梅雨の時期のある休日、朝から雨の天気、まあ、普通ならば
家でおとなしくしてようかと思う日であったが、ちょっと
思い立って、動物園に向かってみることにした。

向かった先は、「神戸市立王子動物園」、
関西には、各府県に各2~3の動物園があるが、
ここ王子動物園は、規模や展示種も大きく、入場料も600円と
比較的安価な為、それらの中でも人気が高い動物園だ。
私も以前は、年間パスポートを購入し、年に6~7回も行って
いたこともある、ちなみに、年間パスポートの値段は、
(2014年現在)3000円であるので、5回行けば元がとれる。
晴天の日の王子動物園は家族連れや、子供の遠足等でかなり
混雑する事が多い、まあ、逆に言えば、雨の日であれば、
さほど混雑する事も無いということだ・・
開園直後の王子動物園、さすがに雨なので、来園者の数は
まばらだ。この分だと、快適に見物ができるかと思いきや・・

ガーン、そうだった、雨とういことは、動物もなかなか外に
出たがらないのだ(汗)
しかし、「ふれあいコーナー」に行けば、ウサギなどの動物が
触り放題(笑)普段の日だと、子供達が列を作って並んでいる
のでコーナーに近寄ることすらできないのだが、今日はほとんど
お客さんも居ないので、通りかかると、飼育スタッフの方に
「どうぞ、ご覧になっていってください」と薦められた。

ふれあいコーナーの、ウサギやモルモットは、雨天だから
機嫌が悪いのか?ピクリとも動かない、ちょっと動物たちが
可愛そうになってきて、早々にコーナーを後にする。
さて、今日、思い立って動物園に来た理由の1つは、
新しい「雨天専用カメラ」のテストだ。
・・と言っても、別に防水仕様のカメラという訳ではない、
「雨の日に使いやすい、普通のカメラ」という意味だ。
私は、従来この目的に、コニカミノルタ製 Dimage A2を
使っていた。そのカメラの発売年は、2004年であるから、
すでに10年前という、デジタルの世界では骨董品である。
Dimage A2は、2/3インチCCDという当時としては大型の
センサーサイズを持つ高倍率コンパクトデジカメであったが、
特に防水などの機能はない。それでも雨の日に持ち出すこと
恐らくは軽く100回を越えているだろうが、雨に濡れても
(運良く)壊れることは1度もなかった。

何故 Dimage A2を雨天専用機として使っていたのか?と言えば、
機能面では、28-200mmの高倍率手動ズームであり、2ダイヤル、
小型ボディで、傘を差しながらでも片手でほぼ全ての操作が
可能な事であった。まあ、それだけなら、普通のコンパクトの
デジカメと機能的に変わらないが、このカメラは、雨天・曇天等の
低コントラストの光線環境下で、良い発色をしてくれるという
最大の特徴があった。
いや、正直言えば、逆に、晴天時には、ラティチュード
(ダイナミックレンジ)が狭くて、使いにくいカメラなのだ、
だが、機材の欠点は、それを知って、回避して使える状況を
創り出せば何ら問題ない。万能なカメラなんて無いし、まして
カメラは、これだけしか持っていないと言うわけでもないのだ。

まあ、さすがにDimage A2は、10年前のデジカメだけに、
性能的には辛くなってきている。大きな欠点こそ無いが、
ISO感度は最大800と低く、その800もノイジーであるので、
ISO400止まりでしか使えない、レンズは広角F2.8とまあ明るい
方だが、非常に暗い雨天や曇天では、望遠側でシャッター速度が
数分の1秒ともなれば、手ぶれ補正機能を使っても苦しい状況だ。
コニカミノルタは2006年にカメラ事業から撤退してしまい、
その後の後継カメラが無い。
私は長年Dimage A2の後継となるべき機種を探していたのだが、
大型センサーで、手動ズームで、高感度で、2ダイヤルという
機種は他社においては、殆ど存在しなかった。
やっと2009年になって、Fujifilm より S200EXRという機種が出た。
1ダイヤルという点を除いては、ほぼ希望通りのスペック、しかし、
商品サイクルの短いコンパクトデジカメの世界であるし、あっと
言うまに新品は見なくなり、中古もほとんど出回らなかった。
Fujifilm でのS200EXRの後継機種は、いずれもセンサーサイズが
小さくなっている(その状況は近年に「X-S1」が出るまで続いた)
そこで、この前機種 S100fd または、S200EXRの2機種に絞って
しばらく中古を探していたのだが、今から1年半ほど前にようやく
S200EXRの出物を発見して購入した次第だ。

こちらがそのS200 EXR 、中古購入価格は11500円。
撮影枚数はゼロに近く、どこかの店の展示品かデモ機という感じか?
Dimage A2の後継の雨天専用機に使うつもりであったのだが、
1つ大きな問題が・・このカメラは400mm相当のロングズーム機で
あり、ボディが非常に大きく重いという欠点があったのだ。
一眼レフなみの大柄のサイズで、しかも400mmとなれば、
Dimage A2のように傘を差したまま気軽に片手で撮影、という
わけにはいかない。
また、安かったとは言え、ほぼ新品のカメラを、いきなり雨の中で
使って(耐久性の目安もわからず)壊してしまうのも惜しいので、
とりあえずは、晴天の日とかに限って使っていた。
ただ、400mmは散歩撮影には大げさだし、かといってドラゴンボート
の撮影に使うのにはやや短い、おまけに望遠域ではAFがやや合い
づらく、解像度も落ち、かつMFは使いにくい(仕様とEVF性能の問題)
という欠点がある。

なかなか用途の見当たらないカメラであったが、前述のように
カメラの欠点を帳消しにする使い方は? と色々考えていた。
そんな事を考えているうちに、購入から1年半がすぎ、それでも
たまに持ち出すため、撮影枚数は1万枚近くと、十分に減価償却が
できている(注:元をとるには→カメラ購入価格を撮影枚数で割り
1枚あたり3円以下になったらOK→匠の1枚3円の法則)
そんなこんなで、ある梅雨の日に気が付いたのは、
「そうだ、S200EXRは、雨の動物園で使うのが良いかも!?」
ということだった。 安価かつ元は取れているカメラだから、
そろそろ(万が一)壊しても惜しくは無いのだ。
400mmという焦点距離は、まあ、動物園で使うにはちょうど良い
位であろう、大柄故に傘を差したまま片手での撮影はしにくいが、
王子動物園であれば、半屋内で動物を見学・撮影できるポイント
は、ペンギン、シロクマ、類人猿、爬虫類、コアラなどの舎が、
いくつもある。

問題は雨の日の「写り」だ、Dimage A2と同様に、晴天であまり
ラティチュードが広くないのはわかっていた。まあ、2/3インチ
よりわずかに小さいが、ほぼ同等の大きさの 1/1.6インチCCD
なので発売時期に5年の差はあるが、あまり性能差は無いであろう、
しかし、ISO感度は大幅に向上し、最高ISO12800。まあ、一眼レフの
ような大型センサーではないので、高感度はあまり使えないことは
わかっているが、低コントラスト下での発色や再現性という点は、
画像処理エンジンとのからみもあり、実際にそういう条件で撮って
みないと様子がわからない。
その結果は? と言えば、なんとも微妙な判定。

Dimage A2のように、明確に「雨の日の方が写りが良い」という
訳ではないのだ。
(まあ、それは、Dimage A2が晴天であまり良くない、という
意味なので、S200EXRが、晴天でもそこそこ写るならば、
雨天での優位性はあまり無いという事になる)

それに実のところ、デジタルの世界においては、カメラ本体の
性能の差は、あまり関係無いのだ、というのも、撮った写真は
ほぼ全てレタッチ(編集)をするので、撮ったままで使うという
事は(今時では)あり得ないからだ。
デジタルカメラが出始めた頃には、フィルム時代からの流れで、
「オレはノーレタッチ主義だ」と言う人達も結構いたのだが、
今はそんな事を言う人は絶滅してしまった。まあ、そうだろう、
フィルム時代には、自分がレタッチをしなくても、写真屋さん
(DPE店)で、プリント時に、コダックやノーリツの現像機械
を使って、明るさ、色合い、シャープネス、トリミングなどを、
自動または(店員による)手動で調整してもらっていたからだ。
つまり、今となっては、カメラマンが自分でやるべき仕事を
当時は、写真店の機械や他人にまかせている状況だったのだ。
そして、プリントというものがほとんど存在しなくなり、よって、
カメラマンは自分自身で、写真の仕上がりに責任を持つように
なった。
そんな状況の中、仕上がり、あるいは、表現、意図という面に
おいても、自らそれを放棄してしまうような「ノーレタッチ主義」は
現代では、意味を持たなくなってしまった訳だ。

さて、そんな感じで、Fuji S200EXRに(雨天撮影での)目に見える
特徴が見当たらないのであれば、まあ、それはそれで良い。
万能のカメラは無いと言ったが、それは事実であるものの
実際のところ、私自身は、カメラにどんなに沢山欠点があっても
たった1つでも特徴があれば、それはそれで価値(意味)がある
と思っている。その1つの長所を最大限に活用し、かつ欠点を
カバーできるような使い方をする事も、立派な撮影技術だと
思っているからだ。
よく自分で購入したカメラの欠点ばかりを言う人がいるが、それは
意味があるのだろうか? たとえば、それは、自分はその欠点を
カバーして使うことができない、と公言しているようなものだし、
あるいは、別の例をあげれば、「美人だと思って結婚したのだが、
実は性格が悪かった」と言っているようなものであろう。
それ、同情する人がいるだろうか? 選んだ自分が悪い、とか、
見る目がないのが悪い、とか思われるのが普通ではなかろうか?

ポイントとなるのは、そのカメラの長所を活かしつつ、自分が撮りたい
写真が快適に撮れるかどうか? という点なのだろう。
大柄なS200EXRとは言え、400mm望遠レンズを搭載しているわりには、
800g台と、一眼レフ+望遠レンズよりもはるかに軽量、
高速かつ完全無音な連写機能、これは動物園よりもむしろ
舞台撮影や結婚式の撮影に向いているかもしれない。
あるいは周囲に威圧感を与えないというのも隠れた長所であり、
あまり目立つカメラを持っていたら撮れないシーンもあるのだ。
まあ、しかし、これらは際立った長所と言いにくいところもある、
何か1つでも特別な長所があれば良いのだが・・
結論的には、S200EXRは、雨天専用機として使うには、やや大柄な
点が少し厳しいと思う、でも、それは購入時に手にしてわかっている
だけに自分の責任だ、それに、大柄とは言え、片手での撮影が
不可能では無いことはわかった、あとは、なんとか慣れるだけか・・

そして今となっては最大のメリットはその低価格であろう、
壊しても惜しくない、これはもしかすると最強の長所かも
知れない。
ニコン、キヤノン、ソニー、オリンパス、いずれのメーカーにも
最近、ハイエンドコンパクトデジカメにおいて、大口径、ロングズーム
大型センサー、操作性、という、私が雨天専用機に要求する性能の
多くを備えているカメラがいくつか出てきている。
というか、近年のスマホ等の普及により、安価なコンパクトデジカメの
需要が極端に減少しているのだ、だから各社もコンパクトは、高性能・
高機能(すなわち高付加価値→価格が高い→メーカーが儲かる)という
方向に急速にシフトしてきている。

だが、いくら機能が優れていても10万円もするコンパクトデジカメは
コストパフォーマンスが悪くて買えない。
まあ、銀塩時代、GR1,GR21,TC-1,TVS,T2,T3,TiX・・といった
10万円クラスの高級コンパクトカメラをいくつも購入したのだが、
それらは20年たって、全て防湿庫の肥やしと化している、仮に売っても
二束三文だし、フィルムを入れて使う訳もなく、いまや、何の価値も
無いのだ。
デジタルカメラにおいても、同様に、新型機も数年で二束三文になって
しまう、だいいち、S200EXRがそうではないか、あるいは、私が買うの
は、そのようにコストパフォーマンスが特に良いカメラしか無いので
本来は、そういう「真実」を書いてはいけないのかもしれない(汗)
(皆がそうして新品を買わず、安価で高性能な中古カメラばかりを
買うようになったら、カメラ市場が崩壊してしまうから)
まあ、「新しいカメラは良いよ、性能も写りも・・」とでも、
言っておくことにしようか・・ それで誰も損する人は居ない。

また、近年の、ネットユーザーの爆発的な普及と引き換えに
ネットから得られる情報の質は極端に低下している、
もう、最近では、ネット検索で何かを調べようという気にも
全くなれなくなるくらい、ネットは不要かつ品質の悪い情報で
あふれかえっている。
最後に頼れるのは、それこそ自分自身の審美眼しか無いではないか?
デジタルカメラ、いや、それに限らず、良いか悪いか、を見極める
のは自分自身だ、あるいは、各人の目的や価値観は個人個人によって
大きく異なるのだから、他人の言う事は基本的には参考にはならない、
例えば、誰が「雨天専用カメラ」が欲しいと言うだろうか?
仮に、そんな内容を質問箱に投げれば「防水カメラを買いなさい」
という当たり前な答えしか返ってこないのに決まっている。
勿論、そんなありきたりの答えは情報量ゼロだ、見る価値もない。
結局のところ、何十台、いや何百台のカメラを自らの投資で購入し、
かつ長期間使って初めてわかることも沢山あるという事だ・・・

さて、今日の記事は掲載写真について関連する文章が殆ど無いという
極めて稀な記事になってしまった。
まあ、というのも、動物園での(動物の)撮影などにおいては、
基本的には、”被写体の力の方が強い”から面白くないのだ。
被写体の力が強いというのは、自分自身が撮影において工夫する
(創造性を持つ)余地が少ないという事とイコールである。
だから、そういう写真は、その場でのその瞬間、誰が撮っても同じ、
という事になる。今回の動物園でも、雨にもかかわらず、そうした
写真を狙って撮っているビギナーカメラマンが何人か居た。
シニアよりも若い人が多かったが、彼らは、中級クラスの一眼を持ち、
動物たちがちょっと変わった動作をすると、回りの観客を押しのけて、
必死にカシャカシャと連写をする、まるでそれが(彼らが言う所の)
”シャッターチャンス”であり、それを撮らないとならないような
義務感を持っているようにも思える。それは意味がある事なのか?
・・さらには、同じ場所で皆同じシーンを撮っていて、同じような
写真ばかり量産して、意味があるのだろうか?
私自身は、そういう風にして撮った写真は、被写体の勝ちだと思う、
どんな良いシーンを撮ったところで、その理由や原因は、被写体で
ある動物が居なければ成り立たないからだ。
つまり、そうした状況では被写体の方が偉い(被写体の力が強い)
けど、写真を撮るという行為をする以上、自分が勝たないで、
どうするのであろうか・・?
なので、動物の面白い(珍しい)振る舞いを撮って、それが
自分の手柄である、などと言うつもりは、私は、まったくなく、
今回の動物の写真は、そのほとんどが動物側の勝ちなので、
自分でも何もコメントする事もできないという訳だ。
(動物がたまたま面白い動作をして、それを待って撮ったから
鬼の首でも取ったように自慢する気には到底なれないという事だ)
だが、とは言え、完全に、なすがままに被写体(動物)側主導の
写真ばかりを撮っているか?といえば、そうではない。
勿論、できるかぎり、例えば、舞台写真で役者さんの表現したい
演技を撮るように、動物たちの「何か言いたげな」表情や行動を
撮ろうとかと努力はしている。
(まあ、そうでないと撮影する意味が無いからだ)
けど、それは結局のところ、動物たちが真に言いたいこと、伝えたい
ことではない可能性の方が、はるかに高い、あくまで、人間が見て
そう見えるだけであり、我々は動物とそんなに密なコミュニケーション
を取ることができないからだ。まあ、ペットとか自分が飼っている
動物であれば、飼い主は、その気持ちの一部を知ることは出来るとは
思うが、さすがに赤の他人(他動物?)の動物園に住む動物の気持ちは
飼育員さんでもなければ理解しようがない。
「だから何?」という写真には何もコメントしようが無いのだが、
まあ、それでも、中古で1万円強で、それだけ安くても誰も注目
しないであろう地味なカメラであるS200EXRの実力値は、そこそこ
あるぞ・・ という目的においても、写真は掲載している。
(あまり際立った特徴が無いと結論づけてしまえば、メーカーや
ユーザーの方にも失礼であろうし・・)
今回全て、S200EXRで撮った本記事の写真を見ていただき、
S200EXRの実力値の参考情報になれば幸いである。