<はじめに>ランキング撤退記事では数多くのコメントをありがとうございました。
しかし、24時間で166コメントをカウントしたケースは、写真ブログでありますでしょうか?
まるで、まさに、ホリエモンのアノときのブログなみのコメント速度なみかも(笑)
さて、ランキング用には、ストック記事を10~30くらい溜めておくのが常でした、
これは、ランキングの動向を見て、記事の掲載順を変えるなどのためです。
・・・で、そんな記事がまだ10ちょっと残っています。
ですので、とりあえず今まで同様の記事の方向性のものを掲載しながら、
たまに、ちょっとづつ新しい試みの記事やシリーズを入れていきたいと考えています。
あ、それと昨日のアクセス人数は、927でした・・ さて、今後増えるのか減るのか・・
-----<本文>-----
EMA「匠さん、ちょっと教えてください」
匠「・・・おお、EMAか、どうした?」
EMA「匠さんが美女を撮るとき、連写できる一眼レフで、ダダダッ・・って撮って
その中からいい表情のものを選ぶって言ってましたよね?」
匠「・・・うん、それは勿論常套手段だよ。
毎秒8コマにもなる高速一眼レフだと、ほとんどビデオみたいなものだよね、
良い表情って言うか、表情と表情の中間みたいなものも撮れるんだ。
高速一眼で連写をすると、どんな人でもたいてい、可笑しくて(照れて)笑ってしまう、
で、大笑いする直前なんかに、実に良い表情をしているカットがあったりするんだ。」
EMA「へえ・・ なるほどね。 で、それはコンパクトでは無理なんですか?」
匠「・・・う~ん、たいていのコンパクトでは動画モードというのがあるけど、
いかんせん解像度が 320x240の約7万画素とか、640x480(VGA)の30万画素
でしか 撮れないので、さすがに厳しい。
あとは高速連写モードを備えたコンパクトがある。 たとえば霜月が良く使っている
Dimage A2なんかにも高速連写機能があるし、EMAもたまに使うGR Digital にも
高速連写ができるようなモードがあるぞ。」
EMA「ふ~ん、GRD にもあるの? それはどうやって使うんですか?」
匠「・・・16コマを短時間(2秒ほど)の間に撮って、それが1枚の写真の中に全部入って
いるんだ(注:S連写モード)。高速一眼レフ並みの速さはあるけど、弱点もある。
まず16コマ以上撮れないこと。 そこで終わりだ。 あとは、連写中はモニターは
見えない、つまりブラックアウトしているので何が写っているかはわからない。
だから構図などの微調整も連写中は無理だ。 そのへん一眼ならなんとでもなるし、
あるいはちょっと難しいが、一眼は連写中にピントを変えることだってできるぞ。
それと、コンパクトは連写音がしない。だからある意味知らないうちに連写しているから
長所でもあるけど、同時に音がしないから人物撮影では撮られているという気に
ならず、笑ってくれない、という短所にもなる。」
EMA「なるほどね・・ 同じ連写機能でもちょっと用途が違うかもしれないわね。
ならば、そのコンパクトでの連写機能はどれくらい実用的なの?」
匠「・・・う~ん、じゃあ、具体的な例をあげよう。
先日の水族館記事でイルカショーの事を書いたが、実はその時にもこの連写機能を
使って撮っている作例がある。 以下の8枚だ。」

EMA「へえ、連続的に撮れているねえ・・」
匠「・・・まあ、いちおう実用的な範囲ということであろう。
実はこれは連写してできた1枚の写真から適宜トリミングをして並べてある。
原画の1枚はこんな感じだ。」

EMA「1枚づつの写真は小さいんじゃないの?」
匠「・・・各1枚は、800万画素の1/16で、約50万画素づつある。まあ800x600程度だと
思ってもらっても良い。トリミングは512x384の約20万画素で切り出してあるので
ブログやHP用途、あるはこれを連続させてつなげてアニメGIFを作るなどの
目的で使うならば十分だ。」
EMA「十分実用的ということなのね?」
匠「・・・気をつけなければならないのは、まずは遅れ(タイムラグ)だ。
1枚目、これはイルカがジャンプした瞬間にシャッターを押したつもりなのだが、
人間の反射神経の遅れと、カメラのシャッタータイムラグによりジャンプした途中から
の写真しか撮れていない。 おまけに後半半分の8枚はイルカが水中に戻った後の
写真なので意味が無い。 これを防ぐには、S(ストリーミング)連写ではなくて
M(メモリー)連写という機能を使うといい。 これはシャッターを押し続ける間
ずっと撮影をつづけ、シャッターから指を離した瞬間から遡って直前の16枚を記録する
機能だ。 メーカーによってはプリキャプチャー連写とも言い、要は過去に遡って写す
ようなイメージの特殊機能だ。
飛行機事故の時のフライトレコーダーとか、防犯カメラの事件直前ビデオとか、
そのようなものと同様の仕組みになっている。」
EMA「へえ・・ 凄い機能ですねえ・・」
匠「・・・まあ、いつも使う機能では無いと思うが、特別な状況、たとえばこのイルカ
ショーとか、手筒花火の打ち上げとか、鳥が飛び立つ瞬間とか、いつ肝心のイベントが
起こるかわからない状況では非常に役に立つ機能となるだろうな。」
EMA「何で今回は使わなかったの?」
匠「・・・ぐっ(汗) 実は滅多に使わない機能なので、肝心なところでは慣れた機能の
方が確実だと思って使わなかった。 けどやはり、通常連写モードでは、タイムラグが
大きかったな。(汗)
それと、もう一つ肝心なことがある。 連写機能を使うと連続写真のようなものが
撮れるので、調子に乗って全部ブログなどにUPしたくなると思うが、それは良くない。」
EMA「なんで? 匠さんも今回載せているじゃない。」
匠「・・・今回は解説の為に作例として載せているんだ。
というのは、写真はそもそも動画じゃないんだから、被写体が動く有様をビデオの
ように連続で撮ってもしかたないだろう? それだったらビデオか動画モードで
撮って載せた方がよほど記録としては意味がある。
写真は、たとえば1枚の写真で、その一瞬を切り取ると同時に、その前後の状況までも
想像できるようなものの方が表現としての価値が高いと思う。
具体的な例としては、有名な写真家の作品で、紳士が大きな水溜りを飛び越すような
写真があるが、これはその直前は紳士がジャンプした事は明白だし、その直後は紳士が
水溜りに落ちることも明白だ。 だから紳士の位置は画面ギリギリの右に持っていって
左側は飛んできた過去の時間。 右側はまだ見えない未来の時間を表現している。
1枚の写真で見事に過去と未来の時間を表現しているんだ。」
EMA「なるほどね・・ 写真の瞬間の切り取りは前後の時間を表現する・・」
匠「・・・連続した写真はどれか1枚があれば良い。 そういう観点で例えば最初の8枚の
連続写真を見てみよう、この中で1枚だけ選んで前後の時間が表現できるものがあるか?」
EMA「う~ん・・・ 匠さん、ごめん、そういう写真は無いと思うわ(汗)」
匠「・・・その通りだ。 もし1枚でイルカショーを表現しようと思ったら、
ジャンプした事を表現する水しぶきが高く飛んだイルカの体のあたりまで一緒に
上がっていて、その直後は、たとえば頭上にボールがあって、それを突き上げようと
しているような体勢か、あるいはジャンプがすでにピークをすぎて今まさに着水に
向かっているような体勢のような写真が欲しい。
それ1枚で、過去も現在も未来も表現できるからな。
その観点で8枚の連続写真を見ると、どれも1枚では時間を表現できるものは無い、
だから全部ボツだ。 よって、この写真は連続撮影技法の解説には使えるものの
「水族館で撮った写真」の作例としては使えなかったわけだ。」
EMA「なるほどね・・ 連写をすれば必ず良いカットがあるというわけでも無いんだ」
匠「・・・その通り。だから連写機能を過信してもいけないし。
あるいは、これだけ連写したから、どれか良い写真があるだろうと、う~ん、う~んと
頭を捻って、結局選びきれず「どれが良いですか?」などとブログ読者に聞くような
事もしてはならない。 聞かれた方も、う~ん、う~ん、と考えて1番、とか7番とか
選んだところで意味が無いだろう? そもそも、どれも写真的にはイマイチなんだから」
EMA「厳しいね・・」
匠「・・・だから、結局は作画意図が大事だと言っている。
イルカショーなら、イルカショーらしく、1枚ですべてを表現できる写真を
イメージして撮らなければならない。 引き続き失敗例をあげてみよう・・」

EMA「これはどこがいけないの? コンパクトで撮ったにしては良く撮れているじゃない?」
匠「・・・この写真には過去が無い。 たとえばこの写真でプールの水面がきっちり
入っていれば、『ここから飛んだんだな、ずいぶん高く飛べるんだなあ』といった
過去を想像して、しかも、この直後の未来で、ボールをバチンと鼻先で突き上げる
瞬間が想像できる。 けど、この写真のように未来だけじゃあしょうがない」
EMA「むむむ・・・難しいわね(汗)」
匠「・・・じゃあ、最後の1枚も失敗例だ。 これはどう見る?」

EMA「匠さん流に言えば、過去はあるけど未来が無いのね」
匠「・・・そうだ、飛び上がっていく様子はわかるけど、この後イルカはどうするんだ?
上の方にボールがあるのか? だったらそれを写さなくてはならない。
いや、ボールは無いのか? だったら、イルカはもっと次の瞬間にどこに向かうとか
それがはっきりしていなければならない。 どちらかといえば落ちていく瞬間を
撮った方がずっとよかったと思う。それでも水しぶきの量や角度でイルカがどんな
風に飛んだのか過去がわかるからな。 だからいずれにしてもこの写真もボツだ。」
EMA「わかりました、匠さん。 ワタシ、だいぶわかったわ。
作画意図というのは、そういう事まで全部考えた上で、じゃあ、こういう場合は
どんな構図で撮る・・具体的には、ズームを水面からボールが入る範囲にまで設定して
おくとか。 あるいはイルカの体勢を考えてシャッターを切る、その瞬間が無理なら
連写をしてカバーするとか。イルカの動きを表現するために、わざとスローシャッター
にしてブラして撮るとか、そういう事を自分がすべて計算してコントロールして撮影を
することなのね・・ 連写でたまたま良いのを選ぶとか、そんな偶然とかは一切無い
世界なのね・・」
匠「・・・その通りだよ。 本来はこういう技巧撮影は霜月の方が得意な筈なんだ、
でも、霜月は、その作画意図そのものを創造(想像)することができないんだ。
EMAはおそらく、(イルカの)どんな瞬間が格好いいか、という部分は十分わかって
いると思う、いくつかの写真があったら、たとえば迷わず、時間の流れが凝縮して
あるような作品が選べると思う。 でも、EMAはたぶん、それが何で良いのか理屈で
説明することもできないし、それが説明できないが故に、じゃあ、それをどんな技術を
用いて撮ったら良いのか、という部分もわからないんだ。
それはカメラの事(知識)がわからないから(表現)技術が無いというわけじゃあない、
物事の事象とか構図の意味とかを論理的に説明できないから、技術への落とし込みが
できないんだ。」
EMA「う~ん、ワタシの弱点が何だかわかってきたわ・・
モノゴトを感情とか感覚でしか理解できないから、それを写真にこめる作業、つまり
技術がいつまでたっても身に付かないわけね。
しかし、それは大変だわ。 今までは自分が好きなものは好きと、ただそういう風に
しか考えてなかったのが、何故好きなのか? どこが良いのか? あるいは、自分では
ない他の誰かがそれ(被写体とかモノゴト)を見たときに、どう思うのか、あるいは
何故そう思うのか? という事まで考えなければならないって事なのかしら・・」
匠「・・・それは・・ それこそ理屈で言えばそうだろうけど、そこまで冷静に第三者的
な目線で見ることは、それも無理があるだろう。 まあ、そこまで難しくは考えなくても
いいから、ともかく感情面での動きは被写体を探すまでのところで留めておいて、
そこから先は論理的思考に切り替えてカメラを扱わなければならない。
その切り替えができなければ、感覚(センス)と技術は両立できないんだ。」
EMA「は~い、わかりました・・・ (でも、いったいどうすれば良いのかしら・・汗)」
匠「・・・まあ、たとえば霜月が写真を撮る時の考え方を、良く見ていると
わかるだろう。 人のふりみてわがふり直せだ・・」
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霜月「あ~? 誰かなんか言ったか? ヘックショ~ン!」(噂くしゃみ・・笑)
【追記】
16分割の写真、傾いて見えるでしょう? でも、実際はこれは傾いていない。
たぶん絵柄からくる、錯覚(錯視)だと思います。