いよいよ秋も深まる2014年11月3日(祝)
この場所は、大阪・天満橋。
今年の7月に「ドラゴンボート日本選手権」の熱い戦いが行われた
場所である。それから、僅か100日あまりの間に季節はすっかり
移り変わり、もう今年の「熱い季節」も終盤の気配だ。
今日この場所から向かうのは、「大阪北港マリーナ」
(旧称、大阪北港ヨットハーバー)、
そこで本年度のドラゴンボート公式戦としては最終戦である
「大阪府民体育大会(北港スプリント・秋)」が行われる。
午前9時、「大阪北港マリーナ」、
天候は晴れ、最高気温は19℃と、この時期にしてはやや寒い、
朝晩は冷え込み、おまけに風速が4~5m程度あるので、
かなり寒く感じる。
聞くところによると、風速が1m/s強くなると、体感温度は
1℃低くなるとの事だ、すると、実際の今の気温は15℃前後、
体感的には 10℃くらいという感じか・・
「Team BANANA」の選手であるこの方も、ちょっと寒そうである。
彼を見ていて気がついたのだが、私の今日の服装はフリースの
ジャケット、しかし、海風が慢性的に強いここ北港では、風を遮る
ウインドブレーカータイプの上着の方が良かったのかも知れない。
一部の選手は半袖であるが、まあ、それもボートに乗ってレースの
間だけの話で、陸にあがってきてからは、やはり長袖の上着が
手離せない様子だ。
まあともかく寒い、しかし、幸いにして好天だ・・
今年はいくつものドラゴン大会が荒天で中止となり。
今日のこの大会にしても事前の週間天気予報では、はっきりしない
雨模様の予報であったのだが、当日蓋を開けてみれば、見事なまでの
晴れだ。
さて、大会は開会式が行われているところ。
本大会は、春と秋にそれぞれ1度行われており、主にODBA
(大阪府ドラゴンボート協会)への登録チームを中心に参加がある。
大会はだいたい午後1時ごろまでにほぼ終了し、それ以降は恒例の
BBQ懇親会が行われる。
そして、春・秋、どちらの大会後の懇親会においても、過去、雨と
なって屋外での飲食が困難となった事は、ほとんどない。
開会式前、「Team BANANA」の選手達とも話をしていたのだが、
匠「スプリントのBBQは、雨になったことが無いですねえ・・」
バ「ええ、よほどの晴れ男、晴れ女がいるのかな?」
匠「あるいは、雨男が大会に来ていないとか?」
バ「う~ん、誰なんだろう・・?(笑)」
まあ、雨男とかはともかく、好天はとりあえず歓迎だ。
バ「天気が良いと、写真も撮りやすいのではないでしょうか?」
匠「いや~、明暗差がキツすぎて、顔が影になったりして・・
むしろ曇りの方が撮りやすいです」
バ「へえ、そんなものなんですか」
民営化後の大阪北港マリーナの代表の方からも、開会式でご挨拶を
いただいた。
そして大阪でのドラゴン恒例の「入魂式」(ドラゴンの目に朱を入れる)
これで開会式は終了、
今日この大会に来ている選手およびスタッフ計百数十名のうち
9割以上が何度もドラゴンの大会に出場している常連ベテラン
選手達なので(逆に言えば、今日の最終戦で初めてドラゴン
デビューしたのは、来シーズンより本格参戦予定の新人選手
およそ10名程度という事だ)それに運営は、ODBA(大阪府協会)だ、
大阪はもとより、各地のドラゴン大会で毎年いくつもの大会運営を手がける
熟練のスタッフ達の手によるものなので、まあ、大会の進行はお手のものだ。
だから、大会の段取りの説明などは無い、皆、分かった上でやって
いるのだ。ちなみに春のこの大会では、TV局の取材班が来ていたの
だが、大会の進行・段取りが見えずに、右往左往してしまっていた。
今回は、この会場が「北港マリーナ」となってから、FACEBOOKに
マリーナの様子をアップするため、マリーナの若手男性スタッフが
小型のコンパクトデジカメを持って開会式の様子を撮影している。
話をしてみると、やはり段取りがわからない模様だったので、
「次は、こちらで目に朱を入れますよ」など、知らせてあげる
ようにした。まあ、ドラゴンの普及という意味では、色々な
メディアに取り上げられる方がベターであるからだ。
さて、開会式の後は、第一レースが待っている。
出走チームがスタートラインに向かう。
北港スプリント大会のレギュレーションは200m直線、予選2レース
のベストタイム戦(良いタイムを出した2チームが決勝進出)だ。
北港は海に近く、風と潮流の影響を受けやすい。
特に今日は、強いフォローの風と、フォロー気味の潮流で
好タイムになりそうなコンディションだ。
北港の艇でこのコンディションだと、決勝進出タイムが55~56秒、
優勝タイムは54~55秒程度と予想される。
そして、レースは2艘建て。
第一レースは、「Team BANANA + team いっとこ」 VS
「チーム未来 + team 風」だ。
奇しくも、各チームとも、チーム名の前に「チーム」とか「team」
と言う呼び名になっているが、それぞれ大文字、小文字、カタカナと
色々な書き方なのだが、それはともかく、いずれも合同チームである。
・・と言うのも、この大会は、ODBA加盟チームが主に参加する
大会ではあるのだが、実はチームとしての参加でなくてもかまわない
という珍しい大会だ、ドラゴンボートのレギュラー艇の場合、チーム
のクルーの数は22名(漕手20名+鼓手1名+舵1名)なのだが、
本大会では、仮にチームでの参加数が10名の場合、他の10名の
チームと合同にする形式で、その場限りの臨時チームが編成される。
もっとメンバーの数が少ない場合は、例えば8名+8名+4名の
ように3チーム程度で合同チームを編成する場合も多々ある。
だから、選手達は、個人で適宜エントリーして、現地で適宜合同
チームが編成される。、このシステムは、参加しやすいといえば
参加しやすいので、その点ではとても良いが、反面チーム意識が
希薄になるため、たとえ優勝しても、それをチームの戦績としては
言いにくい、という弱点もある。
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M「匠さん、写真撮ってよ」
JDBA(日本協会)理事のMさん、Yさんから声を掛けられた
匠「あ、いいですよ・・ え~と、じゃあ、あちらの建物を
背景にしましょうか」
背景に選んだのは、いわゆる「フンデルトヴァッサー」だ。
これは建築家の名前であり、実際にはこの建物は、大阪市の
舞州(まいしま)ゴミ処理場である。
約10年前の建造時には、その奇妙なデザインから、賛否両論が
あったのだが、まあ、今となってはすっかり見慣れてきたし、
かつ、珍景スポットとして有名で、ゴミ処理場の見学誘致など
にも一役かっているので、近年さかんに言われる「町おこし」の
感覚で見れば、こういうのも悪くない。
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バ「匠さん、こっちも写真おねがい」
続いて「Team BANANA」のメンバーからも声をかけられた。
匠「はいはい、じゃあ、龍舟旗の前でね」
匠「バナナさんは、今年は戦績を振り返ってどうですか?」
バ「う~ん、そこそこという感じかなあ」
匠「一昨年だったかな? チームで艇を購入して、その後、
昨年は調子よかったですよね、確か、いくつかの大会で、
優勝を含む上位入賞も何度もあったし・・」
バ「まあ、今年のハイライトは、名川大会での準決勝進出、あれが
良かったかなあ」
匠「猪名川は2艘建てのレースなので、決勝が2艇しかないから
準決勝とか3位とか言ってもちょっと目立たなかったですよね。
レースを3艘建てにすれば良かったのでしょうが、会場の川幅は
よくても、借りてきたスモール艇が4艇しか無かったので、
やむなく2艘建て交代制でやるしかなかったとか。
まあ、でも、決勝のみ3艘建て、は可能かもしれないので、
また 機会があれば提案しておきます。
それで、あの猪名川大会は”琵琶ドラ”さんが、うまくやった
かな・・という感じでした」
バ「そうそう、匠さんがブログで、”琵琶ドラ”さんが予選の後
強力なメンバーを固めてきていた事を書いていたので、
あ、これ、俺たちが言いたかったこと書いてくれているなあ・・
って思いましたよ。ついでに何故に”びわにゃん”なのかも(笑)
でもまあ、ウチ(バナナ)も、”蒼龍”チームに漕げる選手を
集めていたので、結局は同じことなんですけどね(笑)」
匠「はい、バナナさん、吹田龍舟さん、それぞれ固めてましたよね、
まあ、だから、各チーム、条件は同じだったと・・
結局、1位2位の bpさんにはちょっと届かなかったという
ことでしょうか。」
今日の「Team BANANA +team いっとこ」のタイムは、ちょっと
伸び悩みがある、予選1回戦は1分秒で、全チーム中でも遅い
方だったのだが、予選2回戦では奮起したのか、57秒と、
まずまずのタイム。ベストタイム制なので、良い方のタイムが
記録に残る。ただし、前述のように、決勝進出タイムは、恐らく
55~56秒であり、2回戦では、北港特有の海風で各チーム
タイムが1~2秒伸びる傾向があるので、57秒だと、ちょっと
だけ(決勝に)届かないか・・?
ところで、先ほど「バナナ」さんとのやりとりで出てきた、
強豪チーム「bp」の様子はどうなんだろう、ちょっと見に行って
みよう。
匠「え~? 今日がデビュー戦なんですか?」
b「はい、都島工業高校の新人を8名、機械工学、電子工学、
都市設計、建築科・・ 来シーズンからbpのメンバーとして
活躍してもらいたく、今日は初漕ぎに挑戦してもらいます」
匠「ふうむ、bpさんは、次々に新メンバーを揃えられるルートが
あるので良いですよね。でも、大丈夫ですか? 親御さんに
”ドラゴンは内申書に影響するのですか?”とか言われちゃい
ますよ」
b「あはは、それは大丈夫(笑) まあ、だから、基本的には
卒業生中心で現役学生はチームに入れません。今日は、最終戦
なので来シーズンの為に、ということで特別ですよ」
匠「で、(新人さん達は)見込みはありそうですか?」
b「さあ、実際に漕いでみないと、ちょっとわかりませんね」
匠「じゃあ、私も様子を見ておきます」
ちなみに、「bp」も最近、チームでドラゴン艇を2艘購入した
とのことだ、スポンサーさんがちょっと援助してくれたそうだが
ほとんどは自腹とのこと。購入したのはレギュラー艇ではなく
スモール艇であり、20人以上あつまれば2艘に分乗して
模擬レースが出来るから、との話。
匠「艇庫はどうするのですか?」
b「桜ノ宮があきました、場所が開いたので艇を購入したのですよ」
匠「ああ、なるほど、ODBAの旧艇庫ですね。
もうここまでやるならば、真剣に世界を目指すしかないですよね」
b「まだまだですよ、国内でもまだなのに」
匠「磯風の監督さんが、早くbpに上がってきて欲しいと言ってます」
b「はい、そうですね、とりあえずそのあたりからです」
しかし、bp、レギュラー艇の後部に乗せた新人メンバー8人の
パドルの動きが微妙に合っていない、
遅いレートならば合うのだが、テンポを上げていくと、だんだん
新人達の漕ぎがバラけてしまうのだ。
だいぶ苦戦している模様だが、それでもさすがにbp、1回戦は
56秒台と、全チーム中トップのタイムをマークした。
匠「しかし、これ以上ピッチを上げられないのは辛いなあ・・
あとは新人さん達が、いかに、この毎回毎回のレースで
漕ぎに慣れて、伸びてくれるかだよね。本番レース1本は、
50回の練習に勝る、というやつかな?まあ、これはドラゴン
でなくても、楽器の練習とかでもそうなんだけどね」
独り言を言っていると、ゴール審判(タイム測定)をしていた
DBAスタッフのKさんから話しかけられる
K「匠さん、あのヨット、ちょっと変じゃあないですか?
匠「どれどれ、ああ、あのディンギー(小型ヨット)ですか?」
北港マリーナの所属ヨットであろう、練習中の学生かもしれない。
K「さっきから、あの位置から動かないし、帆がブルブルと震えて
います、向かい風で、どうしょうもないのだと思います、
ジャイブ切って、方向転換しないと、前にも進めないし、
変に帆を曲げると、いっきに押し戻されるし」
Kさんは船舶免許を持っているし、ドラゴンのみならずヨットも
やっているので、こうした船舶全般の知識や経験が極めて豊富だ、
そのKさんの見立てなので、実際にもそういう状況になっているので
あろう。
私は、若いころヨットをやりたくて、友人達でお金を出し合って
ディンギーを購入したのだが、うまく操船できずに、早々にあきらめて
しまった経緯がある(汗)、なので、あまり詳しくは無いが、Kさんの
言っている事は理解できる。
匠「そうですね、風速は5~6m、あるいはそれ以上かな?
狭い水路の所で止まっているので、押し戻されたら上陸ポイントは
ないので、岸壁にへばりついてしまいますよね、この向かい風で
ああした狭い場所でタックするのは難しいでしょうね」
K「助けに行った方が良いかなあ・・」
匠「さて・・ 友達とかにしてもヨットでしょうし、下手すると
同じことになる(二重遭難)かも(汗)
ところで、ジャイブとタックって何処が違うのでしたっけ?」
K「基本的に同じような操船ですよ、風向きが違うだけ、
ジャイブが風下で、タックが風上だったかな」
匠「はあ・・まあ、そういうのがよくわからないので、ヨットは
早々にあきらめたのですがね(汗)」
ODBAスタッフから連絡が行き、ドラゴン救助用モーターゴムボート
「北龍」が、ヨットの救助に向かう、ロープでディンギーを牽引して
広い場所に引きつれて行き、無事解決。
K「匠さん、ブログ記事の内容考えながら撮っているでしょう(笑)」
匠「はい、そうですよ(?)」
まあ、世間では、写真は、現象をあるがままに撮るものだと思っている
人が依然として大多数なのだが、実際にはそうではなく、撮影者
自身がどのような事を言いたいか、で、写真の撮り方が変わってくる。
ありのままの代表とも言える報道写真ですら、たとえば戦場の様子を
撮るのに、悲惨な様子を撮るのか、悲惨な中でも子供達の生きる希望を
撮るとか、何をどう撮るかで、その写真の持つメッセージ性や表現内容
がガラリと変わってしまうのだ、そういう意味では、捕り手の意思を
反映しない写真などは実際にはありえない。
私は、このシーンでは「ヨットは(自分の経験からも)難しいですよね、
あきらめずに頑張ってくださいね」という意識で撮っているのだが、
同じシーンでも、悪く解釈すれば「無謀なヨット」とか、美談にする
ならば「同じ海の仲間を助けるボート」とか、解釈は様々に存在する。
そう、なので、写真を撮る上では、常に、その写真のタイトルを意識
するようにすれば良い、という事になる訳だ。
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さて、時刻は午前11時すぎ、あいかわらず風は強く、肌寒い、
寒いので、ライフジャケットを借りて着用している、まあ、桟橋
からとかでも撮っているので、「危険だからどうぞ」と、ODBA
スタッフに渡されたので着ているのだが、なかなか暖かく、安全な
場所から撮っていても、手放せなくなってしまった。
そして、少々おなかがすいてきた、コンビニおにぎりを2つ買って
きてあるので、とりあえずそれを食べて飢えをしのぐ(笑)
BBQの始まる時間は、午後1時半くらいであろう、まだ2時間ほど
ある、はたしておなかは持つのであろうか?
心配になったので(笑)、BBQ会場(北港マリーナ内クラウハウス)
の方の様子をちょっと見にいってみよう・・
匠「どうですか? BBQの準備は順調ですか?」
ス「はい、順調ですよ・・ ワタシもなかなか家庭的でしょう?」
準備を行っていた team いっとこ、の女性スタッフが食材を片手に
答える。
匠「今日は、こっちが大変で漕げないのでつまらないでしょう?」
ス「そうなんですよ、今のところこっちは2人でやっているし、
選手の皆も来ないし、ちょっとつまらないです」
匠「それは寂しいですね、まあ、私は食べるものを探しに来たの
ですけどね(笑) う~ん、まだちょっと無理みたいですね、
では、撮影に戻ります、引き続き準備よろしくお願いします」
さて、そんな訳で、好天の中、本年度最後の公式戦である
「大阪府民大会・北港スプリント秋」は順調に運営されているようだ、
ドラゴン大会の運営に最も手馴れた技量と経験を持つODBAスタッフ
なので、そのあたりは何も心配はない。
あとは選手の皆さんがこの最後の大会を楽しんでいただければ
それで万事OKだ。
長くなってきたので、前編はこのあたりまで。
後編では、決勝戦の模様とBBQの模様を中心にレポートする。