「匠さん、動くものを動いて見えるように撮るにはどうしたらいいんですか?」
・・・うん、シャッター速度を遅くしたらいいよ。
「それって、シャッター優先モードにするんですか?」
・・・それでもいいし、絞り優先で絞り込んでもいいし、モードはどれでも同じことですよ。
「どれくらいにするんですか?」
・・・う~ん、被写体の動くスピードにもよるけど、まずは1/30秒とか、その近辺くらいで
試してみるといいかな。
「ブレないんですか?」
・・・実はブレを人為的に作り出して、動きを表現するんということですわ、
まずは、止まっている被写体を、普通に速いシャッターで切る、やってみるよ。 カシャ。
「あは、私を写したんですか?」
・・・うん、まあ、ともかく基本だよね(笑)
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・・・で、まあ、この時はカメラを静止して構えているよね?
で、このままシャッター速度を落としていくと・・・ これは、具体的には絞りを絞って
いくことと同じことだよ。 デジタルだったら、ISO感度を下げるという方法もあるけど、
銀塩だったら、フィルムを低感度のものに交換しなければならない。
・・・で、シャッター速度が遅くなると、シャッターが、カシャ~ンって開いている間に
被写体が動くとするだろう? その動きが軌跡となって写る、それがブレによる動感、
つまり、動きの表現になるんだ。
・・・それで、今日はもう一つのテクニックをやってみよう。 「流し撮り」だ。
まずは、シャッター速度は遅いままで、動く被写体をそのまま追っかけて、写す、
カシャ~、こんな感じになる。
「あ、なるほど、被写体は止まっているけど、周囲が流れて写ってますね。」
・・・そう、これは被写体とだいたい同じスピードでカメラを振って写すんだ。
「シャッターはいつ切るんですか?」
・・・う~ん、いつでもいい・・ というと適当に聞こえるかもしれないけど、
まあ、前に説明したタイムラグとかもあるし、ここで、という具体的なポイントは無いなあ。
「オートフォーカスで?」
・・・これも被写体によりけり、カメラから見て等距離で横に流れていて、しかも
写す前からピントを合わせる時間的余裕があって、さらに、速く追尾するAFで
ないと苦しいかもしれないな。
「私のカメラでは?」
・・・初級機だよね、ちょっと苦しいかも。 MF(マニュアルフォーカス)で
あらかじめ、撮るあたりの距離にあわせておいた方がいいかもね。
「やってみたいんですけど」
・・・まずは、動感の表現をするのにブレの効果を出すのをやろうか?
・・・で、ちょっと変わった事をやってみるよ。 この遊園地には回転ブランコがある、
これに乗って撮ってごらん。
◆ぐるぐる回る状態で、カメラの角度を固定して写せば周囲の景色は流れて写るし、
◆あるいは、前の人や後ろの人とかを写せば、その人達は止まって周囲だけ流れる、
純粋な流し撮りじゃないけど、同じような作例が撮れる。
◆さらには、カメラを回転速度に合わせて振って撮れば流し撮りの練習ができるよ。
・・・で、私は乗らずに外から「流し撮り」をやってみるよ、これは回転しながら近づく
からAFではむずかしい、MFで「置きピン」(ピントを固定して待っておく)が
必要になるし、さらには、目の前ですれ違う瞬間はかなりの速度になる。
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ブザーが鳴って、ブランコが回りだす。 キャーとか言う悲鳴も聞こえる。
うう、これは思ったより速い速度だな、どうだろ、撮れるか?
カシャ。 一回りに数秒、 さらにカシャ。 連写が効かないのでツラい。
デジタルとは言うものの、画面を確認している暇も無い、撮れていたらほとんど
偶然である(汗)
ブランコの回転がゆっくりになって、止まる。
・・・ほら、撮れたよ~。 こんな感じだよ。
「それより、酔いました~~」
・・・あ、フラフラじゃないか! 大丈夫か?
しまった、こんな練習をやるのではなかった・・・(汗)
ううむ、写真の道を究めるのは厳しいねえ・・・
皆様も「特訓」をやる時は、慎重に。 良い子は決してマネをしてはいけません(笑)
<参考関連記事(詳細な技法解説)>
中級編:コンパクトによる流し撮り