本シリーズは、所有しているミラーレス機の本体の詳細を
世代別に紹介する記事だ。
今回はミラーレス第二世代=普及期(注:世代の定義は
第一回記事参照)のSONY NEX-7(2012年)を紹介しよう。

レンズは、CONTAX PLANAR T* 100mm/f2を使用する。
(ミラーレス第32回,ハイコスパ第18回記事)
以降、本システムで撮影した写真を交えながら記事を
進めていく。今回の写真はNEX-7のデジタルズーム機能を
用いた擬似マクロ撮影を中心とする。なお、記事後半では
他のマクロレンズを使用するが、同様に近接撮影を主とする。

本機NEX-7の出自であるが、まずはSONYのミラーレス機の
歴史をたどってみよう。
2010年 NEX-3(本シリーズ第4回記事),NEX-5(現在未所有)
この2機種がSONY製ミラーレスの初号機だ。
新規のEマウントを採用しており、従来のα(A)マウントの
レンズは、そのまま装着する事は出来ない。
超小型機だが、搭載APS-C型センサーは、μ4/3に比べると
大型で、登場時には市場インパクトはあった。
しかし、EVFはなく、フラッシュも内蔵してないし、
α一眼レフにあった内蔵手ブレ補正機能も無い。
また、両カメラの差異は殆どなく、何故2機種がラインナップ
されているのか不思議に思った。
この年、数本のEマウント専用AF交換レンズが発売されている、
いずれもAPS-C機専用であり、後年のフルサイズEマウント機で
使う際にはクロップして用いる。

2011年 NEX-C3,NEX-5N
この年、NEX-3シリーズは女性向けにターゲットを絞り、
従来のNEX-3でも最軽量だったが、さらにC3で小型化した。
NEX-5Nでは、タッチパネル化、高感度化等、NEX-C3との
機能差別化が中級者層向けに図られている。
なお、型番の付け方にはC3と5Nなど、少々クセがあるのだが、
その理由は不明だ。

2012年 NEX-F3,NEX-5R,NEX-6,NEX-7(本記事)
この年、まずはNEX-7が発売された、これまでのNEXシリーズ
には無かったEVFを搭載、また、フラッシュも内蔵された。
NEX-F3では、反転式モニターで自分撮り(セルフィー)を
可能とする等、従来機よりもさらに女性ユーザー層を意識した。
NEX-5Rでは、WIFI搭載とAFの改良(像面位相差による、
ファスト・ハイブリッドAF)が図られた。
NEX-6は、NEX-7の後に発売された機種で、EVFを持つが
操作系が簡易なものにダウングレードされている。
その後だが、
NEX-3シリーズは、2013年にNEX-3Nとなり、このころに
NEXの名前を廃し、「α」にブランド戦略を統合、その後
2014年にはEVFを持たないα5000シリーズとなった。
NEX-5シリーズは、2013年にNEX-5Tとなったが、これが
NEX最終機種である。
NEX-6シリーズは、2014年にα6000となった。

2014年以降のα(Eマウントは)、APS-C機系列では、
EVFを持たないα5000系およびEVF搭載のα6000系であり、
フルサイズ機では、α7,α7R,α7S,α9系列となっている。
今から思い返すと、NEXはターゲット戦略やブランディング
戦略等で色々試行錯誤があったように見えてくる。
現在2018年での製品ラインナップは比較的すっきりしている
ように見えるが、それでもαは一眼のAマウントとミラーレス
のEマウントが両立しているし、Eマウント系列の中でも、
フルサイズ系とAPS-C系があって、初級者には、どの機種が
どんな仕様なのか、わかりにくい事であろう。
さらにややこしい事に、それぞれ全てのαシリーズで
使用できる交換レンズ群が異なる。
具体的には、
AF 型番:Aマウント フルサイズ用(ミノルタ時代のもの)
SAL型番:Aマウント用レンズの総称
SEL型番:Eマウント用レンズの総称
となっているが、加えて、まずはSAL型番のレンズには、
カテゴリーによる別名もあって、
DT :AマウントのAPC-C機専用レンズ
SAM:DCモーター搭載(スムーズAFモーター)
SSM:超音波モーター搭載(スーパーソニック・モーター)
STF:アポダイゼーション光学エレメント搭載
ZA :カール・ツァイスのブランドのライセンス生産品
G :(ミノルタ時代から続く)高性能レンズという意味
なお、モーターを内蔵していない単焦点レンズの多くは、
ミノルタ時代の製品からレンズ構成を引き継いでいるので、
およそ20~30年前の設計である(注:古いから悪いという
訳では無い、ミノルタ時代の単焦点は高性能なレンズが
多いのが特徴である)
それと、SEL型番にも同様にサブ名称がある
E :EマウントのAPC-C機専用レンズ
FE :Eマウントのフルサイズ対応レンズ
OSS:手ブレ補正機能内蔵
PZ :パワーズーム機構内蔵
STF:アポダイゼーション搭載
ZA :カール・ツァイスのブランド
G :高性能レンズという意味
GM :Gマスターと呼ぶ最高級グレードのレンズ
ということで、これらは極めてややこしく、マニアでも
無い限り全ての意味を把握できないであろう。
ビギナー層は、いったいどう区別しているのであろうか?
まあ、高いレンズの方が写りが良いレンズだと思っているの
かも知れないが、常にそういう話でも無いので念の為。

このように、カメラ製品のラインナップが複雑なのは、
まあ、色々な事情(背景)があると思う。
他の記事でも書いたが、SONYの(デジタル)一眼レフは
コニカ・ミノルタの事業を引き継いだ為、かなりの後発だ。
2006年から2009年まで、一般的なデジタル一眼レフの
α700やα900を販売していたが、この戦略では先行する
他社の後追いでしか無い。
α(A)マウントは、ミラーレス機の技術を大幅に取り入れ、
2010年以降、αフタケタ機として独自の路線を進んでいる、
まあ、これはこれで良いと思う。
同じ2010年から、NEXシリーズでミラーレス市場にも参入
したのだが、NEXの時代(2013年迄)では、それらの
メイン・ターゲット層が決まらず、製品の仕様等が色々な
方向性に分散し、市場戦略に悩んでいたようだ。
2013年、フルサイズα7シリーズの発売で、本格的志向への
マーケティングに決定したように思えるが、今回の記事は
その直前の2012年の段階だ。

さて、前置きが長くなった。
本記事はSONYの製品ラインナップの説明ではなく、
NEX-7の解説だ、本題に進もう。
NEX-7だが、その最大の特徴は、
「複雑で高度な操作系を持つ傑作機」である。
ずいぶんと主観的な表現だが、確かにこれは個人の評価だ。
で、翌年にα7が発売された為、本機NEX-7を高く評価する人は
殆ど居ない。それと発売時価格も約13万円と、少々高すぎた、
ユーザー数も多くは無いかも知れない。

本機NEX-7の長所をあげていこう。
まずは基本性能の高さだ、
APS-C型CMOSセンサー 2430万画素(ローパス有り)
EVFは236万ドットと高精細、優秀なピーキング機能有り
ISO100~16000、フラッシュ内蔵、内蔵エフェクト多数
・・と、こんな風なカタログスペックを書いてみても
あまり意味が無い、まあ、ともかく十分に高性能だ。

では、以下は、数値に表れない重要な特徴だ。
まずは、トライダイヤル・ナビ(Tri-Dial Navi)と呼ばれる
3つのダイヤルが搭載されている事が最大の長所だ。
(シンプルに「トリプルダイヤル」と呼ばれる場合もある)

基本的には、カメラ上部2つのダイヤルに、絞り値設定と
露出補正を割り振り、背面のダイヤルにISO感度を割り振る、
まあそこまでは普通だ(ただし、ISO直接変更機能は希少だ)
ここからが凄いのだが、この3つのダイヤルの機能は、複数の
それぞれの組み合わせを自由に設定し、カメラ前部の
「ナビゲーション・ボタン」により、3ダイヤルの機能セット
を、次々に呼び出し変更する事ができる。
これの何が凄いのかは、上級者で無いと理解困難であろう。
すなわち単一の機能を呼び出して、それを設定するのではなく
3つの機能セットを同時に呼び出す事により、撮影シーンに
合わせて、可変要素の大きい適切な機能群を同時に操作できる
訳だ。

これは、操作子に、固定の機能が割り振られている
「静的(スタティック)インターフェース」ではなく、
操作子の動作内容が状況に合わせて変化する
「動的(ダイナミック)インターフェース」である。
動的インターフェース(以下動的UI)に関しては、少し
歴史を述べておく。
そもそも電子機器が発展した、1970~1980年代頃から、
MMI(マン・マシン・インターフェース)や、ヒューマン・
インターフェースという用語を持って、いかに機械を使い易く
するか、という専門分野として研究が進んでいた。
この概念は1980~1990年代のPC(パソコン)の発展を機に
UI(ユーザー・インターフェース)という用語に置き換わり
さらに、PC画面のカラー化や高解像度にともない、画面自身
を使って操作する、GUI(グラフィカル・ユーザー・インター
フェース)という概念が一般的になっていく。
PCのソフト開発はオープン(誰でも自由に作れる)であった
ので、この概念は急激に進化していく。著名な老舗ソフトでは
バージョン15とか20とかいう製品もあり、毎年のようにGUIが
使い易く進歩している。

カメラの場合には背面モニターを使った簡易GUIの他に、
様々な物理操作子(ボタンやダイヤル等)があるので、
これは全体的には「UI」と言えるであろう。
だた、UIを固定してしまうと、使うべき機能がどんどん増えて
いくと、際限なくボタン等が増えたりして、むしろ使い難い。
この為、その時に必要な機能に応じてUIが変化するという
「動的インターフェース」(動的UI)の研究が始まっていく。
私が最初にそれを見たのは1990年代の終わり頃、どこかの
展示会だったか、どこかの家電メーカー(SONYだったか?)が
次世代のTVのデモをやっていた。
そのTVにはボタンが沢山あるリモコンはなく、数個しか無い
ボタンを押す都度、状況に応じて出てくるメニューが変化し、
それを十字キーだかの2次元デバイスで選択操作する。
そのメニューが具体的にどうであったかは忘れたが、
その概念(コンセプト)そのものは、衝撃的だと思った。
例をあげれば、放送している番組を視聴中にするTV操作は、
チャンネルの変更、音量の変更、ミュート、録画開始位しか
普通は無い、まさかこの時点でチャンネルの初期設定の
メニューが出てきてもしかたがないのだ、買って来て最初に
やれば十分だし、そういった設定は、その他のメニューに
別途押し込んでしまえば良い。
1999年代の試作次世代TVは、この通りの内容ではなかった
かも知れないが、まあ、基本はこういった考え方であろう。
家電製品等ではこんな感じだが、PC用ソフトウェアの世界では、
こういうGUIは当たり前だ。
たとえばMSオフィスとか画像編集ソフトでは、ある機能を
選択すると、それに応じた設定メニューが現れる、
が、これは「動的UI」というよりは、むしろ「階層構造」の
概念ではあるが、まあ、いずれにしてもメニューが変化する
という点では確かであり、これは今時のPCユーザーでは全く
違和感は無いであろう。
しかしながら、動的UIをあまりに進化させてしまうと、
むしろ使いにくくなる。カメラでの具体例を挙げれば、
例えばドライブモード(単写、連写等の切り替え)は、
いつ何時、それを変えたいと思うかは被写体状況によりけりだ。
こういう、いつでも使う可能性がある基本機能まで動的UIに
入れるのは禁物だ。
だから、基本機能はメニューからいちいち呼び出すのではなく、
専用のレバー等があって、その設定位置を視認できる事で、
いつでも(電源OFF時にさえも)設定状態がわかり、かつ変更
可能なようにするのが良い。
専用ボタン(操作子)による単機能静的UIという概念は、
ある程度までは使い易い、しかし、限度を超えると、
ボタンだらけになって、むしろ使い難くなる、そのギリギリの
セーフの例が、コニカミノルタα-7 Digital(2004年)
であろうか?(デジタル一眼レフ・クラッシックス第3回記事)

昔のTVアニメ等では、主人公等がある特別な状況になった際に
専用の機能を持つスイッチ等が出てくるというメカ設定がある。
例えば、ロボットアニメや、サンダーバードなどであるが、
そういう単機能スイッチや専用操作子は、使い易いのだが、
様々な状況を想定して全ての機能を装備すると、スイッチや
ボタンだらけの、とてつもなく大きな装置になってしまう。
これは例えば、昔の旅客機のコックピットの多数の計器類や
箪笥のような巨大なアナログ・シンセサイザー(電子楽器)、
数十チャンネルからなる音響用ミキサーなどがそれだろう。
これらの機器は、その専門家であれば、全ての設定が常に
視認できて、そこに手を伸ばせば、すぐにどの機能でも操作
できるから使い易いのであるが、専門家以外の人が見たら
スイッチやレバーの多さに、ビビってしまい、まったく触る
ことができない、「不用意に触って、元に戻せなくなったら
どうしよう」という不安もあるからだ。
現代の旅客機のコックピットは、どうしても必要な計器類が
専用である他は、ディスプレイがちょこんとあるだけだ、
恐らくは完全な動的UI(GUI)になっている事であろう。
しかし、「だから簡単になった」と思うのは早とちりであって、
アクション映画やパニック映画等で、主人公が緊急時に急に
飛行機を操縦しないとならなくなった場合、昔のアナログ操作系
であれば、見ていても何とかなりそうな気配があるのだが、
ディスプレイが1個しかない操縦席であれば、訓練を受けていない
かぎり、何がどうなっているか、さっぱりわからない事であろう
から、むしろ心配だ(その方がスリリングか?笑)
まあ、ディスプレイ1個でもなんとかなるのはアニメの
「ガンダム」シリーズ位であり、若い主人公がいきなり
乗っても大丈夫だ。
まあそれらは多分、高度な人工知能的なOSを搭載しているので
あろうから、操縦者の意思をある程度汲み取る事ができるのだ。
(ニュータイプであるから操作系を瞬時に理解できるのか?笑)

余談が長くなった、NEX-7の動的UIに関しては、利用者の
スキルにも大きく影響される要素がある。
まあ、初級者の場合は、カメラ設定は何も変えずに使うのが
普通だ。で、中級者クラスといえども、せいぜい、絞り値や
シャッター速度を変えたり、WBや連写設定を変える位であろう。
そうであれば、このトライダイヤルの動的UIの操作系は、
過剰で複雑すぎるものであろう、ニュータイプでなければ
使いこなせないかも知れない(笑)
むしろ、これは絞りダイヤル、これは露出補正、等と
固定されている方が、初級中級者にとっては使い易い。
SONY自身も「やりすぎた」と思ったのかも知れない、
翌年2013年からのα7シリーズでは、露出補正専用ダイヤル
を新設し、安易で静的なUIにダウングレードされた。
(しかし、α7の操作系には問題点が多い、後日他の記事で
説明しよう)
ただ、私としては、このNEX-7の動的UIは高く評価したい、
それ以前、最初のNEXであるNEX-3/5が発売された時にも
動的UIの概念はチラホラと出現していた。それらの機種には、
ソフトキー A/B/Cという可変機能ボタンがあって、状況に
応じて操作内容が変化していたのだ。
SONYのカメラ(一眼レフ、ミラーレス)は後発であり、
従来機種とのUIの統一性を意識する必要があまり無い。
もし、銀塩時代から一眼を作っている他社が、このような
動的UIを新たに搭載したら、ベテランのユーザー層から
「さっぱりわからない、使い難くなった」とクレームが来る
事であろう。
けど、そこで止まっていたら、何の進化も進歩もない。
そういう意味では、NEX-7は、動的UIを目いっぱい進化させた
事で、貴重なチャレンジャー(挑戦者)であると思う。
長々と「操作系」について述べてきたが、こういう話は、
一般的に言う「操作性」とは、完全に「次元の違う」話だ、
これを一般ユーザーに、理解しろ、というのも難しい。
しかしながら、「ボタンが押しやすい」とか、そういう単純な
操作性の話でしかカメラの評価がなされないのも残念な事実だ。

さて、ここで使用レンズを交換する。
TAMRON SP60mm/f2 Macro(G005)
(ミラーレス第75回記事)
以降は、本マクロレンズで撮った写真を挟んでいく。

そして、操作系以外にも、他のNEX-7の長所も色々があるが、
際限なく長くなりそうなので、簡単に言うと
1)高精細なEVFと高精度なピーキング機能
2)小型機ながらフラッシュを内蔵
3)オールドレンズでも使えるプレシジョン・デジタル
ズーム機能
4)純正レンズでも絞込み測光である事(被写界深度等の
確認が容易)
5)多彩なエフェクト機能
などである、ただしこれらの一部は、NEX-7だけの特徴では
なく、他のNEX/αでも同様だ。

まあともかく、操作系の長所と基本性能の高さを鑑みて
本機NEX-7はオールドレンズの「アダプター母艦」とする事が、
私の場合の主な利用法だ。
ちなみに、これはAFが旧来のコントラストAF方式なので
その弱点を相殺する、という意味も含まれている。

好評価のNEX-7の操作系であるが、弱点もある。
ここには、SONYというメーカー自身の製品コンセプトにも
関連があるのだが、できるだけ自社製品間での使用利便性を
優先し、他社製品の使用を拒むという排他的な仕様だ。
だから、せっかくのトライダイヤル・ナビも、アダプターを
使用時には、絞り設定のダイヤルが遊んでしまう。
よりコントロール性の高い設定は勿論組めるのだが、それは
デフォルトのページ位置には設定できず、必ず1度ないし
複数回「ナビゲーション・ボタン」を押して、そのセットを
呼び出さなければならない。
トライダイヤルには若干の矛盾もあり、デジタルズーム調整
時には露出補正が効かない(先に露出補正を済ませておく
必要がある)等がある。
又、トライダイヤルでの設定変更は階層構造と両立させるのが
難しい。なのでエフェクト変更等では1列にダラダラと選択肢が
多い構成にならざるを得ず、この辺りは少々使い難さを感じる。

それと、アダプター使用時には、レンズの収差補正機能も
効かない。
あるいは本機ではなく、後のNEX/αでは、像面位相差と
コントラストAFによるファスト・ハイブリッドAF機能が
搭載されたが、これも専用レンズで無いと動作しない。
その他、超音波モーターや手ブレ補正等も勿論そうである。
これらはSONYのミラーレスだけの問題ではなく、一眼レフに
おいても、2000年代後半からは、各社とも自社のカメラと
レンズの組み合わせの場合しか使えない機能が沢山あり、
それだけならばまだ許せるのだが、他社レンズを装着時に
多くの基本機能が使えなくなるという、一種の「意地悪」
まであって、ちょっと好ましくない。
他にも専用のインフォリチウム電池は、安価な互換バッテリー
が使用できない。ただし、NEXシリーズは、ほぼ全てが同じ
バッテリーを使用できると思うので、その点では好ましい。
また、動画フォーマットはAVCHDがメインであり、これは
SONYとPANASONICのほぼ専用であり、他システムでの編集・
利用利便性が低い。
個人的には、そのような「排他的」な仕様は、メーカーの
ビジネス的な視点からは理解はできるが、賛同はできない。
できるだけオープンかつ汎用的な仕様の方が現代的だ、
特にIT業界など、技術発展の速度の速い業界においては、
オープンな思想が技術の進化を加速する。メーカー固有の
事業要素に拘ってしまったら、技術の発展が遅れてしまうのだ。
だから逆に、PANASONIC DMC-G1(2008年、本シリーズ第1回
記事、デジタル一眼第11回記事)での、「太っ腹」とも言える
他社システムとの親和性には、むしろ頭が下がる思いだった。
また、PENTAXでは2018年に、同社製カメラを外部のPCやスマホ
から制御できるSDK(ソフト開発キット)を無償リリースした。
こういうオープン化戦略が今時の考え方であると思う。

さらにNEX-7の他の弱点をあげていこう。
「内蔵手ブレ補正なし」は、まあ私はどうでも良い、
それが必要ならば、それを搭載しているカメラを使えば良いし
他のSONY機の例を見ても、手ブレ補正は焦点距離設定メニュー
がなく、どうせSONY製レンズでないと効かないだろうからだ。
(注:後年のα99Ⅱやα7系Ⅱ型機以降では、そのメニューが
やっと搭載された)
また、「電子先幕シャッター」という機能は、
レリーズタイムラグの短縮と、メカシャッターによる機構ブレ
を防ぐ効果があると言われているが、大口径レンズによる高速
シャッターの際には、画面内で露出ムラ、ボケの変形等が出る
という欠点もある模様だ(=ローリング・シャッター歪み)
グローバル電子シャッター化すれば良かったのであろうが、
まあ、私の場合、大口径オールドレンズのアダプター母艦
として本機を用いるケースが多いので、この機能は、
使わないようにしている。
それと、Eマウントは後継機のα7シリーズからフルサイズ化
されたことで、APS-C機専用純正レンズのラインナップが少ない
事も問題点だ(フルサイズ対応FEレンズはいずれも高価だ)
まあ、高価な事は各メーカーが、2010年代における国内カメラ
市場の縮退(低迷)に対応する為、高付加価値(高利益)製品
を展開する方針に戦略転換した為、やむを得ない部分もある。
そうしないと、メーカーがカメラ事業を継続できなくなる。
ユーザーとしてこれらの問題に対処するには、やはりNEX-7は、
「オールドレンズ母艦」としてしまうしか無い。
前述の「他社製品に対する排他的仕様」から、必ずしも理想的
なシステムとは言い難いが、それでも基本性能の高さと操作系
の良さから、依然、他機に対するアドバンテージは残る。

もう1つの弱点だが、背面モニターのコーティングの劣化が
起こりやすいという課題がある。
私のNEX-7は既にボロボロであり、EVFで撮っている際には
良いが、背面モニターを使った撮影は、もはや厳しい状況だ。
まあ背面モニターは上下ティルト方式で自在アングル方式では
無いので、縦位置ローアングル撮影ができないという短所も
あり、できるだけ使わないようにするしか無い。
優秀な本機NEX-7だし、既に減価償却も完了しているので、
故障対応の為に、もう1台欲しいのだが、実はこの背面モニター
劣化の問題があるので、NEX-7の予備機を購入する事を
ずっとためらっている。
(注:2012年~2013年頃の、他のSONY機の背面モニターも
コーディング禿げが頻繁に起こる。当時の使用部品(ロット)
の品質不良だと思われる)

最後に本機NEX-7の総合評価を行ってみよう。、
評価項目は10項目である(第一回記事参照)
【基本・付加性能】★★★★
【描写力・表現力】★★★★
【操作性・操作系】★★★★☆
【アダプター適性】★★★★
【マニアック度 】★★★★
【エンジョイ度 】★★★★☆
【購入時コスパ 】★★★ (中古購入価格:35,000円)
【完成度(当時)】★★★★☆
【仕様老朽化寿命】★★★★
【歴史的価値 】★★☆
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.9点
好評価である。フルサイズ機α7シリーズの人気の影となり
一般には評価されにくいが、まぎれも無い名機、いや、この
水準であれば傑作機とも呼べるであろう。
この総合得点は、ミラーレス機の中では、本シリーズ初回、
DMC-G1以来の高得点だし、他に連載中のデジタル一眼レフ・
クラッシックス記事でも、ここまでの高得点のデジタル
一眼レフは無い。
現在、中古の玉数は少ないが、皆無という訳でもなく、
あれば2万円台後半から入手可能だ。
ただ、動的UIを使いこなすにはスキルや知識も必要なので
初級中級者に簡単に薦められるカメラでは無い、
カメラ設定操作を殆ど行わないのであれば、より安易な操作系
のNEX-6の方が、SONY APS-C機の選択肢としては適切であろう、
ちなみに中古相場もNEX-6が安価だ。
なお、若干新しいα6000シリーズの中古はまだ高価である。
次回記事も引き続き、第二世代のミラーレス機を紹介する。