さて、今日は年に1度(?)の大阪の古い市電の公開日である。
早速住之江区にある市電保存館に向かってみよう。

さっそく市電を発見、かなりレトロな感じだ、でも見たところ戦後の印象である。
現在の大阪の大動脈は、梅田(通称キタ)~難波(ナンバ、通称ミナミ)を結ぶ
御堂筋であり、そこの地下を走る「御堂筋線」であるのだが、50年以上前のそのころも
やはり同じ御堂筋にこの電車は走っていたのであろう。
駅は、梅田~淀屋橋~本町~心斎橋である。 現在の御堂筋線とほぼイコールである。
ちなみに、大阪の街では、縦(南北)に走る道を「筋」と言い、
横(東西)に走る道を「通(とおり)」と呼んでいる。
たとえば、堺筋、御堂筋、四ツ橋筋、なにわ筋・・
本町通、中央大通、長堀通、といった具合であるのでわかりやすい。
対して近隣の京都の文化では、道はすべて通(とおり)であり、通の名称よりも
それらが交差した所を基点と置く。 たとえば、烏丸(からすま)通と、御池(おいけ)通が
交差した所は、烏丸御池、そんな感じである。
古都である京都や奈良は、平安京、平城京からの市街地の構造が基本となっているが
大阪はそうした「京」ではなく、比較的新しく作られた街であるのがその理由であろう。
ここは市電のみならず、バスなども展示している。

これも年代はわからないが、比較的新しい印象である。
さらに新しい現行の地下鉄も展示してある・・

・・が、実はこれは模型。
まあ、私は特に電車好きという程ではないが、やはりこういう場所にくると
「男の子」の気持ちが出てきて、わくわくする。
さらには、こんな風に、電車の古いパーツまで売ってたりしていて面白い。

撮影のジャンルで、鉄道を主に撮っている人を「鉄ちゃん」と呼ぶ場合がある、
鉄ちゃん、というとなんか親しみがあるようでもあるが、またある意味蔑視したような
印象を与える場合もあるので、鉄の字を分解して「金矢さん」などと呼ぶ隠語もある。
鉄道マニアだったら、たぶん全国色々なところに出かけて、その場所でしか走って
いない鉄道に乗ったり撮ったりするわけだから、旅行、メカ、写真の3つの楽しみが
同時に得られることになり、なかなか楽しそうだ。
単なる鉄道(列車)だって、たとえば四季の情景と組み合わせたり、周囲の状況を
組み合わせて撮れば、色々な作画表現ができて面白いのだろうと思う。
多分、そうした絵になる構図、なんてのは、鉄道は走っているのだから、ワンチャンス
しか撮る機会がなく、その緊張感も得られるかも知れない。
しかし、もしかすると、そういう条件では、また皆が三脚を立てて良いポジションを
取り合いになったり、われ先にと自分が撮る事のみを優先して考える人達もいるかも
知れないから、そういう所が気になって、どうも鉄道を撮りに行こうという気には
なれない・・
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まあ、ここの市電保存館にある鉄道は、動くわけでもないから、のんびり撮ろうとしよう・・
しかし、このイベント、年に1度かどうかは知らないが今回初めて訪れたわりには
なかなか良い。 入場料はなんと無料、これだったら300円でも500円でも取れば
良いのに・・ おまけに近くの駅(とは言っても徒歩10~15分くらいある)まで
無料送迎臨時シャトルバスが出るほどのサービスである。
大阪市交通局・・ 太っ腹である(笑)
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こうした古い市電が走っていたころの大阪は、どんな街だったのであろうか?

さらに古い市電を見ると、もう、どんな時代であったかの想像も難しくなってくる・・

人々は、このつり革につかまって、まだ砂埃が舞うような未舗装の大阪の街並みを
仕事や買い物に出かけていたのであろうか?
博物館では、実際には被写体そのものしか撮ることができない、
本来ならば、この市電が走っていたそのころの大阪の街を、その生活をも写真に
撮ってみたいと思った。 まあ、それは無理な相談ではあるのだが、
いずれタイムマシンが実用化されたなら、恐竜のいる昔よりも、
このころの大阪をちょっと覗いてみたいような気がする。
タイムマシに人間が乗れなくても、カメラだけ乗れればいいな・・

最後に・・
レトロな被写体というものから、ノスタルジックなイメージやある種の郷愁を
持つためには、その時代に生きてきた経験が無いと難しい。
経験が無くても、映画やTVその他の映像などで、その時代を疑似体験する事
はできるとは思うが、それでも自分がそう思う気持ちを、写真を見る人にも
体験してもらう、というのは難しいと思う。
写真は、それを見る人が共通の体験を持たない限り、感情の共有(共感)は難しい。
ある種の自分独自の感覚を表現しようとすればするほど、万人が共通して思う感情
や持つ経験というものから外れていってしまうことも多々あると思う。
結局、だから、「ターゲット」とする層というものを意識しなければならないと
いうのはそういう事なのである。
【追記】
現在大阪で唯一走る、市電(チン電)、阪堺(はんかい)線は、堺市内での乗客数が
往年の1/7程度まで落ち込んでおり、廃止が検討されていたが、このたび、堺市は
LRT(Light Rail Transit:次世代路面電車)を堺市内の、堺駅から堺東駅までの
1.7kmでの建設を予定、阪堺線との相互乗り入れにより、存続が決定したそうです。
LRTの開業は比較的近い2010年を予定しているとか・・