そのカメラには、「0」(ゼロ)という開発コードが
与えられたと聞く。
昔から何かとマニア層等の間で話題の、ダイレクト・
イメージセンサー「Foveon X3」(以下、適宜Foveon
と略す)搭載機の「SIGMA dp0 Quattro」(2015年)
を入手したので、その機体の紹介記事である。

「Foveon(フォビオン)X3」の話は追々述べるとして、
「SIGMA DP(後にdp)」シリーズ高級コンパクト機は
Foveonそのものを打ち出すよりも、Foveonの特性に
合わせた固定(単焦点)レンズが搭載されている事が
特徴となっている。
旧来から、DP1(広角)、DP2(標準)シリーズが
販売されていた。DP1の販売開始は、2008年で
あるが、その2年程前から、いくつかの展示会等で
発表され、話題となっていた。
DP1の発売時点では、ミラーレス(μ4/3)機は
登場前であり、又、RICOH GXR(2009年~)も
SONY NEX(2010年~)も発売前であったので、
当時としてはAPS-C型サイズのセンサー搭載の
小型(コンパクト)機は史上初であっただろう。
(訂正:旧来、APS-C型センサー搭載小型機の初は
「GXR A型ユニット」と本ブログで書いた事もあった
が、SIGMA DP1の方が少し早かった模様だ・汗)
しかし、約10万円という高価なコンパクト機で
あった為に、マニア層以外の一般層にまで普及
したカメラでは無い。又、マニア層であっても
本格的にFoveonを使いたい場合には、SDシリーズ
デジタル一眼レフの方を選択したかも知れない。
(参考:SD9、SD10、SD14が既に存在していた)
DP1/DP2は複数の派生機で小改良を繰り返した。
その後、それらの搭載レンズは、2012年頃に
SIGMA 19mm/F2.8 EX DN、30mm/F2.8 EX DN
として単体発売されていた。この単体レンズは
小型軽量、かつ安価で良く写るレンズとして、
個人的には重宝していた(注:厳密にはEX19/2.8
は、DP1 Merrill以降の搭載レンズでの仕様だ)
同時期2012年、DP~Merrillシリーズが発売。
(注:EX DNレンズは、DP~Merrill機購入への
誘導目的の「お試し版」だったかもしれない)
ちなみに、Merrill(メリル)とは、Foveon X3の
開発者の名前(名字)に、ちなんでいる。
後に追加されたシリーズ姉妹機のDP3 Merrillでは、
中望遠・準マクロ仕様となった。が、これの搭載
レンズ(50mm/F2.8)は単体発売されていない。
(注:類似仕様として高描写力のSIGMA 60mm/F2.8
DN | Artが存在する。ただしマクロ仕様では無い)
さらに2014年、Foveon X3センサーが、4対1対1
という、特異な画素数構造を持つ、第四世代の
「Quattro」(クアトロ)となると・・
(参考:Quattroとは、ラテン系言語を語源とする
「4」という数字の意味だ。
「機動戦士Zガンダム」では、シャア・アズナブルが
「4番目の名前(偽名)」として「クアトロ・バジーナ」
と名乗っている。(キャスパル→エドワウ→シャア→)
また、日本各地の都市圏にある(音楽)ライブハウスの
「CLUB QUATTRO」も、開店当初に入居していたビルが
第四ビルという意味で「QUATTRO」だった事が由来だ)
(余談:英語または他の言語で「Q」の文字に続く
アルファベットは(省略語を除き)必ず「U」となる。
これは以前、私が英国で子供向けの知的玩具(ゲーム)
で、アルファベットを並べてお互いに単語を作っていく
ゲームをやっていた時に対戦相手の英国人から教わった。
恐らくは長い期間、親から子へと、こうした「英語の
なわらし/ルール」が、伝わっていくのであろう・・)
・・そのQuattroセンサー(第四世代という意味の他、
トップ層の画素数が4倍という意味も含むのだろうか?)
から、これ迄と同様の焦点距離のdp1、dp2、dp3
(注:型番が小文字化している)のQuattro機に加え、
超広角レンズ搭載のdp~Quattro機の企画が始まる。
Foveon QuattroはAPS-C(又はAPS-H)型であるが、
実焦点距離14mm、換算画角21mmという、超広角
レンズの搭載機をSIGMAは検討する。
だが、21mmという画角を持つ単焦点コンパクト機
は、近年では存在せず、著名なのは「RICOH GR21」
(2001年。銀塩コンパクト第7回記事参照)
の銀塩機のみであった。
(訂正:従来「2000年発売」と記載していたが・・
2001年発売の可能性が高く、以降は2001年に改める)
それは、当時の中古カメラブームに乗った企画商品で
高額でマニアックな機種の為、販売数は極めて少なく、
後年には「投機対象」となってしまっている。
(参考:下写真がGR21、これは本機dp0よりも
ずっと高価に新品入手した銀塩カメラであった。
近年、私はフィルムでの撮影は行っていないのだが、
近い内に趣味的に、GR21のような銀塩機でも撮って
みたいと考えている。既にフィルムは絶滅危惧種で
あり、高額な贅沢品となっているが、もう少し先の
時代では、入手困難や超高価格化等で、全く撮影が
出来なくなってしまうだろうからだ・・)

他に21mm以下の固定レンズ機では、銀塩時代の
「Hologon Super Wide」や「KOWA UW190」、
又、もしかしてKODAKからも超広角(19mm)の
単焦点デジカメが存在していたような気もするが・・?
いずれもレア機で、現物を見た事も無く、未所有だ。
(注:「アクションカメラ」等では、超広角単焦点
デジタル機は、多数存在する)
また、ごく最近2022年に「RETO ULTRA WIDE &
SLIM」という、安価な(約4,000円)、トイ銀塩
コンパクト機が22mm/F11の超広角パンフォーカス
(固定焦点)型で発売されているが、厳密には
これは21mm以下機ではない。
まあだから、超広角機の企画も、SIGMA社内では
賛否両論があって揉めたと聞く。
”カメラの歴史”を知っていれば、いるほどに
超広角単焦点機が商業的に成功した事例は皆無で
ある事がわかり、「売れる筈が無い」となるだろう。
だが、同社社長より「売れなくても良い、挑戦を
するべきだ」という旨の英断があった模様で、
開発陣は「どうせならば歴史に残るレンズを作ろう」
となり、これで「0」(ゼロ)の開発がスタート。
この「0」の由来は、それまでのdp(DP)シリーズ
の最広角機(1番機の下)であるとともに、
「歪曲収差ゼロ」を目指す設計コンセプトもあった
ようだ。

「歪曲収差」(わいきょくしゅうさ、ディストーション
とも)とは、特に広角系レンズにおいて、直線等が
曲がって(歪んで)写る現象(=レンズの欠点)だ。
画像が、(主に広角で)膨らんで写る「樽型」と、
逆に萎んで写る「糸巻き型」が存在する。
歪曲収差は、基本的には、画角の3乗に比例して
大きくなる。つまり、絞りを絞っても防げない。
ズームレンズならば、焦点距離を変えて低減できる
可能性もあるが、「広角」で発生しやすい「樽型」を
減らそうとする為に、設計上、過剰補正となっていて、
望遠側では逆に「糸巻き型」が発生する事もある。
まあ、ズームでは、色々と焦点距離を変えて試せるが、
単焦点では、それは不可能なので、レンズの素性
(性能)を良くするしか無い訳だ。

なお、歪曲収差は、広角における「パースペクティブ
(遠近感)歪み」とは異なる要素であり、世間一般
では、このあたりを混同している事が極めて多い。
(参考:広角レンズでの構図上での遠近感の発生で、
例えば、ビル等が傾いて写る事は、やむを得ず、
これは歪曲収差が原因ではない。
---
銀塩時代での、ある低歪曲レンズの雑誌レビュー記事で、
たまたま、木立が真っ直ぐ写る撮影アングルで撮り
「このレンズは歪曲収差が少ない」と評したものを
見た事があったが、それは構図上での結果にすぎず、
歪曲収差の多寡とは無関係だ。専門評論家レベルでも
こんな調子なので、世間一般層では混同が甚だしい。
---
また、魚眼レンズが歪んで写る描写も「歪曲収差」では
無い。魚眼では、そういう風に写る事を意図しての原理
設計であり、「収差」とは「望まない欠点」の事だ)
「歪曲収差」の値の算出には、いくつかの計算手法が
あるが、簡単な計算の方の「TV歪曲」という公式では、
「横位置撮影で短辺の縦のピクセル数における最大の
ズレ幅(数)を短辺長の2倍で割り、100分比(%)で
表した値」となる。
具体的には、Quattro APS-C型センサーでは
通常モード最大画素数時、縦約3600pixなので
TV歪曲=Δh/(2x3600)x100 が
歪曲収差の値(%単位)だ。(→Δhがズレ量)
SIGMAでは最終的に、これを0.5%以下迄に補正した
との事であるから、直線に対する最大のズレ量の
Δhのピクセル数は、最大36pixelとなる。
「え? 36ピクセルも歪むのか?」と思うかも
知れないが、あくまで撮影条件で変動する最大の
値なので、実用上では全く気にならないレベルだし、
記録画素数からの比は1/100以下でしかない。dp0の
92万ドットで3型の背面液晶モニターを見た状態では、
最大歪曲時でも4.8pixel、つまり高さで約0.37mmの
歪みしかなく、人間が見分けられる差異では無いので、
「モニターを見ただけで歪曲収差が少ないと思った」
等の、このレンズが低歪曲である事を先に知った上での
”思い込み評価”のレビュー等は、信用には値しない。
なお、近年では他に「低歪曲(収差)」を謳った
レンズとしては、中国LAOWA社製の「Zero-D」
シリーズがあるが、高額なので未所有だ。
また、工業(検査)用の、マシンビジョンレンズ
でも低歪曲を主眼としたものが多く、これらは
いくつかを所有している。
銀塩時代のレンズでは、Carl Zeiss(京セラ)の
Distagon系広角レンズが、歪曲収差が比較的少ない
レンズもあったと思う。他にも色々とあったとは
思うが、「歪曲収差」自体が昔の時代では消費者層に
アピールしにくい概念であるので、それの優秀さを
大々的に謳ったレンズ製品は少なかったと思う。
ユーザー層が、それを気にし始めるのは1990年代
頃からのズームレンズ全盛期であり、それ以降では
四角い被写体を写して、ちょっとでも歪んでいると、
「これは収差が発生している。ダメなレンズだ!」
等と言う中級層や初級マニア層が増えてきた。
なお、「収差」というのは、歪曲収差だけでは無い
事は勿論だし、それが出ている事は、メーカー側や
レンズ設計者も、当然、承知している。それでも
歪曲収差を補正しなかったのは、他の理由(例えば
コスト、解像感、ボケ質、カタログスペック等の優先)
が、あったからであろう。レンズのたった1つの
側面だけを見て「(歪曲)収差が出るからダメな
レンズ」という評価は、かなり的外れだと思う。

まあつまり、本機dp0 Quattroは、レンズの性能
を優先して開発された機体であり、他のDP/dp
シリーズとは、ちょっと企画コンセプトが異なる。
すなわち、これまでのDP/dp1~3は、どちらか
と言えば「Foveon X3を搭載している事」自体が
主眼となっていて、DPシリーズの搭載レンズが
比較的高性能(高描写力)であった事は、市場や
マニア層の間では見落とされていたかも知れない。
また、前述のように、2012年にDP1/DP2の搭載
レンズが単体発売された事も功罪あったかも知れず、
高性能である事のアピールを狙った意図であろうが、
それらが実売1万円前後と、非常に安価に販売
された事が、マニア消費者層には「なんだ、安物の
レンズだったのか?」という悪印象を与えたのかも
知れない訳だ。(当該単体レンズは不人気だった。
下写真は、SIGMA 30mm/F2.8 EX DN)

もしかすると、その事例(=DP機の搭載レンズが
安物扱いされた事)も、また「DP/dpシリーズの
レンズは本当は高性能なのだ!」と、SIGMAが主張
をしたい為に、本機dp0 Quattroの超高性能レンズ
の開発動機となったのかもしれない訳だ。
これは歪曲収差のみならず、他の諸収差も十分に
補正を施したと思われるし、加えて超広角ながら
周辺減光も殆ど発生しない、すなわち全般的に
高性能なレンズである。
まず、レンズ構成は8群11枚である。
FLDx4枚(蛍石類似特性低分散ガラス)
SLDx2枚(特殊低分散ガラス)
という新硝材を多用している他、
前玉には、ガラスモールド厚肉両面非球面レンズ、
後玉にも、片面非球面が採用され、全レンズ構成の
大半が特殊レンズ、という非常に贅沢な設計だ。
コンパクト機への搭載レンズとしては異例だと思う。
同社製レンズだと、Art Lineの大口径広角単焦点
の構成にも近いが、それらはフルサイズ対応の
巨大で重くて高価な(三重苦)レンズ群である。
それらと同等の高描写力が、小型軽量機で得られ、
かつ本機の発売時実勢価格は約11万円であったので、
Art Lineレンズの単体定価よりも、むしろ安価だ。
同等のサイズ感だと、COSINA社フォクトレンダーの
「SUPER WIDE-HELIAR 15mm/F4.5 Aspherical Ⅲ」
(Eマウント/VMマウント)の構成にかなり近いが
(→9群11枚。非球面x1、異常部分分散x3)
生憎、その(三代目の)レンズは所有しておらず、
初期型の15mm/F4.5(後玉非球面1枚のみ)しか
持っていないので、比較に関しては避けておこう。

今回は比較の為、換算画角(21mm相当)だけ揃えて、
Voigtlander(変母音省略)SC SKOPAR 21mm/F4
(2002年。6群8枚、特殊硝材の採用なし)を
フルサイズ機SONY α7Sに装着して使ってみよう。

2000年代では、「フォクトレンダーのレンズは
優秀だ」という認識が個人的にはあったのだが、
その後の10数年間でのレンズ開発の技術革新は、
物凄いものがあり、旧世代レンズでは、もはや
dp0のレンズ性能には太刀打ちできない事を、
思い知らされる結果となった。(下写真はSC21/4)

ただ、do0の優秀なレンズにも若干の弱点がある。
まずは「逆光耐性が低い」事が大きな課題だ。
これについては後述しよう。
次いで、最短撮影距離が18cmというところ。
これは決して悪い性能では無いが、例えば同社の
2000年代初頭の「SIGMA広角3兄弟」は、いずれも
焦点距離の10倍則を超えて寄れるスペックだった
ので、本dp0のレンズは14mmなので、14cm程度の
最短撮影距離を期待してしまう。
よって「広角マクロ」的用法は、少しだけ物足りない。
問題の逆光耐性については、多群構成のレンズ間で
「内面反射」(内部のレンズの表面で反射した光が
さらに別のレンズ面で反射して、再入射してしまう)
が、頻繁に発生している模様だ。
曇天や雨天等の低輝度下であっても、斜光が入射
すると、ハイライト部がフレアっぽくなってしまうし、
(これはセンサーとの関係性もあるかも知れないが
感覚的には、レンズ側の問題であるように感じた。
フレアの実例については、下写真参照)
晴天等では、アングルと太陽光との関連によっては
ゴーストが多発する。
(注:フレア=形がはっきりしていない光。
ゴースト=形がある光)

逆光耐性の低さは、本レンズが超広角故に、構図上
での回避自由度が少ない(→どうやっても逆光となる)
事も課題となり、絞り値等のカメラ設定では防げない
ケースも大半であり、結構面倒な問題点だ。
本ブログでは、技法で回避が出来ない機材の問題点を
「重欠点」と呼んでいるが、これはスレスレの状況
であり、常に逆光に留意して撮影せざるを得ない。
さらには、鏡筒(鏡胴)が大きすぎる点が課題だ。
本機は幅16cmの薄型で、異様なデザインである事は、
まあ良いのであるが、他のdp機はともかく、dp0の
場合ではレンズが大きく、12cmもの奥行きがある。
この為、dp0は縦横のサイズが大きく、一眼レフ並み
の収納容積を必要とする。さほど重量級ではない
(本体500g)カメラだが、場所を取る訳だ。
まあでも、このレンズの大きさは、鏡筒内での
レンズ設計の自由度を高める利点があったとの事。
開発時には、チーム内で、開放F3.5とするか、
開放F4とするかで長期間の論争があった模様だ。
まあ、どちらの言い分もわかる。
銀塩GR21では21mm/F3.5のスペックであったし、
現代のビギナー消費者層は開放F値の数値ばかりを
気にするから(→その数値だけしか性能を見分ける
術を持たないから)、それは少しでも明るい方が、
カタログスペック上からは望ましい。
だが、本機dp0 Quattroは、決してビギナー層が
買うカメラでは無い。であれば、良くわかっている
ハイアマチュア層やマニア層に向けて売る際には
「開放F4に留めた分、徹底的に高性能とした!」
という言い分(コンセプト)の方が通り易いの
ではなかろうか?
結局、開放F4で決着した模様だ。
でも、やはり非常に特異なコンセプトのカメラだ。
本機を購入した中古専門店での(顔なじみの)
ベテラン店員氏は、「このカメラは・・ ごく
一部の熱烈なマニア以外には、まず売れません」
と語っていた。

で、実態は「まず売れない」どころか、やはり
SIGMAが懸念していた通り、全く売れてなかった
かも知れず、本機に関するネット上のレビュー記事
等も、販売(流通側)に属する「宣伝レビュー記事」
(→借りて来たカメラについて、良い所を評価する)
の他は、ユーザー(オーナー)のレビュー記事など、
ほとんど見つける事ができない。
まあ、もとより私は他人の評価などを参考にして
機材を購入する訳では無いのだが、それにしても
情報が少なすぎる状態なので、これはもう
「誰も買っていない」と解釈する方が自然だ。
まあ、売れなくても別に私には関係は無いのだが、
1つ困る事は、希少機材は、後年に投機対象に
なりやすい、という点である。
実は、本機を購入する前に、SIGMA SD1 Merrill
(一眼レフ)あたりを物色していたのだが、
2021年春頃から急激に中古相場が高騰した。
この原因は「Foveon機を、もうSIGMAは作らない?」
(→フルサイズFoveonの開発白紙宣言(2021年)
SIGMA fp(2019年)がベイヤー型センサーだった事、
SIGMA SAマウントの開発終了宣言(2018年)等)
を起因とした、「Foveon X3絶滅の危惧」からの
投機的措置(買占めと転売)であったと思われる。
上記の情報など、ごく普通に公開されている事だ。
その程度の情報で、投機に走ってしまうのだろうか?
そんな投機に振り回される事は個人的には好まない。
「であれば、今のうちに現行Foveon機を入手して
おくべきか」と考えたのが本機の直接の購入動機だ。
まあ、Foveon機は2002年頃から販売されているし
その原理からの、ベイヤー配列型センサーに対する
アドバンテージも知ってはいたが・・
なにせ、機体の性能が低いものばかりだったので
どうも食指が動くようなカメラが存在しなかった訳だ。
それに勿論、SAマウントレンズを新たに揃えるのにも
お金がかかる。SIGMA製レンズは嫌いでは無く、他の
マウントで色々と所有しているので、それと重複購入
になりそうな点や、あるいはSAマウントレンズの
新規開発が終了している事(2018年に宣言あり)
といった理由も、SAマウントのFoveon機の購入を
阻害する要因となっていた。
(注:SAマウントは、形状は、ほぼPENTAX Kであり、
電子通信プロトコルや電子接点は、ほぼCANON EFだ。
そこは良いのだが、他マウントとの互換性が低く、
マウントアダプターも、SA機側に付けれる物は
M42マウント位しか存在しない。
ちなみに、PENTAX KとSIGMA SAは、フランジ
バック長が少し異なるので、Kマウントレンズの
改造等を行ったとしても、SA機では最短撮影距離
が長くなったり、オーバーインフになる等で、
実用性は少し低下してしまう。
---
ミラーレス機のsd Quattro系機体で、SAマウント部が
取り外せる仕様であれば、アダプターも色々と作れた
だろうが、生憎の固定式だ。まあ、SIGMAは基本的に
レンズメーカーなので、他社製レンズ等を使い易く
する仕様には、まず、しない事であろう・・
---
又、技術的にはFoveon X3は三層構造なので、その深い
「井戸の底」に光を届かせる為には、できるだけ垂直に
レンズからの光を投射させる必要がある。すなわち
フルサイズ化や、ミラーレス機でのショート(短縮)
フランジバック化には不利な構造だと思われる)

さて、一般的なベイヤー配列型撮像センサーに対する
Foveon X3の原理的な優位点というのは・・
3層構造での各層で直接的に、B(青)、G(緑)、
R(赤)の光を受けて画像化する為、カラーフィルター
やローパスフィルターが不要であり、デモザイク処理
における「演繹補間」等の演算が不要である事だ。
すなわち、「解像感が高い描写」が得られる。
まあ簡単に言えば「ベイヤー配列型センサー機では、
フル画素の1/4の画素数でしか、最大の解像力が
得られない」という弱点を解消する構造だ。
(注:一般的なデジカメの画素数が「仕様上の1/4しか
無い」というのは、カメラ界にとって不利な情報なので、
一般層に、それが大々的に伝えられる事は、まず無い。
でも、色々と勉強して、それが理解できたユーザー層等
では「なんだ、今までずっと騙されていたのか!」と
憤慨し、この問題が起きないFoveon X3機や、あるいは
PENTAX(RICOH)の「リアルレゾリューション」等の
技術に興味を持ち始めるようになるのだろうと思われる)
また、3層構造センサーは発色傾向が独特であり、
これの「色味」にハマるマニア層も多い。

弱点は、まずカメラ側の不出来だ。
Foveonでは、原理的に総画素数が大きくなるし、
非公開情報だが、恐らくはFoveon専用の画像処理
エンジンは存在せず、汎用的なベイヤー配列型の
データを受け付ける画像処理エンジンを転用している
と想像され、「Foveon情報を、ベイヤー型の情報に
変換しないとならない」と思われる。
画素数の多さとプリプロセッシング(前処理)の多さ
あるいは、処理の流れ(シーケンス)の悪さ等から、
処理が重く(遅く)、連写性能や書き込み処理時間
等が犠牲になる。
また、カメラ全体の機能不足と、操作系も悪い。
加えて、初期のFoveon機ではJPEGへのエンコード
(変換)処理が弱く、RAW現像が必須となっていた。
私の場合、大量撮影をするケースが多いので、
一々のRAW現像は、編集コスト(手間)が大きすぎる。
おまけに、RAW現像ソフト「SIGMA Photo Pro」は、
最新のPC動作環境を要求され、旧型PCで使ったり、
又は大量(数百枚)の編集をするには、動作が遅くて
やっていられない。(1枚あたり数十MBで、トータル
で数GBのデータ量を扱うから、重いのも当然であろう)
まあ、その点、本機dp0 Quattroでは、カメラ内
RAW現像モードを備えていて、それは1枚処理だから
そこそこ動作が速い事は利点だし、さらには、本機
では小画素(500万画素)モードでも、RAW+JPEG
撮影が可能で、かつ連写性能の低下はほとんど無く、
それを使えば良いのだが・・ そうしたとしても
RAW混じりのデータは、画像記録時間、カード保存
容量の制限や、PC転送時間、HDD記録容量等の全般に
負担が大きい。
他のユーザーはいざしらず、私の場合では本機でも
1日に1000枚位撮るケースもあるので、一々の
RAW保存、RAW現像は、やってられない訳だ。
(フル画素のRAWで1000枚撮ったら、55GB以上の
容量となる・汗)
まあ、RAWから処理した方が、センサーのDレンジを
有効活用でき、編集自由度が向上したり、露出失敗
写真の救済には使える事はわかっている。
特に本機のような超広角機においては、天候や構図に
よっては主要被写体がアンダー露出になりやすいので、
RAW現像が有効な事も、試した結果でわかってはいる。

でも・・ やはり鈍重なシステムは、個人的には
好まないので、JPEGでサクサク撮る方を選ぼう。
低機能カメラだが、幸いにして露出補正ダイヤルを
備えているので、被写体状況に応じて、都度、露出
補正を掛けて撮れば十分だ。どうせRAWで撮っても
最終的にJPEGに出力される際には8bit(48dB)の
ダイナミックレンジしか得られない。HDRやDレンジ
補正処理を行わない限りは、JPEGで表現できる
輝度範囲には限界があるから、RAW使用の主目的は
露出レンジの撮影後での修正・救済措置となる。
したがって、JPEGでも撮影時に十分に注意や設定を
しておけば、ある程度は、課題は解消できる訳だ。
それに、Foveon系機体でJPEGエンコードの処理に
課題があったのは、旧来の機種での話であり、
「dp0 Quattro」では、JPEGへの変換処理が改善
されていて、JPEG出力だけでも実用範囲だ。
「(ベイヤー配列型センサーで)何が何でも、RAWで、
フル画像で撮れば、最高画質が得られる」といった
世間一般での風潮は、画像工学や、基本的なデジタル
の原理がわかっていないようで、好ましくない次第だ。
単に、重すぎるデータを扱っているだけだと思う。
(注:高度な画像処理技術を用いれば、RAWデータ
での下位ビットを、超解像処理や、収差の後補正の
画像処理に流用できる可能性がある。ただ、それらは
現代のカメラ内の技術の範疇では、まだ無理だ)
他のFoveon X3の課題としては、心理的な要因がある。
具体的には、Foveonは三層センサー構造であるから
総画素数に対して記録画素数は約1/3程度となる。
(注:Quattro機以外の1対1対1の三層構造の場合)
まあ、当たり前の原理ではあるが、消費者層側は
「画素数が大きいカメラの方が良く写るに決まっている」
という単純な思い込みをする為、SIGMAでも記録画素数
では無く、総画素数表記で、スペックを「盛る」傾向が
あった。でも、これもまた、そんな事をしなくても
わかっている人はわかるので、関係が無い話だが、
なんだかビギナー層に媚びる様相は好ましくないし、
逆に、ちょっとわかっているユーザー層からは
「SIGMAは画素数を盛って発表している」といった
変な批判話が出てくるのも、見ていて面白くない。
それと、マニア層の中でもFoveonの熱狂的信者が居る
事も、心理的には「ちょっと引いてしまう」理由に
なり得る。「信者」等は、思い込みが激しい事が常
なので、できるだけ「そっちの道」には関係したく
無い訳だ。
他にも、カメラ界では熱狂的な信者を持つ製品やら
メーカーやらが存在するが、それらも同様に
個人的には好まない。他社機や他製品等と比較した
場合の得失とか、どんな用途に適するか、とかの、
そういう冷静で客観的な会話や評価が成り立たない
ままで、「これは凄いのだ!」とかと一方的に
言われるから、やりにくい訳だ。

まあ、そんな訳で、長年の間、半分は意図的に
Foveon機を敬遠していた事情もあったのだが、でも、
もし、完全にFoveon機が無くなってしまった後では、
評価もできれければ、文句を言う(笑)事もできない。
とりあえず買ってみて、それからの評価分析だ・・
ここで、Foveon機(センサー)の歴史を挙げておこう。
<Foveon X3の歴史>(注:SIGMA製品のみ)
*初代Foveon X3 (2002年~2006年)
記録画素数:約340万画素
搭載機種→
一眼レフ:SD9(2002年)、SD10(2003年)
*二代目Foveon X3(2007年~2010年)
記録画素数:約460万画素
搭載機種→
一眼レフ:SD14(2007年)、SD15(2010年)
コンパクト:DP1、DP1s、DP1x、DP2、DP2s、DP2x
*Foveon X3 Merrill(2011年~2013年)
記録画素数:約1500万画素
搭載機種→
一眼レフ:SD1(2011年)、SD1 Merrill(2012年)
コンパクト:DP1 Merrill、DP2 Merrill、DP3 Merrill
*Foveon X3 Quattro(2014年~)
記録画素数:約2000万画素(APS-C型、4:1:1構造)
約2500万画素(APS-H型、4:1:1構造)
搭載機種→(注:ここから機種名は小文字表記)
一眼レフ:搭載機なし
コンパクト:dp0 Quattro、dp1 Quattro、
dp2 Quattro、dp3 Quattro、
ミラーレス:sd Quattro、sd Quattro H(APS-H)
*フルサイズ(35mm判)Foveon X3 1:1:1
→2021年に「開発白紙(中止)」宣言あり。
個人的に思うに、これはピクセルピッチ的には
十分に実現可能だった(Quattroよりも広い)が
三層構造での「深さ」により、センサー周辺の
画素では、十分に「垂直光」が届かなかった
のではなかろうか? でも、Foveon X3の今後の
進展に強い影響が出ているだろうし、中古市場でも
旧型の「Foveon搭載機」が投機的に高騰している
ので、残念な話だ。
垂直入射光やら、それ以外の課題を解決した上で、
新たなセンサー開発に着手してもらいたいし、
そもそも個人的には、フルサイズFoveonでは無く、
APS-C型等でも十分だと思っている。
(むしろ、OM SYSTEMに、μ4/3機用Foveonを供給
できないものか? 画素数は稼げないがマニアック
度としては満点のカメラになりうる。
μ4/3機用の撮像センサーを供給していたPanasonic
も、ライカLマウント陣営に寄ってきているので、
このままではOM SYSTEMが孤立してしまいかねない。
ただ、SIGMAも、Lマウント陣営と言えるので、
この措置は、業界内での相関関係上では無理か・・)
・・で、これらは前述の通り、本機以外は未所有なので、
Foveonの歴史的変遷(どこが、どう進化して来たか?)
については、わからないので、ばっさりと割愛する。
また、ここでFoveonの原理だとか、ベイヤー配列
型センサーとの差異、長所短所等を挙げていくと
際限なく記事が長くなりそうだ(汗)
・・まあ、そういう資料は、世の中のどこででも
見つかると思うので、適宜参照されたし。
なお、例え専門的な資料であっても、より詳しい
内部の動作原理等は、企業秘密もあってか、
公開されていない部分も大変多い。あまり真剣に
調べても意味が無いかも知れず、概要だけ理解して
おけば十分だとは思う。
例えば、Quattroセンサーは、トップ(最上)層が
約2000万画素、第二層、第三層は、約500万画素
という、奇妙な4:1:1の画素数比の構成だが、
これが、どういう原理で動いているのか?を
調べようとしても、肝心のところは非公開なので
行き詰ると思う(まあ、特許を閲覧する、という
手段はある。一応、それらしき特許を発見したが
難解であり、これを上手く説明する事は困難だ・汗
それと、特許は他社が簡単には真似できないように
あるいは他者に技術を盗まれないよう、わざと難解に
書く為、これの内容が理解できたとしても、ベラベラ
と説明してしまうのは好ましくない。興味があれば
自分自身で調査研究し、理解するしか無いわけだ)
また、調べている際に、良いところ(利点)だけ
を見て「これは凄い!」とかと、単純に信奉し
「信者」になってしまう事には要注意だ。
「まるでロータリーエンジンだ」という比喩は
良く聞くが、「技術」とは、そういった感覚的な
話とは違うと思う。
あえて比較対象を言うならば、Foveon誕生頃に、
ベイヤー配列型センサーの元々持つ課題を解消
する為に、例えばSONY等が試した「3CCD」方式や
(参考:近年では、3CMOS方式となっている)
FUJIFILMやKODAKが色々とトライした「特殊配列
センサー」、あるいは後年に、センサーを微細に
駆動させる、という「力技」で解決しようとした
PENTAX(RICOH)の「リアルレゾリュ-ション」、
さらには、SONYの「Quad Bayer」型センサー等、
そのあたりの他社技術と、ちゃんと比較する事が
望ましいと思う。
また、Foveon X3にも、利点ばかりではなく弱点も
いくつもあるので、そこもまた公平に見て、理解
しておく必要があるだろう。

なお、巷でよく言われる「解像感が高い」は、
個人的には、あまりFoveon X3(だけ)の長所とは
見なしていない。
一般的なベイヤー配列型センサーでも、最大記録
画素数の1/4で撮れば、補間処理が最小限となり
そこそこの(→本来の)解像感(度)が得られる。
(解像力→主にレンズ側の性能、LP/mm等
解像度→本来はセンサー側の「画素数」と等価
解像感→利用者が視認できるシステム性能)
逆に言えば、通常型センサーで「フル画素」で撮ると
解像感が低下してしまう。Foveon X3では、原理的に
その問題が発生しないのだが、記録画素数が少ない
場合が多いので、「どっちもどっち」という感じだ。
ちなみに、個人的には、ベイヤー型センサー機は
殆どの場合、最大記録画素数の1/4の最少画素数で
撮影する習慣を持っている。(=画素数が多い方が
必ずしも良く写る訳でもない、という典型例)
もう1つ世間で言う「発色の良さ(または独特さ)」
は、個々の好みに依存するだろうし、そもそもカメラ
の発色は、Foveonであろうがベイヤー型であろうが、
X-Transであろうが、画像処理エンジンでの味付けの
傾向に依存したり、装着レンズの種類や、勿論だが
被写体の状態、あるいは利用者のカメラ設定の方法論や、
アフターレタッチ(編集)手法にも大きく依存する。
まあつまり、カメラの発色は、その利用者での用法や
スキルに強く関わるものであるから、いつも言うように
「このカメラは発色が悪い、とカメラのせいにしては
ならない」という原則論がある。
これを逆に言えば「Foveonだから色が良い」という
ざっくりとした理屈も、成り立たないという事である。
多少、他機とは異なる発色傾向が得られるとは言え、
それを生かすも殺すも、ユーザー(オーナー)次第だ。

では、ここからは本機dp0 Quattroの長所短所について
簡単に述べておこう。
<長所>
*まず、搭載レンズの優秀さがある。
解像力は特筆すべきであり、SIGMA Art Lineの
高性能レンズ級だ。そちらは大きく重く高価な
三重苦レンズだが、このレンズは多少大きいとは
言え、コンパクト機に搭載されているところが凄い。
解像感や歪曲収差のみならず、ボケ質もそこそこ
良く、贅沢な部材を多用したレンズ構成で、諸収差
をバランス良く補正している。
「コサイン4乗則」が課題となりやすい超広角レンズ
ながら(少し絞り込めば)周辺減光も殆ど発生せず、
なかなか素晴らしい。
ただ、「逆光耐性の低さ」という課題があるので、
万能のレンズという訳では無いだろう。
*上記レンズの優秀さにFoveon Quattroセンサーが
加わる事で、解像感と発色傾向の良い、独特の
システムとなる。特に「風景専用機」としての
利用形態に最も向くであろう。
また、モノクロ撮影時にも、このセンサーでの
トップ層の高性能が、そのまま活用できる。
本機のカラー時の発色にはクセがあるので、
いっそモノクロ専用機としてしまう方法論もある。
(注:モノクロモードとしても記録ファイル容量は
1/3にはならず、カラー撮影と同等である。
よって、単純にトップ層データのみを使っている
訳ではなく、複雑怪奇な画像処理内容だ)
*MF時、またはAFからのシームレスMF移行時
(注:自動拡大あり。自動拡大は停止可能)での、
距離指標の表示の他、絞り値と撮影距離に応じた
被写界深度の目安の目盛りが表示される。
指標のスケールが粗いので、実用性がどこまで
あるか?は疑問ではあるが、これは、なかなか
マニアックで好ましい機能だ。
(なお、AFリミットモードが存在し、合焦範囲を
変更できるが、通常の18cm~∞設定で十分だ。
それと「速度優先AF」をONとすれば、合焦動作中
でのライブビューが停止する分、高速化される)
*製品企画コンセプトに信念と割り切りがあり、潔く、
かつ、マニアックである。こうした「売れる筈も
無いだろう」機種を、よく発売に漕ぎ付けたものだ。
ただ、個性的すぎる外観や、超広角単焦点機は
用途を著しく限定するので、本機を欲しいと思う
消費者層の比率は、限りなく低いかも知れない。
<短所>
*搭載レンズの逆光耐性の低さ
前述のように、フレアやゴーストの発生があり
かつ、それが回避しにくい。
*カメラとしての機能不足
例えば、手ブレ補正無し、デジタルズーム無し、
エフェクト無し、ピーキング無し、AUTO ISOの
低速限界設定無し、動画撮影機能無し、等。
個々の機能不足への対策・対応は、超高難易度と
なるケースが多く、初級中級層は、もとより、
上級層以上でも、なかなか厳しい状況だ。
*書き込みの重さ(遅さ)
3層構造により総画素数が多い為、メディアへの
書き込みに時間がかかり、かつ、連写性能や
バースト枚数(連続撮影可能枚数)にも影響が
出ている。
実用上では、断続的に連写は可能ではあるが、
連写中のブラックアウトや、メディアへの
長時間の書き込みが完了しないまでの間は、
画像再生やメニュー操作が不能な課題がある。
ちなみに、小画素(約500万画素)での、RAW、
JPEG、RAW+JPEGで使用時、連写は秒4.5コマ
バースト枚数は12枚となる。
大画素での使用時は、いずれの性能も低下する
し、連写終了後の書き込み時間も長い。
(参考:JPEGの小画素撮影条件で、12枚連写後に、
バースト9枚表示迄の復帰時間は約20秒もかかる)
また、バッファメモリー(推定512MB)が一杯に
なるか、又は、所定のバースト枚数に到達すると、
シャッターが切れなくなる仕様だ。(ここから
1枚でも撮れるように復帰する迄に10秒弱かかる)
なお、書き込みからの復帰中でもモニターに連続
撮影可能枚数(最大9枚表示まで順次増えていく)
が常に示されている。
*操作系が悪い
メニューや設定操作の記憶機能なし、
(注:電源を入れている間はメニュー位置は保持)
カスタマイズ機能が貧弱、等。
ただ、上記の「機能不足」が、逆に幸いしていて
「QS」というボタンで表示できるコンパネ風メニュー
内で、たいていのカメラ設定が可能だ。
しかし、コンパネも最終編集位置の記憶機能が
無く、操作の「手数」は、どうしても多くなる。
(注:電源を投入している間は、勿論、編集位置は
記憶している。が、いったん電源を切ってしまうと
編集位置を忘れてしまい、また最初からやり直しだ)
後、操作系ではなく「操作性」であるが、
SDカードスロットのフタがゴム製という、ある意味
希少とも言える(PENTAX K-01、2012年以来)貧弱な
仕様で、開け難いという課題がある。
*物理的なサイズが大きい
dp Quattroシリーズ機全般で横に長く、
do0 Quattroでは、さらにレンズも大きい。
一眼レフと同等の収納容積を必要とし、可搬性に劣る。
*EVFなし
風景専用機として屋外で使う上で、背面モニターが
見え難いケースが多い。
別売オプションで、「LCD View Finder LVF-11」
があるが、ただでさえ上記の「大きい」という課題が
さらに大きくなってしまうので、購入していない。
対策としては、「外付け光学ファインダー」の
利用がある。私の場合は、SIGMA純正ではなく、
COSINA社の「21mm View Finder」(2001年頃)
を装着している。これの利用により、背面モニター
が見え難い場合でも構図が決められる。
ただし、課題もあり、本機はレンズが大きすぎて、
このファインダーでは、構図の下部が見えない事。
また、この光学ファインダーは銀塩末期においては
「比較的見えが良い」と認識していたのだが・・
dp0 Quattro本体よりも、歪曲収差がはるかに大きく
背面モニターで見た方が構図の正確性が得られる点。
また、外付け光学ファインダーは、いずれも高価な
オプションなので、アクセサリーシューからの
脱落・紛失には注意する必要がある。

*ノイズ耐性、高感度性能
Foveon X3では、原理的に、3層のセンサーから
独立に発生するノイズの低減処理は難しい模様だ。
この対策として、屋外撮影を主眼として、必ず
ISO400以下で使うようにしている。AUTO ISOの
場合も上限をISO400迄に留めておく事が無難だ。
(注:「白とび軽減モード」も、ISO400以上では
効かなくなる仕様である。
また「トーンコントロール」(階調補正)機能の
常用も、ノイズを目立たせる原因となる)
それから、このセンサーはISOを400位に、少々
上げただけでも「解像感の低下」が既に始まる。
本来、ISO100ですべて撮りたいところだが、
それだと撮影条件的に厳しいので「ISO400迄を
許容して使うしかないかな?」と思っている。
なお、AUTO ISOの低速限界設定は調整不能だが、
1/30秒がデフォルトとなっている模様で、
「21mm画角→ 1/21秒以上」の、手ブレ限界理論
からすると、少し余裕がある。
(1/20秒以下となると、手ブレ警告マークが出る)
レンズの特性的(多くの理由があるが、割愛)
にも、あまり絞り込んで撮る必要性は無いので、
シャッター速度やISO感度に常に留意をすれば、
三脚を常用する必要も無いであろう。
(注:私の場合、当然ながら、手持ち撮影100%だ。
本ブログでは、基本的に三脚使用は非推奨である)
ただし、低速シャッター撮影に成り易い状態
なので、動体被写体には、あまり適正が無い。
*最高シャッター速度の制限
レンズシャッター機であり、設定絞り値に応じて
1/1250秒(F4)~1/1600秒(F5.6)~
1/2000秒(F8以上)が上限値だ。
レンズシャッター機の場合、絞り兼シャッター
羽根の動作距離があるので、絞り込むほどに
高速シャッターが可能となる。でも、実用上では
絞りを開けた場合に高速シャッターが欲しいので
これの原理と実用性は矛盾している。
これの対策としては、日中晴天時で、ISO100で
絞りF5.6程度とすれば、1/1000秒程度までの
シャッター速度となるので、制限にかからずに済む。
(注:F5.6にした時点で上限値は1/1600秒となる)
絞り開放(F4)は、遠距離撮影には使わず
近接撮影等で弱暗所での利用に限るのが良い。
なお、絞り開放の際には被写界深度が浅くなり、
背景を軽くボカした撮影表現も可能だ。
(参考:その際のボケ質だが、像面湾曲や非点収差が
良く補正されている模様であり、大口径広角レンズや
近接広角レンズでありがちな、ボケ質破綻は、発生し
難いという長所がある)
なお、前述のように高感度特性が弱いカメラなので
シャッター速度オーバーを回避する目的のND(減光)
フィルターは常時は使えない、同様にPLフィルターも
常用は厳しい。
なんだか、撮影条件を極めて制限する、非常に難しい
カメラとなっている。カメラ側の全ての限界性能が
低いので、それらを理解し、制御あるいは回避が
できる超上級層向けだ。
*レンズ鏡筒の表面仕上げがツルツルである
MF操作が若干やりにくい点と、レンズに指紋等が
べったりついてしまう弱点となる。
MF操作は近接撮影時以外では、まず行う事は
無いが、AF時でも、カメラの重心バランスを保持
する為には、レンズ鏡筒を持つ必要がある訳だ。
(注:稀に、勝手にシームレスMFとなってしまう。
同様に、十字キー上のAF/MF切り替えも、カメラを
保持した際に勝手に切り替わり易いので要注意だ)
なお、オプションで「ベースグリップ」が用意
されている。ここもCOSINA製の旧型同等品の装着を
試してみたが、特にホールディングでの有益性は
感じられず、MF撮影時での持ち替えも面倒だ。
あくまで趣味的なオプションであろう。
*バッテリーの持ちが悪い
CIPA基準で200枚の撮影枚数しかなく、
これは近代機の中では最低レベルとなる。
が、実使用上では、小画素(500万画素)のJPEG
撮影時で、1000枚程度の大量撮影でも、まだ
1/4ほどバッテリーが残っていたので、恐らくは
1200枚程度までは十分に撮影できたであろう。
「CIPA規格での5倍~6倍の撮影枚数」が個人的な
目標値なので、これはだいたいOKであるし、
このカメラの特性上でも、1日に1000枚以上撮る
ケースは、まずあり得ないと思うので問題は無い。
なお、撮影可能枚数が少ない為、この製品には
バッテリーが2個同梱されている。

では、最後に、本機の評価点数を上げておこう。
なお、いつも書く事だが、こういう評価項目や評価
内容は、オーナー毎のカメラの利用方法等に大きく
依存する為、必ずユーザー個々に行うべきだ。
(→他人の評価は参考にならない、という意味)
<SIGMA dp0 Quattro 個人評価点>
【基本・付加性能】★★☆
【描写力・表現力】★★★★☆
【操作性・操作系】★★
【高級感・仕上げ】★★★☆
【マニアック度 】★★★★★
【エンジョイ度 】★★★
【購入時コスパ 】★★(新古購入価格:66,000円)
【完成度(当時)】★★☆
【歴史的価値 】★★★★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.33点
この評価点の傾向は、非常にデコボコしている。
簡単に述べれば、描写力が良く、マニアックで
かつ歴史的価値が高い機体だ。
(注:描写表現力は、当初5点満点を与えていたが、
逆光耐性の課題が重大であり、少し減点している)
しかし、他の評価項目のほとんどが標準点(3点)
程度か、それを下回っている。
弱点が多く、非常にクセが強い機体だ。
全般的に、殆どの弱点は、カメラ側の性能を発揮
できる撮影条件が極めて限られている事に起因する。
「Foveon X3」の性能が上手くハマった場合での
高描写力を絶賛するマニアのユーザー層は多いのだが、
その結果を得る為には、他の大半の写真を「失敗作」
として切り捨てる条件(覚悟)が必要だ。
この歩留まり(成功率)の悪さを、どう見るかは
ユーザー個々の利用ケースによる判断になるだろう。
(少なくとも、重要な用途、すなわち実用・業務の
撮影には、安全に使えるカメラでは無い)
すなわち、本機ほど「ユーザーを選ぶ」カメラは
他に無いとも言え、評価点の傾向はオーナー個々に
さらにバラつく傾向があるだろう事は注意点だ。
使いこなせなければ、完全な「ダメカメラ」だ。
まあでも、評価総合(平均)点が3.0を超えて
3.3点程度もあれば、まずまずのカメラだと言える。
(この為「歴代カメラ選手権」シリーズ(予定)に、
急遽、下位ながらも追加選出される事となった)
----
では、本記事は、このあたりまでで。
本シリーズの対象となる(デジタル)コンパクト機
は、2010年代から市場縮退が著しく、かなり高価な
高付加価値型機体と、特殊用途カメラしか存在しない。
・・なので、滅多にそれらを買う事は無いが、もし
また何か、マニアックな機体を入手する事があれば、
引き続き本シリーズで紹介する。