ミラーレス・マニアックスの補足編、その1。
このシリーズでは、本編記事で紹介できなかったレンズや、
機材の故障・不調等の回避、悪天候等の撮影条件の変更、
あるいは機材の課題の再確認などの補足を行う予定。
まず最初のシステムは、レンズの問題点の再確認と回避だ。

カメラは、LUMIX DMC-GX7
レンズは、キルフィット (テレ)キラー 150mm/f3.5
第54回記事で本レンズを紹介した際、
「絞り開放でかつ逆光条件で、軟焦点(ソフト)レンズの
ような描写になる」という事であった。
これが弱点なのか、はたまた特徴なのか?というのが要点だ。
本レンズは50年~60年も前の古いドイツ製レンズであり、
そうした特徴は、レンズの「収差」(欠点)が原因だと思われる。
で、そのキルフィット社は「マクロキラー」という世界初の
マクロレンズを本レンズと同時期の約60年前に発売していた。
「マクロキラー」は、マニアの間ではやや有名なレンズであるが、
超レアな為、私は中古市場では一度も見た事が無い。
当然、その写りも分からないのだが、恐らくは本レンズのような
「球面収差」が強いソフトな描写のマクロレンズだと思われる。
が、そういう写りは、マクロ撮影には向いているのではなかろうか?
で、本レンズを「マクロキラーもどき」として使用してみたいと
考えたわけだ。つまり欠点を長所に変えてしまおう、という試みだ。
まずはマクロレンズ化する為に、接写リングを使ってみよう。
本レンズは、元々は恐らく「エキザクタ」マウントであったと
思われるが、中古購入時には「ニコンFマウント」となっていた。
どこかの好事家が改造した模様だ。
なので、接写リングはニコン純正のPK-11,PK-12,PK-13が
使用できる。それぞれ8mm,14mm,27.5mmの厚みの
接写リングだが自由に連結して使用できる。

とりあえず、接写リングは一番薄いPK-11(8mm)を使用している。
より厚いリングまたは組み合わせて使えば、さらなる接写が
可能となるが、元々本レンズは150mmの焦点距離であり、
μ4/3機のGX7に装着しているので、すでに300mm相当の
望遠画角だ。
この状態で、分厚い接写リングを入れると画角的や撮影距離的に
かなり使い難い状態になってしまう事がわかったので、今回は
PK-11のみを使用していく事にしよう。
なお、接写リングの仕組みだが、単なる筒(チューブ)である、
レンズを前方に繰り出す事で焦点位置を変え、かつ見かけの
焦点距離を伸ばす事で、被写体を大きく写す事を可能とする
比較的安価なアクセサリーだ。
接写リングそのものでは無いが、同様の原理を利用したもので
・マクロテレプラスMC7(第18回、第30回、第46回、第61回記事)
・ヘリコイドアダプター(第26回、第62回記事等)
・CSマウントアダプター(第62回記事)
また、写真は無いが、バックフォーカス機構を持つ銀塩一眼の
CONTAX AXの話(第49回記事)を紹介済みだ。
この接写リング系のシステムを用いた場合、一部では無限遠撮影が
できなくなってしまう。また、厚い接写リングを用いると、
どんどんと遠距離撮影の限界が短くなってしまうので、今回、
最も薄い控えめな接写リングを使っているのは、中距離までも
被写体としたかった理由もある。
ちなみに、同じ接写用途でも、リバースリング(第67回記事)は
原理が接写リングとは全く異なっている。
それと、デジタルテレコン・デジタルズームも、原理は異なるが
接写・拡大という意味では類似の機能であろう。
今回は、それらのデジタル拡大機能を搭載しているDMC-GX7
なので、実のところ、あまり、接写リングの必要性は無い。
接写リングは、やはり、無限遠撮影が出来なくなる事が問題だ。
(なお、接写リングの着け外しは困難では無いが、撮影中には
結構面倒だ)
さて、接写は自由自在となった、ただし300mm相当の望遠画角
になっているので、近接撮影時の手ブレには注意する必要がある、
DMC-GX7の内蔵手ブレ補正機能は、もう見かけの画角が、
なんだか良くわからないのでOFFにしている、どうせデジタルズーム
等を使ってしまったら、それだけでも画角が変わるので、焦点距離
設定を一々変更しないとならないので実用的では無い。
日中なので、必要に応じてISO感度を手動で高めるだけでブレ対策
は十分であろう。
そして「マクロキラーもどき」とする上では、できるだけ開放
近くで撮影して、あえて収差を出してソフトな描写を得なければ
ならない。その為、ND2(減光1/2)のフィルターを装着し、
開放f値を本来のf3.5から、f4.5相当に減らしている。
これで最低ISO感度125、最高シャッター速度1/8000秒の
DMC-GX7であれば、日中でも絞り開放が使えるであろう。
加えて、フレアの影響を減らす為、珍しくフードを装着している
本レンズの逆光耐性があまり強く無い事は、以前の紹介記事の
際にもわかっていたのだ。

撮影条件を揃えると、やはり収差によるソフト効果がかなり出る。
なお、収差が発生すると、コントラスト検出の「ピーキング機能」
は、ほとんど効かなくなってしまう。
まあ、この事は、各種ソフト(軟焦点)レンズの紹介記事
(VK70R=第5回、KENKO 85mmSOFT=第19回、
α100mmSOFT=第38回)でも、確認済みであり、
どのカメラのピーキングでも無理だ。
ピーキングを効かせる為には、まず絞り込んで「球面収差」を
消さなければならない、勿論そうするとソフト効果も失われるので、
ピントだけ合わせたら、再度絞りを開放近くまで開けて、必要な
ソフト量(球面収差の量)を設定する必要がある。
なお、絞り込むと収差が消えて「普通のレンズ」となってしまう
のだが、その際の本レンズの描写力は決して捨てたものではなく
60年近くも前のオールドレンズである事を忘れてしまう程だ。

この軟焦点効果は結構面白いのであるが、EVFでは、その効果が
確認しずらいのが弱点だ。
DMC-GX7のEVFは、現状のミラーレス機最高クラスの
276万ドットではあるが、それでも無理だ。
なので、適切な効果を得る為には、レンズの絞り値を少しづつ
変更しながらの撮影となる、撮影枚数がかさみ時間もかかるが
やむを得ない。なお、本レンズの絞りは、クリックの無い連続
可変方式なので、ある意味使いやすい。
ただし、時間がかかるため、動き回る昆虫などを撮る場合は、もう
まぐれ当たり方式で撮るしかない。ちなみに、焦ってシャッターを
半押しにしたまま絞りを変えると、半押しAEロックがかかっている
設定の場合は、露出値が変わってしまうので要注意だ。
急いでいても、シャッターボタンから毎回指を離してから絞り値を
変える必要がある。
加えて、焦点移動が発生している可能性もある為、絞りを変えた
際にピント位置の確認や微調整も行うと良い。

キルフィット(テレ)キラー 150mm/f3.5による
「マクロキラーもどき」撮影は、かなり楽しかった。
望遠マクロという、狙いどころがはっきりした撮影であるという
のもあるのだが、なにせ、そもそも「収差の適正な量を狙う」
というコンセプトが、従来の通常の写真常識や撮影技術とは
かけ離れた状況にあるので、それがなかなか新鮮で面白いのだ。
本レンズの中古購入価格は、およそ3000円とジャンク同然の相場で
あったのだが、現代においての入手性は極めて低いと思われるので、
残念ながら、なかなか同じような遊び方は出来ないであろう・・
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さて、次のシステムは、撮影条件(天候)の変更だ。

カメラは、FUJI X-E1
レンズは、中一光学 CREATOR 85mm/f2
2014年発売の新しい中国製MF中望遠レンズ、各種一眼レフ用
マウントで発売されているが、新品定価は2万円強と安価だ。
第62回記事で本レンズを紹介した際は、雨天で低コントラストの
被写体ばかり、よってレンズの性能は発揮しずらく、逆光耐性の
チェックもできない、また光線状況から絞り値の自由度も少なく、
ボケ質破綻が出るレンズなのだが、その回避に苦労した。
今回は撮影条件を変え、晴天の日に持ち出してみよう。

ボケ質に問題のあるレンズなので、破綻回避の為、晴天時に
絞りをフルレンジ(開放f2からf22まで)でコントロールするには、
ND4またはND8の減光フィルターの装着が必須となるのだが、
ちょっと間違えて、前回使用時のND2を装着したまま持ってきて
しまった。まあでも、被写体を上手く選べばシャッター速度
オーバーになる事は少ないであろう。加えて、絞り値変更による
ボケ質破綻回避も、絞り込む方向だけでも良いとも思う。
ちなみに、本レンズには、f16の目盛りだけ無い。
普通、ほぼ全てのレンズは、絞り値は、1段(√2倍)刻みと
なっている、その間の中間絞りが使えるか否かは別として、
目盛りは、2,2.8,4,5.6,8,11,16,22 という感じだ。
本レンズの絞り値16は無く、11の次がいきなり22になっている。
(その理由は不明)

前回紹介時は、同じAPS-C機のNEX-7に本レンズを装着して使った。
優秀なピーキング機能と拡大操作系を持つNEX-7なので、その際は
MFでのピント合わせの問題は皆無であったが・・
今回のX-^E1は、精度が低く半押しで停止するピーキング機能、
劣悪な拡大操作系、および撮影後のレビュー再生の機能障害、
(まるでプログレッシブJPEGで低い空間周波数しか再生されない
ように解像度が低い、これは故障ではなく他にPENTAX K-01や
PENTAX Q7も同様の問題を抱えているので、恐らくは同一の
再生系部品の欠陥と推測している)メニュー位置が記憶されない等
の操作系全般に様々な問題点があり、MFピント合わせは壊滅的だ。
(なお、勿論ファームウェアは最新のバージョンとしているし、
カメラの各機能は全て把握しているので使う側の問題では無い)
また、NEX-7では、レンズ特性の問題などで撮影に飽きてくれば
デジタルズームなりエフェクトなりで遊ぶ事もできるが、X-E1では
それらの機能も無く、面白みが無い。
だが、X-E1はローパスレスかつ優秀な絵作りが長所であるので、
吐き出す画(え)を見ると、レンズの性能以上に描写力が高く
感じるという長所を持つ。

という事で、晴天の状況で発色の良いX-E1を使うと、本レンズも
なかなか捨てたものでは無いように思えてくる。
前回紹介時には、雨天で逆光耐性はチェックしずらかったが
特にフレアが酷いといった事はなく、その点はあまり問題は無い。
例のボケ質破綻は出るのだが、X-E1のEVFでは、NEX-7や
GX7に比較して、ボケ質破綻の精密な判断は難しい。
だが、なんとなく「こりゃあダメだな」というのは撮影前に分かるので、
その際は、まずは絞り値を変更して試し、それでも厳しければ、
背景や撮影アングルを変更してボケ質破綻を回避する。
そこにさえ注意しておけば、全般的には悪いレンズでは無い。
ちなみに最短撮影距離は 85cmと標準的。

本レンズは、新製品でのMF中望遠レンズとしては貴重だが、
性能的には特に特徴も無く、ちょっと面白みに欠ける。
本年2016年に新品購入したが、新品価格は2万2000円程、
まだ中古市場に出回っていないのは、中国製であるから下取り
しないのかもしれない。仮に中古があって、15000円程度ならば
性能的には適正な相場であろう。
例えば、同等の価格でTAMRON 60mm/f2 Macro(第75回記事)
や、TAMRON 90mm/f2.8Macro(第31回、第63回記事)が
中古購入できる、描写力的には、正直、それらが上であろう。
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さて、次のシステムは、レンズの問題の再確認だ。

カメラは、LUMIX DMC-G1
レンズは、CANON New FD 28mm/f2
第36回記事で紹介した1980年代のMF大口径広角レンズだが、
フレアっぽく、内部のカビを疑っていた。
キヤノンNew FD時代の、大口径広角三兄弟、すなわち
NFD 24/2(第22回記事)、本レンズ、NFD 35/2(第4回記事)
はどれも良く写る印象であるが、他の2本に比べ、本レンズの描写が
なんだか良く無いのだ。銀塩時代から使っているレンズだが、
以前はもっと良く写ったと記憶している。
しばらくFD系レンズはデジタルで使えない時代が長かったので
その間にカビ等で劣化してしまったのかも知れない・・
で、そもそも 28mm/f2は、本シリーズでは鬼門の仕様のレンズ
とも言えよう。
具体的には、MFレンズでは、ミノルタ MC 28mm/f2(第24回記事)
やPENTAX M28mm/f2(第35回記事)そしてAFレンズでは、
ミノルタ AF28mm/f2(第64回記事)は、いずれも長焦点型
(つまり、28mmという短い焦点距離に比較すると、鏡筒(鏡胴)の
長さが長いという意味だ)のレンズであった。
同じ28mmレンズでもf2.8やf3.5の小口径型であれば、このような
長焦点型にはならない。大口径だからこうなるのであろうか?
加えてレンズ構成が複雑だ、いずれのf2級レンズも10枚近くの
多くのレンズが使われている。
これらの構造上の問題なのか、設計上(比較的似ている)の
問題なのか、上にあげた28mm/f2級レンズの描写力は、いずれも
好きではない。逆光耐性は低く、ボケ質は悪く、解像度も高くなく
重量も重く大きく、おまけに高価すぎる。
高くてフツーの写りならまだしも、高くてしかも写りが悪いのだから、
コスパ的には最悪であって、結局、いずれのレンズも嫌いになって
しまうのだ。
キヤノンNew FD 28mm/f2 は、レンズ構成は若干複雑だが、
他社のように長焦点型ではなく、だいぶましに思えるのだが・・

一見普通に写っているように思えるが、実は、ここまででだいぶ
苦戦している。
やはりちょっと逆光になっただけで「フレア」が大きく発生し
コントラストが低下する。
これはカビの発生したレンズの特性に極めて近い、
レンズをチェックした限り、肉眼ではカビは見えなかったのだが、
内部に潜んでいるのかも知れない。
よって、今回は中遠距離撮影はNGだ、レンズ側に問題ありで、
どうやってもフレアを回避する事ができない。
以降も、近接撮影オンリーとしていこう。
しかし、こうした際に、DMC-G1を選んだのは不適切であった、
近接撮影では、構図調整、見かけ上の撮影倍率の増加、ボケ質の
破綻の回避などの目的で、デジタルズームの併用が望ましいが、
古いDMC-G1にはその機能は搭載されていない。

まあ、こんな被写体の際、デジタルズーム搭載機であれば撮影時に
構図(画角)を簡便に2倍程度の範囲で微調整可能な訳だ。
であれば、トリミングをすれば良いのだが、本レンズは28mmの
広角レンズであり、どうしてこのレンズを選んだのか意味が
無くなってしまう(汗)
究極的には、ミラーレス機でアダプターでオールドレンズを使い、
かつデジタルズームやデジタルテレコンを併用するのであれば、
レンズの画角の自由度は極めて高くなり、結局のところ何を
使っても同じようになってしまう。
ならば、沢山のレンズを所有する必要もなくなり、個性的な特徴
(たとえそれが欠陥であっても)のあるレンズを使うとか、
描写力や表現力の高いレンズとか、つまりは(趣味撮影においては)
極論すれば、お気に入りのレンズだけ使えば良いという事になる。
実は、本シリーズ(本編)記事を始めた理由の1つもそこにあった。
銀塩あるいはデジタル一眼ならば、マウント毎に、広角から望遠
まできっちり揃えていく必要があったが、アダプターの自由度が高い
ミラーレス機においてはレンズは好きなものを好きなように使えば
良いのではなかろうか?と。
なので、一通り手持ちのレンズを全て使ってみて、そのあたりを
再評価するとともに、今後はお気に入りのレンズだけ使って
いこうかと・・

結局、本レンズNew FD28mm/f2.8は、フレア等で本来の
性能が出ていない事がわかった。
それを気にせず使うか? フレアを作画表現に使うか?
そういう使い方が無理で、それを回避しようとすると、曇天、雨天
での使用や近接撮影等、撮影環境が著しく制限される。
修理をするか、あるいは廃棄・死蔵か、雨天専用レンズにするか?
微妙な選択だが、恐らくは死蔵になるであろう・・
CANONのNew FD のf2級広角は、いずれも現在ではレアと
なっていて、使わないのは勿体無い気もするが、やむを得ない。
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さて、今回ラストのシステムは、レンズ故障の問題回避だ。

カメラは、SONY NEX-7
レンズは、ミノルタMCロッコールPG58mm/f1.2 である。
第46回記事で、本レンズを紹介した際、
レンズの「絞りネバリ」が発生していて、一度開放にしたら
二度と絞り込めなくなってしまった。これはまあ、故障である。
記事の際には、絞り開放のまま撮影したのだが、f1.2の大口径
レンズだ、NDフィルターを装着してあったとは言え、様々な
撮影上の制限が出てしまったのはやむを得ない。
「絞りネバリ」の問題で、開放でしか撮れなくなる事は良くある、
所有レンズの中でも数本がその状態となっている。
修理をするにも、レンズの購入価格より高くなってしまう事もあり
まあ、自分で出来れば良いが、あいにくその技能は持っていない。
で、これもミラーレス時代になって、その問題の回避の方法が
見つかってきている。
絞りが壊れて開放のままのレンズとしては、
第52回記事での、TAMRON 105mm/f2.5
第58回記事での、MINOLTA MC 85mm/f1.7
の場合は、3個ないし4個のアダプターを組み合わせ、
EOS(EF)アダプターに内蔵された機械的絞り羽根を動かす事で
擬似的に絞り機構を実現していた。
今回もその手法と同様に、以下の3つのアダプターを使う。
1)MINOLTA MD→EF 補正レンズ入りアダプター
2)EFマウント→μ4/3 絞り羽根内蔵アダプター
3)μ4/3→SONY Eマウント変換アダプター
これで絞りを制御できるようになるが、このアダプターシステム
では、多数の問題が発生する。

まずは上写真のような「ケラれ」
この原因は、アダプター内蔵の絞り羽根だ。
本レンズMC58mm/f1.2 は、大口径レンズであり、その後玉は
かなり大きい、この後玉のさらに後に、 アダプターの絞り羽根
がある、これは単に光束を遮っているだけのようにも思え、大きく
絞り込むと、周辺の光量低下が発生するが、特に酷く遮られる場合
いわゆる「ケラれ」と言うように画面周辺に影が出てしまう。
「ケラれ」がどれくらい出るかは、使用するレンズによって異なる、
本レンズでは極めて出やすく、光量調整や被写界深度調整の目的で
絞りを大きく絞ると、すぐにケラれを伴ってしまう。
まあ、勿論レンズには、ND4フィルターを装着しているが、
それもでやっとf2.4程度の開放f値相当だ、光量が強い日中屋外
では、最低ISO100と最高シャッター速度1/4000秒のNEX-7で
あっても、簡単にシャッター速度オーバーとなってしまう。
ND8を使えば少し緩和できるが、あいにくこの径のものは持って
いなかったか又は他のレンズにつけっぱなしで着け外しが面倒だ。
ちょうどND4が2枚あったので、2枚重ねで使おうか?とも思ったが、
今度は、もし、フィルター枠の厚みのせいでケラれるようであれば、
それも本末転倒な話だ。

次の問題点は、「ハロ」および「色収差」の発生。
この原因は、アダプター内蔵の補正レンズの収差だ。
これらは、光線の当たっている白い被写体で特に目立つ、
上写真のサギなどは典型的だ。
まあ、この写真では収差はあまり目立たないが、酷い場合だと
白い被写体の輪郭が滲み(ハロ)、同時に、青や赤の色が
見えてくる(色収差)。これらはアダプター内蔵補正レンズの
性能の低さによるのだが、光学系全体に1枚余分なレンズを追加
している事になるので、正常な光学設計どおりの性能が発揮できなく
なり、たとえ性能の良い補正レンズを使っても回避困難であろう。
でも、MD→EFアダプターで補正レンズ入りはやむを得ない、
もし補正レンズが無ければ、EFマウントとはフランジバックが合わず、
冒頭のテレキラー紹介時での「接写リング」と同様の原理により、
無限遠にピントが合わず、接写専用システムになってしまう。
なので、その際は、このような遠距離の川の中にいるサギには
ピントが合わず、撮れなくなるという事になる。
(ちなみに、補正レンズ使用で、見かけの焦点距離も伸びている)
なお、これらの「収差」は、解像力の低下とも関連する。
「色収差」でも解像感はなくなるが、さらに「球面収差」が加わると、
冒頭のテレキラーのような「軟焦点」(=ソフト)レンズ的な特性に
なり、解像感が減り、ピンボケ写真のようになってしまう。
これらの収差は、通常のレンズであれば絞り込む事である程度緩和
されるが、本システムの場合はアダプターの絞り羽根が単に光束を
遮っているだけなので、収差低減効果は一般的なレンズ内絞りの
光学系よりも効いていないようにも思える。

次の問題点は「ボケ質の極端な破綻」の発生。
この原因は、第一にアダプター内蔵の補正レンズの収差だ。
そして、第二に絞り羽根内蔵アダプターにも関係がある。
上写真では「ボケ質破綻」というよりも、いわゆる「グルグルボケ」
となっていて、気持ち悪いのだが、これは補正レンズの存在が
主たる原因であり、収差の類である。
第58回記事で、本補正レンズ入りアダプターを使った際にも同様に
この問題は発生していたのだが、その際には、できるだけ、そういう
写真は掲載しないようにしたのと、加えて、背景の絵柄や距離の
選択により、この問題が発生しにくいように回避作業をしていた。
だが、絞り値変更によるボケ質回避は極めて難しい、
レンズ内の本来の絞りではなく、アダプター側の絞りでは、
それを変更しても、ボケ質がほとんど変わらないのだ。
ちなみに、このシステムでは被写界深度の変更すらも思うように
いかず、アダプターの絞りで後玉からの光束を多少遮った所で、
被写界深度が目に見えて深くなることは無い。
(そのため、かなり絞り込むのだが、そうすると今度は、
「ケラれ」が発生する場合がある)
で、この絞り操作では、単純に光量の調整くらいの目的にしか
使えないであろう、あまり高度な調整操作は出来ないのだ・・
まあでも、絞りがコレ(代用品)だから上手く撮れないというのは、
全てが全てそういう訳でもなく、順光でハイライト
(画面内の極端な明部)の無い低コントラスト被写体で、
かつ背景パターン(絵柄)や背景距離が適正でボケ質破綻が発生
しにくい場合であれば、本システムでもまあなんとか写せる。

絞りが動いてさえいれば、本レンズの描写力は悪くないのだ。
それは銀塩時代からずっと使っているので、よくわかっている事だ。
対策だが、どうしようか迷っている。
比較的高価な(外観が悪く、程度B~Cランクでも2万円)
レンズであったので、修理に出すという選択もあるのだが、
そこまでして使うほど必須のレンズかどうか?というのも少々
微妙なところだ。
このままの状態では、アダプターの補正レンズの弱点がモロに出て
しまい、かつ、それを回避する事もまた難しい。
多分、補正レンズ無しのアダプターを買うのが最も妥当な解決案
だろうと思う、マクロ(近接撮影)専用レンズとなり、無限遠が
出なくなるがやむを得ないであろう・・
さて、補足編1はこのあたりまでで、次回、補足編2に続く・・