森田「匠さん、写真を見てもらえませんか?」
(注:森田さんはシニアのビギナー仮想キャラ)

匠「・・・うん、シンメトリー構図ですね」
森田「そうそう、わたくしの撮影仲間にも同じこと言われたんですよ、
なにやら新芽採りとか・・ で、それってなんなのでしょう?」
匠「・・・あはは、シンメトリー(Symmetry)、つまり「対称」っていうことです。」
森田「ああ、なるほど、左右対称ということですか。」
匠「・・・左右でも上下でも・・ ともかく対称はシンメトリー、シンメトリックです」
森田「わたくし、そうした写真用語がさっぱりわからなくって・・」
匠「・・・シンメトリーは写真用語じゃないですよ、一般的な用語です」
森田「はあ・・ そうなんですか、どうもわたくし、横文字に弱いもので・・」
匠「・・・そうですね。 別にシニアの方に限らず、わからない言葉があると、
すぐ混乱してしまうか、あるいは人に聞くという方が多数いますね」
森田「はあ、まあ、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と教わりましたからね・・」
匠「・・・それがね、森田さん、現代はそうじゃないんですよ」
森田「えっ? と言いますと?」
匠「・・・つまり、たとえば、シンメトリーって何ですか?って
コメントやらメールやらで私とか他の誰かに聞いてくるとします。
そりゃあ、まあ、答えることはできますよ。 でも、それは、その人の時間を
使わせることになる」
森田「ふうむ・・ そりゃあまあそうですね」
匠「・・・現代では、それはやってはいけないことなのです」
森田「何故でしょう? わからない時に聞いてはいけないと?」
匠「・・・情報と水はタダと思われていたのは、20世紀の後半、もう30~40年も
前の話です、ひとつは、まず知らない事を聞いて、その人に時間的な負荷をかけたら
それはそれ相応の対価を支払うとか、しなければならない。
これが21世紀の基本的なビジネスモデルです、情報ヒエラルキー(情報格差)が
ある場合、その情報には付加価値が発生するから、たとえばノウハウなどが重要な
情報商材となり、その情報商材を販売する情報サービス業がなりたっている・・・」
森田「むう・・ 情報がお金儲けの対象になるということでしょうか?」
匠「・・・まずそこまでは常識ね。 ここまではそう思っておいてください。
で、ここからが肝心、じゃあ、わからない事があったらどうするか?」
森田「本を買ったりして調べるのでしょうか?」
匠「・・・いえ、検索エンジンに入力するのです」
森田「検索エンジンですか? それは、どんなエンジン? ガソリンとかでしょうか?」
匠「・・・あはは、いやいや。 ヤフーとかグーグルの事ですよ」
森田「あ、ヤフーは知ってますよ。 インターネットの会社でしょう? 野球とかでも
名前は聞くし、それは、あいてー産業とか言うのではなかったでしたっけ?」
匠「・・・はい、ITですよ(苦笑) でね、メールやブログに文字を入力できるくらい
にパソコンが扱える人なら、もう簡単ですよ。 たとえばさっきの例、シンメトリー
がわからなかったら、ヤフーやグーグルを開いて、誰かに聞く代わりにパソコンに
聞いてみてください」
森田「そうするとどうなるんですか? パソコンが答えてくれる?」
匠「・・・いえ、ホームページやブログが沢山検索されます。 まあ、入れる用語に
よっても違いますが、1000件とか、10万件とか・・ 」
森田「それを全部読んで調べなさいと・・(汗)」
匠「・・・全部はいりません、肝心な事が書いてある1つを見たらいいんですよ、」
森田「それはどうやって沢山の中から選ぶのですか?」
匠「・・・簡単には、上の方から3つ4つ読んでみてください、たいていそこに
答えは載ってますよ。」
森田「なるほど、で、それはどんな事でも書いてあるのですか?」
匠「・・・検索エンジンが出始めた10年くらい前は、まだホームページなども出てきた
ばかりで発達してなかったし、有益な情報も少なかったですが、今時は違います、
恐らく、どんな情報でもインターネット上に出てますよ」
森田「写真の撮り方なんかも?」
匠「・・・う~ん、それは少ないかな。検索してもきっと匠ブログしか出てこないかも(笑)
でも、カメラ用語なら必ず全て出てますよ。 だって、使われているということは
どこかに書いてあるという事だし、新しい用語なら解説も必要になるし・・」
森田「ううむ、なるほど、で、それは正しいのでしょうか?」
匠「・・・ごく稀に、間違った情報であることもありますよ、でも、まあ、怪しい場合は
複数の情報を突合せれば、正しいのはどれかすぐわかりますよ」
森田「なるほど、そうやってインターネットで皆さん勉強するわけですか・・
いやあ、わたくしのような古い人間は、勉強は本でするか師匠に聞くくらいしか
方法は無いと思ってました・・」
匠「・・・それがさっき言った、情報ヒエラルキー(格差)ですよ、だから情報弱者は
お金を払ってまでも、情報サービスを受けるという事になるのです。」
森田「それって、不公平なのではないでしょうか?」
匠「・・・いえ・・ そうとも言えません。 だって、特別な理由が無い限りは
インターネット環境は今や誰もが公平に扱える、ある意味もっとも公平な環境で
あると言えるでしょう。 だったら、それを使えないということは単に努力が
足りないと見なされてしまいます。」
森田「ううむ・・(汗)」
匠「・・・だから、今の世の中、わからない事なんか事実上無いのです。
どんな事でも、検索エンジンに入力すれば答えが瞬時に出てきます、
これが10年前と今との世の中の決定的な違いです。
今時、『ワタシ、カメラの事わからないです』なんて言えませんよ、
わからない事は自慢にならないのです、単に僅かな手間の調べるという努力を放棄
してたり、あるいは調べる事すらできない、ダメ人間と思われてしまいますよ」
森田「むう・・ 世の中はそこまで変わっていたのですか」
匠「・・・それに気が付かないと言うこと自体、すでに情報格差です。
ネット上では、質問したり、わからないと言うのは禁句です、その言動によって
自らの立場すらも大きく貶めてしまうのです。」
森田「ふう・・わたくし、今まで平気でそんなことをやってました・・(汗)」
匠「ただし、ノウハウは別です。 単なる用語とか単なる基礎原理なんかは
ネットではいくらでも出てますが、ノウハウは出ていません。 たとえばさっき
森田さんが言ったような、写真をどう撮るか、とか・・
そういうのは価値が高い情報なんですよ、みんな持ってないか、持っていても
門外不出か、あるいは文書化できていなかったりする。
どこそこのメーカーのカメラがいくらで売っていて、どんな性能を持っているか、
そんなのは付加価値の低い情報です、調べればいくらでも見つかる。
絞りをこうすれば、被写界深度がどうなる、そんなのもいくらでも出てくる。
写真に関するHPやブログの99%以上がここまでの情報レベルしか書いてません、
そこから先・・はもうノウハウの世界です。 そんな情報はなかなか手に入りません」
森田「ノウハウは聞いてもいいのですか?」
匠「・・・そこまで親切な人がいればね(笑) だいたいプロに聞いても教えて
くれる筈もないし、そもそも、ノウハウなんて持っていないプロだっているかもしれない
あるいは写真教室の先生だって、それが商売なんだから、タダでは教えてくれない
でしょう・・?」
森田「ううむ・・ なんとなく世の中の仕組みに疑問が沸いてきました」
匠「・・・そうでしょうかねえ? 知らないのは努力が足りないとは言いましたけど、
おなじように知らないの恥ではない、という考え方もできますよ。
だって、知っていると知らないの差は、もう、わずかな努力でしかないのですよ、
だったら、たまたま、それを調べた経験のある人は、そうで無い人に対して
いったいどれくらいの優位があるのですか? それはほとんどゼロに近いですよ。
だから、今の世の中、知識があるからと言って人を見下した態度をする人が
最も嫌われるのです、昔ならそれは許されましたが、今時は、そんなわずかの差で
偉そうな態度をされたら、皆が不快に思うのは当然でしょう?
でも、なくなりませんよね・・ 何故ならば古い感覚が抜けて無いからなのです、
オレは勉強しているから偉い・・知らないヤツは勉強してないからダメだ・・とね。
大笑いですわ、つまり、その人は他に自己主張する手段が無いから、そんな僅かな
差を誇張して伝えたがる、でも、周りは皆笑ってますよ、つまらない事を自慢する
ヤツだとね・・」
森田「なるほどね・・ そういう意味では情報格差はむしろ縮まっていると・・」
匠「・・・私はそう思いますけどねえ・・ でも、こういった考え方の最初のきっかけが
できなければ、もうかなりヤバイ・・ ITが分からないことを苦にして、
余計に頑なに情報機器を扱うことを拒否していまう。 それこそパソコンがわからない
デジタルがわからない・・と言って。
下手すると、デジタルカメラの仕組みがちっとも理解できないから、まあ銀塩は
長くやってきたので、デジタルの世界に移行すると、自分の優位性がなくなるから
デジタルなんて写真じゃない、とか言い続け、デジタル技術が進歩してきたら
今度は、オレのスタイルにデジタルは合わない、なんて言い張る人がいまだに多くいる。
でも、そこまでいくともうヤバイですよ・・ 自分でドツボを踏んでいる、
それでは、もう周りは皆相手にしないですよ。」
森田「ふうむ・・ わたくしは、わからないなりにも、いちおうわかろうと努力は
しているつもりなんですが」
匠「・・・そこが森田さんのいいところなんですよ。 わからん、とか、教えろとか、
そんなのイカン、とか開き直った態度をしているようでしたら、とっくに誰も相手を
しなくなっていますよ」
森田「よくわかりました・・ 精進いたします」
----
匠「・・・あ、それともう一つ重要なこと。 冒頭の写真、あれ、ダメですわ」
森田「え? ダメとおっしゃいますと?」
匠「・・・作品としての価値が無いということです、ひっこめてください」
森田「むう・・(汗) それは何故、建物を撮っているからですか?」
匠「・・・最近多いんですよね・・ まあ、色々な建造物やらオブジェやらが多様化
しているから、それを撮って、自分の作品だと言い張る方が・・
特に、街角スナップとかする人に多いかな。
で、まあ、建築物を撮ってもいいですよ、別に屋外にあって人の目にさらされて
いるものは写真を撮っても悪いことは無い。
でもね、その建物をたとえ広角で撮ろうが、望遠で切り取ろうが、森田さんの
ようにシンメトリーっぽく見えるような構図を狙うとか、そんな事をしても
建物は建物でしょう? それって、貴方の創造物ですか?」
森田「いえ・・ きっと建築家の方がデザインしたのでしょう・・」
匠「・・・誤解してほしくないのは、著作権がどうのこうのとは言ってませんよ、
屋内の展示物だと、著作権が問題になると思いますが、屋外は大丈夫です、
でもね、まず、シニアの方は著作権や肖像権に関する考え方(認識)が極めて甘い
のは確かですね、昔は写真を撮ることに大義名分があったような節があるから、
撮ったもの勝ちのような感覚がいつまで経っても抜けない。
著作権無視、肖像権無視で、平気で自分が撮ったから自分の作品だと言い張る、
どうみても肖像権が問題になりそうな街中スナップみたいなのを撮って平気で
ブログにUPしたり、コンテストに出しているのは、正直申し上げて、たいてい
シニアの方です、あるいはそうしたシニアと交流があって、先輩がそうしているから
私もやってもいいんだと勘違いする方々。
まずいですよね・・ もうそんな事やっていたら、世の中の風潮から完全に乗り遅れて
いると思われ、またしても周囲から総スカンですよ。」
森田「う~む・・・ わたくしの写真は著作権がまずいのですか?」
匠「・・・だから、それは屋外なら大丈夫と言っています。
でも問題は作品としてみる場合のスタンスです。
森田さんが何も工夫しておらず、ただ単に他人の作ったものを撮ったところで
なんの芸術的な付加価値があるのでしょうか?
視点の切り取りとか構図とかを工夫しているとか言って甘えてはなりません、
見る人がみれば、『フン、それで何が言いたいんだ、どうせオマエが作った建物でも
あるまいし・・』 といケースがほとんどでしょう。
だから作品として成り立たないと言っているんです、おわかりでしょうか?」
森田「じゃあ、建物は撮ってはいけないと・・」
匠「・・・いえ、やっぱりわかってませんね。
別に建物を撮ってもいいんですよ、けど、もし建物を主役にしたり背景に使ったり
するなら、そこにはやはり作画意図、つまり創造性、あるいは撮るべき理由が存在
していなければなりません。
だから、ただ単に街中の珍しい風景を捉えたとか、そんなの作品としては成り立ちません
そして、もう少しぶっちゃけ言えば、写真教室やら写真サークルでの中上級者クラス
のほとんどの作品がそんな視点であることに、大きな疑問を持ちます。」
森田「ううむ・・ 実は同年輩の写真仲間の撮った写真というのはたいがいそんな
写真だったのですよ。 だから、わたくしも冒頭の写真を撮ったのだし、
それをシンメトリーだから構図が良いだの悪いだの、そんな事を言われていたのです、
でも今日の匠さんの話しを聞いてよくわかりました。 構図の良し悪し以前の問題
で、これを被写体に選ぶこと自体、何の工夫も創造性も無い愚かな行為だった
わけですね・・」
匠「・・・愚かというと語弊があるかもしれませんね。 でも、まあ、もしこういった
写真を堂々と作品と言って一般に公開したら、相手にされなくなる危険性が高い
ですから、やはり愚かな行為と言ってもいいかもしれません・・・」
森田「無知とは怖いものです・・」
匠「・・・いや、無知じゃあないです。 もう今日のまとめになりますが、
いずれの問題も同じです、世の中の変化、環境の変化、価値観の変化、それらに
まったくついていけない人がいる。 つまり気が付かない人がいる、
でも、それは鈍感というより以前に、ここまで明白な事にまったく気が付いていない
ことで既に感覚(センス)が麻痺している状態。
だから、その感覚(センス)では写真すらも撮りようがない、
表現写真は絶対に無理、だからそれこそ風景や花や街中の建物を撮ったりしている、
けどやはりその多くは作品としては無価値、何ら作画意図も表現もターゲットすらも
決めていないのだから当たり前であろう。」
----
森田「現代の考え方、よくわかりました・・
今日は、あいてー講座という事でしたが、また続きがあるのでしょうか?」
匠「・・・う~ん、今日はごく初歩の初歩、検索エンジンを使った勉強の仕方でしたが
たとえば、カメラ関係の情報だと、特殊なサイトとか、特許庁電子図書館検索
あるいはメールマガジンなどという方法があります。
あとはブログ運営上のITでは、アクセス解析、バックリンク解析、
SEOがらみではキーワード出現比率検索などがあります、でも注意するのは
情報はやはり使い方が大事だということ、使い方によっては無価値にも価値がある
ものにも、あるいは使い方を間違えると変な方向にいくこともあります。
まあ、その辺は追々ということで・・」
森田「ふう・・ しかし、この歳になっても覚えることが多いですね」
匠「・・・そうですね、人間、一生勉強が必要ということですわ・・」