
カメラにはさまざまなフォーマットがある。
フォーマットというのは、銀塩であれば、フィルムの縦横の長さ、あるいはその比率
(アスペクト比)を総称したもので、デジタルであれば、やはり撮像素子(CCDや
CMOS,JFET等)の縦横のサイズである。
フィルムの場合、35mm判あるいはそれ以下のサイズは mm(ミリメートル)の単位で
あらわす、たとえば、一般的に使われる35mm判は、36mm(横)x24mm(縦)である。
ちなみに、35mmというのは、このフィルムの縦の全長をあらわす。
昔映画用に使われていた70mmのフィルムの半分の幅のフィルムとして、ライカ社が
制定したため、昔はライカ判などと言われた事もあった。
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中判カメラ(ローライ、ハッセルブラッド、マミヤ、ペンタックス等・・)用フィルム
(120判、220判)は、幅が6cmのフィルムであり、このフォーマットの単位はcmで
あらわす。
たとえば、
645(6cmx4.5cm),6x6(6cmx6cm),6x7(6cmx7cm),6x8(6cmx8cm),
6x9(6cmx9cm)となる。
撮影枚数は、フォーマットによって変わる、120判での概算撮影枚数を計算するには、
中判の横の数値(後ろの数値)で、「72」を割れば良い。
すなわち、6x[6] の場合 72÷6で12枚 6x[8]の場合、72÷8で9枚となる。
220フィルムを使った場合は、この2倍の撮影枚数になる。
また、大判カメラ(リンホフ、ジナー、タチハラ等)のフィルムサイズはインチ
(1inch=2.54cm)であらわされ、4x5(シノゴ)、8x10(エイト・バイ・テン)等
のフォーマットがある、ちなみに、8x10のサイズは、約20cm x 約25cmとなり、
35mm判のフィルムの約60倍もの面積がある。
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デジタルカメラの場合には、APS-Cタイプ以外は、対角線長のインチで表される。
この書き方は、昔のビデオの撮像管のサイズの計り方から来ているらしい。
ところが、この撮像管サイズの測り方は、撮像素子が丸々入ってしまう管の、しかも厚みを
含めた直径からなることを慣習としているため、実にわかりにくい数値になっている。
具体的に、APS-Cタイプのデジタル一眼レフカメラで考えてみよう。
まず、メーカーによって撮像素子のサイズが微妙に異なるが、これも面倒な話で、
このせいでキヤノンは、焦点距離を1.6倍、ニコンは1.5倍に換算するなど、それぞれ
異なる。
どれだけカメラメーカー間の仲が悪く、規格の統一化が困難であるか、容易に想像つく。
さて、APS-Cタイプの撮像素子を、同じように対角線長のインチであらわしてみよう。
横23mmx縦15mm 対角線長=√(23x23+15x15)/25.4 = 1.08inch
約1インチか・・・でもだれも1インチ判などとは言わない。
まあ、しかしこれはこでで、ひとまずおいておく。
次にフォーサーズ判を考えてみる、このフォーサーズは、誰でもわかるように
4/3(三分の四)という意味である。(3/4ではない、それを言うならスリーフォース)
「じゃ、おなじように、4/3インチと考えたらいいんだな・・?
え? 4/3インチって、1.333インチだろう? APS-Cより大きいのか?」
・・・いや、そんなはずはあるまい、厳密に計算してみよう
オリンパスの撮像素子サイズは、17.3mm x 13.0mm これの対角線長は
21.64mmとなる。 だから、インチに換算すると 0.854 inch となる。
「そりゃそうだろう、キヤノンが1.6倍で約1インチなら、オリンパスが2倍で0.85インチ、
それぞれの2つの数字を掛けてみればいい、細かい事をいわなければ、ほぼ計算が合う」
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しかし・・・何でフォーサーズなのに、0.85インチしか無いのか?
・・・これでは、規格そのものの数値に意味が無く、わかりにくいのでは無いのか?
撮像管の規定は、撮像素子の対角線長の何倍になるのか? そして、メーカー間で
サイズに関しては好き勝手な事を言ってるにすぎないのではないのか?
もう少し検証してみよう。
あとは、コンパクトのデジタルカメラと携帯電話である。
1/1.8インチ型といわれる、高級なコンパクトデジカメ。
実際には、対角線長さは9mm前後である(同一メーカー内でも色々あると・・適当)
9mmは、インチ換算で、約2.8分の1である。 「なんじゃそりゃ~ 1/1.8と違うぞ」
1/2.7インチ型の、通常のコンパクトデジカメ、約5.3mm x 4mm で対角線長 6.6mm
インチに換算すると 約3.8分の1である。 「もういいかげんイヤになってきた・・」
1/5.0インチ型の、携帯電話デジカメ、これは、約2.9mm x 約2.2mm で対角線3.6mm。
インチに換算すると 約7分の1である。
「結局、なんとかインチ型って、いったいどういう事なの?」
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・・まあいい、ここまでユーザーを混乱させるような表示をメーカーがするならば、
開き直って、それはそれでいい。厳密に仕様を見て計算すれば分かることだから、
騙される方が悪い、そんな事でイチイチ怒っていてもしかたがない。
相対的な視点でしらべて見よう、一眼のデジカメ、フォーサーズ、高級コンパクト、
通常デジカメ、携帯デジカメ、いったい、比率としてどれくらい面積が違うのか?
面積比を出すなら、対角線長の比を出してそれを2乗するだけで簡単である。
1/5インチ型の携帯、これの対角線3.6mmを基準として、これを1倍としよう
携帯デジカメ:3.6mm 1倍
通常デジカメ:6.6mm 3.3倍
高級デジカメ:9.0mm 6.3倍
フォーサーズ:21.6mm 36倍
一眼デジカメ:27.5mm 58倍
フルサイズ :43.2mm 144倍
「おっと、そんなに面積が違うのか?」・・・そう、その通りである。
「もうサイズ表記なんかどうでもいいや、これがわかったら十分だ、
しかし、そこまで違ったら、画質とかに影響は出ないのか?」
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その通り、そして、ここでもっと重要な事実を述べる。
★フィルムカメラの画質を決める3要素。
①フィルムのサイズ
②フィルムの性能
③レンズの性能
で、ある、まあ、この順番で決まると思えば良い。
★デジタルカメラの画質を決める5要素
①撮像素子の面積
②撮像素子の電子的性能および画像処理エンジンの性能
③レンズの性能
④画素数
⑤アフターレタッチの処理内容
と、なる。 ハード面では、画素数はいちばん優先度が低いことに注目してほしい。
だから、単純に言ってしまうと、携帯デジカメが300万画素になったとは言え、
その50倍以上の撮像素子面積がある一眼デジカメの300万画素に及ぶはずがない、
おまけに、画像処理エンジンもレンズの性能も、携帯と一眼では比較にならない。
「それでは、何故、皆は画素数、画素数と大騒ぎするのか?」
・・・簡単な話である、画素数以外のスペック(仕様)なんて、見てもさっぱりわからない
か、あるいは数値で表現できないか、または、ちゃんと数字で表示されていないか、仮に
表示されていても、いい加減だからである。
つまり画素数以外、一般ユーザーが他に比べてみて理解できる要素が無い。
「騙されていた・・・」
・・・いやあ、別に、800万画素と書いてあったら、それはウソでは無いだろう。
以前は、補間処理とかで、そのレベルでも、2倍3倍の画素数を表記するメーカーも
あったが、まあ、ややこしい表示をするのはフェアではないし、現在では、メーカー
間の自主的な申し合わせで、そこまでカタログに無茶を書く事もなくなっている。
それならば、画素数、画素数って大騒ぎするのは、メディア(メーカー広報、雑誌ライター
評論家、販売店、ネット情報・・・)と、ユーザーの問題なのではないのか?
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「なるほど、よくわかった、もう画素数で騒ぐのは止めよう」
・・・うん、それがいい、意味の無い数字を比較しても、時間の無駄である。
「ところで、僕の500万画素最新コンパクトデジカメと、友人の古い300万画素デジタル
一眼レフと、どっちが画質がいいんだ?」
・・・ズテッ、だから、それがイカンと言っている!
画像処理エンジンの性能、あるいはレタッチの方法、そして使うレンズによっても
画質は大きく変化する。
たとえば、古い EOS-D30(300万画素)に、スーパーレンズを装着して、きっちり
レタッチした写真であれば、コンパクトデジカメがいくら画素数が多くてもかなう
わけが無い、そして、そもそも、その場合の画質とは何を指すのだ?
解像度か? コントラストか? 色味か? ボケ味か?
いずれにしても、そんな比較は写真の本質として意味の無いことだろう?
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そりゃ、フィルムの時代だったら、フィルムの性能は大差ないから、デカいフォーマットの
フィルムカメラで、いいレンズを使ったら画質が良くなっただろう、というか、それしか、
他人の写真と自分の写真の差を出す術(すべ)がなかった。
だから、皆、もっといい画質を求めるべく、高いレンズを買ったり、少しでも手ぶれを
防いでシャープな写真を撮りたく、三脚立てて(回折現象が出て無意味なくらいにまで)
絞りをキリキリと絞り込んで写真を撮っていた。それはそれで、少しでも他の人より
自分の写真を良く(綺麗に)見せようとする欲求に基づく行為であった。
あるいは古いレンズや皆が使ってないレンズを探してきて「このボケ味が・・・」とか
言っているマニアも同様である(自分もそうであるが・・汗)
まあ、美食に飽きたグルメが、珍味をもとめてゴチャゴチャ言っているレベルであり、
別に否定する行為では無いが、だから偉いとか言う訳では無いのは誰しもが知っている。
写真技術の発展というのは、銀塩時代はフィルムやレンズの性能を追求されていた、
まあ、それは20世紀の世界観である。
昔はバイクや車には最高速度が示されていたが、そんなのはとっくに意味が無くなっている
パソコンのCPUの速度やメモリーの量も、そろそろ意味が無い領域になってきている。
機械の性能は人間が使いなせないほど飽和してしまうと、乗りごごちやら使いやすらやら、
数値以外の内容が求められるのである。
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そして、デジタルに変わっても、50万円も80万円もする高画素のデジカメを
無理して買って、最高画質が出る(・・と言われている)RAWのモードで撮影する。
しかし、それは意味が無い。もはや考え方も価値観もデジタルでは異なってきている、
最高のカメラを買っても、いい加減なカメラパラメータの設定や、粗悪なレンズや、
下手なレタッチで画質をどんどん落していってるのでは無いのか?
そして、今や画質が写真にとって最重要な項目では無くなっている。
デジタルでは様々な表現の手段が可能である。
いつも言っているデジタルならではの撮影技法や、レタッチやCGとの融合がその方向性の
1つである。
もちろん、別の側面では、ネットやブログでの作品発表ができるようになったとか、
将来的なデジタルの様々発展の方向性とか、あるいは銀塩でもトイカメラを代表とする、
高画質主義へのアンチテーゼとしての表現方法とか、そう言った複数の要素をちゃんと
理解して、古い画質至上主義にもはやこだわる事が必要の無い時代となっている事を
よく認識してもらいたい。
もうそろそろ、画素数の追求はやめておいて、デジタルカメラでもっとも欠けている部分、
すなわち銀塩時代の古い操作系をひきずったままで、新しいデジタルの撮影技法をより
使いやすくするための技術の進歩を求めるべきでは無いのか?
そして、メーカーがそれを行わないのは怠慢であると言えるが、メーカーのエンジニア
は残念ながらデジタル時代の写真やカメラに関しては知らない事が多すぎる。
開発競争で寝る間もなく、デジタル写真を撮ってなければ、可愛そうだが当然だとも思う。
ならば、まず日常的にカメラを使用しているユーザーの声がまず一番なのでは無いのか?
その声を開発側にフィードバックしていくことで、より良いカメラが生まれていく。
そのためには、まずはユーザーそのものが、「高画素カメラでRAWで撮ったらそれが
いい写真なのだ」という発想そのものを捨てなければならない。
また、そんな事をノウハウとして大きく書いてある雑誌なんか読まなければ良い、
カメラ誌がデジタルを取り上げたとして、それは銀塩時代の評論家やライターと一新された
のだろうか? いや、そうではあるまい、同じ人達がいっしょうけんめい記事を書いている。
雑誌を作るのは大きく変遷する技術の中では非常に大変な作業であり、日夜の勉強も
まさに相当な苦労として、ライター諸氏の気持ちも察するが、残念ながら銀塩時代の
発想のままではデジタルの世界では通用しない。まだ変遷の過渡期であるのは認めるが、
デジタルの新しい価値観を唱える雑誌や記事や情報が非常に少ないのはいったいどうした
事であろうか・・
「じゃあデジタルの新しい価値観って何なのだ?」
一口に言えるくらいなら、私とて何ヶ月もブログの記事を大量に書いたりしない、
箇条書きで書いて終わりだったら、さぞ簡単なのだろう。
私だって、新しい価値観を求めながら日々デジタル写真を撮ってそれを加工して
ブログにUPしている。そしてその中からつかんできた事を記事に書いたりしている。
デジタルユーザーは変遷する時代の中で、デジタルの新しい価値観を求め続ける必要がある。
それがデジタルの時代の発想である、フィルムがCCDに変わっただけだと思っている
ならば、デジタルやらネットやらやらずに、ずっとフィルムで撮り続けていたら良い。
しかし、それもまた1つの価値観でもあると思う。別に否定するものでは無い。
発想の本質は、アナログとデジタルではまったく異なり、必ず変遷していかなければ
ならない事だが、写真の本質そのものは変わる事が無い。
【7/26追記】
先日のタイムドメイン製スピーカー販売の
記事につきまして、
企業向けネットビジネスニュースサイト
ベンチャーナウの記事に載りました。