本シリーズでは、写真撮影に係わる用語で、本ブログの
範囲でのみ使われたり、一般的では無い専門用語を解説
している。
前々回から今回までの3記事は「補足編」という事で、
「初級者(ビギナー層)の変な習慣編」と称して、
初級者が誤解をしている(と思われる)、写真関連の
習慣、用語、技法、概念などを順不同、かつ雑多な項目
として説明している。
なお、今回の記事群では、項目(テーマ)の数は多め、
個々の解説文章は少な目としている。
また、本シリーズでは用語の前には「★」マークをつける
慣習であるが、この前中後編では、「やってはならない事」
という意味がある項目には、「X」マークをつける事とする。
<初級者の変な習慣 後編>
X画質の悪い写真を「フィルムっぽい」と言う
これはビギナー層から良く聞く話だ。
トイレンズとかオールドレンズで撮った写真、あるいは
ビギナー等が、正しい機材設定や撮影技法・編集技法等を
行わずして低画質化(Lo-Fi化)してしまった写真。
はたまた、フィルムからのスキャンニングでデジタル化は
したが、何か解像感や色味がおかしくなっている(デジタル)
写真を見ると、それを見た他のビギナー層からは、必ずと
言っていいほど「フィルムっぽい(雰囲気の)写真ですね」
という感想が出てくる。
だが、フィルムの写真の本当の画質を、そうした
ビギナー層や若年層は、知っているのだろうか?
何も知らずに、「フィルムは写りが悪い」と思い込んで
いるだけのように思えてならない。
また、近年では、スマホ用アプリで、スマホ等で撮った
写真を「フィルムカメラ風」と称して自動加工できるもの
が人気だ。基本的にそのアプリは、いわゆる「Lo-Fi」型の
デジタルエフェクトなので、それそのもの「設計思想」は
何ら問題無いどころか、むしろ、過去の時代の名カメラを
シミュレートしたりもするので「秀逸だ」と思うのだが・・
課題は、「そういう低画質な写真こそがフィルム写真だ」
と思い込んでしまう、フィルムを知らない世代にある。
フィルム写真は、実際には非常に高画質だ。
以下、2000年前後に撮影した何枚かのフィルム写真を、
自宅のスキャナでデジタル化した写真を掲載する。

MINOLTA α-SweetⅡ(初級機)+MINOLTA AF50mm/F2.8
Macro(初期型、1985年製)での撮影だったと思う。
フィルムは恐らくFUIIFILM Velvia 100F(リバーサル/
または「ポジ」とも呼ばれる)だった。
構図の端が僅かに切れてしまっているのは、これは
マウントしているからだ。(ここで「マウント」とは、
ポジフィルムを映写用に挟む、紙や樹脂の「枠」の事)
この為、枠が僅かに写真の構図内に入り込んでしまう。
視野率100%などという高級カメラを使ったとしても、
マウント形態では精密な構図にならず、意味が無かった。
むしろ視野率90%程度の定価格帯機で、構図をユルく
撮った方がマウント向きであったかも知れない。

こちらはカメラ・レンズは不明、恐らくだがPENTAX LX
+高性能レンズPENTAX-FA77mm/F1.8だったか?
これもマウントの弊害で、スライド写真がズレてしまい
パーフォレーション(=フィルムの送り穴)が見えて
しまっている。手でフィルムの位置を直す事は容易だが、
これがフィルム写真である証拠を示す為、あえてこのまま
掲載しておこう。

機材不明、恐らくだが、MINOLTA α-7 +超望遠ズーム
TAMRON AF 200-400mm/F5.6 LD だったと思う。
フィルムはISO400のリバーサルのTREBIだったか。
銀塩時代は、カメラにもレンズにも手ブレ補正機能が無い
ケースが普通であったが、まあ、それでも当時は皆、
それで撮っていたし、何も不満は無かった。

機材不明、ボケ量が大きいので、大口径中望遠レンズか?
フィルムの発色が大人しいので、FUJI Velviaでは無く、
PROVIAかTREBIを用いたと思われる。当時、これらは
ISO400のポジがあったと記憶している。Velviaは発色が
良いが、低感度のISO50/100があるだけだった。
確か、夕刻の撮影に備え高感度(といっても、ISO400だが)
フィルムを入れていたように思う。
(注:フィルムの原本を探し出して見れば、フィルムの
銘柄は、フィルム上に書いてあるケースが多いのだが、
マウント形態にしている場合、それを剥がさないと銘柄は
見れないので、少々やっかいな為、今回は行っていない)

単焦点魚眼レンズあるいはPENTAX製魚眼ズームを用いた
写真だ。良く見ると、ところどころに、フィルムに
付着したゴミが見てとれる。これはスキャナの機能での
自動ゴミ取り処理か、あるいは「画像編集」により手動で
取り除けるが、これもまた、フィルムで撮った事を示す為、
このままで掲載しておこう。
・・という事で、正当な銀塩機材(高性能レンズや
高品質なフィルム、あるいは高性能コンパクト機)を
用いたならば、フィルムの写真は、デジタルに勝るとも
劣らず、ましてや2000年頃の銀塩末期の時代であれば、
当時の初期デジタルカメラよりも、フィルム写真の方が、
ずっと高画質であった。
あるいは、別の状況は、1990年代で「写ルンです」等
を使って、品質の悪い「0円プリント」で処理したり、
または「チェキ」等を用いたインスタント写真を見ての
印象であろう。それらしか「フィルムカメラ」などは
使った事が無い人の比率が、1980年代以降生まれの
人達には、かなり多い。
結局、「フィルムの画質が低い」というのは誤解であるし、
低画質のデジタル写真を「フィルムっぽい」と言うのも、
正当な表現では無い。
なお、2000年代、ビギナーのアート系ブロガー等では
フィルム写真を都度、スキャンしてブログに掲載して
いた人達もまだ多かったのだが、その際、スキャナの
設定が適正では無く、その段階で画質をかなり落とし
たり、色味が無茶苦茶となってしまった人達も結構居た。
スキャナの設定は、デジタルの知識が無いと出来ない。
おまかせモード、とか、自動モードでは上手くいかない
ケースも多々あるのだ。(→少しだけ後述する)
また、画像編集(レタッチ)も、まだ、この時代では
一般的ではなく、それをするには知識や技能や機材環境
が求められた(注:だから、それができない人達は、
画像編集を「邪道だ」「卑怯だ」とか言っていた時代だ)
以降のデジタル時代では、フィルムなど使った事が
無い人が、世の中の殆どであるし、画質が悪い写真を
「フィルムっぽい」と言ってしまえば、それで話が通じて
しまうという、ただそれだけの理由での誤解だと思う。
なお、現代においては、「写ルンです」等のレンズ付き
フィルム(=使い切りカメラ)を購入し、それを現像後に、
デジタル化されたデータ(注:自動現像機でのダイレクト
プリント機能でのラインセンサーによるスキャンニングを
行ってデジタイズする)をCD-ROMに焼いたり、又はスマホに
転送するオプションサービスがあるが・・
その際の注意点としては、まず画素数(解像度)が低い
(例:200万画素程度)点と、ネガフィルムの場合は、銘柄に
よってフィルムのベースカラーが異なっているので、それを
上手くキャリブレーションする必要があったり、あるいは、
その「カラープロファイル」(≒配色表)には、デジタル端末
(PC、タブレット、スマホ)等で閲覧する為のものと、および
各種プリンターを用いて写真印刷する際の物がある。
このあたりのデジタル(化)の仕組みを、凄く良く理解して
いないと、DPE店でスキャンニングしようが、自力でスキャン
しようが、フィルム(スライド)コピアーを使おうが、
そのカラーマネージメント(≒色味調整)は上手く行かず、
結局のところ「フィルムっぽい(→つまり、低画質であったり、
色味が無茶苦茶と、いう事を意味するのであろう)写真」に
なってしまう。これは「ビギナーだから」とかいうよりも
デジタル画像工学全般に精通していないと困難な話だと思う。
(追記:銀塩一眼レフを、そのまま用いて補助部品を加える。
例えば、フィルム面に別途撮像センサーを置いたり、又は
フィルム面や光学ファインダー画像をスマホで撮影したり
することで、すなわち「銀塩一眼レフをデジタル化する」
ような商品は数種類が発売されつつあるのだが・・
現状では、まだ色々と課題がある模様だ。
現代において、フィルム代や現像代/DPE代は、かなり高額
なので、このような「銀塩カメラのデジタル化」のニーズは
十分にある。この技術分野は、大メーカー等では手を出しにくい
と思うが、ベンチャー企業等には頑張って貰いたいと思う)
Xズームと望遠の区別がついていない
「ワタシのカメラはズームが効かない」という話も、
非常に良くビギナー層から聞く。
ズームレンズが故障しているのかな? と思って詳しく
話を聞くと、どうやら、「望遠域が足りない」という
意味な模様だ。
まあ、標準ズームキットを購入したビギナー層では、
その画角は、だいたい28mm~90mmあたりなので、
それでは本格的望遠撮影が出来ないのは当たり前だ。

望遠機材が欲しければ買うしか無いのだが、まあ、
中編記事で書いたように、ビギナー層では自身の目的に
合ったレンズを選ぶ事が出来ないので、やむを得ないか・・
X単焦点レンズが怖くて使えない
(伸び悩んでいる)ビギナー層に向け、「(上達の為には)
単焦点レンズを使うと良い」と、アドバイスする中上級層
は多いと思う。そして、そのアドバイスは基本的には、
間違っていない。
で、短焦点と単焦点が区別できる程度のビギナーであれば、
(注:その区別がついていない人達も多い。
ちなみに「短焦点」という用語は、写真の世界では殆ど
使われない、どちらかと言えば、プロジェクター等の
他の光学機器の場合だ。それと、写真(レンズ)用語と
してあえて「短焦点」と言う場合、「レンズの焦点距離
と比較して鏡筒の長さが短い」という、全く別の意味と
なってしまうケースもあるので要注意だ。
ちなみに、ここらへんの光学専門用語は、業界内で統一
されている訳では無く、使う専門家等によりまちまちで
あるので、怪しい用語については、必ずそれが、どんな
定義であるかを確認する必要がある)
・・そのビギナーであれば、単焦点を使う事で、それまでの
標準ズーム等では練習や概念習得が難しかった、被写界深度
等も、良く理解できると思われる。

ただ、こういうアドバイスをした場合、たいていビギナーから
「単焦点は使えません、広く撮りたい時や、遠くのものを
撮りたい時だってあるでしょう? ズームが付いてなくちゃ」
という反論(否定)が来てしまう場合が殆どなのだ。
まあ、せっかく周囲の人達が有益なアドバイスをしている
のに、聞き耳を立てない、というのは残念な状況である。
ビギナー層の場合「遠くの被写体を必ず撮らなくてはならない」
などというケースは無いのだから(=写真を撮るという行為に
責任が無いのだから)単焦点を怖がらずに、どんどんと試して
みれば良いだけの話だ。
Xマニュアル(?)で撮る
(伸び悩んでいる)ビギナー層に向け、「(上達の為には)
マニュアルで撮ると良い」と、アドバイスする中上級層
は多いと思う。しかし、そのアドバイスは、中途半端か
または誤りだ。
まず、このアドバイスの意味が「AF(オートフォーカス)
に頼らず、MF(マニュアルフォーカス)を使う練習を
しなさい」というならば、これは間違っていない。
しかし、こういう細かい説明がちゃんとできない先輩達が
極めて多く、そのアドバイスを聞いたビギナーは、哀れ、
「 M(マニュアル)露出モード」として撮ってるケースが
大半である。
ところが、M露出とすると、まず露出を合わせるのに苦労
するし、ただでさえわからない、絞り、シャッター速度
の概念が、2つ同時に襲ってきて、わけがわからなくなる。
おまけに、AUTO ISO設定にしているか、手動ISO設定なの
かも、そのビギナーは良くわかっていないし、さらには
一部のメーカーの機種では、M露出時に、ISO感度が自動
追従して常に適正露出にしようとする振る舞いとなる。
また、露出補正は、M露出モードでは効かないケースが
大多数であるし、結局、何がなんだかわからないままで
M(マニュアル)露出モード状態で撮り続けている訳だ。
これはもう完全に先輩層の説明不足であろう。
別にM露出を練習しても悪くは無いが、意味がわからない
ままで、その露出モードで撮っていたら、ややこしさを
助長するだけだ、きっと、撮っているビギナーも、写真に
面白さや興味を持つ事は無いであろう。

MFで撮るのも同様、大口径レンズやマクロレンズならば
いざしらず、全般的に被写界深度が深い標準ズーム等で
MFで撮る必然性はあまり無い。
おまけに、M露出+MFで撮っている可哀想なビギナーも
居て、1枚の写真を撮るだけでも、とてつもない余計な
時間がかかってしまう。

つまり、いずれの場合でも「マニュアルで撮れ」という
アドバイスは、その正確な撮影技法や、それの効能や意味を
合わせて正しく説明・指導できない限り、ビギナー層を
混乱させてしまい、さらには、非効率的なカメラ操作ばかり
を強いて、ビギナー層での「撮る楽しみ」を阻害してしまう。
まあ、ビギナーにとって、MF+M露出などという撮影技法は
苦行そのものであろう。くれぐれも、ちゃんとした指導が
出来ないならば、余計なアドバイスはするなかれ。
X動きモノが撮れない
ビギナー層の場合、動いている被写体を撮るのが苦手
(あるいは、全く撮れない)という人が極めて多い。

これには、いくつかの理由(原因)がある。
1)AFに頼ってしまう
現代のカメラ側の高性能AFや、レンズ側の超音波
モーター等を用いても、例えば空を飛ぶ小さい鳥に
一瞬でピントを合わせる等の芸当は非常に困難だ。
以前、カメラのTV CMで、「飛んでいる鳥にもすぐに
AFが合う」という趣旨の宣伝があったのだが、これを
実現するには、まずはカメラ本体とレンズのいずれもが
高性能であり、かつ被写体を精度の高い中央部センサー
で被写体の動きに同調して、手持ちで追い続ける事が
出来る高い技能(技術)が必要である。
まあつまり、ビギナー層では、それは無理な話だ。
(=カメラの性能ではなく、撮影者の技能で実現できる話)
(注:ごく近年の機体で、AI(人工知能)による被写体
認識機能で、「野鳥」というモードが入っているカメラ
が存在する。当該機能を持ったカメラは所有していない
ので、その合焦精度や追従速度等は不明だ。
・・ただ、本ブログでの「プログラミングシリーズ
第14回」「鳥を数えるソフトのプログラミング」編で
AIに匹敵する高いレベルの独自画像処理アルゴリズムに
より、鳥の数を数えるソフトウェアを自作した実例を
紹介しているが、高度に調整したアルゴリズムでも
精度を高める設定をすると、検知できない鳥が出て
くるし、逆に精度を低めると、検知漏れは無くなるが、
逆に「誤検出」を起こしてしまう。いくら深層学習
(ディープ・ラーニング≒AIの事)で、鳥の姿や形を
多数学習させたとしても、鳥の種類は千差万別だし
飛行中の形態もまちまちだ。そう簡単には、カメラの
搭載CPUの貧弱な演算能力で、ほぼ全ての種類の鳥の
飛行状態を完全に認識できるとは、どうも思いにくい)
・・したがって、AFに頼って動体被写体を撮る事自体が
少々無理があり、AFロックとかMFとか、そういう技法を
被写体の状況(画面内面積や移動角速度)に応じて
駆使しないとならない。これについては練習あるのみ
であるが、写真教室等では、動体撮影の実習は、初級
コースから行う事すらある、まあつまり、これ位のレベル
であっても、これは比較的難易度の低い練習なのだ。
「ともかく練習が必要である」と思っておくのが良い。
2)シャッター(レリーズ)タイムラグがある
前編記事で「ワタシのカメラはシャッターが遅い」の
件について解説したが、それを間違って解釈している
ケースはさておき、ここで実際にそれが起こるのは
カメラの機種によりシャッター(レリーズ)タイムラグ
が異なり、一般的に、高性能の一眼レフやミラーレス機
以外では、その遅れは結構大きい、という事実である。
また、コンパクト機やスマホのフラッシュ使用時等では、
さらにそれが顕著であり、自分が思ったタイミングで
シャッターが切れない、という大きな課題がある。
ただこれもまた、自身の所有するカメラの性能に合わせて
の練習しかない。テーマパークでのスプラッシュ系の
ライドとか、踏み切り待ちでの電車撮影等で、その練習が
有効である例を挙げておく。

3)被写界深度を考慮しない
動体撮影で相対距離が随時変化する場合、これは
カメラにいくら優秀な「動体追従AF機能」があっても、
ピントを外してしまうケースは良くある。
こういう場合は、被写界深度を考察し、相対距離が
変化した場合でもカバーできるようにしておくのが賢明だ。
具体的には、被写界深度を増やす方向に設定するが、
その際、単に絞りを絞りすぎると、ISO感度によっては
シャッター速度が遅くなりすぎて、動体が被写体ブレ
を起こしてしまう。どのくらいのシャッター速度で
被写体ブレを起こすかは、撮影者から見た角速度で
決まる為、「何分の1秒以上あれば大丈夫」という定義は
する事ができない。
まあ、概ね、速く動く被写体や近距離で移動する被写体
は、相応にシャッター速度を高めないとならない。
これについても経験則を積んでいくしか無いであろう。
4)被写体の動きに追従してカメラを振れない
ビギナー層では、カメラの「動体追従AF機能の性能」と
「AF測距点数」というスペック(性能)に頼って、動体を
撮影しようとするが、それはちょっと他力本願すぎる。
基本的に動体撮影は、動体の移動方向と移動速度に
合わせ、カメラを振り(≒パン)続けなければならない。
どんな移動被写体でも、常に中央測距点をキープ
しつづけれる技能さえ身につけてしまえば、若干貧弱な
AF性能(カメラ、レンズ)だろうが、あるいはMFで撮る
事も可能になる。ここも練習あるのみ、くれぐれも、
CANON EOS 7D MarkⅡやNIKON D500といった、動体AF
に優れたカメラのAF性能だけに頼っては撮らない事だ。
ちなみに、私は両機を所有しているが、ほぼ100%
中央測距点のみのスポットAFのモードで撮影している。
ちなみに、常に三脚を立てて撮っていると、動体被写体に
3次元的に自在にカメラを追従させる、という技法は
永久に身に付かない。
5)測距点選択がオート(または広範囲)になっている
上で説明した事と同じである。多点測距と動体追従AF
という性能には頼らない事が賢明だ。実際の様々な
実用(実践)撮影では、そういうカメラ内の機能を
あてにして撮っても、まず上手くいかない。
趣味撮影ならば失敗しても許されるが、業務撮影や
あるいは趣味撮影であっても、絶対に撮らなければ
ならない、というケースは多々有り得るだろう。
そんな際、限界性能も知らないでカメラの機能だけに
頼って撮るのであろうか?それは無茶な話だ。
まずは、ここに挙げたような様々な、撮影者側の
スキル(技能、技術、知識、経験)で動体撮影を
行うか、あるいは、もしカメラの機能に頼るならば、
何十万枚もの、様々な動体撮影を経験し、どのあたり
までであれば、カメラのAF性能が追従できるか?を
知っておくべきであろう。その検証作業が最も重要だ。

ちなみに、他人の評価やレビューをあてにしても無意味だ、
撮影技法や技能は個々のユーザーによりけりである。
例えば、近づいてくる自動車や電車を撮って、どこまで
ピントが追従するか? という検証も、実際にはレンズ
の性能とか撮影技能によりけりである。そして、その
程度の予測可能な動体被写体であれば、一般的にはMF
で十分かつ確実であり、「外すかもしれない」AFには
頼る事はできない。
まあでも、自身の撮影技能の範囲で、そういう練習を
行う事は無駄にはならない、あくまで自身で試す事だ。
例えば、動体被写体の図柄をファインダーで目視しながら
感度の高いクロスセンサー部の測距点に、その構図を必ず
追従させる、程度の高度な技法が使えるようになれば、
もうカメラやレンズのAF性能等は、どうでも良くなる。
X目的と経緯を逆に考えてしまう
これは、別シリーズの「プログラミング・シリーズ」記事
でも良く書く事である。
プログラミング、画像レタッチ編集、オフィス系ソフト等を
習得しようとする際、まず「目的」があって、それを実現する
為に機能や手法といった「経緯」(プロセス、いきさつ)を
検討するのが正当だ。

何をしたいかの目的が無くて、その状態で、エクセルの関数
の種類やグラフの表示の種類を学んだり、あるいはレタッチ
ソフトで、色温度補正やベジェ曲線の描き方を学んでも
無意味である。
カメラについても同様、何がしたいかがわからない、または
理解していないのに、測光パターン変更の方法とか、ISO感度
の手動調整のしかたとか、被写界深度合成のやりかたとか、
そういう「機能」ばかりを学んだとしても殆ど意味が無い。
これらは全て「目的と経緯を逆に考えてしまう」という
課題であって、ビギナー層のみならず中級層あたりまで
が陥り易い。そういった機能等だけを学んでいるのでは、
それは単なる「習い事」となり、それは必ず限界が来る、
なぜならば、昔の時代の「習い事」とは異なり、デジタル
機器(カメラを含む)の新機能等は、デジタル的に非常に
高度な知識や理解力が要求される。これは専門家レベルの
基礎的な素養が無いと、理解不可能とも言えるものだから、
個々の機能を学ぼうとしても、理解不能、記憶容量オーバー
で挫折してしまう訳だ・・・
X「何を撮ったら良いか、わからない」と言う
これもビギナー層によくある課題。
ここの根源は、これも「目的と経緯を逆に考えてしまう」
にあって、つまり、どんな目的に使うかを熟考せずに
安易にカメラ等を買ってしまう事があるのではなかろうか?

「カメラが欲しい」と、その事ばかりに頭がいっぱいになり
実際にそのカメラを入手したら、どんな目的にそれを使う
のかをちゃんと考えていないと、そういう事態に陥って
しまう事が多々ある。
X「安かろう、悪かろう」と考えてしまう
ここは「自分自身の価値感覚・価値判断基準を持たない」
という話と、ほぼ等価である。
こういう考えだと、高価な商品をありがたがるように
なってしまい、無理をしてもそれを欲しがる。
そして、安価な商品の事は、「安かろう、悪かろう」と
思い込み、買う事もしないし、仮に買ったとしても、
「これはダメな商品だ」と思い込んで、ちゃんと使いこなそう
ともせずに、処分したり死蔵させてしまう。
これらは、あまり好ましい考え方では無い。
そうでは無く、全てのジャンルの商品には、その価格と
効能のバランスがある訳であり、それを一般には「コスパ」
(コスト・パフォーマンス)と呼ぶ。
この「コスパ」を最重要視して商品の価値を考える事は、
ごく当たり前の当然の考えだが、これすらも一部の人達には
理解されず、単に値段の安い(しかし効能が伴わない)
商品の事を「コスパが良い」等と誤って評価してしまうし、
あるいは逆に、値段が高い(しかし性能や効能が優れる)
ものを「コスパが悪い」などと言うのだが、こちらは
そうでは無く、正しくは「コストが高い」である。

ここは当たり前の話をしているのだが、モノが溢れた現代
において「モノを新たに購入する」という経験値が大幅に
不足している人達が多数居る、という世情が課題であろう。
だから、ビギナーとか、そうで無いかに係わらず、多くの
ユーザーは、コスパの悪い買い物をしてしまっているのが
現状だ。
ただまあ、そういう「無駄な買い物」により、現代の
経済が支えられているのも事実なので、そうした購買
行動を否定する事はできない。
まあここは、あくまでユーザー次第であり、個々のユーザー
が自身の消費論理に基づいて行動すれば良いだけの話だ。
個人的な話で言えば「コスパに劣る商品は絶対に買わない」
でも、それは私の購買倫理であり、他人にもそれが適用
されるかどうかは、それぞれの考え方に委ねられる。
しかしながら、本題に戻って「安かろう、悪かろう」と
ちゃんと評価しない(評価できない)というのは、やはり
問題点である。安い商品は安いなりに、どういう部分の
性能や効能を省略して、安価になっているのか? を分析
する事が最も重要だ。
その省略された性能や効能が、ユーザー自身にとって全く
不要なものであれば、その商品はコスパに優れる訳であり、
決して「安かろう、悪かろう」では無い。
X箱をあけますレビュー(をする)
新しく買った機材のレビュー記事をビギナー層が書く際
「じゃあ、今から箱を開けます、ジャジャーン」といった
連続写真や動画などを投稿するケースが多いのだが、
それを他者が見た際、一体なんの参考になるのだろうか?

全く無意味な、情報量ゼロのレビューだ。
まるで、玩具を買ってもらって喜んでいる子供のようだ。
買ってすぐにレビューをせず、少なくと半年や1年は、
じっくりと使い込んだ上で、そのユーザーならではの視点
でのレビュー記事を期待する次第である。
Xレンズが欲しいレビュー(をする)
ビギナー層、あるいはこれは評論家層にも当てはまるのだが
レンズ(やカメラ)が欲しい、とか言って、そのレンズ等の
性能や評価などを他の製品と比較するレビュー記事が多い
のであるが、残念ながら、これも情報価値は極めて小さい。
まずは、自分で購入し、かつ長期間に渡って使用した機材や
商品で無いと、正当な評価は出来ない(してはならない)
筈である、ここは大原則だ。

余談だが、以前、カメラとは別分野の商品において、ベスト
10を決める、といった特集の載った雑誌を買ってきて読んで
いたのだが、そこで順位を決める人達は、販売店とかメーカー
とか、そういう、いわゆる「専門家」や「評論家」である。
ただ、記事を読み進めていると、そういう専門家の意見で
「この商品ならば、私も欲しいと思った」というものを見つけた、
詳しく読んでみると、その評論家達の誰もが、そのベスト10に
選出した商品を自分で購入して使用している形跡がまるで無い。
「なんだ、買ってもいないものを人(読者)に勧めるのか?」
と、極めて不快になって、その情報を一切参考にしない事に
決めた。(その雑誌はゴミ箱に捨てた)
まあカメラやレンズであっても同様、自分で買う気にすら
ならないような製品を、評価したり人に勧めてはならない。
Xなんでもかんでも連写する
近年の高性能カメラでは、「付加価値」の向上の為に
連写性能(速度、枚数)を充実させている機体が多い。
そして、近年のビギナー層では、そういう高級機ばかり
を欲しがるから(=自身の腕前に自信が無い為、機材の
性能に頼ろうとしてしまう)必然的に、ビギナー層でも
連写機能の高いカメラを所有する事になる。
だが、この状態において、「無駄な連写」を行っている
ビギナー層が極めて多数増えているのだ。
例えば、静止被写体、温室の花などでも、連写するし、
ピントが合う筈も無い、空を飛ぶ鳥なども連写をして
撮ろうとする。
勿論、全然無意味で無駄な行為だ、そして連写をする
理由がある被写体と、そうで無い被写体の区別がついて
いない。
まあ、連写で無駄に機体のシャッター寿命を減らしたり、
写真の保管容量が無駄に増えたり、撮り過ぎてあとで
編集や選別をする気も起こらなくなる・・ 等の
デメリットがちゃんとわかっているならば。
無駄な連写の習慣は、とっくにやめている筈なのだが・・

それと、困った(悪い)実例を2つ挙げておく。
1つは、アマチュアの金満家ユーザーなどが最も高価な
旗艦機級のカメラを買う。その高性能や高価格を自慢
したいが為に、周囲に他のカメラマンが居る撮影スポット
等で、無意味な高速連写をしているそうだ。
その話はいたるところから聞くが、私がたまたまそういう
状況を目撃した時は、「沢山撮られているようですが、
お仕事か、コンテストにでも写真を使うのですか?」と
やんわりと聞くようにしている。
これは効果てきめんで、「いえいえ・・」と否定された
後では、金満家が、そうした気に障る高速連写をする事は
まず無い。
もう1つのケースだが、報道関係者の課題だ。
記者会見、各種イベント、ゴルフ等のスポーツ競技等で、
特に連写音が耳障りな機体(たいていがNIKON製高級機だ)
で、会話や発言が聞こえなくなるほど、あるいはスポーツ
選手達が集中力を切らしてしまうほどの大音量で、
「ダダダダ・・」と、複数の記者が高速連写撮影をしている
その模様がTV等で放映されると、(海外で特に多い)かなり
不愉快だ。
1)状況やマナーを考えず、写真を撮る事だけが優先。
2)そうだとしても多数撮り過ぎている。銀塩時代の
優秀な報道カメラマンでの、1発必中でシーンを押さえる
とか、そういう技能はもう失われてしまったのだろうか?
3)報道で使われる事がわかっているならば、メーカーも
もっと静音化に配慮するべきだ。私も、その手のカメラ
を使っていて、業務上での静かなイベント撮影等で
お客さん等からクレームが来た経験は何度もある。
(撮っている方は仕事であっても、お金を払っているお客さん
を優先する必要がある。本件に限らず、世間一般で、この
原則が守られていない誤まった「プロ意識」が非常に多い)
・・という理由だ、まあ、自分でどうにかなる問題であれば
私も文句は言いたくないが、これらは他者の問題点だ。
X「シャッターチャンスを待つ」と言う
ビギナー層が考える、一般的な概念での「シャッター
チャンス」とは、実は現実的には有り得ない話だ。

これについては長くなるし、同様なテーマで過去にも
解説している。
本シリーズ第21回記事、項目「シャッターチャンス」
を参照の事。
X想定外を想定していない
撮影中に大雨になるとか、カメラが故障するとか、
メモリーカードの読み書きが出来なくなるとか、そういった
想定外の状態を、ビギナー層または楽観的な層ではまるで
心配(想定)していない。
勿論、困った話であるので、より多くの想定外の事態にも
気を廻しておくべきた。

1つ余談(実例)をあげておく。
先年の台風で、家のTV受信アンテナに被害が出て、TVが
写ったり写らなくなったりしていた。アンテナの向きだけの
問題では無さそうなので、これはもう、修理業者を呼んで
直してもらうしかない。
その間、DVD(HDD)レコーダーの予約録画の時刻となり、
レコーダーが自動で録画を始めたのだが、どうやら最初
または途中で、受信信号が途切れてしまったようだ。
予約録画の終了時刻となると、なんだかレコーダーの表示
がおかしくなったが、一応録画は終了した模様で、電源が
自動停止した。しかし、その後、確認の為、レコーダーの
リモコンを押すが、反応せず、電源が全く入らない。
私は「これは、暴走したな?」と思い、レコーダーの
操作パネルを開けると、小さいリセットボタンを見つけた
ので、細い棒でそれを押すと、機器がリセットされた。
そこから「ディスクチェック」の表示が出て10分近くも
待たされたが、ようやくレコーダーの操作が回復。
電波途切れとなったと思われるタイトルを探すが、それは
何も録画されていない、つまり異常信号なので、途中で
機器が無限ループまたは暴走、一応規定の予約時間が過ぎて
機器自体は停止したが、バックグラウンド処理で記録映像の
論理整合性が無いので、ずっと考えたままで停止、一切の
リモコン操作を受け付けなくなったのであろう。
私は、このレコーダーに何が起こったのか?の状況を理解
できたのでリセット操作で事なきを得たが、一般の家庭なら、
慌てて修理業者か、購入した電気店に電話して、(有償で)
直しに来てもらわなければならなかった事であろう。
ただまあ、「録画中にアンテナが壊れる/外れる」という
ケースは、少なくとも映像機器を扱う設計者であれば
完全に「想定範囲内」であるべきだ。その程度の外乱で
機器が暴走してしまうような「ロバストでは無い設計」は
技術者的に言えば有り得ない話で、あまりに稚拙な設計だ。
こういうのも、広い意味で「想定外を想定していない」
あるいは「想定できない」という事と同じであろう。
で、こんな事は現代に始まったわけではなく、はるか昔から
極めて良くある話だ、たとえば、それを故事で言えば
「転ばぬ先の杖」と言う。まあ、ごく当たり前の常識だ。
X「絞りはいくつにして撮るのですか?」と聞く
まあ、恐らくは周囲の先輩カメラマン等から
「プログラム(AE)で撮らずに絞り優先(AE)で撮りなさい」
といったアドバイスを聞いて、それを守っての事だろうとは
思うのだが、その際、先輩等から、絞り値の変化による
具体的な効能を説明されていなかったとしたら、まあ
それは結局「絞りの効能を理解していない」という訳で
あり、だから「絞りはいくつにするのか?」という質問が
出てくる訳だろう。
しかし、被写界深度、収差、ボケ質等の話を、ビギナーに
説明する訳にもいかない、光学の専門家層でもなければ、
一般層においては、そんな話はチンプンカンプンだ。
そもそも、その質問者が、どのような表現で被写体を
撮りたいのか?も、わかりようがない。
結局、「絞り値は?」という質問に対しては、
「それは、貴方の望むように、お好きな値で」としか
答えようがない。
まあ、つまるところ、そういう質問をする前に、自身で
徹底的に(様々な絞り値で)撮って試してみたり、
書籍やWebで基本を勉強するしか無い訳だ・・
X自分が理解できない事を拒絶する
本ブログでは従前より現在に至るまで、写真や機材用法
等での、様々な新たな概念を提唱する事がある。
これはブログの範疇にとどまらず、日常のオフラインの
世界でも同様に知人等に「こういう新しい概念がある」と
紹介・説明をする事も多い。
だが、その新規の概念を聞いた人が、その理解の範囲を
超えてしまうと「オレには(ワタシには)わからない。
まあ、それは自分には関係が無い話だ」となってしまうか
又は、さらに「そんな事は無い」と拒絶や反論をされる
事すら多々ある。
まあ別に、私の方では、そういう新たな概念等を、宗教の
ように押し付けている訳ではなく、「何かの参考になれば」
と思っているだけだ。
自分が理解出来ない事や新しい事に、興味や好奇心が持てず
拒絶してしまうのでは、結局、自分がこれまで持っている
経験値から来るだけの、「固定的な概念や思い込み」から
1歩も抜け出す事はできない。
それは勿体無い話ではなかろうか・・?

さて、最後に今回の3編連載記事の項目タイトルだけを
挙げて、「変な習慣チェックシート」としておこう。
タイトル数は40項目、それぞれの[ ]に、当てはまる
場合は○なりを入れていき、○の数を合計する。
01[ ]雨が降ると撮影できない
02[ ]縦位置の撮影が出来ない
03[ ]三脚から外すとカメラを構えられない
04[ ](後ろに)反って撮る
05[ ]望遠レンズ等で、カメラのみを支える
06[ ]静止画撮影でライブビューAFを使う
07[ ]レンズフードの逆付けをする
08[ ]玉ボケをありがたがる
09[ ]最高画素数やRAWで撮る
10[ ]ピンボケと手ブレしか評価できない
11[ ]常にPLフィルターを装着して撮る
12[ ]初心者だから、と言い訳をする
13[ ]ワタシのカメラはシャッターが遅いと言う
14[ ]カメラの操作音を消していない
15[ ]カメラ本体(の事)にしか興味が無い
16[ ]手ブレ補正(機能)が入っていないと怖い
17[ ]適切なレンズを選べない
18[ ]ブランド銘や高価なものをありがたがる
19[ ]カタログスペックしか見ない
20[ ]ネット上の評判をあてにする
21[ ]中古品が怖くて買えない
22[ ]ストラップを正しく装着できない
23[ ]「望遠レンズが欲しい」と言う
24[ ]1台しか所有していないのに「愛機」や「名機」と言う
25[ ]カメラの電源を入れっぱなしにする
26[ ]画質の悪い写真を「フィルムっぽい写真」と言う
27[ ]ズームと望遠の区別がついていない
28[ ]単焦点レンズが怖くて使えない
29[ ]マニュアル(?)で撮る
30[ ]動きモノが撮れない
31[ ]目的と経緯を逆に考えてしまう
32[ ]「何を撮ったら良いか、わからない」と言う
33[ ]「安かろう、悪かろう」と考えてしまう
34[ ]箱をあけますレビュー(をする)
35[ ]レンズが欲しいレビュー(をする)
36[ ]なんでもかんでも連写する
37[ ]「シャッターチャンスを待つ」と言う
38[ ]想定外を想定していない
39[ ]「絞り値はいくつにして撮るのか?」と質問する
40[ ]自分が理解できない事を拒絶する
まあ、だいたいだが、○の数に応じて以下のような
感じの区分であろうか・・
30項目以上:超ビギナー/入門層
20~29項目:ビギナー(初級)層
10~19項目:中級層
10項目未満:上級層以上
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では、今回の記事はこのあたりまでで。
本シリーズは、本記事をもって暫定終了とする。