2017年1月28日(土)に、京都三条木屋町「LIVE SPOT RAG」
にて行われた、「Funky Drops」によるゴスペル・ライブの
模様より。
以前のライブ記事にも書いたかと思うが、ブラック・ミュージック
のカテゴリー分けは、かなり難しい。
つまり、何を持って「ゴスペル」音楽の特徴とするのか?という
定義が、あまり定まって無いのだ。
あえて言うならば、教会音楽(賛美歌や黒人霊歌=スピリチュアル)
の進化系という事なのだが、それは歴史的な背景であり、音楽的
には、リズミカルであったり、ブルース系音階(ブルーノート)が
使われたりするのだが、まあ、はっきりとした特徴や定義は無い。
編成は、「クワイア」と呼ばれる合唱隊(コーラス)が中心であり
他には、あまり沢山のバンド楽器等を使う事が無い、これは、
元々がアメリカ等の教会等において、十分な楽器が無い状態でも
成り立った音楽形態だからであろう。
ちなみに、「ゴスペル」の語源は諸説あるようだが、
「God Spell」(「神の知らせ」あるいは「良い知らせ」)から
「GOSPEL」となったという説が有力な模様だ。ただしこれは
元々は音楽関連で使われる言葉ではなかったらしい。
「ゴスペル」は、日本においては、プロの音楽シーンよりも、
むしろ「習い事」として普及しているように思われる。
特に女性には人気で、各地に「ゴスペル教室」があり、大手楽器
メーカーの音楽教室にもゴスペルの課目があったりする。
まあ、楽器を使わないでも出来る、という点が「習い事」として
の人気の一因なのかも知れない。
これも多くの音楽・楽器関連記事で書いた事であるが、現代に
おいて、楽器を習得するという趣味は、あまり人気が高く無い。
その最大の理由は、楽器を習得するのが時間がかかり、困難である
事が言える、ギターでも鍵盤でも、その他の楽器でも、ある程度
弾けるようになるには、5年や10年程度かかるのは当たり前だ。
ライフスタイルが多様化し、同時に趣味も多様化している現代に
おいては、長い期間(時間)がかかるというのは、ちょっと厳しい。
例えば「ギターを習い始めたんだ」と周囲の人に言えば、
「じゃあ、ちょっと弾いて聞かせて」と言われるであろう、
かど、人前で弾いて恥ずかしくない程度になるには、やはり
最低でも5年程度の練習は必要であろう。
まあ、私もギターとキーボートを長期間やっているからそれはわかる、
おまけに、ちょっとでも練習をしなかったら、すぐに衰えてしまう。
実は、私もここ数年ほどは練習をサボって、まともに楽器には
触っていない(汗)で、そうなると、腕が鈍っているもわかるので、
例えば、以前は弾けていた曲が弾けなくなったりするのが、逆に
情けなく思えてきて、モチベーションが下がってしまうのだ。
まあ、時間がかかったり、継続性が必要であったり、そういった
即効性(?)の無い趣味が、現代の文化やライフスタイルには、
あまりそぐわないという事なのだろう。
まあ、そういった状況において、楽器を必要とせず、すぐに歌を
歌えるという点が人気となるのもうなずける。
そして、見た目とか音楽的にも、なかなか格好いい訳だ、これも
また、ゴスペルの1つの特徴であろうし、人気の一因でもある。
各種楽器の場合は、ただ弾けるようになるのだけでも大変で、
そこからさらに、ステージ等で格好良く弾く、などの領域に到達
するのは、なかなか困難な訳だ。
(腕前や音楽性が伴わず、ただ見かけだけ格好良く弾くのでは、
余計に格好悪いし・・・)
さて、今回紹介の「Funky Drops」も、そうしたゴスペル教室発の
ゴスペルバンドである。
とは言え、決して「音楽教室の発表会」といったレベルではなく、
教室とは独立して音楽活動をしているバンドだ。
実際的にも、かなり本格的な実力を備えているのが見てとれるし、
年に数回のライブを京都周辺のライブハウス等で行っていると聞く。
今回の場合もライブハウスには100人以上の観客が(勿論有料だ)
集まり、満員御礼、立ち見客が出る程である。
趣味というレベルは遥かに超えていて、あえて言うならば
「インディーズ」という感じであろうか。
まあ、一般的なゴスペル教室では、前述のように「習い事」と
しての要素も強く、その生徒さんたちの一部には、まるで
カラオケでも行くかのように、ストレス発散的に大声で歌えれば
それで良い、とか、ステージに立てるならば格好良い、とか、
そういった風潮もあるらしい。
ただ、こちらの「Funky Drops」のメンバーは、そうした世情とは
根本的に様子が違う、
メンバーは皆、本格的なゴスペル音楽志向であり、それは音楽に
対する理解力や表現力、といった所を見て(聴いて)いればわかる。
今回、最も関心したのは「編曲」がすばらしく良い点だ。
まず、クワイア(コーラス)部分の複雑なパート分けがある、
勿論クワイアメンバー各々の音域に配慮しているのは言うまでも無い、
そして「コールアンドレスポンス」などもしっかり出来ている。
ちなみに、コール&レスポンスとは、コーラス隊において
誰かが主題を歌い(コール=呼びかけ)、他の誰か又はコーラス隊
が、それに答える(レスポンス=応答)ような歌い方であり、
ゴスペルおよびブラックミュージック全般や、一部の民族音楽等
でも行われている歌唱形式の事だ。
加えて、クワイア隊の他にバックバンドが存在しているのだが、
そのバントもしっかりと、かつ、クアイアを盛り上げるような形で
うまく全体の音楽を「聴かせる」ように上手に構成している。
それから、選曲も良く、比較的有名な曲の中でもスピリチュアル
な要素が大きいものを選び、かつ、よくアレンジしてある。
まあ、そのあたりは、チームリーダー(先生)の木原千賀子さん
(上写真)による音楽性が出ているのだと思われる、うまくメンバー
達に音楽の方向性を示し、かつ、それが成功しているように思える。
「Funky Drops」は前述のように、年に数回のステージをこなして
おり、ステージ慣れしていて、観客の視点も十分に意識している、
そして音楽性も高い、歌唱力もある、魅せる衣装とパフォーマンス
もある。まあ、基本的には、何も言う事は無い。
が、しいて課題をあげれば、MCがもう少し充実しても良いかも
知れない。
・・と言うのも、セットリスト(演目一覧)を見ると、曲目が
多すぎるようにも思えたのだ。
2時間強のステージで、1部2部の間の休憩(衣装換え)を
含むが、合計で16曲くらいもある。
まあ、せっかくのステージなので「沢山の曲をやりたい」
という演奏側の気持ちも良くわかる。
けど、それでは、まずメンバー(クワイヤもバンドも)練習が
大変だ、そして、お客さん側としても、たてつづけに多くの曲を
聞くのは、少々疲れてしまう事もある。
オーディエンスは、沢山の曲を聴けるから満足という事ではない、
たとえば、曲を少し減らして、間に、MCや、その他の簡単な
パフォーマンスをやったり、お客さんとの間で簡単なゲームを
やったり、ステージをそんな風に構成しても何ら問題は無いと思う。
お客さんの側は、ライブという「非日常の時間」を楽しみに
会場に足を運んでくる(そしてお金を払う)
その「非日常」を演出する要素は、私が思うに3つある、
1つは「ライブ」という名前の通り、生の演奏の迫力と「臨場感」だ、
そして2つ目は、ハコ(会場)の中にしかない「双方向性」である、
双方向性とは、ミュージシャンやパフォーマーと観客との間で
起こる一種のコミュニケーションであり、それは「ノリ」であったり
一緒に歌ってもらったり、あるいは、もっと直接的には、観客に
ステージに上がってきてもらったり、まあ、色々あると思う。
3つ目は、「一期一会」であろう、その場でしか味わえない演奏や
その場のみの体験などだ。
こうした、私が思う3つの要素が満足できれば、それがライブの
醍醐味である、と思われる。
演奏曲目を増やして、演奏者側も、観客側も疲れてしまうので
あれば、それはやや方向性が違うようにも思える。
解決の為の最善の手法は、具体的にはMCの充実だ、
多少のトークの時間を入れて、その間に、クワイア隊の呼吸を
整えたり、バンドの楽器のメンテナンスや準備、例えば、楽器交換、
チューニング、エフェクトのセッティング変更、シールドや電池の
チェック、楽譜の確認や譜読み、等を行うという算段だ。
こうなれば、観客側も、その間、食事や飲み物の注文や、トイレや
タバコ休憩など、多少の余裕が出来てくる。
お店(ライブハウス)側も、その方が売り上げが増えて良い訳だ。
ちなみに、インストゥルメンタル・プレーヤー(楽器演奏者)の
場合は、多数の曲を完全に暗譜する(覚える)のは簡単では無い。
まあ、例えば固定メンバーのバンド、わかりやすい例をあげれば
「ビートルズ」のようなバンドであれば、その持ち歌(持ち曲)
の全てを暗譜しているのは当然であろう。
しかし、ゴスペルなどでのバックバンドは、その多くが、
「セッション・メンバー」である、つまり、固定メンバーではなく、
その時に参加できるミュージシャンが演奏しているのだ。
まあ、そういう、言ってみれば「演奏請負人」のような、
ミュージシャンは、かなりの腕前のプロフェッショナルである事が
一般的だから、初めての曲でも数回練習すれば、弾けるのは勿論
暗譜すらも出来るのかもしれない、けれども、それがかなり負担に
なるのも確かだと思う。その為、簡単にコード進行などを示す
手書きの楽譜などを譜面立てに準備している事が殆どである。
それでも、1曲全部の情報量をそれでカバーできる訳ではない。
クワイアも含めて、より完成度の高い楽曲を完成させる為には、
やはり曲目を絞って、十分な練習を積んだ方が良いと思われる。
さて、次は撮影側の課題をあげておこう。
まあ、メジャー(レーベル)に属するアーティストのライブ等では
一般観客は撮影を行う事はできない、けど、アマチュアバンド等の
場合では、友人知人などがカメラを手に、ライブ撮影を行う事が
あるかも知れない。
そんな場合に注意するべき課題に関してだ。
まず、ライブ撮影は、ゲネプロ(=最終リハーサル)から撮影
するのが本来だ。
お客さんが誰も入っていない状態においては、撮影アングル
(位置、角度、距離)は、ほぼ完全に自由になる。
場合によっては、ステージ上に上がって撮影する事すら、
(ミュージシャンが嫌がらなければ)可能となる。
だから、まあ撮影側の意思が自由に反映できる事になる。
しかし、今回は、本番撮りのみである。
その理由は、依頼側である「Funky Drops」が「本番撮影だけで
良いです」とおっしゃった事からなのだが、私も「ゲネプロから
撮ります」と言う事はできた、でもそうしなかった最大の理由は、
「ゴスペルは本番衣装が凄い」という、その1点がある。
つまり、本番衣装を着ないリハーサルを撮影しても、あまり意味が
無いからである、ただ、バンドメンバーに関しては、特に男性など
では本番衣装を特に設けない場合もあり、そのケースにおいては、
ゲネプロ撮影もかなり意味がある。
そして、今回、ゲネプロを撮影しなかった事が、問題点と
なってしまった・・
それは何か?というと、今回のステージでは、クワイア隊が
8人も居る、勿論彼女達がステージの主役なのだが、
その後ろに控える、文字通りの「バックバンド」は、ギター、
ベース、ドラムス、キーボードx2、サックスの合計6人
なのだが、サックスプレーヤー以外は、すべてクワイアの陰の
後ろに隠れて、適切な撮影アングルが得られない状況だったのだ。
お客さんが入っていない状況なら、それでも、撮れそうなアングル
を探すことができる、しかし、前述の通り、立ち見客が出るほどの
満員御礼なのだ、撮影アングルを変えるために自由に動く事は
困難であり、無理にそうしても、今度は後ろで見ているお客様の
邪魔になってしまう。(これはさすがにまずい)
そして、ライブ撮影の記事では毎回のように書いているが、
撮影の難易度そのものが高い事があげられる。
高難易度の理由は機材面(設定面)と、技術面と2つある。
まず機材だが、今回は2台の一眼レフと1台のミラーレス機に
各々焦点距離の異なる大口径単焦点レンズを装着している。
具体的には、一眼がSONY α65+Sonnar135mm/f1.8ZA と
PENTAX K-5+FA77mm/f1.8 Limited
ミラーレス機が、SONY NEX-7+E16mm/f2.8
というセットだ。
いずれもシャッター音が小さいカメラで、ISO16000ないし
ISO51200といった高感度が使える。
高感度と大口径レンズの組み合わせにより、暗所であるステージ
撮影でも、十分なシャッター速度が得られるというシステム構成だ。
勿論このままのシステムではなくても良いが、同等なスペックの
機材を準備していくと、全体ではかなり高価な構成となるので、
ビギナーカメラマンでは、ライブ撮影に特化したようなシステム
は、なかなか確保しずらいと思う。
そして、ライブでは動きのある被写体の場合もあるので、最低でも
シャッター速度は1/250秒以上はキープしなくてはならない。
デジタル初期の時代は、あまり高感度のデジタルカメラが無く、
せいぜいISO1600か3200程度であったので、なかなかその
シャッター速度の条件を作り出すのは大変だったが、今時であれば
超高ISO機も、ごく普通に存在している為、だいぶ楽になった。
ただし、上記SONYの2機種は、AUTO ISO設定では、1600までしか
上がらないので、手動ISO設定が必須だ。
上記一眼の2台には手ブレ補正が内蔵されているが、例えば
望遠のZA135mm/f1.8では、APS-C機での換算画角が約200mmと
なる為、一般的な手ブレ限界シャッター速度は1/200秒となる。
だが、前述の通り、1/250秒以上で撮らないと被写体ブレを
起こす場合がある。これは、手ブレ限界シャッター速度より
高いので、手ブレを起こす前に被写体ブレが起こる。
つまり、内蔵手ブレ補正機能は、ONでもOFFでもどちらでも良い
という事になる。
長時間撮影でバッテリーが心配なケースでは、手ブレ補正は
OFFにしておくのも良いだろう。
なお、ドラムスのスティックの軌跡、オルガンのグリッサンド
奏法、ギターのカッティングストローク、ヘッドバンギング
(頭を揺らす動作)や踊り等を動感を狙って撮影する場合は、
シャッター速度は数十分の1秒まで落とす必要があり、
その場合は、レンズの焦点距離が中望遠以上であるならば、
手ブレ補正機能をONした方が安全であろう。
それと、ステージ照明の色味や明るさは、刻々と変わる。
ホワイトバランスの設定はAUTOで十分だが、照明色や輝度に
よっては、ある瞬間では適切では無い画となる場合も出てくる。
この問題の対処には、断続的に数枚づつ連写することで、色味や
輝度が適正なカットを選ぶしかない。なお、シャッター半押しから
時間をかけて撮ると、照明が変化して露出が変わってしまうので、
毎回ほぼ瞬時にシャッターを切る必要がある。
(つまり迷っている暇は無い。この為、ズームレンズは使用しない、
なお、ズームでは、いずれにしても開放f値が厳しい。
単焦点での画角の調整が撮影ポジションの制約等で難しい場合、
トリミング編集で対処するのが良いであろう)
加えて、今回のステージでは、総勢14人という大所帯だ、
照明はステージ全体に均一という訳ではない、中央に居る
プレーヤーには比較的十分な光量が当たっているが、
端に位置するプレーヤーは光量不足や色味の不安定さが出る、
それと、クワイア隊はソロのパートを歌う際、ステージの前に
出てくるのだが、人数が多いので、前に出ると照明の当たらない
位置にまで出てしまう。
それから、画面全体の照明は均一で無く、スポットライトなので
写真の画面内で、人物などの明るい被写体の面積が小さいと
露出計は画面周囲の暗部の明るさを拾って、平均輝度を上げよう
とするので結果的に人物に露出オーバーや白とびが起こる。
だから、一般的には、レンズの焦点距離が広角になるほど、
マイナス補正をかけなければならない。
まあでも、このあたり全般の問題点はやむを得ない、写真を撮る
都合でステージ照明が配置されている訳では無いのだ。
シャッター音が小さいという件だが、これはステージの種類に
よっては重要だ。特にクラッシック演奏やトークの多いステージ
あるいは演劇などでは、シャッター音の大きいカメラはNGだ。
それから、メンバーはできるだけ1人づつ単独で撮っておくのが
良い。アマチュアやインディーズの場合は、バンド(ユニット)
のメンバーは固定的では無い事が殆どだ。
その際、次の公演のポスターなどを作る際も、個人個人での写真が
あった方が便利なのだ。
まあ、複数メンバーや全体の写真も、ライブの実際の模様という
記録としての意味からは必要だ。
ということで、ライブ撮影は、あれやこれや難しいのだが、
とりあえず参考まで。
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さて、「Funky Drops」のバンドメンバーの使用楽器について
ちょっと説明しておこう。
まずギターだが、一般的なストラトキャスター・タイプだ、
フロントピックアップをやや下げた音質調整が施してある模様だ、
ハーフトーンを使用した際に調度良い感じになるのであろう。
トレモロアームは装着したままだが、「チューニングが不安定に
なる事は無い」とのこと。
そして、使用エフェクターの種類は非常に多い(以下写真)
これらを概ね3系統に分割していて、リード系、バッキング系、
空間・遅延系で切り替えて使う模様だ。
マルチエフェクターを使用しない理由は「デジタルでは音が薄い」
という事なのだが、まあ、その拘りは、わからない話でもない。
デジタル・マルチエフェクターは、DSP内で同時に使える
アルゴリズムの容量が限られている為、多数のエフェクトを
同時使用する際には演算容量が限られ、あまり凝った音声処理を
行う事は難しい。よって個々のエフェクターとしての品質的には、
専用機(これはアナログでもデジタルでも)には一歩譲る。
ベースは、3本のベースを用いている。
1本は、各弦をユニゾンで張った「8弦ベース」
もう1本は「5弦ベース」、もう1本は「フレットレスベース」
となっている模様だ、こちらも、かなり拘りがある模様で
曲によりベースを持ち替えて使っている。
今回ステージ直前にワイヤレスの電池を交換していて、私は
「ステージの間、持ちますか?」と聞くと、
「まあ、大丈夫だろう」との答えであった。
しかし、何故か途中で電池が切れてしまった模様で、結局
ステージを数分間中断して、電池交換を行っていた。
ワイヤレス化しているのは、例えば上写真のようなパフォーマンス
を行う為でもある。
ドラムスは、ライブハウス備え付けであるが、シンバルとキック
は自前のものを持ち込んでいる。
ドラマーの中には、スネアまでも持ち運ぶ人もいる模様だが、
「さすがに、そこまでは大変」とのプレーヤー氏の話。
サックスは、キーの違う2本(B♭とE♭か?)を持ってきていて
曲ノキーに合わせて選んでいる模様だ。
「キーが違っても、運指は同じですよ」
とプレーヤー氏はおっしゃっていたが、まあ、そうは言うけど、
勿論音程は異なる、持ち替えた時に混乱しないのだろうか・・?
電子ピアノは、ヤマハのやや古いCPだが、ステージ・モデルで
あるのに、なんと重さが18kgもあるそうだ。
移動はタクシーに頼らざるを得ず、かなり大変そうだ。
タッチを重視した、ハンマー方式あるいはウェイト付き鍵盤と
なっているのも、重量がかさむ理由なのであろう。
ちなみに、ステージシンセの中では、軽いものでは5kgくらい
の製品がある、そこまで軽ければ理想的だが、手持ちでの
移動は10kg程度までであろう。
重量の問題は深刻で、女性の力では簡単には持ち上がらないので、
ステージ終了後はスタッフ(?)の男性がピアノを運んでいた。
それと、今回のステージの数日前に中央部の鍵盤が不調になった
模様で、なにやら、高音部のあまり使わない鍵盤と不調鍵盤を
自力で交換したとのことである(これ、結構面倒な作業だ・・)
キーボードは、「ノード・エレクトロ4D」である。
ノード社は、アナログモデリング技術で著名になった、ここ20年
程の比較的新しいデジタルキーボードメーカーなのだが、
「エレクトロ」シリーズは特に電子ピアノと電子オルガンの音色
バリエーションに特化したモデルだ。
オルガン部には「ドローバー」もついているので、「手のひらの形」
で音色を決められる。(これはとても重要なスペックだ)
一般的なシンセでは物理ドローバーはなく、オルガンに特化した
専用機ならではの仕様である。
ちなみに「ノードエレクトロ」は私も昔から欲しかったキーボード
なのだが、若干高価であったので、オルガン専用機Roland VK-8
(2000年代前半、ドローバー付き、過去記事で紹介)を購入した
次第であった。
なお、ノードエレクトロ4やVK-8には、ウォーターフォール鍵盤
が採用されている。同型鍵盤は、シンセ鍵盤のように平べったい
構造ではなく「滝が落ちる」と称されるように、四角い鍵盤だ。
このタイプの鍵盤の場合、オルガン特有のグリッサンド奏法を
行っても、指がひっかかる事なく、滑らかに動かせるわけだ。
こちらは、その「グリッサンド奏法」の写真である。
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「Funky Drops」に関しての総括だが、なかなかレベルが高く、
音楽性も高く、しかも個性的なメンバーが揃っているユニットだ、
という感想だ。(クワイア隊のみならず、バンドメンバーも
それぞれ楽器への拘りが強い)
で、写真を撮りながらも、ライブそのものを楽しませてもらった。
という事で、ゴスペルユニット 「Funky Drops」のライブ
紹介記事はこのあたりまでで。