2015年5月10日に、京都・宇治川(塔ノ島周辺)で行われた
第3回 宇治川・源平・龍舟祭の模様より、観戦記事後編。
本大会の参加チーム数は、市内の部15、オープンの部が33、
計48と、3年目にして中大規模の大会と発展してきている。
また宇治川支流の会場は幅が狭く、2艘建てマッチレースの為、
大会全体のレース数は、56と非常に多い。
このため、レース間隔は予定上では10分間隔、勿論、できるだけ
巻き(早め)の進行にしたいので、実際のレース間隔は、7~8分
程度となっている。
まあ、これは観客(の多い本大会においては、レース間隔を間延び
せず、できるだけ次々とレースを行う、といった点においては望ましい。
実は、今回、数名のドラゴン観戦の経験の無い知人に声をかけ、
「観客目線」での、リサーチを依頼している、つまり観客の多い大会
を今後意識していく上で、どんなところに課題があるかを洗い出す為だ。
案の定「レース間隔が長く、時間を持て余す」という意見が届いた。
まあ、宇治大会はまだましな方で、大会によっては、20分、30分
間隔となる場合も多く、さらに、艇の発走位置のタイミングがなかなか
揃わず、40分以上のレース間隔になってしまった例もある。
観客目線においては、たとえば、以下のような意見もあった
「競馬のパドックのような場所を用意してボートを見せるとか?」
なるほど、アイデアは良いと思うが、艇の運用上、やや難しそうか?
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さて、本大会では、「市内の部」がなかなか興味深い状況になってきている、
前編でも書いたが、出場連続3回目の常連強豪チームと、新鋭ダークホース
のチームが入り乱れ、非常に面白い展開だ。
本大会のルールは、市内、オープンともに、1回戦、2回戦を漕いで、
ベストタイムを出した4チームが準決勝に進出する、となっている。
今のところ1回戦を終了し、エンブレム(常連)、Coro Coro Japan(新鋭)
賑やかし(常連)、カオス(新鋭)、よゆうちからこぶ(常連)
メタルスタイリスト・レッド(常連)というタイム順となっている、
2回戦は向かい風が強くなり1回戦よりも悪条件だが、ビギナーチーム
の場合、1戦1戦速くなってくる事が多いので、まだ2回戦を終えないと
準決勝進出チームがどうなるかはわからない。
市内の部は、結果的に2回戦でタイムを大きく伸ばしたチームが出てきて
「エンブレム」「賑やかし」「塔ノ島」「メタルスタイリスト(ブルー)」の
全て本大会の常連チームによる準決勝と、比較的無難な結果に落ち着いた。
しかし、この時に、前編記事でもちょっと書いたが、第2レーンがかなり
不利である状況は、様々なチームからの情報であきらかになった。
昨年大会でも、若干だがその傾向があった模様で、そのため、本大会の
マッチレースは、対戦相手チームを固定して、1回戦と2回戦でレーンを
逆転させて公平を図る、という工夫をしている。
池の里、bpなどの安定したレベルを持つ強豪チームのタイムを見るかぎり、
1レーンと2レーンのコンディション差は、約2秒強と考えられる。
それが大会前からわかっていれば、スタート位置を8m程度調整する等の
ハンデの付与も、特別ルールとして考えられるが、残念ながら、微妙な
コンディションの差は、実際にレースをやってみないとわからないであろう。
宇治市商工会の方に聞くと、本会場は4月まで水を抜いていたそうで、
水を入れた後も、上流の天ヶ瀬ダムからの流出水量は多くなく、水位が
やや低下している、とのことだ。なるほど、それで2レーンの水流が変化
して、水の抵抗になっているのだろう。レースの模様を良く見ると
2レーンの艇が、80m~100m地点で、ガクンとスピードが落ちている
のがわかる。150m地点くらいまではその状態が続く模様だ。
そのため、1レーンの艇がその間に、悠々と手前から抜いて行く。
そうした状況が、各レースで見られるようになってきた。
匠「こうなると、準決勝はレーン抽選勝負だなあ」
さて、オープンの部は、おなじみのドラゴン専業チームの出場が
ほとんどであるが、遠方からの参戦としては、静岡の「鈴与龍舟」、
愛知の「東海龍舟」、和歌山からは「もっこりドラゴンボート部」と
「熊野水軍」 和歌山はいずれも強豪で、コラボした「くまもっこり」で
出ることも多いが、今回は、独立した2チームで参加。メンバー不足等で
戦力は低下気味か?(まあ、その分、仮装で楽しんでいる模様だが)
そして、鳥取からは強豪の「しげる」も参戦している。
上写真は「しげる」のメンバー、「しげる」の練習拠点は「東郷湖」であり
「東郷ドラゴン」の名で滋賀の大会等にも参加することがあるので、
もはやお馴染みであろう。毎年8月には「東郷湖ドラゴンカヌー大会」が
行われている。昨年は台風で中止となってしまったので、今年は盛り上げて
いきたいとのこと。この大会では過去、磯風や、関西龍舟の派生チーム、
河童、相生のチームなどが出場し、上位の成績を残したこともある、
大会を盛り上げていく上で強豪チームの参加歓迎とのことである。
「しげる」は、昨年の本大会で3位と善戦したのだが、昨年9月の
「スモール選手権」でも、「東郷ドラゴン」として、一般オープンの部
準優勝だったので、実力のあるチームである事は間違いない。
しかし、本大会においては、風の条件の良い1回戦で、水流の悪い
2レーンを引いてしまい、結果的に僅差で準決勝進出を逃がした。
他の遠距離参戦チームも、残念ながら、いずれも準決勝には残れず。
こちらは「Rスポーツマンクラブ」だ。以前の記事でも少し伝えたが、
チーム専用デザイン・専用キャラを配した、「パドル・ステッカー」を
試用していただいている。これを含めた各種ドラゴングッズの受注は、
現在体制を整えている最中、もう少ししたら詳細を伝えることができる
ようになるだろう。
「R」は、レーンの利もあり、2回戦で超強豪の「都島」を破っている、
まあ、ベストタイム制なので残念ながら準決勝進出は逃したが
「都島」に勝った事で、なかなか機嫌が良かった模様だ。
他の大阪のベテラン専業チームの「未来」「パイレーツ」「風」
「打艇」「近畿車輛」「いっとこ」「関空飛龍」は、いずれのチームも
1分10数秒台で健闘したが、準決勝ラインの1分9秒には届かず。
強豪「関西龍舟」は、今回は新人トレーニング用の編成であり、
こちらもタイムは思ったほどには伸びず予選敗退。
また、ダブルエントリーの「吹田龍舟」「香里丘」「BANANA」「常翔喜龍」
は、平均的な実力配分を行ったり、チーム間の強弱に差をつけるなど、
それぞれ工夫が見られたが、いずれも準決勝には僅かに届かず。
しかし「term BANANA (雅)」は、2回戦で超強豪bpと、コンマ2秒差の
熱戦を繰り広げた。bpは1回戦のタイムトップであるが、ここから続けて
決勝まで、不利な2レーンを引きつづけるという不運に見舞われる。
ユニークなチームである「こいさんず」「タカラブネ」も楽しんでもらえた
ようだ。「こいさんず」は超ベテランだが、だいぶご高齢。
「タカラブネ」(宝酒造)はビギナーチーム。まあ、こういう場合は、市内の部に
特別編入させてもらうという措置があってもよかったかもしれないとは思う。
また、「近畿車輛」「香里丘」「こいさんず」は、それぞれユニークな
仮装をして、観客の目を楽しませていただいたのは、特筆するべきだろう。
(例の、潜入調査員からも、「なかなか良かった」という報告あり)
さてオープンの部、1組目の準決勝進出チームは、写真の「池の里」と
「都島」だ、ここで、池の里が抽選で有利な1レーンを引いてくれれば
レースはとても面白くなる。ほぼ同着という可能性が高いからだ。
けでども、運悪く池の里の抽選結果は2レーン。
これで、池の里の最終順位は、4位に甘んじる可能性が高くなった。
しかし、まだ入賞(3位迄)の可能性が無いわけではない、
後で漕ぐ「すいすい丸」の準決勝タイムを上回れば良いからだ。
池の里は、不利な2レーンで奮闘して 1分10秒台、だが、やはり、
「都島」には破れてしまう。あとは、「すいすい丸」の結果を待つだけだ。
ちなみに、滋賀の強豪チームは、池の里の他にも「琵琶ドラ」「小寺製作所」
「龍人」がエントリーしているが、いずれもベストタイムが1分10秒前後で、
僅差で準決勝進出を逃している。
滋賀勢の最後の頼みの綱が「池の里」という状況だ。
こちらは「すいすい丸」 この大会は、地元であり、運営などを担って
いる。保健会という本業関連から、市内の部と、オープンの部に
それぞれ2チームをエントリーし、本大会の最大勢力となっている。
市内の部の「京都工場保健会 年に一度は健康診断」および「京都工場
保健会人間ドックで早期検診」の2つは残念ながら予選敗退。
オープンの部では、「京都工場保健会すいすい丸 家族健診」は、僅かに
及ばす、しかし「京都工場保健会すいすい丸 プレミアムドック」は、
予選1回戦で1分9秒台の好タイムで、みごと準決勝進出を果たした。
す「地元で勝つべきか、他に譲るべきか、微妙・・」と言っていたが、
まあ、ホスト側に近い立場であれば、それは悩むべき問題ではある。
「すいすい丸は」準決勝で、超強豪の「bp」と当たることになった。
だが、レーン抽選は有利な1レーン、これは、実力差を考えると、面白い
勝負になると見た。
準決勝で「すいすい丸」と「bp」は大接戦を繰り広げ、ほぼ同時にゴール、
長い審議(ビデオ判定)の時間を経て、コンマ何秒かの差で、「bp」に、
決勝の椅子を譲ることとなった。
ただ、1分10秒25の好タイムは、先の「池の里」の1分10秒35を
僅かに上回った、「すいすい丸」はこれで3位確定、まあ、地元&運営サイド
のチームとしては、ちょうど良いくらいの結果であったかも知れない。
(負けすぎず、勝ちすぎず・・ まあ、接待麻雀の順位みたいなものか?)
けど、良く良く話を聞くと、「すいすい丸」は、”地元で格好悪い所は
見せられない”、とばかりに、本大会に向けて猛練習を行っていたそうだ、
まあ、そうであろう、そうでなければ、国内最強クラスの「bp」に対し
レーンの利はあったものの「ほぼ同着」という、後々までも印象に残る
名勝負を展開できたはずも無い・・
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このあたり、レースを熟知していれば面白い展開なのだが、課題はある。
観客目線からの意見収集をお願いしているドラゴン初観戦の知人達より、
知「ルールがわかりにくい」という話があった。
まあ、これは”どのチームが準決勝に進めるのか、観客はわからない”という
意味であろう。確かにそれは課題としてある、各レースのタイムは本部席の
前に貼り出しているが、対岸に多い観客には、リアルタイムには伝わらない。
しかも、ベストタイム制なので、観客は、「今、どこのチームが準決勝候補
なのか、全くわからない」という状況だ、さらに言えば、選手ですら、
貼り出したチームの成績を、例えばオープンの部なら、33チームx22回戦の
計66の結果を全て見て、それを頭の中で速い順に並べ替える必要がある。
この課題の解決手段は難しい。観客や選手達にリアルタイムに変動する
状況を告知するには、例えばコンピューターに連動した大型ディスプレイが
必要になるからだ。現場へのそのような大掛かりなシステム設置は、
競馬場や競艇場でもなければ、実現が難しいであろう。
また、観客目線(知人の初観戦者)からは、
知「どっちのチームが勝ったかわからない」という意見もあった。
これは、先の「bp」「すいすい丸」戦が典型であろう、審議があったので
実際の結果発表は、約7分後の本部発表であったのだが、観客はそこまで
待って結果を聞こう)とは思わない。
例えば、仮に誤審の可能性があったとしても、相撲の行事や格闘技の審判
のように、ゴールの瞬間に、(源平だから)「赤」「白」の旗を審判が上げる、
という風にした方がわかりやすい、というのは、その知人達の意見だ。
加えて、
知「チームの特徴がわからず、感情移入しにくい」という意見もあった、
まあ、それは、パンフレット、チラシなどを用意すれば良いとは思うが、
フリーで好きな時間に出入りする観光客観客に対して、それを配布するには
数千部のパンフレットの準備や、それを配る人手も必要だ。
コストや方法論、そして出場チーム決定した後に原稿を整えて速やかに
印刷するという納期の問題など、実現するには様々な課題がある。
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さて、市内の部の準決勝だが、第一レースが
「チーム塔ノ島」(こちらは地元消防士のチームと聞く)
対「チーム賑やかし」(2年連続優勝の地元強豪チーム)
そして、準決勝 第二レースは、
「エンブレムジャパン」(2年連続準優勝の地元強豪チーム)
対「メタルスタイリスト福田ブルー」(昨年4位の地元強豪チーム)
という、いずれも好カードとなった。
しかし、この準決勝でも、レーンコンディションの差の問題は残る。
有利な1レーンを抽選で引いたのは、「塔ノ島」と「エンブレム」だ、
実力伯仲のこの4チーム、運不運があったのはしかたないが、
これで、いずれのレースも約2秒差で、「塔ノ島」と「エンブレム」が
決勝進出となる事だろう・・
そして、実際にその通りの結果となってしまった。
決勝では、有利な1レーンを再度引いたのは「塔ノ島」、う~ん、これはもう、
運も実力のうち、と言うべきか? 3連覇を狙う「賑やかし」を準決勝で退け、
さらに、2年連続準優勝から初優勝を狙う「エンブレム」を決勝で下し、
ダークホースながら初優勝を遂げた!というのは、幸運であったと思う。
しかし、「塔ノ島」、これで、来年からは追われる立場だ。地元強豪達が
黙っている訳もない、打倒「塔ノ島」を合言葉に、必死に練習して、
来年の大会に臨んでくるであろう。これは面白くなってきたぞ・・
専業チームによる、オープンの部では、こうした構図は、各大会で1年の内
何度も訪れるが、市内の部は、1年に1度しか見ることができないので貴重だ。
そして、「メタルスタイリスト」のように、市内の部からドラゴンの楽しさに
目覚め、他地区の大会にも参戦するようなチームもまた出てくるかも知れない。
8月の大阪南港ATC大会では、こうしたビギナーチームを対象とした
「チャレンジの部」が準備されている、そしてチャレンジであっても
優勝賞品は、豪華フェリーのデラックス・スイートで行くペア大阪~釜山
往復チケット(10万円相当)が出ると聞いている。
また、滋賀の高島ペーロン大会、静岡の御前崎市長杯、ツナカップ大会、
鳥取の東郷湖ドラゴンカヌー大会でも、それぞれビギナーの部があると聞く、
そういう各大会で実績を積み、来年の宇治大会に備えるのも良いかも知れない。
さて、いよいよ本日の最終戦、「オープンの部」の決勝戦だ。
対戦するのは「bp」と、その兄弟チームである
「大阪市立都島工業高校ドラゴンファイターズ」だ、昨年までは「M's パワー」
と言っていたが、今年からちょっと変えた模様。(以下、都島)
ビギナー観客として意見収集を依頼している知人が聞いてくる
知「あれは高校生のチームですか?」
匠「いえ、都島工業の卒業生がメインだと思います、チームで太鼓を叩いて
いるのが体育の先生で、その教え子達とか・・ 体育の成績が良かった
生徒に声をかけて集めているのかもしれませんよ(?)」
知「なるほど、そういう風に聞くと、ちょっと面白くなってきました、
それ、都島、ガンバレー」
匠「やっぱ、観客にも情報を与えないとダメでしょうね、
ちなみに、対戦する相手は、いちおう都島の兄弟チームなんですが
bpと言って、国内最強クラス、この8月から、カナダの国際大会に
日本代表として遠征しますよ。」
知「え? そんな強いところに、都島は勝てるのですか?」
匠「今まで一度も勝ったことありませんよ、いつもbpの下で準優勝止まり、
しかし・・ 今回は、フフフ・・」
出艇場まで行き、都島のドラマーのT先生に声をかける、
匠「この決勝で、都島が勝つと予想しているのは、私だけかも知れません」
都「はい、そういうっていただければ・・ 頑張ります!」
予想の根拠は多数ある、まず「都島」が有利な1レーンを引いていること、
これで約2秒のアドバンテージだ。
そして「bp」は、20分前に「すいすい丸」とコンマ差の激闘を
繰り広げたばかりで、疲労している。
大会進行のスタッフの中でも、
A「ちょっと待った方が良いかなぁ? bpさん、続けてだと大変でしょう?」
B「いや、観客も待っているし、無意味に遅らせるのもなあ・・」
C「まあ、これくらいでヘタるようじゃね、日本代表チームだしね」
A「そうだね、じゃあ、いっちゃいましょうか」
といったやりとりが行われていた。
それを横で聞いていた私は、
匠「ふうむ・・これで、ますますbpには不利な材料が揃ったな、
準決勝2レーンで、すいすい丸に苦戦したばかり、その前の2回戦も
BANANAと僅差だ、2レーンの苦手意識は大きくあるだろう、疲労と心理面、
これで、タイム差は3秒になるな、bpと都島の現実的な実力差は1秒程度、
さすがに、そこまで条件が揃えば、都島の初優勝は確定したも同然・・・」
そういった諸々の状況を対戦する選手達は、知ってか知らずか・・
都島のT先生は、「花形満」ばりの、「予告勝利宣言(??)」で、
太鼓のばちをbpに向かって振り上げる。
アテンション・・ GO!
ドンドンドンという太鼓の音が観光地・宇治の名勝に鳴り響く。
さあ、決勝戦が始まった。
匠「うお~っ! 望遠レンズで見るとはっきりわかるよ、
2レーンのbp、80m地点から、bpの後ろに、まるでブラックホールの
ような水のくぼみができている。これは大きな水流の抵抗になって
いるな・・選手達は、まるで、ここに吸い込まれるような感覚で、
パドルの重さを感じていることだろう・・」
しかし、日本代表の重責、このあたりの苦難は切り抜けてもらいたいという
気もする。 けど、やっぱ厳しそうだなあ・・
約140m地点、このあたりまでは、bpが、この苦難の中でも、なおかつ
先行している、しかし、依然、奥の2レーンのbp側の水流は重いと思われ、、
かなり苦しい状態が続いている事であろう。
都島は、「勝てる」と踏んだのか、ラストスパートの体制に入る。
この写真は厳密にはこの瞬間ではない、おまけに、画像の左右を反転して
使っている。カメラをそんな短時間で広角から望遠に持ち替えることが
不可能だからだ(高倍率ズームは使えない、望遠側が足りないからだ)
ただ、違うレースの写真とは言え、都島のここでの踏ん張りは、まさしく
こんなイメージであった。
こちらが実際レースの約170m地点、ここで、都島がbpを差した
(抜いた)、残り約50m、その距離を進む時間は、まだ15秒近くある。
bp側の水流の呪縛は、このあたりで途切れるはずだ、bpに体力と気力が
残っていれば、まだ、ここから10秒強の時間で、再逆転のチャンスはある。
先ほどの、すいすい丸戦では、そうして再逆転している。抜きつ抜かれつの
展開は、ドラゴンのレースでは極めて珍しく、皆無と言っても良いくらいだ。
(逆に、そうした逆転劇が無いので、レースが面白くない、という観客意見も
聞いてはいるが・・・)
だが、bpは、この決勝でますます強くなった向かい風と、強大なブラック
ホール水流とのダブルパンチで、さすがに疲弊してしまった様子が見れる、
残りの時間で再逆転どころか、若い都島のラストスパートについていけず
差が開いていくばかりに見える・・
そして、そのままゴールイン。
結果的に、都島初優勝!! タイムは1分8秒台後半
bpが準優勝、タイムは1分10秒台後半、すなわち2秒差だ。
先に予想した、bpが不利な条件3秒、マイナス、実力差1秒 =2秒差
ぴったりとその通りの結果となった。
「都島」が船着場に帰ってくる
T「匠さん、初優勝ですよ!」
匠「おめでとうございます、やりましたね!」
まあ、でも、レーンの有利不利は、漕いでいる選手達が最もわかって
いることであろう。さらに、bpと都島は兄弟チーム、お互いの実力は
わかりきっているだろう、この結果もやる前からすでに承知していた
可能性も高い、だからこそのT氏の「勝利宣言(?)」であったのか・・?
さて、時刻はすでに午後6時前、56レースという長丁場の大会も、
特に予定より遅れることももなく、むしろ巻き気味で、無事終了した。
すでに閉会式・表彰式がはじまっている。
観光地であるが故に、観客が多い大会だ、あまり、予定より早く終わって
しまうと、決勝戦を楽しみに見に来た観客が、がっかりするかも知れない。
また、たとえば閉会式に来賓の方を招いている場合も、予定の時間が
変わると、ご迷惑をかけるかも知れない。
大会運営側で、軽くそのあたりを事前確認、来賓の方は開会式だけだし、
平等院はすでに閉まっている時刻なので観客も減っている、遠方からの
参加チームもあるし、早めに終わりましょう、ということになった模様だ。
結果を再度書いておく。
<市内の部>
優勝 チーム塔ノ島
準優勝 エンブレムジャパン
3位 チーム賑やかし
<オープンの部>
優勝 大阪市立都島工業高等学校ドラゴンファイターズ
準優勝 bp
3位 京都工場保健会すいすい丸プレミアムドック
というわけで、第3回 宇治川・源平・龍舟祭は無事終了、
大会内容としては、かなり面白い。まあ、各地の大会の中でも、
観戦という視点において、興味深く楽しめる、という点では、
上位に入る大会ではあろう。
1点改善すべき課題があるとすれば、レーンコンディションの差だ、
記事中にも何度か書いたように、予選は交代制なのでそれで良いが、
準決勝以降はモロに抽選によるコンディションの差が影響してしまうし、
大会中に、特別ハンデを設定するのもなかなか難しい要素がある。
一番適切なのは、今回のようにコンディションの差が大きい場合は、
準決勝前に、チームと大会本部を含めた「協議」により、
特別ハンデ・タイムを1~2秒程度、定めても良いかも知れない。
また、観客が多い大会であるが故に、観客満足度を高めていくための
様々な工夫が今後は必要となるであろう。
概ね、その課題は以下の通りだ
1)観客が、ルール(勝ち上がり方)を理解できるようにすること
2)観客が、各レースの勝敗がはっきりわかるようにすること
3)観客の、レースの開き時間の退屈さを軽減すること
4)観客が、チームに感情移入できるような情報を提供すること
観客満足度を上げることは、今まで、あまり観客の集まらない状況が
多かったドラゴン大会における今後の共通課題だ。特に、観客の集まる
宇治、日本選手権、ATC、静岡ツナカップなどでは、それぞれ対応策
が必要と思われる。まあ、非常に盛況な、相生ペーロン競漕の実例も
参考にするのも良いかもしれない。
さて、今年の「熱い季節」ドラゴンボート観戦記事は、次いで、
6月の「堺泉北」「御前崎市長杯」の各大会の観戦を予定している。
それぞれ、どんな「ドラマ」が生まれるか、とても楽しみだ。