高いコストパフォーマンスと付随性能を持った優秀な
レンズを、主にコスパ面からランキング形式で紹介する
シリーズ記事。
今回もまた、BEST40にランクインしたレンズを下位から
順に紹介して行こう。
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第32位
評価得点 3.55 (内、コスパ点 3.5)

レンズ名:SAMYANG(サムヤン) 85mm/f1.4
レンズ購入価格:30,000円(新品)
使用カメラ:CANON EOS 6D(フルサイズ機)
ハイコスパ第13回記事等で紹介した、2010年代の韓国製
MF単焦点大口径中望遠レンズ。
本レンズは85mm/f1.4という魅力的なスペックながら
新品で3万円程度と極めて安価なレンズだ。

単純にスペックを見れば、コスパ的には圧倒的に良さそうだが
本レンズには色々と問題点がある。
まずは使いこなしが極めて難しいと言う点だ。
(レンズ・マニアックス第11回「使いこなしが難しいレンズ編」
で、ワースト8位にランクインしている)
本レンズに限らず、そもそも85mm/f1.4はピントが合い難い。
AFはもとより、MFでも厳しい。これは撮影条件によっては
被写界深度が極めて浅くなるからだ。
じゃあ、ピンボケが怖いからと、被写界深度を深くする為の
措置、すなわち、1)絞りを絞り込む 2)撮影距離を遠くする。
等を行ったとしよう、確かにこれらをすれば被写界深度は
深くなり、ピント精度はAFでもMFでも楽になる。
しかし・・それでは、せっかくの85mm/f1.4を使っている
意味が無いのだ。
大口径85mmでは、何としても浅い被写界深度の写真を撮る
必要がある、そうで無ければ、別の開放F値の暗い85mmを
使えば良い、と言う事になってしまう。
これを解決する為には、ともかく浅い被写界深度でも写真を
撮れる状況を作らなければならない。
この対策として、今回使用のEOS 6Dは「Eg-S」と言う
MF向けのスクリーン(スーパープレシジョンマット、開放F値が
F2.8未満のレンズ推奨)に換装済みだ。
ただ、EOS機の多くは、こうした社外品MF版EFマウントレンズ
を使うと、フォーカスエイドが表示されない(機能停止)や
露出のバラツキ、収差補正等が効かない、露出安全機構
(セイフテイ・シフト)が効かないといった、数々の問題点が
発生する。(注:それらの一部は「排他的仕様」である)
だから、基本的にこうした海外等のサードパーティー製MFレンズ
はEOS機で使うのは好ましく無い。
じゃあ、EFマウントアダプターを用いてミラーレス機で
使う場合はどうか?
本レンズは、MFで絞り環もある為、絞りやAFのカメラからの
制御は不要だ、なので電子接点がついた高価な電子アダプターを
使わなくても、絞り開放型EFアダプター又は、絞り羽根内蔵型
EFアダプターで十分だ。
むしろその方が、オリジナルマウントのEOS機で使うよりも
簡便かも知れない、高精細EVF搭載ミラーレス機であれは、
ピーキングや画面拡大等のMFアシスト機能を用いて、ピント
精度を高める事ができる。

そもそも何でEOS機では使い難い事が予めわかっていたのに
EFマウントで本レンズを購入したか?というと、理由は2つある。
まず、本SAMYANG85/1.4は様々なマウント版の製品が発売
されていたが、EFマウント版が若干安価であった。
もう1つの理由は、EOS EF純正で優秀な85mmレンズを所有して
いない事だ、一応EF85mm/f1.2Lを使ってはいるが、いくつかの
記事で紹介したように、そのレンズの描写傾向は私の好みでは
無く、加えて大きく重く高価な「三重苦」レンズであるからだ。
安価にEFマウントの85mmの穴を埋める・・ だから、EOS機で
問題がある事は承知の上で、EFマウントで本レンズを購入した
次第だ。

描写傾向だが、僅かな逆光でも盛大なフレアやゴーストが発生
する弱点がある為、使用条件が極めて限られるレンズだ。
ただ、フラット光などで条件を整えた状態では、解像感も
ボケ質もそこそこ良く、勿論大口径だから必要に応じて大きな
ボケ量を得る事が出来る。
新品価格の3万円という点からはコスパが良い事は間違い無いが、
使いこなしが極めて困難なレンズな為、あくまで上級者向けだ。
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第31位
評価得点 3.60 (内、コスパ点 4,0)

レンズ名: PANASONIC G25mm/f1.7 ASPH.(H-H025M)
レンズ購入価格:14,000円(新古)
使用カメラ:PANASONIC LUMIX DMC-G6 (μ4/3機)
ハイコスパ第4回記事で紹介の、2015年頃に発売のμ4/3機
専用のAF標準(画角)レンズ。
本レンズは2017年頃にPANASONIC DC-GF9のキットレンズ
として販売されているが、それ以前から発売されていた。
GF9キット用として外装を変更したのだろうか?2016年末
頃に、本レンズは大量に中古市場に流通していた。

モデルチェンジして外装等を変更した場合、旧型レンズは
新品で販売するのが難しくなる為、在庫処分品として中古市場
で流通するケースは良くある。
こういう場合、新品レンズにあった保証書を抜き、中古扱い
として販売されるのだが、中身は新品のままだ。
これを「新古品」と言うが、概ね非常に安価に購入できるので
コスパは極めて良くなる。
また、保証書等を抜かず、新品製品状態のままで中古として
販売される事もある。これは「新品同様」とか「未使用品」
「ランクAA」等と言われている。しかし価格は新古品より
若干高価な相場だ。
他、似たケースで店舗等での店頭展示商品が、入れ替え等の
理由で中古市場に流される場合もある。これも同様に「新古品」
と言うのだが、こちらの場合は、お客さんが手に触れたり
カメラ本体では試写する事もあって、若干の「使用感」がある。
本レンズの場合は前者の「新古品」(中古扱いの中身新品)で
あった。
購入価格は14,000円と安価だ、このような在庫処分が発生した
場合、後年になって出てくる一般的な中古品よりも、むしろ
相場は下まわる事も多い。
例えば、本レンズの後年の中古相場は、概ね18,000円前後
であり、これは、本レンズの発売時定価(37,000円)の、
およそ半額という観点での値付けから来ていると思う。
(注:近年は1万円台前半まで相場は下がっている)
で、購入価格はさておき、実際の描写傾向だ。
いくらコストが安くても、パフォーマンスが伴わなければ
「コスパ」という観点からは好評価にはならない。
描写力や性能は、本シリーズ記事第3回、第37位相当の
PANASONIC G20mm/f1.7Ⅱ ASPH.(H-H020A)と
似たり寄ったりだ。
本レンズの方がランキング順位が高いのは、こちらの方が
安価に取得できたからで、コスパの観点からは当然であろう。
G20/1.7は、元々本レンズより少し定価が高いのではあるが
市場の初級層における変な「神格化」により、中古相場が本来の
性能に見合う価格帯まで下がら無かったのも問題だった。
(投機層等により、意図的に過剰な好評価での情報操作が
行われた節もある)

本レンズの長所は、安価で小型軽量であり、口径比も大きい
F1.7級レンズであり、描写力はともかく、表現力については
そこそこあると思う。
本レンズが、50mm相当の「換算画角」となる事から、それを
長所とする意見もある模様だが、それはそうとは限らない。
昔から言われているように、50mmの標準レンズが「人間の目の
画角に近い」と思っているのならば、それは大きな誤解だ。
人間の目の視野角は、もっとずっとずっと広い。
もし50mmが人間の目の画角という説を信じているのであれば、
本G25/1.7をμ4/3機に装着し(あるいは他システムで同等の
画角を得て)そのファインダーを覗きながら(安全な場所で)
歩いてみると良い。視野が狭すぎて、怖くて歩けない事であろう。
ごくごく簡単な実験や評価もせずに、聞いた話を「思い込む」
事は禁物だ、必ず自分の目で確かめてみないとならない。
50mm=標準と決めたのは、1930年代でのライカ(ライツ)社
であったと聞く。つまり、あまり中途半端な数字の焦点距離には
したくなかったからだと思われ、あくまで便宜上のものだ。
人間の視野がもっと広い事は、生理学的見地からは常識で
あったので、後年の他メーカーでは、50mm=標準という定義に
あえて反発したケースもある。
その最も著名な例は、1990年代後半にPENTAXから発売された、
FA43mm/f1.9Limited(ミラーレス・マニアックス第1回、
第64回記事等)であり、これは、35mm版フィルムサイズの
36mmx24mmの対角線長に相当する焦点距離だ。
(√(36x36+24x24)=約43.26mm)
まあ、確かにこちらのほうが50mmレンズよりも若干画角が広く、
より自然な「標準的な画角」である事を受け入れやすい。
けど、だからと言って、何故フイルムの対角線長を焦点距離と
しなくてはならないのか?という点は、原理的・論理的な根拠に
乏しく、結局、どっちもどっちなようにも思える。
まあつまり「人間の目の画角」は、どうでも良い話なのだ。

さて、本レンズG25/1.7だが、弱点は概ね2点ある、
1つは、これは本レンズだけの問題では無いが、近年の多くの
ミラーレス用レンズには無限回転式のピントリングが採用されて
いて、これはMF時に手指の感触では最短および無限遠がわからず
結果的にMF性能(操作性)を大幅に悪化させてしまっている。
本レンズの最短撮影距離は25cmであるが、近接撮影が困難だ。
MFのみならずAFで使った場合でも、μ4/3機の多くは一般的な
コントラストAF方式であり、高いピント精度を得る事が出来ない。
せっかくF1.7という明るいレンズだ、被写界深度を浅くした
撮影を行いたいのだが、MFでもAFでも、それは難しい。
もう1つの弱点は些細な事ではあるが、フードの装着方法が
他の一般的なレンズとは異なり、アダプターリンングを都度
外して、それから装着しなければならない。これは面倒だ。
まあ、悪い性能のレンズでは無く、コスパも決して悪くは
無い(評価は4.5点と高得点)のではあるが、あまり使っていて
楽しめないレンズである。その為、エンジョイ度が下がり、
初級機のキットレンズであるからマニアック度も低い。
だからランキングの順位は、総合下位にならざるを得なかった
レンズである。
まあ、実用的観点からは、悪いレンズでは無いと思うので、
「初級中級者向けレンズである」としておこう。
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第30位
評価得点 3.65 (内、コスパ点 4.0)

レンズ名:PENTAX 03 FISH-EYE 3.2mm/f5.6
レンズ購入価格:5,000円(中古)
使用カメラ:PENTAX Q7(1/1.7型センサー機)
ハイコスパ第7回記事等多数で紹介の、2010年代発売の
Qシステム用魚眼風トイレンズ。

超小型軽量のミラーレス機、Qシリーズは極めてユニークな
コンセプトのシステムだ。
初号機のQは2011年夏の発売だ、が、この年の3月には
未曾有の大災害である東日本大震災が起こっている。
直接の被害を免れた場合であっても精神的ショックは大きい、
消費者心理も、ずいぶんと変化していた頃であろう。
この頃のミラーレス機の市場だが、PANASONICでは、
2008年末に初のμ4/3機、DMC-G1を発売後、GH,GFシリーズ
での横展開を行っている。
RICOHではGXRシステムを2009年に発売、ただし後継機は
発売されず、またRICOHにはGXR以外のミラーレス機は無い。
(注:後年にRICOHは、PENTAXを吸収している)
OLYMPUSでは、2009年にμ4/3機PEN E-P1を発売後、
後継機や派生機のPEN Liteシリーズも展開されていたが、
2011年時点では、まだOM-Dは発売されていなかった。
SONYでは、2010年にAPS-Cセンサー搭載のNEX-3,NEX-5
を発売、2011年6月にはNEX-C3が発売されていた。
なお、NIKON 1,FUJIFIM X,EOS-Mシリーズは、このPENTAX Q
発売時点では、まだ無かった。
また、PENTAX K-01も翌2012年の発売である。
・・と言う事で、PENTAX Q発売時では、意外にもライバルの
ミラーレス機の種類は多くは無い。
この状況であれば、Qのユニークなコンセプトが市場に対しての
付加価値(欲しいと思わせる気持ち)に成り得る。
しかし、この翌年2012年頃からミラーレス機市場は全メーカー
が参戦して、大激戦区になってしまうのだ。、
Qは、超小型化の代償として撮像素子(センサー)のサイズが
1/2.3型と小さい、これは2000年代の普及コンパクト機と
同等である。私は、その点が気になっていて、Qシステムの
購入は躊躇した。(注:後年にCCTVレンズ母艦として購入)
翌年2012年、Q10となったが、当時の各種PENTAX機で展開
していた「オーダカラー」への対応が主であり、他の仕様に
大きな変化は無かった。(特殊色では、エヴァの綾波レイや
アスカ仕様の限定機があり、ちょっと欲しかった・笑)
そして、この年2012年は、これまで数年間のミラーレス機の
爆発的な広がりに押されていた「一眼レフ陣営」が、多くの
フルサイズ機を発売した「フルサイズ元年」である。
すなわち、ミラーレス機の台頭を脅威と見た一眼レフ陣営は
「センサーサイズが大きい」という付加価値をかかげ、その
常識をユーザー層に広める(刷り込む)事で、一眼レフや
高級コンパクト機の販売の巻き返しを図った。
まあ、最初のμ4/3機がフルサイズ機の撮像素子の1/4の面積
しか無い為、そういう「差別化戦略」の実施は当然であろう。
ただまあ、カメラにおけるセンサーサイズの大小は、それに
よる長所短所も色々と出てくる。
しかし市場の大半の初級中級層では、そうした細かい点は
理解できない。
なので「センサーサイズの大きいカメラは良いカメラ」という
常識がまたたく間にユーザー層に広がる、これは、それ以前の
2000年代に「画素数の大きいカメラは良いカメラ」という常識
を一般ユーザーに「刷り込んだ」状況と同じだ。
勿論、両者とも、一概にそう言い切れる話では無い。
機器の仕様という物とその長所短所、そして使用目的、コスパ、
これらの様々な要素を総合的に判断して自分の購入機を決めれる
ユーザーは、残念ながら、ほんの一握りのみだ。
さて、1/2.3型の極小センサーを搭載するQ/Q10は、そういう
観点からすると魅力(付加価値)の少ないカメラとなって
しまった。勿論Q/Q10には別の長所があるのだが、初級層が
メインターゲットとなってしまったカメラ故に、そうした
高度な内容は判断出来ない。
2013年、Q7(今回使用機)が発売、やっと1/1.7型センサーに
大型化された。これは2000年代の高級コンパクト(GRD等)と
同等のセンサーサイズだが、この頃、既にコンパクト機でも
撮像素子の大型化戦略が始まっていた。
(例、SONYではRX100に1型、RX1にフルサイズセンサーを搭載)
続く2014年、Q-S1の発売、中身はほとんどQ7と同じだ、
これ以降、Qシリーズの新規発売は無い(販売は継続中)
こうして、Qシステムは、多くの特徴や長所を持ちながらも、
時代の流れに翻弄され、僅かな期間でしか展開されない
不運なシステムとなってしまった。
まあ、Qシステムの様々な特徴は多くの記事で書いているので
割愛するが、かいつまんで言えば、その最大の長所は
小型軽量な事ではなく「極めて高機能が搭載されている機体
である」という事だ、これは「趣味撮影」には非常に適切で
あり、この高機能を使いこなせるかどうか?が、Qシステムの
直接的な評価につながる。
が、主力ターゲット層がビギナー層であるから、多機能の
使いこなしは困難だ。かと言って中上級者層は、Qの撮像素子
が小さい為、「玩具である」と不当に判断し、これに興味を
持つ事が出来ない。
よって、その優れた仕様とターゲット戦略に矛盾のあるカメラと
なってしまった事が、Qシステムの最大の不運であろう。

さて、Q7での趣味撮影(遊び)の要素は、本体機能のみならず
レンズ側にも「ユニークレンズ」というシリーズの、極めて
希少な「メーカー純正トイレンズ」が4本も発売されている。
それらは全て所有していて、過去記事で何度も紹介している為、
詳細の説明は割愛するが、ともかく大メーカーでは他に類を
見ない独自の製品コンセプトだ。
そのユニークレンズの1つが、今回使用の魚眼風レンズ「03」
である。これもまた過去記事で何度も紹介しているので、
今回記事では、その長所短所については省略しよう。
Qシステムは、もはや過去の時代のカメラではあるが、
センサーサイズ以外の基本スペックで他機に劣る点は何も無い。
逆に言えば、センサーサイズを弱点としない使用法を考え出し、
それを活用する事がユーザーに課せられるという訳だ。
私の場合、トイレンズ用の他、CCTV(監視カメラ等)用の
レンズをQ7で使用する事も、重要な用途となっている。
イメージサークルの大きさの点で、これらのレンズは、
Qシリーズで使う際にのみ、最大の利便性を発揮できるのだ。
(特殊レンズ超マニアックス第1回「マシンビジョンレンズ」
特集記事を参照の事)

本シリーズ記事では、残念ながらこれ以降は、コスパという
観点からは、Qシステム用のレンズのランクインは無い事が
確定している。最初で最後のQシステムの紹介であるが、
逆に言えば、ここで紹介できて良かった。この極めて個性的な
システムはマニアならば必ず知っていなくてはならないと思う。
Qシステムの高機能と、レンズの特性のバリエーション、
これらにより「写真の描写表現力の多彩さ」は、メーカー純正
システムとしては最高レベルであり、これに対抗できるシステム
を私は他に知らない。
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第29位
評価得点 3.65 (内、コスパ点 4.0)

レンズ名:smc PENTAX-DA 35mm/f2.4 AL
レンズ購入価格:12,000円(中古)
使用カメラ:PENTAX KP(APS-C機)
ハイコスパ第10回記事で紹介の、2010年代のAPS-C機用
AF単焦点準広角(標準画角)レンズ。
いわゆる「エントリーレンズ」ではあるが、作りが安っぽい
事は無く、そこそこ高級感がある。

まず簡単に長所短所であるが、長所はローコストである事から
コスパが、かなり良いレンズであると言う点だ。
PENTAXのオーダーカラー制のあった時代なので、様々な本体色
(11色以上?)からのチョイスも可能であり、デザイン的や
ファッション的な要素での楽しみ方もある。
短所だが、レンズとしては平凡な描写力およびスペックで
ある事と、逆光耐性が弱い点だ。
まあ、このあたりの長所短所については、他の記事でも細かく
述べていて重複する為、これ以上の深堀りはやめておこう。
さて、これまで本レンズは、超個性的なPENTAX K-01に
装着して使う事が多かったのであるが、今回は一眼レフの
PENTAX KPに装着して使ってみよう。
KPは、2017年発売の比較的新鋭機であるが、その特徴は
超多機能を「てんこ盛り」とした「全部のせ」カメラであり
仕様的な優位点がある事、そして、その「操作系」が過去の
デジタル一眼レフ中、最強クラス(評価点5点満点)な事だ。
勿論エフェクト(=画像加工処理機能。デジタルフィルター、
アドバンスドフィルター、ピクチャーエフェクト等とも各社
では言われる)機能も充実している。
実はPENTAX機は、いずれもエフェクト機能に優れると言う
特徴があるが、その効果が撮影前に確認できる機種は、
PENTAXでは、ミラーレス機であるQシリーズと、K-01しか
存在しない。
一眼レフ機の光学ファインダーでは、事前確認が出来ないので
作画が難しいのだ(注1:ライブビューでは可だが、ピントが
合い難いので使いたくない)
(注2:さしものPENTAXの優秀なエフェクト機能も、近年
においては、他社普及機に、それ以上に優秀なものが搭載され
始めており、そろそろ抜本的な改良が必要な時期であろう)

さて、一眼レフの上級機「KP」を購入するような中級者層は、
基本的には、エフェクト機能には興味を持っていない。
何故ならば、ちゃんと「作品」を撮る事を目的として高価な
カメラやレンズを購入するユーザー層であるからだ。
日常の記録的な写真であれば、スマホか小型カメラを使えば
事足りる。
で、作品という点では、中級層の考えでは「エフェクトは邪道だ」
という論理になってしまう。
それを使ってしまったら、いままで自分がビギナー時代から
何年もかけて、つちかってきた撮影技術や経験であるとか、
揃えてきた高性能レンズとかの、時間やお金や労力が無駄に
なってしまうと考えるからだ。
「エフェクトで遊んでいたら初心者やスマホと同じだよ」
と決め付けてしまうのもやむを得ないであろう。
けど、じゃあ、中級者が志向する「作品」っていったい何
なのだろう?
風景とか珍しい自然現象や花や動物や祭りを綺麗に撮ったり、
綺麗なオネイサンを美しく撮ったり、鉄道や車や飛行機等の
自分が好きなメカを格好良く撮ったりする事なのだろうか?
でも今時の高性能カメラであれば、初級者がカメラの性能で
偶然、難しい被写体状況でも撮れてしまう事はありうる。
そして、中級者においては、「作品」というものを
「皆が撮れないような被写体を撮る」という風に解釈しては
ならないのだ。
「皆が撮れない」という点をどんどん過剰に意識してしまうと
秘境にいったり、何時間も特別な天候やイベントを待ってみたり、
下手をすれば立ち入り禁止のエリアに入り込んで撮影したりと
どんどんと過激で間違った方向性に頭が行ってしまう。
そうして撮った写真は、本当に自分の手柄なのだろうか?
「皆が撮れないような被写体を撮る」という中級者のコンセプト
は、そのうちの半分は合っている。
つまり「皆がやらない事をやる」というのは個性であるから、
「アート」としての写真の上では極めて重要な基本概念だ。
これは写真に限らず、絵画、音楽、俳句、文学、書道、華道・・
等、あらゆるアート分野で共通の概念だ、だから「個性」が
無ければ、そもそもアートでも作品でも無い。「習い事」か、
下手をすれば「物マネ」のレベル迄で終わってしまう。
じゃあ何が問題か?それは「皆が撮れないような被写体を撮る」
での「被写体」という部分だ。ここの解釈がおかしい。
被写体とは何か? ここは初級中級層では、これを物質的な
「モノ」であるとしか認識できていない。
だから、他に無い「モノ」を求めて、様々な場所に行ったり、
お金や時間をかけて解決しようとする訳だ。
でも、それで良いのであろうか?
アートであれば、そこには、雰囲気、感情、感覚・・といった
作者が伝えたい事が存在していなければならない。
それは、「表現」と呼ばれていて、アートの世界では写真に
限らずに各分野で共通の話だ。
だが、被写体を「モノ」として見てしまうと、そこに撮影者
(すなわち作者)の「表現」や「意図」は入りにくい。
この状態を「被写体の勝ち」と、本ブログでは常に言っている。
「表現」が無ければ、その被写体に同じ条件で対峙すれば、
誰が撮っても同様な写真となってしまう、これでは面白く無い。
作者(撮影者)が伝えたい事が「個性」として入っていなければ
「作品」には成り得ないのだ。
それでは、ただ綺麗に撮れている「映像」に過ぎない。
では、表現や個性を出していくには、どうすれば良いのか?
まず最大のポイントは撮影側の「意識」であろう。
「表現」を考えて被写体を探しているのと、ただ単に珍しい
「モノ」だけを探しているのでは、根本的に「意識」の
あり方が異なる。
それから機材面では表現を自在に行う為の機材や撮影技法の
バリエーションであろう、ただ単に風景等の「映像」を撮る
だけならば、広角や標準ズームでパンフォーカスで撮れば良い。
でも、表現が必要となれば、背景ボケも出したい、超広角で
遠近感も強調したい、近寄れない被写体のわずかな一瞬の
躍動感も捉えたい、あるいは春の花畑の暖かくほのぼのとした
雰囲気を伝えたい、使われなくなった廃墟の悲哀を表現したい
川に流れる紅葉から近づく冬の寂しさを連想させたい・・
ありとあらゆる「表現」が、そこには無数に存在し、それが
真の意味での「被写体」である。
で、その様々な表現を具現化する為に、機材や撮影技法の
バリエーションを広げる訳だ。
その考え方においては「エフェクト」は非常に重要な機能と
なりうる。
初級層が、ただ単に画像を加工して遊んでいるのとは違って、
エフェクトにより、自分が求める意図を「具現化」する訳だ。
だから、エフェクトの選択についても「表現」と連動して
細心の注意をはらわなければならない、さもないと逆効果に
なって、伝えたい事が伝わらないからだ。
ここに書いたような一連の内容がわかってくると、中級者の
「踊り場」から脱出する為の重要なステップとなるだろう。

ちょっと長くなりすぎて、レンズの紹介が出来なくなったが、
本レンズの話は他の記事にも書いてある。
ここに述べた事は、写真とどう向き合っていくか?という
根幹のポイントであり、むしろ機材の話よりもずっと重要だ。
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今回はこのあたりまでで、次回記事も、引き続きランクイン
したレンズを順次紹介していこう。