
2015年11月15日(日)に行われた、ROUNDHOUSE(ラウンド
ハウス)のライブの模様より、前編(リハーサル編)
今回はライブの記事というより、普段はあまり見ることの無い
裏方の世界という事で、ライブ前の様々な準備やリハーサルの
模様を紹介していくとしよう。
ROUNDOHOUSEは、現代では極めて数少ない日本のプログレバンド
である。
プログレとは何か?といえば、これは「プログレッシブロック」
の事である、本シリーズ記事の ROUNDHOUSE のライブ記事では
毎回「プログレ」について説明しているのだが、まあ、追々また
そのあたりは書いて行くとしよう。
今回のライブの会場は、大阪京橋の大阪ビジネスパーク円形ホール
である。昔は「MIDシアター」と呼ばれていたが、現在は、多目的
に使えるこのホールは、前記のような名称に変わっている。

OBP円形ホールに行くには、TWIN21の建物を目安にすると
分かりやすい。地下鉄長堀鶴見緑地線の大阪ビジネスパーク駅
すぐだが、京橋駅、大阪城公園駅等から歩くのも可能である。
さて、ライブと言うと、普通は夜から行われるのであるが、
今回はリハーサルからの撮影の為、昼から会場に向かう。
ラウンドハウスのライブ撮影は、もう8年くらい続けているので
あるが、その間、ずいぶんとバンドのコンセプトは変化した。
撮影を始めた当初は、「演奏技術が優れていて、今時珍しい
プログレではあるが、ちょっと地味だなあ」という印象だった
のだが、その地味である、という点をバンドも気にされていて
毎年のように、「魅せるステージ」を進化させていった。
今年はどんなステージになるのだろう? かなり楽しみだ。

会場に入ると、不思議なイラストが目についた、
HAUMONIA (ハルモニア)と、書いてある。
このイラストは何なのだろうか? そのあたりも追々説明
していくとしよう。
さて、「プログレ」とは何か? という話についてだが、
まあ一口に言えば、音楽のジャンルである。
主に1970年代、他に無い、先進的(プログレッシブ)な音楽を
作り上げるため、様々な実験的要素を取り入れた音楽の
総称である。
著名なバンドがいくつかある、ピンクフロイド、EL&P、
キングクリムゾン、イエス、ジェネシス、マイク・オールド
フィールドなどである。、
これらのバンド名は、彼等の活動時期から40年以上もたった
現代においても、伝説的であり、それぞれの有名曲などは、
誰もが必ずと言っていいほど聞いたことがある事だろう、
というのも、CMやTV番組のBGMとして使われる事も
かなり多いからだ。
実験的というのは、1例として40年前の当時においては、
まだ発売されたばかりの、シンセサイザーを用いたり、
それが出る以前でも、様々な電子(電気)楽器や、テープ
編集などの技巧を使ったり、アナログエフェクターを用いたり、
当時としては珍しくオーケストラとコラボしたりといった内容だ、
楽器や効果音などの音色ばかりでなく、音楽的にも、変拍子や
特殊な音階を使用するなど、あらゆる面で実験的な要素が
見られた。
そうした音楽は、今でも新鮮であり、現代に至るまで熱狂的な
ファンも多い。かく言う私もプログレファンであり、上に上げた
英国のバンドの多くのアルバムを所有しており、ポータブル
オーディオで良く聞いている。
ラウンドハウスの音楽は、プログレである、これらの先駆者の
影響も恐らく受けているであろう。私が彼等の音楽を聴いていて
思うのは、キャメル、キングクリムゾン、PFM,そして日本の
フラワートラベリンバンドあたりの、楽曲の構成やメロディラインに
影響を受けているのではなかろか?という感じである。
まあ、これらのバンドが好きであれば、ラウンドハウスの音楽は、
すんなり受け入れられると思う。

会場は音合わせのリハーサルの前の段階、様々な大道具の
チェック中である。こういう「現場の緊張感」は、嫌いでは無い、
だが、この様子だとまだまだ準備に時間はかかりそうだ。

座席数は400近くもある、2年程前迄のライブでのメイン会場
であった大阪のフラミンゴ・ジ・アルーシャは、200数十席
であり、ラウンドハウスの集客力だと、その会場が満員になり、
座席がぎゅうぎゅう詰めで、写真を撮るスペースもなかなか無い
状況であったので、最大500席くらい入るこの円形ホール
だと、かなり広く、まだ余裕がある。
しかし、この集客力は凄い、ラウンドハウスのライブは年に
1度程度であり、あえてカテゴライズすればインディーズという
感じなのだが、400もの集客が出来るインディーズは稀であろう。

PAのサウンドチェック風景、奥のベテラン風のミキサーマン
(音響エンジニア)は、なかなか凄かった。
ステージに立って、「アー」などと声を出しながら、ステージ
モニターの返しや、会場全体の音の響きをチェックする。
その際、ミキサーのグライコを調整する必要があるのだが、
ミ「次、1.6k上げて、ア~ じゃあ、1.6k 3デジ落として、
次は2k・・ 3.15k・・ あ、それ、4デシ下げて、
次、4k・・」
といった様子である、これがどんなに凄い事かは、私も音に
関わる仕事をしてい事があるので良くわかる。
ミキサーマンの所に向かって、ちょっと話をしてみる
匠「凄いですね、1/3オクターブのグライコを、耳で聞くだけで
それぞれのバンドのデシベル調整が細かくできるんですね」
ミ「あはは、まあ、会場によって色々クセがありますからね」
と、”そんな事は、当たり前だろう”といった口ぶりであるが、
そう簡単では無い。テキトーにやるならば、まあ、ちょっと
かじったくらいでも出来るかもしれないが、1/3オクターブを
1デシ刻みである、しかも、出る音を絶対音感的に、周波数に
ピタリとはめ込む、そこまでの精度は、やはり只者では無い。
ちなみに、一般の方にはさっぱり意味がわからないかも知れないが
このあたり、いちいち、どういうった意味か説明していると
長くなるので割愛しよう。なお、グライコ、デシベル、オクターブ
周波数。などは、いずれも専門用語などでは無い。
世の中で使われる、ごく当たり前の一般的な用語である。
カメラの世界で言えば、ミラーレス一眼とか、ISO感度とか、
それくらいの用語と同レベルの「一般常識」の範囲だ。
「専門用語がさっぱり・・」、という悩みを様々な分野で良く聞く
のであるが、たとえばカメラの分野だと、何が分からないのか?
と聞くと、絞りとか、シャッター速度とか、そんな基本中の基本の
用語だったりして、愕然としてしまう事がある。
まったくのビギナーだったらやむを得ないが、何年も写真を
撮っているのに、そんな感じだったりする。
それらは専門用語では無いし、わからないとしたら明らかに
勉強不足だ。
では、何故勉強不足になるのか?といえば、そのジャンルの事を
深く極めたいという意識が無いから、少しでも難しい事があれば、
その事から背を向けてしまうのであろう。
どんな趣味でも、極めようとしていかないと意味が無い。
極めるプロセスの中には、どんな事でも知りたいという純粋な
知的興味が湧いてくるの当然だ、その気持ちが湧かないという
事は、「趣味」の楽しみ方がわかっていないのだろうと思う。
まあ、もしくは、単にやっているだけで、それは「趣味」の範疇
では無いという事であろう。

会場は、まだしばらく準備段階なので、外のロビーに出てみよう、
こちらは、なにやら、様々な絵を展示でしている模様だ。
聞くところによると、アーティストの AYUMI ENDO さんと
ハモニズム氏とのコラボプロジェクトの展示であり、
今回のラウンドハウスのライブのメインコンセプトである
「ハルモニア」の企画と密接に絡んでいるらしい。
そういえば、上に上げた「ハルモニア」の絵のドームは、
これは、この会儒「円形ホール」のイメージでは無いか。
すると、これらの絵は、ほとんどが「書き下ろし」という事か、
なかなか凄いな、これはもう、なんというか「予想の斜め上」を
行っている(注:演劇専科「SODA」記事参照)

ロビーでは、スタッフが、今日のパンフやコラボアーティスト
のフライヤーなどを忙しく復路詰めしている。
さて、そろそろ、ステージの方の準備は出来たころであろうか?
ホールの方に入ってみよう。

ほう、レーザー光による演出ですか。
まあ、ラウンドハウスでは、既に数年前から、レーザー演出を
取り入れている。近年はライトアップやその他のイベント等での
レーザーの需要も多くなり、専門の「レーザー・アーティスト」
という職種があるくらいだ。今日もそうしたアーティストの
レーザープレーヤーの茶原さんが、来ていて、PCを使って
レーザーの動きを色々とプログラミングしている。
厳密なコントロールをするならば、音楽のテンポやタイミング
に合わせ、レーザーの動きを出すことも可能だ、恐らくは
タイムコードで同期しているのだろうが、今日のステージでも
実際にそうして音楽と連動した動きが見られた。

こちらは、「ドローン」だ。
まあ、しかし・・・ さすがラウンドハウス、最新流行のものは
何でも取り入れますねえ・・
このドローンはどう使うかと言うと、LEDを搭載しており、
音楽にあわせて、熟練のコントロールで機体を振ったり傾けたり
するという演出だ。ただ、さすがにお客さんの上を飛ばすのは
危険であるので、ステージ両脇の「エアリアル」用のエリアで
のみこのドローンを飛ばす。
近年は、ドローンによる空撮が大変流行しているが、個人的な
趣味で飛ばすのはさておき、業務用動画撮影の分野においては、
たとえば、従来のビデオカメラマンが、そうした撮影依頼が
来た際など、いったいどうしているのだろうか?
まあ、出来上がるものはいずれもビデオであるのだが、
これまでビデオカメラを扱っていたカメラマンに、いきなり
「ラジコンでドローンを飛ばせ」と言っても無理な話であろう、
それとも「それも仕事のうち」ということで、今、沢山の
カメラマンが、ラジコンの特訓をしているのであろうか?(汗)

さらには、今日のステージで投影するプロジェクターの
テストを行っている。前述のように、今日のステージは、
「ハルモニア」という仮想のストーリーが創作されていて、
2千数百年先の未来の地球の出来事が、ビデオコンテンツ
として作られている(まあ、それだけではなく、メンバーの
紹介なども組み込まれている)

こちらは「エアリアル」の、リハーサルだ。
7~8年前より「シルク・ドゥ・ソレイユ」の人気等により
日本でも良く知られるようになった「エアリアル」であるが、
まあ、一口に言えば空中アクロバット演技だ。
ラウンドハウスでは、こうした新しい流行は、勿論いち早く
取り入れている。確か4~5年前からだったであろうか。
当時は、大阪難波の「フラミンゴ・ジ・アルーシャ」の2階
吹き抜け部分を利用してエアリアルが行われていたのだが、
最初に見たときは、かなり衝撃的であった。
それ以来、ラウンドハウスのステージに「エアリアル」は
必須科目となっていて、今回は「Airy Japan」より4人の
メンバーが参加、ステージ左右に組んだ鉄骨より、各2名
づつのパフォーマーが、華麗でスリリングな演技を繰り広げる。

こちらは「POI(ポイ)」である、次々に、一般生活では
あまり聞かない単語ばかり出てくるので、説明が大変だが、
まあ、これは「ジャグリング」の一種である。
紐の先に玉や、棒がついていて、それを廻すという演技だ。
そう聞くと単純そうであるが、LEDつきポイで、光の軌跡
を見ているとなかなか綺麗で楽しい。
そして、単に、LEDを仕込んだ玉が光るという演技だけではなく、
棒状のLEDが沢山仕込まれたポイは、グラフィック・ポイと
呼ばれ、プログラミングすることで文字や図形を出すことができる。
そう、近年、夜間イベント、コンサート、ディナーショーなどで
空中に文字や絵を描く演出で使われる、アレ(名前は良く知らない)
の原理である。

あれやこれや、新しい事ばかりなのであるので、オーソドックス
な「ダンス」は、逆に目立たなくなってしまいそうだが、ダンス
ままた、ラウンドハウスのステージには欠かせない、数年前の
ライブより、こちらも必須科目となっている。
こんなに沢山の様々な演出が施されていて、いったい何の
ステージなのか? と疑問に思うかも知れないが、これは
あくまで「ライブ」であり勿論。音楽の演奏が根幹である。
音楽のジャンルは「プログレッシブ・ロック」である、
前述のようにプログレを名乗るからには、何か先進的な事を
やらなくてはならない(・・のか?)
1970年代のプログレでは、あくまで「音」の分野で、様々な
先進的な事を各バンドがやっていたのだが、2010年代、進化した
プログレでは、様々なパフォーマンスと、音楽とのコラボにより、
「魅せる」ステージを作り出しているのだ。
こうした発想の中心人物は、ラウンドハウスリーダーの加藤氏。

IT企業の社長さんという立場、そして趣味の世界の音楽から、
様々な幅広い人脈を持つこと、そして豊富な技術関連の知識により、
こうしたステージを実現しているという訳だ。
音楽は「趣味」のレベルは完全に超えている、
そもそも、1970年代、ラウンドハウスはその高い演奏技術により
当時のポプコン(ポピュラー音楽コンテスト:プロへの登竜門で
あった)で、数年連続で入賞しているという快挙をなしている。
しかし、ラウンドハウスはプロの道には進まず、長い間活動を
休止していた、再び活動を始めたのは、2000年代になってから
である。ラウンドハウスの創成期からのオリジナルメンバーは
現在2名で、現在、他のメンバーは全て、それぞれの楽器ジャンル
でのプロミュージシャンである、だから、これをアマチュアの
バンドとは呼べず、あえて言うならば「インディーズ」なのだが、
単にインディーズというと、色々な解釈があってややこしい、
ここでは「大手に属さない、独立したミュージシャン」という
意味で捉えている。
加藤氏の「技術」の話だが、4~5年前だったか、ステージで
LEDの演出を始めたころ、楽器やダンサーにLEDを装着する
のだが、勿論そんな専用のLEDは出ていない、なので、全て
加藤氏がLEDから回路から電源まで、手作りしたそうだ。
ステージ途中でバッテリーが持たなくなりそうなったり、
回路が発熱したり、色々と苦労があった模様だが、まあ、そういう
事ができるという事自体、さすがにIT企業の社長さんだ。
あと、ラウンドハウスのステージでは、ほとんどの曲で、いわゆる
「打ち込み」を併用している、このため、ドラマーの居ない
ステージも大変多い(今回はドラマーが参加している)
「打ち込み」は、まあ、音楽をやっている人の何割か出来るとは
思うが(ちなみに私も出来る)でも、そこには、単に「出来る」
という作業のレベル、と「音楽を創れる」という創作のレベルが
存在し、後者はとても難しい。つまり、オーケストラの作曲家とか、
ポピュラー音楽の編曲者のような能力を必要とするわけだ、
多くの楽器についての知識や、全体が合わさったときにどう
聞こえるかという経験、技術、感性など、非常に多くの才能を
必要とするため、まず一般の人には無理だ。(私も勿論出来ない)
「技術」といっても、電気や電子やパソコンの話のみならず
こうした、作曲・編曲技法といった「技術」もある訳だ。

さて、本記事「リハーサル編」はこのあたりまでにしておき、
次回、「ステージ」編で、その驚愕のステージを紹介していく
こととしよう。