2015年10月31日(土)に、大阪・中之島公園一帯で行われた
「水都大阪・icnochiと水のフェスティバル」の模様より。
このイベントは、まあ一口に言えば、水に関わるお祭りである。
まあ、近年のお祭りは、ユーザーニーズの多様化が進んでいる
からか、あらゆるターゲット層に向けるため、何でもかんでも、
ごちゃ混ぜという感じのフェスティバルが増えてきている。
このイベントもそうだ、水に関わる、パドルボートのパレード
や体験会をはじめ、水上クルーズ、各種屋台、自衛隊・消防士
のパフォーマンスや体験、水難救助、ヨガ体験、ゆるキャラ
からスタンプラリーまで、およそ何でもある。
で、そうした各種イベントの中で、「ドラゴンボート」も参加
している。ドラゴン関連では、デモ走行、体験会、パレードの
3項目なのだが、それぞれ2回づつ繰り返されるため、
ほぼ1日中、何かしらのドラゴン関連イベントが行われて
いることになる。
さあ、ドラゴン体験乗船の一般のお客様が集まってきた、
実は、ドラゴンボートに限らず、SUP、ラフティングにも
体験乗船が出来る、ちなみに、SUPとは「スタンドアップ
パドル」の略で、近年流行の新マリンスポーツだ。
「ラフティング」は、もうすこし一般に知名度が高いであろう、
まあ、いわゆる「急流下り」の、アレである。
「SUP」はのんびりしているイメージが一般的にあるし、
「ラフティング」は、スリリングなイメージがある、
これらに比べると、ドラゴンボートは、一般の方が思うに、
なんだか、大きくて重そうな舟を、何十人も乗って、
よいしょ、よいしょ、と漕ぐようなイメージを受けてしまう
かもしれない、つまり、「大変そうだ」と・・
まあ、なので、ドラゴンの体験は、他種目に比べてちょっと
不利(人数が集まりにくい)かなあ、と思っていたが、
確かに、午前中の1回目の体験会は数が少なかったものの
午後の2回目では、幸いにして多数の体験乗船希望者で
なかなか繁盛していた。
今回のドラゴン関連のイベント運営は、超強豪チームの
「bp」とODBA(大阪府ドラゴンボート協会)である。
競技志向が極めて強く、日本一を目指してひたすら厳しい
練習を続けているイメージがある「bp」が、こうした一般向け
のイベントを運営するのは、少々不思議な感覚を受けるかも
知れない。
そして、ODBAは、まあ、この手のイベントには慣れている。
ATC大会等、大阪の各大会に併設される場合がある体験会は
勿論、ODBAの代表的な一般向けイベントとしては、桜の季節に
体験乗船+花見を楽しむ「ドラゴンさくら」や、秋の気候の良い
季節に、ドラゴンボートで大阪の運河(水路)を一周する
「水の回廊」など、ユニークで人気のイベントも実施している。
しかし、今年2015年、やむを得ない事情があって、ODBAは、
その練習拠点と練習艇が使えなくなってしまった。
したがって「さくら」や「水の回廊は」イベントは今年は無い。
で、今回、このイベントでのドラゴン艇は、「bp」の所有艇
2艘を用いているという訳なのだ。
じゃあ、「bp」の選手達は、イヤイヤこのイベントをやって
いるか?というと、そうでは無い。
およそ1ヶ月も前に、「bp」の選手の方から私に連絡があり
「(この)イベントに出るから是非撮影に来てください」という事で
あったのだ、色々聞いてみると、なんだか選手達も楽しみに
している様子であり、こっちが勝手に考えていた、嫌々という
イメージとはずいぶんと違う事が良くわかった。
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さて、10月の最終日、天候は晴れ、最高気温は20度を少し下回り
快適な気候だ、今年は、10月中旬はずいぶんと暖かい日が続き、
夏日(最高気温が25℃以上)が多かったが、ここ一週間ほどで、
ずいぶん涼しくなってきた。
選手達は、水辺に出ていて、そこから帰ってくると、やや寒く
感じるようで、中には、ライフジャケットの山に埋もれて
暖を取っている選手も・・
体験乗船をしていただいた一般のお客さんが、帰ってきた時
匠「どうでした?寒くありませんでしたか?」
と何人かに聞いてみたのだが、皆、口をそろえて
客「いいえ、漕いでいたので、全然寒くなかったですよ」
という答えが返ってきた。
まあ、そうかも知れない、でも、陸上に上がってから時間が
たつと寒くなるだろうから、注意しないと汗が冷えて風邪を
ひいてしまうかも知れない、まあ、ドラゴンができる季節と
しては、もうぎりぎりのエンドラインだと思う。
さて、次は、パドルボート・パレードが行われるようだ。
救助艇に乗っているのは、何故かODBAの人達だ。
このイベントは、大阪市などが主体なので、そうした全体の
運営の中で、ドラゴンは1つの部門に過ぎない訳なのだが、
まあ、イベント企画はともかくとして、実際のイベント運営は
特に水に関わる部分は専門性が高く、一般的なイベント会社
などでは不可能であるから、このような形で、「専門家に
おまかせ」と言うことになるのであろう。
まあ、私からすれば、こうした事に慣れているODBAの
スタッフの方達がやっているを見ている方が安心できる。
各種のボートに混じって、ドラゴン艇が2艇やってきた、
案の定「bp」の選手達は、満面の笑み、とても楽しそうだ。
「龍舟旗」や「風船」まで、つけて、いつもの「bp」の
雰囲気では無い。
いや、これはむしろ「魅せるドラゴン」であろう。
今年の「熱い季節」の記事で何度も何度も述べた事であるが、
ドラゴンの将来を思うと、観客に対して「魅せる」要素が必須だ、
と思っている。まあ、ドラゴンは観客が大量に集まるという
スポーツでは無い、いわゆるマイナーなわけだ。ただ、マイナー
だから観客が集まらないのか、と言えば、そういう訳では無いと
思う、「魅せる要素」が無いから、観客が集まらないのか、
観客が集まらないから、「魅せる」必要も無いと選手達が
思っているのか、そのあたりは、鶏が先か、卵が先か、という
ような所もあるかも知れない。
以下、余談になるが、最近、数年前のTVドラマ
「のだめカンタービレ」のDVDを、レンタル屋さんで
借りてきて再度見ている、という話を以前の記事に書いたが、
その「のだめ」の中で、こんな話があった。
副主人公の「千秋」が、オーケストラのピアノ奏者を担当する
事になった、彼はピアノがとても上手で、自分でもほぼ完璧な
演奏が出来たと思っている。ところが、指揮者である師匠は、
「この曲は、もっと色気を出して」と、千秋に無理な注文を出す。
千秋としては、「ちゃんと弾けているから別に良いだろう?
そういうのは自分のキャラでも無いし!」と、ちょっと反発する
のであるが、そうしているうちに、(音大の)学園祭で、
他のオケが、演奏はあまり上手では無いのに、観客ウケを狙った
派手なパフォーマンスを連発させ、それがなかなか格好良い
という様子を観て「そうか、魅せるというのは、こういう事か」
と理解するのであった。
ストイックで、むしろ、「のだめ」の「千秋」に近い雰囲気の
ある「bp」が、魅せるドラゴンを実践している事を、最初は、
ちょっと意外に感じたが、すぐ、なんとなくわかったのが、
「ああ、要は観客が見ているからなんだろうな」という事だ。
彼等にしても、もっと多くの人達に「ドラゴン」を見てもらいたい
訳だ、彼等が昨年くらいに盛んに言っていた「DDT]すなわち
(大阪で最も人の集まる)「道頓堀で、ドラゴン大会をやりたい」
と言う計画(夢?)は、ズバリ、そういう事なのであろう。
じゃあ、観客が殆ど集まらない大会では、仏頂面で漕ぐのか?
いやまあ、そのあたりは、それこそ「鶏が先か、卵が先か」
とうう事であろう、人が集まらないから魅せないのではなくて
もしかすれば、魅せれば人が集まるかも知れないわけだ、
パドルボート・パレードが通り過ぎて行く。
勿論、それぞれのボートの巡行速度は異なる、
前を行く4人漕ぎスウィープ艇がまともに漕いだら、かなりの
速度が出てしまうので、あっと言うまにパレードが終わってしまう
ドラゴンボートだって、見た目の大きさほど遅いわけではない、
なにせ、漕いでいるのは最速クラスの「bp」のメンバーだし。
なのでまあ、パレードでは、適当にゆっくりと、他の種目の
ボートと歩調を合わせて漕いでいるわけだ。
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さて、ラフティングのチームの選手達が、ドラゴンボートに
興味を持った様子だ、「漕がせてください」と言ってきた。
6人ほどのラフティング選手が、「bp」の選手と混じって、
体験乗船に向かう、
で、さすがに、同じボート競技の選手だけあって、彼等は
漕ぎもスムーズ、パドルも揃っていて、なかなか速い。
そのままドラゴンに乗って大会に出ても、良い線を行きそうな
感じだ。
後で聞くところによると、徳島の強豪女子チームであり、
日本代表として国際大会にも出場する選手達だという。
どうりで速い筈だ! 四国に在住しているのは、たぶんその
あたりには急流があって、練習場所としては最適なのであろう。
そして、今度は、「bp」の選手がラフィティングボートに
乗りたいと言い出した。
こういう交流はなかなか良い感じだ。
普通、異種目同士は、反目しあう事が多い、たとえば、
異なる種類のボートなどが、同じマリーナに居たりすると、
下手をすると、進路の邪魔をしたり、といった嫌がらせを
するケースもあると聞く。
そういう狭い了見は、自分達の論理ばかりで、他の種目の事を
理解していないから起こる事だと思う、あるいは、自分達の
艇の方が高価だからといった、つまらない優越感もあるのだろう。
まあ、ボートに限らず、そういう心の狭い輩は、どの分野にも
残念ながら居る。(高価なカメラやギターを持ってきて、
他人を蹴散らして撮影や練習場所を確保しようとしたり、
周囲の人に自慢したりとか)
けどまあ、目の前の光景は、そうした「嫌なもの」では無い、
ラフティングとドラゴンとが相互に交流し、お互いのボートの
特性なども理解しようとしている。
ラフティングのボートは、最初の漕ぎ出しがとても重そうだ、
そして、パドルが揃わないと、なかなか進まないみたいだ、
それと、ボート同士がぶつかっても気にしない、まあ、急流
などでは岩場に当たったりするので、当然なのだろう、
複数のラフティングボートが競争した際など、漕ぎ出しが
重いので、ごちゃごちゃと固まって、ぶつかりながら、
乱戦になっているように見える。
他のボート競技では、レーンを守って、ある意味、おとなしい
のだが、それに比べたら、まるで格闘技だ。
実際のレースを見たことは無いが、恐らく急流とかでやるの
だろうから、ぶつかったり、飛んだりはねたり、転覆したりと
そういうのは当たり前の、かなり激しいレース展開になるの
だろうか? そうだとすれば、なかなか面白そうだ、いずれ
機会があれば、どこかの大会を観戦してみたいと思った。
おっと、「bp」の選手達、早くも、ラフティングボートを
乗りこなしているではないですか!
ドラゴンに比べて舷側が高く、パドルの長さもやや長い、
なので、ドラゴンと同じ漕ぎ方ではちょっと難しいと思われ、
どちらかといえば、相生やびわこ高島のペーロン艇のような
漕ぎ方の方が良いかも知れない。
ただ、大川の流れはほとんど無いので、完全に自力の漕ぎで
推進力を得ないとならない、ボートの形状や、人数から
言っても、さすがに、ドラゴン艇ほどのスピードは出ない。
まあ、そうであるから、急流などでラフティングは行われる
のであろう、パドルは漕ぐ為のものというよりは、主に艇の
方向をコントロールする為のものなのかも知れない。
そういえば、左右のパドラーが逆方向にちょっと漕ぐだけで
ラフティングボートは、くるりと向きを変えることが可能な
様子だ、そのクイックターンは、見ていてちょっと驚きだ。
さて、時刻は午後3時を回り、夕方に近くなってきた、
この時間あたりのドラゴン体験乗船会は、なかなか盛況で、
ドラゴン1艇あたり、10人漕ぎ艇なので、最大6名くらい
しか乗れない(すなわち、全員、体験乗船客にしてしまうと
進まなくなってしまうので、選手を最低4人くらいは乗せない
とならない)のであるが、数回の体験乗船を定員いっぱいの
艇を2艇づつ出し、ほぼフル回転の状況であった。
体験乗船の希望者は子供が多い、まあ、それはここ中之島に
限らず、ATCのドラゴン体験乗船などでも同様だ、
中には、親御さん達は遠慮してしまい、子供達だけ乗せている
ケースもある、でもまあ、できれば、親御さんも一緒に乗って
もらった方が安全だろうと思う。
中には、乗るまでは喜んでいたのが、実際にドラゴンに乗った
瞬間、水面が近く、しかも揺れるので、怖がって泣き出して
しまう子供も居る。他の体験会でも同様に、稀に、そういう
子供達を見るのだが、不思議なことに、漕ぎ出してしまうと、
今まで泣いていた子供も、キャッキャと喜びだす事が普通だ。
こちらは、本日、3回行われた「フライボード」の
デモンストレーションの模様だ、「フライボード」は
近年始まった、新マリンスポーツで、一度見てみたかったが
今日、ついに見ることができた。
「フライボード」については、もう少し記事で紹介したいの
だが、今回は長くなるので、続編を設けて、そこでもう少し
詳しく紹介することにしよう。
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さて、こんな感じで、今年の「icnochiと水のフェスティバル」
は無事終了、イベントとしては、そこそこ人は集まっては
いたと思うが、満員状態にまでお客さんが押し寄せているという
感じでは無い、広報をもう少し大々的にやれば、基本的に面白い
イベントだと思うので、もっと集客が期待できると思う。
それから、充実すべきは飲食関連かな・・?
一応屋台はいくつかあるのだが、ちょっと種類が少ない、
飲食を充実させると、観客の満足度も上がり、リピーターも
増えるかも知れない。
ドラゴンボートの体験乗船会も、もうすこしパンフや
会場内の案内、MC(アナウンス)などで、アピールを増やせば
もっと人は集まるかも知れない。けど、艇の数や乗員の数が
限られているので、今のところは、これくらいでちょうど良い
感じであろうか・・
さて、今回の記事はこれで終了だが、フライボードなど、もう少し
紹介したい内容があるので、次回、続編に続く・・