安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズで遊んで
みようというコンセプトの記事、シリーズ14回目。

カメラはDMC-G5、高性能であるが中古で1万円台と
安価なマイクロフォーサーズ機だ。
レンズは、フォクトレンダー・ノクトン 42.5mm/f0.95
超大口径レンズ、マイクロフォーサーズ専用マウントで
MFレンズである。
G5は、まれにアダプター遊びをする他は、ほぼこのレンズの
専用機となっている。
その理由は、G5はベース感度がISO160とやや高めである事。
つまり、この感度で晴天時に1/4000秒の最高シャッター速度と
なるのは、概算でf3.5程度となり、開放f値がそれ以上明るい
単焦点オールドレンズを使う際は、多くのケースで絞って
使わないとならないからである(開放が使えない)
では、f0.95のノクトンはもっと使いにくいではないか?と
思うかも知れないが、最初からこのカメラで使用する事を
想定し、暗所以外は常に減光フィルター(ND8)を装着している。
その結果、G5のISO160における日中晴天時の1/4000秒での
ND8装着時の使用可能絞り値は、計算上約f1.2程度となり、
まあ、モロに明るい被写体を撮らないかぎりは、f0.95の
大口径を十分に生かした撮影が可能となる。

感度とシャッター速度の問題以外に、このレンズを装着する
理由は、その焦点距離だ。42.5mmという焦点距離は銀塩換算
85mmに相当する、そしてG5はデジタルテレコン(最大4倍)
およびデジテルズーム(最大2倍)を併用できるので、都合
8倍、すなわち最大680mm相当の超望遠域までこのレンズ
1本でカバーできる。勿論こうした機能を使うと、倍率を上げると
どんどん画質が劣化していくので、実用的にはデジタルズーム
の2倍程度迄であるが、G5の場合MF単焦点レンズを装着すると
(設定をそうしておけば)自動的にファンクションレバーが
デジタルズームにアサインされるので、実質的に銀塩換算
85~170mm/f0.95の超大口径望遠ズームレンズを装着して
いるのと同等になり、極めて実用的だ。

ちなみに、私はもう1本のノクトン、25mm/f0.95を所有して
いるが、こちらはDMC-G1の1台を、ほぼそのレンズの専用機と
している。その理由は、G1のベース感度はISO100であり、
その関係で、減光フィルターND4を装着していることと、
こちらはほぼ標準画角(換算50mm)なので、デジタルズームの
無いG1においても単焦点標準の感覚で使用できる為である。
これらの例のように、私がミラーレス機とレンズを組み合わせる
場合は、必ずその組み合わせにするべき根拠を持っている。
マウントアダプターを用いる場合も同様に、ボディとレンズを
思いつくまま適当に組み合わせるのはNGであって、両者の
欠点を相殺するように、あるいは相乗効果が得られるように
組み合わせるのが基本だ。

ノクトン42.5mm/f0.95は、後で紹介するLENS BABY等の
特殊なレンズを除き、オーソドックスなレンズとしては、
最も使いこなしの難しい部類のレンズである。
最短撮影距離は、異常にまで寄れる23cmであり、これはまあ
他のノクトンも同様に近接撮影に強い。f0.95というレンズ界
トップクラスの超大口径の、ただでさえ浅い被写界深度は、
近接撮影では、さらに紙のように薄くなる。
MFレンズである事からピント合わせは恐ろしくシビアであり、
優秀なEVFを用いて、しかも拡大表示をして厳密な操作をしない
とピントは合わない。このカメラの後継機G6では、EVFが一新
されているが、明るく見やすくなったものの、ピントの山は
逆につかみにくくなった為(注:このあたりはトレードオフ
なのかも知れない)あえてG5を買ってノクトン用にした。
また、Gシリーズは拡大操作系(いつも言っているが操作性
ではない)が優れているため、ファインダーを覗きながら
一連の、拡大→拡大位置移動→拡大解除(構図確認)の
操作を流れるように行う事ができる。
そして、浅い被写界深度の問題だけが、このレンズの難しさでは
無い、そもそも絵づくりが困難なのだ。
写真を撮る時、人間の見た目で被写体を探しながら、どんな風に
撮れるか(撮りたいか)を想像・予想して、ファインダーを覗き
構図を決めて撮影するというプロセスになると思うが、
(注:ビギナーの場合は、このプロセスが出来ず、ファインダー
を覗きながら被写体を探してしまう、これは勿論NG)
その際、超大口径のレンズからの映像というのは、なかなか予想
がつかない。特に被写体の形状が複雑で複数の撮影距離が入り
混じっている場合では、各々のポイントのボケ量が変わって
いるので予測が大変難しい訳だ。
ともかく難しいレンズだ、価格も高価で中古もまず出ないので、
あまり簡単にはオススメできるものでは無いが、他のレンズでは
絶対に得られない独特の描写が欲しいならば、これに替わる物は
存在しない。
マイクロフォーサーズ専用レンズであり、仮に他マウントに
変換できるアダプターがあったとしても、マイクロフォーサーズ
の小さいセンサー対応のイメージサークルなので、APS-C機や
フルサイズ機などでは画面がケラれて使用できない。
ちなみに、どうしても欲しいとなったら、このレンズはほぼ
新品しかなく、定価は税込で13万円近くもする。まあ量販店等
で新品値引きがあったとしても、9万円程度はするであろう。
私が定義する高コストパフォーマンスの「スーパーレンズ」では
価格は(新品中古関わらず)10万円までだ。その値段を超えると
どんなに性能が良いとしても、現実的な価値感覚ではコスパが
良いとは言えず、単なる「贅沢レンズ」になってしまう。
そういう意味では、このレンズは、ぎりぎりの立場である。
で、超大口径f0.95近辺での像の滲みはやや問題であり、
絞りを多少絞らないと回避できない。ただ、その甘さについても
被写体の選び方などで緩和することは出来る、前述のように
「多数の撮影距離を持つ複雑な被写体」を選ばない事や、
ピンポイントのシャープネスを期待するような被写体
(例:花弁にピントを合わせる花のマクロ撮影)にはそぐわない
訳であり、そのあたりのレンズの欠点を承知して、それらに気を
つけて撮影すれば、まあ問題は無いという事だ。
この最難関のレンズを、高いだけの「贅沢レンズ」にして
しまうか、あるいは高い付加価値のある「スーパーレンズ」に
するかは、使う人次第だ。買うならば覚悟して買う必要がある、
ということは強調しておきたいと思う。
さて次も、同じコシナ社製のレンズ。

カメラはLUMIX DMC-GF1 、これはG1の小型軽量版のような
ポジションの機種であるが、EVFが無いこと、背面モニターの
解像度が低いこと等、随所にスペックダウンが見られる。
結果、MFが使いにくいボディであり、本来ならば小型のAF
レンズをつける等して使うのが良い。マウントアダプターの
使用も、このカメラの長所を生かせず欠点を助長してしまうので
基本的にはNGだ。また、MFの負担の少ないトイレンズ母艦と
するにしても、手ブレ補正機能が無く、最高ISOも低いので
これもダメだ。そこで、MF広角レンズの場合はどうだろうか?
ということで、今回はそうしたスペックのレンズを使ってみた。
レンズはコシナ製 20mm/f3.8 恐らく1980年代の発売で
1990年代後半までは新品で販売されていたと思う。
銀塩時代、超広角レンズがなかなか入手しずらかった時に
各MFマウント版が存在していて重宝していたレンズである。
こちらはCANON FDマウント版、まあ、つまりFDの超広角が
価格や入手性の面でなかなか買い辛かった時にラインナップ
の穴を埋める為に購入したものだ。

このレンズの定価は4万円であったが、新品相場が1万円強と
かなりの値引きをして販売されていた。価格の安さや割引率の
大きさ、そして超広角かつ、最短撮影距離も20cmとそこそこ
短くマクロ風に使える事等から、魅力的な仕様であり、
それらに惹かれ、多くのカメラマニアが購入したポピュラーな
レンズである。しかしながら、評判はあまり良いとは言えず、
その最大の問題は、画面周辺部の描写の流れ及び周辺光量低下
であり、そして、超広角ゆえに画面内に太陽が直接入りやすく、
ゴーストやフレアが発生する事などが欠点として上げられる。
ただ、それらはいずれも銀塩時代での話だ。
画面周辺で問題がある事は、マニアの「常識」であったのだが、
現在、それを回避するのは単純だ、例えばマイクロフォーサーズの
小さいセンサーで使えば良い。まあ、その代わり、超広角という
特徴は失われ、40mm相当という準広角の画角となってしまう。

しかし最短20cmの近接性能は維持されるので、準広角ながら、
比較的使いやすいスペックとなる。
また、画角が狭くなった事で、太陽の直接光が入りにくく、
ゴースト、フレアの問題も回避しやすくなる。
そもそも、欠点がわかっているのだったら、そういうのは
回避して使えば良いだけの話だ、オールドレンズの楽しさは
むしろそういう部分にあり、現代のレンズのようにオールマイティ
に使える事を期待してはならない。それに、そういう優等生の
レンズが面白くないから、こうしたジャジャ馬を乗りこなす事を
目的としてアダプター遊びをするのではなかろうか?

したがって、銀塩時代での本来の超広角レンズの場合とは、
ずいぶんと異なる扱いを狙うレンズに変貌する、レンズスペック
が変わることで、それに応じた新しい撮影スタイルが出来てくる
訳だ。このあたり、様々な特徴や仕様を持つ複数のミラーレス機
との組み合わせの面白さだ。
一般的なレンズマニアは、α7などのフルサイズミラーレスを
母艦として、様々なオールドレンズによるアダプター遊びを
楽しんでいると思うが、私の感覚ではむしろ逆で、レンズの
特徴にあわせたボディを選ぶのが楽しみ方なのだ。
で、このGF1との組み合わせは残念ながら失敗。
やはりMFやアダプター使用時の性能に課題があるGF1を
このCOSINA 20mm/f3.8では完全に救済する事は難しい。
このレンズは、今の時代にどうしても必要なレンズでは無いとは
思う、新たに中古を探して購入するというよりは良く売れたレンズ
なので、もしかしたら昔購入していて、今は休眠している状態の
ユーザーも多数居ると思われるので、たまには使ってあげるのも
良いかも知れないな、という感覚だ。
10年ほど前であれば中古もたまに見かけたが、相場1万円強
程度では、新品だった頃の販売価格と変わらなかった。
もし現在中古があったとしても、1万円を超えてまで購入する
レンズでは無いと思う。
でも思うに、このレンズを製造販売していた時代のコシナは
OEMが中心でブランド力が無く、その点ではだいぶ苦戦して
いたのであろう。高い技術力を持っていてもネームバリューが
無ければ、高性能の製品を作ることすら出来ないのだ。
現代ではブランドの価値感覚はだいぶ変貌しているが、20世紀は
そうではなかった、有名メーカーの製品で無いと誰も見向きも
しなかった時代なのだ。
コシナは、1990年代後半にフォクトレンダーブランドを取得し
やっと高級なレンズやカメラを作れるようになった。その後も
ツァイス系の製品(「ツァイス・イコン」ブランドの取得や、
カール・ツァイス社のレンズの委託製造)で、現在においては、
バリバリの高級品メーカーとなったのは言うまでもない。
もし、コシナがコシナのままで、今でもOEM生産が主であったら、
冒頭に紹介したノクトンのようなレンズは、作りたくとも絶対に
作れない状況であっただろう。
(ちなみに、現代のデジカメ時代でも多種多様なメーカーに
カメラの様々な内部部品を設計供給している大手企業がある。
そのメーカー名は表には出てこないので、殆ど誰も知らない
状況であるが、そのシェアは凄まじく、結局、ほとんどの
カメラは皆そこで作られているのではなかろうか?とも思う。
さらに言えば、イヤホンも同様で、想像を絶する数のイヤホンを
世界各国の多数の有名オーディオメーカーに製造供給している
巨大企業が韓国に存在する)
そんな状況の中、私としてはブランド名なんてどうでも良いから、
値段が安くて性能の高いレンズ、すなわちコストパフォーマンス
が良いレンズがあれば満足なのだ、つまりブランドの名前で
レンズやカメラの性能は決まる訳ではない、という事だ。

さて次は、以前も紹介したPENTAX Q7用の純正トイレンズ
07 Mount Shield Lensを、再度持ち出してみよう。
おさらいであるが、レンズのスペックは、11.5mm/f9
一応パンフォーカス仕様でピント合わせ機構は無いのだが、
その割には、すべての撮影距離でピントが合う訳ではなく、
中距離の被写体以外はピンボケになる。そして、画面中央部
のみシャープであり、画面周辺は、盛大に流れる。

これはこれで、そういう性能だ、と認識して使えば、
逆に特徴として利用する事もできるわけだ。
元々実売4000円くらいのレンズだ、だから「安かろう悪かろう、
どうせ玩具だ」というのは、まあ普通の考えだが、そうでは無く、
トイレンズであれば、その、他のレンズでは絶対に無いクセ
(欠点)を逆に生かす、というのが1つの楽しみ方となってくる。

まあ、とは言え、中央に被写体おかなければ、その収差から
なる欠点を逆用する訳にはいかない、構図上の制約はなかなか
厳しいところではある。
しかし、Q7(Qシリーズ)では、その大きな特徴である
エフェクト母艦としての優秀性がある、ストレートな絵だけ
ではなく、多彩なエフェクトと組み合わせることでさらなる
楽しみが出てくるではないか。
そして、超小型システムである長所を生かせば、このレンズは、
もはや持っていないに等しい小ささと軽さだ、好きなときに
ポケットから取り出して使えば良いし、飽きたらノーマルな
レンズに戻して使えば良いわけだ。

これは飽きてしまって(汗)、標準ズームに変えての撮影。
さて、今回、何故この07 Mount Shield Lensを再び紹介して
いるかといえば、それは前記事の補足説明という訳ではなく、
こちらのレンズとの差を比較するためだ。

こちらも以前紹介した、LENS BABY 3G
これは、非常に使いこなしの難しいレンズだ。
困難な点は大きく2つ。その操作性と、絵作りの創造性だ。
操作性は、ともかくやりにくい、まあ、以前の記事で裏技的に
レンズをロックせずフリーのまま手持ち撮影してしまう事で
かなりの速写性を得ることができる事は説明したのだが、
もう1つの「どんな絵になるか」という部分に関しては
画面を見るまでは殆ど予測する事ができず、とても難しい。
まあ、結果の画像だけ Mount Shield と比べるのであれば、
どちらもスイートスポット(画面の中で、はっきり写っている
ごく一部の部分)があって、その他の画面はグワーッツと
流れるので、一見似たような絵になると想像してしまうのだが、
そのあたりは実際には結構異なってくる。

やはり、Mount Shieldに比べてLENS BAYの画像の流れ方は
尋常ではない。これは本当に難しく、予想がつきにくいという
以上に「どういう絵作りをしたら良いか」がわからないのだ。
結局、下手すれば、みな「ミニチュア・ジオラマもどき」の
撮り方ばかりになってしまうであろう、そうならないように、
この特徴をどう活かすべきか?というのを考えるのが難しいが
逆に言えば、これもノクトンやMount Shieldと同様に、他の
レンズでは得られない写りが特徴なわけだから、なんとか
そこを活かそうと努力するしか無いという事なのであろう。

Mount Shield とLENS BABYの最も大きな差は、操作性で
あると思う。方や何も操作できないアンコントーラブルの
ボディキャップであり、方や(後継機が「コントロールフリーク」
と呼ばれたほどの)細かい操作を撮影時に要求されるレンズで
ある。この差は天と地ほどもある。だからどっちが良いとか悪い
とか言うのではなく、それらの差を理解し状況に合わせて
楽しむのも面白い。
----
まあ、今日取り上げているレンズは、いずれもキワモノであり
他には無い強い個性を持っているという事だ。
こうした個性は、ほとんどのユーザーにとっては使いにくさ
等の欠点としか捉えられないことであろう、けど、それを
欠点とは思わず、どうしたらその個性を長所に転換できるか?
そこが、やはりマウントアダプター遊びの面白さや興味の
根幹の部分ではなかろうか?と思う。
さて、キワモノばかりであるが、本記事のラストもまた
ちょっと変ったレンズだ。

カメラはNEX-7、Eマウントの旧フラッグシップで、
Eマウント機の中では最も複雑かつ高度な操作系を誇る。
この複雑な操作系は、やりすぎ感がユーザーからは嫌われた
かも知れないが、私としては、それまでのNEXシリーズの
操作系は不満の塊であったので、この仕様は大歓迎だ。
Eマウント機の中での比較のみならず、他機種全般と比べても
NEX-7の操作系はかなり優秀であり、マウントアダプターの
使用時においても、完璧とは言わないまでも及第点だ。
このカメラが、たかがフルサイズでは無いという理由だけで
現在の中古相場が暴落している事が私には信じられない。
この価格(3万円台前半より)でこの性能であれば、あと
10年程度、2~3台使い潰して、買い換えていっても十分
その頃まで現役で使えるのではなかろうか。
(事実、私は、初代GRDや、コニミノα-7Dは、10年を超えて今
なお現役で使い続けている、優秀なデジカメはそういうものだ)
まあ、あまり褒めると、玉数が減って中古相場が上がって
しまうので、このあたりまでにしておこう(笑)
レンズは、МИР-24Н ロシアン(ウクライナ製)だ。
このままではロシア文字(キリル文字)なので、読めないと
思うので、対応アルファベットに変換すると、MIR-24Nとなる。
どう発音するのかはわからないが、まあ、アルファベットでの
読みで「ミール」とマニアの間では呼ばれている。
最後のN(キリル文字ではH)は、ニコンマウント互換で
あるという事は、過去何度かロシアンレンズの記事で
述べている通りであり、そして、ニコンマウント互換と
言っても、実はそれは、KIEV-19系マウントであって、
完全にどの(銀塩)ニコン機で上手く装着できる保証が
無い事も以前の記事で述べている。
確かに、このMIR-24は銀塩ニコン一眼ボディで使うには
怖いものがあった。以前の他のロシアンレンズ記事で述べた
状況と同様で、固くて装着しにくい。無理に嵌めると外れなく
なったりマウントを破壊してしまうリスクもあった。
ただ、ニコン用マウントアダプターでは、比較的スムースに
脱着できるケースがある事も、先日来、わかってきたので、
今回もアダプターに装着すると、カチリと気持ちよく嵌った。

このMIR-24 レンズのスペックは、35mm/f2.0であり。
最短撮影距離は24cmとかなり寄れる方である。
APS-CサイズのNEX-7に使うと、ほぼ50mmの標準レンズとして
銀塩時代からの画角感覚をそのまま活かすことが出来る他、
f2と明るく、かつ近接撮影に強いのでマクロ的な使い方も
でき、汎用性が極めて高い。
これを私が購入したのは1990年代後半、中古価格は8000円程
であったが、新品でも2万円ほどで流通していたように思うので
当時の入手性はさほど悪くなく、結構多くのマニアが所有して
いたようにも思える。ニコン(互換)マウントであるという
のも流通量が多かった要因であろう。
ただ、多くのマニアは、これもまた「ロシアン」としての
良さと悪さ、すなわち「たまに良く写るときがあるが、
ほとんどの場合は、酷い性能である」という風な評価しか
下してなかったように思える。まあ、銀塩時代は撮ってから
現像しないと、どう写っていたかはわからないので、撮影時
の試行錯誤やそのフィードバックが出来ず、やむを得ない。
けど、私は、このレンズは銀塩時代から「なかなかの高性能
レンズだ」と高く評価していた。ただ、前述のニコン互換
(つまり、装着しにくい)という問題があって、機械トラブル
を避けるため、使う頻度はさほど多くは無かったと思う。
今、ミラーレス時代になってレンズ装着の問題は回避できた、
しかもAPS-C機では汎用性の高い標準マクロもどきとなる。
オールドレンズの例にもれず画面周辺の収差と言う課題も
APS-C機ではイメージサークルが小さい為に自動的に回避できる。
他の様々な欠点は撮影時に気づくことができる、必要ならば
それらの欠点を回避してもよし、あるいは逆用して個性にして
しまっても良い。

そうした状況の中で、あらためてこのレンズを使ってみると、
やはり良いレンズだ。特に問題となる点は見当たらない。
このレンズの出自については良くわからないが、まあ、ロシア
レンズのマニアで色々調べている人のところとかには情報は
出ているであろう。
ただ、私が思うに、これ以前のロシアレンズは、たいていが
独国製の優秀なレンズの設計を大いに参考にして製造された
レンズが多い中、このレンズに関して言えば、そういうコピー
の元となったネタが、なかなか見当たらない。
あるいは、ニコンマウントをKIEVで採用していることなどから、
ニッコールの35mm/f2の設計を参考にしたのかな?と思いきや、
レンズ構成が異なる模様だ。
すると完全なオリジナルか? そのあたりの詳しい事情は
不明なのだが、ともかくロシア(ウクライナ製)レンズの
中では、やや異色な雰囲気だ。
あえて欠点を上げるとすれば、これまたオールドレンズの
宿命である逆光性能の悪さと、ボケ質の破綻であろう。
ただ、もうこのシリーズ記事では何度も述べているとおり、
そういう欠点はもはや「常識」であるから、それらを回避
して使えば良いだけの話だ、回避の手段も何度も述べて
いるので割愛しよう。
逆光はともかく、ボケ質の破綻は、このレンズにおいては
開放近くで出やすい。まあ、背景の絵柄によるが、たいてい
状況を確認しながら、少し絞れば回避はしやすいと思われる。

それらのレンズ特有の欠点をカバーできる術を知っていて、かつ
実践できれば、このレンズは実用的で、かなりの高性能だと思う。
個人的には大いに気に入っている部類だ、
そう思うと、MIR-24という型番も、ロシア的な雰囲気がプンプン
としてきて、24という焦点距離もf値も関係ない通し番号が
(まさか最短撮影距離の24cmが由来ではあるまい)なんとも
ロシア的で、まるで戦闘機の型番のようで、面白い。
まあ、Jupiter-9 とかヘリオス44とかのように、焦点距離等
の仕様とは無関係な型番である事は、ロシアンレンズの常かも
知れないが、今の時代からしても、なかなか新鮮な感覚ではある。
----
さて、今回の記事も「キワモノ」なレンズばかりの紹介に
なってしまった、まあ、基本的に、私は「唯一の」とか
「個性的な」とかいったものが好きなのである。
そのあたりが「度」をちょと越してしまうだけで、キワモノに
なってしまうのであろうが。
次回シリーズ記事に続く・・・