2016年5月8日(日)に、京都府宇治市、宇治川塔の島付近で
行われた、ドラゴンボート大会、第4回宇治川・源平・龍舟祭
の模様より、後編。
中編では、オープンの部の1回戦の模様を紹介した。
そして2回戦は順調に進んでいる、なにせ今日は参加チーム
数が50と多く、2艘建てマッチレースの為、予選だけでも
50レース、市内の部とオープンの部で、各々準決勝2レースと
決勝戦が1本づつあるから、合計56レースとなり。
速やかに進行しても、レース終了は午後6時となる予定だ。
冒頭の写真は「スピリッツ・クラブ」滋賀県のベテランチームで
女性中心だ、いくつかの大会で入賞実績もある。
ただ今回のオープンは、女子のカテゴリー分けが無いため、
男子強豪チームに混じって戦うのはやや不利かも知れない。
同様に、こちらは、女子強豪チームの「河童」である。
「河童」は本大会では、ダブルエントリーで、こちらは
新人育成の「河童太郎」という方のチーム、まあ、ベテラン勢と
比較して確かに、パドルの揃い方などはまだバラバラな状態だ。
なお、ベテランの方の「河童」は、「河童華子」という名前で
エントリーしている。
「河童華子」は予選で、なかなか調子が良さそうに漕いでいたのが、
一度大きく蛇行してしまってタイムを落とした。
聞くところによると、なんでも舵取りの女子選手は、5~6年前に
一度結婚引退していたのが、本大会で復帰した模様だ。
元々その頃は強豪の時代であった「河童」だ、男子ばかりの
オープンの部に混じって3位になったこともある。
実力や技術的にはOGでもまったく問題ない。だが、ここ数年
の間にドラゴン界では大きく変わった事がある、そう、それは
10人漕ぎスモール艇、特に「チャンピオン艇」の採用だ。
スモール(チャンピオン)艇は、舵にかなりクセがある模様で、
なかなか最初から一発でコントロールする事は難しい、と舵手
の選手達から良く聞く、そう、慣れが必要なのだ。
チャンピオン社製の艇は軽量かつ高速で、そのスモール艇では
20人漕ぎ艇と変わらないタイムが出る。が、反面、若干不安定
なところもあり、舵に関しては限界点を超えると簡単に蛇行する
という話も聞く。
まあ、でも、中編で「女子選手は結婚引退があるので残念」
と書いたが、こうして復帰とかの場合もあるので、そのあたり
は大変喜ばしく、歓迎するべき事だと思う。
こちらは「香里丘高校5期生」チーム、こちらもダブルエントリー
であるが、女性中心で、例年のごとくカツラで仮装をしている。
これだけ女子中心のチームが多いと、女子カテゴリーを設ける
事も可能だったようにも思えるが、オープンの部を細分化すると
運営上にも色々支障が出てくる点もあるので、今後の検討課題
となるであろう。
そういえば、中編で紹介した「熊野水軍」も今回は仮装メインで
女性選手が多い。「熊野水軍」は強豪チームではあるが、
そうした事情でタイムはあまり伸びていない。
思い出すのは昨年の大会で、「熊野水軍」と、
「もっこりドラゴンボート部」がコラボした「くまもっこり」は、
ドラゴンボールの仮装をしてきて、選手や一般観客の目を引いた。
予選で対戦した「パイレーツ」が、その「くまもっこり」に破れ
「こんなふざけた格好をしているチームに負けるなんて!」
という名言で、周囲の笑いを誘ったものであった
その「熊野水軍」を余裕で抜いていくのは、予選最速タイムを
たたき出した「beautiful people」である、こちらはまあ
「bpジュニア」だと思ってもらえれば良いだろう。
----
ところで、今回の撮影機材は3台のカメラを使用している。
メインの望遠系カメラを今回はダブルにして、
1台は、SONY α700の(APS-C)一眼に、TAMRON
200-400mm/f5.6の望遠ズーム(最大600mm相当)
もう1台は、ロングズーム機の FUJI X-S1(最大624mm相当)
会場・選手スナップ用には、RICOH GXR+S10(24-70mm相当)
できれロングズーム機X-S1の1台だけで全ての撮影をこなしたい
と思ってはいるのだが(すなわち機材軽量化の為)
しかし、X-S1は、まだ今シーズンから導入しはじめたばかりの
機材なので、信頼がおけない。まあ、雨や酷暑を何度か経験して、
それでも問題なければ、X-S1を今後のメインとしていきたいと
考えている。
カメラといえば、ドラゴンの女子選手がえらく高価なカメラを
買ったみたいだ、EOS-6D に EF24-105mm/f4 L USM
という高級機材だ。まだカメラを始めたばかりとのことで、色々と
注意点とかをアドバイスさせてもらったが、まあそれにしても
高いカメラはドラゴンの撮影では撮影環境が苛酷なので
ちょっと危険なようにも思え、見ていてヒヤヒヤものだ。
できれば、雨やら酷暑やらの厳しい環境の際は、壊れても
良い安価なカメラを持ち出すのが正解だと思う。
たとえば私が持ってきている機材は、一眼レフ、望遠ズーム、
ロングズーム機、GXRのレンズセット、いずれも中古で2万円
台で購入したもので、全部合計しても、10万円にも満たず、
安価なものばかりである。
まあ、同時に全てが故障する事も無いだろうから、万が一、
1つ壊れても、損害はせいぜい2万円という感じのリスクだ。
一般観客の中でも、例によって高価なカメラを持ってきている人が
多い、話す機会がある場合は、あまり高価なものは危険ですよと、
いつも言うようにはしているのだが、まあ、いつでも同じ人が大会を
見に来る訳でも無いので、無駄なアドバイスかも知れない。
今回ちょっと不思議に思ったのは、一般観客のカメラマンで
高級カメラにシャッターレリーズ(三脚などで撮影する際、直接
シャッターを指で押さず、有線リモコンでシャッターを切る機材)
を使っていたのだが、三脚を使わないで、左手にカメラを持って
右手でレリーズを押していた人が居た。
これは勿論ブレブレになるので、推奨できる撮影方法では
無いのだが、そもそも何故そういう撮りかたをしているのか?
が大いに不思議であった、話を聞こうとしたのだが、短時間で
居なくなってしまったので、その理由は聞けず仕舞いとなった。
ちなみに、勿論、ドラゴン撮影には三脚は全く必要ない、
もし三脚を使うならば、定点を通過する瞬間しか撮れず、
1レースに1枚しかシャッターを切れない事になってしまう。
これでは、10分に1枚、朝から晩まで粘っても56枚しか写真が
撮れない事になり、さすがにそれは現実的では無いであろう。
まあ勿論、本来ならば、シャッターを切る瞬間はレース中には、
いくらでもあるし、レースも展開によって、撮影アングルなどは
毎回異なる(というか、組み合わせによるレース展開を予想して
撮影位置とか、どんな風に撮りたいかを事前に考える必要がある)
それにドラゴンの写真はレースだけとも限らないし、選手達を
撮る事も勿論いくらでもある。
そういう意味で三脚は、ドラゴン撮影には、(というか、
花火や夜景撮影以外での、すべての撮影では)不要なので、
そうした重たい荷物を持ってくる必要は無い。
さて、2回戦もぼちぼち終盤だ、
結局のところ、ベストタイム順で言うと以下の4チームが
決勝進出となった。
1'03" beautiful people (bpジュニア)
1'04" bp
1'05 京都工場保健会「すいすい丸」家族検診
1'06" 池の里Lakers!
私が予想した、予選通過=1分5秒台、に届いたチームは
結局3チームしかなく、「池の里」は、1分6秒02で、ぎりぎり
他のチームを抑えて準決勝進出となった。
私は本大会での「池の里」は、まだ漕ぎを調整中の段階と見て
ノーマークであったのだが、ちょっと意外であった。
けどまあ、強豪チームであるから、準決勝進出は、勿論何も
不思議な事では無い。
で、問題は準決勝の組み合わせだ、各レースで、「bp」系
チームが入ってしまうと、決勝は「bp」対決になる事は
ほぼ明白であるが、もし準決勝で「bp」の同士打ちとなったら
がぜん面白くなる。
その組み合わせは抽選次第だ・・
準決勝のころから、本部席には、トロフィーが準備されていた、
これを見ると、選手では無い私にもちょっと緊張感が走る。
ちなみに大会本部には、先日の熊本地震の義援金の募金箱も
置かれていた。
多くの選手達が協力していた模様であり、ドラゴンボート協会
を通じて熊本に送られるとのことである。
ちなみに、私は熊本市に本社を置く、カメラ通販会社から
レンズを買ったのだが、その話は「ミラーレス・マニアックス」
のシリーズ記事で、また書くことにしよう。
---
さて、準決勝だが、運命のいたずらか、抽選により
「bp」対決のパターンになってしまった。
ちなみに、そうなる確率だが、「bp」から見れば、
他の3チームの中で、「bpジュニア」と当たるのは、
3分の1となる、
そう考えると、「bp」同士が当たる方が確率が少ないので、
「bp軍団」としては不運だったかも知れない。
準決勝レースの模様だが、かなりの接戦。
まあ、元々兄弟チームで同じ練習メニューをこなしている
のだから、それも当然であろう。
だが、宇治に関しては、「ジュニア」あるいは「都島」の方が若干
分がある模様で、昨年の第3回大会でも、「都島」が優勝している。
ちなみに、現在の「bp」の練習メニューは、かなり強烈な模様で
世界戦などを視野に入れて、以下のレート配分となっている。
スタート時、レート(ピッチ)=120
巡行時、レート=90、ラストスパート=100 である。
ここで数字は、1分間に漕ぐ数である、ピッチ120と言うと、
ダンス系音楽(ディスコ、ユーロビート、ハウス、テクノ等)
での、4分音符、1拍のテンポとほぼ等しい。
音楽を聴いていればわかると思うが、ダンス音楽では、
人間がそれに合わせて踊るには、1拍づつではとうてい無理で、
その半分のテンポの60で動くことになる、
これはハートビート(正常時の心拍数)なので、まあ人間が
踊るには生理的に適しているのであろう。
もしその2倍のテンポ120というと、楽器の演奏ならまだしも
体全体を動かすテンポとしては当然速すぎる、なかなかそれに
ついていくのは、人間の限界に近い状態なのだろうと思う。
そのあたりを「bp」に聞いてみると、
b「でも、海外のチーム、たとえばフィリピンなんかは、
最初から最後までガーッと漕ぎきってしまうので、
逆に何故日本のチームには”巡行”があるのか?と
不思議そうでしたよ」
との事だ、まあ確かにそうであろう、海外チームにとっては
200m戦は、息継ぎもしないような超スプリント戦なのだ。
「bp」が、今どのように練習しているのか知らないが、
3年ほど前に、神戸の練習拠点(今は、桜ノ宮に移動)を
訪れた際には、音楽に合わせてパドルを漕いでいた、
その時は、ちょっと早目のテンポのダンス音楽、恐らくは
テンポ130~140くらいの音楽だったように思うので、
(ちなみに、以前は音響関係の仕事をやっていたので
耳で聞けば音楽のテンポはだいたい正確にわかる)
その半分のレートで漕ぎを合わせていたのだろう、つまりは
ダンスの要領だ、けど、テンポ120の音楽で、4ビートの
1拍に合わせるには想像するからに容易では無い。
彼等が「限界に近い」と言っていたのもわかるように思う、
まあ今度また機会があれば、「bp」の練習の模様をちょっと
見学に行ってみたいような気もあする。
こちらは「池の里Lakers!」、結局は準決勝で「池の里」が
地元強豪「すいすい丸」を破って決勝進出となったのだ。
前述のように、私は今回「池の里」はノーマークだったのが
あれよ、あれよといううちに決勝に出ることになってちょっと
驚いた。
「池の里」のメンバーにも、予選の時から
匠「今日は池の里さんは記事にはならないですかねえ・・」
と、ちょっと失礼な事を言っていたのだが(実は、池の里は
緊張すると失敗してしまう事が多いので、わざとそういう
軽口を良く言う)その際、逆に「池の里」メンバーからは
池「そんなことはないですよ、これからドラマがあるかも
しれませんよ」
という風に返されていたのが、まさか本当にメイクドラマが
あるなど、想像もしていなかった。
こちらは準決勝での「池の里」の必死の漕ぎ、
どうやら、池の里も良く見ると、フォームとかペース配分を
昨年とは変えている模様だ、そんな話をチラリと聞いては
いたのだが、詳細は見ているだけではあまり良くわからない、
ごく微妙な範囲での改良なのであろう。
で、今回の結果が良かった模様なので、今後そのスタイルで
定着するのだろうか? まあ、いずれまた聞いてみよう。
----
だが、決勝戦では、さすがの「池の里」も、ピッチ120の
「beautiful people」 (bpジュニア)には歯が立たなかった、
約3秒、1挺身半の差をつけられて、結果2位となったのだ。
匠「ああ、やはり今年も、最初から万年2位かあ・・」
(注:「池の里」は、過去の戦績で2位が非常に多い)
とも思ったのだが、ずっと「万年2位」と言い続けながらも、
昨年は2大会で「池の里」は優勝しているので、むしろゲンが
良いキーワードなのかも知れないとも思っている。
彼等も、「その方が緊張せずに良い」と良く言っているので、
今年も「万年2位」と言って励ましてあげよう(笑)
優勝した「beautiful people」のウイニングラン、
これがレート120の漕ぎだ、夕方なので軽いスローシャッターに
なっているが、なんと、速過ぎて漕手の腕がブレで写っていない!
(これは、上手く使えば心霊写真撮影のテクニックになる・笑)
凄まじいものだなあ、と再度感心するのだが、果たしで世界で
通用するのであろうか? なにせ相手は巡行を行わないくらいの
バケモノのようなパワフルなチームばかりなのだ。
兄貴分の「bp」は結局3位、派手なアクションは、ちょっと
照れ隠しのパフォーマンスであろうか? まあできれば昨年の
ように、"ワンツーフィニッシュ"と行きたかったことであろう。
「bp」ファミリーの集合写真、
”なにもそんな狭い所に集まらなくっても”と、私のみならず、
写真を撮っていた「bp」の家族の方にも言われていた(汗)
さて、このような感じで、本年初のドラゴン大会
「第4回宇治川・源平・龍舟祭」は無事終了。
今回もなかなか見ごたえのある大会であった、やはり宇治大会は
なかなか面白い大会だと思う。
時刻は午後7時前、少し暗くなってきた会場を後にする事に
しよう。しかし、日焼けした様子だ(汗)やはり5月とは言っても
紫外線の量は多いのであろう、でも長袖で撮影していたのは
正解だったかも知れない、気温的には半袖でも十分だったが、
この時期で日焼けすると、なかなか後がつらい。
さて、今年の「熱い季節」は、まだ始まったばかりだ。
今回の「池の里」は、そこそこ「ドラマ」であったように
思えるが、まだこれ以上の「ドラマ」は今年も色々とあるだろう、
今年は、昨年や一昨年のように、16や18もの多数の大会や
ドラゴン関連イベントを撮影する事は無いとは思うが、それでも
少なくとも10以上の大会は観戦撮影をする予定をしているので、
今後の本シリーズ記事をお楽しみに・・・