スーパーマニアックな「名レンズ」シリーズの第四回目。
今回の目的地は、奈良県の「今井町」である。
今井町は、奈良の近鉄大和八木駅から徒歩10分のいわゆる「寺内町」である。
手にしたレンズは「OM ZUIKO 100/2.0」
これは、オリンパスの銀塩MF名機のOMシリーズ用の銘レンズである。
最近は、ブログでM42レンズが大流行しているが、M42の魅力の一つに、
アダプターを介して、EOS,α、フォーサーズなどの(デジタル)一眼に自在に
装着することができるという互換性がある。 つまり友人同士で貸し借りも出来る・・・
OMレンズも、M42に負けじと、様々なボディにアダプターを介して利用することが可能。
まあ、オリンパスにはオリンパスの格言(?笑)に基づき、今回はE-300で使用した。
まずは、今井町は、お寺を中心に発展した町であり、古い街並みが特徴である。
こうした町を寺内町(じないちょう)と呼ぶが、他には、奈良町(奈良県)や、
富田林(大阪府)などが上げられる。
街並みは古く、お寺などでは、外壁が崩れかけていたりするものもあるなど、
いわゆる「廃物系ファン」でも十分に楽しめるし、もちろんストレートフォトでも
十分にいける。
いわゆる「通好み」の場所であるが、観光客は少なく、写真を撮る人もあまり多くない。
地味すぎるからであろうか? いや、恐らく一般の人にとっては難しい被写体ばかり
なのであろう・・
観光客も少なく、犬がお出迎え・・
レンズであるが、100mm F2.0 の大口径望遠レンズである。
フォーサーズに装着すると、2倍の画角換算であるから、200mm/F2.0相当のレンズとなる。
200mm/F2.0 クラスの銀塩用レンズでは、キヤノンのEF200/1.8 などをはじめ、ニコン、
オリンパス、コンタックスなどに超高価なレンズが存在しているが、それら超高級レンズと
同等のスペックとは言え、残念ながら銀塩200/2.0ほどの強烈な背景ボケは得られず、
画角が変わるだけで、背景のボケ量は100/2.0のままである。
オリンパスOMレンズでは、「F2.0のこだわり」と言われるように、各焦点距離でF2.0
の大口径単焦点レンズが存在していた。 この文化は現行のオリンパス・フォーサーズ
レンズ群にも引き継がれ、F2.0クラスの大口径レンズがいくつか存在している。
でも、逆に、フォーサーズでは、F1.4クラスの大口径レンズが無かったのがひとつの
弱点であった。 しかし、パナソニック・ライカが、フォーサーズ陣営に加わり、
かつシグマもフォーサーズレンズの発売を始め、ズミルクス25/1.4や、シグマ30/1.4が
フォーサーズのラインナップに加わるという話しを聞いているので、楽しみである。
オリンパスのOM時代のF2.0レンズの中でも、このOM100/2.0 と、OM90/2.0Macro は
特に優秀な描写力を持つレンズとして著名である。 一般には、OM90/2.0マクロが伝説の
銘レンズとして著名であるだけに、それと近い焦点距離のOM100/2.0はあまり評価されて
いなかったという経緯がある。
そりゃあそうだ、その2本はどちらも高価なレンズだけに、よほど好きな人でないと
90mmと100mmのレンズを両方とも買うことはなかったであろう。
プロやライターですら、銘レンズOM90/2.0をまさか外すわけにはいかないから、
当然100mmの方は評価の優先度が低くなってしまう。
私も伝説のOM90/2.0をなんとか入手した後、だいぶ時間がたってから、
このOM100/2.0をやっと入手することができた。
OM100/2.0は、マクロレンズではないから、そんなに近寄って撮影することはできない。
ただ、フォーサーズのデジタルで使う限り、最短撮影距離はそのままで周辺がカット
されることになるから、銀塩より2倍大きく写ることになり、いわゆる望遠マクロ的な
用途で使っても、さほどの不満は無い。 さらに、いざとなればトリミングを行う
こともできる。
OM100/2.0 のレンズ性能は、何も言う事が無いほど素晴らしいものである。
特にデジタルにおいて問題になるボケ味(ボケ質)も言う事が無い。
何故デジタルでボケが重要視されるかと言うと、銀塩時代にレンズを評価する他の要素、
つまり、収差、シャープネス、コントラスト、色ノリなどは、撮像素子が小さいことと
アフターレタッチにおいて補正が可能であることから、比較的補正が効かないボケ質が
デジタルにおけるレンズ性能において重要な要素となる。
さて、今回は200mm相当のレンズでありがならも、街並み撮影には広角という常識に
反して、使いやすかったように思えた。
街中撮影は、普通の感覚であれば、28mm前後の広角を1本持っていく、これがセオリー。
でも、望遠なら望遠の目線で見つければ被写体はいくらでもあるのだし、
そもそも観光パンフレットのような広角写真が撮りたいわけでも無い。
さらには、「今日は高性能レンズを持ってきているのだぞ」という自覚からも、
プレッシャーではなく、むしろ逆に「写欲が高まる」という効果も見逃せない。
良く聞く「好きなレンズを持って行くと気に入った写真が撮れる」というのも
そうした心理面の理由があるのかもしれない。