安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズでコスパの
良い「アダプター遊び」を楽しむシリーズの15回目。
さて、今回は、まず、このシステム。

カメラは、いつものアダプター母艦、DMC-G1
レンズは、CANON New FD 135mm/f2.0である。
銀塩MF時代の135mm大口径はなかなか性能の高いものが多い、
このレンズは、CANON New F-1とほぼ同時期の1980年頃の
発売である。名機、新旧F-1との組み合わせは重量バランスも
良く、銀塩一眼最高峰のNew F-1のファインダーでのピント
合わせも容易であった。
大口径故に、やや大柄のレンズであり、重量は670gもある、
しかし、このレンズの良きライバルである NIKON Ai135/2
は、さらにこのレンズよりも200g近く重い。

マイクロフォーサーズ機のG1に装着すると、このレンズは
270mm相当のかなりの望遠になる。
焦点距離が長かったとしても、最短撮影距離が短ければ
望遠マクロ的な使い方はできるのであろうが、あいにく
New FD 135/2は1.3mまでしか寄れず、一般的な望遠レンズ
として使うしか無い。

最短撮影距離の件は、ライバルの Ai135/2も、同様に1.3m
なので、まあ、そんなものであろう。
ただ、私が最強の135mmとしている、ミノルタSTF135/2.8
の最短撮影距離は87cmなので、それと比べてしまうと
見劣りはするが、まあ、時代も仕様も全く違うレンズなので
比較をする意味も無いかも知れないが・・
マウントアダプターを用いて小型軽量のミラーレス機に
装着するレンズとしては、重量バランス的に、このあたり
つまり、700g程度が限界であろう、ミラーレス機にしては
比較的大柄な DMC-G1は、こうした場合でもなんとかバランス
的に耐えられるので、そういう意味でもG1をアダプター母艦
の目的として利用している。
マイクロフォーサーズ機はセンサーサイズが小さく、焦点距離
(画角)が2倍相当になる、それを欠点と見てしまえばそれまで
であるが、長所と見なせばマイクロフォーサーズ機を主に望遠
レンズ用の母艦とする事が考えられる。この考えでいけばAPS-C
機やフルサイズ機は、広角系レンズの母艦により適している事に
はなる。ただし、オールドレンズの場合はレンズ周辺の画質が
収差や設計上の理由で劣化する場合があるため、それをカットする
目的であれば、センサーサイズが小さい事もメリットになる。

レンズのボケ質は良好である。FDやNew FDの大口径レンズの
中では、撮影条件によるボケ質の破綻も起こりにくく、
なかなか優秀だ。
現代では、EOS用のEF135/2に、その優秀さは引き継がれて
いると思うが、そちらのレンズはやや高価である事と、MF版の
本レンズとスペックが被ってしまうので、購入していない。
レンズの使いこなしだが、望遠レンズであるから、基本的には
あまり絞って使う事は無い。開放f2からせいぜいf5.6程度迄の
間で使う事になるであろう。仮にそれ以上絞ってもパンフォーカス
となる事は(遠距離の平面被写体はさておき)立体的距離の被写体
であれば無いので、絞りの調整は純粋にボケ量の調整目的となる。
勿論、遠くの被写体をただ大きく写すものではなく距離の相互に
異なる被写体をどのように立体感を持たせるか?あるいは、望遠
レンズの圧縮効果を得ることが目的となる。

「圧縮効果」というのは、望遠レンズを使うことで距離の異なる
複数の被写体の遠近感が見た目よりも無くなる事である。
逆に広角レンズでは「パースの強調」と呼ばれる、遠近感の誇張
が発生する、これらの遠近感が肉眼による見た目とほぼ同等の
レンズが、本来の意味の「標準レンズ」であるとも言えよう。
ズームレンズでは、この遠近感が連続的に変化する、ズームは
ただ単に、被写体の写る大きさを決める機能では無いという事だ。
ズームでパースペクティブ(遠近感)が変化する事は、構図上
大変難しい事であり、撮影距離と遠近感の両者を上手くバランス
する事。そして、それを撮影前に想定することが困難であるので
ズームは本来はビギナー向けの機材では無い。
単焦点レンズでは、その焦点距離を選んで持ち出せば、撮影中に
撮影距離以外の要素でパースが変わる事は無いため、被写体を
探す際に構図や立体感の予測がしやすく、結果的に撮り易くなる。
本レンズの入手性であるが、中古の玉数はかなり少ない。
FDレンズはデジタル全盛の今なお、使っている人が多いと聞く、
その理由の1つとしては、デジタル一眼レフのどの機種にも
アダプターを使ったとしても、FDレンズは装着しずらいからだ。
現在でもフィルムを使う事に抵抗がなければ、新旧F-1等の
優秀なボディが存在していて、依然中古の玉数も豊富なため、
FDレンズを使うには困らないであろう、そういう状況からすれば
これらを使っている人は、なかなか手放さないのかも知れない。
私は、このレンズを1990年代に4万円強で入手したが、
現在このレンズの相場は不明、つまり「時価」だと思う。
まあ、性能から考えると4万円前後というのが妥当であろう。
さて、次のシステム

本格派のNFD135/2とはうって変わって、トイレンズだ。
カメラは、トイレンズ母艦として使用しているマイクロ
フォーサーズ機のOLYMPUS E-PL2である。
1万円以下で購入できるミラーレス機の中では、手ぶれ補正、
高感度、内蔵フラッシュ、解像度の高い背面モニター等の
強力なスペックを誇る。但し、MF時の操作系に、やや問題
があるため、f値が暗く(=すなわち高感度や手ブレ補正で
対応できる)ピント合わせの必要が少ないトイレンズとの
組み合わせが、お互いの欠点を補うような形で望ましい。
また、価格が安価なトイレンズに高価なボディはいかにも
アンバランスだ。デジタルカメラの価値の下落は著しく、
ほんの数年で、中古価格は発売時価格の数分の1まで急落する、
このため、高価な最新機種を買う必然性は殆ど無い。
その予算があればレンズの方にお金をかけるのが良いだろう。
なので、基本的に、ボディの価格がレンズを大きく上回って
はならないという原則が出てくる訳だ。
こうしたいくつかの理由で、E-PL2にはトイレンズ母艦の
役割を担わせているという事である。
レンズは、Lomography Experimental Lens Kitだ。
これはマイクロフォーサーズ用の、魚眼、広角、標準の、
トイレンズ3本セットで、新品価格は9000円ほどと安価だ。
1本あたり3000円、まあ、トイレンズの相場であろう。
今回使ったのは、魚眼風のレンズで 160°/f8という名だ。

円周魚眼風の写り。デジタルカメラ用の円周魚眼レンズは
一般に高価であるが、このレンズは僅かに3000円相当だ。
ただ、写りは、画質という言葉ではまるで語れず、単に画像が
丸く写っているにすぎない。
マイクロフォーサーズ機の一般的なアスペクト(縦横)比の
4:3においては、円周魚眼は左右に大きく無駄な黒い空間が
出てしまうので、今回は正方形にトリミングして掲載している。
なお、このレンズの最短撮影距離は5cmと極めて近い。
ただ、ピント目盛りは、5cmとINF(無限遠)の2つしか
書かれておらず、極めてアバウトだ。そして、ちゃんとピントを
合わせようとしても、そもそもレンズの解像度が低すぎて、全て
ピンボケに近い写りになる。
しかし、トイレンズの画質をうんぬん言うのは方向性が間違って
いる、もし低予算で高画質のレンズが欲しければ、MF時代の
各社のf1.7級の小口径標準レンズを中古購入すれば、現代でも
通用する程の高画質であるし、価格は2000円~5000円程であり
トイレンズと同等の価格帯だ。
トイレンズに求めるべきは、1つは変わった、つまり個性的な
写りであり、もう1つは、ノーマルなレンズでは得られない
予想のつかない写り、つまり突然変異的な写りを求める事だ。
一般的レンズの写りを熟知していれば、撮影時には様々な事象
が自身のコントロール下におけて、楽かもしれないが、逆に、
ありきたりのルーティーンになってしまい、新しい発見や
創造がやりにくくなるという課題も出てくる。
そんな際に、自身では完全にはコントールできないトイレンズで、
突発的な写真を撮る事が、新たな方向性への刺激となるわけだ。

たとえば上の写真は単純な風景だが、木の間から直接太陽光が
レンズに飛び込んでくる、ここでカメラの角度をほんのわずか
傾けるだけで、木漏れ日が強烈なゴーストやフレアとなって
なんだかわからない写真となる、かといって、そうした光の
効果がなければ、これはつまらない被写体だ。なので、光を
最適にしようと少しづつカメラを傾けるのだが、そうなると
魚眼の効果は、わずかなアングルで変化する、すなわち、何度
か本シリーズの魚眼の記事で書いたが画面の中心から放射状
に引くことができる対角線上の被写体しか直線にはならない、
という特徴が変化し、すなわち、ほんの少しだけ傾けるだけで、
魚眼の写真はまったくと言っていいほど別モノになる。
それと逆光の効果(フレア、ゴースト、光条など)の組み合わせ
は予想することは不可能であり、偶然性に頼るしか無いのだ。
そこがトイレンズの面白さであり、逆に言えば、自分が全く
コントロールできないため「カメラに使われている」気に
なってくるため、イラついて、極めて早く飽きが来る。
尤も、ビギナーの場合は、レンズをコントロールするという
概念は無いため、飽きは、なかなか来ないかも知れないが、まあ、
いずれにしてもレンズの偶然性に頼ってばかりでは意味が無い
であろう。

最近の私の興味としては、魚眼レンズまたは魚眼風トイレンズ
を用い、イメージサークルが合わない事は無視あるいは逆用し
あまり魚眼っぽく無い(極端なデフォルメの無い)写りを狙う
事である。上の写真もそんな雰囲気を出そうとしている。
さて、このシリーズでは過去4本くらいの魚眼(風)レンズを
紹介しているが、まだ数本持っていたと思うので、機会があれば
また取り上げてみよう。
次のシステムは、

カメラがSONY NEX-3である。NEX-5とならび最初のEマウント機
である。MF性能やMF操作系に課題を持ち、小型のAFレンズの
専用機にするのが望ましいが、MFでも広角レンズを用いれば
ある程度その欠点を緩和できるので、広角およびトイレンズ
母艦として利用している。
レンズは、SIGMAのMFレンズ、14mm/f3.5である。
恐らく1980年代のレンズであり、各マウント用のものが発売
されていたと思う、私は1990年代にニコンマウント版を
3万円台で購入している。
ただし、今から考えると購入価格は少々高すぎたように思う、
まあ、銀塩時代では、14mmという超広角レンズは珍しく、
存在そのものがレアであったので、見かけたらついつい欲しく
なってしまったのだ。

けど、銀塩時代、ニコンF4やFE2などに装着した際は、その
超広角を持て余し気味であった、何を撮ったらこのレンズの
特徴が活かせるかが、さっぱりわからなかったのだ(汗)
ただただ広い画角は、何が撮りたいか中心となる被写体を定める
事ができない。今時のデジタル時代のように近接撮影をする
事などは、銀塩時代のフィルムコストや、ファインダーを
覗く必然性、などの面で、やりにくい撮り方であったので、
普通にカメラを構えて、広く撮るしかない。
けど、その方法では、撮りようが無いのだ。
そして、2000年代、デジタル時代になると、まずはニコンに
おいてもAPS-Cサイズのセンサーのボディしか存在していなかった。
加えて、ニコンのデジタル一眼では、高級機でないと、旧Ai
マウントのレンズは露出計が、わざと動作しないような差別化
仕様になっており、私は2004年ごろに高速機D2Hを入手するまで、
このレンズを使うことができなかった。おまけにAPS-Cセンサー
であるから、せっかくの超広角14mmは21mm相当と、特徴の無い
画角になってしまう。
そんなわけで、銀塩時代からデジタル時代を通じ、なかなかこの
レンズを使う機会は少なかった。
そして、たまたまこの個体は、何かしら問題を抱えていたのか、
防湿庫にしまっておいたにも関わらず、多少のカビを培養して
しまったようだ、レンズ外装も、なんだかベタベタとするし
どこからかオイルやグリスが染み出しているのかもしれない(汗)
カビに加えレンズの元々の性能的な問題も絡んでいるのであろう、
今やこのレンズは極端に逆光に弱いレンズに落ちぶれてしまった。
上写真のように、画面の上部とか光源のある方向に対して、
すぐにフレア(画面が白っぽくなる)が盛大に発生する。
カビ問題は承知していたので、フレアを回避するような撮り方
には注意しているのだが、それにしても完全に防げる訳ではない。

だから、せっかくの超広角レンズ(まあ、NEX-3へに装着して
いるので、21mm相当ではあるが)であるのに、画面を広く
捉えるような撮り方は、ご法度だ、カビと性能劣化により
強烈なフレアが発生する。昔の私であれば、すぐ修理に出したの
かも知れないが、今はちょっと考え方も変わってきて、レンズに
何らかの性能上の問題があるのならば、それを回避したり、逆用
する事に興味がいっているので、変なレンズは基本的に歓迎だ。
だが、結局、広角レンズなのに広く撮るという事が出来ない
(フレアが発生する)という重大課題を回避するには、
近接撮影で、背景を限定して逃げるという方法しかなさそう
なのは撮影途中でわかってきた。
なので、今回は、全て近接撮影のスタイルとなっている。

レンズの欠点、加えてメンテナンスの不備、さらにはカメラ
自体でも、MF操作系の欠点など、マイナス要因ばかり
あげていたら、一見メゲてきそうな状況であるが・・
NEX-3の弱点を緩和する超広角レンズの使用、そして、
レンズやメンテの欠点を緩和するフラット光近接撮影、との
組み合わせにより、なんとか課題の回避ができたように思う。
まあ、欠点ばかりグダグタ言わず、それをどうやって克服するか
が、アダプター遊びの面白さの根幹であるという事だ。
さて、次は今回のラスト。

カメラはDMC-G1。毎回変わり映えしないが、まあ、
アダプター母艦であるのでいたしかたない。
そして、アダプター母艦であれば、最新のG7とかにする理由が
全く無いのだ、それは数値上のスペックはG7の圧勝であるが、
スペックの数字には現れない様々な長所がG1にはある、だから
単純に値段が安いという理由だけでG1を使っている訳では無い
という事だ。
いちおう新型機としてG5を使っているが、それとて中古で
1万円台後半で購入したものであり、G5の仕様上の理由から、
超大口径ノクトン42.5mm/f0.95および超望遠レンズの
専用機としている。
それ以外の場合は、G1で何ら問題は無い。
ボディとレンズの組み合わせは意味があるものでなくては
ならない、と毎回言っているように両者の欠点を相殺する事だ。
ただデタラメに組み合わせるだけでは、アダプター遊びを
楽しんでいるとはいえず、そればかりか不適切に組み合わせた事で、
両者の欠点を相乗効果で増してしまうような状態においては、
利用者のカメラや写真についての理解度を露呈していまうようで、
極めて格好が悪い。
さて、レンズだが、KONICA AR HEXANON 57mm/f1.4である。
ARマウントレンズは何度か本シリーズや昔の記事で紹介して
いるが、銀塩MF時代のレンズであり、その後のAF一眼レフ時代
およびデジタル一眼レフ時代では使用できなかったレンズで、
現代のミラーレス時代になって、やっとアダプターで復活できた
レンズ群である。
HEXANONというレンズのブランド名は、昔は神格化されていた、
まあ、確かに1960年代~1970年代であれば、このARレンズ
程の描写力があれば、他社のレンズよりも優位性は高かった
事であろう。
ただ、私がこのARレンズを使っていた一眼レフはAcom-1や
オートレフレックスT3であったが、いずれも1980年代には
生産を止めてしまっていた、私が入手したのも生産中止後の
中古であった。そこから、およそ30年近くの時代の開きが
ある、ミラーレスでやっとARレンズが使えるようになった
からと言え、今になって「おお、HEXANONは凄いなあ」と
感動する筈も無い、古いレンズはあくまで古いレンズなりの
性能しか無い訳だ。

しかし、古いレンズと言っても、やはりHEXANONは良く写る、
AR 57mm/f1.4は、ARヘキサノンの中では、イマイチだった
ように記憶していたが、思っていたほど悪くない。
マイクロフォーサーズ機のDMC-G1をオールドレンズ母艦と
しているので、この小さいセンサーサイズが、レンズ中心部の
最も美味しい性能の部分だけを切り出してくれている可能性
も高い、すなわち、レンズの設計上では、どうしてもレンズ
周辺部の画質や収差は、レンズ中央部より劣ってしまうという
事である。オールドレンズほどその差異は顕著となる。
レンズ中央部と周辺部の画質の差、という意味を簡単に体験
したければ、虫眼鏡で新聞などの文章を見たら一発でわかる、
レンズ中央だけは文字がはっきりしているが、周辺では文字が
流れて見える。
虫眼鏡は1枚のレンズであり、これが単玉の場合の性能限界だ、
このため、様々な光学機器においては、複数の異なるレンズを
組み合わせ、こうした問題(収差)を回避しようと努めている。
そうした光学機器の1例としての(天体・地上)望遠鏡ですらも、
また同様に周辺の画質が若干劣化する傾向がある。
写真用レンズは、そうした面に配慮して設計されてはいるが、
それでも完全に中央と周辺の画質を均一にする事は困難だ。
(不可能と言っても良いかも知れない)
ましてや様々な複雑な計算を要求するレンズ設計だ、
1960年代では、コンピューターも無く、優秀な技術者が
手書きでレンズを設計していたと聞く(勿論現代では
全てコンピューター半自動設計だ)なので、現代よりも
むしろメーカー間、いや、設計者の技術力の差が製品の性能の
差に反映されやすい時代であっただろうと思われる。
で、余談が長くなったが、マイクロフォーサーズ機が、
レンズ中央部の性能の良い部分だけを切り出して使えるので
あれば、これは、多くのオールドレンズに対して、収差を
低減させ、すべて性能を向上させる事ができる魔法のカメラ
ではなかろうか?まあ原理的には、まさにそういう事になる。
銀塩一眼やフルサイズデジタルで使ったら、欠点が目立つレンズも、
小さいセンサーのカメラではそうならないという事だ。

逆光気味ではフレアが発生する場合があるが、まあぎりぎり
回避しながら使えるレベルであろう、前述のSIGMA 14mm/3.5
では、性能やカビ問題で、もうどうしようもなかったが、
それに比べれば極めて快適だ。
ちなみに、レンズフードの使用で、「ハレ切り」すなわち
正確な言葉で言えば「ハレーションの低減」の効果が得られる
可能性も高い、だが、私は最近はすっかりレンズフードは
使用しないようになってしまった。
銀塩時代は神経質なくらいに、レンズには、その純正フード
または汎用フードで仕様の合うものを装着していたのだが、
デジタル時代になり、まず(APS-C機などで)画角が合わなく
なって、フードの効果が疑問になってしまった。
そして、フード無しで撮ってみると、もちろんフレアや
ゴーストの発生確率は高くなるのであるが、逆に、それらを
積極的に取り入れて撮影するのも面白いと思うようになり、
あるいは、どんな状況で、ゴーストやフレザが発生するか、
というのもあえてフードを使わない事で、よりそのあたりの
限界点に対する感覚がシビアになってくる、というメリットも
出てきたのだ。そして、フードはますます使わなくなり、今では
大きなジュラルミンのカメラケースの中に、数百個のレンズ
フードがしまわれている状態だ、一応ジップロックで、mm径
あるいはメーカー別に分類はしているのだが、1本レンズを
使おうとするたびに、その「玉手箱」を開いて、純正フードを
探すのは極めて面倒臭い、という訳なのだ。
ちなみに、観光地などで、ビギナーが一眼レフに高倍率
標準ズームや、キット望遠レンズなどを使っているのを見る時、
その2割~3割もが、レンズフードを前後逆に(収納態勢のまま)
使っているのを見かける。これは銀塩一眼時代でもデジタル一眼
時代でもいずれも同様であった。
まあつまり、フードをつけたまま大柄なレンズのついた一眼を
収納するのが困難だからという事であろう。
カメラ好きであれば、それらも意識してバッグなどを考える
のであるが、ビギナーであれば、一眼レフは旅の1つの持ち物
にすぎないのだ。
ただ、フードを前後逆付けするのは、デメリットが3点もある。
1)本来の遮光効果が無い
2)カメラを落としたりぶつけたりした際、
クッション代わりとなってレンズやボディを守る効果が無い
3)MF操作、ズーミング操作の邪魔になる
ということで、前後逆付けするくらいならば最初からフードを
持って来ない方がまだマシだと思う。
ましてや高倍率ズームなどでは、広角側でケラれないように
する(フードが写真に写らないようにする)と、望遠側での
フードの効果が少なく、結局、あまり効果の無いものとなって
しまう。つまり、ズームは、単焦点レンズほどにはフードの
効果が無い、と言っても良いであろう、なので、収納に困る
ような状況であれば使わないという選択肢もありだと思う。

フードがあろうが無かろうが、写真というものに光の効果は
欠かせない、フレアやゴーストといったネガティブな要素
のみならず、光条や光芒といった、むしろ積極的に利用したい
要素もあるからだ。
ちなみに「光条」においては、レンズの絞り羽根の枚数
との重要な関連がある、偶数絞り羽根の場合は同数、
奇数絞り羽根は、その2倍の光条が出る、これにはフーリエ
級数という原理が関わるのだが、複雑なので説明は割愛する。
上写真の光条は6本なので、 AR57/1.4の絞り羽根枚数は、
6枚である事が容易にわかる。

AR57/1.4 の最短撮影距離は、45cmである。
50mmの標準レンズの一般的な最短撮影距離は45cmであるが
このレンズは、57mmと少し長めの標準なので、マイクロ
フォーサーズの画角2倍とあいまって、近接撮影には強い
印象が出てくる。
まあ、とは言え、勿論マクロレンズまでは全然至らないし
マクロレンズと違って近接撮影で最も性能を高めるような
設計もされていない。
レンズの入手性であるが、まあ、現代において中古の玉数は
極めて少ないと思われる。15年ほど前に私が購入した時点での
価格は9000円程であったが、もし今中古が出たとすれば、もう
少し高くなるかも知れない。
以前の AR35/2.8の紹介記事でも書いたが、ARレンズは
オールドレンズの入門用には適しているかもしれない。
現在、どのミラーレス機でもアダプターで自由に使えるし、
性能もそこそこ悪くない、そして中古相場もあまり高くは
無いと思うので、見つけ次第購入しても後悔は無いと思う。
さて、文字数がそろそろ限界だ、次回シリーズに続く・・