7Dは唯一その3ダイヤルを実現しているデジタル一眼であるが、
銀塩時代のα-7がほぼ究極の操作系の完成度を誇ったとは言え、デジタルにおいては
まだまだ銀塩の焼き直し程度では、操作系の完成には程遠い状況であった。
現在最も進化しているのは、ペンタックスK10Dと思われるが、もう少し詰めていけば
さらに良くなるだろう。
心配なのはSONYである。α-Sweet Digital Ⅱとも思われるα-100は、まあ
コニミノの設計だから良いが、いつになっても自社の製品の発表が無いではないか?
(ぼちぼち発表という噂もあるが・・)
ミノルタだって、銀塩αヒトケタの前の、xi シリーズなどでは、酷い操作系の
設計をしていた・・ 「操作系」という概念がほとんど無かった当時の雑誌ライター
(いまでも操作系の概念はないか・・苦笑)にしても xiは不評だったので、
ミノルタは「操作系」(もちろん「操作性」では無い・・ )について反省し、
研究を行い、α-507si → α-9 → α-7 とその完成度を高めてきたのである。
そのポリシーがSONYの次機種にもしっかり反映されていれば良いのであるが・・
もし、フルサイズ1500万画素だ、どうだ凄いだろう? なんてカメラが出てきたら
星一徹のようにちゃぶ台をひっくり返したく思うかもしれない(苦笑)
(ちなみに、星一徹は1度しかちゃぶ台をひっくり返していない、いつもそうしてた
ように思うのは、巨人の星のエンディングで毎回そのシーンが流れていたから・・)
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さあ、どんどん記事が長くなっていくようだ・・(汗)
従来の名機対決編は、比較的言いたいことも言わずに書いてきたので1つの記事で
収まったが(・・・実際には、一度ブログのテキスト容量オーバーで載せれなく
やむなく分割したこともあった・・ 画像はともかく、テキスト容量オーバーを
経験した人は他にいるであろうか?)今回は、わりと関連事項まで含めて書いて
いるので、きりがない・・
なんとか前編、後編でおさめたいが・・(汗) その気になれば1ヶ月くらい連載で
記事を書いてしまいそうで怖い・・(苦笑)
まあ、言いたいことは、書きたいことがいくらでもある、というのは、いかに
皆が(カメラマンも、雑誌ライターも、プロも、設計者も・・)カメラの実状を
理解していないか、ということである・・ 頼むからもっとちゃんと写真を撮って、撮る行為の
中でカメラの設計を考えてもらいたい。 800万画素が1000万画素になったからって、
顔認識機能がついたからって、そんなのはどうでもいいのである、いつまでも
ユーザー不在で子供だましのスペック競争をしていてはならない。
ユーザーも、またちゃんとカメラを理解して、変な方向に進もうとするメーカーを
けん制してあげなくてはならない、それがユーザーニーズと言う意味であり、
メーカーの言うがままのスペック競争に一喜一憂しているでのは、お話にも
ならないのである・・
(後編につづく・・)