レンズマニアックス+(プラス)シリーズ記事の
サブカテゴリーとして、海外製のレンズを紹介する
記事群である。(計十数回の連載を予定)
今回は「Meikeマニアックス」という主旨とし、
同社製の4本のレンズを紹介する。
(全て、他記事で紹介済みのレンズの再掲であるが
実写掲載写真は全て撮りなおしたものである)
Meike(メイケ)ブランド、またはNeewer(ニーワー)
は、「香港」にある光学機器メーカー(のブランド銘)
である。
隣接する「深セン」(Shenzeh)とともに、近年では
光学機器メーカーが集中する特殊な地域(経済特区)
になりつつある模様であり、2010年代後半から、
格安の、ミラーレス機用等の高性能単焦点レンズ群で
日本市場に参入している。
Meike(mEiKE)の旧ブランドがNeewerだと思われるが、
真偽、あるいは詳細は不明である。
Neewer時代のレンズを多数所有している訳では無いが、
NeewerとMeikeでは、明らかに製造・仕様品質が異なり、
勿論、新しいMeikeの方が、ずっと品質が高い。
もし、両者が同じ設計製造元だと仮定すれば・・
恐らくだが、Neewer時代のレンズ品質では、日本
市場への参入が困難(日本のユーザーでは納得しない)
という点から、近年発展がすさまじい「深セン」地区
の他の光学系企業等と協業し、設計・製造品質を高め、
その結果、新ブランドの「Meike」を持って、日本国内
市場に参入したのではなかろうか?
あるいは、もうNeewerとMeikeは完全に別企業とか、
または経営体制が一新されたとか、そんな裏事情も
あるのかも知れないが、詳細は不明な為、本記事では、
そこまで突っ込んだ分析は避けておこう。
という事で、本記事では、Meike銘レンズを3本と、
Neewer銘レンズを1本、計4本を紹介する。
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ではまず、今回最初のMeikeレンズ。
レンズは、mEiKE 12mm/f2.8
(新品購入価格 27,000円)(以下、Meike12/2.8)
カメラは、FUJIFILM X-T1(APS-C機)
2018年頃に発売されたミラーレス機用APS-C型以下
対応MF超広角単焦点レンズ。
「mEiKE」と、大文字小文字が入り乱れたロゴマークで
あるが、ややこしいので、以下は「Meike」と記載する。
さて、12mmという。かなりの超広角レンズであるが、
本レンズはAPS-C型機以下対応のレンズであるから、
FUJI Xマウントや、SONY E(NEX/α APS-C)マウント
においては、18mm相当の画角となる。
だが、依然超広角レンズである事には変わり無い。
(フルサイズ換算)20mm未満の超広角レンズは、
銀塩時代には、あまり一般的な機材では無かった。
例えば、MINOLTA α銀塩一眼レフ用の単焦点レンズの
最広角は20mm迄であり、10mm台のMINOLTA製単焦点
は存在しない。(注:ズームレンズであれば、17mm
始まり(勿論フルサイズ対応)が存在していた)
私は、銀塩MINOLTA α機は、α-7/α-9を主力で
使っていた。まあ、α AF20mm/F2.8(最強広角
選手権B決勝第1位)迄があれば、一般撮影では十分
だ、とは言えたのだが、稀に超広角が必要な場合も
あって、そんな時はTOKINA AF17mm/F3.5 (AT-X17、
ミラーレス・マニアックス第47回記事等)を
使う場合もあった。
他の銀塩一眼レフマウント品であっても、やはり
20mm未満の超広角は、所有数も少なく、使用頻度も
同様に少なかった。まあ、レンズサードパーティ
以外での純正超広角レンズは高価なので、なかなか
買えなかった訳だ(注:生産・販売数が少ないから
量産効果が出ずに高価になるのであり、”性能が
高いから高価なのだ”という理屈では無い)
デジタル時代に入ると、当初、2000年代では、殆ど
の(入手可能な価格帯の)デジタル一眼レフは、
APS-C型(以下)機であった為、今度は広角が不足
してしまった。たとえ銀塩時代の20mmレンズでも、
APS-C型機では30mm程度の平凡な広角画角であり、
それ以下の超広角単焦点は、あまり所有していなかった
し、例え14mmを使っても21mm相当と、まだこれでも
銀塩(フルサイズ)換算で20mm以下に及ばない。
私はデジタル時代に入ってからは、超広角撮影を志向
する事は諦めた(=フルサイズ機でも買わない限りは、
超広角画角相当となるレンズが、殆ど存在しない訳
だから、やむを得ないであろう)
ただ、2000年代後半頃から、APS-C機でも超広角
画角となるズームレンズ(概ね、広角端が10~12mm
程度より始まる)が発売され始め、それらを何本か
入手し、これでやっと、デジタル(APS-C)機でも
超広角画角が得られるようになった。
だが、超広角撮影をしばらく避けていたからか?
何となく、換算15mm程度の超広角画角で何をどう
撮るのか? そのあたりの感覚も少々曖昧になって
しまっていた(汗) まあ、広い風景、大きな建物、
大人数の集合写真、そうした撮影用途はあるのだが、
超広角ズーム特有のパースペクティブ(遠近感)歪み
や歪曲収差が大きい事もあって、あまり厳密な撮影には
向かない、という課題もあった訳だ。
余談だが、超広角ズームの草分けとなったのは、
恐らくSIGMA 15-30mm/f3.5-4.5 EX DG ASPHERICAL
(ミラーレス・マニアックス第55回、特殊レンズ第37回
発売年は、2001年頃(?))であろうか?
このレンズはフルサイズ対応であり、フルサイズ機又は
銀塩一眼レフでは15mm始まりの超広角ズームとして、
デジタル機でもAPS-C機で、およそ23mm~45mm程度の
換算画角で、実用広角域全般で使用できる。
ただし、大きく重く高価なズームだし、ズーム比は
2(倍)と物足りなく、描写力的にも、たいした事は無い。
デジタル時代での、大人数集合写真等の業務用途で、
何度か使っているが、業務用途では、やや性能不足で、
趣味撮影では、三重苦レンズ故に持ち出したく無くなる。
さて、あれこれと余談が長くなった、本レンズ
Meike 12m/F2.8の話に進もう。
銀塩時代のディスタゴン型(レトロフォーカス構成)
の超広角レンズをダウンサイジングし、ミラーレス機
用に調整したと思われる「ジェネリック・レンズ」で
あろうか?
同じ中国製レンズでも「七工匠(しちこうしょう)」は
ジェネリック設計のレンズ開発を得意とするが、
Meikeでジェネリック設計は珍しい。
長所としては、まず、APS-C型ミラーレスでも超広角
画角が簡便に(安価な投資で)得られる事である。
それに、元々の引用設計のディスタゴン(構成)は、
高描写力が得られる事でも定評がある。
(注:でも何故、フランジバックの短いミラーレス機
に向けて、わざわざレトロフォーカス型設計にするの
だろうか? レンジファインダー機用のビオゴン等の
対称構成にした方が、さらに収差補正等の面では有利
だと思われるのだが・・・)
超広角画角撮影を意図するならば、μ4/3機用マウントの
製品は買わず(24mm相当と、平凡な広角画角になる為)
APS-C機用マウント版を購入するのが賢明な選択だ。
まあ、μ4/3機用であれば、μ4/3機と、SONY E機で
共用利用できる、というメリットは存在するのだが、
FUJI X機のユーザー・ラインナップ(注:あるマウント
における交換レンズ群を、どのような焦点距離・仕様で
揃えていくかを考察し、それらを購入する事)上では、
超広角画角で適正な純正レンズが存在していなかった事と、
超広角の使用頻度が低い事を鑑みて、Meike製のものを
購入した次第である。
弱点としては、まずピント精度の課題がある。
これにはいくつかの原因があるので、リストアップ
してみよう。
1)FUJIFILM X機のピーキング機能の精度不足。
2)Meikeレンズのピントリングの多くは、指標の
製造精度が怪しい。ピントリングを一杯まで廻しても
オーバーインフや最短撮影距離不足、等の問題が
発生する場合があり、高度なMF技法が使い難い。
3)ディスタゴン構成のレンズの多くは、ピントの山が
ファインダー(光学、EVF)で掴み難い、という
特徴(弱点)を持つ。
これらの課題の回避法としては、本レンズを出来るだけ
開放近くでは使わず、必ず中間絞り値より絞った状態で
使用するのが良い。超広角故に被写界深度が深いので
少し絞って中遠距離撮影に特化すれば、上記1)~3)の
ピント精度の問題点の回避はさほど難しくは無い。
他の弱点としては、逆光耐性の低さがある。超広角撮影
では太陽光が入ってしまうケースも多いので要注意だ。
また、ジェネリック設計時に、ちょっとスケールダウン
しすぎた節もあり、僅かに周辺減光が出る場合もあるが、
ここはあまり重欠点とは言えないであろう。
総括だが、FUJI X機や、SONY E機(APS-C)において、
比較的安価な高性能超広角レンズを必要とする場合は
悪く無い選択肢である。
ちなみに、本レンズは「最強広角選手権」記事で
決勝戦にノミネートされ、結果、第5位と優秀な成績を
収めている。
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では、次はNeewerレンズだ。
レンズは、Neewer 85mm/f1.8
(中古購入価格 6,000円)
カメラは、SONY NEX-7 (APS-C機)
詳細不明、2010年代中頃から後半頃に発売と思われる
MF単焦点中望遠レンズ。
本レンズは、一眼レフ(フルサイズ)対応の設計で、
NIKON Fマウント(非Ai)版での購入である。
Meikeブランドでのミラーレス機用マウント版レンズの
発売時期(2017年頃?から)においては、七工匠や
KAMLAN等を始め、中国(深セン地区近辺)で製造
されたレンズの品質が、急激に向上している。
詳しくは不明であるが、現代の深セン地区は技術都市
(テクノポリス)化している、とも聞いているので、
有力な(優良な)レンズ製造工場(メーカー)が
存在するのであろうか? だとすれば、様々なメーカー
から、レンズ光学系設計図面(勿論、デジタルデータだ)
を、その工場に送れば、(高品質な)レンズが製造されて
出来上がって来る訳だから、便利で効率的である事は勿論、
例えば、誰かがコンピューター光学設計ソフトを扱って
レンズ設計が出来るのであれば、メーカー名に係わらず
レンズが出来上がって来る訳だ、中国メーカーは勿論、
一部の海外メーカー(台湾等。日本の小メーカーもある
かも知れない)でも、その仕組みを使っている様相も
噂に聞く。
そうだとすれば、もう、昔の昭和の時代の感覚で、
「メーカーとは独立性の強いもの、メーカー毎に性能や
品質の差がある」という考え方は、全く成り立たなく
なってしまう。
まあ、その事は、近年の本ブログにおいては、
「メーカー名やブランド名など、もはや無意味だ」と
繰り返し述べて来ている。
そして、本シリーズ「海外レンズ・マニアックス」の
記事をスタートさせたのも、そういう背景がおおいに
関連している。
すなわち
「もはや、メーカー名など、意味があるのだろうか?」
という疑問を、各レンズの性能や特徴等から、できるだけ
多面的に研究・検証したい、と思ったからだ・・
まあ、前記事の「ロシアン」編は、またちょっと異なる
状況であった。旧ソ連では、共産圏故にメーカーという
概念はなく、光学製品は、様々な国営工場で分散・分業
されて製造されていたからである。
ソビエト崩壊後の1990年代からは、光学機器製造の
国際分業が始まった、例えば国内大メーカーでも、
人件費が安価な海外(主に中国)で製品を生産して
いた事も良く知られているし、2000年代あたりからは
デジタル時代となり、高度な部品(例:撮像センサー、
画像エンジン、手ブレ補正ユニット、超音波モーター等)
は国内の専門的企業が製造し、全体の機器組み立て等を
海外で行う、などの生産スタイルは常識であろうし、
中国等の海外人件費が上昇してしまった2010年代からは
もう、1つの製品を生産する上で、国際的に様々な企業
が関連している事も、ごく普通であろう。
公開されている範囲で言えば、例えば、KAMLANの
レンズは台湾の企業で光学設計を行い、中国深センで
それを製造している、との事だ。
よって、現代においてなお、ビギナー層やシニア層等
から、「カメラ(レンズ)は、どこのメーカーの物が
良いのか?」といった質問が来ると、ちょっとがっかり
してしまう。もはや現代では、メーカーとか、国とか、
そんな垣根は、殆ど存在しない、また、各社共通の
部品(例:撮像センサー等)を使っているケースも
多いので、ブランドやメーカーでの性能差とかも、
殆ど存在しない。
性能差があるとすれば、値段に応じて仕様の差をつけて
いるからである。(ただ、上位の機種に超絶性能を付与
するのは、まあ納得するが、下位の機種の性能を意図的
に低める「仕様的差別化」は、あまり賛同が出来ない)
品質(例:壊れ易さ)等は、もう殆ど差は無いし、
技術力や性能の差も殆ど無い、もし明らかに性能や品質
が劣るメーカーがあれば、国内あるいは国際市場において
生き残る事が出来ず、とっくにカメラ(レンズ)事業から
撤退している事になるでは無いか・・
ただまあ、時代によっては、あるいは微妙な環境差に
よっては、性能や品質・機能等が劣る製品も、依然
存在する事は確かである。例えばKAMLANの最初期の
製品FS50mm/F1.1は、大口径化を狙ったあまり、
実用性能に満たない低性能であり、失敗作であろう。
(レンズマニアックス第33回記事等を参照)
その機種は、発売後僅か3ヶ月で、光学系を完全に
刷新した後継機のⅡ型(未所有)に改められている。
そして、本レンズNeewer 85/1.8も、残念ながら
品質・仕様面での不備を強く感じるレンズである。
例えば、以下のような品質的課題を持つ。
*フィルターネジの製造精度が悪く、フィルターが
装着できない。
*距離指標が実距離と合っておらず、
オーバーインフとなる
*レンズの絞り値の表記が、F3,F6,F10等
一般的な露出段数系列に沿っていない。
(下写真。普通であればF2.8,F4,F5.6
F8,F11,F16,F22・・となってしかるべきだ)
このように、ごく基本的な部分で製造品質が怪しい
のは、なんだか、やや昔の時代の「中国製品」の特有
の雰囲気を持つ製品だ。
本レンズと似たスペックである(本記事ラストの)
Meike MK85/1.8とは、製造品質の差がありすぎて
同じメーカーの製品とは思えないくらいである。
まあ、「Neewerの製品品質では日本市場には参入
出来ない」と思い、Meikeブランドでは前述のように
レンズ製造工場への生産委託に変更したのであろか?
詳細はわからないが、そういうストーリーであったの
ならば、まあ、わからないでも無い話だ。
ちなみに、描写力もたいした事が無く、解像感の
無さや、ボケ質破綻の発生、逆光耐性の低さ等は、
後述のMK85/1.8の描写力とは雲泥の差だ。
本レンズの不出来を鑑みて、これ以降、Neewer
ブランドのレンズを見かけても購入は保留している。
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さて、3本目のMeikeレンズシステム。
レンズは、mEiKe 25mm/f1.8 (MK25F18M4/3)
(新品購入価格 約9,000円)(以下、Meike25/1.8)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited (μ4/3機)
2019年に発売されたミラーレス機APS-C型以下マウント
用のMF広角(準標準~標準画角相当)レンズ。
例によって「mEiKE」と大文字小文字混じりのロゴ
デザインであるが、以下は「Meike」と記載する。
正直言って、好きでは無いレンズである。
μ4/3機で使用した場合、50mm相当と平凡な画角、
ジェネリックレンズでは無さそうであり、あまり
描写力的にも見るべき点が少ない。
「七工匠」製の25mm/F1.8のように、完成度の極めて
高い銀塩時代のMF小口径標準レンズ(50mm/F1.8級)
をスケールダウンした方が良かったのではなかろうか?
まあでも、七工匠25mm/F1.8は、スケールダウンを
1/2倍と少々欲張りすぎた為、イメージサークルが
僅かに足りていない(フルサイズ→APS-C型であれば、
2/3倍までの縮小に留めておくのが計算上では正解だ)
その為、周辺減光や周辺収差が出る傾向があったので
本レンズはそれを嫌って、ジェネリックでは無い設計
としたのであろうか? まあ、そのあたりの詳細は
設計者で無いとわからない事なので、あまり気にしない
ようにしておこう。
他の弱点であるが、オーバーインフとなっている事だ、
これはピントリングを無限遠まで廻して、手指の感触
で停止感触を得て、そこからファインダーを覗いて
遠距離被写体を撮ろうとしても、ピンボケになっている。
よって、そこからピーキング機能等をONしたり・・
(注:これはOLYMPUS機の場合だ。PANASONIC/SONY/
CANON/FUJIFILM等の他社ミラーレス機では、特別な
操作をせずとも、ピーキングが常に表示される(できる)
ような仕様となっている。
まあでも、これは当然の仕様だ。OLYMPUS機では「あまり
他社製のレンズをアダプターで使わせたく無い」という
「排他的仕様」の設計思想を感じてしまい、好ましく無い)
・・・ピーキングをONしたりして、オーバーインフと
なっているピントリングを少し戻して、正しい無限遠位置
を探しなおさなければならない。
まあつまり、仕様上の欠陥により、効率的なMF撮影が
出来ない訳である。
(注:上写真は、特殊撮影技法の「回転撮り」を使用)
現代のユーザー層では、初級者から上級者に至るまで
MF撮影技法を殆ど実践していない。何故ならば、殆どの
ユーザーは、現代の高性能なAFに頼って撮影するからだ。
だが、マニア層等においては、現代でも依然MF撮影は
主流である。何故ならばオールドレンズとか、マウント
アダプターでの他社レンズの利用とかで、AFが効かない
ケースも多々あるからだ。
だから、マニア層においては、上級MF技法は必須であり
必ず身につけておかなくてはならない技能となる。
(匠の写真用語辞典第11回/第12回、MF技法編参照)
まあ、つまり、MFレンズで、仕様(製造、設計等)の
欠点(欠陥)により、MF技法が使えない、というのは
致命的に近い重欠点であろう。
その為、本レンズは個人的には好きなレンズでは無いし
他者に推奨する事も、あまりしたく無い状態だ。
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では、次は今回ラストのMeikeシステム
レンズは、mEiKE (MK85F18EFAF) MK-85mm/f1.8
(Canon EOS AF)
(新品購入価格 23,000円)(以下、MK85/1.8)
カメラは、CANON EOS 8000D (APS-C機)
2018年後半(?)~2019年初頭(?)頃に発売された、
CANON EFマウント専用のAF中望遠レンズ。
他のMeikeレンズは全てがMFレンズであるが、
何故か本レンズのみAFであるし、何故かCANON EF
(フルサイズ可)マウント版しか発売されていない。
また、NeewerのMF版85/1.8と本MK85/1.は
スペック被りであるが、MF/AFの違いはさておき、
両者は、まるっきり異なるレンズである。
もしかすると、本シリーズ第2回記事で紹介した、
YONGNUO(ヨンヌオ) YN85mm/F1.8が、
CANON製の、EF85mm/F1.8(USM)からUSMを抜いて
デッド(完全)コピーした製品であり、さらに、
そのYN85/1.8が再びコピーされて本Meike 85/1.8
(AF)となったのであろうか?
その可能性も検討したが、実のところ、YN85/1.8
と、本Meike 85/1.8は、ずいぶんと仕様が異なる
レンズであるので、全くの別モノのであろう。
USM(超音波モーター)が無い事によるAF/MFの
切換の操作性・操作系は、YN85/1.8より僅かに
本Meike 85/1.8が優れる。
レンズ構成も異なる模様であり、描写力に関しても
僅かに本Meike 85/1.8が優れるように思える。
で、個人的には、本Meike 85/1.8は、お気に入りの
レンズとなっている。
やや大柄ではあるが、その分、描写力には優れて
いるし、あまり重量級でも無いレンズだ。
AFの精度や速度の課題は、裏技の「強制MF」を
使えば回避できる場合もある。(注:シームレスMF
仕様では無いが、強制的にAFからMFに移行可能だ。
ただし、その際、フォーカスエイドが当初の合焦
時点から変化せず、ずっとつきっぱなしとなる)
しかし、再度のシャッターボタンの半押しで、また
AFが効いてしまうので、上手くこの裏技を使いこなす
のは少々難しい。
他の特徴としては、価格もさほど高価では無い。
中古市場に流れて来るケースは殆ど無いのだが、
もし1万円台前半等で買えるならば、コスパ評価は
極めて良くなると思われるし、たとえ新品定価購入で
あってもコスパは及第点だ。
使いこなし上の最大の注意点は、ボケ質破綻の回避法
であろうか? 他の中国製レンズの多くはミラーレス機
用であるが、一眼レフの開放測光+光学ファインダー
では、ボケ質破綻回避は困難な技法である。
基本的には趣味撮影専用レンズであるが、イベント等
での人物単独撮影業務用途にも何度か持ち出した事も
ある。AFの遅さとか、色々と課題はあるのが、さほど
の厳密な撮影用途では無ければ、かろうじて使える。
総括的には、悪く無いレンズであり、本レンズは
初級中級層にも推奨できる、ただし、ちゃんと使いこなす
には、母艦となる機体のAF/MF性能も高いものが要求
されるし、色々と存在する細かい弱点を回避するのも、
中上級層、あるいは中上級マニア級のスキルが必要と
されるであろう。
そこだけ了解して(利用者のスキルによっては、使い
こなせない可能性がある)買うならば、ビギナー層に
対しても推奨可能なレンズである。
本記事の総括だが、Meike(またはNeewer)製レンズは
個々に、大きく性能がバラついている、まあつまり、
使えるレンズと使えないレンズが混在している、という
感じである。
ただ、そのあたりは、まだ4本しか同社製レンズを
所有していないし、今後の新製品では、様々な市場
からの意見フィードバックを得て、さらに品質や性能面を
改善する場合もあるだろうから、今回の評価結果だけを
もって「Meikeのレンズは良い/悪い」などの単純すぎる
十把一絡げ的な評価を下す事は出来ない。
それにまあ、多少の弱点があったとしても、それを回避
して使う事がユーザー側の責務であろう。せっかく、
お金を出して買った商品だ、ちゃんと使いこなす事が、
一番良い状況ではなかろうか・・
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追記:本記事執筆後に、さらに2本のMeike製
レンズ(50mm/F2、6.5mm/F2円周魚眼)を
購入しているが、評価が間に合っていなかった為に
本記事では詳細については説明せず、後日、別記事で
紹介する。
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では、今回の「Meikeマニアックス編」は、
このあたり迄で、次回記事に続く。