本大会は、滋賀県の瀬田川で、ドラゴンボートを含む、多種多様の
ボート、カヌーなどによる混成レースによる大会である。
例年11月ごろに行われる、実質的にドラゴンボートが走行する
最終の大会という事になるであろう。
そのレース距離は、なんと7km! 通常のドラゴンボートの大会は
200~250m程度の短距離であり、中距離の大会では400~600m
(例、びわこペーロン、堺泉北大会、高島ペーロン、相生ペーロン等)
長距離の大会が、びわこ1000m大会となっているのだが、そのいずれをも
はるかに凌駕する超長距離のレースだ。
本大会の主催は「瀬田漕艇倶楽部」今年は、11月15日(土)と11月16日(日)
の2日間に渡って行われたのだが、ドラゴンの出場は、16日とのことであった
ので、当日、瀬田川に向かってみる事にした。
2014年11月16日、午前9時過ぎ、瀬田の唐橋。
天候は晴れ、気温は10℃に満たなく、肌寒いが風は殆ど無い。
唐橋の石碑に日本三大名橋と記載がある。
まあ、三大・・というのは、いくつかの説やら定義・分類とかがあるのだが、
ひとつは、①瀬田唐橋 ②皇居二重橋 ③京都三条大橋 という分類がある、
あるいは、①東京日本橋 ②山口錦帯橋 ③長崎眼鏡橋 という説は、
観光名所としての要素が強いかな?
また、三古橋というのもあって、
①瀬田唐橋 ②京都宇治橋 ③山崎橋(現在の京都府八幡市橋本付近)
となるそうだ。
まあ、どのような説や分類であったとしても、瀬田唐橋は、由緒ある橋である
事は間違いないであろう。戦国ファンであれば、武田信玄の遺言「勢田の橋に
武田の旗を立てよ」は、有名なエピソードとなっているのでご存知であろう。
ところで、久しぶり(3年ぶり)に瀬田の唐橋に来たが、橋の色が変わっている
様子だ、聞くところによると、2年ほど前に塗り替えられたそうだが、その時に
どんな色に塗るかで、色々と議論があったようだ。
このHead Of The Seta のスタート・ゴール地点は、著名な「瀬田漕艇場」
ではなく、瀬田川の国道1号線、瀬田川大橋(全長230m)の橋脚のところと
なっている。沢山のボートが次々に時間差でスタートしていくので広い場所が
必要になるという事であろう。
瀬田唐橋は、スタート地点からは、約600mの距離にある、
ドラゴンボートの速度は、全7kmで昨年のタイムが42分台と聞いている、
すると1kmあたり6分という感じか?「びわこ1000m大会」の場合が
5分以内で入賞というタイムなのであるが、さすがに7kmの超長距離では
少しペースも落ちるのであろう。
スタートしたら、ドラゴンは3~4分で、この瀬田唐橋に到達することになる。
次々に様々なタイプのボートが軽快に水上を滑ってくる、
ドラゴンは大きく重く、小型のボートに比べて鈍重だ。
1~8人漕ぎの小型ボートの場合、だいたい7kmを20分強で漕ぎきる、
つまり、ドラゴンボートの約2倍の速度だ。
ドラゴンが来ればすぐ分かる、遠くからでも太鼓の音がするからだ。
ドンドンドン・・ ほら、来たか・・ パドルの数が少なく見えるので
スモール艇かな?
09:38 ドラゴン艇が「瀬田唐橋」を通過した、10人漕ぎのスモール艇だ。
この大会を観戦するのは、今回が2回目、以前は3年前の大会を見たのだが、
その時は、半分の長さの3.5kmレースで、「池の里」「小寺製作所」「龍人」
「GPO」という滋賀県の強豪4チームが参加していた。
今回は、7kmということで、さすがに参加希望者が少なかった模様だ、
なので、ドラゴンは、10人艇、20人艇をそれぞれ1艇づつ準備し、
「小寺」「池の里」「琵琶ドラ」などの有志による混成チームを編成し、
記録を残す形での「オープン参加」という事になった。
続いて20人艇が通過し、2艘のドラゴンボートは、沢山の小型ボートに
囲まれながら、瀬田川のおよそ3km下流の折り返し地点に向かう。
この大会は、1時間半ほどで終わってしまう、さすがに7kmものレースを
何度も漕ぐというのは選手の体力的に困難であるので、1回こっきりの勝負だ、
スタート時間は午前9時から次々に、およそ9時半過ぎあたりまで続く、
最も遅いドラゴンボートで45分以内であるから、10時20分ごろには
すべてのボートがゴールする事になるのだ。
なのでまあ、撮影チャンスも、行きと帰りの各1回のみ、なので今日の撮影機材は
かなり手抜きだ。この後、琵琶湖周辺の観光をして帰る予定なので、カメラは軽量
装備、まず メインはPENTAX の異色ミラーレス K-01 に FA31/1.8 Limited
加えて、ミラーレスLUMIX GF1 に SIGMA 30/2.8DN、予備に FUJI XQ1 の
3台体制。
デジタルカメラのアスペクト(縦横)比は、一眼レフの場合、基本は、35mm銀塩
カメラと同様の3:2、マイクロフォーサーズなどのミラーレス機や、コンパクトの
デジカメの場合は、旧世代PC画面やアナログTVと親和性の良い4:3比率だ。
最近では、多くのデジカメがアスペクト(フォーマット)の変更ができるように
なっていて、3:2、4:3.16:9(デジタルTVの画面比率)、1:1
(6x6中判カメラでの比率、CDジャケットなどに便利)に変更できるように
なっている。あるいは、特殊なところでは、3:1パノラマ(フィルム時代の
パノラマ比率)や、スイングパノラマ(120~360度)による、超横長の
写真も撮れる機種もある。
もっとも、画像編集ソフトでトリミングすれば、このあたりの比率はいかようにも
なる。今回の記事では、試験的に、2:1前後の比率を多用しているのだが、
ドラボンボートのように横長の被写体では、真横からの撮影では、上下に無駄な
空間が出てしまうのが気になったからだ。まあ、通常の大会では、単体のボート
1艘のみを真横から撮影することは少ないのであるが、今回は撮影条件的に
そうならざるを得ないので、トリミングをしてみようと思った次第だ。
立ち漕ぎの「カナディアン・カヌー・ペア」が多数通り過ぎていき、だいたい
往路のボートはこれで終了の様子だ。
立ち漕ぎは見るからに疲れそうなのであるが、それでもドラゴンよりは
速度は速いであろう、途中で抜かれて、帰路はドラゴンがおそらくラストだ。
3年前にこの「Head Of The Seta」を初めて観戦したとき、その多くの種類の
ボート、カヌーに驚いたのだが、最近では少し種類もわかるようになってきた、
それは、覚えやすい「形式名」(略号)というのがある事を知ったことが大きい。
ボートに乗る人数と、オールでの漕ぎ方、舵の有無を数字と記号で表す、
たとえば、8人漕ぎ(エイト)で、舵取り(舵手:コックス)付きであれば、8+
と簡単な表記だ。
1本のオールを持つのがスカル、2本持つのがスイープ。
4人漕ぎでスイープの場合、舵手付きが4+、舵手無しは4ー、
4人、舵手付き、スカル(1本オール)では、4X+、Xがスカルの記号だ。
2人の場合、スイープが2+、2ー となり、ダブルスカルは、2X
カヤック2人の場合、K-2、立ち漕ぎカナディアン2人では、C-2となる。
1人では、1X(シングルスカル)がある。
クォドルプルとか、ナックルフォアとか、そういう名前で呼ばれると
どんなボート競技なのか、さっぱり想像がつかないのだが、4Xとか書いて
もらえれば、まあ、誰にでもだいたい想像がつく。
専門用語ばかりを使うのは、一般への認知や普及を阻害してしまうので、
こういう記号(略号)を使った分類は望ましい方向だと思う。
なお、ドラゴンボードでは、このような「形式名」がまだ無い。
分けるとすれば、ドラゴンボートでは、漕ぎ手の数が、20、10.8、と
あるので、それぞれ、例えばD20、D10、D8とするべきか・・?
しかし、ペーロン艇の場合もあってややこしい。まあ、いずれ、もっとドラゴンや
ペーロンが一般的になった時に、決めてもらえれば良いか・・
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さて、ドラゴン艇の場合は40分以上かかるということだと、折り返し後の
この地点「瀬田唐橋」の通過は、約30分後ということになるかな・・
「あ、危ない・・」
立ち漕ぎ、カナディアンペア(C-2)の2艇がニアミス、
・・まあでも、比較的余裕を持って対処している模様だ、前を見て漕げるので
ボートの中では、まだましなのかもしれない、通常、ボートは後ろ向きに漕ぐ
ので、舵手無しだと、前方に障害物があっても気がつかないケースもある、
今回は特に、道路橋や鉄橋の橋脚が多数あるので、これに衝突しないように、
と、大会の注意事項にも書かれている様子だ。
エイト(8+)が早くも帰ってきて来ている、7kmを20分台前半という
タイムなので流石に速い。
通常、ボートの大会は、2000m前後で行われる事が多い模様だ。
2000mで、8+ならば、最速のチームだと、6分を切るという感じなの
であろう。やはりドラゴンより倍ほど速い。
ずっと以前、琵琶湖競艇場で、ドラゴンボートと、シングルスカル(1x)の
日本代表選手との、200mエキシビジョンマッチがあった。
ドラゴンは200mを1分を切るくらいのタイムであるが、1xがスタート
直後から独走体制、速い速い、30秒台後半でドラゴンを大きくリードして
ゴール。代表選手の話によると、「ちょっとミスった、もう少し速くなる」との
ことであったので、やはり倍ほどのタイム差になるのであろう。
(ちなみに、その選手は、先日、「炎の体育会TV」にも、ボート日本代表
選手として、芸人チームのハンデ対決のコーチとして出演していた)
エイト(8+)の向こうを走るのが「瀬田川リバークルーズ」の外輪船
船内の観光アナウンスがこちらまで聞こえてくるのだが・・・
ア「このあたりには、京大、立命館、龍谷大などのボート部の艇庫があり、
ボートやカヌーがいつでも練習をしています、瀬田川はおだやかな
流れで波も立たず、ボート競技がとても盛んです」
と言ったようなことをアナウンスしていた。
今日は、大会(レース)なので、
ア「あ、今、”エイト”が”クォドルプル”を抜いて行きました!
ドラゴンボートは、だいぶ遅れている模様、太鼓の音が聞こえてきません!」
などと、専門的な解説をしてくれれば面白いのに、・・と思ったが、
まあ、一般の観光客には興味が無いことか(汗)でも、”JAZZタクシー”
とか、趣味に特化した企画ものも近年では人気になっている模様なので、
「専門家解説つき、Head Of The Seta 観戦クルーズ」なんていう企画も
もしかするとありかな、とは思う。
時刻は午前10時過ぎ。カナディアン(C-2)、およびカヤック(K-2)が
多数帰ってきた、、ドラゴンの通過予想時刻は、10:10前後だ、
10:07 そろそろドラゴンが見えてきても良いころだが・・
10:09 やっと来ましたね、これは10人艇かな?
しかし、C-2とか、4+のボートに抜かれずに混じってと、いう事は、
なかなか良いタイムなんじゃないですか? もしかして、予想された
”ドラゴンが最下位”という事態も免れているのかも知れない。
後で聞くところによると、10人艇の記録は41分台とのことだ、
記録更新! まあ、しかし7kmのドラゴンに挑戦するチームも、
そう多くはないだろうから、これが速いのか遅いのかは良くわからない
のだが・・(汗)
20人艇はいずこ? 確か小寺製作所チームの小寺団長が太鼓を叩いて
いた模様だが・・
10人艇から遅れること約5分で、20人艇が見えてきた、
新幹線と一緒に撮ると、その速度差が強調されるか?(速度差約20倍)
そして、C-2を伴っているが、恐らくはこれがレース最後尾であろう。
10:14 20人艇が、瀬田「瀬田唐橋」を通過。
まだパドルは揃っているが、だいぶ疲れている模様だ。
「池の里」の何人かの選手は、橋の上で私が撮っている事に気づいた
様子だが、他の選手達は、下を向いたままであまり余裕が無い模様。
10人艇に約5分遅れ、恐らくスタート時刻が1分程度異なる筈だから、
3~4分、20人艇の方が遅いということになる。
後日記録を聞くと、44分台、10人艇に比べて約3分遅かった。
ちなみに、今日使用した艇は、「瀬田漕艇倶楽部」の所有艇で、
ドラゴンの頭が赤い。この艇は練習用で、大会で使用する事はまずにない、
まあ、艇の数が揃っていないということなのであろう。
ちなみに、2年前の本大会では、複数のチームがエントリーしたのだが、
滋賀県ドラゴンボート協会の通称、ペーロン艇(あるいは旧艇)を複数、
事前に雄琴のOPALから瀬田川に回航する予定が、台風による荒天で
琵琶湖の波が高く、回航できなかった。大会当日が晴れたにもかかわらず、
ドラゴンの部が中止になってしまった事があったと聞いている。
旧艇は重量が重く、10人艇は、推進力が得られず非常に重く感じると聞く、
事実、この艇を用いるびわこペーロンでも10人艇の部はタイムがかなり遅い。
重い10人艇で7kmを漕ぐのは、とてもしんどいのではないのか?
と思っていたのだが、「瀬田漕艇倶楽部」の艇を用いたのであれば、
10人艇が好タイムをたたき出したのも納得できる。
しかし、恐らく、琵琶湖スモール選手権で用いる軽量の「チャンピオン艇」
を使ったら、さらに速いタイムが出る可能性が高い。
ドラゴンボートの場合、使用する艇によって出るタイムが異なるので、
ある意味面白いのだが、まあ、逆に言えば、タイムによる記録の場合は、
イーブン(公平)な条件にはならないであろう。
さあ、20人艇もゴールの「国道1号線、瀬田川大橋」まで、およそ200m、
ゴールでは同じ7kmを漕ぎきった同志の10人艇が待っている。
コンパクトデジカメ XQ1の最大望遠+超解像ズームを使って400mm相当、
もうこれ以上の距離での撮影は無理だ。
結局、この大会では、選手達とは一言も会話ができなかった・・
まあ、10人艇が往路に目前を通り過ぎる際、舵取りの選手から
「おはようございます」という挨拶があったのだが、声を聞いたのは
それだけで、こちらは「頑張れ~!」と返しているので、会話には
なっていない(笑)
普段のドラゴンボート大会では、ほぼ1日中選手達と話をして
非常に沢山の情報を仕入れているので、今日はなんだか物足りない、
この大会で、どのあたりがしんどかったのか? 何が面白かったのか?
トラブルや、変わった事は起こらなかったのか?聞きたいことは多数あった。
また、ドラゴンはともかく、他のボート競技の選手達は、恐らくほぼ全員
面識が無いので(もしかすると、ドラゴン大会に出ているボート選手も
居るかもしれないが)この大会を通じて、そういった会話、すなわち情報が
無い状態で撮影をしていることが、レース終了後に自分自身でかなり違和感を
感じていた。すなわち「被写体との(心理的)距離がとてつもなく遠い」のだ。
、
ドラゴンボート大会の撮影をするアマチュアカメラマンや、報道カメラマンは
かなり多いが、彼らは、まず選手達と話をしない。私が今回思ったのは、
こんなに情報が断絶されている状態で、よく写真を撮れるなあ、という事で
あった。被写体とカメラマンの間に、まさしくレンズという壁があるのだ。
レース翌日「池の里Lakers!」「小寺製作所」の各監督から連絡があった、
(滋賀県は)今年はこれで漕ぎ収めになること(冬季練習は無いのかな?)
あるいは、この大会はドラゴンでは最長レースなので、今後も是非継続して
行きたいと、4日くらいは体が痛い等、といった内容がメールに書かれてあった。
選手達と僅かにコミュニケーションがとれ、なんとなくほっとした気持ちになった、
これにて、今年度ドラゴンボートシーズンは終了、
もしかすると、あと1~2編、総集編の記事をアップするかも・・