今年に入ってすぐ、ドラゴンボート協会の美人広報、Kさんからメールが来た。
・・・うん? ボチボチ今年の大会の日程が決まったのかな?
『匠さん、いつもお世話になります、実は私、今度結婚することになりまして・・』
・・・ふひゃ~! ひえ~! なんだと~? け、結婚~??
・・・これでは、私の大会カメラマンとしてのモチベーションが半分くらい薄れる・・(泣)
『つきましては、○月×日、結婚式の撮影を匠さんにお願いしたく・・・』
・・・なに~っ? なんで、密かに憧れていたKさんの結婚式の撮影を私が?(泣)
『挙式は、△△オリエンタルのチャペルにて・・ 担当のAさんは、凄い美女ですよ』
・・・ぐっ(固)
・・・さすがに、長年にわたりドラゴンボート協会で強力なリーダーシップを発揮して、
屈強な大男の選手達を手玉に・・もとい(汗)・・上手くマネージメントしてきたKさんだ。
交渉相手の弱点を良く知ってるよな~・・ これは、イヤとは言えないよな~(苦笑)
『この婚礼会場のスタッフの方は、他の人も全員美女で・・』
・・・ううう・・・
・・・というわけで、Kさんに快諾のメールを打つ(笑)
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婚礼担当のAさんから事前に何か連絡があるかと期待して待ちつつも、結局何ら
打ち合わせが無いまま、挙式の前日を迎えた。
私の担当は、昼からの挙式から披露宴までの都合3時間半ほどの時間での撮影だ。
夕方からドラゴンの選手百数十名が集まる二次会があるが、そちらはもうカメラマン予備群
達がいくらでもいるとのこと・・・いちおう、ドラゴン大会でのアシスタントカメラマンをやって
もらっているM嬢とU嬢に連絡して、「二次会は任せた・・」と伝える。
さて、挙式、披露宴か・・ 他にカメラマンはいない、失敗が許されない状態だ。
けど、落ち着いて写せば特に問題は無い。・・怖いのは機材の故障だ。
以前のドラゴンの試合でも、NIKON F5 が壊れてサブ機のGR1s だけで撮ったことも・・
昨年の
同窓会撮影では、初恋のMちゃんや美女R子さんを前にして、NIKON D2Hの
露出計が壊れ、長時間の撮影を全てマニュアル露出だけで行ったのも苦い経験だ・・
挙式のプロカメラマンは、特に銀塩時代は露出の失敗を防ぐ為に、大型のフラッシュを
用いて確実に1枚1枚撮影している。 私も以前は頼まれ撮影では、そうやっていた。
でも、今や、デジタルの時代。 露出の失敗はその場で確認できる。
それより連写が効く方が嬉しい。フラッシュではチャージ(充電)時間があり連写が使えない。
暗い状態でも、感度を800程度に上げて、大口径レンズで、できれば手ぶれ補正を
併用できれば問題ない。
・・・決めた、できるだけフラッシュを使わないようにしよう。
フラッシュを焚いて平板な写真にするよりも、その方がきっと喜ばれる。
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さて、そうしたら機材を選ぼう。 故障に備え、複数の一眼を持っていこう。
機材は、銀塩時代からの経験で、135~200mm相当の明るい望遠がメインだ。
それと、集合写真用の28mm相当、さらに中距離で新郎新婦をとらえる標準画角だ。
昨年もデジタルで友人の結婚式の二次会を撮ったが、その時には明るい単焦点を3本
持っていき、都度、レンズ交換をしたのだがこれは結構しんどかった。
だから、望遠を一眼2台にそれぞれ固定して、標準用の一眼1台、さらに広角コンパクトだ。
結果、以下の機材となった
NIKON D2H + DC105/2D (400万画素モード,256MBカード )
KONICA MINOLTA α-7D + AF100/2.8 Soft (300万画素,128MB)
PENTAX *istDs + FA 43/1.9 Limited +バリクロスフィルター (400万画素,256MB)
RICOH GR Digital (500万画素,256MB)
『・・をいをい、画素数小さく設定してるし、カードの容量も小さいけど、大丈夫か?
それとか、交換レンズは元より、予備電池や三脚や外付けフラッシュはいらないのか?』
・・・大丈夫だ。 これでも4台で約800枚撮影ができる。
3時間半の撮影だ、目一杯写しても約1000枚というのは予想できる。
ボツカットはその場で消していくから、800枚撮れれば十分だ。
その他のアクセサリーはいらないよ、どれかのカメラがダメになったら、残ったカメラで
写すまでだ。
画素数も十分だよ、結婚式の写真は、大きく伸ばしてもワイド四つ止まりだし、
きっと実際にはフォトフレームに入れて、2L前後までのサイズでリビングや寝室に飾るだろう。
交換レンズは交換するヒマが無い、電池はこれくらいの時間なら必ず持つだろう、
三脚立てたら動き回れない、フラッシュは使わない、いざというときは内蔵で十分、以上。
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さて、当日だ。 機材一式は大型のカメラバッグにすっぽり入る。
引出物は貰ってこないし、移動は電車と会場間の車、だからこれでオッケー。
挙式1時間前に会場に行って、担当の美女Aさんを呼び出す。
「はい、カメラマンの匠さんですね。 こちらが進行表です」
(・・・うう・・ 美女は美女だけど・・ 打ち合わせって、これだけ?・・苦笑)
「お荷物は持って移動されますね? では、よろしくお願いします」
・・・はい、わかりました。(他に用事は無いのか? メアド聞くとか? ・・無いよね・泣)
Kさんの控え室に行って、ご挨拶。 (遠距離恋愛と聞く)新郎のK氏にも初めて会った。
(・・・むう、このオニーチャンが、我らがアイドルのKさんを奪ったのか・・
ちょっと、新婦の父の気持ちがわかった気がした・・ 笑)
Kさん「いつも写真を撮ってもらっている匠さんなら安心です、よろしくおねがいします」
・・はい、では今日はよろしくどうぞ。(・・・実は、まあ、複雑な心境なんですけど・・)
挙式のリハがはじまった・・
リハと言えども写真では本番同然、同じシーンのカットを本番の予備に押さえておく
必要がある。
新婦が、お父さんにつれられてバージンロードをゆっくり歩く・・

(・・・あ、お父さん・・ なんとも言えず複雑な心境なんでしょうね・・
うん、私にも、なんとなくわかりますよ・・ Kさんがお嫁に行く・・嬉しいけど、辛い・・)
ダダダダ・・・ NIKON D2H の連写音が、まだ親族だけしか来てないチャペルの中に響く。
ダダダダ・・・ 大口径DC105/2.0レンズでの開放撮影、プラス0.7補正、主役は常に花嫁。
リハーサル無事終了。 10分後にはもう本番の式だ。 100名を超える参列者がどんどん
チャペルに入ってくる。
本番では、座席は全部埋まってしまうのは勿論、賛美歌隊やらキーボード、神父さん、
婚礼担当者さん、そんな人達も周りにいるので、撮影アングルはかなり制限される。
リハで撮らなければ撮れないカットもあったなぁ・・ と思うが、まあだいたいのシーンは
すでに押さえてあるので、安心である。 あとは誓いのキス(・・くそう・・笑)や、
指輪交換、誓約書への署名など、肝心なシーンを確実にGETしていけばいい。
それ以外は、すでにカットは抑えてあるので、本番では若干変わった撮影もできる、
退場する花嫁を、ローキー調(アンダー露出)で捉えてみた。

結婚式の写真としては、ややイメージ的に暗いかもしれないが、平坦になりがちな
結婚式写真の中でのバリエーションの一枚としては悪くない。
リハでの撮影は勿論、実はカメラを瞬時に持ち替えて、通常露出のカットも別に撮って
あるので、特に問題は無い。 一発勝負の撮影でこんな遊びは怖くてできないが、
余裕があれば、こんなことをしてみるのも良い。
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さて、次はソフトフォーカス撮影である。
α用のAF100/2.8 Soft。 いわく付きのレンズである。
昔のソフトフォーカスレンズというのは、レンズの収差を利用しているので、絞り値が
小さい(開放)時に、ソフト効果が最大になって、絞り込むとソフト効果が消える。
しかし、こういうソフトレンズは、光線の状況と絞りの設定での効果の選択が極めてシビア
なので使いこなしが難しい。 そこで、絞り値に関係なく、ソフト効果を別に設定できる
レンズが存在するが、実はこのα用の他、わずかに数種類しか市販されていない。
そして、今年のαショックの以前から、すでに生産本数の少なかったこのレンズは極めて
入手しにくいレアレンズと化していた。 その数年前に私は3万5000円の価格で、これを
GETしたのであるが、類似の仕様のキヤノンEF135/2.8 Softは、2万円前後で
購入できたので、それでも随分割高だと思っていた。
だが、今年になって、コニミノ撤退のショックで、ただでさえレアなこのレンズの
価格は急騰、オークションで17万円の価格が付いたとも聞く・・(汗)
しかし、とは言え、このソフトは光学性能はさして優秀なレンズでは無い。
この前後の焦点距離のαレンズには、AF85/1.4G、STF135/2.8[T4.5]という、超A級の
スーパーレンズがあるし、レアだがAF100/2.0という隠れスーパーレンズも存在している。
さらには、これも名レンズのAF100/2.8マクロを同じ焦点距離で使うことができる。
ソフト効果は、今やPCのレタッチ処理でつけるのが常識である。
撮影時にソフトをかけてしまったら、後で通常の写真に戻すのは不可能である。
それより、高性能レンズで撮って、気に入った写真に後でソフト効果をつけた方が
はるかに効率的である。
・・・でも、せっかくのKさんのハレの舞台だよ。 今日はソフトレンズを使って撮るよ。
写真は気持ちが大事である。 Kさんの綺麗なイメージを、撮る時に込めたいんだよ・・・

実は、ニコンのDC105/2.0でも、DCリングを回すと僅かなソフト効果を出すことができる。
しかし、DCリングは本来、前ボケと後ろボケの質を調整するものであって、ソフト効果を
出すというのが目的では無い。今回もDC105の絞り値は開放のF2に固定した撮影であり、
その時のDCリングの位置は、R2.0(=F2.0での撮影で、後ろボケの品質が最良になる)に
設定しっぱなしであった。
さて、『新郎の写真が一枚も無いじゃないか・・』というので、しかたなく(笑)新郎新婦の
2ショットを最後に載せよう。

新婦からの両親への感動的なスピーチの後、新郎のスピーチも感きわまってもらい泣き・・
そう、数年間の遠距離恋愛でやっと結ばれる2人だと聞く、色々あった事だろう・・
だから男泣きもいいだろう、Kさんを幸せにしてやって欲しい。
*istDs とFA43/1.9Limitedでサクっとその感動的な瞬間を捉える・・・
どうか、2人、お幸せに・・・
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飲み食いも無しで撮り続けた実質3時間半・・トータルの撮影枚数はやはり900枚を超えて
いた。 その場で、あるいは後から消して、残ったのは約280枚ほどである。
残した中でも、ピンボケやブレなど、使えないカットが約5%ほどあった。
でも、まあ、消したショットのほとんどは、技術的に、というより、表情としてのチャンス
を捉えられなかったものが多かったように思える。
この中からさらに20枚ほどを、2次会に向かう前のわずかな時間で選別する。
そう、2次会では、挙式・披露宴の写真をプロジェクターで投影するのだと言う。
デジタルならではの速攻の荒技・・(汗)
まあ、いい、Kさんは昨年のドラゴンボート大会の撮影での私への依頼で、チビッコ体験
乗船会で数十名の子供達がボートに乗って漕いでいる全員の写真をそれぞれ撮って、
15分以内に選別し、すぐさま全員分のCD-ROMを焼いて持って帰ってもらう・・・
という企画を立て、私は、600mm相当の望遠を持って、揺れる救命艇の上から、
相手も揺れるボートの上の子供達を1人づつ確実に撮るという超離れ業をやらされた
経験がある・・(半泣)(その模様は、
こちら)
それにくらべたら今回の依頼なんか大したことは無い・・・
なんとか30分以内に、PCに写真を移し、280枚全部見て、そこから選ぶとするか・・
Kさんの頼みだ、断れるはずもない・・(笑)
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あくせく・・あくせく・・(汗)
やっと無事すべての仕事終了である、二次会会場に5分前に滑り込み、受付もせずに
プロジェクターをセットし、司会の女性に写真の説明をする。これで私の任務は完了である。
アシスタントのM嬢とU嬢は既に会場に到着していた。
・・・「後は2人にまかせた・・私はもう飲む!(笑)」
「ラジャー! 二次会部隊行きます!」 D70とα-7Dを持った頼もしいアシ達が散っていく・・
でも、150人も来ている大きな会場の片隅で1人で飲んでいると、次々にドラゴン選手の
仲間達が楽しいアトラクションを・・ 会場は大きな笑い声につつまれている。
いてもたってもいられなくなって、料理を少しだけお腹に詰め込み、GRDを片手に出動!(笑)
けど、ここでやってしまった・・(汗) GRDが突然故障して、撮影不可能になってしまった。
幸いメモリーの中身は無事である。
・・・酷使したからなあ・・ 買って4ヶ月程で、5000枚以上軽く撮っている。
単体のカメラなら大きな数字ではないが、他のメインの一眼をそれぞれ年間1万枚以上
撮っているから、サブ機の、しかも連写をしないコンパクトとしては多い。
・・「CCDにゴミもついているし、明日修理に出そう、結婚式が終ってからでよかった・・」
席に戻って、またビールを1人でついで飲む、会場を見渡すと、ドラゴンの美人選手の姿が
数名目につく。 私は、カメラバッグの中から、D2HとDC105/2を取り出し、まるでこれから
狙撃をするゴルゴ13のように(笑)、キャップ類を外してカメラを組み立てる・・
ISOを高感度にセットして、ホワイトバランスを会場の照明に調整する。
画素数の設定を400万から200万に落す、残り撮影可能枚数がぐっと増えた。
・・・「よし、戦闘再開!(笑)」
実は、D2HとDC105/2の組み合わせは対美女専用高速連写兵器なのである・・
・・・「はい! △△ちゃん、ひさしぶり~! 写真撮るよ~」 ダダダダダダ・・・
・・・「あ、◇◇さん、今日はすごい綺麗なドレスだね~」 ダダダ、ダダダダ・・・
戦闘機のマシンガンの残数カウンターのように、メモリーカードの残り撮影枚数がどんどん
減っていく。
でも、もう気にしない。 これは仕事じゃなくて趣味なんだよ・・ダダダダダ・・ははは・・・
追記:
なんとなく istDs: 新婦近影にTB。