安価な中古ミラーレス機を用いて、様々なマニアックなレンズを
装着して楽しむというシリーズ記事の7回目。
今回は、まずは、オーソドックスなMFオールドマクロから。

カメラはEマウント旧フラッグシップのNEX-7 、Eマウント機の
中では最強の高度な操作系を誇る、ただし、その高度で複雑な
使いこなしはかなり難しいので、ビギナーユーザー向けでは無い。
ここで「操作系」とは、ボタンやダイヤルの配置とかいった単純な
「操作性」という意味とは異なるのは、何度も述べている通り。
優れた操作系とは、必要なときに必要な機能を速やかに呼び出せる
という意味だ。
レンズは、ミノルタMF時代の、
MD MACRO ROKKOR 50mm/f3.5
ミノルタの標準マクロというと、AFのα時代のAF50/2.8が
「最強の標準マクロ」として存在している。α用のマクロは
その後、コニカミノルタ→SONYの時代になっても引き継がれ、
バリエーションも多いが、基本設計は変化していないので
初期型を入手するのが安価で良いであろう。
それ以前のMF時代のマクロは、あまり評価されてはいないが
αの直前の時代の物なので、基本的には悪くない。ただし、
古いレンズなので、逆光には弱く、フレアっぽい写りになる。

そして、1960~1980年頃のMFマクロレンズは、当時はまだ
コピー機が普及していなかった事から、書籍や新聞等の
文書の複製(撮影)用のレンズとしての用途があった。
それゆえ、ピント面のシャープさに設計の重点を置き、
結果、ボケ質などが犠牲になる事が多々あった。
これはまあやむを得ない、どちらかを優先すればどちらかが
犠牲になる「トレードオフ」だ。
しかし、MD 50mm/f3.5に関しては、複写用レンズ特有の
ギスギスした写りはなく、その後のAF時代のマクロのように
汎用性の高い(つまり、ボケ質が固くない)写りをする。
まあ、これは、一般ユーザーのマクロレンズの主要被写体が、
複写から、花などの自然物に変化した事が理由であろう。
特殊な用途のレンズではなく、誰もが使う機材になってきた
時代だった、という事である。

撮影倍率は 1/2倍と、MF時代のマクロとしては一般的だ、
いわゆる等倍(1倍、1対1)マクロは、その後1980年代
後半以降のAF時代まで登場を待つことになる。
1/2倍では、花の撮影では物足りない、というユーザーも
多かったと思われる。その為、このレンズでは等倍撮影を
可能とするアダプターが付属していた。
これは、何も中身が無いチューブを装着するとレンズの
レンズ繰り出し量が増えて、より近距離にピントが合う、
つまり大きく写せるという原理のアクセサリーだ。
マクロレンズ専用ではなく様々なレンズに汎用的に使える
タイプも当時の各メーカーから多数市販されていて、
現代でもAFレンズ用のもの等が市販されている。
しかし、このアダプターを用いると、原理上、近距離には
ピントが合うが、逆に遠距離にピントが合わなくなってしまう。
遠距離撮影のたびにアダプターを取り外すのは極めて面倒な
操作になり、マクロ専用で使うか、又は等倍撮影をあきらめて、
装着しないという事になる。
私の場合は後者だ、マクロレンズというのは、1本のレンズで
近距離から遠距離までの被写体距離感覚を用いて撮るレンズ
だと思っている(一般的なレンズは平面範囲的な感覚に近い)
で、今日は花しか撮影しない、とか、そんな用途も考えにくい。

中古価格は1万円程度迄で入手できると思う、玉数は多くない。
付属の等倍アダプターが欠品している場合は、さらに安価に
なっている事があり、それはむしろ狙い目だ。
現在、あえてこのレンズを入手する必然性は少ない、
安価に高性能なマクロレンズでの撮影を楽しみたかったら、
例えばミノルタAF50mm/f2.8マクロの初期型を1万円強程で
入手し、ボディは何でも良いが、例えばSONY α700で
あれば、かなり高性能かつ中古も2万円強と安価だ。
合計3万円強で、トップクラスのマクロシステムを入手できる。
αマウントのレンズをミラーレス機に装着できるアダプターは
存在する。αやEOSを始め、レンズ側に絞り環を持たないレンズ
は多いが、そのような場合でも、アダプターに機械的な絞り開閉
機構、物理的な絞り、電子接点のいずれかの方法で、絞り制御を
可能としている。しかし、そういう場合はオリジナルのマウントの
ボディを利用する方が、AFや絞り値制御などの機能制限がなく、
はるかに簡便だ。高価な特殊アダプターを購入するより、その
ボディを買ってしまった方が安くて早い。
AF50/2.8初期型は、操作性(操作系ではない)に弱点があり、
ピントリングの幅が狭いが、慣れればさしたる問題では無い。
それに比べるとMD 50/3.5 は、MFレンズの操作性の長所を保ち、
MF操作がほぼ100%となるマクロ撮影において、その点だけが、
AF初期型マクロに比べ、唯一の長所であろう。
機材のわずかな特徴の差異や長所を求めて、システムの幅を
広げていくのはマニアの特性であり、一般ユーザーの考え方では
無いのは確かだ。

結局「マニアック」とは何か?、というと、細かいところの
差異に拘りを持つ事なのであろう。
けど、単に「ここが少し違うから」という理由だけで収集する
だけでは意味が無いと思う。カメラやレンズは「使ってナンボ」
というものだ、あくまで実用上での差異を拘りにする事が
本筋であろう。
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さて、マクロレンズの話が出たので、ついでと言っては何だが
高性能な広角レンズとして名高い、GXR A12 28mm/f2.5を
マクロ撮影的に使ってみることにしよう。

カメラはGXR、レンズとセンサー(撮像素子)が一体となった
「ユニット」を交換できる「唯一」のシステムだ。
レンズ(ユニット)は、A12 28mm/f2.5 、センサーサイズは
APS-Cだ、28mmという焦点距離の表記は(35mm)銀塩換算
であり、実際のレンズは18.3mmという焦点距離だ。
最短撮影距離は、20cmと、「広角レンズの最短撮影距離=
焦点距離の10倍」という公式からすれば、やや不満な性能であり、
特に寄れるという訳ではない。ほぼ同じスペックのシステムで、
GRデジタルの新版「GR.GRⅡ」が存在しているが、そちらは
最短10cmである。
GXR+A12 28mm/f2.5では、マクロモードが無い。
交換レンズとしては当たり前であるが、コンパクト機の場合は、
マクロボタン一発で(描写力はともかく)最短撮影距離を
短くすることができるので、その点と比べると不満となる。
そして、最短撮影距離付近での本ユニットのAF精度は極めて
悪く、ほとんどピントが合わない状態になる。まあもともと、
広角レンズ=スナップ撮影、という一般的な撮影常識に合わせて
チューニングされたと思われる仕様だろうから、近接撮影等は
最初から念頭において居ないのであろう。
ただ、私が思うには、広角レンズは、その撮影アングルや
ポジションと被写体間の関連の自由度が高いことを活かした
「360度どこからでも撮影できる」事が大きな特徴であり、
それがメリットだと思うので、近接撮影に不満がある広角は
基本的にNGだ。
同様な理由でレンジファインダー用の最短撮影距離が70~
90cmという広角レンズに殆ど興味がもてないのも、
前記事等で述べた通りだ。
でも、あえて、そうした様々な不利を承知した上で撮影するのも
また楽しい。何故ならば、欠点を克服すると何か得をした
ように思うからだ。暴れ馬を乗りこなしている爽快感と言えば
理解しやすいかもしれない、あるいは、クセのある車やバイクを
乗りこなすのも同じ気分かもしれない。

A12 28mm/f2.5をマクロ風に使うと、こんな感じ。
かなりアンダーだが、これは、そういうイメージにしたかった
からだ。GXRシステムのエフェクトは、古い機種なので
、ほとんど何も付いていないに等しい。なので、最新の機種の
エフェクトの多さと比較するとクリエイティビティの不足を
感じてしまう事もある、よって、オーソドックスな絞り操作や
露出補正を駆使するという撮影スタイルになるのだが、
幸いにして、そういう基本操作は、GXRは当時のカメラと
してはとても優れている。
A(絞り優先)モードで、前ダイヤルが絞り、
背面十字キーの上下を露出補正にアサインし、さらに、
背面のADJレバーをダイレクトISOコントロール機能に
設定している。
これらにより「カメラの基本操作は、絞り、露出補正、ISOの
3つのダイヤルが必須だ」という、昔から私が言っている
厳しい条件をクリアすることができる数少ないカメラである。
さて、さらにマクロ的な撮影を続けてみよう。

広角レンズらしからぬ表現が、なかなか楽しくなってきた、
ただし、勿論、こういうのは A12 28mm/f2.5の常識的な
使い方では無い。
常識的には、ちょっと絞って、フルプレススナップモード等を
設定しておき、中距離のスナップ写真を撮るというのが普通で
あり、このカメラの設計思想もそうなっていたと思う。
ただ、それは銀塩のGR1から続く、つまり20年以上も前からの
撮影思想だ。初代GRデジタルからもすでに10年が経過している
GXR発売からも6年、そうした時代の変化の中、いつまでも
昔のままの撮影思想や撮影技法が通用しているとも限らない。
例えばだが、人物スナップ写真という分野は、家族とか知人とか
あるいはイベントなどの限られた閉環境の場合の業務上の撮影
等しか、現代では成立しなくなっている。
街中などで一般のカメラマンが勝手に見知らぬ人を撮影し、
許可を得ないままで写真を利用するのは、今や犯罪だからだ。
だからまあ、スナップ撮影などの機能を特徴として打ち出しても、
殆ど誰も、そういう撮影が出来なくなっているので意味が無い。
そして本家リコーにおいても、現代は全周カメラ「シータ」を
使って、それで空撮を行うなど、最新の撮影思想等が製品群の
主力になりつつあるではないか。ユーザーのニーズが多様化
しているのもその理由だが、そもそも多様化とは、様々な
スタイルや考え方が存在しているという事なので、まあ、
すなわち、カメラにおいては、どんな使い方も有りな時代だ。
余談だが、1970年代、電子楽器のアナログシンセサイザーが
登場した際、VCFのレゾナンス設定を最大に上げてしまうと音が
楽器の音にならず「ピー」という音に発振してしまう事があった。
それを設計上の欠陥として、あえてそうならないようにした
メーカー(機種)と、そのまま販売した機種があった。
結果、多くのミュージシャンは、そのVCFの発振を面白がって、
「口笛の音」として利用し、積極的に様々な音楽の中で活用して
いった。で、むしろ、その欠点を最初から排除した機種が
「口笛が出せない」と、売れなかった、という事があった。
つまり、ユーザーはメーカーの思いもよらぬ使い方をする
という事である。はるか数十年も前の電子楽器ですらそうだ、
現代のデジタルカメラやレンズにおいて、たとえ性能上の問題が
あったとしても、むしろそれを「特徴」として活用するのが
アーティストはもとより、ユーザーの本分ではなかろうか。
そして、それは「唯一の個性」になりうるという事でもある。
で、本シリーズ記事においては、マニアックな機材の選択も
そうだが、撮影のスタイルにおいても、マニアックな部分、
すなわち、様々な使い方を取り入れていこうと思った次第だ。
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さて続いては、トイ(玩具)レンズ

カメラは、オリンパスPEN Lite E-PL2
このカメラの特徴は、まず中古が極めて安価なこと(1万円以下)、
そして、同時期の他のペンシリーズに比較して性能的に優れて
いることだ。例えば背面液晶モニターの解像度が上位機種よりも
高く、後継機にはないフラッシュを内蔵している事などがある。
そして基本性能として、手ぶれ補正が入っていて、AUTO ISOの
ままで感度を6400まで上げれる事、今時それらは当たり前だが、
発売時期や中古価格を考えると大きな長所だ。
弱点はピント合わせが苦手な事、EVFは内蔵されておらず、
ピーキング機能もなく、拡大操作系はイマイチだ。
だから結局のところ、AFレンズで使うか、あるいは、
ピント合わせがほぼ不要で開放f値が暗い「トイレンズ」
母艦として使うのが最適なカメラだ。
ということで、装着しているレンズは、
Lomography Experimental Lens Kitの1本の
12mm/f8 である。
ややこしい名前がついているが、要は、トイカメラとして有名な
「Lomo(ロモ)」のトイレンズのセットである。
マイクロフォーサーズ用の魚眼、広角、標準の3本セットで
定価9000円前後と、極めて安価だ。
玩具レンズなので、画質がどうのこうの、という代物ではない、
要は「どう遊ぶか」という類のレンズである。

マイクロフォーサーズで画角が2倍とは言え、12mmは
超広角レンズである。被写体の遠近感(パース)を強調した
写りを得ることができる。
ピントはMFで、0.2m とINF(無限遠)の2つしか目盛りが
書いていない(汗)
ただ、12mmでf8であるから、ほとんどパンフォーカスであり
ピントを無限遠の7~8割のところに合わせておけば、近接
被写体以外は、それでピント合わせは事足りる。
けど、ピントが合った距離でも、画質的には解像度は甘い。
まあ、写りに期待するレンズではない。元々 Lomoという
カメラ(レンズ)は、そういう類のものだ。

近距離の被写体の場合は、ピント目盛りを 全体の1/4位の
ところまで廻す、これで1m前後で、ピントが合うと思う。
これ以上近接する場合は、一応最短撮影距離0.2mまで
あったとしても、E-PL2のピント機構では、どこにピントが
合っているのかわかりにくいので、まず困難だ。
かと言って、こうしたトイレンズの為に大層なEVF付き
ミラーレス機を持ち出すのも馬鹿馬鹿しい。
まあ、とういう事で、あまりピントとかは気にせずに撮れば
良いと思う。
画面周辺にはビネット効果(周辺光量落ち)が出る、
これは何度も説明しているが「トイレンズのお約束」である。
性能上の欠点だが、これが無いと、どうも面白くない。
ただ、ビネット効果があるが故に、トリミングはやりにくい、
トリミングしてしまうと、それが消えてしまうからだ。

E-PL2には、一応エフェクト(フィルター効果)がついては
いるが、PENTAX Q7やK-01等の、エフェクトが得意な機種に
比べ、その効果が呼び出しにくい。一応露出モードダイヤルに
ダイナミック系エフェクトをアサインしてあるが、
その他のエフェクトを呼び出すのはメニュー操作が煩雑だ。
あるいは、ダイヤルを廻した際にエフェクトを選択できる
ような設定もできるが、それもまたかなり煩雑だ。
おまけに、露出モード変更タイプでは、それまで使っていた
絞り優先などの機能が失われるので、トイレンズではなく
通常レンズを使っても、絞りの変更は出来なくなる。
露出補正は一応動作するが、エフェクトの種類によっては
それが効いているのか効いていないのか、よくわからない。
(露出に関係なく、画像処理を行う為だと思う)
すなわち、このカメラの場合には、あまりエフェクトを
使わないのが良い。そもそもエフェクトの操作系に優れた
カメラなんて殆ど無いのだ、まだそれが付いているだけマシと
思う方が気楽であろう。、

レンズの方は、まあ、こんなものであろう。トイレンズなので
肩肘張らず、目についたものをランダムに撮っていけば良い。
フォーカス位置75%で、ピント合わせからほぼ解放されるので、
本来ならばノーファインダー撮影的にパシャパシャと撮って
行けば良いのだが、まあ、ノーファインダー技法というのは
フィルム時代の技術であり、デジタルになってからは、
このタイプのカメラでは、電源を入れれば嫌がおうにも、
背面モニターに画像が写ってしまう。それをわざわざOFFに
してまでノーファインダーに拘る必要は流石に無いだろう。
けどまあ、思えば、ノーファインダー技法というのは、
かっちりと構図を決めないことで、写真にゆるさや偶然性から
なる構図を求めるのが本来の意味であった。
それがミラーレスの時代では、モニターが必然で、そうした
要素が失われてしまったかも知れない。
あと、ノーファインダー技法による「速写性」すなわち写真を
素早く撮れる、というメリットも銀塩時代は、あったのだが、
ミラーレス時代においては、電源ONからの立ち上がりが、
どのカメラも遅いので、速写性という点では銀塩の機械式
レンジ機等とは比べ物にならないくらい劣っている。
まあしかし、前述したが、その手の「勝手にスナップ」等の
撮影技法は、現代では、そう簡単には、それができる機会が
無いので「速写性」については、あまり意味の無い事柄だ。
(それ以前に、撮る前からどんな写真を撮るか決めておかないと
なかなかシャッターを押せない。カメラだけいくら速くても、
そんな撮り方では意味が無いのだ)
どうしてもそれが必要な特殊な撮影の場合は、ミラーレス機
ではなく、デジタル一眼にMF広角レンズをつけ、絞り込んで
その被写界深度からピント位置を固定しておけば、電源ON
からの立ち上がりが速く、AF動作も不要なので、そこそこの
速写性を得ることができる。
さて、本記事の最後は、大口径レンズだ。

カメラは前述の SONY NEX-7
レンズは、ニッコール Ai85mm/f1.4sだ。
1980年代のMF大口径中望遠レンズである。
齢30余年を経過しているので、ピントリングが少々軽くなって
きている(MF中古レンズを探す際、あまりにヘリコイドが
スカスカなものは劣化しているので避けるべきだ)
NIKON F3と同時代のレンズであるが、大柄なので、F3との
組み合わせはややバランスが悪い。銀塩で使うならばF4以降
の大型機種が良いであろう。デジタルであればAiレンズの使える
Dヒトケタでの使用が望ましい(注:ニコンのデジタル一眼の
中級機以下は、MFのAiレンズを装着しても露出計が動作しない。
高級機ではそれが可能であるので、技術的に無理ではなく、
すなわち「差別化」という事である)」
まあでも、今回はちょっと重量的なアンバランスは承知で、
小型のミラーレス機 NEX-7に装着してみよう。
ニコンの85mmは、MF時代においてもAF以降においても、
小口径と大口径、常に複数の85mmをラインナップしていた。
MF時代の大口径レンズは、開放近くでの写りが甘い事が多い、
それを絞って使うのであれば、何のための大口径か?という
ことになり、結局のところ写りの安定性を求める用途の場合
(例:屋外ポートレート)は、小口径の85mm/f1.8クラスの方が
役に立つ場合が多い。
まあ、だけど、このAi85mm/f1.4sに関しては、ピント面の
甘さと、ボケの甘さもが、うまく両立している感じで、
用途によっては使える大口径として、ニコンのMFレンズの
中では重宝する部類に入る事であろう。
当時のニコンAiの大口径レンズ群は、機種毎に個性が異なる。
というか、写りの特徴がバラツクと言うべきか、そういう課題が
あって、レンズにより被写体を選んでしまっていた。
しかしながら、それは銀塩時代の話だ。ミラーレス機に
わざわざ、このようなアンバランスなレンズを装着して
使おうとする事自体が、完全な趣味の世界であるので、要は、
描写力なんて、あまり関係無い世界の代物なのだ。

とは言え、さすがに30年前の当時のニコンを代表する大口径
中望遠レンズだ、写りの雰囲気は悪くない。
こういう古いレンズは、できるだけ光源がフラットな、すなわち
日陰とか曇りとか、そういう場所で使うと、そこそこ性能を
発揮する。あまり明暗差が大きい被写体状況は、古いレンズは
得意では無いのだ。

明暗差が大きいというのはこういった状況。まあ、カメラ側の
画像処理エンジンの特性やダイナミックレンジコントロールの
調整具合にもよるが、そういう後処理は後処理として、まずは
レンズ自身の特性を知ることが必要であろう。
ボケ質のコントロールも結構難しい。大口径だからといって
むやみに絞りを開けると、被写体距離、背景距離、背景の図柄、
絞り値、そしてセンサーサイズ、という複数の条件が、下手に
組み合わさると、ボケ質が破綻しやすい。
ただ、このレンズの場合は同時代の他の大口径中望遠に比べ、
まだ破綻しにくい方であるが、それとて基本的にそうした問題を
抱えているレンズであるという認識は必要だ。

このレンズの価格は、さほど安価では無い。
1990年代に私が中古で入手した時でも、値切って6万円であった。
現在ではさらに価格は上がり、中古で7万円前後はしている。
コストパフォーマンスは正直良くない。性能からすれば価格が
不満だ。ある意味「神格化」されている要素もあっての相場の
高騰なのであろうが、単に写りの良さを求めるならば、
これ以降のAF時代のAiAF85mm/f1.8の初期型が良いであろう。
それであれば中古で2万円台で購入できる。
(まあ、レンズの作りは、かなりチャチではあるが・・)
AF版の85mm/f1,4もあるが、ちょっとクセのあるレンズで
しかも高価なので、あまりおすすめできない。
世の中には85mmマニアという人種が居て、85mmのレンズ
と見れば、すぐ欲しくなってしまう。実は私もその口であり、
MF.AF,大口径、小口径関わらずに、様々な85mmを購入した。
まあ銀塩時代であれば、85mmというのは人物撮影に最も
適した焦点距離として、一種のステイタス的な要素もあった、
つまり、ハレの日としての映像記録が殆どであった銀塩時代、
これまた最も主要な被写体である人物を撮るのなら、
「良いレンズを持っているから、まかせておけ」みたいな
ノリである。でも、買った85mmの数ほど、美人のオネイサンを
撮れるかどうかは、これまた別問題だが(汗)
で、いずれにせよ、それはフィルム時代の話だ。
デジタル時代になってAPS-Cの画角が当たり前になると、
85mmというのは、人物撮影には使いにくい焦点距離となって
しまった、おまけに、約130mm相当とか、そういう
望遠画角において、f1.4の大口径を必要とするケースは
さほど多く無い。すなわち、あまり用途の無いレンズになって
しまった訳だ。
そういう事で、私の85mm熱もデジタル時代になってからは
ピタリと止まっている。それでも、コシナ・ツアイスの
ZF85mm/f1.4を無理して買ったものの、写りが銀塩時代の
京セラ・コンタックスのプラナー 85mm/f1.4とほとんど
同じだったので少々がっかりした。まあ、レンズの作りは
断然良いものの、写りだけとってみればデジタル時代に
なってから一時期暴落していた古い京セラ版で十分であった
事であろう。
ミラーレス時代になってからはなおさらだ、小型軽量を特徴
とするミラーレス機に、大きく重い85mm大口径など装着する
気にはあまりなれない。おまけにいずれのレンズも高価なので、
取り扱いにも神経を使う。重さに負けてマウントアダプターの
ネジが緩んで落下したら、えらいことだ(高価なレンズでは
無いが実際にそうなったことがある。それ以降、ネジ緩みには
極めて神経を払うようになり、メンテナンスは勿論のこと、
精密ドライバーを常時カメラバッグに入れている次第だ)
まあでも、たまにはこういうレンズで撮るのも新鮮な感じ
がして、なかなか楽しい。

さて、もう文字数が限界なので次回記事に続く・・