さて、写真は、友人のF嬢である。
撮影会といいつつも、女性が多い場合は、買い物が半分である(汗)
とはいえ、女性の買い物に付き合うのは、いつの世も男性には苦行に近い(笑)
・・・だから、まあ、適当にそのへんを撮っている。
場所は神戸のシーサイド=垂水であるから、買い物にも被写体にも困らない。
勝手知ったる写真好きメンバー数人、たいがいつるんで遊んでいるから、
今回もそれぞれが好き勝手に、好きな事をやっている、まあ、それでも楽しい。
F嬢がどこかの店から出てきた、嬉しそうだ、なんか、面白いものを買ったのか?
・・・あ~、荷物持ってるから、そのへん歩いてくれない?
F嬢「なんじゃ、やらせ写真かよ~?」
・・・いや、別にそんなわけではないんだけどね、なんか絵になる背景だし。
F嬢「ほ~い、わかったよ~」
やっぱり楽しそうである、よほど気に入ったものを買ったのであろう(笑)
・・・お、なかなか映画みたいでいいよ、面白い。(液晶見せる)
F嬢「あ、なかなかいいじゃない、気に入ったわよ」
・・・んじゃ、またちょっと加工してみるわ。
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ふうむ、まあ、いつものCG風加工はいいとしても、今回のテーマは傾きだなあ。
傾き、つまり水平垂直をきちんと出すことなんだけど、これは風景や建築写真では
必須の技術である。 とくに水平線や建物が傾いていたら、基本的によほどのことが
無いかぎり、その写真は終わりである。
しかし、現代ではレタッチソフトにより、傾きは容易に補正できるから、昔ほど
厳密に三脚を立てて、水準器をつけて、という事はなくなった。
ポイント1:水平を取るための理由で、三脚に頼るなかれ。(特にベテランへ)
そして、まったく逆のパターンもある、携帯斜め撮りのようなラフな撮り方が
身についている初級者が、構図の傾きに対してまったく神経をはらわなくなってしまった
事である。これは嘆かわしい事実であって、特に意味もなく意図的に斜めにしている事も
あり、あるいは、水平・垂直をきちんと出す基本中の基本の技術すら身についてない場合
も多々あるからである。わざと傾けている、という言い訳をよく聞くが、実際のところは
水平をちゃんと出すという事がすでに出来ない。これは簡単なようだがわりと難しいし、
それをきちんとできないという問題が発生しているのである。
ポイント2:意図的に傾けるのは、とりあえず水平がきちんと撮れてから(特に初級者へ)
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実は冒頭の写真、わずかに右上がりに傾いていた。
私自身、ラフな撮り方をしたからである(汗)
でも、人物の動きというのは、必ずしも地面に垂直にはならない。
ラフと言いつつも、そして連写の合間にも、本能的に人物ができるだけ垂直に近く見える
ようなアングルで撮影してしまっているのであろう。
そして、その右上がりの写真を、ずっと見ていると、以前
「色彩加工」の記事で
考えたような作画意図「進行方向の傾きを上げると、進んでいるイメージが強まる」
を思い出したのである。
・・・そうか、この写真の場合は、もっともっと右の進行方向を傾けると、
まるで、ちょっとした上り坂をも問題にせず喜んで歩くような印象を持ちやすい、
だから、水平を補正するよるも、斜め構図を強調したほうがはるかに面白い・
そんなわけで、冒頭の写真は、傾きをさらに強調する方向にレタッチしなおした。
そして、もし、水平をきちんと取ったら、写真としてのイメージがどれくらい変わる
のかをも考えて見た。
レタッチソフトの水平補正ツールで修正したのが、以下の写真である。
どうだろうか? 加工、無加工の差すらあれ、構図の傾きに注目すれば、
冒頭の傾いた写真の方が、その場の状況やらウキウキ感やら様々な要素を写真に
込められ易いと思う。
まず基本としては、水平、垂直はきっちり守らなければならず、それは簡単なようで
そうでもない、まずそれが出来るようになるまでは、格好つけて斜め構図で撮って
いるような事は避けなければならない。
まずは、水平・垂直がきっちりできるようになってから、意図して傾けて撮りたまえ、
しかも、テーマー性やストーリー性といった明確な作画意図をもってから、あえて傾ける
構図も意識してみるのが良いだろう。
なんの意図も考えず、ともかく斜めにするというのは絶対にやってはならない。
あくまでも直球がきちんと投げられるようになってから、変化球の練習をすること、
最初から変化球の練習ばかりしていたら、すぐに肩を壊して好きな事も続けられない・・・