鳥取撮影ツアーシリーズ、その(2)
智頭(ちず)は鳥取の近郊にある小さな古い町である。
私は、撮影ツアーでは、こうした観光地化されていないマイナーなスポットに行くのが
好きである。 ・・・以前行った福井県の三国もそうだった。
別に観光パンフレットのような写真を撮りたいわけでも無いから、風光明媚な土地である
必要は無い。
初級者だと、そんな場所では、「何を撮ったらいいの?」と悩んでしまう、
しかし、まあ、写真は「場所」ではなく「被写体」なんだから、そのへんは悩むことは
なく、目についたものを撮っていけば良いのである。
私が写真を撮っていると言うと、写真をやらない人からはよく「それでは色々な所へ
出かけられて撮るんですか? 山とか、海とか?」 と聞かれるのであるが、まあ、確かに
色々行ってるかもしれないが、別に山や海を撮りたくて出かけるわけでも無い。
どんな場所でも被写体はあるし、できればその場所のイメージを入れて撮るのも良いが
それがかなわなければ、別にどこで撮ってもいいような写真であっても何等問題は無い。
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「智頭」の町につくと、雨が少し降ってきた。 傘はツアーバスの中に置いてきてある。
さて、困ったな・・・ と思ってると、小さな無人の観光案内所に、誰でも自由に使える
傘が10数本も置いてある。 後で返しに来ればいいとのこと。 雨はたいしたことは
なさそうだが、この観光客や地元の方への配慮に感激して、遠慮なくビニール傘を借りて
歩くことにした。
・・・「雨、そして水か・・・・」
そんなわけで、「智頭」の町では雨や水にかかわる被写体を探してみようかなと思った、
ごく普通の被写体を、比較的オーソドックスな撮影技法で捉える。
別に「智頭」らしいところは何も写っていないかもしれないが、写ってなくても、これは
私の中では「智頭」の町のイメージなのである。
雨や水をテーマにした3点組、撮影はすべてGR Digital である。
(マクロモードも使用している。)
そして、広角コンパクトだけでふらりと歩く古い町は楽しい。
一眼を構えると、どうも「何か撮ってやるぞ」とか肩に力が入ってしまう。
もちろん、小さいものとか、あるアングルから撮った時の姿とか、そういう事にもあまり
神経を払わなくなってしまい、下手をすると意味もなく立ち止まってズームを伸ばしたり
縮めたりしながらぐるりと被写体探し、というあまり良く無いスタイルになりやすい。
仮にテーマを持っている場合でも、せめて被写体を発見してから、そこに何等かの
撮影する為の意図や気持ち(感情)を持って、それから撮って欲しいと思う。
ともかく、カメラを構えてから被写体を探すのではなく、被写体を探してから、撮りたい
画(え)を想定して、それから、カメラの設定を行って、被写体にカメラを向けたときは、
あとは、ピントを合わせてシャッターを切るだけ。 そんな手順になれば良い。