所有しているデジタル一眼レフの評価を行うシリーズ記事。
今回は補足編として、第四世代「高機能化と多様化の時代」
に発売された、やや古い機種について紹介しよう。
今回は2012年発売の、トランスルーセント・ミラー搭載
フルサイズ・デジタル一眼レフ「SONY α99」を取り上げる。
「トランスルーセント(Translucent)」とは”半透明/透過”
の意味であり、2010年発売のα55以降の、SONY製
αフタケタ機(Aマウント・デジタル一眼レフ)に搭載
された固定ミラー構造である。
ミラー動作が無い為に、連写性能が高まるメリットがある他、
EVF内の映像表示により、カメラ設定(露出補正、エフェクト
等)がリアルタイムに反映されたり、ピーキング表示が可能、
EVF内でのGUI的な操作系を実現できる等の、ミラーレス機と
一眼レフの良い所取りをしたようなカメラが実現出来る。
個人的に、この構造のαフタケタ機(注:αのフタケタ機
はデジタル一眼レフの型番だ。αのミラーレス機は、現状
αヒトケタの7/9/1系、四ケタ機α6000系等からなる)
・・は、好みであり、本シリーズ記事ではα65(第13回)、
α77Ⅱ(第18回)に続く、3機種目の紹介である。
さて、今回記事での装着レンズは2種類用意している。
まずは、TAMRON製のマクロレンズを使用してみよう。

レンズは、TAMRON SP 90mm/f2.8 Di Macro 1:1 USD
(Model F004)(中古購入価格 25,000円)
こちらは本機SONY α99と同年の2012年発売のレンズ
であり、このような組み合わせで、実際に撮っていた
ユーザーも多かったかも知れない。
さて、本機α99は前述した「αフタケタ機」としては
α55,α33,α77,α65,α57,α37に続く
7機種目である。(注:国内販売モデルのみの記載)
僅かに2年強の間に多数のα Aマウント機が展開された
他、全く同じ時期(2010年~2012年)に、多数の
「NEX」(Eマウント機)も並行して発売されている。
SONYとしては、この時代に、デジタルカメラ市場での
シェアの向上を目指したり、将来のカメラ事業の方向性
を模索する為に、集中的に多数の機種を投入したので
あろう。

本機発売の翌年2013年からは、一眼レフとミラーレス機
の両ブランドを「α」で統一し、プロユース(業務用途)
も含めた、本格派中上級ユーザー層をターゲットとする
製品戦略に転換している。
なお、NEXの方は最初期のNEX-3/5から、最終機のNEX-6
まで、機種毎に製品コンセプトが、かなり異なり、これは
「NEXはテストマーケティングであった」と、個人的には
分析している。つまり、様々な特色を持つミラーレス機を
並行発売して、ユーザー層からの評価や動向を調べていた
のであろう。(→そして、αのブランド統合に繋がった)

以下、まったくの余談であるが・・
昔から、「街で見かけた、不思議な看板、又は間違った
看板等」を、面白おかしく紹介する読者投稿誌がある。
その中で読者に人気だったのは「冷やし中華 始めたい」
という看板であり、これは勿論「冷やし中華 始めました」
の誤記であろう。が、これはインパクトのある内容なので
後年には投稿誌の範疇に留まらず「冷やし中華 始めたい」
と印刷されたTシャツまで販売されていたと記憶している。
私も、それを読んで大笑いしていたのだが・・ 後年に良く
良く考えてみると、「冷やし中華 始めたい」というのは、
「高度なテストマーケティングなのでは無かろうか?」
という可能性が考えられた。
つまり例えば、看板があったのは中華料理屋さんであり、
その店主は、その看板を書いて、お客さんの反応を探って
いたのではなかろうか? そこで、常連客達がそれを見て
A「うん、いいんじゃない? 冷やし中華、始めたら」
・・と賛同してくれたり、あるいは反対意見として、
B「いや、マスター、この店は”餃子”が美味しいの
だから、余計なメニューは作らなくてもいいよ。
オレは冷やし中華なんか食べないよ、餃子が命!」
・・などという話も出るかも知れない。
中華料理店のマスターは、そのように、お客さん達の意見
を集めてから、冷やし中華の発売可否を決めれば良い訳だ。
これで「テストマーケティング」が実施された事となる。
発売するならば、ここで初めて「冷やし中華 始めました」
という看板になるのだろう。

余談はさておき、本機α99は、テストマーケティングの
機体では無いと思う。この時代の直前には、ミラーレス機
やスマホの台頭が起こり、一眼レフ市場がそれらに
食われかけていた為、フルサイズ機による、圧倒的な大型
撮像センサーサイズの付加価値と、この時代に製造原価が
安価になった大型のセンサー部品により、商品の利益率を
向上させる事(=販売数が減っても利益が確保できる)が
コンセプトの機体だったと思われる。
本機以外にも、ちょうどこの年2012年には、カメラ
メーカー各社から、一般層でも手が届く価格帯の
多くのフルサイズ・デジタル一眼レフが発売された。
(例:CANON EOS-1D X、EOS 5D MarkⅢ、EOS 6D。
NIKON D4、D800/E、D600。SONY α99、DSC-RX1
(高級コンパクト機)等)これらより、本ブログでは、
2012年を「フルサイズ元年」と呼んでいる。
(注:1つの推察としては、2011年に東日本大震災が
起こり、各社としては同年の新機種発売を営業的に自粛。
また、SONYでは、それに加えて海外生産工場の洪水被害で
2011年予定の機種群の発売が遅れたケースもあった。
しかし、研究開発業務には影響が少なく進んでいたので、
翌2012年~2013年にかけ、SONYを始め、各社から
多数の新機種が発売された、という話かも知れない)

さて、ここで少し歴史を振り返ってみる。
MINOLTA/SONYにおける旗艦(最上位、ハイエンド)
機の変遷だ、まずは銀塩MF時代より。
まず、各カメラメーカーにおいて、旗艦機と言える
カテゴリーのカメラが一般化するのは、1971年の
CANON F-1(銀塩一眼レフ第1回記事)
NIKON F2 (銀塩一眼レフ第2回記事)
両機からであろう。(それ以前に、NIKON F 1959年
が存在しているが、かなり高価なシステムであり、
業務専用機と考え、一般的だとは見なしていない)
また、MINOLTAの旗艦機戦略も、ほぼこの時代からだ。
1973年:MINOLTA X-1
本機はMINOLTA銀塩MF機では唯一と言える旗艦機で
派生機種 X-1 MOTOR(1977年)等と共に、MF時代
に長期に渡って販売されていた。
しかし、まだこの時代ではMINOLTAにおいて旗艦機を
「9番機」とするルールは確立されていない。
(参考:SONYではMINOLTA時代からのカメラ型番の
採用ルールを踏襲している。 9番機の旗艦の上に
1番機が存在した事は、2021年のSONY α1の例が
あり、その源流はもしかすると、このMINOLTA X-1
であったかも知れない)
重厚長大な「超ド級戦艦」のイメージで、インパクト
は大きいが、高価で、あまり一般的な機体では無い。
使用レンズのマウントはMC系であり、後年のα(AF)
マウントとの装着互換性は無い。
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第4回記事参照)

ここからはMINOLTA α時代(1985年~2005年)
およびSONY時代(2006年~)における、α 9番機
(すなわちハイエンド機)の歴史を紹介しておく。
1985年:MINOLTA α-9000(故障廃棄)
MINOLTAが「α-7000」で、他社に先駆けて実用的な
AF一眼レフを発売した、いわゆる「αショック」の
同年に発売された最上位機。小型のボディに高機能・
高性能を詰め込んだ、初のα銀塩AF旗艦機と言え、
史上唯一の「フィルム手巻上げ式のAF機」である。
ユニークなコンセプトのマニアックな機体なので
銀塩時代に愛用したが、2000年頃に液晶部品が
劣化して表示が見えなくなった為、やむなく廃棄処分。
なお、当時のMINOLTAは、AF化(α)の開発を優先
していた為、噂にあったMF旗艦機(X-9/X-900?)
の発売は見送られた模様だ。
1992年:MINOLTA α-9xi(未所有)
史上初の1/12000秒シャッター搭載銀塩AF旗艦機。
自動化を極端に進めたコンセプトと高機能がウリで
あるが、運悪く、バブル崩壊とミノルタ特許訴訟の
タイミングに当たってしまい、商業的には成功した
とは言えない。
1998年:MINOLTA α-9(銀塩一眼第23回記事)
質実剛健というイメージの銀塩AF旗艦&名機、
1/12000秒シャッター搭載。
史上最強のファインダーを搭載していて、MⅡ型
スクリーン使用時のMF性能は、その後の時代の、
各社の、どの一眼レフをも上回る。
本機α-9が、MINOLTA最後の旗艦機である。
2003年:
MINOLTAはKONICAと経営統合し、KONICA MINOLTAと
なり、いくつかのデジタルカメラを発売したものの、
この時代にα 9番機(デジタル)の発売は無し。
2006年:
KONICA MINOLTAが「α」の事業をSONYに譲渡。
以降、SONYから、デジタル一眼レフを「α」の
ブランドで新規開発発売を開始している。
2008年:SONY α900(未所有)
SONY初のフルサイズ・デジタル一眼レフ。
銀塩機ライクなペンタプリズムのデザインが
個性的ではあるが、基本的には、SONY α700
(2007年、本シリーズ第7回記事参照)の
フルサイズ判、という印象があり、そのα700は、
地味なスペックの機体であったから、α900の
購入は見送っている。
2012年:SONY α99(本機)
2016年:SONY α99Ⅱ(未所有)
α99の小改良機。デザイン変更、操作子の改良、
画素数向上、AF・連写性能の向上、そして大きな
違いとしては、電子接点無しのオールドレンズ等を
使用時でも、内蔵手ブレ補正の焦点距離の手動設定
が可能になった。(注:ミラーレス機α7系Ⅱ型機
でも、この時代から、その機能が追加された)
現状では、SONY α(Aマウント)一眼レフ機の最終
機種であり、続く機体の新発売の可能性は低い。
ここ迄でMINOLTA時代のα 9番機は全て35mm判フィルム
使用の銀塩AF一眼レフカメラ。そして、SONY時代のα
9番機は、全てフルサイズ・デジタル一眼レフである。
なお、マニアには常識であるが、(KONICA)MINOLTA時代
のα型番には「-」(ハイフン)が入り、SONY時代の
αは、ハイフン無しである。
また、ミラーレス機(フルサイズ)では以下がある。
2017年:SONY α9(未所有)
2019年:SONY α9Ⅱ(未所有)

さて、本機α99の購入理由であるが、α Aマウント機の
ラインナップ縮退(=α Eマウント機が主力となった
からだ)を受け、銀塩時代から、個人的に多数所有して
いるα Aマウントレンズを、できるだけ長期に利用する
為に、中古相場が安価となった代表的なAマウント機を
何台か保有(キープ)しておこう、という考えである。
(つまり、Aマウントの予備機体という位置づけだ)
また、これ以前の所有Aマウント機は、全て減価償却
ルール(1枚3円の法則)を完遂している為、そろそろ
追加機種を買うタイミングでもあった。
・・とは言え、だいたいの代表機は所有しているので、
選択肢はα9番機、すなわちα900、α99、α99Ⅱ
の三択となった。
前述のようにα900は地味な印象で好みでは無く、
SONY暫定最終機種α99Ⅱは、中古相場がかなり
高価であるので、必然的にα99の選択となった。
私の本機購入時点(2020年初頭)での、α99の
中古相場は8万円~9万円程度であったが、当初
税込み8万円程度の機体を購入するつもりで、それを
店頭チェックしていると、背面モニターに瑕疵(問題点)
を発見、それを指摘しつつ、試しに値切ってみると
(近年では関西の中古店での値切りは、まず効かない)
店舗側から64,000円(税込)程度の安価な価格を
提示してくれたので、これを購入する事とした。
まあ、αフタケタ機はEVF搭載機であり、他の使用機も
全て背面モニターは収納位置にして使っているので、
「背面モニターに問題点があっても良いであろう」
という判断である。
(注:現在、α99の中古相場は、私の購入時点よりも
だいぶ下がっている。α(A)マウント機の、事実上の
終焉を見ての中古価格の下落であろう)

ちなみに、背面モニターを何故、収納位置(裏返し)
で使うか?は、明確な理由が5つある。
1)本機はEVF搭載機であり(動画撮影や、セルフィー、
ハイ/ローアングル撮影等を除く)一般的な静止画
撮影におけるメニュー操作や再生確認等は、全て
EVF内だけで行える為。
2)αフタケタ機の背面モニターの支持構造は
複雑であり、過酷な使用環境では、ここの耐久性が
柔(やわ)で、破損の危険性がある為。
3)本機のEVFの解像度は約236万ドット、背面モニター
は約123万ドットである為、ピント確認や設定操作、
は、いずれもEVFの方が有利である事。
4)本機等を、暗所の業務撮影(ステージ等)で使う
場合、撮影中/後の背面モニターの明かりは、周囲の
観客等の迷惑になるし、撮った写真を周囲に見られ
たくも無い為。(「良く/悪く、撮れてますね」とか
言ってくるような観客も中には居る)
5)2012年前後の多くのSONY機の背面モニターは
コーティングの品質および全体品質が悪く、
剥げてきたり、あるいは故障したりするから、
できるだけそうならないように、背面モニターを
収納位置として保護しておく。
(注:α Eマウント機を含め、所有機中の4台が
この状態になっている/なった。その理由は、
2011年の東日本大震災および、SONYタイ工場
の洪水被害により代替部品を使ったからだ、と
推測している。ちなみに2011年製以前、および
2014年の一部以降のSONY製の機体では、液晶
モニターに係わる問題点は、幸い、私の所有機の
範囲では発生していない。ただし、近年において
2014年以降発売のSONY機でも、経年劣化による
コーティング剥げ問題が、ユーザー層から多数報告
されており、「途中で製造品質が向上/回復した」
という想像は楽観的すぎる模様だ。
つまり、いつ何時、どの機体でコーティング剥げ
問題が発生してもおかしくなく、これは俗に言う
「ソニータイマー」であり、製造品質上の課題で
製品を長期間使用する事が困難な状況であろう)

さて、本機α99と、今回使用レンズSP90/2.8USDとの
組み合わせは、あまり快適なシステムとは言えない。
USD(超音波モーター)搭載レンズとは言え、近接撮影
ではAFの精度は決して高く無いし、合焦範囲の距離幅も
大きい為、AF速度も満足がいくレベルでは無い。
まあ元々、近接(マクロ)撮影では、かなり高い比率で
MFの併用が必須となる。
その際での、本システムにおける、AF/MFの切換手法や
弱点の回避法であるが、以下の複数の方法論と、各々の
長所短所がある。
A)レンズ側USDでの、フルタイム(シームレス)MF機能
→設計側や市場では、「この仕様で十分」と思って
いるのかも知れないが、実に使い難い。
無限回転式ピントリングで、最短と無限遠での停止
感触が極めて少ない事、そして、AF再起動(半押し)
で、ピント位置がリセットされてしまう(つまり、
毎回遅いAF駆動を待たなければならない)事が課題だ。
B)レンズ側、AF/MF切換スイッチ
→旧型の172E型等とは異なり、本F004型では、
MINOLTA/SONY α(A)マウント版レンズにおいて
レンズ側のAF/MFスイッチのみで動作を切り替える
事が出来る。(注:旧型のαマウント版では、レンズ
とカメラの両方のスイッチをMFにする必要があった)
まあ、AF/MFを頻繁に切り替える必要が無い場合
(100%近接撮影に特化する等)では、これは有効。

C)カメラ側、AF/MF切換ボタン
→このボタンはアサイナブル仕様であるが、これを
「再押しAF/MFコントロール」に設定しておけば、
AF/MFの切換が多い撮影状況の場合、ある程度は
このボタンで対応できる。
ただ、問題としては、この切換設定は電源を切ると
忘れてしまう。本機α99はバッテリーの持ちが
悪いので、小まめに電源OFFするが、それが仇になる。

D)サイレントコントローラーを利用する
→カメラ前面のサイレント(マルチ)コントローラー
(スイッチで起動する、無限回転式電子ダイヤル。
特に動画撮影時に、操作音がしない事が長所)
は、α99系機体だけの操作子である。
これの適正な使い方は、当初は迷い、露出補正を
アサインしていたが、別途、前ダイヤル等でも露出
補正は出来るので有益な使い方では無かった。
また、他のα機では、殆どがこの位置にAFモード
があり、習慣的にここに手を伸ばしてしまうので、
ここのアサインを「フォーカスモード」に変更した。
だが、「取扱説明書」には記載されていなかったが、
コントローラーのボタンを長押しすると、アサイン
される機能を選択できる事を偶然に発見。(注:取説
では無く、αハンドブックの方にはその記載があった)
これはまあ、(好みの)「動的操作系」の一種なので、
その後は、機嫌良くこの操作子を使っている。
なお、電源をOFFしても、この設定は維持される。
これによるAF/MF切換は一番妥当かも知れない。
E)DMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)を活用する
→他のα機、例えばα65ではDMFモードが無く、
α77Ⅱ等では、AF-AかDMFの二者択一であるが、
本機α99では、AFモードで独立したDMFが選択できる。
DMFモードの長所は、どんなα用AFレンズでも
AF/MFの切換が容易になる点だが、今回使用のUSD
レンズでは、それは長所にはならない。
DMFの弱点は、一旦ピントが合わないとMFに切換が
不可な点だが、これについては、AFの合い易い箇所
で仮にピントを合わせ(注:AEはロックさせない)
そこからDMFに移行する事で、「AF/MFの切換の
手間を省略する」という高度なDMF技法が使える。
この機能は、レンズの種類と、そのレンズで必要な
撮影技法に応じて用いるべきであろう。
F)AFの動作(駆動)距離範囲を制限する
→撮影用途をある程度限定するならば、F004レンズの
Focus Limiter機構(スイッチでAF移動範囲を制限)
又は、α99本体側の「AFレンジコントロール機能」
(詳細後述)により、AFがフルレンジで動く際の
速度的課題(遅い)を緩和できるが、近接撮影から
遠距離まで汎用的な被写体を撮る場合には向かない。
この話は結局、システム(カメラ+レンズ)の長所と
短所を良く把握する事と、加えて撮影状況に応じて、
適正な操作(系)を選択する事が重要だ、という事だ。
まあ、本機α99あたりを志向する上級層等では、
当たり前の話ではあるが、初級中級層等では、AFで
超音波モーターや本体の測距性能頼みで撮影する
ケースが大半であり、その場合のAF性能しか評価して
いない、という状況だ。
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では、ここで使用レンズを交換してみよう。

レンズは、MINOLTA AF 85mm/f1.4 G (D) Limited
(2002年に限定700本で販売された希少レンズ)
本レンズは、希少である事は確かであるが、
MINOLTAのカメラ事業終焉期における「事業の足跡
を残す事」を目的に販売されたレンズだと思われ、
1980年代に「お蔵入り」となった、とても古い設計を
ベースとして少数だけ製造販売されたものである。
当然、その時代の技術であるから、非球面レンズも
異常低分散ガラスも使用しておらず、描写性能的には
かなり平凡である。

逆に言えば、使い道のあまり無いレンズであり、
本ブログにおいても、さほど紹介回数は多くは無く
紹介理由は、むしろ、本レンズに関する、希少価値
からの相場の異常な高騰(プレミアム価格化)を
抑制する意味もあった。
で、今回の使用では、ちょっとクセがあって、用途が
探し難い本レンズを、本機α99との組み合わせで
改善できるかどうか?という点が主眼だ。
課題としては特に、大型レンズであり、AFの速度や
精度が低い事であり、この点については、前述の
AF/MFの切換機能群を活用する事で、だいぶ回避が
出来そうな模様だ。

では、本機α99の長所短所について述べておこう、
長所だが、発売された当時(2012年)においては
最高レベルの機能群を持ち、基本性能も、そこそこ
(かなり)高い事が上げられる。
操作系においても基本的には設計思想は悪くは無い、
ただし後述の「鈍重である」という問題点が大きく、
せっかくの良質な操作系基本設計が台無しだ。
フルサイズ機である事は、私の場合では大きな長所
であるとは見なしていないが、当然ながら、レンズを
本来の画角で使え、広角系レンズや特殊効果レンズを
使う場合には適合する。
むしろ、フルサイズ機としては小型軽量であり、かつ
入手時点(2020年初頭)においては比較的安価な
相場であり、コスパが良い。(さらに値切って買って
いるので、なおさらである)
それと、デジタル拡大機能は、テレコンやズーム等
豊富であり、望遠画角の不足は、ある程度この機能で
カバーできるのだが、デジタル拡大機能では、画質の
劣化を伴う場合と、伴わない場合があるので、各々の
方式の原理と効能を良く理解して使い分ける必要がある。

あと、高級機なのにエフェクト(ピクチャーエフェクト)
が搭載されている事は、(当然ではあるが)好ましい。
(高級機はエフェクト不要など、誰が決めた事なのか?)
それから、AF RANGE機能(AFレンズの合焦距離の近端と
遠端を個別に設定でき、AFの動作範囲を制限できる)は、
ユニーク(他機では殆ど無い)で面白い。
上手く使うと、AF合焦速度の向上に繋がるのだが・・
この機能は設定がやや煩雑である事、電源を切っても
RANGEを覚えている事は良いが、次回使用時には再度
AF RANGEボタンを押さないとスケール表示が出ず、
「何故AFが動かない?」と慌ててしまう場合もある事。
それから「DMF機能と併用ができない」といった僅かな
課題がある。

弱点だが、まず、αフタケタ機は、いずれも操作子や
メニュー動作等の「操作性」が、重い(遅い、鈍重)
という点だ。本機α99では、特にそれが顕著に感じる。
この理由は、一説によると、OS(コンピューター/CPUの
オペレーティング・システム)が、それまでの2000年代
のSONY機での、産業用組み込みOSから、この時代に
一般的なパソコン用の汎用OSに変更された、との事である。
そうした汎用OSを使ってしまうと、当然ながらOS動作上の
様々なタスクやプロセスの負荷により、これらの機体の
ように「動作が重く」なってしまう。
加えて、PCでは無く、機器組み込みCPU上でのOS動作だ、
消費電力の観点からも、CPUクロックを無理に上げる事も
出来ず、必然的に、かなり動作は重くなる。
そして、操作子の多い本機α99では、各操作子のスキャン
や割り込み動作等にも、色々と影響が大きいであろう。
これは「改悪」と言える措置であるが、良く良く考えて
みれば、メーカー側としては、無料(オープンソース)の
汎用OSを用いて、製品のコストダウンを図れるし、開発の
プログラミングも、汎用OSならばC言語等が使えて簡便だ。
(→特別なスキルを持つエンジニアを雇わなくて良い)
そして、どうせ、2010年代でのカメラユーザーは、その
大半がビギナー層であり、彼らはカメラをフルオートの
設定で使い、複雑なカメラ設定・操作等を、一切何も
しない訳だから、メーカー側としては、「確信犯」的に
「操作系の動作が鈍重でも問題無し」と見なしているの
かも知れない。
(実例:2012年のSONY NEX-7は、高度な「動的操作系」
を搭載した実験的機種であったが、その操作系をちゃんと
使いこなしたという市場からの好評価は皆無であり、結局
SONYでは続く2013年のα7からは、動的操作系を撤廃し
安直で初級者向けの静的操作系に格下げされてしまった。
つまり「難しい機能を付けても、誰も使いこなせないから」
と、ユーザー側は”下に見られて”しまった訳だ)
そうだとしたら非常に残念な設計思想と言える、なにせ
操作系が鈍重な理由は、全て「メーカー側の都合」から
来るものであり、ユーザーメリットは何も無い。
それから、「何ひとつカメラ設定を触れない」という
現代の初級ユーザー層の状況も、また残念な話である。

なお、私は中古機体を購入時に、前オーナーの残した
カメラ設定を見て、そのオーナーのスキルを推測する
事としている。たいていの場合、前オーナーは殆どが
デフォルト(=工場出荷時のまま)か、または出鱈目な
設定となっているのだが・・
本機の場合、前オーナーのカメラ設定は見事な物であり、
効率的な設定で、私が、いじくる点は殆ど無かった。
恐らくは、上級者クラスであろう。
ただ、それにしては撮影枚数のカウンターが9000枚、
というのは少なすぎる。上級者は上級者でも、殆ど
写真を撮っていない、という事となれば、職業写真家
や実用派マニアでは無く、コレクターの類だったの
かも知れない。なお、カウンターは1万9000枚や
2万9000枚・・等の撮影枚数でも同じ値を示すが、
そこまで多い撮影枚数ともなると、機体の傷み方が
酷くなり、いわゆる「使用感アリ」という状態となる。
本機の外観は綺麗なままだったので、丁寧に9000枚を
撮影したのであろう。この点でも、あまり実用派の
マニアでは無かっただろう事が推察される。
なお、こういったプロファイリング(人格分析)を
行っておく事で、中古カメラを引き続き使用する際の
注意点等も変わってくる。例えば、実用派層とか職業
写真家層がガンガンに使った機体では、シャッターや
ダイヤル類がへたって(劣化して)いる可能性も高い
から、そういう点に注意する訳だ。
また、ビギナー層等では、不注意でカメラを落下させて
しまったりして、仮に、外観からはわかりにくくても、
そうしたアタリ(衝撃)の前歴は故障発生リスクに繋がる。
今回のケースでは「良くわかっているオーナーが
丁寧に使った機体」である事が明白なので、そうした
機構部品の劣化や破損等には、あまり気を使う必要は
無さそうな模様であった。

それから、本機だけの課題では無いが、SONY機全般で
バッテリーの持ちが悪い。ただし、殆どのαフタケタ機
(や、殆どの同時代のNEX/αミラーレス機でも)は
バッテリーは共通で使える為、予備バッテリーを他機
から拝借するとか、充電器を共用できる等、その点は
好ましい。
あと、EVF搭載機なのに、SONY αミラーレス機のような
絞り込み(実絞り)測光では無く、開放測光である。
これだと、被写界深度の確認や、ボケ質破綻の回避には、
一々の絞り込み(プレビュー)操作が必要で煩雑だ。
まあでも、ここは一般的な一眼レフの操作概念に合わせた
のであろう。そして本機だけでは無く、他のαフタケタ
機でも同様である。
それと、「テレコン連続撮影優先AE」(≒超高速連写)
モードでは秒10コマ撮影が可能だが、その機能名の
通り、画面中央部をクロップした状態となり、画角が
狭くなると同時に、記録画素数も減る。
2000年代の他社旗艦機等でも、類似の仕様の物が
あったが、本機は2010年代のカメラであり、
もう、そういう技術的な制約は薄れている筈だ・・
実際に、同時代のα65や、やや後年のα77Ⅱでは、
本機と同一画素数の機体であり(APS-C機ではあるが)
画角を狭めず、画素数も下がらないままで高速連写が
可能である。
【注意点】また、フルサイズセンサーと大型の半透明
ミラーにより、ミラーBOXまわりの空間が、かなり窮屈だ。
この為、例えば、M42→αのマウントアダプターを
使った際、装着するレンズの種類によっては、レンズの
後端部がミラー等の内部構造に干渉してしまう。
この事は、装着前に気付けば良いが、気付かないままで、
無理に嵌め込んだりすると、故障してしまう危険性がある。
「フルサイズ機だから、オールドレンズ母艦に最適だ」
と思うのは、現代の中級マニア層等が陥りやすい課題
である。「オールドレンズを、本来の画角で使う」という
心理的な安心感や満足感は理解できるのだが・・
反面、フルサイズ機では、レンズの周辺画質での低下が
顕著に出たり、アダプターと母艦の組み合わせによっては、
様々な故障リスクが存在する事を忘れてはならない。
(例:CANON EOSフルサイズ一眼+CONTAX Y/Cアダプター
SONY α7S+M42アダプター、SONY α99+M42アダプター
等においては、装着出来ない、装着したら外れない、
撮影したらカメラが故障してしまう、等のリスクがある)
さて、本機α99の他の弱点であるが、あまり無い。
あえて言えば、全体にカタログスペックを優先した
「やや浮ついた」印象がある事で、実用性が、その
高性能や高機能に、あまり追いついていない。

また、APS-C機α77Ⅱ(2014年、本シリーズ第18回)
と、殆ど同じ使用感であり、それ(α77系機)が、
フルサイズになっただけ、という印象がある事だ。
(注:正確には、本機の前年2011年発売のα77
の方が、より近い。その機体は家にあるが、知人の
所有物を「研究用」として借りているので、記事等
で紹介する事は出来ない。→「他人の所有物や、
借りてきただけの機材を評価してはならない」という、
ごく当たり前のルールを厳しく守っている。
そういう様相が見られるようなレビュー等は、初級層
のビギナー的評価は勿論のこと、たとえ専門的評価者
が書いたものであっても参考にしないようにしている。
知識を持っている評論家等ならば、そうであるほどに、
自身で買いもしない機材等、取るに足りない物だろう)
α77Ⅱは、高速連写機能とAPS-C機である、という
特徴から、業務用途の長距離イベント撮影にも有益
であったが、フルサイズの本機においては、望遠母艦
としてのメリットがあまり無い。
まあ、APS-Cモード(クロップ)撮影をすれば、
α77Ⅱとほぼ同等、とは言えるが、記録画素数が
大幅に減少する(例:画像サイズLで1000万画素、
画像サイズSでは、僅かに200万画素しか無い)ので、
写真の納品/用途によっては、かなり要注意だ。
ちなみに、α77Ⅱであれば、デジタルテレコンが
有効に働く画像サイズSでも600万画素で撮れる。
まあつまり、フルサイズ機で、(α77Ⅱ等と同じ)
2400万画素では、やや画素数が不足しているという
事となる。(注:α99Ⅱでは、4240万画素となった)
以下ついでに。α77Ⅱは、本機より2年後に発売
されたカメラであり、操作系については本機の鈍重さ
は少し改善されており、また、別途ミラーレス機の
αシリーズ(2013年~)と共通化されたUI部分も
ある為、操作系全般では、α77Ⅱが本機α99よりも
ずっと優れている。

毎回恒例の、本機α99に対応する銀塩名機であるが・・
これはもう、ずばり、銀塩一眼レフの名機MINOLTA
α-9(1998年、下写真)で間違いないであろう。

ただ、「質実剛健」というMINOLTA α-9の特徴
(つまり、カタログスペックに現れない部分の
隠れた基本性能が非常に高い機体であった)と、
本機SONY α99の、なんだか浮ついたキャラクター
(カタログスペック優先で、実用性が伴わない)
とは一致しない。あくまで、名称の類似、および
それらの各々の時代での「ハイエンドの重責を担った
ポジションのカメラである」という共通点だ。
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最後にSONY α99の総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)
【基本・付加性能】★★★★
【描写力・表現力】★★★☆
【操作性・操作系】★★
【マニアック度 】★★★
【エンジョイ度 】★★☆
【購入時コスパ 】★★★☆ (中古購入価格:64,000円)
【完成度(当時)】★★☆
【歴史的価値 】★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
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【総合点(平均)】2.8点
総合点は、標準の3点をやや下回る程度。
B級品を値切って安価に入手した為、近代の高級機と
しては、珍しく「コスパ」評価が標準点を超えている。
つまり、近年のカメラは「高価すぎる」という印象が
強く、他の近代機は、ほぼ全て、コスパ点はマイナス
評価という状況だ。
機能、性能に過不足は無いが、操作系全般の鈍重さは
かなりのマイナス評価にせざるを得ない。
この為「操作性・操作系」「エンジョイ度」「完成度」
のいずれにも影響し、それらは標準以下の評価点だ。
同じSONY αフタケタ機の中では、α65の総合3.4点
α77Ⅱの総合3.4点からすると、本機α99が最低の
評価点となっている。
結局、「鈍重なフルサイズ機」という印象が最初から
最後までつきまとってしまっている。
まあ、あまり優秀では無い機体だが、α Aマウントの
縮退を受け、「絶滅までの期間を延ばす為」が、
本機購入の最大の目的だから、ゆるゆると長期に渡り
使っていく事にしようか・・
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次回記事の掲載予定は未定。近年では魅力的なデジタル
一眼レフが1台も新発売されない、という悲惨な状況と
なっているからだ。