
さて、少々マニアックな、関西の場所やイベントを紹介する
このシリーズ記事、今回は、京都府宇治市の大吉山(仏徳山)
を散策(ミニ登山)してみる事としよう。
京都の宇治と言えば、まず思いつくのは「宇治平等院」で
あろうか?10円玉のデザインとして日本人ならば知らない人は
居ないくらいである。近年、数年間改修中であったが、工事も
無事終わり、あいからわず多数の観光客が訪れる人気スポットだ。
平等院見学(参拝)の後は、参道の商店街で、宇治茶あるいは
抹茶スイーツ、というのが一般的な宇治の観光パターンだろう。
でもまあ、そういうパターンに一極集中せず、知られざる名所も
あるよ、というのが、このシリーズ記事のコンセプトである訳だ。
大吉山(仏徳山)は標高132mの低山であり、以前の第94回記事
で紹介した京都府八幡市の「男山」(143m)とほぼ同等の高さだ。
どうやって行くかは、京阪やJRの宇治駅で配られている宇治の
「観光地図」、あるいは様々な場所にある大きな看板での地図を
見れば容易にわかる。このあたりは「観光都市宇治」であるから、
そうした観光の為の環境はさすがに良く配慮・整備されている。

地図を見ると京阪宇治駅から「源氏物語ミュージアム」を経由し
途中から、大吉山(仏徳山)散策路に入れば良いという事がわかる。
私はまあ、過去5~6回は登っているので、地図は特に不要だが、
念のため(迷った時など)の為に、地図を貰ってきている。

まず「源氏物語ミュージアム」に到着だ。ご存知「紫式部」による
長編恋愛小説である「源氏物語」に関する資料や、その世界観を
あらわず展示物などがある。何故、宇治にこの博物館があるかと
言えば、源氏物語の後編(続編)の宇治十帖に由来するからだ。
(注:この博物館は有料施設だ)
源氏物語は「日本文学史上最高の傑作」「最古の長編小説」とも
称され、国内外でも人気が高い。原作やその校訂、解説本は多数
存在し、マンガ、ドラマ、映画なども勿論多い。
私のお気に入りは、まずはマンガ版の「あさきゆめみし」だ
(大和和紀著、1980年代頃)これには、宇治十帖まで書かれて
いて、昔読んだ事もあったが、最近文庫版を全巻入手し一気読み
すると、なかなか世界観が良く書かれていて面白い。
映画版では、近年の「源氏物語 千年の謎」(2011年、生田斗真
主演)が、視点がユニークで面白かった。
源氏物語ミュージアムには、これらの関連資料も色々揃っていて、
実は、以前訪れた際「あさきゆめみし」をちょっと再読していて
なかなか面白いなあ、と思ったが、博物館では当然全巻読む時間は
無く、結局その後、古本屋で全巻入手した次第なのだ。
なお、余談だが、長編歴史マンガといえば「天上の虹」
(持統天皇の話、里中満智子著)もかなり面白い。1983年から
連載を開始し、ごく最近(2015年)に完結した(実に32年!)という
里中満智子のライフワーク的作品だ、最終巻以外は全巻持っているが、
文庫版の最終巻がそろそろ出ている頃だと思うので、完読したら、
どこかの記事で、また感想でも書いてみる事にしよう。
(前記事の真田丸関連で書いたように、これを大河ドラマに出来れば
面白いと思うのだが、やはり天皇家がらみは、ちょっと難しいか・・)
さらに長編マンガには、未完だが「ガラスの仮面」もある。これらは
いずれも「少女マンガ」という事で、男性諸氏には、少々敷居が高い
かも知れないが、一度読んでみると、男性でもその面白さにハマる
事は間違い無いと思う。
さて、余談が長くなったが、「源氏物語ミュージアム」は、
入館せずとも、知る人ぞ知る紅葉の名所となっている。
昨2015年は、異常気象の影響からか、全国的に紅葉はイマイチで
あったので、3年ほど前に源氏物語ミュージアムの前で撮った
写真より。

まあ、他の紅葉写真も紹介しているときりが無いので割愛するが、
ミュージアム横の散策路が紅葉のトンネルとなっていて、見事である。
さて、源氏物語ミュージアムを出ると、ほんの100mほどで、分岐路
にさしかかる。

ここを右に(真っ直ぐ)行くのが、一般的な宇治散策ルートだ、
この先には、宇治上神社、宇治神社があり、そこからさらに中の島
(塔の島)を経由し、宇治平等院(鳳凰堂)、商店街(参道)
そしてJR宇治駅(または京阪宇治駅)と戻るのが宇治観光の
定番ルートなわけだ。(ちなみにバスツアーで来る観光客は、
平等院と、商店街以外に足を伸ばすケースはほぼ無いと思う)
でも、それらのスポットは「大吉山ミニ登山」の後からでも行く
事が出来る。そこで、この道を左に折れるわけだ。

散策路(登山道)はゆるやかな登りが続く、標高は132mと低山だし
道は九十九折(つづらおり)となっていて、傾斜もきつくはなく
大げさな登山用具や装備は無くとも大丈夫だ、またカメラについて
も、一般的な感覚においては途中に被写体は殆ど無いだろうから、
小型のミラーレス機やコンパクト、携帯(スマホ)でも十分だ。
パンフレットには、この散策路には紅葉や桜もあると書いてはあるが、
実際には1~2ヵ所とあまり無い。まあ、それ(紅葉)を期待する
ならば、前述の源氏物語ミュージアム周辺や、後述の「琴坂」が
あるので、あえて大吉山でそれらを探す必要は無いと思う。
途中、九十九折が面倒ならば階段でショートカットできるポイントも
あるが、そこを登ると、ペースがちょっと狂って余計しんどくなって
しまう危険性もあるので(下りはともかく)登りの場合は、普通に
登山道を通った方が良いかも知れない。
けどまあ、登山時間は、およそ15分、遅くとも20分もあれば
登りきるだろうから、ペースなど、あまり神経質になる必要も無い、
こういう場所は地元のシニアなどの中には、毎日登っているような
人も多数居ると思われる(例:京都の狸谷参拝)

ほどなくして、大吉山(仏徳山)の頂上展望台に到着だ。
全行程を通じて、この場所のみ、眼下に宇治の町並みが
絶景として広がる。

好天あるいは紅葉の季節などはなかなか見事なものである、
はるかかなた(と言っても、直線距離で600mほどだが)の先には
宇治平等院鳳凰堂を見下ろすこともできる。
今回持ってきているレンズは、85mmの中望遠単焦点であるが、
ここだけちょっと望遠が欲しくなる、まあ、いくつかのミラーレス機
には、デジタルズームという機能が(画質はだいぶ劣化するが)ある
ので、それを使ってみることとしよう。
85mm をマイクロフォーサーズで2倍、デジタルテレコンでさらに4倍、
そこからデジタルズームをさらに2倍まで拡大できる。
都合、換算1200mm相当くらいの超望遠となったのがこの状態。

この手の撮影は、例によって画質劣化の他、恐ろしく大きく手ブレ
するので、ちょっと難しい。手ブレ補正機能は、今日のレンズや
カメラには入っていないが、これをさらに超えて2000~6000mm
相当ともなれば、もはや手ブレ補正があったとしても、それが効く
レベルも超えている事であろう。手持ちでも頑張って(笑)撮れば、
まあ、何枚かに1枚かは上手くいくと思う。
でもまあ、望遠が欲しいのはこの一瞬だけであり、他は広角から
標準で十分だ、わざわざ山の上から平等院を撮るだけの為に
超望遠を持ち出すのは全く無駄だと思う、それだったら、平等院
を参拝(見学)し、近くから撮った方が簡単だ。
ただ、他に望遠が欲しいケースもある。

そう、野鳥だ。
この大吉山には多数の野鳥も居て、特にこの頂上展望台には、
餌箱が設置されている事もあり、野鳥がよく訪れてくるのだ。
これは望遠があった方が便利であろう、まあでも、野鳥の
撮影にどれだけ興味があるかどうかは個人の好みであるので
重たい機材を持ったまま(低山とは言え)山登りをする気が
あるかどうか?という話である。でもまあ、少なくとも三脚は
まったく不要であろう、重たいだけだし、今時の機材であれば
高感度、手ブレ補正などにより、むしろ野鳥を撮影するには
三脚よりも、すみやかに目的の場所にレンズを向けられ、かつ
速やかにピントが合うという仕組みが重要だ、これらは
望遠域になればなるほど、メカの仕組み的にも、撮影の技術的
にも難しくなる、大げさな一眼レフ+望遠でも、どうせ難しいので、
手動ズーム式高倍率(ロングズーム)コンパクト機をMF操作で
使う事が、小型軽量かつ、一番楽に撮れる方法かも知れない。
まあ、これら遠距離撮影や野鳥撮影を不要とするのであれば、
この大吉山散策には、望遠は不要という事になる。
参考情報だが、この大吉山(仏徳山)展望台には、多数のベンチ、
トイレ、ごみ箱が完備されている、この手の徒歩ハイキングコース
においては、こういう施設の充実ぶりは珍しく、さすがに観光都市
宇治であると、ここでも思うことになる。
ただ、さすがにジュースの自動販売機などは無いので、水分補給は
(冬場でも)要注意だ、今日は私は、駅近くのコンビニで、水分と
軽食(サンドイッチ)を購入してきているので、景観を楽しみ
ながら小休止ということにしよう、山頂で食べる食事は、なかなか
気分爽快だ。
さて、小休止の後は、早速だが大吉山(仏徳山)を下るとしよう。
(なお、毎回、大吉山、仏徳山と併記しているのが面倒であるが、
これらの2つの名称は、完全に両立していて、観光案内など公式
と思われるものでも、両者か、またはどちらかが書かれているので、
いずれかの表記を見たら「同じものである」と認識するのが良い)
下りは、10分ほどで、麓にまで到達する事ができると思うが、
1箇所注意するのは以下の分岐ポイント。

ここでは、「興聖寺(こうしょうじ)」方面に向かう必要がある。
間違って「西笠取」方面に向かうと、延々11kmの山道だ(汗)
まあ、健脚ウォーカーや本格登山家ならば無理な距離では無いの
だろうが、一般客等が軽装備等のまま軽く入ってしまうと遭難の
恐れもあり危険だ。

分岐ポイントを抜けると、砂防ダムが見えてくる、これはつまり
このあたりで、土砂崩れなどが発生しているという事だ、低山とは
言え、山は怖いので、くれぐれも無理をしない事を注意しておく。
無事、大吉山を降りると、そこは「興聖寺(こうしょうじ)」で
あるが、参拝客以外は「JR,京阪宇治駅方面」と書かれた、
墓地の横の道を通っていくのが、お寺に失礼が無く良いであろう。
その先が「琴坂」だ。

観光案内等にも「紅葉の名所」として書かれている場合がある。
私はほぼ毎年紅葉時期に訪れていると思うが、年によって、紅葉が
綺麗では無い場合もある。昨年2015年は前述の通りイマイチで
あった、また宇治の紅葉はやや遅く、12月に入ってからが見頃の
時期となる。そして、琴坂は狭く、かつ僅か100mほどの短い道だ。
その割に、近年は紅葉名所として知られてきてしまっているので
観光客あるいは「不要不急の車の通過」等で結構混雑してしまう。
さらに悪化すると「一極集中」(同じ情報を元に、皆が同じ時期に
同じ場所に集まる)といった良くない傾向に陥る恐れがあるので、
綺麗なときの紅葉の写真はあえて掲載しないようにしておこう。

琴坂下の、興聖寺山門を抜けると、そこで宇治川沿いの観光
ルートに復帰、ここで、大吉山(仏徳山)ミニ登山は終了である。
琴坂を下りて左に曲がれば、さらに2kmほど歩けば「天ヶ瀬ダム」
がある、ただし、そこまでは見学時間も含めると、往復2時間は
かかってしまうだろうし、車通りも多く、徒歩ではちょっと
危ないところもあっておすすめしない、まあ、ダムも何度か見学に
行ったことがあるので今回はパスしておこう。
琴坂を下りたところの宇治川には「亀石」がある。

秀吉ゆかりだとか、垂仁天皇ゆかりとか、色々と故事が言い伝え
られているが、実際には、勿論自然の造型物であろう。
ここから右方面(宇治駅方面)に戻っていくとしよう。
宇治川、中の島(塔の島)は、現在(2016年1月~3月)川底の
工事中である。

これは近年の異常気象(ゲリラ豪雨など)の対策の意味もあるの
かもしれない、このあたりでは、断続的に何度か、川底や護岸の
工事を行っている。
例えば、2013年9月の大雨の時、この宇治川は氾濫しかけた。
上流の天ヶ瀬ダムの最大放流量は、毎秒 840立方m(=トン)で
あるのだが、2013年9月16日の午前8時40分に、その最高値を
はるかに上回る、毎秒1156.95立方m(=トン)を記録している。
これは国土交通省のHPに掲載されている記録からの情報だが、
この日は、京都嵐山の渡月橋が冠水したり、八幡市の流れ橋が
流れてしまったり、大阪枚方あたりが床下浸水とか様々な被害
情報のニュースが流れていたので、この国土交通省のHPを見て
記録を保存しておいた次第だったのだ。
毎秒1150トンと言えば、例えば、小学校のプールが、25m x 12m
x1m弱 のサイズであれば、ざっと250トンの水量という事になり、
天ヶ瀬ダムからは、1秒間に小学校のプール5杯近くの水量が流れる
という事になる、これは驚くべき数値であり、下流に被害が出て
しまうのも当然であろう、水の威力というのは本当に恐ろしい。
その被害を緩和するためにも、天ヶ瀬ダムに近い宇治のあたりでは
洪水・浸水対策としての、川の改良工事が急ピッチで進められて
いるという事だ。この宇治川は最終的には淀川となって、大阪湾
まで流れ込んでいるので、上流の天ヶ瀬ダム、さらには、瀬田川を
経由して水源の琵琶湖あたりでの対策も必須となる。
---
そして、実はこの場所は宇治で毎年行われている「ドラゴンボート」
大会の会場である、毎年開催時期は5月であるので、この工事は
3月までと聴いているため、まあ、ドラゴン大会の開催には影響が
無いであろう事を期待したい。
けど、実は、この宇治ドラゴンボート大会では、レーン(コース)
毎の、条件の差異が問題となっていた、2艘建てのレースであるが
片側のレーンの条件がかなり悪く、2~3秒遅くなってしまうのだ。
その条件を公平にするため、予選の間は、レーンは交互に使う
ようなルールとなっていたが、準決勝以降は、一発勝負であるため
どうしてもそのレーンコンディションの差が思わぬハンデとなる。
しかし、この工事の規模はどうだ? これだと、川底の形状も
これまでとは大きき変わり、レーンコンディションはまたずいぶんと
変化する事であろう。 昨年のドラゴンボートの記事で、
「まさか条件を揃えるために川底の工事をする訳にはいくまい」
と書いたのであるが、思わぬ形で、それが実現しまっているのだ。
レーン毎がイコール・コンディションとなれば、レースはやりやすく
なる事であろう、しかし、反対に、より大きな差がついてしまって
いる可能性もあり、そのあたりはわからない。
洪水対策という大きな公共事業であるから、まさかドラゴンボート
レースの為に配慮した工事をやっている訳でも無いので、実際には
どうなるのか見当もつかない。いずれ工事が終了したら、このあたり
を地元の練習拠点とするドラゴンチーム「すいすい丸」あたりが、
試しに漕いでみて、そのあたりの調査・調整をするとは思うので、
まあ、その情報を待つとしようか・・・

中の島が工事中で「塔の島橋」などはしばらく渡れない状態だ、
でも、平等院方面の橋は使えるので、そちらを歩いて駅方面に
向かうとしよう。
中の島から見る大吉山(仏徳山)は、結構高くそびえて見える、
ほんの30分ほど前に、あの頂上に居たのかと思うと、ちょっと
不思議な感覚だ。
平等院の前からは、左方向に進めばJR宇治駅、右方向に
進むと、京阪宇治駅だ。
一般に、大阪方面からは、京阪電車で淀屋橋~中書島~京阪宇治
というルートがアクセスに便利であろう、奈良方面からは、JR
奈良線でJR奈良駅~JR宇治が直結、京都駅方面からも、
同じくJRで、京都駅~JR宇治が直結で便利である。
今回帰路は、JR宇治駅を利用するとしよう。

細かく見ていけば、まだまだ宇治には見所がある。
個人的には結構良く訪れる土地なので今回はここまでとしておいた。
ここまでの所要時間は、京阪宇治駅を出てから2時間程だ、
ミニ登山で疲れてさえいなければ、まだ別の場所を観光に行く
時間はたっぷりある、つまりかけもちが可能である。
紅葉時期がおすすめではあるが、一極集中してしまうのも
好ましくない、なのでドラゴンボート大会開催時がおすすめ、
と書いておくことにしようか。
ちなみに、ドラゴンの選手の方に、このルートを以前紹介したら、
気に入ってもらったようで、予選で勝ちあがり、準決勝までに
時間が余った時に「チームの何人かで準備運動を兼ねて
登ってきた」との話を聞いた。「準決勝で疲れないの?」と
聴いたくらいであるが、まあ、登って下りるだけならば1時間
もかからないし、アスリートの人達の感覚では、軽い運動がてらで
ちょうど良い位なのであろう・・
勿論、アスリートならずとも、一般の方のハイキングコースと
してもおすすめである。
また次回、ちょっとマニアックなスポットを紹介するという事で
今回はこのあたりまでで・・