新シリーズ「関西の楽しみ」である。
関西・・・とは言え、大阪がメインになると思うが・・ にある、色々な面白い場所や
ものを中心に、写真と文章で紹介していくという趣旨である。
もちろん写真やカメラについての様々な解説も載せていく予定。
さて、今回は第一回目、まずは大阪編。
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<大阪:とある冬の休日>
遅く起きた朝、いきなり思い立つ。
・・・あ、そうだ! 今年こそペンギンパレード見にいかなきゃ。
ペンギンパレードとは、大阪海遊館(天保山にある巨大水族館)の前で冬の日に
1日に2~3回、7匹のペンギンが30mほどの観客の前の道を歩くというイベントである。
もちろん、動物園や水族館に行けばいつでも見れるのであるが、無料な事と、
間近でペンギンを見れるので、特に家族連れなどに人気が高いイベントである。
毎年やっているのだが、常に行きそびれていて、実は行くのは今年が初めて・・
・・・そんじゃ、観客の中をトコトコと歩いてくるペンギンを狙うために、
ローアングルに強い、バリアングル(可変)ファインダー搭載の Dimage A2を
持っていくとするか・・
小さなTime Domain製バッグにA2 とGRDを詰めて準備完了・・簡単、簡単。
パレード開始10分前に現地到着。 早速カメラを準備・・
・・・げ、もう観客が一杯に並んでいる、これではローアングルができる
撮影ポジションは確保できない(汗)
さすがに前へ前へと行きたがる子供達やそのお母さん達を押しのけてまで撮影する
わけにもいかないし(笑) まあ、ペンギンはいつでも動物園で撮れるからいいや、
それにしても、冬場の寒い日なのによく人が集まっている・・集客力抜群だな・・

↑①7匹のペンギンと飼育員のお兄さん。
結局こんな角度でしか撮れなかった・・(泣) 携帯カメラやコンパクトのデジカメが
写っているということは、私の前にも座って見ている人の列があるということである。
・・・残念、地上10cmからのローアングルペンギンが歩いてくるシーンの撮影は、
また来年か?(笑) そして、ちゃんと撮るなら少し早めに行こう・・
でも、まあ、いい、どうせ肖像権もあるから、人物がたっぷり写っているような写真は、
なかなかブログに載せたり、どこかで発表するというわけにもいかないであろう・・
ペンギンパレードは、ものの10分ほどで終った、ヨチヨチ歩きのペンギンは
確かに可愛いのであるが、まあ、無料イベントなんで、こんなものであろう。
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さて、次は、開期中の「ミュシャ展」を見に行くとするか・・
ミュシャ(ALPHONSE MUCHA)は、19世紀のアールヌーボーの画家である、
まあしかし画家と言うよりも、現代風に言えば、ポスターや商品のパッケージなどの
デザイナー/イラストレータというところか。
美しい女性を描くのが得意な画家で神話的(宗教画的)なタッチと現代風の容姿の
ミックスはなかなか興味深い。
最近では、伊藤園の缶コーヒーのラベルになったりもしている。
特に若い女性に人気がある画家であるが、たまにはオッサンのファンもいる(笑)
「ミュシャ展」は、海遊館の隣のサントリー天保山ミュージアムでやっていた、
意外に大阪には美術館が少ない・・ まあ、ここのミュージアムはなかなか
人気のある展示が多くて、要チェックである。
実はミュシャは大阪は堺に常設の展示場があるので慌てて見なくてもいいのだが、
今回の天保山では、さすがに作品の点数も多いし、見るならば効率的と思った。
ちなみに天保山での「ミュシャ展」の後は、写真家の「ブレッソン」、その次は
「シャガール」が予定されている。
いい展示が続くので年間会員に入ろうと思ったくらいであるが、会員は無料入場可能で
あるものの、会費が絶妙で、微妙に元が取れそうもなかったのでパスした(笑)
写真をやる上で美術館や絵画を見る事は、かなり役に立つ行為だと思う、
絵画の方が構図、というよりポーズやらシチュエーションやら背景やら、あらゆる面での
自由度が写真より高く、だから逆に言えばそれ故にどうにでもなる難しさがあるのだと思う。
その分、写真よりも見る側としての好き嫌いも激しい。
美術館は、昨年京都であった「ルーブル美術館展」以来、約半年ぶりくらいになる。
のんびり絵を見ていて思ったのは「これはもっと美術館に来ないといけないな・・」
という事であった。 写真展もそうであるが、たまに・・2ヶ月に1度程行ってみると、
もっと来なくてはなあ・・・ と、その時は思うのである。
しかし、写真展の場合は微妙・・先月行った鳥取の植田正治写真美術館の時に思い、
記事にも書いたが、どうも写真家の作品は見ていると勉強になるのを通り越して
真似したくなってしまう(汗) ・・自からの個性を出そうとする上では刺激が
直接的すぎるように思えるのである。
しかし、絵画等の美術館の作品は、写真ほど直接的に感覚に影響を及ぼさない分、
より色々なヒントを得やすいように思えた。
まさか絵画を見て「これは、絞りf16くらいで露出補正が・・・」なんて考える
わけも無いのであるが(笑)、写真の方は、それをを見ていると、ついつい
考えなくてもいい、そんな事も考えてしまうのである・・(苦笑)
美術展を見た後、目録(ミュシャの本)と、「食玩」を2個購入。

↑② L'ETE MUCHA
この食玩は、平面である原画の絵画を3次元的なフィギュアとして構成している
優れもの・・これが僅か280円とは、元が取れるのであろうか?と心配してしまう。
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さて、美術館を出ると、もう日もとっぷり暮れていた・・
海遊館もライトアップされ、世界最大級を謳う「天保山大観覧車」にも明りが灯る・・
一般には「観覧車」という被写体は、「恋人たち」というイメージがある・・
そういえば、ここの観覧車には何人もと何度も乗ったものだ・・ だから、私には、
「恋人達」ではなくて、「失恋」というイメージがあるのかもしれない・・(苦笑)
多くの観覧車には都市伝説として「カップルで乗ったら別れる」などのジンクスが
あるそうだが、カップルで乗らずに誰と乗るのだろう?(笑) 男同士などでは
絶対に乗りたくないよ~(爆) ・・で、まあ、幸いここの観覧車には、そういう
伝説は無い様子である。
まあ、でもある意味毎日朝から晩まで、ひっきり無しに家族連れやカップルが行列に
並んで乗っている・・その中の何%かは別れるんでしょうねえ・・やっぱり・・(汗)
で、まあ、それはともかく、イルミネーションが色々あるので、それと観覧車や
海遊館を絡めて撮ってみる。

↑③青色のイルミと天保山大観覧車
GRDで、ISOは800まで上げている、
こういう場合はイルミと観覧車は露出差が大きいので、難しいよね・・
イルミに適正に合わせると観覧車は暗いし、観覧車の明るさを出そうとすると、
イルミはもう明るすぎてしまう・・
まあ、ともかく露出(輝度)差の少ないアングルを探したり、適宜露出補正を
施したりして撮ると良いであろう。
イルミを撮っていると、例によってカップルが近づいてきた。
「すみません、写真撮っていただけませんか?」
・・・はい、いいですよ。
最近のカップルはあらかじめ立ち位置などを決めてから頼んでくる、
「こちらからお願いします」 その角度はなんの変哲もない構図。
(・・・う~ん、夜景ポートレート(スローシンクロ)モードで観覧車か海遊館を
背景にからめた方がいいのになあ・・おまけに通常フラッシュモードでコンパクト
のデジカメを渡してきている。 これじゃ背景のイルミは暗くなってしまう・・
ただ、ここでごちゃごちゃ設定変えてもしょうがないし、構図を指定する
わけにもいかないだろう。 というか、ただでさえカップルに写真を頼まれ
てもあまり嬉しくないんだから(汗)、まあ、普通に撮ってあげようか・・)
・・はい、じゃ、撮りますよ・・ カシャ。
オートのフラッシュが発光する。 失敗しようも無い。 普通に撮れている・・・
「ありがとうございま~す」
以前も言ったが、最近はデジカメですぐに再生できるので、あんまり適当に
撮るわけにもいかない・・ 銀塩時代だったらカップルの男性をわざと半分しか
写さないとかいう必殺技もあったそうであるが・・(笑)
以下初級編だが、夜景でも人物を絡めない場合は、フラッシュを焚かない方が良い。
コンパクトなどのレンズシャッター機はシンクロ速度は関係無いので、
全速同調できるのであるが、とは言えオートでのフラッシュ撮影ではあらかじめ
決められたシャッター速度までにしかならないから。 スローシャッターが効かず
そのままでは夜景の明るさを写しだすことはできない。
人物(あるいは近距離の特別な被写体)を入れない場合は、フラッシュは
非発光(丸の中に雷マーク、斜め線)のモードを選択する。
人物を入れる場合は、スローシンクロ(=夜景ポートレート、人物の絵に☆または
月のマーク)のモードを選択するのが良い。
ただし、スローシンクロを使った場合は当然シャッター速度も 1/8秒あたりとか
遅くなるので、手ぶれ補正機能が入っていないと、ブレてしまう。
そこでISO感度を800以上に上げてシャッター速度をかせごうとするのであるが、
ISOを上げると、それ(の平方根)に比例してフラッシュの光量が相対的に
強くなる効果があるので人物が真っ白に写ったりしてしまう事もある。
賢いフラッシュならば、人物からの反射光を測定して自動的に光量を制御する
機構(TTL調光)があるが、そうすると今度は背景の夜景が暗くなったりする。
感度を上げたり露出補正をプラスにすると、やはり人物が白トビ・・(汗)
一眼だとフラッシュの手動光量補正などで対応できる機種もあるが、そうで無い
場合は絞りで調整できる・・・しかし、シャッター速度が変わってしまうとまた背景が・・
で、結局マニュアル露出モードに切り替えてゴチャゴチャと試行錯誤したりで面倒くさい。
三脚を立てればブレ問題は解決できるが、夜景ポートレートを撮りたいといった状況は、
普通は夜のデートといった状況なのだから(笑)三脚を持っていったり撮影に時間を
かけるのは、まさに「野暮」である(汗)(家族写真でも同様であろう)
軽快かつスマートに手持ちでサクっと決めたいのである。
試行錯誤は勘でなんとかして、あとは手ぶれ補正機能に頼るしか無いであろう。
そして、コンパクトではカメラが何を考えて(つまりオートでどう判断して)
撮ろうとしているのか、さっぱりわからないから、撮ってみてやはり試行錯誤である。
結局絞りが調整できないプログラム露出しか無いコンパクトのデジカメでは、
ズーミングにより強制的に開放絞り値を変えたり、人物との距離を調整したりして
さらに試行錯誤になってしまう。
結局、スローシンクロはなかなか思うようにコントロールできない、というのが
実際のところなのである。
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さて、もう夜だよ・・ 寒くなってきたし、おなかもすいてきた。
大阪港から、地下鉄を乗り継いで、あるお店に向かう。

↑④京橋のたこ焼き屋さん
やはり大阪名物といったら「たこ焼き」でしょう・・・
このお店は写真仲間の女性が経営するお店。
今日は写真仲間の集まりがあるのである。
皆でたこ焼きをたらふく食べて、飲んで・・
ちなみに、たこ焼きは、ソースバージョンと、醤油バージョンの2種類。
近年は大阪でも通常のソース味の他、醤油バージョン(特にネギとのコンビ)の
人気がじわじわと上がってきている。 さらに最近はキムチ味なども出てきて
いる様子であるが、まだそれは食べた事は無い・・
このお店は、ブロガーのさこやん(現在ブログお休み中・・彼は元気でやってますよ)と
行ったこともあるお店で、まあ、今後は関西地区ブロガーの戦略的秘密拠点(笑)に
なるやもしれない・・
まあ、ここでたこ焼きの写真が出ておもおかしくないのであるが、
たこ焼き屋さんで、たこ焼きが出るのは当たり前。
なので、意外なものとして・・

↑⑤おお、たこ焼き屋さんでケーキとは・・・
まあ、仲間うちであるから、要はなんでもあり(笑)
たっぷり食べた後だけど、デザートは別腹である。
これを撮ってるとき、何故か軍艦のイメージが頭に浮かんだ。
そういえばカメラ、特に昔のレンジファインダー機などでは、カメラ上部に
様々な金属のツマミが、並んでいて、この部分を「軍艦部」と言っていた。
その後、金属はプラスチックになり、さらには、各種ツマミはボタンやスイッチ
に変わってしまってから、カメラ上部を「軍艦部」と言う人はいなくなったが、
おそらくカメラ用語としてはまだ残っているのでないかと思われる。
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食べて飲んで、だいぶいい感じに酔っているところで、
たまたま隣の席に座った、若い女性、Oさんが聞いてきた。
「匠さん、私、外の夜景が撮りたいんです・・」
Oさんとは今まで二言三言話をしたことがあるくらい・・
良く見るとなかなか可愛い女性である。
・・・うん? カメラはもってきて・・きてるん?
(うう、酔ってロレツがまわってない・・汗)
「ええ、向こうの荷物のところにありますよ」
・・・レンジュは何ついてるの~? フィ、フィルムは~?
「普通のズームで、トレビの400」
・・・ああ、ふちゅ~のズームね、エフ3.5くらいかな~?
「わからないです(汗)」
・・・イルミに近づけばたぶん撮れるよ~、じやあ、いっしょにいってみよ~
「はい、おねがいします」
『匠さん、彼女お持ち帰りかよ? ヒューヒュー』
・・・ちょっくら、撮りにいってくるら~
GRDだけ持って、上着も着ずに、Oさんのカメラも肩からかけて店から外へ・・
・・・う、寒い。。
おまけに状況を見て、すっかり酔いが覚めた。
・・・なんだ、イルミは川の反対側かよ~。 こりゃ、ISO400では撮れないな・・汗
でもまあ、撮れると言ってしまった以上、ここで撮れなければ格好悪い。
・・・じゃあ、あっち(対岸)まで行くのは遠いし寒いからここから撮ろう。
まずは私のカメラも、トレビと同じようにISO400に設定するよ。
次に焦点距離だけど、望遠にすると手ぶれするので、広角側で挑戦しよう。
私のカメラは広角しかついていないから、このままだ。
そして、もちろん絞りは開放にしてな。
・・・同じようにやってな・・ ここの川の堤防にカメラを置けば簡単だけど
なかなか置けない場合もあるだろう? だったら、この堤防の土台に肘をついて
前にある金属の柵を両手でつかみながらカメラも持つ、もうほとんど動かない
ように固定してしまうイメージだ。
シャッター速度を見る、こちらはf2.4で 1/5秒だ・・(遅い・・汗)
でもまあ撮ってみよう、カシャ・・

↑⑥酔っ払い下心十分ショット(笑)
・・・なんとか撮れそうだよ。 そっちはシャッター速度いくつになった?
「う~ん、LOです」
(・・・LOか・・ ニコンの初級機だな)(酔ってて暗いのでちゃんと見てない)
・・・まあ、それでも柵にしがみつくようにして、とりあえず撮ってみて。
「はい・・・」 カッツャ。
(ん? 音からすると、1/4秒くらいかな、思ったほど暗いレンズじゃなさそうだ
撮れてるかもしれないな・・・)
・・・うん、撮れてるかもね。 念の為ちょっと貸してみて。
すぐ横に座るOさんとのやりとりである、暗闇で2人で手ぶれ限界に挑戦して
いるのであるから、ロマンチックなのか、それとも殺伐としているのか・・・苦笑
カメラを手にする、暗くてモデル名はわからない・・多分ニコンUかU2だな、
Uは持っているので、手探りでも操作はできる、というか、こんな時の為(笑)
たいがいの初級一眼レフを使えるようにするトレーニングは欠かせない!(笑)
ファインダーを覗く、絞りを開放にする。 f3.3か・・シャッター速度はLOを表示している。
・・・う~ん、撮れるかもしれないし・・ちょっとやってみる。 カッシャ。
ジ~・・・
・・・あ、フィルム終ったの?(汗) ごめん、色々試す暇なかった。
でも、う~ん、きっとどっちか1枚は撮れてるでしょう。
イルミに近づいて広角で撮れば確実だったろうけどね・・・
この川の対岸の位置からは難しいかもしれない、増感撮影という手もあるけど
フィルムの途中からは無理だよね。 ともかく、なるべくブレないように
さっきの構えみたいに色々工夫して撮るのがいいよ。 あと、望遠は使わないことだよね。
「はい、わかりました、色々ありがとうございます」
・・・さて、もう寒いから、お店に戻ろう!
ガラガラ・・お店の戸を開ける。 ・・・お~寒っ!
『あれ? 匠さん、帰ったんだと思った・・また来たの?笑』撮影仲間が冷やかす。
・・・なにを言うかいな、荷物も上着も持たずに帰るわけ無いだろう?
ふふ、ちょっとね、お楽しみタイムだよ(笑)
『匠さん、やるねえ・・・』
そんなこんなで、さらに宴は続き、結局4時間も飲むハメに・・
どうやって家に帰ったんだろう? 良く覚えてないや(汗)
なんだかわからないけど、後で写真を見たら、よくわからないものが
沢山撮ってあった(笑)
残念ながらOさんの写真は撮ってなかった様子だ、何やってるのか<自分・汗
・・・でも、まあ、1日楽しかったから、それでいいか・・
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・・・というわけで、シリーズ第一回は、なんの変哲も無いごく普通の大阪の休日。
そして、なにげない日常からでも写真は撮れると思う。
寒いから写真撮りにいけないとか、今は被写体が無いとか、春になったら真面目に
撮りにいくとか・・・ 写真は、そんなに構えて撮るようなものでは無いと思う。
いつも言っているが、写真が「ハレの日」の神聖な記録行為であったのは
数十年前の今や昔の話。 今の時代、写真は、ランニングコストの安いデジカメ
や携帯でパシパシ撮っていくのが当たり前。 芸術としての写真よりまずは日常。
日常に満足してなければ、芸術といった領域に到達するのは難しいのでは無いの
ではなかろうか?