高いコストパフォーマンスと付随する性能を持った優秀な
写真用交換レンズを、コスパ面からの評価点でのBEST40
をランキング形式で紹介するシリーズ記事。
今回より本編として、BEST40にランクインしたレンズを
下位から順に紹介して行こう。
(ランキングの決め方は本シリーズ第1回記事を参照。
評価得点が同点の場合は、適宜、順位を決定している)
なお、予め40位から1位までを通してチェックしたが、
結構マニアックなレンズばかりが並んでいる事が判明した。
(まあ、マニアック度というのも評価項目の一部だからだ)
加えて、今回の記事に関しては、あまり初級中級層に対して
有益な高コスパレンズは登場しない、いずれも少しマニアック
すぎ、利用範囲(実用価値)も、かなり限られる物ばかりだ。
まあこれは、まだランキングが下位である事も原因であり、
今後、ランキングが上位に行くに従って、より実用的で
入手もし易いレンズが沢山出て来る事であろう。
それから、初級中級層が「良いレンズだ」と想像するような、
有名ブランドレンズとか、大三元レンズ、最新高性能単焦点
等のレンズは、今後たりとも一切出て来ないので念の為。
ここではあくまで「コスパの良い」レンズしか紹介しない。
まあ、純然たる評価点数計算による順位ランキングでは
あるが、評価は多方面に及ぶ為、無闇に値段が高いレンズは、
絶対にランクインはしないのだ。
なお、ごく近年発売の新鋭の海外製(中国製等)レンズ群の
一部はランキング入りの可能性があったが、本シリーズ記事
執筆時点では購入や評価が間に合っていなかった。
それから、本シリーズ記事では実写に用いるカメラは、
レンズのパフォーマンスを最適に発揮できる物を使用する。
しかし、いずれも安価なレンズであるから、ボディの価格が
レンズよりも突出する「オフサイド」を禁じるルール(持論)
については緩和する。
では、ランキング下位のレンズより順次紹介して行こう。
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第40位
評価得点 3.35 (内、コスパ点 3.0)

レンズ名:RICOH GR LENS A12 50mm/f2.5 MACRO
レンズ購入価格:24,000円(中古)
使用カメラ:RICOH GXR(A12 ユニット使用時APS-C機)
第40位には、GXRのマクロユニットが入った。
(ハイコスパ第17回等、多数の記事で紹介)

このシリーズ記事では「入手性の悪いレンズは対象外」
というルールを設けているが、本ユニット(レンズ)は
現状、入手性がギリギリの状況である。
元々2009年の発売と古く、仮に本ユニットを中古等で入手
できたとしても、本体のGXRは仕様老朽化寿命の低下が甚だしい。
すなわち、GXR発売時のコントラストAFの性能では、本ユニット
での、ピント精度を要求される近接撮影では、全くと言って
いい程ピントが合わず、この用途においては、現代的な感覚
からは使い物にならない。
だから、本シリーズに取り上げれるかどうか、ギリギリの
システムとなる。なお、GXRシステムのランクインは今回が
最初で最後になる事は確定で、今後、他のGXR(GR)ユニットが
ランクインする事は無い。
まあ逆に言えば、GXRのシステムで、本ユニットだけがまだ
「現代においても、かろうじて使える」という事である。
本ブログでは「仕様老朽化寿命」の目安として、
「デジタル機が使えるのは発売後10年迄」という持論を
良く述べている。それを越えると、まだ機械的・電子的には
問題無く動作していたとしても、周囲の新型機の性能に対して
大きく見劣りしてしまう為、使いたく無くなってしまうのだ。
確かに、GXRシステムは。その発売当時(2009年)としては
かなり先進的な仕様を盛り込んでいた。ただ、AF性能が低い
という重欠点を持つ為、実質的には「発売後10年の法則」
そのものの「2019年」迄が実用の限界寿命だと判断している。
ただまあ、過去記事でも何度も評価した事だが、
ともかく本ユニット(レンズ)は、上手くピントが決まれば
非常に良く写る。
構造は普通のマクロレンズだとは思うのだが、それにしても
描写力が高レベルなので、ピントがいくら合い難かろうが、
使いたい気持ちにはさせてくれるユニットだ。

この描写力が、こんなGXRのような小型軽量なシステムから
得られる事は、ある意味驚異的だ。
発売時のインパクトは物凄いものがあっただろうが、
まあ現代でこそ、小型軽量のミラーレス機によるシステムで
一眼レフのシステムと同等かそれ以上の高描写力を得る事は
可能にはなっているので、今時では驚くには及ばない。
・・だが、とは言う物の、GXRのA12 50/2.5Macroは発売後
何年たっても、その描写力に関しては色あせる事が無いように
も思える。やはり凄いユニット(レンズ)であろう。
だから、上記の「2019年が使用の限界」は、ブログ記事では
対外的には、そう言うのだが、個人的には、まだそれを越えて
長期間使う気には、十分になるだろうと思っている。
A12 50/2.5ユニットのマクロレンズとしての仕様だが、
実焦点距離33mm(APS-Cセンサーで、フルサイズ換算50mm)
最短WD(ワーキング・デイスタンス)7cm
最大撮影倍率 1/2倍(換算)
となっている。
等倍仕様では無いが、内蔵デジタルズームが4倍まで連続的に
効くので、「寄れない」という不満を感じた事は無い。

本ユニットの価格が高い事は、まあ弱点である。
中古で24,000円も出すのであれば(注、2015年頃購入)
優秀なTAMRON 90mmや60mmマクロが中古で買えてしまう。
汎用性の高いそれら一眼用マクロに比べて価格面では不利だ。
しかし、本ユニットは発売時にはおよそ75,000円もしていた
ので、これでも定価の1/3の価格で買っているのだ。
(というか、定価の1/3を目安として、そこまで相場が下がる
のを待っていて、やっと下がったので買った訳だ)
それに、タムロン90マクロや、60マクロ(注:APS-C機専用)
は中望遠画角だ、小型軽量の標準画角(50mm相当)マクロを
必要とする場合、このA12ユニットの存在は無視できない。
描写力は魅力的だが、GXRシステムの仕様的老朽化から、現在に
おいて、本システムを初級中級層に薦める事は絶対にできない。
勿論、本ユニットはGXR専用で、他機では使用できない。
本ユニットは、使いこなしの困難さもあり、上級マニア専用、
と言う事にしておこう。
余談だが、本記事執筆後、本ユニットは電気的に故障して
しまった、露出が安定しないのだ(屋外で稀に真っ白に写る)
かつ、もう修理期間非対応との事だ(汗)
やむなく、同型ユニットを、もう1本追加購入している、
その話は、また別の記事で紹介しよう。
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第39位
評価得点 3.40 (内、コスパ点 3.0)

レンズ名:LENSBABY TWIST 60mm/f3.5
レンズ購入価格:39,000円(新品)
使用カメラ:SONY α7(フルサイズ機)
続くレンズも、かなりの個性派(特殊)レンズだ。
(レンズマニアックス第2回記事で紹介)
本レンズの特殊性の詳細は、当該記事でも説明済みであり
重複する為に割愛するが、一言で言うと「ぐるぐるボケ」
が出るレンズである。

これは極めて特殊な描写であり、実を言うとあまり有効な
使い道がまだ見つかっていない。確かに個性的な描写では
あるが、個性的すぎて、何に使ったら良いか不明のままだ。
人物撮影に使うという利用目的が、かろうじて考えられるが、
依頼撮影や業務撮影等で、背景が「ぐるぐるボケ」だったら
「ふざけているのか?!」と、依頼者やクライアントに
怒られてしまうかも知れない(汗)
だから、人物撮影だとしても完全なるプライベート用途だ。
しかし、そうだとしても、もっとちゃんと写るレンズを
色々と持っているのに、わざわざ本レンズを使うだろうか?
・・やはり、どう考えても有効な使用目的が思い付かない。
中古の流通も極めて少なく、欲しければ新品で買うしか
無いであろう。
2016年発売の新しいレンズであり、発売後まだ日が経って
いない状況で新品購入した為、購入価格は39,000円と高価だ。
これだと、ハイコスパという点では厳しい価格帯なのだが
この極めてユニークな描写特性は、他に代替するものが
(殆ど)無いとして、コスパ評価の減点はあまり行って
いなかった為、総合的に(下位ではあるが)ランキングに
入るレンズとなった訳だ。

なお、一見して本レンズは「トイレンズ」に見えてしまう事で
あろう。トイレンズと言うとLOMOやHOLGA、そしてPENTAX
Q用のユニークレンズ等を想像すると思う。
そう考えてしまうと、それらのトイレンズの相場は、数千円
程度であるから、本レンズは、それらよりもヒトケタ高価だ。
トイレンズ好きのマニアはさほど多くない、とは様々な記事で
述べてはいるが、仮にそういう希少なマニアであったとしても
「こんな高いトイレンズは買えないよ!」と思う事であろう。
だが、本レンズの描写力は、一般レンズ並みに高く、決して
トイレンズの「Lo-Fi描写」では無い。
まあ、本レンズに限らずLENSBABY社製の、概ね3万円以上の
価格帯のレンズ群は、いずれもそんな感じであり、本格的な
撮影用途にすら耐えられる画質ではある。ただ描写の特徴が
独特なだけだ。が、それが万人に受け入れられる描写傾向では
無ければ、業務用途に使うのはちょっと苦しい事であろう。
そして、MFレンズではあるが、ちゃんと絞り環もついていて
それにより「ぐるぐるボケ」の発生量を制御可能だ。
なお、この効果を最大限に発揮するには、APS-C機よりも
フルサイズ機である事が望ましい。なので本記事でも母艦は
フルサイズのα7を使用しているが、基本マウントは一眼レフ
用での販売なので、マウントアダプターが必要だ。

ともかくユニークなレンズだ、この描写特性の使用目的の少なさ
から、初級中級者はおろか、上級者にも推奨はまったく出来ない。
じゃあ誰が買うのか? これはもう上級マニアのみであろう。
あるいは、元々のティルト型LENSBABYが流行したユーザー層
つまり「アート系初級中級層」というカテゴリーの層も主力の
ターゲットであり、彼ら彼女達は、アートというジャンルでの
「他人とは違うユニークな描写(作品)」を常に求めている。
まあでも「アート系上級層」の場合は、「一般的に販売されて
いる機材を使っただけ」という安直な作品では満足できないで
あろうから、さらなる特殊技法や高度な編集技法を駆使して、
より「他者との差別化が出来る」個性的な作品を狙うだろうから
安易に「ぐるぐるボケ」だけに頼るような事はしないであろう。
総合的には、極めてユーザー層が限られるレンズではある。
(こうしたユーザー層を、LENSBABY社では「フリーク」と呼ぶ)
本シリーズでの、ハイコスパレンズのランキングという
コンセプトには若干そぐわないレンズではあるが、まあ、まだ
下位なので、そういうケースも(前述のGXRも含め)出て来る
という訳だ。
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第38位
評価得点 3.40 (内、コスパ点 3.0)

レンズ名:NIKON NIKKOR Ai135mm/f2
レンズ購入価格:47,000円(中古)
使用カメラ:NIKON Df(フルサイズ機)
続く第38位も若干レア物だ(汗)
1970年代~1980年代のMF単焦点大口径望遠レンズ
(ハイコスパ第18回記事等で紹介)
Ai型番なので当然MFレンズだ。この時代以降の1990年代頃
からのNIKON製一眼用AFレンズは、AiAF型番になっている。
ただし、AiAFになった際、本レンズと同じ135mm/f2の
スペックを持つAFレンズは、DC(デフォーカス・コントロール)
仕様のレンズへと変化してしまっているので、純然たる
ニコンの135mm大口径レンズは、本レンズ迄で終了だ。
(DCレンズについては、ミラーレス第35回記事等を参照)
(注:近年のNIKONのWEB等では、「Ai」では無く「AI」と
記載されてている。勿論、旧来から「Ai」であったのだが、
いつから変更されたのだろうか? まさか「人工知能AI」
が流行しているから、それに便乗した訳ではあるまいが・・)

こうした135mmのF2級大口径単焦点レンズは特殊用途に向く。
私はMFで2本、AFでも2本のそれを使用しているが、例えば
屋内中遠距離人物撮影(結婚式、ライブ、舞台等を含む)や
屋外での暗所のイベント(屋外ライブ、屋外イベント)に
おいて、フルサイズ機では135mmの中望遠画角、APS-C機では
200mmの望遠画角となり、いずれかの使用目的に比較的マッチ
した仕様となる。
現代の中上級ユーザーであれば、この目的には、
70-200mm/f2.8級のズームレンズを使用する事が一般的では
あるが、まずそれは重厚長大だ。
すなわち、135/2級の単焦点であれば、F2.8級望遠ズームに
比べて、重量が2/3程度に軽く、開放F値が1段明るく暗所に向く、
ボケ量も大きく、ボケ質も良く、最短撮影距離も多くの場合
単焦点が優れ、価格も多くの場合単焦点が安価だ。
という事で、基本的に私は70-200mm/f2.8級ズームを使用
する事は無い(現在は1本も所有していない。・・と言うか、
過去には使用していたが、好みに合わなかったのだ)
そのズームの目的を代替する為には、70~85mm(F1.4~F2級)、
100~105mm/F2級、135mm/F2級,180~200mm/F2.8級の
都合4種類の大口径レンズ群が必要であり、かつ、撮影状況
(距離やアングルの自由度)により、それらから1種類または
2種類を選択して持ち出す事が必要だ(注、私は単焦点望遠
レンズはF2.8程度迄とか大口径に制限しなければ、非常に
多数、恐らく70本程度は所有している)
加えて、それらは単焦点レンズであるから画角の自由度は無い
(その点は、近年であればデジタルズームやデジタルテレコン
機能の使用、あるいは高画素からのトリミングで対応できる)
一見して「面倒な話だ、70-200/2.8で十分では無いか!」
と思うかも知れないが、このあたりは機材利用のコンセプトや
撮影条件、狙う作画意図、好き嫌い等もあり、一概には言えない、
まあ、ともかく私はそうしている。
だが、一般ユーザー(初級中級者はもとより、上級者あるいは
職業的な写真家であっても)では、概ね全員が70-200/2.8級
を使用するだろう、それがデファクト(事実上の)スタンダード
である。開放F値2.8の「暗さ」も、現代の超高感度一眼レフで
あればシャッター速度的な問題点は無くなる。
さて、この時点で、135mm/F2級レンズの用途は、一般的
ユーザーにおいては皆無となった。だからこのランキングの
記事に出てきても、あまり意味が無いかもしれない(汗)
だが、マニアックさと言う点では、このあたりの単焦点望遠
(特に大口径)レンズ群は、絶対に外せないのだ。
でも、マニアがこれらを欲しがるか? 実は、そこも微妙だ。
初級中級マニア層は、概ね28~50mm位の広角~標準系の
単焦点レンズに興味が行く事であろう、この焦点距離は、元々、
銀塩時代のライカ等のレンジファインダー機の主力レンズ群で
あり、レンジ機は構造上、望遠系レンズが極めて使い難い事や、
これらの広角系レンズが、当時対抗勢力であった銀塩一眼レフ
においては、ミラーBOXの存在という一眼レフの構造的な問題点
により、高描写力を得る設計が困難であった(つまり、レンジ
機用の広角の方が、一眼レフ用の広角より小型で写りが良い)
事から人気が高まった事を源流としている。
しかし、その事は、今から概ね50年以上前の時代の話であり、
そして、その後、今からおよそ20年前の、第一次中古カメラ
ブームの際に、一時的にその概念が再燃してレンジ機用広角が
重用された事はあるのだが、いずれにしても古い銀塩時代の話だ。
その後、デジタル時代になって様々な光学技術は進歩したし、
ズームレンズの改良開発を優先していた為に、やや遅れていた
単焦点レンズの技術革新も、ようやく2010年前後から始まって
いる。
だが、ユーザー層のマインド(心理)は、あまり変化していない。
と言うのは、何十年前の話、とか言っても、場合によっては、
同じマニアが同じ心理状態(常識、知識、価値観)によって、
中古レンズを買い続けている事も非常に多いからだ。
なので、基本的にマニア層は、望遠系レンズには、あまり興味が
無い事が普通だ。
マニアが欲しがらない、一般ユーザーも使わない、だから、
このあたりの望遠レンズ群に対する評価や評判は世の中には
殆ど広まらない。

さて、やっとここからが本題だが、本Ai135mm/f2は、
MF時代のニコン純正レンズとしては高い描写力を持つ。
ただ、高描写力といっても色々と判断基準(要素)はある。
風景撮影等を基本とする広角レンズであれば、解像力という点が
最も重要な判断基準となるだろう、だが望遠ではそうでは無い、
むしろボケ質や、ボケ質破綻の頻度といったものが重要だ。
その点において、銀塩MF時代のニコンレンズは、多くが解像力
を優先した設計となっている。
何故ならば、その当時のニコン製品は、報道や学術の用途で高く
評価されていた為、それらの撮影分野では、ともかく被写体が
はっきり、くっきりと写っている必要があった。
そういうコンセプトでレンズ製品の設計を行っていた為、
ボケを重視した、アート系、人物系等の撮影分野に適合する
レンズがニコンには殆ど存在していなかったのだ。
(だから、当時のライバル他社はニコンレンズのその弱点を
突いたレンズ群を開発していた)
で、その目的(ボケ重視)の場合、当時のニコンMF望遠系では、
85/1.4,105/2.5,135/2,180/2.8あたりが、かろうじて及第点だ。
本レンズもその中の1本である。
ただまあ、その後の時代のニコンあるいは他社の(中)望遠の
方が、ボケ質も優れ、解像感も高くなっているケースが多く、
本Ai135/2はあくまで、「クラッシック」なカテゴリーに
属するものであり、絶対的性能が高いとは、なかなか言い難い。

本Ai135/2の弱点だが、まず重いレンズである事。
860gという重量は、デジタル一眼レフ高級機本体と同等であり、
MFレンズである事もあいまって、ボデイとの総合重心位置で
ピントリングの操作をバランス良く行う事が困難だ。
よって、使っていて非常に「疲れる」レンズとなってしまう。
それと、中古相場が高価である事。
1990年代の購入時に47,000円であったのが、現代でも相場が
落ちる事はなく、程度によって5~10万円の高値で取引
されている。
この点であるが、ビギナー層から見れば、ブランド力の高い
ニコン製のレアなレンズで、しかも開放F2は凄そうに見える
(特に、ビギナー層が「大口径ズーム」と言って崇拝する
70-200/2.8より明るい)事から、「高くても欲しい」という
初級マニアやビギナー層が居る為に、高値の相場になっている
という事だ。
高く売れる可能性があるならば、「投機層」も、それを意図
した価格での取引となるし、中古店舗側での値付けも同様だ。
結果的に、レンズの絶対的性能とかの実用的な要素は無視され、
中古相場は勝手に上昇する。(=プレミアム相場となる)
レンズを実用的に使う、という立場からは、馬鹿馬鹿しい話
なので、本レンズもまた、推奨の対象からは外しておく。
「実用的な高コスパレンズを紹介する」というコンセプトで
始めたシリーズ記事であるのに、推奨しずらいレンズばかりが
並んでしまって、なんだか申し訳ないのだが・・
まあ、単に評価点を算出したら、こういうランキングになった
という事ではある。
それに、本来であれば、本Ai135/2の高い性能であれば
ここまでランキングが下位になる事は、むしろ不思議なのだ、
まあ色々と世情での問題点があるから、それを加味した採点
評価を行った結果、ここまで下位となってしまった、
というのが正解なのかも知れない。
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第37位
評価得点 3.40 (内、コスパ点 3.5)

レンズ名:PANASONIC G20mm/f1.7Ⅱ ASPH.(H-H020A)
レンズ購入価格:23,000円(中古)
使用カメラ:PANASONIC LUMIX DMC-GX7(μ4/3機)
上の40年前のAi135/2とは一転して、2013年発売の
近代レンズ、これはミラーレス(μ4/3機)専用AFレンズだ。
そして、過去のハイコスパレンズ・マニアックス記事には
登場していない、これは未所有だったからでは無く、
(ミラーレス・マニアックス第45回、補足編第7回で紹介)
「コスパの観点からは紹介に値しない」レンズであったからだ。

本レンズは、その初期型(2009年発売)を含め、
初級ユーザー層から「神格化」されたレンズである。
ただ、あくまでそれは「初級層」においての話だ。
本レンズ(初期型)がキットとされた PANASONIC DMC-GF1
(2009年)は初級層向けのミラーレス機であり、そのユーザー
層の殆どは、F2以下の大口径単焦点レンズなど、使った事も
見た事も無かった。殆どが開放F値3.5程度の標準ズームの
写りしか知らなかったに違い無い。
そんな中で、初級層向けに、(広角だが)大口径単焦点
レンズが販売された事は、それはまあ、見た事が無い写りに
そこそこのインパクトを受け、「神格化」してしまう事は
有り得る話だ。
おりしもSNS普及の時代だ、誰かが言い出した事は、その
真実味はさほど問われず、急速に拡散されてしまう。
「神格化」により、2010年代前半を通じて、本レンズの
初期型G20/1.7は中古市場でレア品となり、たまに出てきても
相場は25,000円越えの不当な高値となった。
私は、実用用途(μ4/3機で明るい準広角が欲しい)という
点で、本レンズは持っておくのが望ましいと思っていたし、
友人に良くライブ撮影を行う上級マニア氏が居て、彼が
「ライブ撮影には、なかなか使いやすい」という評価を下して
いたので、私も欲しかったのだが、この相場であれば無理だ。
私の価値感覚からすれば初期型の適正価格は1万円台後半迄だ。
2013年頃にⅡ型となったが、内部の光学系は旧製品と同一だ。
こういう場合の私の判断は「初期型から十分に完成度が高い」
という事となる、つまり、「改良型でも光学系を変更しない
レンズは、元々高描写力を持っている事が保証されている」
という意味と間接的に等価になり、購入に値するレンズとなる。
Ⅱ型の発売以降、やっと中古市場には、初期型もⅡ型も流通が
復活した、これは「投機層」や「コレクター層」においては
市場でセミレア品となると「今売るのは勿体無い」という
判断となるが、新型が出ると「旧型の相場が安くなる前に売る」
という市場判断に変化するからだ。
これは、私のような中古購入層からは「買い頃」という状況だ。
2014~2015年頃には、初期型とⅡ型の中古相場の差も殆ど
無かったので、外観デザインが格好良くなったⅡ型を選択して
購入した次第である。

さて、やっと入手した本G20/1.7であるが、期待外れであった。
いや、描写力全般は決して悪くは無い、初級層が神格化する
程まででは無いが、まあ及第点ではある。
問題はカメラ側にあった、コントラストAFしか無いμ4/3機
においては、AFの精度が不足する。後年のPANASONIC機では
空間認識AFが搭載されているので、精度はともかくAF速度は
改善されたのかも知れないが、あいにくその機能を搭載した
新型機は所有していない(理由は、操作系が改悪されたからだ。
ただ、そろそろ所有機が古くなって来ているので、ぼちぼち
それらを購入する必要がある。気に入らないが、やむを得ない)
で、AF精度の低さは、G20/1.7の大口径と広角と近接性能を
利用した近接マクロ撮影が最適だと思われる際、そうした
撮影を行うと、ピントが全く合わないのだ。
パナソニックμ4/3初期のG1やGF1がNGなのはやむを得ないが
後年のG6や今回使用のGX7を使っても同様に近接ピント精度が
かなり不満だ。
そうなると「MFだとどうか?」という点だが、無限回転式の
ピントリングでは近接撮影で手指の感触で最短撮影距離
(20cmである)がわからず、仮にGX7のMF距離スケール表示機能
やピーキング機能を使ったとしても、あまり改善はされない。
問題点はそこ(アシスト機能の利用)ではなく、カメラを構えた
位置から、被写体までの距離を正確に事前判断できるかどうか?
という感覚的な点である。勿論、想定した撮影距離が最短を
下回るとピントは合わない、その見極めが困難なのだ。

まあ、レンズ自体には描写力も仕様上もあまり問題点は無い、
しかしシステム上(μ/3機+レンズ)のAF/MF性能の課題により、
本レンズを使う上で仕様の長所を活かした最大のパフォーマンス
が発揮できない、と言う点が課題となる。
この結果、本レンズの評価は、描写力(4点)やコスパ(3.5点)
は悪く無いものの、「マニアック度」と「エンジョイ度」が低く
評価されてしまった、よって、ハイコスパのランキングでは
コスパだけで順位を決めている訳では無いので、このあたり
(37位)の下位のランキングになってしまったのだ。
今後、さらにμ4/3機のAF性能が劇的に改善されない限りは、
本レンズの評価点は、このあたり止まりであろう。
まあ、神格化される程の超絶レンズでは無いし、たまたま
ピントが合って良く撮れたとしても、それは偶然性の産物で、
常に安定した高描写力は得られないので、念の為。
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今回はこのあたりまでで、次回記事では、引き続き
ランキングレンズを下位より順次紹介していこう。