さあ、今年のドラゴンボートもいよいよシーズンインだ。
最初の大会だが、今年で第5回目を迎える宇治川・源平・龍舟祭
(通称:宇治ドラゴン)が、2017年5月7日(日)に開催された。
今年のゴールデンウィークは5月1日2日を休みにすれば、
4月29日(土)から5月7日(日)までの最大9連休となる、
5/1,2を休まなくても、5月3日から7日までの5連休。
本大会は、その最終日の7日にあたる。
これまでの4回の本大会は、全てゴールデンウィークから
1週開いた翌週の日曜日に開催されていたが、今回5回目では、
初めて連休に直接関連する日程となった。
その事が大会の観客数の増加に繋がるかどうかは、会場に着く
までは不明だ。
連休の最終日なので、観光地である京都・宇治は人出が多い
かも知れないし、長い連休の最終日であるから翌日からの
仕事に備え、移動や休養に徹する人も多いかも知れない。
さて、大会当日朝、会場に向かう。
会場は宇治川の通称「塔の島」と呼ばれているエリア一体だ、
正式名称は宇治公園(風致公園)らしいが、有名な平等院の
すぐ横であり、宇治への観光客であれば皆が通る場所なので、
分かりやすいであろう。
電車で来る場合は、JR奈良線宇治駅からも、京阪宇治線宇治駅
からも、各々7~800m前後、徒歩十数分ほどで会場に到着する。
アクセスが良く風光明媚で、近隣には世界遺産を含む観光名所が
多数あり、ドラゴン会場としては屈指の好環境だ。
本日の天候は快晴、最低気温15℃、最高27℃の「夏日」だ。
やや風がある。レースのタイムに多少影響が出るかも知れない。
例年、宇治ではこの時期に「トビケラ」という虫が大量発生する。
この虫は無害なのだが、観光客等の飲食の際に気になるかも
知れないので、対策委員会があって駆除等を行っている模様だ。
しかし、今年は殆ど「トビケラ」を見かけない。
そういえば今年は桜の開花もだいぶ遅かったので、全体に季節感が
ずれている、もうすこし先の時期に大量発生するのかも知れない。
もっとも、今日の気温は高く、季節感としてはもう夏だ。
さて、8時半に開会式がスタート。
開催5回目ともなると、来賓もスタッフも選手達も慣れたもの
である、来賓挨拶、ルール説明と注意点、など、コンパクトに
開会式は行われ、9時からが第一レースのスタートだ。
参加チーム数は47と中規模大会だ。
(宇治)市内の部と、市外(オープン)の部があり、
まあ一種の実力別カテゴリー分けを形成している。
オープンの部は、ほぼ全てがドラゴン専業チームとなるが、
女子や混合の部が無いので、男性ばかりのチームが若干有利
かも知れない。
なお、レースは、2チームによる「タイマン戦」なので、
レース数は必然的に多くなり、4つのスモール艇を2艇づつ
交互に利用しての10分間隔でのレーススタートだ。
やや速いテンポであるが、これでも最終レースは午後6時
近くになるスケジュールとなる。
まあ、最大30分程度の巻き(=早目)の運営は可能な模様
なので、午後5時半くらいが最終戦になる事であろう。
余談だが「タイマン」というのは、1対1の勝負という意味で
Man to Man (マン対マン)の語尾を取って「タイマン」と
呼ばれるようになったという説がある。
1980年代頃の不良漫画、ドラマ、映画等で盛んに用いられて
一般的になった。
が、さすがにドラゴンボート等の世界では「タイマン」とは
言わず、世間一般的には「マッチレース」と呼ばれている。
他の呼び方として「二艘建て(にそうだて)」や
「二杯(にはい)レース」と言う場合もある。
本大会はマッチレースである事と、この地での「源平合戦」に
ちなみ「宇治川・源平・龍舟祭」というのが正式名称だ。
余談だが「源平合戦」は1180年~1185年の間に全国各地で
起こった内乱であり、正しくは「治承・寿永の乱」と呼ばれて
いて、直後の「鎌倉幕府」成立に直接関連がある。
この内乱の中で「宇治川の戦い」と呼ばれる戦いは、
1184年に起こり、「源平」というよりは、源軍の「源義仲」対、
鎌倉の源頼朝臣下の「源範頼、源義経」との戦いが主である
(このあたりは複雑で、単純に、源氏、平氏、とは分けれない)
この時「宇治川の先陣争い」として「佐々木高綱」と「梶原景季」
が活躍、この為、宇治市の所有している4艘のドラゴンボート
には「義仲」「義経」「高綱」「景季」の4人の武将の名前が
記載されている。(注:平氏は居ない)
ちなみに、これらの艇は宇治の観光協会が購入した艇であり、
スポンサー名が入っていない。全国のドラゴン・ペーロン艇で
スポンサー名の入っていない艇は稀であり、すっきりとした
印象がある。また、スモール艇はまだ全国的には普及していない
ので、高石(堺泉北)大会や、猪名川大会でも、この宇治の艇が
移送されて使われた前例がある。
それから本大会は前述のように観光客、すなわち観戦客が多い
大会である、その為「仮装推奨」という面白い習慣がある。
上写真は「ドリーマーズ」、大阪府堺市のジムのチームであり
元々は高石(堺泉北)の市内の部を中心に参戦し、旧来の
チーム名「麒麟」の時代から優勝が数回あり、南港ATC大会でも
優勝経験を持ち、現在、いくつかの他地区大会にも出場範囲を
広げている「準専業チーム」である。
虎のマスクは、今回の宇治大会の仮装用ではなく、他の大会に
参戦する際にも、これを被っている事が多い。
ちなみに「とても暑い」そうである(汗)
ドラゴン専業チームでも、上写真「チーム Banana」(バナナの
かぶりもの)や、本記事冒頭写真の「熊野水軍」(和歌山:
映画”魔女の宅急便”の登場人物、トンボやキキのコスプレ)
など、いくつかのチームも仮装をしてきている。
さて、本大会のルールだが、220mほどの直線コース、
本来は200m戦なのだが、コースが若干曲がっている為、
できるだけ有利不利の無いようにコース設営をしている模様だ。
スモール艇を用いたマッチレース、レーン間で若干の差異が
ある為、1回戦と2回戦でレーンを逆転し、ベストタイムを計測、
各カテゴリーで、上位4チームが準決勝に進出できる。
このレース距離だと、通常の200m戦(55秒~1分)より
若干長い為、市内の部チームでは、1分15秒前後、
オープン(市外)の部では1分10秒前後が準決勝進出ラインに
なる事であろう。
本日の天候は快晴、
「天気が良いので写真を撮るのも楽でしょう?」
という話を選手等から良く聞くのだが、実はここまで光が強いと
むしろかなり撮り難い。
基本的にコントラストが非常に強く、明暗がきつくなりすぎるし
人物撮影では、逆光では顔が真っ黒、順光ではまぶしいので
目をつぶり、帽子の影や顔の陰影などで非常に撮り難い。
余談だが、近年、京都等の観光地で、中国人の新婚カップルが
屋外で結婚式衣装のまま写真を撮っているケースを良く見かける。
なんでも、中国の結婚式では極めて「写真に拘る」習慣があり、
結婚式場の壁一面に大量の写真を貼ったり、アルバムを作って
列席者に配ったりするそうだ。
これらは「前撮り」であり、つまり結婚式前に、衣装を着て
海外等で撮影するケースが多い、この市場規模は急増していて
日本人が結婚式全般にかける費用の8倍にも上るという調査結果
もある。
日本も当然「海外前撮り」の対象地域であり、京都をはじめ、
東京、沖縄等でそうした中国人婚前旅行客が急増している模様だ。
中国における少子化、経済の振興、あるいは、中国に過去あった
「一人っ子政策」の世代である事も理由であろう、結婚するのが
一大イベントであるからこそ、そこにかける費用も大きくなる。
で、私も、多くの中国人の「前撮り」ケースを見かけている。
新郎新婦の他、1~2名のカメラマン、女性スタッフ等を
伴い、大きな荷物(ドレス等の入ったスーツケースや
カメラ機材一式等)をかかえて、京都市内の観光地などを巡り
1週間ほどかけ、様々な場所で大量の写真を撮っている様子だ。
しかし、彼らが写真を撮っている様子をよくよく見てみると、
日中屋外の「ピーカン(快晴)」状態で、一般的な一眼レフ、
外付けフラッシュはあるがレフ板はなし、そして背景の観光名所
などを優先するあまり、光線状況が、超順光、超逆光などの
極めて厳しい状況になっている様子が見て取れる。
まあ、ともかく沢山の写真を撮る必要がある為、光線状況など
には、かまっていられないのだろうと思うが、カメラマンの
持っている機材の性能やレンズの画角、アングルを遠目で見て
想像すると、「これでは、まともに撮れていないだろうなあ」
と思われるケースが多々ある。
結婚式場やスタジオ等の職業カメラマンは基本的には屋内撮影
なので、それに特化した機材や技能を持っている、だから
彼ら職業カメラマンといえども、屋外撮影でのノウハウは
あまり持っていないだろう事が撮影のスタイルから見て取れる。
つまり、晴天の屋外での人物写真はとても難しいのだ、
むしろ曇天とかの方がずっと安定して撮れるし、あるいは
あえて木陰とかフラットな光の場所に誘導して撮る方が
顔に影が出たり明暗差が大きくなりすぎずにベターなのだ。
こうしたなにげない人物写真も、実は普通に撮ると逆光で
真っ黒になる、ここでは、露出補正を実に「1.3段もプラス」
に設定している、一般的な撮影状況ではありえない露出補正量
だが、それくらい極端なカメラ設定をしないと写真にならない。
「じゃあ逆光なら、露出補正を1.3プラスにすれば良いのか?」
と言うと、そうでも無い、それは構図内における背景の明るい
部分の比率によっても変化する。背景の明るい部分が多いと
カメラは「めっちゃ明るいなあ、しゃあない、ちょっと暗く
して撮らないとな」と判断し、そのように露出値を決定するので
相対的に人物の部分が真っ黒になってしまうのだ。
だから、カメラのその誤解を解き、カメラがどの程度間違って
いるかを判断して、手動で露出補正設定をしなければならない。
その割合は、構図と人物の割合、背景の明るさ、人物の暗さ、
レンズの画角、測光方式、フラッシュ使用の有無など、様々な
要素で決まるので、どの程度補正をするのかは一概には言えない。
勿論、現代はデジカメだから撮ったその場で写真が見れる。
心配であれば、露出補正0,3刻みで数枚程度写真を撮っておけば
良いであろう(露出ブラケット機能を用いても良いが、プラマイ
に振る必要はなくプラスばかりだ。だとするとブラケットの設定
操作が面倒なので、手動で1枚1枚露出補正をかける方が簡単だ)
なお、あまりにプラス補正とすると、背景が真っ白に飛んで
しまう、背景に意味がある場合(つまり観光地の景色等)では、
背景と人物の両方を適正な明るさにするのは極めて難しい。
これは自然の摂理や写真の原理であるので、このレベルとなると、
技能や機材ではカバーできない、たとえ最新のカメラを使っても
ちゃんと撮れないし、前述の中国人職業カメラマンがいくら
高い撮影技能(技術)を持っていたとしても、回避は難しい。
HDR露出差合成機能を使ったり、PCによるアフターレタッチ(編集)
にも限界がある、できれば撮った時に、できるだけ適正に近い
露出値にしておきたい。
別機材が使えるのであれば、少なくともレフ板や高速シンクロ
可能な外付けフラッシュ等を有効活用し、なんとか背景と人物の
明暗差をそろえなければならない。
中国人新婚カップルが「この清水寺を背景にしたい」といった
リクエストを出したとしても、光線状況によっては、それはそう
簡単な話では無いのだ。
まあ、屋外人物撮影は、なかなか困難だ、
ドラゴン競技の撮影では、そこまで時間をかけた細かい設定や
特殊な機材の利用は無理なので、光線状況に影響されてしまう
のは、ある程度やむを得ない。
今時はデジカメは勿論、スマホ等を用いて誰でも屋外で人物撮影
を行うと思うので、「天気が良い日」は特に難しい事は知って
おいて損は無い。
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さて、余談が長くなったが、本記事では、「宇治ドラゴン」の
概要を紹介している、各カテゴリーでのレースの模様や結果は、
続く中編、後編でまた詳しく述べていく事にしよう。
まず大会(レース)の見所だけ先に述べておく、
上写真は市内の部の「チーム コロコロ ジャパン」である。
昨年(2016年)第4回の優勝チームだ。
ここで、本大会の市内の部の、各年度の1位~3位をあげて
みよう、面白い状況が見えてくる。
第1回 2013年
1位:チーム賑やかし
2位:EMBLEM JAPAN
3位:Happy Togetherと京都工場保健会トレイン
第2回 2014年
1位:チーム賑やかし
2位:EMBLEM JAPAN
3位:よゆうちからこぶ
第3回 2015年
1位:チーム塔ノ島(現:激漕)
2位:エンブレム ジャパン
3位:チーム賑やかし
第4回 2016年
1位:チーム コロコロ ジャパン
2位:チーム賑やかし
3位:激漕(ゲキソウ)
すなわち、市内の部と言っても、ほとんどが常連であり、
毎年熾烈な入賞争いを繰り広げている。
中でも特に「賑やかし」「エンブレム」が強豪2チームと
なっていて、ライバル同士だ、「賑やかし」は優勝経験が2回
あるが、エンブレムは2位どまり、そろそろ優勝が欲しい所
であろう。
それに加えて「コロコロ」「激漕」が優勝争いにからんで
くることも必至であろう。
さらに「京都工場保健会」は、すなわち「すいすい丸」の
兄弟チームであるから、ここも、”お膝元”として毎回、ある
程度の上位には食い込んできている。
まあ当該チームは「ホスト役」とも言え、むしろ毎回の
大会運営に尽力していただいているのではあるが、いつまでも
裏方ばかりでも面白くない、そろそろ、このあたりで上位には
食い込んでおきたいところであろう。
上写真は、市内強豪の「チーム賑やかし」だ。
優勝2回に3位、2位と最も安定した成績を誇っている。
今回も危なげない漕ぎで、準決勝進出は固いところだ。
それから、惜しいのは「メタルスタイリスト福田」
山科にある企業のチームで、本大会初回からの常連チームだが
こちらも準決勝に過去数回進出し、いずれも4位だ。
「メタルスタイリスト福田」は、本大会以外にも、滋賀県での
びわこペーロン大会や、1000m大会、グランドシニア大会にも
出場し「準専業チーム」として、初入賞を狙っている。
2年前位に企業内で正式なクラブ活動として認められ、各大会
には同社の社長さんも顔を見せて熱い応援を行っているのが
印象的だ。
上写真は、市内強豪の「激漕(ゲキソウ)」
過去第3回大会で「塔ノ島」として優勝、「激漕」に名前を
変えた昨年も3位と健闘している。
確か消防士さんが主体のチームと言っていなかったかな?
専業チームの「池の里Lakeres!」とも知り合いとのことで、
「塔ノ島」優勝の際には、「池の里Lakeres!」の選手の実子に
よる小学生チーム「池の里Junior Lakeres!」において、
滋賀県のドラゴンキッズ大会で連覇を続けた際の、子供選手
(中学生となった)がドラマーを努めていた。
チーム名が「激漕」になってからも、「池の里Lakeres!」の
舵手が選任派遣舵として、なかなか見事なコース取りをし、
「激漕」の好タイムに繋がっている。
写真は市内予選2回戦の模様であり、この時は、完璧とも言える
コース(ライン)取りで、市内の部の最速となる1分14秒台を
たたき出した。
帰ってきた「池の里」の舵手との会話
舵「どうでした? 今のコース取り」
匠「お見事でした、バッチリです!
これでタイムが出ていなかったら、何か別の問題ですね」
舵「そうですよね、きっと良いタイムが出ていると思います」
匠「この後で”池の里”の予選があると思いますが、
事前練習ができてよかったですね(笑)、
”池の里”も今のコースでやってみてください」
舵「はい、がんばります!」
今回の大会では、このコース取りというのは、非常に重要な
要素となっている、レーンがまっすぐではなく、若干曲がって
いる事と、第二レーンではコース中間部に水深の浅いエリアが
あって、そこで若干タイムロスしてしまうのだ。
このため、第一レーンになった場合には、スタート位置をやや
中央に寄せ、そこから直線で艇を走らせ、乗艇場の艇ギリギリを
かすめてゴールするラインを取るのが良く、この際、乗艇場に
次のレースに出場する艇が、無し、1艇、2艇の3パターンが
あるので、その状況を見ながらコースを細かく決定する。
第二レーンは若干不利ではあるが、強豪チームのコース取りを
見ていると、中間地点(100m)までは直進、そこから
やや右に舵を取り、水深の浅い部分を回避して、ラストではまた
左に舵を切ることで、タイムロスを最小限に抑える事が出来る。
このノウハウは今年から、各チームで始めた事であり、
強いチームは、さすがにこれがちゃんとできている。と言うか
このコース取りが上手だから、タイムも伸びて結果的に上位に
上がってくるとも言える。
ここ宇治川の「塔の島」は、数年前(2013年)の台風大雨による
京都や大阪各地での河川氾濫があってから、護岸工事がずっと
行われていて、毎年微妙にコースコンディションが変化する。
昨年(2016年)の大会あたりまでは、各チームとも、コースの
変化に翻弄されている様子もあったのだが、今年あたりからは
そうしたコースの状態を読んで(理解して)、いち早くそれに
対応できるチームが結果的に成績を残してくる。
ただ一所懸命漕げば良い、というものではなく、そうした戦術的
な技術もまた重要だ、という事なのだろう。
なお、私は当初、本大会は1回戦2回戦の合計タイムで準決勝に
進めるものだと勘違いしていた。実際には、ベストタイム制で
あった事を途中から知らされたのだが、その場合1回戦と2回戦
では風の状況と、若干の水量が違う(上流の「天ヶ瀬ダム」の
放流量が変化する、この日5月7日では、午前中がだいたい
39立法m毎秒、午後からは34立法m毎秒、と減っていた)ので、
コンディションが変わっている。
そこで有利不利があるのは当然なのだが、近年のドラゴンボート
においては、そうしたコースコンディションの変化も見つつ、
そこに対応していく技術を要求されるという事なのであろう。
なかなか難しく厳しい話だが、強いチームはそれをやっている。
例えば午前中予選1回戦での「bp」は、アゲインスト+不利な
2レーンでありながら、1分12秒台の好タイムであり、有利
と言われた1レーンの多くの強豪チームのタイムを上回った。
また別の例では、以前、どこかの大会で、強い横波によりレースに
影響が出ていたのだが、超強豪チームの「磯風漕友会」はタイムを
殆ど落とさなかった。
「磯風」の選手達に話を聞くと、舵でコースを決めていたのでは
ロスになるので、パドルの入水角度を各漕手が微妙に変えて、
直進性を保っていた、との事であった。
「凄い技術だ!」と私は関心したのだが、まあ「自然」と闘う
競技でもあるので、そうしたケースバイケースに柔軟に対応できる
技術もまたチーム成績に繋がってくるのであろう。
不利な条件になればなるほど、各チームの技術や戦術の差が出て
きてしまうという事なのだろう、なんだかこの大会を見て、私も
それが実感できたし、ドラゴン全体がレベルアップする兆候が
出てきているようにも感じた。
-さて、本大会でのレースの模様は、専門のアナウンサーではなく、
「打艇龍舟倶楽部」や「チーム Banana」の現役ドラゴン選手が
解説を行っている。
しかしさすがにベテラン選手だ、どこのチームの裏事情も
全て知った上での解説だ、聞いていてとても面白い!
ただ、交代要員が居ないみたいで、朝から晩まで解説して
いるのでさぞかし大変だった事でしょう、大変ご苦労様でした。
それから、本大会は一般観客(観光客)も多いので、
そうした人たちにもわかる解説が重要になる。
私も観光協会の運営委員の人と今回色々と話をしたのだが、
匠「たとえば、競馬の勝敗予想表みたいなのを観客に配るのは
どうですかねえ?」
観「あ、それ面白いですね!」
匠「できれば、優勝予想投票とかして、賞品を出すとか、
それならば観客も最後まで居るでしょう?
実際にそれをやっている地方大会もありますよ」
観「ふむふむ、なるほど、まだまだ色々工夫が出来そうですね」
こちらは、海外製パドル「Tyhoon」の販売テント、
各大会でもおなじみだが、スタッフの女性が、何故かテントを
支えている。
匠「あれ?何しているのですか?」
ス「今日は風が強いので、こうやって交代で押さえてないと
テントが飛んでしまうのですよ」
匠「それは大変ですね、営業にも影響しますね」
まあ、私が思うに、カーボンパドルを最も欲している
ユーザー層は、すでにそれらを揃えている強豪チームではなく、
むしろ、あとちょっとで入賞が出来そうな地元等の準専業チーム
であろう。例えば、地元チームが8割を占める「びわこペーロン」
大会に行っても、地元チームからそうした話を良く聞く。
地「強いチームが使っているカーボン、あれ、効果があるの
ですかね?」
匠「はい、間違いなくありますね、びわこペーロンの400m戦
であれば、3秒くらいは速くなるかも知れません」
地「そうですか! それだったら3位に入れるかも知れないなあ
チームで、ちょっと検討してみます」
で、実際にカーボンを導入した地元チームもいくつかあるのだ。
さて、こちらは、その「びわこペーロン」に20年連続出場を
した滋賀県の「Spirits Club」、その功績が認められ、昨年、
スモールドラゴン選手権の際に表彰された。
匠「なんで、びわペーでなく、スモールで表彰されたのですか?」
ス「さあ・・賞品が用意できていなかったとか?」
なるほど、せっかくびわこペーロンで表彰しようとしていたら
万が一、その年にチームが不参加だったら空振りになってしまう、
大会が終了後の方が確実だったのかも知れない。
ス「ウチは、ずっと同じメンバーでやってますよ」
匠「まあ、どのチームも同じようなものですね、
女子チームであれば”河童”さんも、結婚・出産後に
復帰する選手の方も多いですね」
ス「スピリッツも同様です、みんな復帰組ですよ」
匠「学生とかから若手が補充できれば良いのですけどね、
例えば、スピリッツさんが学校経営するのはどうですか?」
ス「あはは、それはちょっと無理ですね・笑」
こちらは「吹田龍舟倶楽部」
予選1分11秒台と好調。
専業チームの模様の詳しくはまた後編で述べていこう。
「チーム未来」、大阪のベテランチームは、悪いタイムでは
無いのだが、準決勝進出はちょっと厳しそうだ。
「すいすい丸」、ここ宇治をホームグラウンドとする
強豪チーム、近年の成長は著しく、各大会で優勝経験も積んで
きている、ちょうど京都にもドラゴン協会が出来たところなので
本大会に出場する地元チーム等をまとめて行って頂きたい立場の
チームだ。
オープンの部は計31チームがエントリーしていて、勿論常連や
強豪チームばかりだ、その全てを紹介する事は難しいが、
できるだけ追々書いていく。
さて、記事文字数が限界になったので、最後は端折ってしまった。
とりあえず前編はこのあたりまで、続く中編後編で各カテゴリー
のレースの模様を詳しく伝えていく。