2016年7月24日(日)、滋賀県高島市・近江今津にて行われた
「第25回記念びわ湖高島ペーロン大会」の模様より、中編。
本大会のユニークさは、すでに前編あるいは、昨年、一昨年の
観戦記事でも詳しく書いているので割愛する。
ともかく、私自身、観戦を非常に楽しみにしていた大会である。
さて、今回の大会では42チームが参戦という、現在のドラゴン・
ペーロン界にしては中大規模大会となっている。今年は第25回
という節目の大会で、試験的にノンカテゴリー制となっている。
4艘建てレースであるので、予選は11レースが行われる、
それぞれのレースでトップのチームが1位抜けで準決勝に進出。
準決勝は4戦あり、計16チームが参加可能であるので、
残りの5チームの出場枠を目指して、敗者復活はタイム戦となる。
つまり、速かった5チームが準決勝進出だ。
なお、準決勝では、各々の1位のチームが決勝進出となる、
これはなかなか厳しいルールだ、強豪チーム同士が当たって
しまった場合、2位となったら、その瞬間に終わりだ(汗)
て、予選は波乱ぶくみであった、昨年は2カテゴリー制であったが
その下位カテゴリーの決勝進出の地元チームですらも、予選で
艇を曲げてしまい、敗者復活に廻る事になったくらいだ。
さらに、昨年の上位カテゴリー決勝進出の「松陽台」そして
「ビクトリー南浜」といった、地元常連強豪でさえも、
何故か予選で蛇行してしまい、苦戦を強いられていた。
だが、「松陽台」や「南浜」は、確実に敗者復活から上がって
くると思われるので心配は無用であろう。
ドラゴン専業チームでは昨年優勝の「池の里」が痛恨のターンミス
を犯し、敗者復活戦に廻る事になった。
ただ、「池の里」としては、これで予選のミスを帳消しにできる
チャンスである、敗者復活をぶっちぎりで抜ければ、気分良く
準決勝に進める事であろう。
ほぼ初出場の「龍人(どらんちゅ)」も舵に苦戦し、地元強豪
航空自衛隊の「SPIRITS」に大差をつけられ予選2位に甘んじていた。
予選1位抜けで無事準決勝に上がれたのは「小寺製作所」
(2014年優勝)と「からしれんこん」(今回初出場ながら、ドラゴン
超強豪の混成チームであり、優勝候補の一角)であった。
しかし「からしれんこん」も舵が安定せず、できれば敗者復活で
もう1レースやって練習をするという選択肢もあったかも知れない。
さて、ここで少し会場の模様を紹介しよう。
上写真は、乗艇(乗船)場である。 本大会は8艇の専用ペーロン
艇を4艇づつ交互に用い、10分間隔でレースが行われる、
一般的なドラゴン大会などに比べて、かなりのハイペースである。
乗艇など入れ替えを上手くやらないと、なかなかこのテンポは維持
できない。
しかし、選手達は皆、慣れたものである。
艇をバックさせて湖岸につけ、すぐさま下船する。
転覆や沈没などのアクシデントがあった際、ここで陸上待機の
「監督」がクルーのメンバー確認をするのだが、今回の大会では
転覆後に、直接岸まで泳いで戻ってくるというケースは少なく、
たいてい救助艇に回収されていたので、安否確認も容易であった
と思われる。
次に艇に乗り込むチームであるが、
上写真のように、4チーム毎に区切られた待機スペースが都合
2組あり、次の次のレースにいたるまでの間、ここで待っている。
写真手前は「ビクトリー南浜」、昨年の本大会の上位カテゴリー
「チャンピオンシップ」で3位入賞の地元強豪チームである。
匠「”ビクトリー南浜”さんは、まさにここが地元ですよね?」
南「はい、この浜の名前を”南浜”と言います」
匠「昨年3位、一昨年4位、私はそこからしか観戦していませんが、
確か以前は優勝された事もありましたよね?」
南「もうずいぶん前ですね、そろそろまた優勝したいです」
匠「南浜さんの実力でしたら、敗者復活は大丈夫でしょう、
さっきの予選で曲げてしまったのがむしろ不思議でした。
問題は準決勝で何処と当たるか、でしょうね」
南「そうですね・・ さて、どうなるか・・?」
敗者復活の模様を見ると、「ビクトリー南浜」はミスもなく
着実にレースをこなしている、タイムは3分40秒台後半くらいと
思われ、まずまずだ、準決勝には進めるであろう。
恐らくだが、この敗者復活から上がれる5チームのタイムは4分
以内迄であることが想定される。あるいは、具体的なチーム名
を上げるのであれば「南浜」「松陽台」「池の里」「龍人」、
それと、あと1つ、どこか地元で調子がよかったチームであろう。
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匠「さて、問題はターンの良否だな、そろそろ撮影ポイントを
ターンの近くに移し、準決勝以降は各チームの調子を
そこで見ていくとしようか」
このように、ターンの間であっても、艇の内側のクルーが漕ぎを
やめることなく・・
クリッピングポイントに到達したら、すぐさま直線加速に入る、
このようなコーナリング(ターン)が理想的だ。
コーナー取りのラインはいくつも考えられるが、最速で廻るのは
なかなか難しい、まあ、車やバイクであれば、たった1人で
それをコントロールすれば良いものが、高島ペーロンでは、
計18名ものクルーが息を合わせないとならない、ここでは乗船
している指揮者の立場も重要であり、刻々と変化する状況に合わせ、
適切な指示を各クルーに素早く伝えていかなければならない。
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ターン地点には幾人かのアマチュアカメラマンが居た、三脚を
設置し、望遠レンズを用いているのだが、さて、撮れているの
だろうか? 各々のカメラマンに「良い写真撮れてますか?」
と聞いて廻るのだが、どうにも苦戦している様子。
まあ、三脚は不利なんだよね、それに気がつけば良いのだが・・
さて、敗者復活での(昨年の覇者)「池の里」の様子はどうか?
手前オレンジのユニフォームが「池の里」
奥の水色のユニフォーム「北深会」とトップを争っているように
見えるのだが、「北深会」はまだターンが出来ていない段階で
ここでスピンして止まっていた状態だ。
敗者復活戦が始まる前の待機場にて・・
匠「”池の里”さん、先ほどの予選でのターンミスは何なのですか?
隣の”北深会”さんはターンが上手ですよ、昨年のフレンドシップ
で決勝進出、確か3位だったと思います。今年の大会パンフレット
の表紙にも私が撮った”北深会”さんの見事なターンの写真が
載っていますよ、ターンを教えてもらったら、いかがですか?」
池「あはは・・汗」
横で、やりとりを聞いていた「北深会」も、照れくさそうに、
北「いえいえ・・ ターンが上手なんてそんな・・
でも、今年はちょっと不調なのです・・」
「北深会」は蛇行を繰り返し、確かにちょっと不調な模様であった
まあ地元チームは、毎年メンバーが変わることも多々あると聞き
昨年の状況が維持できているとも限らない訳だ。
同様に、昨年フレンドシップの部での準優勝の地元チームも
今回は不調な模様なのだ。
「池の里」は、このレースも苦戦し、3分50秒と平凡なタイム。
まあでも、これで準決勝進出は確定的だ。
同じレースで漕いでいた地元最強の「松陽台」が3分31秒と
見事なタイムであったので、それに比べるとどうかなとは思うが、
まあでも準決勝に残りさえすれば問題は無い。問題はやはり
準決勝での組み合わせであろう、強豪同士がそこでぶつかると
どちらかは確実に負けて決勝進出を絶たれる事となる。
さて、敗者復活も終了し、地元強豪チームは、旧チャンピオンの部
では「松陽台」「ビクトリー南浜」、「SPITIRS」(予選1位抜け)
そして、昨年のフレンドシップの覇者の「中野ガンバルズ」
(予選1位抜け)は、いずれも無事に、準決勝に進出している。
また、ドラゴン専業チームの「小寺」「からしれんこん」は
予選1位抜けでこちらも準決勝進出が確定していた。
同じく専業チームの「龍人」は、敗者復活を3分51秒で漕ぎきり、
ギリギリながら、なんとかタイム順で準決勝進出。
対して、「SPIRITS」と同じ航空自衛隊の古豪「ペトちゃんず」
(上写真)は残念ながらここで敗退、かつては入賞経験もあるチーム
であったが、航空自衛隊は転勤が多い模様であり、なかなか一定の
実力値を保つのは難しそうだ。そういえば、昨年知り合った方も
転勤になったと聞く。
他地区、例えば静岡県には航空自衛隊の「遠州舸(はやぶね)会」
という強豪チームがあり、ドラゴンボートのスモール日本選手権
にも出場しているが、彼等も毎年少しづつメンバーが転勤などで
変わっている模様だ。
あと、昨年のフレンドシップの部で決勝進出となった地元強豪の
「チームWEST」や前述の「北深会」も残念ながらここで敗退。
さらには、地元強豪「松陽台」の派生チームである
「松陽台トマホープ555」(女子チーム)
「松陽台シルバータイガー」(65歳以上のシニアチーム)も
残念ながらここまでだ。いずれも、本大会の長い歴史を支えて
きた中核的なチームである、また来年の活躍を期待したい。
まあ、色々波乱はあったが、チャンピオンシップの部の常連チーム
は、ここまで生き残ってきている。
匠「こうなると、後は準決勝の組み合わせ次第という感じだな・・」
さて、大会はこれより昼休みに入る。
午後からは、準決勝の4試合、および、それらの1位抜けとなった
4チームからなる決勝戦が行われる。
敗退した「ペトちゃんず」は、例年のごとく水遊び。
まあでも、若手の男子ばかりであり、準決勝を控える「SPIRITS」は
ここでは、はしゃいではいない模様だ。
チームテントに行って話しを聞いてみる。
航「いやあ、男所帯で、がさつですみませんねえ・・」
と話をしてくれたのは、今日の大会では応援撮影メインで来られて
いる航空自衛隊の方だ。
匠「いやあ、まあ、ドラゴンボートでもそういうチームがとても
多いですので、別に普通ですよ。」
航「そうですか・・? まあ、「SPIRITS」が頑張ってくれれば
良いのですけどね」
匠「問題は何処と当たるかですね、強いところが必ず準決勝に
入ってくると思います、そこを無事勝ち抜ければ、決勝は
出たとこ勝負ですね」
航「そうですね」
カメラマンの彼は、EOSにSIGMA 120-400mm/f4.5-5.6 という
組み合わせ。まあ悪い選択では無い、私もドラゴン撮影用に以前は
欲しかったレンズであるが、少し重い(1600g程度)のが気になる
位であった。
航「500mmが欲しいんですよ、今は換算640mmで少し足りない。
あと、引き(広角)も少し足りないので、50-500mmとかが
良さそうなんですけどね」
匠「でも重いでしょう? SIGMA 150-500mmで1.7kgくらい、
SIGMA 50-500mmで2kgくらい、それより上だと最新の
SIGMA 150-600mmのスポーツタイプは3kg近くにもなります」
航「まあ練習と慣れ次第でしょう」
匠「まあそうですけどね、特定のチームだけ撮るならば、そういう
機材で良いかも知れません、けど、あっちこっちに動きまわって
沢山のチームを撮ろうとすると、できるだけ軽量の機材で
ある事が必須となりますが」
あとは安価な事も必須条件だ。今回の私の使用機材も例によって
古いボロボロのカメラが中心だ、ただ、X-S1というロングズーム
コンパクト機(換算624mm光学ズーム、さらに超解像で1200mm
相当)を試験的に持ってきている、これはまだメイン機材には
なりえないが機材の軽量化には非常に役立つと思っている。
一眼レフに超望遠レンズでは重過ぎるのだ、
会場の各所の三脚を立てて撮影しているアマチュアカメラマンの姿
も良く見かけるが、ドラゴンやペーロンといった、時間とともに刻々と
被写体の様子(レース)が変化する場合は、三脚は一定位置でしか
撮れないので撮影不能または著しく不利だ。
よって三脚は、まったく不要なアイテムとなる。
すると持ち運びや振り回しが自在な機材が必須となる、これは例えば
TAMRON 200-400mmまたは200-500mm(いずれも重量1.2kg
程度)あたりの重量がまず限界であろう。
なお、各地の大会等で望遠が足りないと言っているニコンフルサイズ
機ユーザーと話をする時には、
匠「クロップ(トリミング)モードで撮ったらどうでしょう?」
とアドバイスしているが、「画素数が少なくなるので嫌だ」という
答えも良く聞く、いったい、撮った写真を何に使うのだろうか?
今日もその話が出たので、
匠「今年の本大会のパンフレットの写真の一部は私が撮った
ものですが、高島市には僅かに400万画素で送っていますよ、
でも、あの印刷面積からすれば、それでも多いくらいです」
DPIを計算すれば、数cm角程度の写真では100万画素もあれば十分だ
そうした画素数計算法を知る事は必須の基本的知識であると思う。
また、雨、熱、潮、埃、衝撃などの過酷な撮影環境であるドラゴンや
ペーロン大会においては価格的にも高価な機材は推奨できない。
選手や観客の行きかう会場に三脚など立てていたら、通行人がドンと
ぶつかって倒れて機材はお釈迦だ。まあぶつからないまでもいずれ
故障する事は必至なので、大会会場(あるいは観光地等)にそんな
高価な機材を持ってくるのは考えものだ。
そういう高価な一眼レフで無いと良い写真が撮れないというのは、
現代ではまったく見当違いの古い常識だ。
恐らくはミラーレス機がもう少し進歩してAFがぴったり合うように
なれば、それが最善の大会撮影機材であろう、なにせデジタル
ズームなどを併用すれば、1000mmオーバー相当の撮影も
自在な訳だし、ともかく軽量で安価だ。
さて、昼休みでは、ミュージシャンの演奏や、お笑いのショーも
あり、会場を退屈させる事は無い。
そして、この昼休みの時間は、もし午前中にレースの進行が
遅れた場合等は、ここで調整する意味もあるのだろう。
しかし、毎年来るたびに思うのだが、のんびりとした良いところだ、
何故皆、こういう場所に来ないのだろうか?
まあ、結局、現代人の、何だか間違った「情報化社会」による
「一極集中化」現象もあるだろう、私としては、それは最も嫌いな
事である。
皆が同じ時期に同じ場所に行ったり、同じ飲食店に行列を作ったり、
同じゲームに夢中になっているような事に常々大きな疑問を持って
いる。まあ、そういうパッシブな情報受信者の人達には、こういう
場所で過ごすという発想すら無いとは思うが・・
情報は自らの目で、足で、耳で、舌で、努力して掴まなければ
ならない、他人の情報を鵜呑みにするのは論外だと思う。
そして、自力で得た情報は「一次発信者」にならなければ意味が無い、
他人からの情報に踊らされる「その他大勢」になってはならない訳だ。
ただ、一次発信情報のすべてが信用できるとも限らない、特に味等に
関してはその人の独自すぎる味覚が必ずしも自分の好みと一致する
訳では無い、仮に有名人だからといっても信用はできない訳だ。
または、価値のある情報であれば、誰がそう簡単に他人に教えて
しまうだろうか?本当に重要な情報は自分だけの秘密にするはずだ。
もちろん間違った情報も沢山ある、ネット上の情報の9割以上は
ガセであるという説も、ありえる話だ。
あるいは意図的に偏った情報を流して商売をするという手も昔から
勿論あったが、現代の悪い意味での情報化社会では、より簡単だ。
そうした「仕掛け」によるマーケティングやビジネスモデルは
むしろ高度な情報操作手法だと思われている風潮も大きい。
そうした中、各自が情報の真偽あるいは良否をちゃんと見分ける事が
できるようになる事が現代の情報化社会で最も大切な事だと思う。
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さて、午後は1時過ぎから準決勝開始だ、組み合わせも発表され、
いよいよ最も白熱した戦いが始まる。
さて、準決勝の最大の見所は、各レースで複数残っている
強豪チームのどちらが生き残るか?という点だ。
だが、正直言えば、このあたりは地元強豪チームが残っていたと
しても、他地区からの「ドラゴン専業チーム」がだいぶ有利だ。
接戦になったり、絶対に負けられない戦いになった場合には、
そうした修羅場の経験値の度合いがまるで違う。
彼等は、夏場は毎週のようにそうしたレースを経験しているのだ。
見所なのは、
まず準決勝第1レースでは、「小寺製作所」対「松陽台」で
あろう、それぞれ2014年の覇者、2013年の優勝チームである。
「松陽台」はこのレースから始め、今では各地のドラゴン・ペーロン
大会にも出場するので、もう「ドラゴン専業チーム」の仲間入りだ。
写真はターンの瞬間、手前「小寺」(ピンク)、奥が「松陽台」
である。わずかに「小寺」がターンで勝った模様であった。
以降、両者、極めてハイレベルな戦いが行われたが、結果は
「小寺」が3分24秒、「松陽台」が3分29秒。
「松陽台」の自己ベストが確か3分28秒程度であったと聞くので
それに迫る勢いではあったのだが、ここは「小寺」が僅かに上回った。
ちなみに「小寺」の、このタイムも自己ベスト、そして昨年の優勝
タイムに1秒差にまで迫っている。
私は優勝投票を「小寺」にしているので、ちょっとほっとした
感じではあったが、「松陽台」も知った顔が多いので、決勝に
出れない事は非常に残念だった。
第2レースは、専業チーム「からしれんこん」と、地元強豪
「ビクトリー南浜」(昨年3位)が当たる。
ここも激しい争いであり、結果は、
「からしれんこん」が3分39秒、「南浜」が3分42秒。
(上写真は、「からしれんこん」の女子選手)
「松陽台」と「南浜」の地元2強豪が準決勝で敗れた事で
ちょっと嫌な予感がしてきた、この分だと他地区からの
ドラゴン専業チームが決勝を独占してしまうのではなかろうか?
という事だ。
だが、練習量、経験、実力値から言えば、それは当然の結果だ、
地元チームとの差異はあまりに大きい。
地元で期待していたのは「松陽台」と「南浜」であったのだが、
いずれも敗退だ。これは少々まずい、地元のビギナーチームの
人達はドラゴン専業チームの凄さを知らない。変にとらえて
「どこから来たかわからないヨソモノに地元の祭りを荒らされた」
と思わなければ良いのだが・・
場合によりMC(実況)等でも、その事を伝えておいた方が
地元ビギナーチームや観客の為には良いかも知れなかった。
なにせ「からしれんこん」のメンバーは、世界大会にも出場した
事がある国内トップクラスの選手達なのだ・・
第3レースは、専業チーム「池の里」に対するは、昨年の本大会
フレンドシップの部の優勝の「中野ガンバルズ」
しかし「中野ガンバルズ」は、往路で蛇行してスピン、なんと
タイムオーバーとなってしまう(汗)「池の里」は余裕で
フィニッシュ、3分32秒と2位以下に1分もの差をつけて独走で
あった。
「池の里」は、予選、敗者復活と、タイムがふるわず、不調で
あったのだが、尻上がりに調子を上げてきていた。このあたりは
さすがにドラゴン専業チームだ、決勝に向けて、各レースで漕ぎ
ながらも、少しづつでも微調整を行っているのだと思われる。
問題は次の第4レースだ、
ドラゴン専業チームとしては不安要素の大きい「龍人(どらんちゅ)」
が出る。予選と敗復では蛇行を繰り返し、タイムも伸びなかったが
なんとかかんとか、ここ準決勝までたどりついた。
対するは地元強豪、航空自衛隊の「SPIRITS」だ。
地元の最後の砦、これを崩されてしまうと、高島市のチームは
1つも決勝に残れない事になってしまう。
さて、レースの模様を詳しくみてみよう。
序盤、スタートから「龍人」はちょっと出遅れた、「SPIRITS」が
先行する。が、スピードが乗ってきさえすれば「龍人」の直線は
なかなか速い、ターンに到達する頃には、両者はほぼ互角の
感じとなっていた。そして、他の地元ビギナーチームもさほど
遅れていない、これは「龍人」がちょっとでも曲げてしまったら
決勝進出どころか最下位にもなってしまう危機的状況だ。
ターンの状況、手前「SPIRITS」、奥に写っているのが「龍人」だ。
この時点では、ほぼ互角か「龍人」がわずかに艇の向きを変える
のが速かったか? 問題はクリッピングポイントにどちらが
先について、そこから直線に入れるか?という点だ。
ターン終了時、両者ほぼ互角、差はほとんど無い。
だが、本来は、この時点で既に勝敗は決まってしまっているのだ、
「龍人」が直線に入れば、そこからはドラゴン専業チームの
基礎体力がある、もう「SPIRITS」が追いつく術は無い。
けれども、「龍人」の操船は依然不安だ、真っ直ぐ漕げれば
まったく問題ないが、ちょっとでも曲げてしまうと簡単に数秒の
タイムロスが出る、まだ安心しては見ていられない状況だ。
陸上からは、「龍人」の応援旗が振られている。
夏のびわこの風物詩(?笑)だ、琵琶湖の青のイメージに対し
「龍人」の赤は非常に良く目立つ。
さて、応援にこたえられるのか?「龍人」が加速する・・
これで独走体制か?と思っていたが、後半、残り100mくらいの
ところで、「龍人」が突然蛇行を始める。
匠「ありゃりゃ・・・大丈夫かいな?」
ふらつきながらも、なんとか建て直し、「龍人」が無事ゴール。
タイムは 3分32秒と、まあこれまでよりはだいぶ速くなっている。
僅かに届かなかった「SPIRITS」は 3分36秒であった。
4秒差は、本ペーロン艇では、1艇身ちょっとの差でしかない、
見ている分には僅差であり、極めて接戦であったと言えよう。
実際には艇の速度が遅いペーロン艇では、1挺身あれば約3秒の
アドバンテージとなっている、だから、漕いでいる方からすれば
余裕はあったとは思うのだが、それにしても、実のところは
蛇行したりしていたので、ヒヤヒヤものであろう。
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で、ここで嫌な事に、決勝進出チームがついに「ドラゴン専業
チーム」ばかりになってしまった。地元が1つも残れなかったのだ。
前述のように、これはちょっとまずい。
他地区からの専業チームは、実力差により、勝つべくして勝って
いるのだが、地元ビギナーチームや観客にはそれが伝わっていない。
決勝はヨソモノばかりとなってしまい、伝統のある地元の楽しい
お祭りの時間を荒らされてしまったように感じるかも知れない。
まあ、今回は節目の25年記念大会なので、試験的要素としては、
ノンカテゴリーでもよかったかも知れないが、来年以降、早急に、
従来の「実力別カテゴリー制」に戻す必要があるだろう。
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さて、いよいよ次回「後編」記事では、白熱の決勝戦の模様を
伝える事にする。
他地区の各大会で、何度も当たっているドラゴンボート専業の
強豪チーム達だ、お互いの手の内はわかりきっている。
加えて、実力値もわかっている。
私の見立てでは、実力値に経験値も加味するのであれば、
4者は、ほぼ互角である。
恐らく、何かミスしたチームが負ける、これは間違いない。
厳しい世界であるが、それは確かな話であり、彼等はそういう
世界の中に身を投じてこれまで幾度も戦ってきたのだ。
いずれもチーム結成後少なくとも10年を超えるベテラン強豪
チームばかりだ、意地と意地のぶつかる決勝戦を見逃すなかれ。
次回後編に続く・・