本シリーズでは、手持ちの古いデジタル一眼レフについて紹介、
および、その発売時の時代背景を含めた評価を行っている。
第5回目から第8回目までは、デジタル一眼第二世代の
2006~2007年の間に発売された機種について紹介しよう。
なお、この世代区分は第1回記事で分類定義しているが、
私のオリジナルであり、一般的なものではない。
この時代は、ようやくデジタル一眼が一般に普及し始め、
銀塩一眼レフを使っていた一般ユーザー層も、デジタル一眼
に買い換えていった時代である。
とは言え、まだその価格は若干高価であり、当時か少し前の
一部のビギナー層は、デジタル一眼レフの事を妬みや羨望を
込めて「デジイチ」又は「ガンデジ」と呼び、
自身の所有する「コンデジ」をさげすんだ発言も多々あった。
なお、私は、その状況が嫌いだった為、当時から運営していた
本ブログでも、それらの呼称は一切用いないようにしていた。
まあ勿論、現代ではそれらの言葉は死語となっている、
今時「コンデジ」等と言ったら、「ナウい!」と笑われて
しまうであろう。死語になった理由は今回紹介する時代に
デジタル一眼レフが普及してビギナー層でも買えるように
なったからだ。この時代、もうデジタル一眼レフは羨望の
対象の機材では無くなった訳だ。
さて、今回シリーズ第5回目では、2006年春に発売された、
CANON EOS 30Dについて紹介しよう。
実は、この機種を購入したのは2010年代に入ってからだ。
それ以前は、この前機種EOS 20Dをずっと使い続けていた。
だが、EOS 20Dはドラゴンボート競技撮影等、厳しい環境での
長年の酷使が災いしたのか、使用7年程で内部の電子部品が故障、
一応写真は撮れるが露出計が全く連動しなくなった。
これでは使用不能で、お金をかけて修理する気にもなれず、
物持ちの良い私としては珍しく廃棄処分となってしまった。
まあでも、デジタル機器には、仕様的に新機種と見比べて古く
なってしまう、という点もあるが、機械的な寿命も勿論ある。
「第一世代」のデジタル一眼は、すでに3台が故障で廃棄処分と
なっている。そのあたりはいくら丁寧に(とは言え、甘やかす
訳では無く、負担をかけないように酷使する)使っていたと
しても、絶対に故障しない、という保証は無い。
つまり、いつかは壊れても不思議では無い、という事だが
そうであっても、利用者の意識や技能やメンテナンス次第で、
寿命を延ばす事もできる、という訳だ。
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さて今回EOS 30Dに装着しているレンズは、銀塩EOS時代からの
AF標準レンズのEF50mm/f1.4USMである。
(ミラーレス・マニアックス第69回記事)
標準レンズと言ってもAPS-Cサイズセンサーの本機であるから、
換算焦点距離は1.6倍で80mm相当の中望遠画角となる。
本記事ではEOS 30Dと同レンズで撮影した写真を挟みながら
説明をしていこう。ちなみに「大口径標準レンズ」は多彩な
撮り方が出来るレンズであり、現代で一般的な「標準ズーム」
よりも、ずっと表現力のバリエーションの豊かなレンズだ。

まず、EOS 30Dでの使用可能レンズは、EFマウント用のレンズ
が基本である。銀塩時代からの殆どのEOS用レンズはAFレンズ
だと思うが、近年ではEFマウントでのマニアックな海外製の
MFレンズもあり、それらも装着可能だ。

また、EFマウントはマウント開口径が大きくフランジバックも
短いので、一眼レフながらマウントアダプターの使用範囲が
ミラーレス機並みに広く、他社製・他マウントレンズの多くを
装着できる。
その際、レンズに絞り環があれば、Av(絞り優先)露出モード
において、レンズ側で絞込み測光での絞り調整、そしてボディ
背面のサブ電子ダイヤルを有効にすれば、そこで露出補正が
出来るという銀塩機ライクで快適な操作性が実現する。
ただし、この場合絞込み測光となるので、この使用法の際には、
あまり絞り込まないで使用する。つまり大口径レンズあるいは
望遠レンズの装着が望ましいであろう。広角でパンフォーカス
撮影等をする為に絞り込むとファインダーが暗くなってしまう。
また、電子接点の無いMFレンズ/アダプター等を用いた際には、
フォーカスエイドが効かないという弱点がある。

で、大口径レンズ使用の場合は、光学ファインダーながら、
被写界深度やボケ質の確認もかろうじて可能であるとも言える。
なので、ミラーレス・マニアックスの記事で何度も述べている
ような趣味的でマニアックなボケ制御の撮影も何とか出来る。
例えばミラーレス・マニアックス第64回、補足編6回で紹介した、
SAMYANG(サムヤン)85mm/f1.4のMFレンズ等は、使用するのも
面白いかもしれない。
装着に注意するべきはむしろサードパーティ製AFレンズであり
具体的には、EOSの概ね2000年以降に発売された銀塩および、
デジタル一眼レフには、1990年代以前のSIGMA製AFレンズは
装着すると撮影時にエラーとなって使えない場合が多々ある。
これは推測だが、当時のCANONが、レンズからの情報伝達
プロトコル(情報のやりとりの方式)を変更し、他社製レンズ
を使えなくしてしまった可能性が高い。
この事実は、プロトコルアナライザー等の専門的な測定器を
用いないと確認できないので、実際には検証できていないが、
そうであってもなくても、ユーザー側としては、これまで
古いEOSでは使えていたレンズ群が、新しいEOSに買い換えたら
使えなくなったのでは、極めて不便であった。

そして、他の記事でも良く書いているように、そのように
他社のものを排斥し、自社独自の世界を守ろうとする
排他的、非ユニバーサル(非汎用的)な措置は、私個人的には
賛同できない事はもとより、現代21世紀の電子機器市場の常識
から言っても、ちょっとありえない話だ。
まあ、とは言え、既に20年近くも前の話であるが・・

歴史を振り返れば、今から30年前の1987年、EOS650/620の
発売時、CANONはそれまでのFD系マウントをばっさりと切捨て、
まったく互換性の無いEFマウントに一方的に転換してしまった。
FD系マウントには、新旧F-1、T-90、A-1やAE-1といった
名機が多数存在したし、優秀なFD系レンズも多かったので、
そのユーザー層はさぞかしがっかりしたに違いない。当然批判も
多く出たし、それでCANONを見限ったユーザーも多数居た。
また、反発心の表明か?頑なに古いF-1を使い続けた人も居た。
その事実を目の当たりにしたNIKONやPENTAXは、
「絶対に(FやK)マウントを変えないぞ」と誓ったに違いない。
実際の真偽は不明であるが、当時の状況を考慮すれば、
まず間違いない。事実、NIKONやPENTAXは、その後30年たっても
マウント形状を変更していない!
まあ、私の場合は、マウントが変わったら、その新マウントの
ボディを買ってしまえば良い、といった主義であるから、あまり
その事自体は気にしない。
むしろ気にするのは、「お客様」であるユーザーの気持ちや
利便性をないがしろにするメーカー側の姿勢だ・・
まあ、とは言え、私は殆どの場合、中古機材しか購入して
いないので、いくら沢山の機材を買っていても、メーカーへの
貢献度はゼロに近い、つまり、お客様かどうかは微妙だ(汗)

余談が長くなったが、EOS 30Dの基本性能だ。
APS-Cサイズ、820万画素 CMOSセンサーである。
ISO感度は100~3200(ただし、AUTO ISOが無い)
最高シャッター速度は1/8000秒
連写速度は最大秒5コマ、最大枚数は、およそ30枚だ。
悪いスペックではないが、実は、この前機種 EOS 20Dと
殆ど変わらない性能だ。
実際、EOS 20Dと30Dのスペック上の差異は殆ど無い、
あるとしたら、背面モニターが1.8型から2.5型へ大型化し、
なんとか見るに耐える状態になった事くらいか。
なお、バッテリーや充電器は両者共通。
まあ、殆ど変わらないから、EOS 20D故障時に代替機として
EOS 30Dを選んだとも言える。つまり操作性やバッテリーや
充電器も含め、ほぼ今までのままで使えるからだ。

当時のカメラ市場においては、2004年発売のEOS 20Dと、
2年後に発売されたEOS 30Dが殆ど同じスペックであったので、
新機種に様々な期待を抱いたユーザー層ががっかりしたと聞く。
でもまあ、逆に言えばEOS 20Dもそこそこ完成度が高いカメラで
あったから改善の余地が余り無かった、とも言えるかも知れない。
事実、私もESO 20Dは2010年代に至るまで大きな不満もなく
使っていた訳であり、それはEOSしか使っていないでそう思った
訳ではなく、私自身は銀塩一眼、銀塩コンパクト、デジタル一眼、
デジタルコンパクト、ミラーレス機等で、いずれも、殆どの
カメラメーカーの機種を使用している。
つまり、EOS 20Dや30Dと他の機種の比較も各々の長所短所も
熟知している。でも、そうした上で、あまり不満を感じずに、
20Dや30Dが使用できていた、という事は、それはすなわち
実用的なレベルでの完成度が高い、という事であろう。
30Dに過剰な期待を抱いたユーザー層は、いったい何を
求めたのであろうか? 820万画素が1000万画素になる事か?
そうであれば、それは、この時代にあった「罠」に完全に
嵌っていた事であろう。
すなわちこの時代(2006~2007年)は、それまでの第一世代
(2004年前後)の撮像センサーが、ほぼ各社共通のCCD型の
600万画素級ばかりであったのが、ここにおいて800万、
1000万、1200万画素と「画素数競争」への走りの時代と
なっていたからだ。
本記事の冒頭にも書いたが、この時代は、一般ユーザーに
デジタル一眼が普及した時代だ、逆に言えば、この時代まで
まだ一般カメラマンはフィルムの一眼レフしか知らなかった、
とも言える、そういうユーザー層においては、デジタルは
まったくの初心者だ。
「画素数が大きいカメラの方が良く写るカメラだ」
と、極めて単純な誤解をしてしまう事はやむを得ないであろう。
ちなみにそれは単純にそうとは言えない、デジタルの様々な
仕組みや原理を良く知らないビギナーに、その説明をすると、
極めて長くなるので、ここでは割愛するが、もうその事は
現代では「常識」というレベルの話になってきているとして
おこう。
まあ、それは、この時代以降、現代においては、もう実用的に
必要な水準を超えて「画素数競争」は概ね終焉している事から
も、推察が出来ることであろう。

さて、EOS 30Dの短所だが、操作性および操作系が良く無い
事があげられる、ボタン類の配置等を評価する「操作性」
については、あまりこれまで他の機種の評価では問題にして
こなかった、まあ、押せれば良い、程度のものであるからだ。
ボタンが何処についているかの微妙な差くらいで、カメラの
使い易さなど大きく変わるはずがない、そんな事は、表面的な
事にすぎず、そもそも評価するべき対象でも無いのだ。
だが、EOS 30Dの場合、この時点でまず問題があるのだ。
メイン電子ダイヤルとサブ電子ダイヤルは良い、銀塩EOSからの
伝統的な操作子で、慣れているし、使いやすい。
だが、例えば上部液晶の前についている4つのボタンだが、
うち1つは照明なので問題ないが、他は、いずれもダブル・
ファンクションだ。
具体的には、AF-WB,DRIVE-ISO,測光モードとストロボ調光補正
といった具合だ、これは、覚え難い、探し難い(手探りで操作
しにくい)、そしてダブルファンクションの、どちらの機能を、
前後のどちらのダイヤルで調整するのかわからない、という
問題点がある。(後年のEOSでは背面モニターに説明が出る)
まあそれでもタイマー方式になったので、まだましになった、
古いEOSではボタンを押しながらダイヤルを回す必要が
あったと思う、前ボタンを押しながら前ダイヤルを回すのでは、
ピアニスト並みの指使いが要求される。

今時のデジタルカメラでは、これらの重要な機能ボタンは、
殆どの場合、カメラ背面に集中させる、まず、見やすいからだ。
そして、「十字キー」が無く、貧弱なジョイスティック型の
「マルチコントローラー」に一部を代用させているのも無理が
ある、サブ電子ダイヤルの操作性を壊したく無いのであれば、
十字キーの周囲にサブ電子ダイヤルを設ければよかった。
十字キーであれば、ポインティングデバイス(位置を決める)
としての効能の他、メニュー選択や、必要に応じて上下左右の
ボタンに前述のデジタル機での重要な操作をプリセットや
アサインする事ができる。
マルチコントローラーはEOS 30Dの唯一のポインティング・
デバイスだが、これを2次元的操作の操作子としてしか使って
いない。
具体的には、AFフレームの選択とか拡大枠の移動等である。
「2次元操作子だから2次元平面の操作にしか使わない」では
ちょっと困った考え方だ、すなわち、たとえばメニューの
選択移動に2次元操作子が使えれば便利なのに、その機能を
持たしていない為、メニュー選択を1次元操作子である
電子ダイヤルで行わざるをえず、しかもこれは回転式なので
メニューの縦横移動という必要な操作と、回転という操作の
概念が直感的に異なるのでヒューマン・インターフェース
としてはあまり適切では無い。

そして、そもそものメニューが階層構造ではなく、だらだらと
縦1列に繋がる選び難い操作系だ、それを使い難い回転式の
操作子で選ぶのだから非常にまずい。
そして画像消去時には従前のEOSからの問題点で「消去」の他
「全消去」が出てしまう、こういう危険な操作を、不安定
(操作が止まらずに廻しすぎる)かつ直感的でない回転操作子
でやらせるのだからNGだ。
何故こんな事になっているか?といえば、EOSは、銀塩時代の
1987年から販売されているカメラであり、今年で30年である。
そしてその操作性・操作系は、1990年台の銀塩時代に既に
だいたい固まっていた。で、それを大きく変える事は、たとえ
デジタル時代になっても、なんらかの事情で許されなかった
のであろう。
なんらかの事情と言っても、推測はつく。つまり、
「変わったらイヤだ」「わかりにくい」「せっかく慣れたのに
新しいのを覚える気にならない」等と言う保守的なユーザー層
が多く居たからだと思われる。
こうした状況から、元々は他社に比べても先進的であったEOSの
操作系は、それがあまり変わらなかった事で、他社がどんどんと
新しく便利で使いやすい操作系を搭載してきたので、先を越され。
逆に大きく出遅れてしまった訳だ。
これは非常に残念な話である、ちょっと何かが変わった程度で
それについていけないユーザー側に問題点の殆どがある状況だ。

「慣れていれば暗い場所でも手探りで操作できるし、
操作子の場所もわかっていれば、瞬時に操作ができる」
といった、一応は論理的でポジディブな意見もある事だろう。
でもそうやってしまったら、EOSしか使えないカメラマンに
なってしまう。
業務撮影等で1つのメーカーの機種だけ使っていれば良い場合で
あれば、その事はむしろ「熟練」として「技術(技能)」となり、
多大なメリットになるのかも知れないが、そうでは無い殆どの
アマチュアユーザーでは、他のカメラを使えない、というのは
逆にデメリットになる事であろう。
で、EOSの操作系を変えたく無いと言うのであれば、業務用の
最上位機種だけ変えなければ良い、という考え方もある。

そもそも、中級層までの多くは、同一のメーカーの製品しか
使わず、多少それに慣れたら「それが最上の操作性・操作系だ」
と誤解してしまう、という大きな問題点を抱えている。
他社のカメラを色々と使い、比較する事で初めて、操作系の
良し悪しが理解できたり、あるいは逆に、そのカメラの
本当の意味での長所がわかり、その長所を活かした撮影技法
などを身に付ける事ができる訳だ。
1つメーカーの同じようなカメラだけしか知らないのでは
その時点で様々な物の見方が狭くなってしまうと思う。

まあEOS 30Dは、操作系に問題を多く抱えるカメラであるが、
恐らく一般のEOSユーザーにはその事は理解されにくいであろう、
ただ、多数のカメラを使うマニア等であれば、他機と比較して、
容易にその事が実感できると思う。
でもまあ、このレベルの操作系であれば致命的という程の欠点
では無い。そして操作系の多少の問題点以外には、欠点は殆ど
なく、しいて言えば、MFレンズの使い難さ位か・・
まあ、トータルの性能面では優れているカメラだと思う。
あえて別の意味での欠点を上げれば、「面白味」が無い事か?
事実、私自身、趣味撮影で本機を持ち出した事は皆無に近い、
使っていて楽しくないから持ち出す気に殆どなれないのだ。

さて、EOS 30Dに関連する銀塩等の名機の話だが、少し迷ったが、
今回は銀塩機ではなく、デジタル一眼を紹介しよう。

こちらは、EOS D30 (2000年)だ。
(装着しているレンズは EF50mm/f1.8初期型である、
ミラーレス・マニアックス記事補足編5回参照)
EOS 30DとEOS D30、過去の様々なカメラの型番で、最も
ややこしい名前の組み合わせであろう。
実はこの2機種は、必ず集めたいと昔から思っていた。
EOS 20Dが故障した際、その当時では今回登場のEOS 30Dの他、
40Dも50Dも中古で販売されていたのだが、あえて、この
ややこしい名の2機種をコンプリートしたくて、わざわざ古い
30Dを購入したようなものでもある。
が、もう1組、そのややこしい名前のペアが存在している、
それはEOS D60とEOS 60Dだ。
でも、もうさすがにそれらはいらない、なにせD30とかD60は、
実用的とは言い難い古い機種だからだ。
本シリーズでは第一回記事で定義したように、
1999年~2002年をデジタル一眼レフ「黎明期」としている。
この期間に発売された主なデジタル一眼だが、
1999年 NIKON D1
2000年 CANON D30
2001年 NIKON D1X,NIKON D1H,CANON EOS-1D
2002年 NIKON D100,CANON EOS-1Ds,CANON D60
といった感じであろうか、だいたい想像できるとは思うが
これらの機種は、主に業務用として発売され、非常に高価で
あったので一般カメラマンの手が届くものではなかったし、
そもそも実用カメラとしての性能も備わっていなかった。
まあ、ぎりぎり実用機として使えるのはEOS-1D/sくらいで
あったろうが、依然高価でありすぎた事には変わりは無い。
なお、CANONではコダック社との共同開発で、これ以前の
1995~1998年にいくつかの業務用デジタル一眼レフを発売
しているが、いずれも数百万円という驚愕の価格だったので、
実物を見た事がある人すら珍しいかも知れない。
(また、ミノルタにも実験機RD-175等が存在していた)
なので、1998年以前のデジタル一眼レフは、もう年表にすら
入れていないのだが、1999年以降の「黎明期」においても
かなり初期の時代の2000年の発売となったのが、ここで
紹介しているEOS D30である。
EOS D30の基本性能だが、
まずAPS-Cサイズ、300万画素CMOSセンサー機。
CMOS機は恐らくこのD30が初であろう、CANON自社開発である。
ただ、絵作りは極めて悪く、およそ実用的とは言えない。
バッテリー消費も極めて速く、専用バッテリーが2個付属
していた他、なんと付属充電器も2個同時充電型だ。
またメニューの保持にバックアップ電池CR2025が必要である。
これらの理由から、今となっては殆ど撮る気にもならない
のだが、一応、2004年頃にSIGMA AF24mm/f1.8との
組み合わせで撮った写真があったので掲載しておく。

空の青味の強い発色傾向は当時のIXY Digital L系とも類似だ。
(コンパクト・デジタル第1回記事)
ISO感度は100~1600、AFは3点だ、最高シャッター速度は、
1/4000秒、そして銀塩EOSの操作性やサイズ感を踏襲している。
ここまで小型化されたデジタル一眼は初めてであっただろう。
価格は35万8000円もしたが、これより2年後のNIKON D100の
30万円が出るまで、それまでの時代では最安値のデジタル
一眼であった。
撮影に関わる性能は低いが、カメラとしての作りは極めて良く
かなり高級感がある。中級EOSというと、プラスチッキーな
大量生産品のイメージが強いが、本機は別格である。
重さは少々重く第3回記事のα-7 Digitalと同等の780gだ。
EOS D30は、2003年頃に私が購入した初のデジタル一眼だ、
勿論中古であったが、価格は7万円もした。
当然であるが「1枚3円の法則」での減価償却はできていない、
実用的に使えるカメラではなかったからだ、
総撮影枚数は1万枚程度で留まっている。
まあ、あくまで歴史的な価値しか無い博物館行きのカメラであろう。
高級感があるのでインテリアとして飾っておくのも良いかも知れない。
EOS D30とEOS 30D、僅かに6年しか時代の差が無い2機種で
あるが、似ているのは名前だけで、その内容は天と地程も違う。
この6年間でのデジタル一眼レフの進化を考えれば、
その後の6年間、EOS 30DからEOS 60Dor70Dの差は、
あまり大きく無いとも言えるかも知れない。

さて、ややこしい名前の昔の機種の話はこのあたりまでとして、
今回紹介の「EOS 30D」の発売時(2006年)での定価は
15万円台と、この時代においては少々高い。だが、これでも、
前機種EOS 20D(2004年)の20万円弱よりだいぶ下がっている。
私の購入価格であるが、2010年代前半に中古で約15000円で
あった。なんと10分の1まで相場が下がった事になる!
EOS 20Dが故障して、慌てて代替機として入手したのだが、
中古店の店員も「30D、ずいぶん安くなりましたねえ・・」
と販売しながらも驚いていた様子だった。
ちなみに、前機種EOS 20Dは2006年頃の購入で75000円も
していた。ただ「1枚3円の法則」に必要な25000枚の撮影は
故障時点で楽々クリアしていたので、元は取れていた。
で、このEOS 30Dも、あっという間に減価償却は完了している。
なので現在は本機は雨天などでの厳しい撮影環境での、
いつ壊しても良い予備機となっていて、実用機としては、
(いずれ紹介するが)もう少し新しいEOS機を使用している。

さて、最後に本機EOS 30Dの総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)
【基本・付加性能】★★★☆
【描写力・表現力】★★★
【操作性・操作系】★★☆
【マニアック度 】★☆
【エンジョイ度 】★★
【購入時コスパ 】★★★★☆
【完成度(当時)】★★★★
【歴史的価値 】★☆
★は1点、☆は0.5点 5点満点
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【総合点(平均)】2.8点
購入時期が遅かったので、コスパの項目が高く評価された、
発売時点での価格を評価するべきなのかもしれないが、
とりあえず購入時で評価している。
購入時点でも十分に実用的に使用できるカメラだ、と思って
買っているのだから、時期が遅いか速いかは問題ではなかろう。
基本性能や完成度は高いカメラだとは思うが、その他の項目は
あまり評価点が伸びていない。
あくまで実用一辺倒で買ったカメラで、面白さ、楽しさ等は
殆ど無いカメラだ。また、多数のユーザーが居た人気の機種で
あったので、マニアック度も欠片も無い。
次回シリーズ記事に続く。