安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズで遊んで
みようというコンセプトの記事、シリーズ25回目。
今回はまずこちらのシステムから。
カメラは、SONY NEX-7 高度な操作系を持つ高性能機であるが、
フルサイズのα7シリーズの人気に押され、中古価格は3万円台と、
極めてコスパが良い。
レンズは、ヤシカML 50/1.4 、1970年代後半の、京セラ
コンタックスRTSシリーズの登場以降に、ヤシコンマウント
として発売されていたMFレンズだ。
。
銀塩時代、ML系レンズは、CONTAXのRTSなどのカメラに装着
するよりは、マニアックなヤシカFRや、ヤシカFX-3スーパー
2000などに装着して使用していた。
やはり、CONTAXのカメラにはCONTAXのレンズを使いたいし、
ヤシカはヤシカで揃えたいのが人情ではある。
とは言え、このML50/1.4に関しては、購入は2010年前後と
比較的最近だ、というのも、このレンズは銀塩時代は比較的
高価であったから、値段が十分下がるのを待って購入した
次第である。
ヤシカMLの50mm標準レンズには、f1.4,f1.7,f1.9,f2が
存在するが、いずれのレンズも最短撮影距離が50cm、
そしてフィルター径も全て52mmΦとなっている。
CONTAXの(RTS)プラナー50/1.4の最短撮影距離が45cm
であることを考えると、CONTAX とヤシカという上下の2つの
ラインナップで性能を差別化しているのかもしれないし、
あるいは、M42のヤシノンDS/DX時代のレンズ仕様を引き継いで
いる結果なのかもしれない。
大口径標準であるf1.4版と、小口径の、例えば50/2との
使い分けであるが、MTFなどの性能面を気にしなければ
絞りを開けられるf1.4級は、背景ボケなどの自由度が高い為、
近距離から中距離までの範囲で使い、f2級は、背景ボケ量の
コントロール性を重視するならば、f1.4級より、むしろ1歩
踏み込んで最短撮影距離近辺で使う場合が自然と多くなる。
そして、MTFや解像度などを意識するのであれば、MFの
同時代の大口径標準と、小口径標準では、f2~f4あたりの
開けた絞り値では、小口径レンズの方が解像力に優れ、
大口径はf5.6より絞り込まないと小口径と同様の解像力を
得られないという場合が多々ある。
これは実際に解像度チャートなどを撮ってみれば、そうした
傾向が出るのは理解できると思う。
まあすなわち「大口径レンズの絞り開放近くは甘い」と
銀塩時代によく言われていた事は事実であるということだ。
けど、解像度やMTFだけが写真の全てでは無いし、
レンズの性能指標の全てでは無いのは言うまでも無い。
ボケ質、あるいは、よりややこしい話をすれば、ピント面
からアウトフォーカスする際のボケ量・ボケ質の遷移なども
写りの印象を大きく変える。
他にも色味やコントラスト、階調等の差異もあるが、デジタル
時代においては、画像処理エンジンやPCの後処理で差異が
出てしまうこれらの要素は、レンズ単独の性能だけでは
語れなくなってきている。いつも言うように、デジタル時代に
オールドレンズを使う上で、最も重視するべき点は、ボケ質
および逆光耐性であると思っている。
そして、f1.4の大口径レンズは、最低感度ISO100のデジタル
カメラにおいては、昼間ではシャッター速度が足りなくなる
場合が多々ある。1/4000秒シャッターでは、だいたい2段位
足りないので、その対策としては、以下の4通りがある。
1)f2.8~f4まで絞って使う
→せっかくのf1.4を自由に使えないというジレンマが。
2)ND4フィルターを装着する
→面倒である。大口径レンズを1本しか持っていないなら
いざしらず、沢山保有しているf1.4級以上のレンズに
いちいち異なる径のNDフィルターは装着していられないし、
室内など、ちょっと暗い場所に入っただけでNDを外したり
するのも手間だ。
3)1/8000秒以上の高速電子シャッターを使う
→これが使えるミラーレス機の機種は極めて少ないし、
現状、その機種を私は所有していない。
そして、電子シャッターでは、動体被写体や電子機器の
ディスプレイを撮影できないという問題もある。
4)暗い被写体を狙う
→これが単純かつ最も効果的だ。
すなわち、昼間の明所でシャッター速度オーバーに
なるのは、中~遠距離被写体の場合が多い、そこでf1.4
で撮る必要は無いから、そんな場合は少し絞って撮り、
暗い場所では、作画の必要上に応じて絞りを開ければ良い。
まあでも、50mm/f1.4は、全ての写真レンズの中の基本中の
基本であろう、銀塩時代は、こうした50mmレンズ1本だけで
撮るというのは、ある意味、常識であったようにも思う。
ただ、デジタル時代になって、APS-C機では画角が変わって
しまうため50mmの万能性は、だいぶ薄れてしまったのだが、
それでも私は、APS-Cデジタルの50mm、すなわち75mm~
80mm相当の画角にずいぶんと慣れてしまったので、やはり
50mmのレンズを使うと、むしろほっとする。
多分、今となっては銀塩一眼を使うと、50mmの画角が
広すぎるように感じてしまう事であろう。
ヤシカML 50/1.4 の写りは特に問題は無い、各撮影条件での
ボケ質の破綻が少ない点を重視するならば、RTSプラナー
50/1.4より、むしろ使いやすいレンズと言えるであろう。
購入価格は、2010年前後の時点で 8000円であった。
このレンズの性能からすれば、1万円台後半でも正しい相場
であるように思える。そう考えると、RTSプラナー50/1.4は
(2万円台以上と)コスパが悪いレンズである。
CONTAXのブランド力で、中古相場が不自然な高値で推移
しているのであれば、高値をつける中古市場が問題なのか?
あるいは高くても欲しがるユーザー側に問題があるのか?
という点が気になる。
ブランド名や他人の評価に捉われず、自身の中で評価基準を
持つ事が重要だと思う。
さて、次のシステム。
カメラは、ピント合わせの性能や操作系に課題を持つX-E1
大口径標準や望遠レンズではピント合わせが苦しいので、
今回は広角の極みとして魚眼レンズを装着してみよう。
この魚眼レンズ、PENTAX Fish-eye Takumar 17mm/f4
というレンズであるが、この個体は本来のM42マウントではなく、
ニコン Aiマウントへの改造品だ。
元々は、1960年代後半に発売された180度対角線魚眼レンズ
であるが、Ai改造品が中古市場に良く出回っていた。
噂によると、1970年代のニコンF2用として新聞社等で報道用
に改造品が作られた模様である。
その詳細はよくわからないが、推測では、NIKON F2の
発売時には、Aiマウントの対角線魚眼レンズが無かった事が
第一の原因ではなかろうか?1973年頃になって対角線魚眼が
発売されるまでの間に、沢山のAi改造品が作られたのかも
しれない。
さて、魚眼レンズであるが、何度かこのシリーズ記事でも
紹介しているように、銀塩35mm判フルサイズ用の対角線魚眼は
デジタルのAPS-Cあるいはフォーサーズサイズの撮像素子では、
本来の魚眼のデフォルメ効果が得られなくなってしまう。
当初、それが気に入らなかったので、デジタル時代になって
からは銀塩用魚眼を使う頻度はかなり減ったのであるが、
最近になって「魚眼効果が少しだけ出る広角レンズ」としての
使用方法が、逆に面白いと思えるようになり、このシリーズ
記事では様々な魚眼レンズを紹介している次第である。
このように僅かに歪む。
ただし、この歪みも、魚眼の記事でいつも書いているように
構図上、画面の中点を通る対角線上に直線を配置する事で
歪みの効果をさらに目立たなくさせる事ができる。
あるいは、構図内の歪む部分を人工物や水平線を避けて
空の雲などの不規則パターンにしてしまう事で、魚眼効果を
目立たなくさせることも可能である。
そうした「魚眼らしくない描写」を色々と試してみるのが
面白く、あえて小さい撮像素子のミラーレス機で、魚眼を
使っている訳だ。
このレンズであるが、最短撮影距離は20cmだ。
できれば、もう少しだけ寄れたら楽しいのであるが、さすがに
古い時代のレンズなのでしかたがない。
というか、1960年代前半の魚眼レンズは、そのほとんどが
ピント合わせの為のヘリコイド機能を持たないパンフォーカス
タイプのものであった。下手をすればヘリコイド無しどころか、
レンズ後玉が大きく飛び出していて、ミラーアップしないと
一眼レフに装着できないという魚眼レンズも多かった模様だ。
(これでは露出を合わせることも難しいし、大変だ・・)
そうした中で、このFish-eye Takumar 17mm/f4は、恐らく、
ピント合わせを可能とした最初の魚眼レンズであった模様だ。
そう考えると、2つ上の写真のように近接撮影で背景ボケを
狙った魚眼撮影などは、それ以前の魚眼では不可能な撮影技法
であっただろうから、このレンズの登場の衝撃は想像できる。
発売時の価格もさほど高くなかった模様だし、まあ、そういう
性能面からも、ニコン用改造品が多数作られたのであろう。
また、以前のシリーズ第8回記事で紹介したTAMRON 17/3.5
と同様に、レンズ内にフィルターを内蔵しているという珍しい
仕様である。
内蔵フィルターは、L39UV,Y48,O56の3種だ、L39は普通の
紫外線カットだが、後ろの2つは、モノクロフィルム用の
コントラスト強調用の、黄色、橙色フィルターである。
デジタルにおいては、特にこのミラーレス機 X-E1においては
モノクロモードの一部で、黄色や赤のフィルターを装着した
状態をシミュレートできる仕様だ。この機能が無い機種でも、
コントラストのパラメーターを上げたり、PC上でレタッチ
する事で、アナログ(物理)フィルターを用いたのと似た
ような絵作りに仕上げる事も容易だ。
なので、デジタルは基本的に、こうしたモノクロ用フィルターは
不要なのだが、TAMRON 17/3.5の記事では、あえてカラー
撮影で黄色フィルターを使ってみたりした事もある。
だけど今回はこの内蔵フィルターは使わず、普通に撮影して
みることにしよう。
近接魚眼撮影は面白い。歪み効果もよくわからなくなるような
被写体であれば、より楽しいのだが、このレンズはボケ質の
破綻も起こりやすい様子であり、絞り値、撮影距離、背景の
絵柄などを選ぶ必要があるだろう。
このレンズの購入価格は、1990年代に3万円であった。
レアもの、ということで若干相場が高かったように思う。
現在もレアである事はかわりなく、Ai改造品ではなく
純正のM42マウントのものも、中古市場での玉数は少ない。
もしあれば時価となり、プレミアム価格になっているケースも
あると思うが、レンズの性能からの価値を言えば、2万円程度
までが妥当な相場であると思われる。
(例えば、シリーズ第6回記事の、ウクライナ製 ZENITAR
16mm/f2.8魚眼が、新品価格で2万円ほどであった)
また、魚眼レンズは特殊な撮影用途のものであるし、撮影技法
も極めて難しいので、現代のデジタル時代における必要性は
あまり無いかも知れない、センサーサイズの小さいデジタル機
では魚眼効果も大きくないので、さらに必要性は減るであろう。
魚眼風の写りを得たい場合は、広角で撮ってPC上で加工すれば
基本的にはそれでも足りる。ただまあ、その方法では、現地で
被写体を前にしながら、あれやこれや考えながら試して撮って
楽しむという事はできなくなるし、撮った後で魚眼風にしたい、
という発想力を引き出すことも極めて難しいと思うので、
現物の魚眼レンズを持つことも、まあ面白いのではあるが・・
さらに別な言い方をすれば、魚眼レンズは、構図、アングル
そのあたりが極めてシビアなレンズなので、魚眼レンズを
使って「特訓」をすれば構図感覚が非常に高くなるかも知れない
と最近は思っている、なにせ、ちょっとでもカメラを曲げて
しまったり、ラフな構図で構えると、すぐに、グワーっと魚眼
の歪みが出るのだ。それを「予想ができない」という理由で
楽しめるのはビギナーの話であり、ベテランクラスであれば、
魚眼の歪みを上手くコントロールする事が面白いと思えるように
なれば良いのではなかろうかと思う。
さて、次のシステム
カメラは前述のX-E1以上に、ピント合わせが苦手なK-01だ。
カメラの基本要素の1つであるフォーカシング機能に弱点を
持つというと、かなり致命的な問題であるように思えるが、
まあ、それでも私はこのカメラの超個性的なデザインや
優秀なエフェクト機能などが気に入っていて、なんとか、その
ピントの弱点を緩和するためのレンズとの組み合わせを色々と
試しているところである。
レンズは、PENTAX SMCタクマー 28mm/f3.5だ。
1970年代のM42マウントレンズであり、SMCとはスーパー
マルチ・コーテッド(多層コーティング)という意味だ。
K-01と28mmMF広角単焦点との組み合わせは、すでに
シリーズ第13回記事で、ARGUS CINTAR 28/2.8を試していて、
「28mmMFはK-01では厳しい」という結論になったと思うが、
ちょっと今回は視点を変えての実験だ。
このレンズは、銀塩MF時代の代表的な広角レンズである。
PENTAX M42マウントのSP/ESシリーズのヒットとともに
非常に多くの本レンズが販売されていて、現在でも中古
市場での玉数は豊富である。
で、1970年代当時のこのレンズの撮影技法は、基本的には
パンフォーカスであったと思う。
このレンズがパンフォーカス撮影に適している理由は3つ
考えられる、まずは、絞り込んだときの描写力が高いこと。
そして、それを前提に、このレンズは絞りf8のところと
撮影距離3mのところの指標が赤色で表示されている、
その赤色マークをあわせておけば、1.5m~無限遠までの
パンフォーカス撮影になるという意味だ。つまりそうした
撮りかたが推奨されているという庫である。
さらには3つ目は、最短撮影距離は40cmと、28mm広角と
しては不十分な性能であること、また、開放f値もf3.5と小口径
であるが故に、基本「寄ったり、ボカしたりせずに撮りなさい」
という事である。すなわち機材の欠点を嘆いてもしかたない
ので、得意な所を活かすのが本筋であるという事だ。
なので、今回は、1970年代当時のように、絞りf8での
パンフォーカス撮影を中心としてみよう、この方法であれば
K-01のピント合わせの弱点は、まったく問題にならない事になる。
まあとは言え、全て広角パンフォーカス撮影では当然飽きが
来てしまう、ただ被写体にカメラを向けてシャッターを押す
だけであり、何もクリエィテブな要素が無い。
そこでK-01の長所の1つであるエフェクト機能を色々と使い
ながらの撮影という事になる、これでまあ若干は創造性を
楽しめる要素は出てくるし、K-01の長所を活かすことで、
短所はさらに気にならくなってくる。
SMCレンズは、多層コーティング化されたことで、色味や
解像力、対逆光性能などが、それまで時代のレンズより大幅に
向上したとの事で、1970年代当時では衝撃的であったのでは
なかろうか? これ以降、レンズ界でのコーティング技術は
大きく発展し、マルチコートも当たり前になった。
確かに良く写るレンズではあるが、まあ、逆に言えば
オールドレンズとしての面白みには欠ける。
何枚も撮っていると飽きてくるので、近接撮影はK-01のピント
問題やレンズの性能上厳しいとわかっていながらも、そうした
撮りかたもしたくなってくる。
実際には、もう少し寄らないとボケの質はわからないのだが、
まあ、ピントの苦手なK-01にそこまで無理をさせてもしかたが
無いので、このあたりまでにしておこう。
レンズの購入価格であるが、1990年代に12000円と、若干
高目であった。ただ、これはまだSMC-Tシリーズ全般の人気が
高かった時代の話であり、程度も若干良いものを購入している。
現代での SMC-T 28/3.5の相場は、5000円~7000円程度と、
まあ性能からしても妥当な価格に落ち着いている。
どうしても必要なレンズでは無いとは思うが、1970年代の
スタンダートとしての性能を知る、リファレンス(比較用)の
目的にはとても良いかも知れない。
つまり、他のオールド広角レンズと比較することで、使用者
自身の中で、価値観のスケール(物差し)を作るのには
役立つという事だ。
自分の中に評価基準を作ることはとても大事だ、コスパの
悪いレンズに大枚をはたいて後悔をする事などの問題も
あるのだが、そもそも、他人の評価に流されないようにする
事が、むしろ重要だ。
それはレンズの話に限らず、カメラや他の電化製品全てや、
グルメからレジャーに至るまで、どれも同じことで、基本的
には、すべて自分の判断基準で決めなさい、という事である。
ネットや雑誌などでの、他人の評価や意見に頼りすぎるから、
情報が極端に一極集中するのだと思う。そしてそれらの情報が
正しいものである保証は一切無い。
「売り込みたい事柄」を重点的に情報操作するのネット戦略の
常套手段であり基本戦略だ。ネットを使うという事は、そういう
裏が潜んでいる事を誰もが良く認識する必要があると思う。
スマホの普及で、ネットから真実の情報を引き出すスキルが
少ないユーザーが急増している事が、ここのところ良く言って
いる悪い傾向、すなわち「極端な情報一極集中化」の原因の
1つだと思っている。
あくまで自分がしたい事は自分で決める、その為に、自分の中
での様々な事柄への評価基準を持つ、という事が重要だと思う。
その結果、勿論、ハズレもあるだろうが、それは自分で決めた事
なので納得もいくであろう、そして自分の判断が正しかったら、
それはそれで気分が良いし、そういう事を繰り返し、情報収集力
や判断能力、そして価値感覚を高めていくことが本筋だと思う。
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さて、次いで今回のラストのシステム。
カメラは、アダプター母艦のLUMIX DMC-G1
レンズは、SIGMA AF MACRO 50mm/f2.8である。
このレンズは、SIGMA のその後のEXや EX DGシリーズの
50mm/f2.8マクロ に続く系譜を持つロングセラー商品の
最初期型のレンズである。 詳しい情報はあまり無いのだが
恐らくは、この初期型は1990年くらいの発売であろう。
EF(EOS)マウントであるので、デジタルのEOSに装着して
使うのがAFや絞り制御などの性能を犠牲にせず本筋なので
あるが、この時代(1990年代)のSIGMA製AF EFマウントレンズ
は残念ながら、2000年代以降のAF・デジタルのEOSには装着
する事ができない。情報伝達に問題があるのか、エラーに
なってしまうのである。場合により、サードパーティ製の
レンズを使われるのを嫌ったCANONにより、レンズ接点による
情報伝達プロトコルが変更された可能性も否定できないが、
実際のところは良くわからない。
ともかく、使えないのは確かである。
レンズと同時代、すなわち、1990年代の銀塩AF時代初期の
EOS、たとえばEOS-1やEOS-RTに装着すれば使える事は
使えるのであるが、さすがに今更フィルムで撮る気にはならない。
(EOS-1のシャッター音は非常に格好良い音がするので、
懐かしく思い出すが、現在は防湿庫に眠ったままである・・)
というわけで、デジタル時代に入った2000年代前半より
およそ10年以上も休眠していたレンズであるが、ミラーレス
時代となって、EOS EFマウントのアダプターも発売されて
いる為、他のマイナーマウントと同様、復活となった次第だ。
このレンズの描写力はかなり高い。銀塩AF時代「マクロが
欲しい」という友人が居た場合、その人がミノルタαユーザー
であれば、α用AF50/2.8Macroを、その他のマウントの場合は
このSIGMA MACRO AF50/2.8(初期型/EX)を、推奨していた。
すなわち、ミノルタに続くNo2の性能という認識であったのだ。
1990年代、SIGMAのマクロには、MACRO AF90/2.8という
レンズも存在したが、このレンズは、同時代のTAMRON 90マクロ
(色々バージョンがある)に比較して、明らかに見劣りする性能で
あったので、私としては珍しく友人に譲渡してしまったレンズだった。
けれども、この50Macro は90Macroとは明らかに性格が異なり、
前述のように、銀塩AF時代においてはトップクラスの描写力を持つ
標準マクロであったように思う。
余談だが、SIGMA 90Macroは、TAMRON 90Macroとの
直接対決を避けたのか、その後、EXのシリーズになって
105mmの焦点距離に変更されてしまった、
こちらのAF Macro 105/2.8は、なかなか良く写るので、
またいずれ本シリーズ記事で紹介するとしよう。
SIGMA MACRO AF50/2.8は近年まで発売が継続されて
いたが、最近、SIGMA はレンズラインナップの大きな見直しを
図り、同時に、このレンズは「ARTライン」のラインナップから
外れて生産中止となってしまったのは惜しい所である。
思うに、近年はTAMRON 90Macroも銀塩時代ほどの人気は
無い模様であるし、標準~中望遠マクロに対するニーズが
減っているのかも知れない、そうだとしても、その理由は
不明である、Macroは必携レンズだと思うのであるが、
何故だろうか・・?
また余談だが、SIGMA のミラーレス機用レンズ、DNシリーズ
には、現状 19mm,30mm,60mmが存在しているが、前2つは、
SIGMAの高級コンパクトDP1,DP2シリーズの搭載レンズと
ほぼ同じスペックのレンズの単体発売である。
そして、最後の60mmが出る前、同DP3シリーズのレンズが
50mmのハーフマクロ(最短22cm)であったので、そのまま
50mmマクロとしてDNシリーズで発売される事を、かなり期待して
いたのだが、いざ発売されると、なぜか60mmのノーマルなレンズ
(最短50cm)であったので、当初、少しがっかりした。
ただまあ、この A60/2.8DNは、購入してみたら、極めて良く
写る、とてつもなくコスパが高いレンズであったので、使った
後では「マクロでなくちゃ」と欲張りは言わなくなっている。
SIGMA MACRO AF50/2.8の最短撮影距離は、19cmと
なっているが、表示目盛りを超えてさらに少し廻る。
いわゆる等倍マクロというスペックであるが、DMC-G1などの
マイクロフォーサーズ機に装着すると、画角換算100mm、
換算倍率2倍相当のマクロレンズとなり、中望遠マクロレンズ
としての使い勝手は悪くない。
このSIGMA MACRO AF50/2.8であるが、初期型から
後期型を通じて「知られざる名レンズ」ではなかろうか?と思う。
地味なスペックだし、価格もさほど高くないので、あまり
注目される事はなかったのかも知れないが、この描写力は
あなどりがたい。
現代においては、中古市場では、さほど玉数は多くは無いが、
あれば1万円台で購入可能である、性能からすればコスパは
非常に高いレンズと言えるであろう。
私の場合、初期型ではあるが、1990年代に14000円ほどで
購入している。
もし、中古で初期型を購入するのであれば、EFマウントは
デジタルのEOSに装着できないし、絞り環も無いので、
アダプターで使う場合でも色々制約がある(私の場合は、
機械的絞り内蔵型アダプターを使っている)
なので初期型(あるいは続くEX型でも)を購入するならば
ニコンAiAFマウント型が良いであろう、そちらであれば、
ニコンのデジタル一眼でも普通に使用できるし、おまけに
絞り環も存在するので、他のミラーレス機などでアダプター
で使用する際にも何ら問題は無い。
さて、今回はこのあたりまでで、次回シリーズ記事に続く