S嬢からメールが来た。
『匠さん、今度海外旅行行くんですけど、写真を撮る時の注意点ってあります?』
・・・ふうむ、撮影目的で海外へ行った事は無いけど、仕事で十数回、旅行で十数回、
海外駐在の経験も1年あるから、まあ、アドバイスできない話じゃないよな・・・
・・・そして、S嬢は好みのタイプだ(笑) 聡明で決断が早く、話をしていて楽しい。
2~3度、2人で食事をしたり飲みに行ったりしたことがあったが、それは数ヶ月前の話、
ここのところ行ってなかったので、いい機会だよね・・・
すぐさまメールに返信する。
・・・『そんじゃ、ご飯でも食べるか? ゆっくり説明するよ・・△△日はどう?』
『はい、是非お願いします・・』
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当日、私は、コニカ製「現場監督」を袋に入れて持ち、待ち合わせ場所へ向かう・・
時間通りにS嬢と会えたのは良いのだが、しかし、間が悪い事に、このブログでも
たびたび登場してもらっている友人のM嬢(成人式記事参照)とばったり鉢合わせ・・
まあ、皆大阪をベースで活動しているので、街を歩いていればそんな事もある、
M嬢が、ちらりとこちらを見るが「ああ、お疲れです・・」と、私は軽く流す・・・(汗)
さて、こんなところを歩いていたら他の友人にまた出会うとも限らない・・
別にコソコソする必要は無いのだが、デートは秘密でやるから楽しいんだよ・・(笑)
ともかく、近くのサンドイッチハウスに逃げ込む・・(苦笑)
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食事をオーダーして、さっそく本題である。
S嬢「今度行くところは、砂漠とかもあって・・・」
・・・うん、そう言ってたね。 だから、これを持ってきたよ。
「これが工事用で、完全防水と言われる・・」
・・・そう、コニカ現場監督だ。
特徴は、まず防水・防塵。 砂漠でも悪天候でも大丈夫だよ。
おまけに、広角単焦点でなかなかの写りをする。 さらに、コンパクトでは最強のフラッシュ
を内蔵しているんだよ。 もともと、工事で舞台とかを作っても、バシッって全体を捉える
ための仕様なんで、フラッシュは数十mも届くんだよ。
「やはり、一眼よりこちらが良いと?」
・・・うん、一眼レフは大きさ、重さ、そして故障あるいは盗難などのリスクを考えると
こちらを持っていった方がいいだろう。 これと、すでに持っているオリンパスμ-Ⅱ
さらに、レンズ付きフィルム、このセットが一番安全かつ確実だ・・
「どれどれ・・ あ、大きいけど、思ったより軽いですね。 一眼に比べたら全然大丈夫」
・・・じゃ、これを持っていく前提で、使い方を教えるよ。
「あ、ちょっとメモします」

・・・なかなか勉強熱心だね・・
まずは、機能だよ・・これが、モードボタンで、順次フラッシュのモードが変わるのと、
最後にこのマークは、無限(∞)遠だよ。
「これは何の時に使うんですか?」
・・・AF(オートフォーカス)は、2種類の方式があるんだ。 このカメラの場合は、
一眼レフとは異なり、アクティブ式といって、赤外線などを発してピントを合わせる、
この方式は、一眼のように無地の被写体や暗い場所などのピント合わせは強いけど、
風景などの遠距離や、バスの中から外を撮るなどのガラス越しの被写体に弱いんだ、
だから、AFが効きにくいそんな状況では、∞のマークに合わせて遠距離にピントを
固定するんだ。
「なるほど、わかりました」
・・・あとは、フィルムだよね、ポジでの作品作り、ネガの普通の観光写真、そして
写るんです、での記念写真(これは他の人に撮ってもらう際にも確実である)、
この3つの用途に分けて、それぞれの配分に応じて必要なフィルム本数を準備する。
全部同じフィルムにする必要無いよ、混ぜて持っていくんだ。
「やはりデジタルはダメですか?」
・・・う~ん、小物とかスイーツ(甘味・食べ物系)を撮る場合は、マクロができる
デジタルを持っていった方がいいだろう、けど、電池容量とメモリーカードの限界があるし、
そもそもS嬢のデジカメはかなり古いって言ってただろう?
「う~ん、風景とかをメインにするから、小物・スイーツ系はあきらめます」
・・・わかった、あいかわらず決めるのが早くて気持ちいいいね、じゃあ、フィルム選びだよね、
今回は2回つづけて海外旅行だよね、まず初回は何日間?
「3日間だけです」
・・・じゃ、普段撮る量の1.5倍を目安に・・ すると、10本というところかな・・
・・・まず写るんですが1台。 あ、一週間の方では、2台ね、フラッシュ有りと、無しで。
ポジが、ベルビアを2~3本。 トレビの400を1本混ぜてもいいよ。
ネガは、ISO400クラスを、3~4本、それと、ISO1600のナチュラを2~3本というところか。
いずれも一週間の旅行ではその2倍を目安にしてな。
・・・それらをカメラで振り分ける。 現場監督は、ポジを入れておこうか。
μ-Ⅱは、昼間は、400のネガ、夜は、ナチュラだよ。 切り替えをスムーズにするため、
フィルムの残数を常に意識してな。
「1600は、空港のX線は大丈夫ですか?」
・・・いちおうISO800までは安全と聞いている、まあ、あまり神経質になる必要は無いと
思うけど、ナチュラだけは、X線防止袋を買っておいて、そこに入れておこうか。
・・・あとは予備電池、それと簡単なメンテナンス用具。
「ほかに注意するところは?」
・・・セキュリティだな・・ つまり、海外は日本ほど安全なところばかりじゃないから、
周囲の全ては敵だと思うくらいの心がけでいた方が良い。
・・・カメラを安いものばかりにしているのも、それが理由だよ。
お金持ちの観光客だと思って目をつけられると、ヤバイからね・・
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その後も、セキュリティに関する話は色々と続いた・・ まあ、でも、それは一般的な
注意点が中心であるし、そのへんも海外経験からノウハウがあることはあるのだが、
今回の記事であえて書く必要も無いだろうから、別の機会に譲ることとする。
ともかく、今回のS嬢との食事は、わりとこんな事務的な調子で進んでいた・・・
何故そんな調子で淡々と会話を進めたかと言うと、それは当然「バーに行きたかった」から
なのである(笑)
・・・さて、だいたいのところの話はしたけど、まだ時間ある? 一杯行きますか?
「はい、バーですね(笑)行きましょう・・」 (・・よっしゃあ!)
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バーの階段を上がる・・ 今日のバーは「甘系」のカクテルを得意とするNである。
お店によって、というか、バーのマスターによって、得意のジャンルがあるので、行く
お相手に応じた、お店の選択をするのが通である。
・・・マスター、例の「春爛漫」を、こちらの女性に・・・ レシピ覚えてる?
マスター「ああ、匠さん、この注文は初めてだね」
・・・うん、2年前に、ここでマスターと開発したカクテルだよ、ウオッカベースで、
ピーチ、パイナップル、その他少しづつフルーティーなリキュールを入れている。
3月のカクテルとして完成させたけど、今まで飲む機会がなかった。
S嬢「3月のカクテル?」
・・・うん、毎月にちなんだカクテルを開発しているんだ、で、何か特別の時に、
お祝いとか、誕生日とか、そんな時に1杯だけ限定で飲むんだ。
S嬢「へ~、12ヶ月分あるの?」
・・・いや、実は、このプロジェクト(笑)をはじめて9年になるんだけど、まだ半年ちょっと
分の種類しかできてないんだ、1つのカクテルを開発しようとすると、ともかく、たくさんの
回数、少しづつ調合を変えて飲まなければならないから、大変なんだ・・
「貴重なカクテルなんだ・・」
・・・まあね・・ 前回はクリスマスで「サイレント・ナイト」という限定カクテルを
飲んだけどね。
「ん? 誰と来たの?」
・・・あはは(汗)、いやあ、一人で飲んでたよ。
(余計な事を言ってしまった・・滝汗 ほんとは美女T嬢と飲んでたんだった・・)
・・・あ、きたよ、これだよ。

「ふ~ん、色が綺麗だね。」
・・・春らしいだろ? じゃ、乾杯! カチン。
「う~ん、ちょっとアルコールがキツイかな、でも美味しい」
・・・ほんとだ、以前よりちょっとキツくなったかな~ マスターとまた調整するよ。
(しかし、きっと、これはマスターの粋な計らいに違いない、ハイペースで行けということか?
そして、S嬢は・・もともと、お酒は強い体質なんだが、グイグイ行ってる、大丈夫か?)
「美味しかった~」
・・・おいおい、もう飲んだの?(汗) じゃ、次ぎは?(笑)
「え~と、紅茶の味のやつ」
・・・了解。
・・・「マスター、彼女にティフンでレモン系、ロングでさっぱりでね。
私は・・う~ん、その見慣れないスコッチ、あれは何?」
マスター「ああ、これは、グレンフィディック蒸留所の敷地内に隣接して作っている銘柄ですよ」
・・・へえ、スペイサイドか~ フィディックとは味が似てるの?
マスター「全然違いますよ、じゃ、これでロックでいいですね?」

・・・来た来た、・・・バーで写真撮るの面白いよね。 じゃあ、S嬢の指を撮ろうか?
ちょっとグラス持ってみて。 そうそう、なるべくエレガントな雰囲気でね。
感度上げても、スローシャッターになるから、じっとして、はい、カシャ。
「あれ? なんか、男っぽい指みたいに写ってますね」
・・・うん。 ちょっと失敗(汗)。 じゃあ、もう1枚、カシャ。 あ、やっぱりダメ(汗)
「私の指って、ゴツゴツしているのかなぁ?」
・・・いや、そうじゃないよ、S嬢は元スポーツ選手だったから、細身の腕がいちばんの魅力、
ちょっと左手のセーター、腕まくりしてみな。
「うん」
・・・それで、腕の方から遠近感をつけて撮ってみよう・・
(しかし、これは、かなり怪しげな雰囲気だなあ・・ S嬢の体から10cmほどの距離で
カメラを構えて撮っている、・・・パーソナルスペースも何もあったものじゃない。
隣に座っているオジサン、何事かと思って、こっちを見てるし・・・汗)
S嬢「あ、やっぱりだめだ・・」
GRDの液晶モニターは、S嬢の顔の目の前だ、私はモニターを見ないノーファインダー
撮影・・ いやあ、ノーファインダー仮想円錐技法がこんな時に役に立つとは・・(笑)
しかし、S嬢からはすでにダメ出し・・(汗) まあ、結局問題は、グラスを持つ指では
なくてグラスが、普通のタンブラーだったことによるのだと思う、せめてカクテルグラスで
つまむように持ってもらった良かった。
けど、私はこの超ニアミスによる幸せな時間(笑)を中断する気持ちは毛頭無く、そのまま
失敗写真を延々と数十枚も撮り続けたのであった・・(爆)
そして、その相手のパーソナル・スペース(生理的に警戒感を持つ距離)の中に入り込んで
内から外に向けて撮るという、前代未聞かつ典型的「窓派」(爆)の、撮影を続けたことは
意外にも、その後のS嬢との会話での心理的距離感を縮める効果があった模様だった。
写真は失敗の山になったが、会話は弾む・・・だんだん恋愛関連の話になってきた。
S嬢「私の友達が、遠距離でね・・」
・・・ふむふむ、私のブログの悩み相談の遠恋の記事は読んだかな?
「いえ、今、私のパソコン壊れていて・・」
(・・・ほ・・実はそれがちょっと気になっていた・・ 色々匠ブログに載ってる、
なんとか嬢と何があった・・なんて話を全部読まれていたら困る。)
「でも、去年まではちゃんと動いてたから、読んでましたよ、ほら、同窓生のR子さん
でしたっけ? 綺麗な人ですよね~」
(・・・あはは・・やっぱり読んでるんじゃん・・汗)
・・・うん、でも、R子さんは関東に住んでるから、全然会えないんだよ。
「そうそう、その遠距離の友達も、彼氏から連絡無いって・・・」
・・・まあ、とっても良くある話だよね・・まあ、その場合は、進むことも戻ることも
できない、一種の膠着状態だよね・・・
「高校時代の陸上友達でね・・ずっと陸上に夢中だったからなあ・・そっちの方面は・・」
・・・うん、きっと、一度ジェットコースターを経験してみるといいんだけどね。
「ジェットコースター?」
・・・ああ、人生における、嬉しい事と、辛いことの波の事だよ。 その振幅が大きいのを
体験しておくと、どこまでやれば、どれくらいの気持ちになるか、という事がわかって、
どれくらい自分が押せるか、あるいは引けるか、その判断ができるようになってくる。
「ふむふむ・・・ じゃあ、引くのは良いことがあるんですか?」
・・・まあ、別れるという意味もあるし。 恋愛戦術として引いて自分に向かわせるという
方法もある、それは知ってるだろう? けど、それも条件が必要なんだ。
相手の男性から見て、その彼女が自分にとって本当に必要だと思わせるような前フリを
作っておかないと、引いたら本当にフェードアウトになってしまうよ。
「なるほど、よく匠さんが言ってる、相手からの視点ですよね」
・・・そうそう、だから、たとえば、私がS嬢の事を好きだったとしよう(<どさくさ・笑)
でも、単に自分だけの気持ちで、好きとか嫌いとかだけじゃダメなんだ。
まず、S嬢が私を必要とする理由は何があるのか? そこを考えると同時に、S嬢も、今度は
私がS嬢の何を必要としているのか、そこを考えるのが、うまくいく秘訣だと思う。
「うんうん、よくわかります。 私も彼氏とのこと、よく考えてみようっと・・」
(・・・え? 彼氏・・?(汗)
・・・ああ、そうだった・・ そういえば、S嬢には彼氏がいると聞いていた・・・
けど、あんまりラブラブで付き合っているという話も聞いてないし、もしかしたら、
上手くいって無いのかと思っていたんだった・・ だいいち私と2人で遊びに行っても
今日のような状態でも、彼氏に連絡取る素振りも無いし・・・
なんで、普通に口説きモード全開の流れ(笑)で進めてたけど・・ こりゃあ・・やっぱ、
鉄壁の守りだよね・・・ 残念、撃沈~ )
・・・ふっ・・ まあ、がんばってな。 そう、友達にも良くアドバイスしてあげてね。
(チラっと時計を見る・・ 11時過ぎ・・汗)
・・・んじゃ、ぼちぼち・・ 明日も仕事だろう? 帰ろうか・・
「はい、そうですね・・ うん、今日は、カメラも、恋愛も、いい話をいっぱい聞けたなあ、
いつもありがとうございます、匠さん」
・・・まあ、そう言ってくれるだけで、嬉しいよ。
「じゃあ、私、自転車で帰るんで・・ そこに止めてるんです」
・・・ああ、家、わりと近かったよね・・気をつけて帰ってね・・「現場監督」忘れずに~
「では、おやすみなさ~い」
・・・はい、じゃあまた、お休み~ (カシャ)

・・・さあ、終電ギリギリ・・急がなくっちゃ・・さて、今日も一人寂しく帰りますか・・
・・・でも、まあ、S嬢が帰るころあいを見計らって、「楽しかったよ」とメールは必ず
入れておかなくちゃね・・ マメにしていれば、いつか、必ずいい事もあるさ・・