コストパフォーマンスの良いレンズを紹介するシリーズ
記事だが、きりの良い今回第20回目は、少々趣向を変えて
コンパクト機(デジタル、フィルム)を紹介する。
まずは、最初のコンパクト機。

カメラは、PANASONIC LUMIX DMC-LX3
(中古購入価格 9,000円)
コンパクト・デジタル・クラッシックス第3回記事で紹介の、
2008年発売のデジタル・コンパクト機。
2008年は同じPANASONICから初のミラーレス機(μ4/3)の
LUMIX DMC-G1が発売された年である。
(ミラーレス・クラッシックス第1回記事)
この時代のPANASONICのカメラの設計コンセプトはどれも大変
優れている。そうした事はPANAに限らず各メーカーにおいても
ある特定の時期のカメラの出来が良かったりする傾向があって、
恐らくだが、そういった時代においては、優秀なエンジニアや
優秀な外部スタッフ等の「人材」に恵まれていたのであろう。
カメラという製品を見ると、背景に開発者の思想が見えてくる、
良く出来たカメラは、非常に良く練られていて、様々な
アイデアや考察や研究の結果が製品に反映されている。
また、開発者が「撮影」という行為自体にも精通していれば、
無駄の無い操作系、すなわち「使いやすさ」にも直結していく。
そういう事は、表面的なスペック、例えば画素数やら連写速度
やらとは、全く異なる次元の話だ。ビギナー層にはまず理解不能
であるが、沢山のカメラを長期間使っていると、だんだんと
そうした「真のスペック」が見えるようになる。
コンパクトやミラーレス機に限らず、1990年代のAF一眼レフや
2000年代からのデジタル一眼レフでも、「超絶性能」を謳って
いながら、実際に使ってみると操作系等がボロボロで、お話にも
ならないカメラが多数存在する。そういう機体は設計時点で
実際の撮影状況に関する考察を全く行ってないと推察される。
性能の高いカメラを「作る」ことだけに夢中になってしまい、
「写真を撮る道具」としての完成度が低い事は残念な事実だ。
また、カタログスペックだけでカメラの良し悪しを判断する
評価者や購入側のスタンスも、褒められた話では無い事は
言うまでも無い。

さて、本機DMC-LX3 だが、高級(デジタル)コンパクトで
あると思う。
「思う」と、ちょっと曖昧なのは、時代背景が少し影響して
いるからだ。
銀塩時代、1990年代には多数の「(銀塩)高級コンパクト機」
が存在していた。
が、デジタルカメラの時代となると、2000年代前半位迄は、
デジタルの高級コンパクトは特殊な製品(QUALIA,Tvs Digital)
を除いて無かった。最初に普及した高級コンパクトは2005年の
GR Digital(コンパクト・デジタル・クラッシックス第2回)
と定義しても良いであろう。
その流れにおいては、2008年に発売された本機も、まあ高級
コンパクトの一員だ。
だが、2010年以降(デジタル)コンパクト機は、スマホや
ミラーレス機の台頭により、その市場を大幅に縮退させて
しまった。2010年代後半にもなると、高級コンパクトは、
極めて趣味性が高く、高性能で高価なものばかりとなって
しまっている(つまり、マニア向け高付加価値化製品だ)
そうした現代の高価なコンパクト機を「高級コンパクト」と
言うのであれば、本機LX3は、そう言うには、簡素な性能で
しか無い。
発売時定価は65,000円と、まあ高価ではあるが、現代の
高級コンパクトのように、10万円あるいは20万円を超えて
しまうような超高価な価格帯とは異なっている。

本機LX3の基本スペックに関しては、以前の紹介記事で詳しく
述べているので今回は割愛する。・・と言うか、本機の場合、
基本スペックよりも、カタログ数値には現れない部分に、
多くの長所が存在するのだ。
その長所の多くは冒頭に述べた「設計コンセプト」にある。
ただ、それは難解な話だし、ここで書いても以前の記事と
重複する点も多いので割愛する。
そして弱点も殆ど無い、あえて言えば、高彩度モードで
色味が若干アンバランスになる所とか、レンズキャップが
レンズバリアー方式ではなく、単なる蓋の取り外し式であり、
キャップを締めたままだと電源を入れても「レンズキャップ
を外してください」という余計なエラーメッセージが出て、
何かのボタンを押さないと、そこから復帰できない。
そういう些細な点を除いては、他に弱点は殆ど無い、
ともかく、基本設計に優れた、かなり優秀なカメラである。

発売されておよそ10年になるが、超高感度が無い、ローパス
レスでは無い等と言った、近年のカメラの新機能を未搭載で
ある他は全く不満は無い。まあ、超高感度とか言うものも、
あればあったで嬉しいが、それが無くとも昼間や明所での
使用に特化すれば全く問題無い。
なお、後継機としてLX5,LX7が存在しているが、それらは
未所有である。LX3で不満は無かったし、変に新スペックを
追加する事は必ずしも良い事ばかりでは無いので、購入を
見送った訳だ。そしてLX7(2012年)をもって、いったん、
このシリーズは中断し、2014年にはフォーサーズ相当の
大型センサーを搭載したLX100にアップグレードされた。
ただ、前述のように、近年のこのクラスは、マニア向けの、
性能過剰気味の「超高級コンパクト」であり、当然価格も
10万円オーバーと超高価となってしまった。
2016年には、一応LXヒトケタシリーズを継ぐLX9が発売
されたが、こちらも1型センサーと贅沢なスペックとなり、
価格も約10万円と、やはり高価だ。
コンパクト機の市場の縮退も高価格化の理由であるのだが
(=安い機種を作っても売れない、儲からない)気軽に買える
高性能な機種が殆ど無くなってしまったのが痛い所だ。
LX3~LX7くらいの中古を見つけて、かつ、相場が十分に
安価であれば、コスパに優れた高性能コンパクト機として
買う価値は十分にあるだろう。
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さて、次のコンパクト。

カメラは、CANON IXY Digital L2
(中古購入価格 500円)
コンパクト・デジタル・クラッシックス第1回記事で紹介の、
2004年発売の単焦点デジタル・コンパクト機。
中古購入価格500円は誤記ではない。
まさに破格の値段であるのだが、これは古書店(若干の中古
のハードも扱うチェーン店)で2015年頃に見つけたもので、
充電器が欠品していたからである。
店員さんに
店「これでいいのですか?充電器が無いのでバッテリーが
切れたら終わりですよ!」
と念押しされたのだが。
匠「はい、大丈夫です、なんとかします」
と、ニヤニヤしながら(汗)答えた。
私はIXY DigitalはLとL2を、1台づつ使っていたのだが、
それらの充電器は全て共通だ、だから全く問題は無いどころか、
むしろ充電器は不要だ。
カメラ本体の程度には何も瑕疵が無かったので、これがもし
古本屋さんではなく中古カメラ店だったら、もう少し高めの
相場になっただろう。なにせ、中古カメラ店に集まるマニアは、
付属品が欠品している位は、なんとかしてしまう人達ばかりだ。
ちなみに私も、何らかの付属品が欠品していて値付けが安価な
中古機材には目が無い(笑)
例えば、外付けフラッシュが無くても使わなければ済むし、
レンズのフードが無くても、別のレンズ用のものを流用すれば
良いだけだ。

さてIXY Digital L2(以下L2)の最大の特徴だが、
「青空専用カメラ」としての用途である。
これは、低ISOで、ややマイナス露出補正をかけた際の、
青色の発色が極めて濃い事が理由だ。
まあ、2004年製という古い時代のカメラなので、画像処理
エンジンの色味のバランスが悪かった、とは言えるのだが、
現代のカメラには無いこの表現力は捨てがたいものがある。
この傾向は初代のIXY Digital L(2003年)にもあった為、
LとL2は都合3台を現代に至るまで使い続けて来た次第だ。
(最初期のCANONデジタル一眼、EOS D30(2000年)にも
同様に濃い青味を発する描写傾向がある。その機体も
所有しているが、仕様老朽化が酷く、実用に適さない。
まあ、機会があれば後日デジタル一眼記事で紹介しよう)

他の特徴としては、普及コンパクト(デジタル)機では、
かなり稀な「単焦点レンズ」を搭載している事だ。
39mm相当F2.8は、センサーサイズは1/2.5型と小さいが
使い易い画角であり、近接撮影(スーパーマクロモード)
では、背景をボカす事もでき、解像感もかなり高い。
そして、小型であり、軽量(100g)である事も特徴だ、
現代のコンパクト(デジタル)機で、ここまで小さく軽い
機種はトイ・デジタルを除き殆ど存在しない。
しかし、他の長所は殆ど無い。というか、古い時代のカメラ
故に、スペック的には現代のカメラに大きく見劣りする。
例えば、最高感度は僅かにISO400と低く、おまけに、
ISO200以上ではノイジーとなる。
実質的にはISO50,ISO100しか使えないのであるが、
それでも、本機を「青空専用カメラ」として使うのであれば
快晴の時に持ち出す事が殆どなので低ISOしか使えなくても
何ら問題はない。

非常に限られた用途にしか使えないカメラではあるが、
それでも、そういうマニアックな使い方は「有り」だと思う。
例えば、アニメの「ガンダム」等の搭載武器(搭載機能)の
中でも、普段は全く使われないのに、ある特殊な状況に
なった時だけ使われる物があるではないか、そういうものが
マニア心をくすぐる訳だ。
「どんな機能でも入っています、何でもできます」という
カメラが増えてきている現代であるからこそ、こうした、
単用途のカメラは、むしろ逆に新鮮味があると思う。
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さて、次のコンパクト機。

カメラは、RICOH GR Digital (初期型)
(新品購入価格 75,000円)
コンパクト・デジタル・クラッシックス第2回記事で紹介の、
2005年発売の単焦点デジタル・高級コンパクト機。
購入価格が高価であったのは、発売当日に新品で買った為だ、
本ブログは2005年から始めているが、その当時の記事にも、
購入した時の話を載せていたと思う。
現代では、中古もあまり見かけないが、もしあれば1万円を
切る安価な相場で入手可能であろう。

十数年間使用しつづけているカメラであり、減価償却ルール
である「1枚3円の法則」(つまり25000枚の撮影)は、
とっくにクリア、5万枚近くも撮っていて、酷使により
ボディは傷だらけになっている。
初期型の後、2年毎にGRDⅡ,GRDⅢ,GRDⅣ,GR,GRⅡと
進化を続けている。未だに初期型を使っているユーザーは、
もう皆無に近いだろうが、まあ、とは言え、後継機で無いと
ならない、という強い理由もなく、高感度性能や動画性能を
除き、初期型でも静止画撮影では十分だ。
なお、GRⅢは発売が遅れていて、一旦このシリーズは中断
している模様だが、最近またGR関連のイベントが色々と
行われていて、新機種の登場に期待が持てる状況だ。
(ただし、恐らくは「高付加価値型商品」となり、非常に
高価なカメラとなるであろう。
仮に「1枚3円の法則」のルールが実現不可能な価格帯で
あれば、残念ながら、かなり先の時代に中古相場が安価に
なる迄は購入する事が出来ない)

特徴としては、マクロモードの近接撮影での解像感や
個性的なボケ質は独特なものがあり、この点だけを
とってみても、現代においても十分に使う価値がある。

弱点は仕様的な古さだ。
コンパクト・デジタル・クラッシックスの記事でも再三書いて
来たことだが、2000年代の古いコンパクト機は、その性能の
限界値をよく見極めて使う必要があり、現代の高性能カメラ
に慣れた初級者では、まず使いこなす事が出来ないと思う。
本機や同世代のコンパクト機を安価に見かけたとしても、
おいそれと買ってしまうと、上手く使いこなせなったりする
事で無駄な出費となってしまうかも知れない。
事実、2010年前後に私の周囲の何人ものビギナーユーザーが、
GR DigitalやGRDⅡを購入したのだが、皆、ほとんど使い
こなせず、埃をかぶって死蔵してしまった、という経緯がある。

コンパクト・デジタル機の歴史に残る名機だとは言えるが、
初代を買わずとも、より新しい後継機を買えば良いとも思う、
GR Digital/GRシリーズのいずれかの機種はマニア必携だ。
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さて、最後のコンパクト・デジタル機の紹介に入る前に、
名機の話が出たところで、ここで、銀塩時代のコンパクト機を
3台紹介しよう。
まずは1機種目、

カメラは、OLYMPUS μ-Ⅱ Limited (35mm/f2.8)
銀塩AFコンパクト、μ(ミュー)シリーズの累計販売台数
1000万台達成を記念した限定5000台(国内数)のモデルで、
今から20年前の1998年の発売の銀塩AF単焦点コンパクト。
本機の前に、通常版のμ-Ⅱ (1997年)を所有していたのだが、
本機が発売されると、そのユニークなボディ色に惹かれ、
思わず買い換えてしまった。
本機には本革ケース等の限定品も付属していて通常版よりも
所有満足度が高かった。
で、通常のμ-Ⅱの定価が36,000円、本Limitedも確か同様
の定価だったと思うが(詳細不明)、私の新品購入価格は
28,000円であった。
本機購入と前後して前機種のμも鏡面仕上げのμ Limited版
を所有していたのだが、残念ながらそれはデジタル移行期に
譲渡してしまった。が、本機は重要な機種であり残した次第だ。
オリンパスだが、1985年のミノルタα-7000の発売以降の
各メーカーのAF化競争において、オリンパスはAF化戦略に
失敗し、1990年代を通じて一眼レフは旧来のOMシリーズの
延長線上での僅か2機種しか発売されていない。
この頃のオリンパスで主力となったカメラは、μ(ミュー)
シリーズといった銀塩AFコンパクト機であり、前述のように
膨大な販売台数があった。
また、最初期のコンパクト・デジタルカメラである、
OLYMPUS C-1400Lもμ-Ⅱと同時期の1997年に発売されている、
これは2/3型CCDで140万画素であった。
(しかし、それから僅か20年で「PEN-F」が出るのだから、
デジタルの進歩は速い)
本機μ-Ⅱ Limited の特徴だが、描写力の極めて高い非球面
35mm/f2.8レンズ搭載、簡易防水機能、最短撮影距離35cm、
高精度フラッシュ、超小型軽量(140g)と、申し分無い。
弱点は、プログラムAEのみしか無い所だが、まあ、この手の
普及銀塩コンパクト機では、さしたる大問題では無い。
1998年頃にカメラマニアの集まりがあり、出たばかりの
GR1sで撮った写真を大伸ばしにして、「写りが良い」と自慢
しているマニアが居た。けど、私が見た感じでは、μ-Ⅱの
写りと(画角こそ異なるが)大差は無かった。
(私もGR1を所有していたので、その写りは知っていた)
リコーがカメラ界での存続の社運をかけて開発されたのが
銀塩名機GR1だ、カメラ前面からRICOHのロゴを外すという
大英断を持って作ったカメラである。それまでのRIOOHは
大衆機ばかりを販売していたので、そのイメージを払拭する為だ。
「これは「GR」という新たなブランドだ」というコンセプトは
見事成功し、現代に至るまでGRの血脈が続いている。
だが、相当に力を入れて開発したGRレンズと、オリンパスが
(膨大なコンパクトカメラ用レンズの開発経験より)さらりと
作ったμ-Ⅱ用のレンズが、さして性能に差が無かった事は、
まったく別の技術アプローチが、結局同じようなゴールとなる
という点で、興味深い事実だ。
μ-Ⅱは、全体的に見て極めて完成度の高い高性能機だ、
私は「銀塩AF普及コンパクト機最強の機種」と定義している。
お金を出して高価なものを買わなくても、安くて良いカメラ
やレンズは沢山ある、その事を認識させてくれたのがμ-Ⅱ
だった。
世間一般的な評価も高く「ポケットに入る高性能機」として、
普及機ながらマニアも注目していた。
そして、1997年当時から放送が始まった「ポケモン」および、
その登場キャラクターの「ミュウツー」ともからめて、
本機μ-Ⅱ は、マニアの間では「ポケットモンスター」と
呼ばれていた。
本機を「ミラーレス名玉編」と同様な項目で評価してみよう。
・描写表現力:★★★★☆
・マニアック:★★★★★
・コスパ :★★★☆
・エンジョイ:★★★☆
・必要度 :★★★★★
・評価平均値:4.3
(★=1点、☆=0.5点)
という感じである。
かなりの好評価であり、当然ながら名機と言えるであろう。
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さて、銀塩コンパクトの2機種目、

カメラは、RICOH GR21 (21mm/f3.5)
2001年に発売された銀塩AF高級単焦点超広角コンパクト。
最大の特徴は、21mmという超広角レンズを搭載している事で、
一般的な銀塩コンパクト機の中では恐らく最広角であろう。
(他に、特殊な超広角機は、ある事はあったが、あまり一般的
とは言えない。そして、AF機では本機が最広角だと思う)
弱点は、定価138,000円と、恐ろしく高価な事だ。
しかし私は、銀塩末期の1990年代後半から、R1/sや、
GR1/s等のRICOH製AF単焦点コンパクトを愛用していた為、
本機も発売前から予約、発売時に10万8000円という大枚を
はたいて新品購入してしまった(汗)
ただ、時代は既に銀塩末期、数年後のGR Digital(本記事)
までの僅かな期間しか、本機の出番は無かった。
本機のレンズは、実は本機の発売前の1999年に、レンジ機用
LマウントGR LENS 21mm/f3.5として限定発売されていた。
それは定価11万円程の高価なレンズだったが、実はそれも購入
していた。けど、Lマウントなので、レンジ機の制約上、
最短撮影距離が50cmだか70cmとか(忘れた)、ともかく
超広角撮影においては、お話にもならない性能だったので、
すぐに処分(譲渡)してしまっていた。
本機GR21は最短30cmと、まあ使えるレベルである。
本機の弱点は高価な事に加え、周辺光量落ちが出る事だが、、
まあ、それは逆に特徴であるとも言えるのでノーカウントだ。
あとは、極めてレアである事か。
発売数年後の2000年代中頃、本機がディスコン(生産完了)
になったと言うので、中古はプレミアム価格となり、20万円
程度まで相場が跳ね上がってしまった。
知人たちから「売ってくれ」と言われたが断った。
このようなエキセントリックなカメラが出てきた時点で、
その市場(銀塩コンパクト)は、もはや衰退しているのだ、
本当に欲しければ、販売している時点で価値を認識し、
そこで買っておくべきだろう。
それではまるで、ミュージシャンが亡くなったというニュース
を聞いて、そこから慌ててCDを買いに行くようなものだ。
にわかファンのようで、ちょっと格好悪い。
さもなければ、投機(転売)目的であろうが、それもまた
「マニア道」に外れるので、好ましく無い。
しかも、そこまでして入手するべきカメラではない、あくまで
珍しい超広角AF高級コンパクトとしての価値しか無いであろう。
ちなみに、本機も点数で評価してみよう。
・描写表現力:★★★☆
・マニアック:★★★★★
・コスパ :★
・エンジョイ:★★★☆
・必要度 :★☆
・評価平均値:2.9
・・とまあ、名機とは呼び難い点数だが、マニアック度だけは、
満点の5点を越えて、10点くらいにしても良いカメラである。
すなわち、GR21は、
「銀塩AF高級コンパクト機史上最強のマニアック度」という
カメラである。
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さて、銀塩コンパクトのラスト、

本カメラは、CONTAX Tix (28mm/f2.8)である。
1997年に発売された、銀塩AF高級単焦点APSコンパクト。
これは、35mm判(135)フィルムではなくAPS(IX240)フィルム
を使用するカメラである。
現代に至るまでセンサーサイズにその名を残すAPSは、
アドバンスド・フォト・システムの略であり、銀塩時代の
1990年代に鳴り物入りで登場した新規格だが、ユーザー
メリットがさして大きい訳ではなく、CANON IXY等の
いくつかのヒットカメラを出した後は、デジタル時代への
移行とともに自然消滅してしまった。
現在では、APSフィルムは入手も現像も困難である。
本機Tixの、ixとは、IX240フィルムまたは「情報交換」
(Infomation eXchange、現代のEXIFと類似)という意味であり、
ちなみにTについてはCONTAX Tシリーズ(T,T2,Tvs,T3等)
の名称で、これは高級コンパクトの草分けとなっていた。
(注:型番のTixやTvsは、T以外は小文字で書くのが正しい)
本機はAPS用レンズの為、フルサイズ(35mm判)換算では、
約36~40mm相当の画角となる(APSのフォーマットに依存)
APS用コンパクト機では、本機Tixが唯一の高級コンパクト
であり、当然、描写力も最強である(ちなみにAPS機の
描写力第2位は、CANON IXY310だと思う)
長所としては、APSフィルムの情報記録機能を生かして、
撮影時の絞り値やシャッター速度を記録できる事がある。
また、最高シャッター速度は1/1000秒と、銀塩コンパクト機
としては高速だが、絞り開放時では1/500秒に制限される。
また、Tシリーズ(T2以降)と同様に、チタン外装や
サファイア製シャッターボタン等、高級感は抜群だ。
小型機の割りに重量は225gと、ずっしりと重く感じる。
弱点は、もはやAPSフィルムは現代では使用不可な点だ。
そして本体も高価である事だ。当時の定価は11万円、
私は中古で本機を購入したが、それでも5万円もしていた。
最後にこちらも評価してみよう。
・描写表現力:★★★☆
・マニアック:★★★★★
・コスパ :★★
・エンジョイ:★★★
・必要度 :☆
・評価平均値:2.8
まあ、本機も名機とは呼び難く、マニアック度全開の
カメラである。そして、現代ではもうAPSフィルムは事実上
使えないので、購入する必要は全く無いカメラだ。
しかし「銀塩APS機史上最強のマニアックなコンパクト」
であり、唯一のAPS高級コンパクトでもあるから、歴史的な
価値は大きい。
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さて、デジタル機に戻って、ラストのコンパクト機。

カメラは、FUJIFILM XQ1
(中古購入価格 24,000円)
コンパクト・デジタル・クラッシックス第4回記事で紹介の、
2013年発売のデジタル・コンパクト機。

長所だが、まず「高スペック」な所がある。
広角端F1.8の大口径ズーム、ローパスレス、像面位相差AF、
高感度12800、多彩なエフェクト、シームレスに使える4倍
超解像ズーム、手ブレ補正内蔵、露出モードはPASMが使える、
最高シャッター速度は1/4000秒(ただし開放時制限あり)
アサイナブルなコントロールリングや拡張ファンクション等で
それまでのFUJIコンパクト機の劣悪な操作系を大幅に改善
した事、等だ。
弱点は色々あるが、一番注意するのは搭載レンズの仕様だ、
25mm~100mm(相当)/f1.8~f4.9は広角端でこそ優秀で
最短撮影距離も短いが、望遠側にすると開放F値も最短撮影
距離も大幅に落ち込む。何だか広角端だけカタログスペック
を上げて他社に対抗したようにも見え、あまり好ましくない。
開放F1.8は日中ではシャッター速度オーバーとなって
使えないし、まあ本機に限らずカタログスペックだけを見て、
「良いカメラだ」とは判断できない、という事である。

で、この頃(2010年代前半)から、もうコンパクト(デジタル)
機の市場は衰退傾向にあり、各社ともラインナップを大幅に
整理し始めていた。前述の銀塩末期の高級コンパクト路線と
同様に現代のデジタル・コンパクト機も高級路線か個性派
路線で無いと売れない時代なのだ。
けど、ほとんどのコンパクト機がマニアックで高価なものに
なってしまった現代の状況は、デジャヴュ(既視感)がある、
そう、GR1やCONTAX Tシリーズが流行した銀塩末期である。
マニアの殆どはそうした高級コンパクトに目が行っていた。
しかし、前述のμ-Ⅱのように、普及コンパクト機の中にも
驚くほど高性能でコスパが良い機種がひっそりと存在していた。
まあそれはそうで、そりゃあ高級コンパクト機はチタン外装等
贅沢な素材を使っていたかもしれないが、ただそれだけのコスト
で、定価が3倍も4倍も高価になる訳は無い、レンズは同様な
ガラスだしAF機構もフィルム給送も全て同程度の部品なのだ。
値段の大部分は、高級である、というブランドイメージなのだ。
「高価だから優れたカメラである」という公式は成り立たない、
μ-Ⅱがそうであったように、本機XQ1も、高性能高級デジタル
コンパクト機の中で、唯一ポツンと存在する、普及機ながら、
驚愕の性能を持つ高コスパコンパクト機なのだ。

コンパクト機市場は現在縮退していて、もう今後は高価な機種
以外に将来に残す価値のあるものは出て来ないかも知れない。
そして、デジタルの世界では数年前の機種は仕様的老朽化に
よって価値が激減してしまう、そんな中、現在あえて、
高級コンパクト機で所有満足度を持ちながら撮影を行うのか?
あるいは、高コスパ機で「高級機と同等」という、マニアック
な楽しみを持って撮影を続けるのか?そのあたりは微妙な所だ。
まあ、マニアであれば、そうした様々なコンセプトのカメラを
並行して購入してしまえば、それで済む話なのだが・・
本機XQ1または後継機のXQ2は、マニア必携のコンパクト機だ、
中古はあまり出ないが皆無と言う訳では無い。
2万円以下の相場であれば迷わず「買い」の高コスパ機だ。
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さて、今回の記事は、このあたりまでとする。
次回記事は、通常のハイコスパレンズのシリーズ記事に戻って、
特殊レンズを紹介する。