本シリーズでは、写真撮影に係わる用語で、本ブログの範囲
でのみ使われたり、一般的では無い専門用語を解説している。
今回第22回目は、補足編~システム関連・その他という事で、
ハードウェア関連の雑多なテーマに係わる用語をとりあげる。
今回の記事では、ビギナー層で誤解や誤記が極めて多い用語を
中心とする。
<システム関連・その他>
★連写と連射
ごく当たり前の一般用語。
「連写」とは、写真撮影において、1度のシャッターレリーズで
連続して複数枚の撮影を行う事(または、その機能)である。
対して「連射」とは、銃器等で連続して銃弾を撃つ事。
だが、これは物騒な話なので、一般的にはコンピューター
(シューティング)ゲーム等で、連続して弾が発射される事
(または、その機能)を示す。
両者、ごく当たり前の日本語である、文字面(もじづら)
から見ても容易に、連写と連射は区別できる。
しかし、小中学生のゲーム世代などが、少し成長して
写真を始める際に「連写」の事を「連射」と書いてしまう
ビギナー層が極めて多い。また、その事に気づきもしないし
周囲の誰もそれを指摘しない。酷い場合には、TV番組の
テロップ等でも、それが、そのまま放送されてしまう。
写真においては「連写」である、「連射」は完全な誤りだ。
なお、同様にビギナー層がよく誤記をする写真用語として、
誤:短焦点 正:単焦点
(注:プロジェクター機器の分野、あるいはごく一部の
光学分野の専門用語として「短焦点」という言葉が
使われる場合もあるが、それは勿論「単焦点」とは
全く異なる概念/意味だ。まあつまり写真分野では、
一般に「短焦点」という用語は一切使われない)
誤:解放F値 正:開放F値
誤:絞りを解放する 正:絞り(値)を開放にする
誤:手ブレ補正内臓 正:手ブレ補正内蔵
誤:露出ブランケット 正:露出ブラケット
誤:(カード)スロットル 正:(カード)スロット
誤:イソ感度 正:アイエスオー(ISO)感度
などがある。
これらは単なる「誤記」や「誤変換」では無く、そもそも
何も意味や語源がわかってない状態で、間違った用語表記と
なっているケースが大半(ほぼ全て)であろう。
さて、何故、写真において「連写」機能が必要になるか?は、
中高速の動体撮影において、その被写体状況が連続的に変化
する為、ある特定の一瞬(シーン、ポーズ、相対関係等)を
撮影後に意図的に選ぶ事を可能とする為だ。
現代機での、連写に関する性能だが、
一般的なユーザーが使うデジタル一眼レフやミラーレス機
の「機械式シャッター」での連写性能は、最大(最速)
でも毎秒8~12コマ程度である。
近年のミラーレス機における「電子シャッター」方式
(注:「撮像素子シャッター」と呼ばれる場合もある)
での連写、又はスマホ等の同様な構造の連写機能では、
上記の速度を上回る場合もあるが・・
電子シャッター方式では、カメラ本体側の様々な性能や
機能に制限が出たり、被写体状況の重大な制約が発生する
場合が多々ある為、使い難いケースもある。
よって、本格的な撮影では、いまだに「機械式シャッター」
方式が主流だ。・・と言うか、そのカメラにおける、
機械式シャッターでの連写時のスペックしか、気にしない、
ようにして購入機器を選定する。
現状、電子シャッター連写は、いくら高速でも、あくまで
「おまけ」的な機能という認識であるが、近い将来に、もう少し
実用的なレベルになってくるかも知れない。
それと、いくら連写速度が速くても「何コマ撮れるか?」が
重要である。2000年代等、少し前の時代のデジタル機では
数枚連写するだけで打ち止めとなったが、現代のデジタル一眼
レフの高級機では、カメラ設定を整えれば数百枚や数千枚迄
連続で撮影が可能だ。ただ、動く被写体をずっと連写できても、
その間に、AF(ピント)や、AE(露出)が追従できるか?
という問題もある、被写体条件とカメラ設定やレンズ性能を
全て整えて快適に連写を行うのは、そこそこ難しい。
また、一般的に想像される連写の目的は「ある瞬間を撮る為」
であるが、それは簡単にはそうだとは言い切れない。
たとえ秒10コマ程度の連写ができても、例えば時速40km程度
で動く車や自転車や人間の全力疾走の被写体であれば、撮影
の1コマあたりで、被写体は、およそ1mも動いてしまう。
また、野球でバットがボールに当たる瞬間を捉えようとする
ならばスイングスピードは時速100km以上(秒速30m以上)
にもなるので、秒10コマ以上で撮影しても、ボールに当たる
瞬間を撮るのは、偶然でないと、まず無理だ。
それから、連写の速度(秒コマ数)と、シャッター速度は
基本的には無関係だ。だから、いくら高速連写をしていても、
1枚1枚でのシャッター速度が遅い場合には、高速動体被写体
ならば当然ブレて写ってしまう。これもまた「瞬間を撮る」
という意図とは異なってしまうリスクとなりうる。
(注:ある限界値より遅いシャッター速度となると、連写
速度そのものが低下する、という「関係性」は存在する)
いずれにしても、高速連写が必要な被写体状況は限られて
いるし、条件を整えて撮る事も、そう簡単では無い話だ、
初級中級層では、特に「高速連写」は、使いこなせない
機能であるとも言える。
(参考:近年では高級機での高速連写機能搭載が増えて来たので
高級機を欲しがる傾向が強いビギナー層において、趣味撮影で
あっても高速連写を多用するケースが増えてきている。
だが、周囲から見ると、カメラの高性能を誇示しているようで
鼻につき、そもそも静止被写体等で連写が不要なのに多数撮って
いたり、また撮った本人にしても、多数の写真を撮りすぎて、
後での選別や編集の手間がかかりすぎる為、趣味撮影では、
撮った写真が「ほったらかし」に放置されている状況も多い。
また、高速連写音がうるさい機体(特にNIKON機)も多い為、
静粛にしなければいけない場での連写音が周囲に迷惑になる
ケースも極めて多い。(これは初級層には限らない課題だ)
なので、近年では「ビギナー層での高速連写不要論」を唱える
人も多くなってきている。それは、まさしくその通りであろう)
★ラティチュ-ドとダイナミックレンジ
やや専門的、かつ意味が曖昧な一般用語であり、
本ブログでは独自解釈を行っている。
「ラティチュ-ド」には様々な意味があり、例えば「緯度」
等を表すが、日本においては、特に銀塩(フィルム)での
写真用語として使われる。
ただし、一般的な観点からの意味が少々曖昧だ。
本来、この用語は日本語では「露光(露出)寛容度」とも
呼ばれているのだが、概ね2つの意味があり、両者が
混同されて使われている。
1)ダイナミックレンジと等価という解釈
ダイナミックレンジ(Dレンジ)とは、音響や信号処理の
技術分野で古くから使われる技術用語であり、入力信号の
再現可能(処理可能)な範囲を示す。
音響の例で簡単に説明すれば、大きな音響入力信号が入ると
入力オーバーになってアンプ等が歪んでしまい、逆に小さい
信号の場合は、システムのノイズに埋もれて良く聞こえない。
よって、再現が可能な最小値から最大値までが肝心だが、
これを「Dレンジ」とか、S/N比(シグナル・ノイズ比)と
呼ぶ場合もある。(単位は、相対dB=デシベル、である)
デジタル写真においても、これと同じ考え方で、被写体の
明るい部分から、暗い部分までを再現できる範囲を
ダイナミックレンジ(以下、Dレンジ)と呼ぶ。
(単位は、EV(エクスポージャー・バリュー)が使われる
場合が多いが、そうで無いケースも存在する)
一般に撮像素子(センサー)のDレンジは、さほど広く無い
ので、人間の目が見たままには写真を写す事ができない。
が、勿論カメラには露出制御機構があり、絞りやシャッター
速度やISO感度の調整で、できるだけ撮像素子のDレンジ内
に写真的な輝度差を収めようと、機械または人間が努力する。
しかしそれでも無理な場合は「白トビ」「黒ツブレ」という
事になってしまう。
ただ、近年のデジタルカメラでは、撮像素子や画像処理
エンジンの進化により、Dレンジは目に見えないところで
少しづつ拡大されているであろう。
具体的には初期デジタル一眼レフ等では、ポジフィルム並み
の5~6EVしか無かったものが、現代の高性能機や超高感度機
等では、これよりも、ずっと向上していると思われる。
デジタル撮像素子では無く、フィルムの場合にも、この
Dレンジの考えをそのまま摘要し、フィルムの感光材料の
輝度(明暗)差の再現範囲を「ラティチュード」と呼ぶ
場合が多い。一般に、ネガフィルムは広く(10EV以上)
ポジフィルムは狭い(6EV程度)
2)基準露出値からどれくらい離れても大丈夫かという解釈
ラティチュードの、もう1つの別の解釈としては、銀塩カメラ
において例えばネガフィルムを用いたとする。この時、当然
カメラは撮影時において基準的な露出値を提示し、それで撮影を
行うが、ネガの場合は多少プラス目に露出補正をかけた方が、
最終的にDPE店の自動プリンター(QSS)で輝度調整されて出力
される写真の仕上がりが良い場合も良くある話だ。
では、どれくらいまでプラスに補正するのか? それは
状況によりけりだが、概ね2/3段程度が一般的であった。
これは、(ネガ)フィルムにとっては、ある意味「無理を
させている」状態ではあるが、「そこは、ラティチュードが
広いネガだから、十分に許容範囲である」といった感じで
ラティチュードの用語を使う訳だ。
ネガフィルムにおける、この「露出のずれ」の許容範囲に
ついては、あまり明確な資料が無いが、プラマイ計でおよそ
4~5 EV程度とも言われていた(ただ、あまり極端な無理を
させると当然画質が劣化するだろう、個人的には「擬似増感」
を狙った-2EVとかしか試した事は無いが、あまり良い状態
では無かった)
実は、本来はこちらが「ラティチュード」の正しい意味で
あったと思うのだが、やや難解であり、ユーザー層が殆ど
理解しきれないまま、デジタル時代に突入してしまい・・
デジタルでは、前述の「Dレンジ」の考え方が主体となった
事から「Dレンジはラティチュードと等価」という(誤った?)
解釈が一般的になっていった。
ただ、デジタル時代に、「Dレンジ」という言葉を使う
ならば、その意味も内容も何も間違ってはいない。
本ブログにおいては、「ダイナミックレンジ」(Dレンジ)
という言葉で、デジタルでも銀塩でも、その輝度差の許容
範囲の事を指し、
あえて「ラティチュード」という用語を別途使う場合は、
銀塩(フィルム)における、上記2)の「どれだけ基準の
露出値からずらしても許容できるか」という意味で用いて、
両者を完全に区別している。
★収差補正(機能)
やや専門的な一般用語。
写真用交換レンズには諸収差、あるいはザイデル5収差には
含まれない他の欠点が色々と存在する。
それらを設計時点で、全て良好に補正しようとすると、
まずそれはとても困難または不可能であるし、ある程度まで
対策したとしても、大きく重く高価なレンズとなってしまう。
よって、殆どの交換レンズでは、設計コンセプト(想定用途)
に応じて、収差や欠点の何を重点的に補正するかが決まる。
例えば、小型軽量で安価な標準ズームレンズでは、恐らく
画像の歪み(歪曲収差)は、あまり重点的に補正されて
いない。それよりも、小型軽量である事が重要なのだ。
また、望遠レンズでは色収差による解像力の低下を重点的に
補正している場合が多い。遠距離被写体が、はっきり写らな
ければ商品価値が無いからだ。
ただ、収差等のうち、一部は初級中級ユーザーであっても
撮った写真から明白にわかってしまう(例:歪曲収差や
周辺減光等) これらは、ユーザー層や評論家から不評を
招いてしまい、たとえ他に設計上で重点的に高めた長所が
あっても、その欠点ばかりが取り上げられたら台無しだ。
これは評価する方が悪いのであるが、全ての収差や欠点に
ついて理解や評価をする事は、レンズ設計者並みの高度な
専門的知識や経験やノウハウや測定装置が無いと不可能である。
まあ、一般層や評論家層では、それは無理な話だ。
近年、カメラ内部において、ユーザーから見て目立つ欠点を、
メーカー純正レンズの場合に、自動的に補正する機能を
備えたカメラ(一眼レフ、ミラーレス機)が増えてきた。
具体的には、以下のような(収差)自動補正項目がある。
・ディストーション(歪曲収差)補正
・周辺光量(ヴィネット)補正
・倍率色収差補正
・回折補正
今後、まだ他にも補正機能が追加されるかも知れないが、
まあ、それ自体はあまり重要な事では無い。
この機能のポイントは以下である、
1)レンズの特性データが無いと、カメラ側で補正できない。
つまり、メーカー純正レンズ、またはサードパーティ製で
レンズ補正対応仕様でないと、この機能は使えない。
オールドレンズ等を使用時に、周辺光量補正が(増減両方)
できると嬉しいが、そういう機能は、殆ど前例が無い。
まあ、つまり「自社製品だけでシステムを組めば良い」
という排他的戦略(他社製品を使わせない)でもある。
2)これらは、ユーザーから見て目立つ収差であり、
かつ、あまり重要度が高く無いものが多い。
例えば、歪曲収差や周辺光量は、レタッチ編集でも補正が
可能である。あえてカメラ側で行う必要性はあまり無いし
前述のように、レンズ設計時点では、もっと重要な収差の
補正が行われたかも知れない。
あくまで、誰の目から見ても目立つから、こういう機能が
入っているだけで、ユーザー側での表面的な不満点とか
クレームを取り除くだけの機能だとも言える。
本来ならば、像面湾曲とか非点収差とか、仮にそういう部分が、
ボケ質等に強くに関連するのであれば、それを補正または調整
できる機能が欲しいが、これを画像処理で実現するのは困難
(ほぼ不可能)であろう。まだ発展途上の機能だとも言える。
3)これらの機能を用いると、カメラ内部の処理が重く(遅く)
なる場合があり、そうなると、連写速度や、バースト枚数、
連写復帰時間などに多大な影響が出るケースが多い。
一部の機種では、高速連写数百枚可→低速連写数枚だけ、
のように極端に性能が低下してしまう。
この回避法だが、「歪曲収差補正」等の重要度が低い機能は
OFFして使う。あるいは、装着するレンズの特性や撮影用途
に合わせて、これらの機能を個別かつマメに ON/OFFを
選択する事だ。
勿論、マウントアダプター等でオールドレンズを使う際
には、全ての収差補正機能をOFFしておく。
(まあ、その場合、機能が無効になる機種が殆どではある)
★両吊りストラップ、縦吊りストラップ
一般用語。
一般的には、デジタル一眼レフやミラーレス機では、
カメラ上部の左右にストラップを取り付ける「両吊り」
方式である。
また、小型のコンパクト機等では、ストラップ穴は1箇所
のみである。(この方式の名称は特に無い、あえて言う
ならば「単吊り」だろうか?)
ごく一部の銀塩一眼レフや高級コンパクト機等では、
3箇所のストラップ穴があり、「両吊り」方式と、
「縦吊り」方式を選べるようになっている場合がある。
上写真は、銀塩一眼レフ旗艦機の「PENTAX LX」での
「縦吊り」の例、他にも、GR Digital等で「縦吊り」が
可能であるが、あまり多くの機種が出来る訳でも無い。
「縦吊り」のメリットは実の所、あまり無いと思う。
上記PENTAX LXの場合は、オプション部品の「グリップ」
を装着している為、それとの干渉を避ける為に「縦吊り」
で使用している。
現代機では、これが出来る機種は殆ど無いと思う。
逆に、例えば、ストラップと電子ダイヤルが干渉して
非常に使い難い機種がある(例:NIKON D500)ので、
そういう場合には「縦吊り」が出来るならば、助かる
のだが・・
★ストラップの巻き方
一般用語。
ストラップは、その先端部を表に出さないように
巻くのが基本だ(下写真)
私は多数所有するカメラのストラップを全て、この
巻き方としている。
まず、見た目がすっきりするし、ストラップ先端が、
ほどける等で劣化する事も少ない。そして、緩み難い為、
思いもせず、カメラが落下してしまう事への予防にもなる。
銀塩時代では、この巻き方は、一部の上級者層あるいは
職業写真家層にしか知られておらず、「プロ巻き」とも
言われる事があった。
だが、近年においては、一部のメーカーのカメラの説明書
にも、この巻き方が出ていて、それが推奨されている。
しかし、私は、街や観光地などで、カメラを持った人と
すれ違う際に、良くストラップの巻き方をチェックするが、
ちゃんとこの巻き方をしている人の比率は極めて少なく、
数年に一人見るか見ないか・・ その確率は優に0.1%以下
であろう、ごく稀に見かけると、「お、この人は、相当に
デキるかも知れない」と解釈する事としている。
また逆に、若い女性等が一眼レフを持ち、そのストラップが
ダランと端が不ぞろいに出ていたり、ストラップの左右の
長さや止め具の位置がアンバランスになっているのを見ると、
「服装や持ち物は、ちゃんと綺麗に見せているのに、カメラが
それじゃあねえ・・」と、なんとなく、見えない所では、
すごくだらしないようなイメージすら持ってしまう。
その人のファッションを見ていても人格等はよくわからない
が(汗)カメラを見れば、だいたい、性格、センス、嗜好性
等も、わかってしまう訳だ(笑)
★拡大アイピース(の補足説明)
一般用語。
本シリーズ第12回記事、「拡大アイピース」の補足説明。
2000年代のデジタル一眼レフは、その殆どがAPS-C型
のセンサーで、それに関連して光学ファインダーも
銀塩一眼レフに比べて ずいぶんと小さく見えた。
ファインダーの倍率が低いと、MF操作が不利である。
まあ、この傾向はデジタル一眼レフより以前の
銀塩AF一眼レフの時代から現れていた、つまりAF化により
MFの性能を重要視しなくなったからだ。
加えて、倍率の高い設計をするのは、コスト高になる。
だから、カメラの販売利益を高めるには、性能を低くする
事になってしまう。
MFを多用する撮影スタイルのカメラであれば、
「拡大アイピース」(注:各社によって呼び方が異なる)
を装着する事で、1.2倍前後ファインダー倍率を高める
事が可能な機種がある。
各社の製品名としては、例えば以下がある
NIKON マグニファイングアイピース DK-17M
CANON マグニファイアー MG-Eb/MG-Ef
PENTAX 拡大アイカップ O-ME53
SONY マグニファイングアイピース FDA-ME1AM
OLYMPUS マグニファイヤーアイカップ ME-1
(注:現代では生産中止のものもある。また、装着できる
機種は限られている。純正以外にもサードパーティ製も
ごく稀にある)
注意点は以下の通り、
1)機種によっては装着できない。主に一眼レフ用である。
(ミラーレス機用は特に少ない、あるいは皆無か)
2)装着したら、視度補正をやりなおす。
3)意外に高価(3000~5000円)な場合があり、使用中に
脱落・紛失しやすいので、十分注意する必要がある。
4)機種によっては、ファインダー周囲が見え難くなる。
(いわゆる「ケラれる」という状態。
眼鏡をかけていてアイポイントが長くなると顕著の場合も。
フルサイズ機ではケラれる場合が多く、あまり推奨されて
いないか又は非対応ではあるが、使える場合もある)
5)MFを多用する機種の場合しか、装着はあまり意味が無い。
6)拡大アイピースの種類や性能によっては、むしろボケて
見えてMFに向かない場合もある。
まあ、いずれにしても、個々のユーザーの環境において、
実際に装着してみないと、効能は不定な場合も多い。
★口径比とフィルター径
一般用語。
「口径比」とは、レンズのF値の事であり、フィルター径
とは無関係である。特に条件を指定しない場合には、
絞り開放時のF値を「口径比」と呼ぶ。(注:別の解釈も
存在する。例によって、光学分野では「専門用語の定義が
統一されていない」という重大な課題がある)
「フィルター径」とは、レンズ前部に付属品(アタッチメント)
として装着する主にフィルターの場合の直径(口径)
である。写真用交換レンズの場合は、だいたいだが
φ37mm~φ86mm程度の範囲に収まる。(例外もある)
多くの場合、交換レンズには「保護フィルター」を常時
装着する。また、大口径レンズを日中に使う場合等では
減光フィルターを装着する事も良くあると思う。
PL(偏光)フィルターは、シニア層などでは常用する人が
多いが、正しく効能や使い方がわかっている人の比率が
極めて少ない事が問題点であり、出鱈目な使い方を
するならば、あまり推奨できない。
で、いずれのフィルターも、販売店などで容易に入手
可能なのは、だいたいφ43mm~φ82mmの範囲だ。
それ以上小さいものは「小径フィルター」、大きなものは
「大径フィルター」と呼ばれ、店舗に在庫していなかったり、
受注生産となったり、そもそも生産していなかったり、
あるいは高価であったり、中古が無かったりもする。
できれば、入手しやすいフィルター径のレンズが使いたいが、
稀に、特殊なサイズを必要とする交換レンズもあり、
そういう場合には、色々と付属品の経費もかかってしまう
事を覚悟する必要があるだろう。
なお、フィルターに関しては、以下の本シリーズ関連記事
も参照の事。
第 2回:NDフィルター(の使用)
第16回:保護フィルター5%の法則
★システム総重量の限界値
独自概念。
重量級のカメラに、重量級レンズ(超望遠レンズ等)を
装着すると、総重量が非常に重くなり、ハンドリング性能が
低下してしまう。
ハンドリング性能とは、持ち運びの容易さ、手持ち撮影で
構えた場合の重さ、長時間システムを保持する場合の疲労、
などであり、要は、「扱えるものか否か?」という事だ。
例えば上記システムは、
CANON EOS 7D MarkⅡ (本体のみ820g)
SIGMA 100-400mm/F5-6.3 (本体のみ1160g)
であり、これにバッテリーや付属品一式を加えると
約2kg強となる。
使用者の体力とか、使用する時間、熟練度などに依存するが、
だいたい私の場合の経験則では、丸一日、ずっとシステムを
保持したまま(持って歩く)の撮影では、システム総重量が
2.3kg~2.5kgあたり迄が限界点であり、それ以上重い
システムは、組まない(使用しない)事にしている。
それ以上重くなると、三脚を使わないと保持できなくなるが、
三脚を使用した遠距離撮影は、野鳥、野生動物、天体観測、
遠距離スポーツ、遠距離の鉄道、等の限られたジャンルで、
かつ、いずれも、さらに限られた被写体状況でしか使えない。
(例として、位置が変動するような被写体には全く向かない)
加えて、三脚の重量が追加されて、さらにハンドリング性能の
低下を招く。(三脚も含めては、持ったまま長時間は歩けない。
また、盗難等のリスクがあり、撮影場所から動き難くなって
しまう。夏季の炎天下等では、これは極めて危険である。
加えて、往来の邪魔となったり、マナーの低下を招く等の
様々なデメリットが存在する)
これらから手持ちでの被写体自由度の高い重量級システムは、
だいたい上記の総重量が限界値であろう。
なお、銀塩旗艦機(一眼レフ)などでは、本体のみで
1.4kg~1.5kgにも達するケースもあり、装着するレンズ
次第では、簡単に限界総重量を越えてしまう事も良くあった。
また銀塩中判、銀塩大判カメラ等ではさらに重く、やはり
上記の限界総重量を越えると、もう殆ど手持ち撮影は困難だ。
ただまあ、移動は車等を用いて、撮影時間は短時間だけ、
とかいった条件であれば、より重量級のシステムでも使える
かも知れないのだが、まあ、そんな恵まれた環境ばかりでも
無いであろう。
なお、複数台のカメラを使用する場合だが、これは経験則
から言えば、1つのシステムのみで、限界総重量を考えれば
良く、他に1~2kgのシステムのカメラを1~2セット保持して
いたとしても、あまり気にはならない。
また、前述のように体力や、環境(非常に暑いとか雨天とか)
熟練度(重量級システムへの慣れ)によっても、個人的な
限界値はユーザー毎に異なるであろう。
自身の限界総重量は知っておいても損は無い。
(つまり、使用前に色々と調べたり、実際に試す必要がある、
という事だ。
特に、超望遠ズームが中古市場に非常に多いのは、スペックに
憧れた初級中級層が購入したが、重すぎて使いこなせないで
手放してしまっている結果だと思われる)
いずれにしても重すぎるシステムは組まない(使用しない、
買わない)事が賢明だ、システムは同じ性能であれば、
軽ければ軽い程、望ましい。
なお、余談だが「重たいレンズには重たいカメラをあてがう
のが良い」というのは、銀塩MF時代において、システム全体の
重心位置がピントリングや絞りの操作と一致するか否か?
という視点での話であり、それ以降のAF時代やデジタル時代に
おいては、そうした概念は、あまり必要性は無い。
しかし、注意点だが、近年のミラーレス機では、本体重量が
極めて軽いものも多く、そうした機体に、非常に重量級の
レンズ(本体重量の3倍以上とか)との組み合わせは、やはり
いかにもアンバランスになる。でもまあ、だいたい上記の
限界総重量を上回らなければ、なんとか振り回せるであろう。
★持病
独自用語。
ここで「持病」とは、ある特定の時期(期間)に開発または
製造された、各社のカメラが同様の不良(欠陥)を持つ事。
または、ある特定の時期の、同一メーカーの複数の機種が
同様の不良(欠陥)を持つ事を示す。
この「持病」について、ここであまりに詳細を上げてしまうと、
それらの機種の中古販売やブランドイメージなどにダメージが
あるかも知れないので、適当にボヤかして説明しよう。
具体的な「持病」の例としては以下がある。
・内部時計バックアップ用電源(スーパーキャパシタ)の
電荷抜け
・絞り制御ユニットの故障(耐久性の低さ)
・背面モニターの撮影後自動再生時に解像度が出ていない
・背面モニター保護コーティングの劣化(剥げる)
・JPEG圧縮率計算のバグ(過剰な容量)
・特定メーカーのカメラと特定メーカーのレンズの
組み合わせで、露出値が1段程度アンダーとなる
上写真は、特定のメーカーの特定の時代の製品で頻繁に
起こる「背面モニター保護コーティングの劣化」である。
上写真では、その状況を強調する光線状態で撮影している
ので、相当に酷く見えるが、一般的な(ライブビュー)撮影
とか、画像再生、メニュー選択等では、あまり気になる事は
無いかも知れない。でもまあ、欠陥は欠陥だ。
この欠陥は、ある時期の同社の製品群の殆どで集中していて、
それ以前や、それ以降では起こらない。
まあ、いわゆる「ロット不良」であり、その時期の使用部品
の全てに問題がある訳で、多分部品の製造元の問題であろう。
なお、こうなったカメラでも、5年程酷使していると、
コーティングが剥げきって、比較的綺麗になる場合もある。
(他のカメラでは、その状態になっている。しかし、カメラの
使用の後に、毎回、柔らかい布でこする等で結構な手間が
かかっていた。まるで「オーパーツ」の「水晶ドクロ」を
100年以上もかけて綺麗に磨き上げたようなものだ・・笑)
上写真は「スーパーキャパシタの電荷抜け」である。
2000年代迄の銀塩・デジタルカメラの多くでは、内部時計
のバックアップ電源として、ボタン電池等を使う場合が
多かったが、2010年代位からは「スーパーキャパシタ」
という(電気二重層型)コンデンサを用いて、そこに
電気(電荷)を貯めておく事で、ボタン電池等の代用と
するケースが多い(電池交換が不要となる)
しかし、これの「電荷抜け」の不良が多く、壊れてしまうと
バッテリーを抜いて(長時間)充電する際など、再度
バッテリーを入れて電源を入れた際に、その間にカメラの
内部時計が止まってしまい、毎回のようにリセットされ
(概ねカメラの発売年の1月1日0時0分となる)日付調整を
再度行わないと、撮影に入れない、という問題となる。
自力修理はまず不可能な為、修理に出すか、あるいは充電
の度に日付調整を行う不便を受け入れるしか無い。
(「スーパーキャパシタ」が完全に死んでいなければ、
バッテリーが2個あれば、充電時に速やかに入れ替えれば
時計がリセットされないかもしれない、しかしやはり面倒だ。
あるいは、USB充電が可能なカメラであれば、この問題は
回避できる場合もある)
なお、これらの不良(欠陥)カメラの多くは、概ね
2012年~2014年製の時期に集中している模様である。
この理由として考えられるのは、2011年に東日本大震災
があった事で、部品の製造メーカーや流通に打撃があって、
その期間だけ、代替部品を使ったからではなかろうか?と
推察している。(注:SONY製品に関しては、同じ2011年
に、タイの海外工場が洪水被害で被災したとも聞いている)
1つのメーカーだけではなく、複数のメーカーのカメラで
同一の「持病」を抱える場合もいくつかあって、それは、
その時期に各社が同じ代替部品を使ったからであろう。
それと、この事実はあまり公にされていない。
まあ、現代において、市場や評論家においては製品の欠陥を
わざわざ広めたりはしないからだ、それをやったら、結局
ユーザーが買い控えをして、市場がさらに縮退してしまう。
それから、現代においては、初級中級層を中心としたユーザー
は、あまり長期間に渡ってカメラを使用しない。長くても
3~4年もすれば、新型機に買い換えてしまうのだ。
それは、新型機の方が魅力的なスペックを満載している
(ように見える)からであり、古い機種の性能を未成熟を、
技能や経験でカバーして行こうという気持ちは初級層には無い。
また、周囲に対しても、いつまでも古いカメラを使って
いるのは「格好悪い」と思う風潮も初級層にはある模様だ。
よって、古い時代のカメラ(とは言っても、5年~7年前だが)
の欠陥は、新製品が出たら、もう皆、そっちに注意が行って
無視されるか、あるいは「うやむや」にされてしまう。
まあ、結局、この問題は、その時代のカメラを中古で
わざわざ買う場合の話であり、そうした絶対数はマニア以外
においては、さほど多くないとは思うので、あまり一般的
には関係が無いのかも知れないが、あくまで参考まで。
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さて、今回の記事はこのあたりまでで、次回「補足編」に
関しては、内容未定としておく。