安価な中古ミラーレス機と、マニアックなレンズにより
コストパフォーマンスの極めて良いシステムを構築する
というコンセプトを持つ、このシリーズ記事。
今年2016年の序盤は本シリーズを重点的に掲載予定。
きりの良い10回目は、まずこのシステムから。

カメラはオリンパス PEN Lite E-PL2、中古で1万円以下で
入手できるPENシリーズの中では、最も性能に優れている。
レンズは、SIGMA 30mm/f2.8DNである、現在流通している
A(Art)タイプではなく、こちらは初期型だ。
Aタイプへのマイナーチェンジが行われる直前、量販店で
新品が8000円台で投売りされていたものを購入した。
このレンズは新旧問わず、現在中古で1万円強の価格で
入手する事ができ、玉数も豊富だ。
ボディ+レンズの合計価格は2万円程度と極めて安価だ。
後述するが、極めて高コストパフォーマンスである。

SIGMA製のDNレンズ(19mm.30mm,60mm)の描写力は
どれも優れている。それもそのはず、SIGMAの高級コンパクト
DPシリーズの搭載レンズを、ミラーレス機向けに単体販売して
いるという訳なのだ。
銀塩時代、高級(フィルム)コンパクトのレンズを単体発売
した例はいくつかあった。
具体的には、リコー GR1 の28mm/f2.8 ,GR21の21mm/f3.5
そして、ミノルタ TC-1 の28mm/f3.5である。
まだあったかも知れないが、記憶にあるのはここまでだ。
これらはいずれもレンジファインダー機用のLマウント版での
発売となった、しかし、せっかくの広角単焦点が、レンジ機の
機構的な制限から、最短撮影距離が伸びてしまい(まあ、
距離計非連動で使えば、ある程度は寄れたが)特徴が失われ
ていて、実用というよりは、コレクターズアイテムであった
ようにも思える。
デジタル時代、高級(デジタル)コンパクトの搭載レンズを
単体発売した例は少ない。このSIGMA DNシリーズの3本くらい
ではなかろうか?
例えば、SONY RX1の35mm/f2.0 、FUJI X100の23mm/f2.0 、
RICOH GR(Ⅱ)の28mm(相当)/f2.8 などの高級コンパクト機の
レンズを単体発売してくれたら嬉しい。
まあ、GRについては、GXR用28mm(相当)/f2.5があるのだが、
これとて、GXR専用であるから、GRを買うのとあまり変わらず、
他のボディで使うという訳にはいかない。
そして、それぞれの高級コンパクトはセンサーサイズも異なる為、
イメージサークルの問題などで、レンズ単体発売を難しくして
いるのであろう。
さらに言えば、どのマウントで製品化するか?というのも問題だ。
まさか、銀塩時代のようにライカマウントという訳には行くまい。
銀塩時代であれば、互換性の高いMFマウントの代表として、
レンジ機用のライカL/M,および、一眼用のM42が存在していたが
デジタル時代では、標準的な高互換マウントは存在せず、
あえて言うならば、マイクロフォーサーズとSONY Eであろう。
もし、ライカM等で製品化してしまうと、また例の最短撮影距離
の問題が出てくる。今時の写真の目的や撮影技法であれば、近接
撮影ができないのは致命的だ。銀塩時代は、皆、それを我慢して
レンジ機を使っていたが、それはあくまでカメラ側の問題であり
利用者のニーズとは異なる。「靴に足を合わせる」ような考え
方は、ユーザーニーズが多様化している現代では有り得ない。
まあ、それらの現状からSIGMA がDPシリーズの搭載レンズを
マイクロフォーサーズおよびEマウントで製品化したのは
正解であろう。おまけに価格も非常に安価であり、新品価格
ですら1万円台後半である。

写りはとても良いのだが、課題は、その安っぽい外観だ、
プラスチック製なのはまだ良いとして、カメラの電源を切ると
AF機構が、カタカタと、部品が外れているような音を立てる。
これは正常であり、電源を入れると、AF関連部品が正しく
電磁的に動作して、音を立てる事は無い。
外観の問題に関しては、やはり評判が悪かったのであろう、
発売後1年ほどして、現在のAシリーズにブラッシュアップされ
金属風の外装、黒に加えて銀色もラインナップされるなど、
だいぶましになった。その切り替え期を狙って安価に入手した
このレンズであるが、現在の中古相場では、旧/Aタイプに
大きな価格差は無いので、購入するのであれば新型の方が良い。
AF動作が主体となるレンズであり、MF操作は向かない。具体的
には、無限回転式のピントリングである事と、そしてそれに
より最短撮影距離(30cm)のあたりの感触判断ができない事だ。
なので、MFは完全にあきらめ、今回は、カメラボディとして
MF操作が得意で無いE-PL2を用いている。これはいつも書いて
いる、カメラとレンズのお互いの「欠点を相殺する」という
意味である。

現代風の高性能単焦点レンズ(システム)を、極めて安価に入手
しようとすれば、本システムは僅かに2万円なので、これ以上の
コストパフォーマンスはなかなか無い。
ただし「それで写真を撮っていて楽しいか?」と聞かれれば、
そればまったくの別問題だ、AFポイントの微調整などは、
このシステムでは出来ようもなく、結局、ほんの僅かに絞りを
絞って後はAF任せだ、E-PL2の絞り調整機能は露出補正側に
最初から切り替えておくが、その露出補正位しかクリエィブな
操作は出来ない。アートフィルター(エフェクト)はこのカメラ
には存在しているが、露出モードダイヤルを切り替えての設定
なので、通常の絞りの調整などの機能が失われてしまう。
ということで、撮影を楽しむというシステムではなく、
あくまで、安価かつ手軽に高画質な写真を撮りたいという
ユーザー向けであろう。
それと対極なのは次のシステムだ。

カメラは いつものLUMIX G1だ、もう説明の必要も無いと思うが、
コストパフォーマンス最強の、日中用のオールドレンズ母艦だ。
レンズは、これもまた本ブログでは過去何度か登場している
コシナ・フォクトレンダー NOKTON 25mm/f0.95だ。
現在4本発売されているノクトンシリーズの初代(の初期型)だ、
発売されてすぐ新品購入している。
中古は極めて少ないが、無いというわけではない、あれば概ね
7万円弱程度であろう。
私は、この他、42.5mm/f0,95のノクトンを所有している。
いずれ他の2本(17.5mm/f0,95,10.5mm/f0.95)も入手したい
のであるが、いかんせん新品しかなく、しかも高価である。、
定価レベルでは12万円前後、量販店で新品割引でも10万円弱
してしまう。
で、使いこなしは極めて難しい。難易度はAクラスであろう。
マイクロフォーサーズ専用で、MF操作で、かつ開放f値は驚異の
f0.95であるから、被写界深度は極薄だ、
ノクトンのMF操作に耐えられる機種は、PANAのG/GHシリーズ、
オリンパスOM-Dシリーズなど限られたカメラしか無いし、
それとて、EVFの仕様などによっては、MF操作が阻害される事も
あり、MF操作系の問題もあり、まあ、カメラ側の性能や仕様を
選ぶし、そしてカメラの性能だけでは、どうしようも無いのが
このレンズによる絵作りだ。結局は、あらゆる点で難しい。

このノクトンシリーズはどれも寄れるレンズであるので、
まずマクロレンズ的な使い方は、特徴を活かす基本であろう。
ただ、マクロ撮影となると、さらに被写界深度が浅くなるので、
動く被写体はまず無理だ、勿論、日中の屋外であれば三脚の
必要性は全く無い。元々レンズの明るさは明るすぎるほどあるし、
(屋外では、常時ND4ないしND8の減光フォルターが必須だ)
手ブレなんてしようがない。そして超大口径レンズを絞って使う
意味も無い。なので少しでも動く被写体は、手持ちであろうが
三脚を使おうがアウトなのだ。
そして、ノクトンは近接撮影でなくとも、通常の近~中距離の
撮影でも、背景をゆるやかにボカして被写体の立体感を出す
事ができる。

しかしこの用途であれば、ノクトン25mmは、その超大口径にも
関わらずボケ量をさほど稼ぐことはできない。それは1つは
マイクロフォーサーズのセンサーサイズの小ささにもよるし、
焦点距離が25mmと比較的短いという事も理由だ。
なので、こういう背景ボケ風スナップを撮りたかったら、
同じノクトンでも42.5mm/f0.95を選択するのが良いであろう。
25mmよりさらに難しいレンズであるが、まあ、25mmにしても
通常のレンズとは比較にならない高難易度レンズであるので、
42.5mmを選んだとしても大同小異であろう。
そして、難しいとはわかっていながらも、どうしてもこの
ノクトンを人物撮影に使ってみたくはなる。

ノクトンとは「夜の」という意味だ、フォクトレンダー以外では
ライカの「ノクチルックス」、ニコンの「ノクトニッコール」
パナの「ノクチクロン」などがあるが、いずれも「ノクト=夜」
すなわち「暗い場所で撮るレンズ」という意味の名称だ。
上のポートレートでは、実際の撮影も夜、というか日の沈んだ
後の時間帯である、この状況で自然光のみで撮ろうと思ったら、
超高感度(ISO10万以上)カメラか、超大口径(f1.0程度)レンズ
しか方法が無い。シャッター速度を遅くするのは人物では不可だ。
ちなみに、f2.8クラスの一般的な大口径レンズに比べて
f0.95は約8倍以上明るい、この比率をISO感度に適用すれば
ISO12800に対し8倍明るい感度は10万2400という事になる。
あるいは、f2.8でISO3200で撮れる状況であれば、f0.95ならば
ISO400でOKという事だ、数値は状況に応じ同比率でシフトする。
シャッター速度で言えば、f2.8レンズが 1/15秒で苦しい時、
f0.95は1/125秒以上で楽々撮れる。これらは単純な計算例だが、
8倍という比率の凄さが分かると思う。
ただ、f2.8のレンズをISOを上げて使うのと、f0.95を低ISOで
使うのは根本的に異なる。これは低ノイズという意味ではなく、
それよりも、レンズの性能差で被写界深度が全く異なるのだ、
超大口径レンズの近距離撮影での強烈な背景ボケ量は、
背景のイメージすらも大きく変えてしまう効果がある。
ただ、その性能を、どんな作画表現に用いるか?というのは
また別問題だ、いつでも、ただ背景を大きくボカせれば良い、
という訳では決して無い。
まあ、それやこれや様々な理由があるが、総合的に、とても難しい
レンズである事は間違いない。誰にでもオススメできるレンズでは
決して無いが、オールドレンズなどに飽き足ら無い人は、こういう
レンズに注目してみても良いのではなかろうか。
さて、あまりシビアなレンズの話ばかりでも疲れてしまうので
次は、一転、トイ(玩具)レンズだ。

以前の本シリーズ記事でも紹介したシステムであるが、再度。
カメラは、PENTAX 超小型ミラーレス機のQ7
レンズは、純正 03Fish Eye である。
このレンズは正統な魚眼レンズではなく、魚眼風のトイレンズ
である。一応ピント機構がついているが、以前の記事でも書いた
ように、どうもピントが良く合わないという課題がある。
Q7からセンサーサイズが大型化した事で、設計時の被写界深度
との矛盾が出てきているのではなかろうか?と推察している。
でも、トイレンズなので、そのあたりは、あまり重要では無い、
問題は「どんな面白い写真が撮れるか?」という事だ。

これは「極彩」フィルターとの組み合わせ。
何度かこのカメラの記事で述べているように、このQ7の最大の
特徴は、超小型であるという点ではなく、エフェクトの自由度
の高さと、その操作系である。つまり簡単に言えば「遊びに
徹したカメラ」としては極めて優秀である、という事だ。
Q7を持ち出して、その多様なフィルターエフェクトを使わない
のであれば長所が半減してしまう。

こちらは、ダイナミックトーン(擬似HDR)により絵画風に
仕立てたもの。魚眼のデフォルメ効果とあいまって、見慣れた
「二月堂」の風景が、まるで異次元の場所にように感じてしまう。
絵画風といっても、シュルレアリズムとかキュビズムといった、
非現実的な空間を描くような画風に近くなるのがとても面白い。
ただ、魚眼レンズの使いこなしは以前の記事でも色々と書いて
いるように、かなり難しい。そのデフォルメ(変形)効果が
頭の中で予測できないから、自分の撮りたい写真と実際に
写る写真が一致せず、混乱してしまうのだ。
ビギナーであれば、自分が思いもよらぬ写真を撮れる事は
むしろ新鮮な驚きだろう。
だから、ビギナーは「望遠レンズで遠くのものを写す」
「広角レンズで広く写す」「大口径レンズで背景をボカす」
「マクロレンズで近くの小さいものを大きく写す」などに
ハマる事は勿論、「魚眼レンズで、思いも寄らぬ写真を撮る」
事についても同様に面白いと思うのであるが.
しかし、写真をある程度続けていれば、望遠、広角、大口径、
マクロあたりは、それがどんな効果をもたらすレンズである事は、
わかってくる、なので、そうしたレンズでも撮る前から、
どういう画(え)になるのかは予想できる訳だ。
だから、ここではこう撮りたいという目的を持って、標準
ズームなりを、そうした特殊なレンズに交換して使う訳だ。
しかし、そうしたベテランであっても「魚眼」は無理であろう、
どういう写りになるのかは想像ができない。
この魚眼を、こういう写真が撮りたいと、確信的に使えるように
なれば面白いのだが、なにせ、経験をつまなければならない。
魚眼ばかりで1万枚くらい撮影すれば、たぶん慣れてくると
思うが、さすがにそこまで魚眼マニアでは無いし(汗)

魚眼+フィルター効果で面白い写真を撮る、と思っていながらも、
魚眼の予測不能なデフォルメ効果に翻弄されて、エフェクトの方
までは、なかなか頭が回らない。
Q7の前面ダイヤルには、「ダイナミック」「モノカラー」
「USER(トイカメ風の独自設定)」「極彩」を登録している。
これ以外のエフェクトを用いようとする場合、INFOボタンを
押してメニューからフィルターを選択し、それから、どんな
フィルターにするかを選び、さらに、±ボタンを押して詳細
メニューを出して、フィルターのパラメータを細かく設定する
必要があるのだ。これは面倒な操作系ではあるが、まあ、
そうやって細かく設定したエフェクトを登録し、さらに前面
ダイヤルにアサインできるので、その点は優れている。
で、こうした細かい設定操作そのものは、さして嫌いでは無い。
被写体が動かず、たっぷり時間があれば、その設定をしていても
問題は無いが、被写体の状況は刻一刻と変化してしまうので、
その点からすると複雑な操作系はNGだ。
もう1つ大きな問題がある、それはカメラの機能・性能的な問題
ではなく、撮り手の「想像力(創造力)」の問題だ。
多彩なフィルターエフェクトを使おうとすると、この被写体の
場合には、どんなエフェクトをどのようにかけたら良いか、
(面白いか)という部分は、多大な創造性を必要とする。
これは、いくらやっても簡単には身に付くものでは無い。
昔の銀塩トイカメラのように「突然変異的写真はカメラまかせ」
という訳にはデジタル時代ではいかない。膨大な機能を持つ
現代のデジタルカメラを使いこなすには、様々な能力が必要と
されるが、それをする事で、より創造性の高い写真を撮って
楽しむ事ができる訳だ。
やもすると、撮り続けているうちに、そのあたりの創造性が
二の次になってしまい、安易に同じようなエフェクトばかりで
撮ってしまいがちだ、このあたりは注意する必要がある。
・・という訳で、エフェクト母艦やトイレンズは、たまには
創造力を鍛えるためにも良いが、いつもそればかりでは疲れたり
飽きたりしてくる。さて、次は、正統派のシステムだ。

カメラがGXR 、ユニットが A12 50mm/f2.5 Macroだ。
正統派というか、硬派なカメラだ。
小型のボディに装着するユニット(レンズ+センサーの一体)は
高性能のAPS-Cサイズセンサー、調整された画像処理エンジン、
さらに描写力では定評がある A12 50mmマクロということで、
まあ本格派のシステムである。
ただ、いかんせん設計が古い。2009年発売のこのシステムは
齢約7年を経過し、今時の機能(超高感度やエフェクト等)は
殆ど含まれていない。まあ、でも日中の通常撮影であれば
それらは問題にはならないし、少し古いシステムだからこそ
最近になって安価にシステムを揃えることができた訳だ。

A12 50mmはマクロレンズということで基本は近接撮影だが、
これが実は、あまり長所となりえないのだ。
1つは、マクロ倍率が1/2倍までな事、まあそれは良い。
そして、ピントが合わない事だ。MF操作は、GXRの仕様では
困難で事実上無理だ、するとAFに頼らざるを得ないのだが、
最短撮影距離近くではなかなかAFではピントが合わない。
勿論最短撮影距離を下回らないように注意しているし、AFは
高精度なセンター固定、そして、ピントが合わせにくい被写体の
部位を避けるなど、AFの基本的な注意点を遵守しているのは
言うまでも無い。だが、それでも精度不足で合わないのだ。
ましてや、被写体の細かい部位のどこを狙ってピントを合わせる
などはGXRのAF仕様、モニター仕様などの性能的には殆ど
不可能だ。
上の写真では、もうほんのわずかに前、花弁にピントが来れば
もうすこしシャキッとした写真になるのはわかっているが、
このGXRのAF精度では合わせようが無い。少しでもスポットを
外すと、ギーコと、遅いAFが背景にピントを合わせに行く(汗)
とても描写力の高いレンズであるのに、このあたりは非常に惜しい。
それこそ、冒頭のSIGMAのレンズの所で述べたように、このマクロ
をミラーレス機用に単体発売してくれれば、MFなりで自在に使える
ので嬉しいのだが・・・

まあでも、ある意味、GXRのような一眼モドキの小型ボディで
この描写力であったから、発売当時はユーザーの驚きもあった
のかも知れない。が、良く考えてみれば、一眼用のマクロレンズ
は銀塩時代から非常に優れた描写力を持つレンズが多数存在
していた。それは中望遠マクロに限らず、50mm相当の標準マクロ
でも同様である。
しかし、MFおよびAFの銀塩時代、50mmという焦点距離は
標準レンズまたは標準ズームレンズでカバーできる画角だった。
これらを持っていないカメラユーザーは皆無であっただろう。
だからこそ、同じ焦点距離の標準マクロを、ダブって追加購入
するユーザーは、なかなか居なかったのに違い無い。
標準レンズと標準マクロはまったく用途が違う、と言った所で、
銀塩時代のカメラマンの撮影技法は、主に平面的な画角感覚に
依存する撮影技法が一般的であったので、標準マクロを買っても、
標準レンズと同じような使い方しかできかなかったのでは
あるまいか? そしてAF銀塩時代の後期にかけ、中望遠マクロ
(90mm前後)が普及してきた。これは名レンズであるTAMRON
90マクロシリーズの功績も大きいであろう。だが、この90マクロも
デジタル時代となって、APS-Cサイズの換算画角では望遠すぎる
マクロとなり、それに変わる人気のマクロも無かった。
という訳であるから、実際のところマクロレンズを持っている
ユーザーの比率というのは、一般的に想像するよりずっと低い
のではなかろうか?と思われる。それはまあ、マニアやベテラン
であればマクロは必携レンズだから、多くが持っている事で
あろう、しかし、それを花の撮影とかの特別に決めた用途の
他で常用したりするユーザーが多く居るとは思えない。
ましてやビギナーユーザーならば、花や小物の撮影の為に
マクロレンズを買うという一点突破だ、他の目的など最初から
考えてもいないであろう。
なので、マクロレンズのほぼ全てが持つ驚異的な高画質、という
点が一般にあまり知られていないのではなかろうか?とも思う。
マクロがまだ文章複写用途に使われていた1970年代までの時代は
ともかく、1980年代以降のマクロレンズは、MF,AFいずれであって
も、また標準、中望遠いずれであっても、そこら辺のズームは
もとより単焦点レンズでも負けてしまうような高画質である事が
ほとんどである。
そういう風にいったん冷静に、マクロレンズの歴史を振り返って
みると、このGXRの50マクロの描写力は、まあ「普通に良い」
という感じかも知れない。GR系レンズに共通する独特のボケ質
を持ち、そのあたりは個人的には好きであるが、まあ、だからと
言って、最強のMINOLTA AF50/2,8 Macroに勝てるか?
と言えばそうでも無いと思う。
良いレンズではあるものの、使いにくさという部分は大きな
減点要素だ、特にピントが会わないのは致命的に近く、これで
あれば一眼用の50マクロや90マクロを一眼レフやミラーレスで
使った方がストレスにはならない。
まあでも、小型軽量という利点は残るし、価格も現在はずいぶんと
安価な相場になってきている(ユニット単体で25000円前後)
ピントが合わないのを我慢するか、あまり本格的なマクロ撮影に
使わないのであれば、このレンズの描写力は、これはこれで捨て
がたく、コストパフォーマンス的には悪くは無いと思う。

結局は「使い方」なのであろう、レンズの短所ばかりに
目を向けていたら、ストレスになってしまうし、長所を
引き出してあげることが、より重要だ。
このレンズは近距離~中距離で、目を見張るような画質を
得ることができるし、変形ガウス型構成のレンズ(たとえば
プラナー系)のような、背景ボケ質の破綻もまず無い。
マクロレンズだから近接撮影をする、といった常識に
拘らなければ、かなりの高品質の標準レンズとして使うことが
可能なわけだ。
思えば、GXRシステムの単焦点標準レンズはこれ1本だけしか
発売されていなかった。A12 50mm/1.4などが発売されても
おかしくないと思っていたのだが、それは結局無かった。
だとすれば、このレンズは汎用性の高い標準レンズの
位置づけであったのかも知れない、マクロも出来る標準と
思えば、これはこれでGXRシステムの中の1つの役割として、
極めて優秀な標準レンズであろう。
今から購入するには、ちょっとタイミングが遅いかも知れない、
GXRの発売から6~7年が経過、確かに価格はこなれ、だいぶ
安価になったとは言え、ボディとこのマクロを購入するとなれば
最低でも35,000円程度の出費にはなってしまう。
それであれば、たとえば一眼レフのマクロシステムが購入
できる値段であるし、GXR本体の性能的な古さから思えば、
長く使えるシステムにもならない。
もう少し早く買っておけば、長く使ってこられたのだろうが、
以前は、ともかく高価であったのだ。あまりに高価すぎると、
この内容では、システム的なコストパフォーマンスが良いとは
言いがたい。
結局、、いろいろ良し悪しがあって、購入タイミングやらは
この機種に限らず、なかなか難しいところがある、まあ、でも、
GXRはユニット交換式という後にも先にも無いシステムだ。
こうした唯一なものに対し、自分がこのGXRと同じ時代の、
歴史の生き証人として、短命であるのが分かった上で
このシステムを購入するのであれば、それはそれで意味はある。
そう思うのであれば、今はGXRシステムの値段も下がっているし
購入のチャンスだと思う。勿論、もう数年したらもっと下がる
とは思うのだが、使える期間はますます短くなってくる。
それは機器の寿命の話では無い。ISOが3200までしかなく、
AFのピントも合いにくいカメラを、数年後の時代に、他の新鋭の
デジカメと一緒に使いたいと思うか否か?という話だ・・・
さて、今回はこのあたりまで、次回シリーズ記事に続く。