2016年7月17日(日)に大阪・天満橋にて行われた、
「日本国際ドラゴンボート選手権大会」の模様より、最終回。
今回は、主に混合の部およびオープンの部の決勝戦の熱戦の模様
について紹介していくとしよう。
冒頭の写真は、昨年まで混合の部で3連覇中の「INO-G」(埼玉)
である。「INO-G」の4連覇はあるのだろうか・・?
ところで、今年の日本選手権観戦記事の1~4では、普段の記事の
書き方とは趣向を変えて各チームの人間模様の紹介が主であったが、
今回最終回では、いつもの形式に戻す事にする。
各チームにはそれぞれの事情、それぞれのバックグラウンド(背景)
があり、それが集まって、この日本選手権の決勝に集約されるのだ、
それはまさしく「人間ドラマ」であり、そこを記事で伝えたかった。
ただ単に「○月○日に、どこそこで△△大会が行われ、□□チームが
見事に優勝しました」という新聞の3行記事では、それは伝わらない。
だがまあ、私も色々な記者さんの事情は知っていて、紙面の都合で
やむを得ない場合もある事も承知している。
だが、メディアで伝えるのが難しいならば、いったい誰が何処で
それを伝えるのか?という事であろう・・
さて、まずは混合の部だが、準決勝の時点で既に興味深い
状況であった。具体的に組み合わせとタイムを見てみよう。
混合準決勝1組(タイム順)
1:関西龍舟シンバ 1分01秒97
2:INO-G 1分02秒00
3:東京龍舟 1分03秒22
4:東海龍舟 1分03秒96
5:TOKYO DRAGON 1分05秒10
混合準決勝2組(タイム順)
1:ビューティプレミアMIX 1分04秒16
2:琵琶湖ドラゴンボートクラブ 1分06秒46
3:関西龍舟バーバリアンズ 1分06秒88
4:SAG1(フィリピン) 1分08秒06
5:Team BANANA 1分10秒21
これはちょっと偏りが強かったかも知れない(汗)
ほとんどの強豪が1組に集まっているではないか・・
まあ、予選、敗者復活と上がってきての結果だから単なる偶然
なのだが、それにしても、第1組が、ほぼそのまま決勝戦の
組み合わせであるとも言える。ちなみに過去3年間の本大会での
「混合決勝」の組み合わせ及び順位は以下の通りであった。
2015年混合決勝
1:INO-G
2:関西龍舟シンバ
3:東京龍舟
4:東海龍舟
5:TOKYO DRAGON
2014年混合決勝
1:INO-G
2:関西龍舟シンバ
3:Torrid Storm
4:東京龍舟
5:東海龍舟
2013年混合決勝
1:INO-G
2:Torrid Storm
3:関西龍舟シンバ
4:東京龍舟
5:東海龍舟
本年2016年の混合準決勝1組の組み合わせは、
昨年2015年の混合決勝の組み合わせと全く同じである!
さらにちなみに、2013年まで3年間遡っても、決勝進出
チームに殆ど変動は無い。
これを「IT三龍舟時代」と呼んでも良いかも知れない。
(まあ、相撲で言う「柏鵬時代」「曙貴時代」のようなものだ)
だが「Torrid Storm」は活動を休止した、という噂も聞いている。
もしそうなら、その代わりに「5強」に入り込むチームは、いったい
何処になるのだろうか・・?
もし「bp-MIX」が今後も継続的に混合の部に参戦できるように
なるのならば「IB三龍舟時代」が訪れる可能性もある。
あるいはまた「関ドラ」や「東ドラ」のサブチームなのか?
(2010年の本大会では「関ドラ」が驚異の1,2フィニッシュを
達成している!)
それとも「琵琶ドラ」か「すいすい丸」になるのだろうか・・?
まあ、ベテランの「琵琶ドラ」は今回見事に決勝進出となったが、
今回が初めてという訳では無いので意外性は少ない。
なので、今一番伸び盛りの「すいすい丸」あたりが入ってくると
面白そうなのだが・・
あるいは、これは夢想だが、もし「磯風」と「ドルフィン」の
MIXチームが作られたならば、混合の部で、かなり手ごわい
相手となるのではなかろうか・・
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という事で、奇しくもアンバランスな組み合わせとなってしまった
混合の部の準決勝だが・・
まず「bp-MIX」は、速い方からタイム順で5チームを選んでも、
そこに入っているので、結局、どのような組み合わせになっても
決勝進出は確実であった。だが、混合最速のタイムを出して
いる訳でもなく、臨時編成チームでもある。今回は「様子見」
という要素も強い事であろう。
そして、最もアンラッキーだったのは「東海龍舟」であろう。
「bp-MIX」より速い1分3秒台を叩き出しながらも、順位戦により、
準決勝敗退となってしまったのだ・・(涙)
これが、第3回記事でチラリと書いた「東海」敗退がとても
印象的であった事、の真相であった。
そして、逆にラッキーであったのが「琵琶ドラ」であろう。
「琵琶ドラ」は、本来ならば決勝に残れないタイムであったのが、
組み合わせの妙により決勝進出となったのだ。
「琵琶ドラ」は、今回はそうだとは言え、かつては実力で
混合の部の決勝に進出していた。最も最近だと、それは2012年
であったので、今回は4年ぶりの決勝進出という事になる。
だが、せっかく得たチャンスだ。確か日本選手権では「琵琶ドラ」
は、シニアの部では入賞実績があるが、混合の部では入賞が
まだ無かったと思う。混戦のどさくさに紛れ(笑)ここで初入賞を
狙うのも良いかも知れない。
「東京龍舟」は、ほぼ毎年決勝に進出しながらも、最近は優勝に
恵まれていない、最も最近では、2008年の本大会まで優勝は
遡る事になる。確か同年の本ブログでも「東ドラ」の当時の女性
鼓手が優勝して涙しているシーンを捉えていたと記憶している。
(注:シニアの部では何度も優勝している)
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さて、結局、混合の部の決勝に進出したのは以下の5チームだ。
(レーン順)
1)琵琶湖ドラゴンボートクラブ
2)ビューティプレミアMIX
3)関西龍舟シンバ
4)INO-G
5)東京龍舟
私は、予選や準決勝のタイムは参考にせずに、中央の3チーム
が有利だと予想していた。この大川ではほんの僅かだが真ん中の
レーンに優位性がある。中央ポールポジションから速いチームが
先行したら、両側のチームは波の影響を喰らい易いという事もある。
ただ、先行できるのであれば両脇のレーンもさほど不利では無い。
優勝争いの修羅場をどれくらいくぐってきたか?というのも
予想のポイントになるであろう。なにせ、このレベルともなれば
ほんの僅かな心理状態が、コンマ何秒かの結果の差異に直結する。
そういう意味でも、近年に優勝争いをしている中央の3チームに
分があるかとも思っていた訳だ。
Are You Ready? Attention GO!
レース直前の緊張の一瞬で、会場が静まり返るこの瞬間が、
ドラゴンの醍醐味であるが、今日の大会では、その号令の間隔が
極めて短い。と言うのも、水流が安定しない本会場においては、
Attention から少し間延びしてGOを掛けると、その間に艇が
動いて公平さが失われる恐れもあるからであろう。
ただ、選手としては気持ちの準備が整い難い号令間隔でもある、
しかし、それで慌ててしまうようでは、スタートに失敗して
勝ち目は無くなる。
ドンドンドン・・ と太鼓の音が響き、ワーッという歓声に
会場が包まれる、一番好きな一瞬だ。
レースの方は・・?
匠「お~っと・・!これは意外な展開だ」
なんと、一番端5レーンの「東京龍舟」が、序盤から猛ダッシュ
で他のチームに先行する。これは想定外であった。
「端でも先行すれば有利だ」と前述した、隣4レーンは「INO-G」
これは、少なからず波の影響を受けている事であろう。
さらに中央3レーンの「シンバ」が伸びて行く。
1,2の「琵琶ドラ」「bp-MIX」は、じりじりと遅れていく。
これはもう、3,4,5の「シンバ」「INO-G」「東ドラ」の
いずれかで優勝は決まりだな、中間100m地点から先は、もう
私の撮影ポジションからでは視界に入らないが、そう確信した。
どこが勝ってもおかしくない、でも、できれば「東ドラ」に
頑張って欲しいかな、もう長らく優勝から遠ざかっているし・・・
実況を聞くと「東京龍舟」が終盤でも優位を保っている模様だ、
「シンバ」と「INO-G」は、殆ど差が無い接戦の2位争いの模様。
が、全体でも差は大きく無いと思う、せいぜい半艇身程度か・・
放「ゴーール!! 東京龍舟、勝ちました!」
放送席が「東京龍舟」の優勝を伝える。
今日の大会アナウンサーは、これまであまり見かけなかった方で
あるが、ともかく勝敗を伝えるのが速い、目が良いのであろうか、
ゴール後すぐに、確定前の順位を正確に放送してくれる。
他の地方大会等では、例えば後に番組や映像アーカイブ用に編集
する事を想定して、あえて順位を正確に放送で伝えない場合もある。
実際には大差があるのに「接戦です」といったような事もあるのだが、
まあそれはそれで、実況の目的が違うからやむを得ない。
「東京龍舟、6年ぶりの優勝」と放送されたが、実際には、2008年
からなので、8年ぶりであろう。まあでも何年ぶりかはどうでも良く、
ともかく、ここ5~6年の本大会の「混合決勝」は、いつも「混戦」
「大激戦」「どこが優勝してもおかしくない」と言われていながらも、
そして確かにトップからラスト迄、ほんの2~3秒のタイム差しか
無いものの・・何故か毎年微妙に同じような順位となっていたのだ。
そんな状況を「東ドラ」の優勝で、少しでもかきまわし、さらに
混戦度が上がった事は、観戦側からすれば、極めて面白い。
まあ、実際にレースをやっているチーム達からすれば、実力伯仲は
やりにくい状況だとは思うが、見る側からはそうでは無いのだ。
時間軸が飛ぶが、表彰式の模様だ、久しぶりの優勝とあって、
東ドラの選手達が沢山カメラやビデオを持って集まってきた。
8年前では、こういう事はあまり無かった。2008年では、まだ
デジタルカメラは、カメラ好きの人以外の一般レベルにまでは
普及していなかったのだ。勿論コンパクトも一眼も、携帯カメラ
も存在していたが、性能的に簡単に使いこなせるものでは無かった。
カメラの高感度性能などの進歩で、誰もがいつでも簡単に写真を
撮れるようになったのは、2010年代以降の話であろう。
SNSやスマホカメラの普及が、さらにそれに輪をかけている、
もう商業カメラマンの機材面や技術面での優位性は、現代においては
失われてしまっているかもしれない。例えば結婚式などでは、
知らない人が来て撮るよりも、友人達が撮った方がよほど良い表情が
撮れるくらいだ。そこで差を見せるならば、誰もが簡単には撮れない
一瞬を撮るとか、その経験やノウハウを生かすしか差別化が出来ない。
そうでなければ、スタジオなどの一定かつ特殊な環境に特化して
ノウハウを生かすとか、あるいは、ある特定の撮影分野において、
その内容に極めて詳しくなるとかだ・・
もう風景とか珍しい事象とか、そういう被写体では、その場に居さえ
すれば誰が撮っても同じような写真になり、専門としての優位性が
保たれない時代になってきてしまっている。
さて、混合の部の結果だが
優勝:東京龍舟
準優勝:INO-G
3位:関西龍舟シンバ
となった、
なお、この後に行われた「国際チャレンジカップ」(国際決勝)
では、「琵琶ドラ」の代わりにフィリピンの「SAG1」を
加えて行われたが、奇しくもまったく同じ順位となっている。
タイムも落ちてきていたし、ちょっと「燃え尽きた」感もあった
かもしれない。ただ、こういう試みは「国際交流」という事で
政治的には意味のある事である(例:助成金が期待できる等)
ドラゴンボート大会の実現や維持は、多額の費用がかかる為に、
そう簡単なものではないのだ、純粋にただスポーツとしてやれる
訳でも無いので、主要なチーム等には、そのあたりの事も
少しづつ考えていってもらいたいと思っている(例えば将来的に
プロ化する為にはどうしたら良いか?等)
さて、混合の部以外のカテゴリーだが。
女子の部は「Super Dolphin」の優勝。
連覇数は忘れた(汗)もう毎度の事なので驚かないのであるが、
それでも10年以上前、天神大会の時代にまで遡れば「河童」の
優勝という年もあったのだ。(河童は今回2位)
今回、女子やシニアの部は出場チーム数が少なく、やや盛り上がり
に欠けた。チーム数が少ないと、ルールも2回戦制にせざるを得ず、
物足りなさも出てくるので、悪循環となってしまう。
現代では「選手権」と名前が付く大会以外では、カテゴリーの再編も
進んでいて、たとえば他大会では「女子」や「シニア」の部を廃する
場合も多い。年齢や性別ではなく、実力別のカテゴリー分けに変えて
いくのが将来的な流れだとは思うが、長く続けていかないとチームの
実力値を客観的に評価することは難しい。
例えば「相生ペーロン競漕」は百年からの伝統を持っているが、
近年ではずっと「リーグ制」となっている、これは1部、2部等の
リーグに限られたチーム数が参戦し、大会の成績いかんで、
翌年は、昇格したり降格したりするのだ。いつも参加チームがほぼ
同じで、長く続けていけるのであれば、最も公正な方法であろう。
ただ、いきなりポッと出てきたチームが、そのリーグに入れるという
訳でもなく、公平さ、あるいは門戸を広げるという事に関しては
やや難ありかも知れない。
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シニアの部だが、こちらも「東京龍舟マスターズ」が制している。
準優勝は「ALL BEERs(坊勢)」
古豪「坊勢酔龍会」は、ここのところ頑張っている模様で
後で紹介するが、オープンの部でも好成績をあげている。
シニア3位は「BO粋」である、聞きなれない名前だが、東京の
ベテラン強豪「Bon Oyage」の派生チームである。
今回の記事では「Bon Oyage」については、あまり紹介が出来
なかったのが心苦しいが、まあ、オープンの部で準決勝進出なるも
微妙に振るわなかったという感じだ、実力のあるチームなので
次回、もうひと暴れ(笑)を期待したい。
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さて、続くは「オープンの部」の決勝の模様だ。
ちょっと緊張感ただよう「磯風漕友会」のレース前ミーティング
の模様。
というのも、今日の「磯風」は、予選1位抜けながらも、
タイムは伸びず、54秒台となっていたのだ。
これは、今回のオープンの部の三つ巴が予想される「bp」と
「比海軍」の中では、最も悪いタイムとなる。
気になったので、予選後から、ちょくちょくと「磯風」の様子を
うかがいにいった、選手達から聞くところによると・・
磯「実は、今年20人艇に乗ったのは今日が初めてなんですよ」
匠「う~ん、つまり、開催が7月に変更になった相生ペーロンに
集中していたという事ですか?
まあ、確かに、堺泉北はポイント制大会ではなくなったし
東京大会も出ていなかったみたいでしたね」
磯「そうです、という訳で水槽練習ばかりでした。
まあ、相生ペーロンは無事優勝しましたが・・」
匠「予選のタイムをどう見ますか?」
磯「まあ、準決勝次第でしょう、カンを取り戻せたら大丈夫、
ただ、もし準決勝でも、その調子ならば、その時はヤバいです」
準決勝での「磯風」のタイムは59秒台、ただ、この時は向かい風
と潮流で、だいぶコースコンディションが悪化していた、これでも
2位以下のチームに6秒以上の差をつけたぶっちぎりであった。
別レースで行われたライバルチームは「bp」が、ほぼ同等の
59秒台、「比海軍」は1分ちょうどくらいであった。
3者、ほぼ同等のタイムになってきたという事だ。
これで(国際)決勝戦では、完全な三つ巴戦となるであろう・・
「磯風」への心配は無用な様子だ。
こちらは、その「フィイピン・ネイビー」だ。
昨年の「アーミー」よりは、御しやすそうだが、依然強豪である
事には代わり無い、まあ、今年の決勝戦のレギュレーションでは
海外チームは参加せず、国内チームだけでの戦いとなるので
「磯風」か「bp」のいずれかが優勝するのは確定と言っても
良いのであるが、その後につづく「国際決勝」での三つ巴戦は
戦績にあまり関係ない一種の「エキシビジョン戦」とは言え、
非常に楽しみである。
結局、オープンの部「国内決勝」の参戦チームは以下の通り
(レーン順)
1)YOUNG GREEN
2)磯風漕友会
3)bp
4)坊勢酔龍会
5)うみひ(海猿火組)
この決勝で、「磯風」と「bp」以外のどのチームが残れるか?
という点は、本大会の隠れた注目ポイントであった。
2強以外のチームの実力値はほぼ同等、
準決勝では他には「池の里」や「IHI相生」,「Bon Oyage」
というベテラン強豪が居たし、加えて超ベテラン「好きやねん大阪」
も大健闘で残っていた。
どこが決勝に残っても意外な話ではなく、もうここからは運あるいは
メンタル面での勝負となるであろう。
そこからわずかに抜け出したのは、近年大きなチーム再編成を
行った「うみひ」(静岡)であった、過去、本大会の決勝に進出し、
2位および3位という実績を持つ強豪チームである、
当時の「海猿火組」と現在ではメンバーが違うとは言え、決勝の
経験値は他チームより有利であろう。
「坊勢」(瀬戸内海・家島)は、かつての天神大会時代での古豪。
前述のように、現在のメンバー構成は、ここのところ調子が良い、
ここ数年を見ていても「磯風」や「bp」の活躍の影に隠れて
目立たないが、「いつのまにか入賞している」という
ダークホース的な存在であろう。
「YOUNG GREEN」(相生)は、国内決勝に「比海軍」が出られ
なかった事での繰り上げ当選、ややラッキーではあるが、こちらも
実は昨年も決勝進出していて、2年連続決勝進出は輝かしい実績だ。
さて、この中から飛び出すのはどのチームであろう?
「磯風」「bp」の優勝争いの他の、隠れた見所である。
さあ、緊張のスタートの一瞬。
実は、このあたりの写真は、国内決勝、国際決勝と2レース
続けて行われた事を撮影面において利用して、違うレースで
異なるアングルからチームの様子を抑えている。
まあ、TV局のように、1カメ、2カメなど複数のカメラを同時に
廻して「スイッチャー」で切り替えれるような事ができれば良いので
あるが、さすがにそれは無理なので、カメラを持って走り回るという
人力戦法だ(汗)
レースは、さすがに「磯風」と「bp」が速い、けど、両者ほぼ同等だ、
おそらく最後の最後まで勝敗はわからないであろう、コンマ差の
勝敗となる事が確実だ。
撮影ポジションはあえてゴール地点を選んでいない、きっとそこは
協会スタッフの他の誰かが抑えてくれるだろうし、観戦者も集まり
混雑すること必至だからだ、それに、他の3チームとは大差が
つくことも明白なので、2チームだけ撮れても面白くない、
過去の大会で、その両雄激突の写真は何度も撮影しているのだ。
さて、注目は3位争いだな・・
こちらは「うみひ」(海猿火組)だ、
もし新人メンバーの多い「うみひ」が、いきなりの日本選手権3位
という事になれば、それは快挙ではあるが、あまり好ましいもの
でもない。つまり、初めて大会に出て、それでいきなり日本3位
とかになれば、天狗になったり、ドラゴンを甘く見てしまうような
新人選手も出てくるかも知れない、ドラゴンはそんなに簡単なもの
ではなく、この晴舞台に上がる為に各チームは何年も血の滲む
ような努力を続けてきているのだ。
まあ「鬼教官」(笑)のチームリーダーI氏も、そういう感じで
本決勝戦を捉えていた事であろう、彼とそこまで詳しい話は
していないが、だいたいその気持ちはわかる。チームの将来
等を考えると4位あたりに留めておくのが落とし所だと思う。
そして現実にそういう事になりそうだ、「坊勢酔龍会」が
「うみひ」と並走しながらも、ジワリと僅かに前に出る(結果3位)
「YOUNG GREEN」は、少し出遅れた(結果5位)
このあたりからアングル的にもう写真は撮れない、後は実況を
聞くだけだ。
ウワーッと、会場全体が熱気と歓声に包まれる、ゴール前、
「磯風」と「bp」が熾烈なトップ争いを演じている模様だ。
だが、歓声や実況の感じからすると「bp」の方が速い模様だ。
それはそうであろう「磯風」が勝つのであれば、それはもう、ここ
何年も、誰もが、ずっと見続けてきた当たり前のシーンなのだ。
「世代交代はあるか?」と言っている選手達も多かった、
しかし、そう単純なものでも無いであろう、今日の「磯風」は
前述のように、ベストなコンディションでは無い。
対して「bp」は、昨年、一瞬垣間見えた「磯風」の上に立つ夢が、
決勝でのほんのわずかなミスで潰えてしまった事をずっと後悔
していた模様であった。
そこから「レート120」といった肉体の限界を追い続けるような
過酷なトレーニングを行っていたのだ。
アスリートの精神面の安定は、数多くの練習からでしか得られない
とも良く言われている。つまり、それだけの努力をしてきた実績、
経験、そして自信、そういうものが、「絶対大丈夫だ」という
平常心を生むのであろう。そうやって、メンタル面は、時に肉体面の
絶対的な能力をも上回る結果を産み出す事もある訳だ。
どちらが勝つか? 結局、最後に効いてくるのは、勝利への執着心
であろうか・・・
放「ゴ~~ル!!」
こちらは、表彰式の模様。
匠「おや、いったいどうしたのですか? bpの重鎮の、お3方が
揃い踏みとは・・」
b「いやあ、日本選手権初優勝ですからね!一応幹部が揃わないと」
匠「(汗)そんなに気合をいれなくても・・」
こちらは「磯風」の表彰式、準優勝というのは彼等には勿論納得が
行かない成績であっただろう、ただ、「国内決勝」の後に行われた
「国際決勝」では、「磯風」もむしろ全力で勝負をかけてきた
ように思えた、その結果は完全に同着に見えたのだが、ビデオ
判定によると「bp」が、コンマ差で勝利していた。
「磯風」も、これでまた本気になる事であろう。
ただ、磯風のK監督は、2年前に「早くbpに追いついて欲しい」
という事も、おっしゃっていた。
「横綱には横綱の悩みがあるのだなあ・・・」と私はその話を
聞いて思っていた。まあそうだろう、孤高のトップを10年以上も
維持していくのは極めて難しい。肉体面だけではなくて特に
メンタル面が厳しいのだ、モチベーションを保つために、
「磯風」はあらゆる事をやってきた、その結果、他チームから
見れば、ちょっととっつきにくいような点もあったかもしれない、
でも、馴れ合いになる訳にもいかなかったのだ、ドラゴンと
言えども純粋なスポーツの世界であり、そこには必ず勝ち負け
がついてくるからだ。
ある意味、これで「磯風」の「呪縛」は解けたことであろう、
「追う立場」の方が圧倒的に有利なのは言うまでもない。
本大会の初優勝に喜ぶ「bp」
しかし、ここからが難しい、「世界」の壁はまだ厚く遠いし、
ならば、いったいここから「bp」は何を目指していくのか?
そこが今後の最大の注目点であると思う。
恒例の「大阪締め」で、これにて本年の日本選手権大会は
無事終了。
記憶に残る大会であった事は間違いない、こうやって記録に
残しておくことで、またいずれ見返し参考になる事もあるだろう・・