本シリーズは、各カメラメーカーが発売した銀塩・
デジタルのカメラを、1970年代から現代2020年代に
至る迄の約50年間の変遷の歴史を辿る記事である。
今回はFUJIFILM編として、主に、1990年代から
2010年代中頃までのFUJIFILMの銀塩/デジタル機
(コンパクト機、ミラーレス機)を中心に紹介する。
(以下、適宜、FUJIFILMを「FUJI」と省略する)
まず最初に、FUJIFILM社カメラ製品の全般的な歴史で
あるが、銀塩機に関して、私はそれらのFUJI製の機体を
色々と所有はしていたものの、残念ながら、そのほぼ
全てをデジタル時代に入って処分してしまっているので
実機を紹介できない。
挿入している写真は、現有している実機、およびFUJIFILM
社のカメラまたはレンズで撮影したものだが、記事の内容
と直接の関係は無い写真もある。
ではまず、FUJIFILMの歴史から簡単に紹介していこう。
*FUJIFILM社の写真用フィルム 1930年代~
FUJIFILM社(富士フイルム社、注:イは小文字では無い)
は1934年に、大日本セルロイド社(現: ダイセル)
より分社され「富士写真フイルム株式会社」が設立した。
ダイセル社の余談であるが、同社は、現在では国内唯一の
タバコ用フィルターの生産企業であり、他にもセルロイド
やセルロースの応用製品を色々と製造している。
FUJIFILMの写真用フィルムのベース素材を作っていたとも
聞いている。1982年には大阪の堺工場(本社工場)で
かなり大きな爆発事故があった。同工場は、本社移転に
より2000年代に閉鎖され、長らく空き地であったが、
2016年にイオンモールが出来て、現在に至っている。
1930年代から大戦を挟み1950~1960年代には、
FUJIは写真用フィルムとしては、国内トップシェアと
なっていたが、2000年代には銀塩写真は衰退した。
現在においてはフィルム自体の売り上げ比率は微々たる
ものであり、様々な事業展開で多角化された持ち株会社
「富士フイルムホールディング」となっている。

*FUJIFILMの銀塩カメラ 1950年代~
カメラ事業(製造販売)に関しては、戦後1950年
前後から開始。
同社のフィルム事業とのコラボを行う為、カメラ本体
は多種多様のフォーマット(フィルム型式、サイズ)に
対応したものが銀塩時代を通じて多数販売されている。
フィルム型式は、35mm判の他、120判(ブローニー)
110判(ワンテン)、8mm、MINOX判、インスタント
フィルム(チェキ)、APS(IX240)等、多岐に及ぶ。
この為、同社製の銀塩カメラの種類は非常に多く、
全てを紹介・説明するのが困難である。
中判機が特に多いのは、勿論フィルム事業との連携を
強く意図したものであろうが、中判機の販路としては
業務用として、写真館等のフィルム供給先と、うまく
連携させていたのではなかろうか?
ただ、カメラ本体は、必ずしもFUJIFILM社で設計製造
されたものであるとは限らないと思われる。
個人的には、この事が非常に気になっていて、いつの
時代のFUJIFILMのカメラにおいても(銀塩時代より、
20数台を所有していた)写真を撮る為の道具としての
使いにくさを強く感じてしまう。
恐らくは、写真を撮る観点での企画設計がなされていない
事が想像される。しかし、例え社外開発であったとしても
社内でしっかりと製品企画検討会などを行えば、仕様的に
未成熟なカメラの市場流出を防げるとは思うが、どうにも
それも、ちゃんとなされているとは思いにくい。
まあつまり同社内に、写真を撮る為の機械(写真機)の
企画設計上のノウハウが蓄積されていないのであろう。
「気に入らないのだったら、FUJIFILM製のカメラを
買わなければ良いではないか」と思うかも知れない、
事実、私も何度もそう思った。
しかし、銀塩時代から現代のデジタル時代に至るまで、
FUJIFILMは、稀に非常にユニークなコンセプトのカメラ
等を発売する事があり、マニアックな、それらを見て
しまうと、どうしても欲しくなってしまう訳だ(汗)
で、買ったは良いが「使い難い」という評価の繰り返し
であり、もう近年においては、正直言えば、FUJIFILMの
機体においては、カメラとしての完成度は全く期待して
いない。
そして、カメラやレンズに弱点があったとしても、それを
回避して使う事は、ユーザー側の責務だとも思うように
なって来ている。つまり、未成熟な撮影機材に文句ばかり
言っていたら、精神衛生上良くなく、ストレスになる。
まあ、そんな課題は全て承知の上で、そんな事は問題に
ならないようなシステム構成や撮影技法などを駆使すれば
なんとでもなる、と考える方が賢明であろう。
で、前述の通り、所有していたFUJIFILMの銀塩機は、ほぼ
全て処分してしまっている。基本的には、あまり後世に
残すべき歴史的価値の高いものとは思いにくいからである。

まあ「今更」という気がしないでも無いが、以下、簡単に
所有していた銀塩機の内、代表的と思われるカメラを
紹介しておこう。
*FUJIFILMの銀塩カメラ所有機 1970年代~1990年代
1972年 FUJICA ST-801
当時としては稀な最高1/2000秒シャッターとLED指針
を搭載。この点だけをみれば魅力的なカメラであった。
M42風マウントの開放測光MF一眼レフ機だが、M42に
独自の改良を施した為に、純粋なM42との互換性を
無くしてしまっていた。
まあでも、この時代ではPENTAXやOLYMPUSでもM42類似の
独自改良機を発売していた為、他社も同様の状況だ。

この時代の、EBC銘のあるFUJINONレンズ、それから
他社のM42もどきのレンズは、M42機に直接装着する事
や簡易的な一眼レフ用M42アダプターで装着するのは
大変危険である為(嵌らない、外れない、部品干渉で
壊してしまう等)必ずミラーレス機用M42アダプターを
介して使用する必要がある。
マニア層には常識とも言える話ではあるが、それでも
一度なりとも、それをやってしまい、冷や汗をかかない
と、理解も注意もできないかも知れない。
(私も、一度それやっている)
1986年~ 「写ルンです」シリーズ
説明の必要もないくらいの著名なカメラである。
「使い捨てカメラ」と言うと、業界人や関係者が嫌うので
「レンズ付きフィルム」と称する事としよう。
35mm判フィルム使用の他、最初期には110フィルム
を使った機体もあり、後年にはAPS(IX240)フィルム
のバージョンも多かった。
レンズの像面湾曲収差の低減の為、フィルムが湾曲して
装着されている特殊な構造。非球面メニスカス型1群2枚
プラスチック成型レンズを採用し、写りは、そこそこ
良い事が特徴である。

なお、2010年代後半、写ルンですの使用レンズを分解
再生し、ミラーレス機用に販売したGIZMON Utulens/
Wtulensが発売されている。(レンズ・マニアックス
第18回、第16回記事参照。上写真は、Utulens)
これらは、前述の像面湾曲収差が解消されていない等で、
写ルンですと同じ写りは得られないが、まあ「雰囲気」
としては興味深いレンズ群であろう。
1990年 カルディア トラベルミニ
二焦点(28mm/45mm)切換式のAFコンパクト。
その名の通り、旅行用に便利そうだったが、あまり
写りが好みではなかった為、短期間で誰かに譲渡
してしまっていた。
個人的には二焦点カメラとしては、RICOH R1系列の
カメラを3台程所有していて、いずれもパノラマ機構
を改造し、24mm/F8と30mm/F3.5の二焦点カメラ
として、旅行用等に重宝した。
1994年 カルディアミニ・ティアラ
トラベルミニで不評であった45mm側を潔く廃した
28mm広角単焦点レンズ搭載機である。
広角機はマニアックで希少だった為、マニア層にも
好評であった。
弱点は壊れ易い事で、私の機体も周囲の知人の機体も
何台かが故障、それぞれ廃棄してしまっている。
後年、後継のカルディアミニ・ティアラⅡ(1997年)
に買い換えている、こちらは故障しにくかった。
1995年 連写カルディア ビューン16
ゴルフ専用カメラ。これ以前に「ビューン」という
8連写カメラが存在したが、それの後継機であろうか。
今となっては詳しい仕様は不明であるが、記憶に頼れば
パンフォーカスの固定焦点、固定シャッター速度カメラ
であり、高速時0.1秒間隔で16枚の写真を連写できる。
連写用に、何と16個のレンズが付いていて、35mm判
フィルムの2コマに跨って、16枚の写真がサムネイル
画像的に記録される。
まあ、今時の用語で言えば「秒10コマの高速連写機」と
言えるだろう、銀塩時代には業務用特殊一眼レフを除き
秒10コマのカメラは他に無かったので、民生用機と
しては最速の連写カメラである。
用途はズバリ、ゴルフのスイングチェックで、この為
ゴルフ場での販売とか、流通も特殊だったかも知れない。
特に面白いのは、15枚+1枚モードである。
これは0.1秒間隔で15枚の連写(1.5秒間)の後、
約1.5秒後(だったか?)に、最後の1枚のシャッター
が切れる仕組みだ。
この用途は、スイングをした後、最後にこちらを向いて
ピースサインを出している様子を撮る、という事である。
私は、友人等とのレジャーの際の野球バットのスイング
等で何度かこのカメラを使ったが、固定露出、固定焦点、
固定シャッター速度、および連写開始タイミング等で、
なかなか上手く撮れる条件は揃い難かった記憶がある。
その後は、ゴルフ好きの知人に譲渡してしまっている。
1997年 MC-007
ミノックス判(8x11mm)使用の、いわゆる「スパイ
カメラ」だ。
型番も、それを連想させる「007」で、遊び心がある。
本体は超小型で良いが、低感度のミノックス判フィルム
で、映画のスパイのように室内で秘密文書(笑)等を
撮るのは意外に難しい。(=暗所では撮影困難となる)
その為か、フラッシュが付属していたが、これを
付けると、カメラサイズが2倍以上にも大きくなって
格好悪い(汗)特殊フィルムの入手も現像も大変だし、
結局「用途なし」という事になってしまったカメラだ。
1998年 EPION 1000 MRC TIARA ix TITANIUM
希少な、チタン外装仕上げの超小型APS機、
レンズは30mm/F3.5を搭載している。
現在、APS(IX240)フィルムは、入手も現像も困難な
状況であるが、FUJIFILMとしては希少な高級コンパクト
機であるので歴史的な価値から現在でも所有している。

他にも、何台ものAPS機(EPION,nexia)を所有していた
のだが、APS終焉期に在庫処分品を安価に購入したもので
あり、知人等にギフト代わりに譲渡して雲散霧消、今と
なっては、それらの型番すら覚えていない状況だ(汗)
1998年 instax mini 10
いわゆる「チェキ」の初期型である。
現代においても人気が再燃しているので説明は不要で
あろう。用途を色々と考えれば楽しいカメラではあるが、
課題はその撮影コストだ。
記憶によれば当時の(チェキ)フィルムは、10枚撮り
で700円程度であり、1枚あたりで70円もコストが
かかってしまう。世間では「ゼロ円プリント」が常識の
時代であったので、このコスト高は容認し難かった。
2004年 NATURA S
24mm/F1.9の大口径超広角レンズを搭載する35mm判
AFコンパクト機。
NATURA ISO1600フィルムとの組み合わせで、室内や
暗所等でのノーフラッシュ撮影を可能とする。
この機体は所有していたのではなく、FUJIのモニター
として一時期試用していた。
が、超広角の割りに最短撮影距離が40cmと不満で
あり、AFの精度も悪かったので、購入する気に
なれず、酷評のレポート(汗)を書いてFUJIFILMに
返却している。
後年にはプレミアム価格となって非常に高価に取引
されていた模様だが、実用的価値は殆ど無いので
念のため。
さて、銀塩時代の所有機については、以上の通りだ。
残念ながら現有品は少ないが、まあ、ここで紹介した
機体はマニアックなものばかりである。
だが、このクラスのマニアック度でも、歴史的価値に
ついては、まだまだという感覚だ。

*FUJIFILMのコンパクト・デジタルカメラ 2000年代~
FUJIFILMは1998年からデジタル機を発売している。
私は「自社のフィルムのビジネスを否定するのか?」
と、かなり驚いたが、まあ、フィルムにしがみついて
いたら、ジリ貧は免れず、大英断であった事だろう。
最初期のFinePix700は、一時期所有していたが、
思いの他、良く写るデジカメで驚いた。1990年代で
あれば、恐らくは最良の描写力であった事だろう。
2005年 FinePix F10

2000年代のFUJIコンパクト機の名機である。
何度か過去記事でも紹介しているが、この時代では、
この機体があれば、もう十分という感じであり、
他社機より、様々な点で頭ひとつリードしていた。
特にバッテリーの持ちの良さは、同時代の他社機とは
一線を画す。またAWBの精度や高感度の実用性も
及第点である。
同年発売のGR Digitalと共に、個人的にも2000年代
に最も良く使用したコンパクト・デジタル機だ。

弱点は、現在となっては入手困難な「xD」ピクチャー
カード使用機である事だ。この機体の他でも2000年代
前半のFUJI機はxD使用機が多い為、一応、予備のxD
カードを未使用で2枚保管してある。
2009年 FinePix S200EXR
30-436mm(相当)F2.8-5.3 の高ズーム比を誇る
いわゆるロングズーム機である。
普通、この手のカメラは望遠化の為にセンサーサイズ
が小さくなるが、本機では1/1.6型のスーパーCCD
ハニカムEXRである為、描写力にさほど不満は無い。

中古を安価に入手できた為、雨天等での消耗機として
使用していたが、後年では後述の後継代替機X-S1を
この用途としている。
2011年 X-S1

上記S200EXRをパワーアップしたロングズーム機。
センサーは2/3型CMOS(1200万画素)と大型である。
レンズは24mm-624mm(相当)/F2.8-5.6であり、
超解像でさらに2倍、1250mm相当位まで超望遠が効く。
これが世の中で最後の「手動ズーム式」ロングズーム
機である。これ以降の各社からは、手動ズーム機が
1台も発売されていない。
電動ズームは、当然なから実用的には不可と言える
訳であり、貴重な本機X-S1は予備機まで所有している。

用途としては、ボート競技撮影用が大半である。
本ブログでの、2010年代のボート系記事の中の
多くの写真は、このX-S1で撮影されたものだ。
ただ、カタログスペック的には十分なカメラではあるが
実用上では、AFの精度や速度に課題を持つ。
勿論、それらを課題回避しながら使うのだが、大事な
シーンで上手くAFが合ってくれない等のケースも多々
あった為に、だんだんと現役実用カメラからは、引退
傾向となっている。
しかし、X-S1に代わるロングズーム機は、手動ズームの
1点だけを見ても他に存在しない為、大きな問題点だ。
現在では重量増を容認して、デジタル一眼レフを2台
持ちとして本機の用途を代替している次第であるが・・
望遠システムを2台手持ちするのは非常に困難な為、
やはり課題は免れない。
2013年 XQ1

史上最後とも言える、コンパクト・デジタル機での
高コスパの名機。
これ以降の時代では、コンパクト機市場の大幅縮退の
為、各社の製品は、ほぼ全て高付加価値型となって、
不条理なまでに値上げされてしまっている。
弱点はあまり無い。前述のFinePix F10の再来として
FUJIFILMの機体の中では最も気に入っているカメラだ。
今後たりとも、各社より、このようなコスパに優れた
高性能のコンパクト機は出て来ないと想像されるので、
必要に応じて予備機を購入しておこうとも思っている。
なお、予備機購入の際は、機体色にバリエーションが
ある事が個体識別の為に必須であるが、本機XQ1は、
その点もクリアしている(後継機XQ2も存在している)
コンパクト・デジタル機での現有品は以上である、
他にもロングズーム機HS20EXR(2011)やXF1(2012)を
所有していたが、いずれも短期間で譲渡、あるいは故障
してしまっていた。
まあ、だいたいマニア層が目をつけるカメラは、以上の
ような機種群であろう。
加えて言えば、2000年代の機種では、ファッショナブル
なFinePix Zシリーズ、質実剛健なFinePix F二桁シリーズ
(F31fd,F50fd等)それから、2010年代の機種では、
防水機能を持つFinePixXPシリーズ、さらには高級機
XシリーズのX100系やX二桁系等も、マニアにとっては
魅力的な機体であろう。
FUJIのデジタル機の全体的な特徴としては発色が良い事だ。
その長所だけは、さすがにフィルムメーカーだけあって、
カメラの絵作りに関しては良く検討・調整されている。
勿論、被写体よっては不自然な色味になってしまうので
近年の機種であれば「フィルム・シミュレーション」機能
を駆使して、被写体毎に適切な設定を行う必要がある。
そうした様々にカメラ設定を行う必然性の面においては、
Xシリーズ等は中上級者向けのカメラだとは言えるのだが、
前述のように、カメラとしての「操作性・操作系」そして
「AF/MF性能」に劣る機体が極めて多く「魅力的なカメラ
だが、非常に使い難い」という矛盾を抱える。
また、機種毎に仕様、操作系、バッテリー等がまちまちで
あり、多数の同社カメラを使用する際、共通性・汎用性等の
面で標準化が行き届いていない事が、かなりの不満事項だ。

メーカーとして、写真撮影に係わるノウハウや、それを
カメラの機能や操作系に反映する、企画・設計ノウハウが
不足しているのは間違い無いが、たとえ多くの機体が社外
開発であったとしても、どうにかならないものか?と、
常々思っている次第だ。
*FUJIFILMのミラーレス機 2010年代~
ここもまた機種数が多い、所有している機種のみの
紹介に留めておこう。
2012年 X-E1
FUJIFILMがミラーレス機市場に参入するというニュースは
相当に驚いた。「だって、これまでレンズ交換式カメラ
なんて、業務用機を除いては、AF化に失敗した銀塩一眼
AXシリーズ以降、30年も作っていなかったでは無いか・・
それに、機体の殆どは社外開発と聞くし、大丈夫か?」
という印象が強かった訳だ。
それから、ミラーレス機市場への参入メーカーとしては
最も後発である。私も既にμ4/3機やNEXなどを多数
所有していて、オールドレンズ母艦としてフル回転して
いる最中であったし、このXシリーズ・ミラーレス機を
私は無視する事とした。
ただ、またここでも、これまで繰り返し述べて来た
「FUJIFILMは、稀に非常にマニアックな商品を出して来て
それを無視するのが難しい」という事例が起きてしまう。
そう、16年ぶりのアポダイゼーション光学エレメント
搭載レンズ「XF56mm/F1.2R APD」(2014年)の
発売である。

このレンズについて語りだすときりがないし、難解だ。
近年の記事では「特殊レンズ第0回、アポダイゼーション
グランドスラム」を参照されたし。
それでも、高価なこのレンズを少し待って中古入手したが、
しかしAPDレンズの母艦が無い。相場が安価になっていた
というだけの理由で、完成度が低いと推察されたX-E1を
購入したが、カメラとしての使いにくさは酷かった。
(ミラーレス・クラッシックス第6回記事参照)

でもまあ、APDレンズの描写表現力は捨てがたく、
カメラの課題は「後継機を買えば解決する」という
事で、X-E1は早期に使い潰している。
2014年 X-T1
多数のアナログ操作子を持つ個性的なカメラである。
像面位相差AFを搭載しているので、これまでのX機の
コントラストAFのみの仕様よりは、改善が図れて
いるであろうと思われた。

こちらを新たなAPDレンズの母艦としたのだが・・
AFは、まあ、少しは改善されたが、今度は操作系の
問題が起こってしまった。
すなわち、アナログ風の格好良い操作子が使い難いのだ。
(ミラーレス・クラッシックス第15回記事参照)

X-T2やX-T3ならば、操作性・操作系が若干改善されては
いるのだが、そんなに次々と新鋭の高級機を買う訳には
いかない、あくまで「コスパが良い事」「前機種を元を
取るまで撮影している事」が購入条件なのだ。
2015年 X-T10
X-T1のアナログ操作系の弱点を鑑みて、システム全体
の救済の為に購入した機体である。
(ミラーレス・クラッシックス第18回記事参照)

中級機であるが、中古相場が安価に下落していた事と
今度は、購入前に操作系を良く検討し、大きな矛盾や
不条理が起きない事を確認してからの購入である。
まあ操作系はやや独自性が強く、他機との互換性も低い
という、例の課題が本機でもあるのだが、まあそれでも
不条理なまでの状態では無い。
本機から、やっとXシステムにおいても、オールドレンズ
母艦としての適正が少し出てきている。過去の機種では
使い潰しの目的でオールドレンズを使おうにも、MF性能の
課題があって、トイレンズ系しか使用できなかったのだ。
まあでも、勿論本機をトイレンズ母艦として扱うのは
「オフサイドの法則」(カメラをレンズよりも、高性能、
高価格にしすぎてはならない、という持論)を緩和する
目的にも役立っている。(X-T1系ではアンバランスだ)
それと、Tフタケタシリーズは上位機種とのスペック上
の差異が少なく、現状のFUJIミラーレス機の中では
コスパが良い事も特徴と言えるであろう。
----
以降の時代のFUJIミラーレス機は購入していない。
コスパが悪いと見なされる機体が大半だからだ。
大型センサー機GFXシリーズ(2017年~)も
同様に未所有である。
ただ、Xマウント機のX-T3(2018年)、および
X-S10(2020年)は、コスパが許容範囲だ、と
認識しているので、いずれ中古相場が安価になった
頃に、現行使用機の代替とするかも知れない。
*FUJIFILMのミラーレス機用交換レンズ 2010年代~
FUJIFIM社のレンズは、恐らく自社開発であろう。
銀塩時代より、FUINON銘で各レンズ固定式カメラへの
搭載レンズ、そして35mm判一眼レフ用交換レンズ、
業務用中判カメラ用交換レンズ、引き伸ばし用レンズ
等を、多数設計開発していると思われる。
多数を所有している訳では無いが、描写力的には可も無く
不可も無しという印象のものが多い。まあ標準的な性能だ。
ただし、ミラーレス機用交換レンズの多くは、マニア層
向けの高性能単焦点レンズが主体であり、極めて高価だ。
すなわち、単純に言えば「高付加価値型商品」であり
わかりやすく言えば、メーカーが利益を出す為の製品群と
なっている。もしかすると遅れ馳せながらミラーレス機の
市場に参入したのも、こうしたレンズ群を売り、そこで
利益を上げる事が主体の戦略であったのかも知れない。
だから高価なのか・・ という想像もつく、つまり高く
売りたい商品だから高価なのだ。幸いにして、近年に
おいてはコンピューターによる光学設計が常識である。
それが何か?と言えば、先年、私も光学機器メーカーに
出向いて光学設計ソフトの使い方を見学させて貰った事が
あるのだが、現代のレンズ設計ソフトではオーソドックス
な性能のレンズ設計を行う事の方が、むしろ難しい。
つまり、高い要求性能を入力すれば、コンピューターが
一所懸命、その高い性能を満たすレンズ構成やガラス材質
になるように、評価関数(メリット関数)をどんどんと
勝手に向上させていくのだ。
そうやって出来上がったレンズは、高性能(=収差が
少ない等)ではあるが、複雑かつ、大きく重く高価な
「三重苦レンズ」となってしまう。
まあ、メーカーにとっては「高く売りたい高性能レンズが
簡単に設計できる」というメリットが大きい状況だ。
だが私はこの「仕掛け」がわかった事で、新鋭の高付加
価値レンズへの興味がだいぶ減ってしまった。
それまでは現代的な新鋭単焦点レンズを「昔の一般的な
レンズ構成(テッサー、プラナー、ゾナー等)とは
ずいぶんと違うので、相当に高性能なのだろうなあ・・
でも高価だなあ・・」とブツブツ言いながらも、何本かの
高価なそれらを買ってしまっていたのだが、結局のところ
「レンズを高性能にして高価に売りたいから、そうパソコン
に計算をやらせている」という事が明白にわかったので、
なんだか「エンジニアとして良心的な設計技法では無い」
とも思うようになってしまった。つまり、本来であれば
技術者は、より良い製品を、より安価なコストで設計する
事を目指すべきだ、それがユーザー主体の視点であろう。
まあでもその事はFUJIFILM社だけの話ではなくて、現代の
全てのカメラ/レンズメーカーの新製品設計で同様である。
つまり、カメラ市場が縮退している現状においては、
そうやって「高付加価値型レンズ」を設計販売しない限り
メーカーは事業が維持できない訳だ。
自社のビジネスを守る為には、そういう「えげつない」
設計や製品開発を行うしか無い状態であろう。
まあ、その点については、わかっているユーザーであれば
「コスパ」を、これまで以上に強く意識すれば良いだけだ
とも思っている。つまり簡単に言えば、メーカーの言うが
まま、あるいはネット上や、評論家や市場の意見によって
「このレンズは良く写る」などの単純な評価には左右
されないようにする事が、まずとても重要だ。
レンズの構成、仕様、想定される描写力、汎用性、用途
といった性能要素の全般(パフォーマンス)と、それに
対する価格(新品や中古でのコスト)の比を良く意識
するという事だ。
勿論、初級中級層には、それは無理だ、機材を買う前に
自身でコスパを判断するのは、とても難しい。でもまあ、
申し訳無いが、ビギナー層等に高付加価値型レンズを
買って貰い、市場にお金を落として潤してもらわないと、
各社ともレンズ事業の継続が難しくなってしまう。

まあ、という事で、現状では私の場合は、FUJIFILM社
の純正交換レンズの購入は、大きく制限している。
すなわち「コスパが悪い」と見なしているからである。
(注:ここで説明している内容は、Xシステムの事に
限定している。GFXシステムは未所有につき言及しない)
また、汎用性が無いのも課題であり、Xマウント用の
レンズは他社機では使用する事が出来ないのだ。
むしろ、それをするならばFUJI機の発色の良さを活かす
為には、他社製レンズを、Xシステムで利用する方が
合理的で賢明な選択であろう。
例えば、近年に普及が著しい海外製格安レンズ等を
FUJI X機に装着する事も、十分に意味がある。

総括だが、FUJIFILM社のカメラもレンズも、色々と
クセや個性のあるものが多い。その長所だけを上手く
生かして使うならば、魅力的なシステムにはなり得るが
どの機材にも、必ずと言っていい程、短所がつきまとう
残念なシステムでもある。その短所をちゃんと理解し
それを回避する知識や技能を持つ上級層であれば
問題無いが、ビギナー層向けのシステムには成り得ない
事は念のため述べておく。
----
さて、今回の記事は、このあたりまでで・・
次回記事に続く。