2018年6月17日(日)に、大阪府・高石市・大阪府立漕艇センター
にて行われた「第8回堺泉北港スモールドラゴンボート大会」
(通称:高石大会)の模様より。
前編では「市内の部」について紹介したが、本記事では
「混合の部」のカテゴリーについての観戦記事となる。
本大会は3カテゴリー制となっていて、
「市内の部」「混合の部」「オープンの部」である。
市内の部の詳細な参加資格は不明だが、概ね大阪府内の
ビギナーチームを対象としていて、つまりこれは、
実質的な「実力別カテゴリー分け」になっている。
近年では、「専業チーム」と地元ビギナーチームの実力差が
とても大きく、両者が混じってレースを行っても、
地元チームには100%勝ち目は無いので、こうしたカテゴリー
分けは良い傾向だと思う。他地区の大会でも、この制度を
取り入れているところが大半なので、今後もこの方式が
主流となるだろう。
「オープンの部」も参加資格は特に無いが、ほとんどの
場合、男性漕手中心のチーム編成となる。
今回の記事の「混合の部」では、漕手10名の内、確か、4名
以上が女性である事、が参加資格となっていると思われる。
本大会で、このカテゴリーでの募集は12チームだが、
今年は11チームの参戦となった。
内「ダブルエントリー」と呼ばれる重複参加は、1組だけで
「関西龍舟 白鹿」(かんさいりゅうしゅう はくしか)
「関西龍舟 白鷹」(かんさいりゅうしゅう はくたか)
となっている。
また、異カテゴリーでのダブルエントリーが1組あり、
「RスポーツマンクラブA」→混合の部
「RスポーツマンクラブB」→オープンの部
という感じだ。
「混合の部」への参戦チームは、全て、いわゆる「ドラゴン
専業チーム」であり、いずれも10年ないし20年以上の
ドラゴン経験を持つベテランのチームばかりだ。
本大会や他の大会で、一般観客などから良く聞かれる事だが
観「参加するチームは、学生さん? 会社の集まり?」
という質問がある。
これについては、
匠「企業や学生チームも稀にありますが、大半は「クラブチーム」
と呼ばれていて、主に社会人で、職業年齢性別に関係なく、
様々な人達が週末等に集まって練習をしたり試合に出たりする
ようなチームになります」
と答える事にしている。
本ブログでは、そうしたクラブチームの内、各地で行われる
複数の大会に継続的に参戦するチームを「専業チーム」と
呼んでいる。また、基本は、ある地域の大会(ホーム大会)に
毎年出場するが、たまに他地区の大会にも出るチームの事を
「準専業チーム」と呼ぶ事もある。
(本大会で言えば、「ドリーマーズ」、「大阪魂・小麦色」や
「JP系郵便局チーム」が「準専業チーム」と言える)
また、本カテゴリーには学生チームも1つ参戦している、
「大阪産業大学 常翔喜龍」(じょうしょうきりゅう)である。
上写真が「常翔喜龍」、学生チーム故に、毎年卒業と入学で
少しづつメンバーの入れ替わりがある。
各大学では、「ボート部」(カヌー等)は、ごく普通に存在するが
ドラゴンボート部があるケースは非常に稀であり、私の知って
いる限りでは、3校くらいしかない。で、それらも近年において
日常的に活動しているのは、この「常翔喜龍」のみだ。
これについては前述の「毎年入れ替わる」という点で、なかなか
クラブ活動としての運営が難しいのではなかろうか・・
(注:専門学校では、他に継続活動しているチームも色々ある。
なお、基本的にOBやOGは、現役学生と一緒にチームを編成する
事は、少ないか皆無だ。恐らく”現役は現役でなんとかする”
という原則論があるのだろう。逆にOB/OGのみでチームを組む
場合は前例が色々とある)
大学チームの実力値は年によって変動し、強力なメンバーや
リーダーシップを持つキャプテンが居る年は、なかなか強い
事もある。
「常翔喜龍」も、本大会では準決勝まで進んでいたので、
期待が持てる年なのかも知れない。
あと、稀に、大学ボート部の選手達が、臨時的にメンバーを
募ってドラゴンボートの大会に参戦する事もある。その場合は
競技内容は大きく異なるとは言え、日常的に漕ぐ練習をしている
選手達なので、なかなか侮りがたい強さを発揮し、初出場で
優勝したケースも過去何度かあった。しかし、この点も大学故に
毎年メンバーが入れ替わるので、継続的な大会出場は困難で、
彼らを「専業チーム」とは呼びにくいと思う。
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さて、では、過去3年間の、本「混合の部」カテゴリーでの
決勝進出チームを振り返っておこう。(3位までが入賞)
2015年(20人漕ぎ、500m戦)
1位:関西龍舟 シンバ
2位:表面張力(和歌山&大阪等の混成チーム)
3位:関西龍舟 バーバリアンズ
4位:琵琶湖ドラゴンボートクラブ
5位:みっくちゅじゅ~ちゅ(大阪の混成チーム)
2016年(10人漕ぎ、200m戦)
1位:すいすい丸 トレイン
2位:吹田龍舟倶楽部 S
3位:すいすい丸 工場
4位:Team BANANA 利休
2017年(10人漕ぎ、200m戦)
1位:関西龍舟 白鷹
2位:関西龍舟 白鹿
3位:SRC (吹田龍舟倶楽部)
4位:Rowing Team 浪わ
となっている。
概ね「関西龍舟」(関ドラ)(兵庫)が強く、参加した大会
では確実に優勝をもぎ取っている。特に昨年2017年では、圧巻の
ワンツーフィニッシュであり、今年も同様にワンツー狙いだ。
また「吹田龍舟倶楽部」(大阪)も近年好調であり、今回も
昨年同様に、関ドラのワンツーを阻止する立場になって来ると
思われる。
「吹田龍上倶楽部」の鼓手(ドラマー)の女性は、
吹「この日の為に。髪の毛を紫色に染めて来ました」
とのことで、とても気合が入っている(?)
写真は、「吹田龍舟倶楽部」の準決勝の模様。
なかなか好調な模様で、決勝進出は確実であろう。
なお、近年の各大会での様子を見ると、「吹田龍舟倶楽部」
と、京都の強豪「すいすい丸」は、良いライバル関係にあって
例えば、2016年の本大会でも、「すいすい丸」のワンツーを
「吹龍」が阻止している。その他、琵琶湖ペーロン(滋賀)
の大会でも、「吹龍」と「すいすい丸」が毎年のように
カテゴリー優勝を争っている状況だ。
しかし、昨年と今年は「すいすい丸」の本大会への参戦は無し、
まあ、京都や滋賀のチームは、本大会はやや遠方になるので、
なかなか毎年参戦するという訳にも行かないのであろうか。
こちらは「Team BANANA」、兵庫(芦屋)を拠点とする
ベテランチームである。一昨年は決勝に進出している。
匠「あれ、BANANAさん、昨年は出てませんでしたね?」
B「そうなんですよ、メンバーが集まらなくて・・
今年もギリギリの状況です。
我がチームのピークは3年前くらいでしたね」
匠「まあまあ・・ 丁度その頃に、せっかくチームで艇も
買ったのに、頑張って練習してくださいよ」
B「そうそう、(拠点としている)芦屋で、ローカルの
大会をやるんですよ、7月29日です」
匠「あ、そうなんですか? BANANAさんが主管ですよね?
先日、ブログに大会告知の記事を書きましたが、
すみません、芦屋大会を入れてませんでした」
という事で、遅ればせながら、今、ここで告知しておく。
2018年7月29日(日)
第24回 ASHIYA CUP ドラゴンボートレース大会
(芦屋キャナルパーク)にて開催
(BANANAさん、HPのチラシの画像、お借りしました)
今年は、7月後半から9月にかけ、ほぼ毎週のようにドラゴン
やペーロン大会があるが、この週は他に被った大会は無かった
と思う。参戦や観戦が可能であれば、是非。
さて、本高石大会の模様に戻ろう。
天候は晴れ、気温は27℃あたりまで上がり「夏日」だ。
この翌日には大阪北部を中心とした大きな地震があって
大変であったが、この時点では、のんびりしたものだ。
さて、こちらは、ここ「漕艇センター」を本拠地とする
女子チーム「Team 河童」である。
(つまり、本大会が「河童」の「ホーム大会」である。
「ホーム大会」とは、各チームの拠点または近隣で行われ、
毎年必ず参戦している大会の事であり、その大会で優勝や
入賞する事には、チームにとっては、特に思い入れが強い)
旧来、本大会では「女子の部」が無く、女子チームである
「河童」は、「オープンの部」に出場していた。
かつて、和歌山大会で、河童は男子ばかりのオープンの部で
3位となった実績もあったが、もう10年以上も昔の話だ、
現在の本大会のオープンの部は、「bp」軍団を始めとした
超強豪揃いであり、「河童」とは10秒以上のタイム差となり
これでは勝負にならない。
が、「混合の部」の参加資格が「女子が4名以上」等であれば、
「河童は混合の部に出ても良いのではなかろうか?」と、
数年前から大会関係者に提言していたが、今年、それが通った
様子で、今年から「混合の部」での出場となった。
河「せっかく混合の部に出られるようになったのだから、
地元のここでボロ負けしたら格好悪い、頑張ります!」
との事であった。
だが、今回の河童の漕ぎを見ていると、例の「直立漕ぎ」が
極端に進んでいる。この「直立漕ぎ」とは、現在各チームの
間で主流となっている「前傾姿勢でのピッチ漕法」とは
まったく異なる漕ぎ方であり、漕手全員がほぼ直立して、
ほぼ垂直にパドルを入れて、ハーフストローク、そして
手数は多い。ピッチともストロークとも異なる独自の漕法だ。
この漕ぎ方は、3年ほど前から、「河童」独自で考え出した
やりかたらしく、「省エネ漕法」または「エコ漕法」と
彼女達は呼んでいる。
恐らく、男性に比べてどうしても体力が劣る女子チームに
向いた、無駄が無く、腕力もさほど必要としない新しい漕ぎ方
として開発されたものであろう。なにせ彼女達はペテランであり、
パドリングに関する経験や技術の引き出しを沢山持っている。
で、見た目とは裏腹に意外に速く、パドルが揃っているケース
では、過去、日本選手権などの大舞台でも、僅差の準優勝と
なった事もあった。しかし、昨年くらいでは、この新漕法も
若干影を潜めていたのだが、今年からまた復活という事か?
だが、今年はまだフォーム改造中という事であろうか?
上写真では、先行する「関西龍舟」(優勝候補)には、大きく
水をあけられてしまっている。
今年は残念ながら予選敗退だが、このフォームが完成すれば
本大会では準決勝あたりまでは確実に上がって来る事であろう。
まあ、今年の他地区の大会で、また様子を見守る事にしよう。
こちらは「チーム未来」(大阪)のドラマーの「らおさん」の
専用スティックだ、彼は色々と面白いグッズを作ってくる
アイデアマンである。今回は、あいにく腰を痛めている様子で
漕手としては参加できず、鼓手としての参戦となる。
「チーム未来」は、今回なかなか好調であり、予選では
「吹龍」に先行し、勝ち抜け、さらに準決勝を「関ドラ」に
次ぐ2位で勝ち抜けて、見事決勝進出となった。
「チーム未来」ではなく、他との混成チームとしては、2015年
に「表面張力」および「みっくちゅじゅ~ちゅ」での決勝進出
の実績があるが、「チーム未来」単独としては、本大会では
恐らく2012年以来で、6年ぶりという事になるだろうか?
「チーム未来」は、超ベテランチームであり、20数年から
30年近くの歴史があるそうだ。私は15年以上前くらいから
「チーム未来」を見てきたが、その当時のメンバーあるいは
創設以来のメンバーは、もう誰も残っておらず、総入れ替え
されている。
で、近年は、なかなか入賞も無い状況なので、このあたりで
頑張って入賞したいのは当然であろうが、強力な入賞常連
チーム達に追いつけるか?が重要なポイントとなる。
こちらは、「未来」に負けじと、とても長い歴史を誇る
「Rowing Team 浪わ」(大阪・奈良)である。
こちらも私は15年以上見てきているが、監督である舵手の
方は、恐らく創設当時からのメンバーであり、他にも恐らく
同様の古参の選手達が居る。まあ百選練磨という感じのチームだ。
昨年の本大会では、久しぶりの決勝進出となり、
浪「どうも、我々がここ(決勝戦)に居るのは、場違いな
気がして、落ち着かない(笑)」
などと、謙遜していたのだが。まあ、もう少し若手を育てて
あげれば、ベテランチームの復興も期待できる。
余談だが、10数年前の「浪わ」には、美人選手が居て、
そうなると男子選手も、数、質ともに上がり(=美人の先輩に
格好悪いところは見せられない)、「浪わ」がレベルアップ
した時代があった。
この作戦(笑)を、またやるのも良いかも知れない。
なお、同様に10数年前の「チーム未来」にも美人選手が多数
居て、かなりレベルアップされた経緯がある。
しかし、「チーム未来」は、その後、次々とチーム内外での
結婚があいつぎ、その数なんと十数組、それで「寿チーム」と
呼ばれた事もあったくらいだ。が、そうなると、主力の女子
選手達が家庭に入って、逆に戦力ダウンしてしまう(汗)
まあ、なかなか古豪チームでの戦力維持は難しいという事か。
さて、混合の部の予選レースが進んでいる、
上写真は、手前より「常翔喜龍」「RスポーツマンクラブA」
「Team BANANA」による予選の模様。(team風は遅れている)
なお「RスポーツマンクラブA」は混合の部で、若手中心。
「同B」チームは、オープンの部へのエントリーである。
R「Bチームは、ベテランのBだよ」
と言っていた。(注:本当は「Veteran」なので「V」だ)
恐らく現役では平均年齢が最高齢の「R」であるが、
まだまだ十分に元気だ。
なお、7月15日に開催予定の今年30周年を迎える国内最長寿
クラスの大会である「日本選手権」(旧:天神大会)では、
「R」の関連チームの「好きやねん 大阪」が、皆勤賞で
表彰されるとの事である。
創設当時からのメンバーも多く、創設時に20歳ならば現在50歳、
30歳ならば60歳となる。続けているのは、なかなか凄い事だ。
なお、数年前までは70歳代のメンバー(創設時には40歳代)
も何人か現役で居たが、さすがに現在では引退されている。
(注:ご本人曰く「引退したつもりは無いので、いつでもまた
参戦する」との事だ・汗)
さて、大会の運営は、これまたベテラン(ヴェテラン)の
スタッフ達により行われている。
公式の大会で年間に数回、それを10年や20年も続けている
熟練スタッフも多く、その運営手腕は極めてスムースだ。
ドラゴンボート以外の、他のスポーツ大会の運営関係者が
たまにドラゴン大会を観戦見学しに来る事があるが、
彼らが口を揃えて言う事に
運「運営がとてもスムーズなので、びっくりしました!」
がある。
まあ確かに、他のスポーツ関連イベントや、その他のイベント
で、参加者や観客への指示や情報伝達がスムースでは無く、
皆が右往左往してしまったり、何かのトラブルとかで本部に
文句を言って揉めたりしているケースも良く見かけるのだが、
ドラゴンボート大会では、そういう事は、皆無に近いと思う。
ただ、その件に関しては、スタッフのスキルのみならず
参加者や観客などのマナーや人間性にも大きく依存してくる。
本大会でも、アマチュアカメラマンが、乗艇エリア等に
入り込んで三脚を立てて撮影しているケースも毎年良くあり、
今回はすぐに注意したが、これはもう、観客や撮影側のマナー
や人間性の問題であろう。
本大会に限らず、各地のイベントや観光地等でマナーの悪い
カメラマンが非常に多く、社会問題となっている。
なお、高そうなカメラやレンズを持っている人は、いわゆる
プロでは無く、間違いなくアマチュアだ。
ビギナー層では、そういう高性能な機材に頼らないと「写真が
上手く撮れない」という不安を抱えているし、高価な機材を
周囲に自慢したい(プロっぽく見られたい)という下世話な
気持ちも強く持っている。
だいたい、仕事で撮るならば、収支が赤字になるような
超高価な機材等を使うはずが無いではないか・・
撮影機材への投資金額を上回る収益が出て、黒字にならないと、
仕事としては成り立たないのは当たり前だ。
なお、報道関係等で、会社等から支給された高額機材を使って
いる場合には、その旨を表す備品シール等が貼ってあるので
すぐわかる。それから、自治体や企業等の広報部門では、
予算的にも、あまり高価な機材は基本的には使わない。
だから、高そうなカメラの人達は仕事で撮っている訳では無い。
また、マナーを守らない時点で、初級者である事が明白だ。
その点においてもマナー違反を注意するのに遠慮は無用だ。
さて、こちらは、舵取り部(舵取り委員会)である。
彼らの存在意義だが、舵取り(舵手)は、高度な技量が
必要とされる為、ビギナーチームの場合は、それを担当できる
選手が居ない。無理にやると、蛇行、衝突、転覆などのリスク
があって非常に危険である。
事実、ごく稀に(私が見てきた範囲では、数千レース
あたりで数回程度、これは、およそ0.1%程度の確率)発生する
転覆の原因の大半が、舵の不慣れのミスによるものだ。
で、そうした場合、ビギナーチームが(ドラゴン)協会に
「派遣舵」を申し込める制度があるので、これを利用するのが
一般的だ。そうなると、舵取り部(舵取り委員会)が
ビギナーチームの舵手を代理で務める、というシステムだ。
「舵取り部」メンバーのスキルは非常に高く、ビギナーチーム
等から良く「派遣舵って、どうなんですか?」と聞かれた際
匠「彼らは優秀ですよ、チームの力量や、左右のバランスを
考えながら操船しますからね。頼むと、結果的に2~3秒
タイムが速くなります」
と毎回答えている。
よって、近年ではビギナーチームは無理に自前で舵を取る
事は、極めて稀な状況だ。
しかし、本大会では、市内の部でのビギナーチームの数が
27もあって、そのほぼ全てが「派遣舵」となる。
そして、派遣の舵手は、各々、チームに所属する選手でも
あるので、自身のチームのレースにも出なくてはならず、
忙しいとともに、非常に大変だ。
(タブレットPCを用いて、各レースでの派遣舵担当者を
ローテーションさせて決めている)
で、昨年の本大会では、舵取り部の何名かが風邪などの体調
不良となって、他の舵手の方にも負担がかかり、最終的には
舵手が足らず、派遣舵を申し込んでいた、ある専業チームに
自前で舵をお願いする事となり、そのチームが慣れない操船で
(単独)転覆してしまった事があった。まあ、大事にはならず
混乱も無かったが、「舵取り部」にかかる負担が大きい事は
明白だ。
昨年大会の帰路に「舵取り部」の人達と同行した際にも、
舵「若手の新しい舵手を多数育てなければならないな」
と話をしていた事を思い出す。
まあ、各チーム、体力のある優秀な選手は、当然ながら
「漕手」に廻したい訳であり、なかなか「舵手」の成り手が
居ない事も課題であろう。
それから、運営の様子を見ていると、選手達よりも、むしろ
「舵取り部」や、その他のスタッフの方が、体力を要求される
要素が大きいかも知れない。選手達はレースの合間に休む事が
出来るのだが、スタッフは基本的に大会運営中は休めない。
真夏の炎天下や雨天の中で終日の激務、それが年間に何大会も、
あるいは下手をすれば十数大会も行われる訳だ。
肉体的な負担は非常に大きい事であろう。
現状では、スタッフ達は、その高い経験値から、なんとか
ヘバらずに職務を遂行できているが、先の「Rスポーツマン」
の例と同様に、いつのまにか、10年、20年、30年が過ぎて
高齢化してくれば、なかなか衰える体力をカバーする事は
困難になってくるだろう。
各チームの選手達の若返りも勿論重要ではあるが、それに加えて、
「舵取り」や、「運営スタッフ」の世代交代も、順次必要に
なってくると思う。
で、これは「カメラマン」も同様であり、この激務をいつまでも
続ける事は、まず無理だ。
真夏の炎天下で10時間以上の大会撮影が出来る、若手で体力の
あるカメラマンを新規育成していかなくてはならないであろう。
なお、ただ撮影ができるだけでは不足で、各チーム等との
コミュニケーションが取れる能力も必須となる。
(もし、各チームの補欠選手等で、写真方面の能力や興味が
ある人が居れば、是非紹介していただきたいと思う。
無事私が引退できれば、好きな大会の、好きな被写体を
好きなように撮れる、これはずいぶんと嬉しい状況だ・笑)
余談が長くなった、「混合の部」の決勝戦の模様だ。
まず決勝進出チームをレーン順に紹介しよう
1レーン:チーム未来
2レーン:関西龍舟 白鹿
3レーン:関西龍舟 白鷹
4レーン:吹田龍舟倶楽部
さて、決勝戦の見所だが、恐らく昨年と同じ結果となるだろう。
つまり、関ドラのワンツー、そして吹龍の3位入賞だ。
すると、記録写真の撮り方としては、2通りが考えられる、
1つは、ゴール直前で待機し、関ドラの2艇がワンツーで入る
瞬間を捉える事。
ちなみに、「関西龍舟」は、両者ほぼ同等の実力値になるように
メンバーはシャッフルして編成されていて、負けた側のチーム
には「罰ゲーム」として「会場の後片付け」があるそうだ。
もう1つの撮り方は、「吹龍」が、どこまで「関ドラ軍団」に
追いつけるのか? そこに着目して、その状況(タイム差、
または艇身の差)を捉える事だ。
で、「関ドラ」だって、常にワンツーが出来る訳でも無い、
例えば、昨年度のシーズンでは「関ドラ」は各大会で、2回の
ワンツーを実現しているのだが、他に1回、それを阻まれた
大会があったし、本大会でも(20人漕ぎ戦ながら)2015年には、
「表面張力」に、ワンツーを阻止されているのだ。
ちなみに、それ以前の関ドラのワンツーは、全大会を通じ
2010年にまで7年間も時代を遡る。
だから、今回、「吹龍」がワンツーを阻止するという状況も
十分あり得る。いや、むしろ、レースの面白さからいえば、
そうなった方が興味深いし、又、チーム達にとっても、
その結果の方が、お互いモチベーションが上がるかも知れない。
であれば、撮影地点の選択肢としては、「吹龍」のがんばりに
期待して、150m地点前後を選ぶのが良いであろう。
この地点の目の前で、関ドラ軍団と吹龍の、しのぎを削る
戦術の応酬が見られる、この苦しいポイントを制したチームが
上位に上がれる訳だ。
「Are you ready? Attenson GO!」
さあ、決勝レースが始まった。
しばらくは遠距離なので目視観戦だ。
予想と違うのは、「吹龍」のスタートがなかなか良いのか?
関ドラのスタートが悪かったのか?あまり差がついていない事だ。
これならば、「吹龍」のワンツー阻止は十分にあり得る。
さあ130m地点、順位はどうか?
3レーンの「白鷹」と、4レーン「吹龍」が同等か、やや3レーンが
リードしている。
2レーンの「白鹿」は、遅れているように見えるが、これは
角度がついた撮影だ、ここは図示してみよう。
<4号艇>
<3号艇>
<2号艇>
[撮影地点]
こういう状況で、やや左向きに撮影すると、手前側の
2レーンの艇が、だいぶ遅れて見える訳だ。
で、レース観戦では、ここから手前側のレーンの艇が急激に
速度を上げるように錯覚する。これは同じ時間内で観戦地点
から見える「角速度」が、距離が近い方が大きいからだ。
(例:ホームを通り過ぎる新幹線は、とても速く見えるが、
遠くを走る新幹線は、さほど速いようには見えない)
なお、この「角度がついた撮影」で、写真的に見せたい状況を
コントロールする事ができる。これは狙ってそうしても良いし
連写した中から、見せたい意図の写真を選んでも良い。
いずれにしても、撮るべき意図や撮影地点を事前に考えて
おくのがポイントになる。
すなわち、このケースで言えば「手前2レーンの関ドラが
ここから急激な追い上げを見せ、トップに並んだ」という
「ドラマ」を、悪い言葉で言えば「捏造」する事も出来てしまう。
だから、写真なんで結局のところは、撮る側の意思や意図に
より、いかようにも事実と異なる状況を「演出」できる訳だ。
これは、「写真とは、真を写すと書く」(つまり、見たままを
撮る事がセオリーである)と、昔からアマチュア写真界で長らく
言われていた事とは全く異なるが、実際には、これが真実である。
逆に言えば「現代写真では、撮り手の意思が介在していない
ただ何となく撮っただけの写真は、意味が無い写真である」
と言う事にもなる。
この話は撮った写真を見せる「対象」が居ないと成り立たない
話なので、アマチュア層の場合、まずそこに意識が及ばない。
さて、余談が長くなった。
決勝戦だが、ここから30m程進んだ160m地点(ほぼ目の前)
では、以下のようになった。
だいたい正対して撮影しているので、これが正確な真の順位だ。
関ドラの2チームは、ほぼ同じ位置関係、まあこれでワンツーが
確定だが、ゴールまで、もつれるだろうから最終順位は不明だ、
すなわち、どちらが「罰ゲーム」になるかはわからない。
「吹龍」は、約半艇身の遅れ、これは1~2秒程度の
タイム差で3位となるだろう。1レーンの「チーム未来」は
さらに遅れているので、レースはまだ残り40mほどあるのだが、
「吹龍」の3位も確定だ。
結果的に入賞チームは昨年本大会と、まったく同じとなった。
最終結果は、わずかにコンマ4秒差で「白鹿」の優勝。
タイムは59秒台と昨年同様だが、午前中より、ややレース
コンディションが悪くなっている為、「1分を切れれば上々」
と、関ドラのメンバー達は言っていた状態であった。
ここ1年ちょっとで3度のワンツーフィニッシュは見事なものだ。
が、関西龍舟にとっては、優勝は日常茶飯事である。なにせ、
ここ十数年間、優勝が1つも無いシーズンは1度もなかったと
記憶している、もし「連続年優勝記録」というものがあれば、
恐らく「関ドラ」が1位であろう。
まあなので、この喜びようは「相手側チームに勝った」
という事だ、「罰ゲームを押し付ける」とかいう事よりも
これはアスリートの本能だ。まあ、どんなゲームやコンペで
あっても勝てれば嬉しいのは確かだ。
表彰式の模様、こちらは3位となった「吹田龍舟倶楽部」だ。
「吹龍」も、ここ5年程は各地の大会で優勝や入賞が
とても多い。今は「波に乗っている時期」だと思うので、
この好調さを維持していただきたいと思っている。
本記事では、他に紹介できなかったチームがいくつもあって
心苦しいが、いずれも大会常連の専業チームなので、また
別の大会の観戦記事で取り上げていく事にしよう。
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では本記事は、このあたりまでで。
次回の記事(後編)では、オープンの部の結果を紹介しよう。