2014年5月24~25日に、兵庫県相生(あいおい)市で行われる
「相生ペーロン祭」を見に行くことにした。
「ペーロン」というのは、ドラゴンボートと同じ起源の伝統的な
ボート競技である。・・・と、何度となくドラゴンボートの記事で
紹介しているにもかかわらず、実は、私自身は相生で行われる
ペーロン大会を見るのは初めてとなる。

こちらは、JR相生駅にあった看板、特にペーロン祭開催
期間のみならず、恐らくは年中置いてあるのかもしれない。
これ1つを見ても、相生でのペーロン祭の重要性がわかる。
さて、関西方面から相生への電車の場合でのアクセスは、
山陽新幹線も使えるのだが、例えば新大阪~相生間の料金は、
新幹線だと4190円、乗車時間は1時間ほどだ。
しかし、この距離だと、新幹線はちょっと勿体無い。
そこで、JR「新快速」を使う方がお得感が大きい。具体的には、
新快速の播州赤穂行きに乗れば大阪(あるいは、京都や滋賀からも
OK)から相生は、乗り換えの必要がなく、料金も、大阪~相生は
通常で1940円。ただし、土日であれば「昼特」切符を金券ショップ
等で購入することで、さらに数百円コストを下げることができる。
すなわち新幹線に比べ、運賃は約3分の1、時間は30分長く乗る
だけであり、しかも新幹線に乗るために新大阪に廻る必要がなく、
大阪駅から直接乗車することができるのでとても便利だ。
・・・というわけで、新快速を使って(いや、実際には、新快速は
混んでいたので、少し時間は余計にかかるが、ガラガラでのんびり
している快速電車を使うことにした)相生駅には24日の昼に到着。
「ペーロン祭」のメインは、明日25日(日曜)だ、陸上の部では、
パレードが行われ、海上の部は、すなわち相生湾で行われる
「ボート競漕」ということになる。
本日24日は、軽い観光や、会場の下見とかを行って、夜からは
花火大会(5000発上がると聞く)を見ることにしようか・・

相生港の周辺は、起伏に富んだ地形と穏やかで美しい海が印象的だ、
ただ、観光名所らしきものはあまり無い。この「ペーロン祭」が
観光客誘致のためのイベントとなっていて、しかも、街の様子を
見ていると、屋台も沢山準備していて、アドバルーンまであがり、
かなり大掛かりで、かつ盛り上がっている模様。この分だと夜の
花火大会には相当数の人が来るのではなかろうか・・?
観光名所が無いと書いたのだが、私はそもそも、ありきたりの
観光名所には殆ど興味は無いので、まあ、そのあたりは気にせず
思うままに歩いてみることにしよう。

「大嶋城跡」という史跡を発見、相生湾に突き出した丘のような
地形を少し上っていくと、昔はそこに城があったらしい。

いわゆる「水城」タイプであり、これはなかなか攻めにくそうだ、
戦国時代このあたりを統治していた「赤松氏」の家臣の城との事だが、
当時は、陸続きではなく、孤立した島となっていた様子だ。
現在は城を彷彿させるようなものはほとんど残っておらず、山頂には
神社がある程度だ。
城跡を降りて、中央公園に向かってみよう、そこには、歴史民俗資料館
があるとのこと。

たどり着いた民俗資料館は、見学無料とのことであったが、残念ながら
ちょうど展示品の入れ替えの為、休館中。しかし、相生に最も人が
集まると思われる「ペーロン祭」の時期に休まなくても良いだろう
とは思ったのだが、まさか、ペーロン祭の準備の為とか?(汗)

資料館の裏には、「ペーロン艇」が置いてあった。
現在大会で使っているペーロン艇は、9代目くらいのもので、こちらに
展示しているものはかなり古いものだそうだ、なにせ、ペーロン競漕は、
公式な大会としても今年で50何回目であり、実質的には100年近く
続く伝統行事ということだ。
しかじ、初めて間近で見る「ペーロン艇」はドラゴンボートよりだいぶ
大きく感じる、そして乗るメンバーの人数も多く、現在は32人乗り
というレギュレーションだ。その昔、この展示艇が使われていた時代では
40人乗りで勝敗を決めていた様子だから、まあ、大きいのも当たり前か。
(ちなみに、ドラゴンボートはレギュラー艇の場合、22人乗りだ)
後で聞いた話だが、この「ペーロン艇」は、現在は相生では作られて
おらず、もう1つのペーロンの本場である長崎で、伝統的な技法で
手作り生産されているらしい。

資料館を離れ、また相生の町を歩く。どこに行っても、海や川といった
「水」が近いことを感じる。相生湾の周辺が、複雑に入り組んだ地形
ということか・・
ところで、相生湾はJRの相生駅からは微妙に距離がある。最短でも
2km弱、まあ、花火見物など観光客は、歩いて行くのがセオリーの
模様だ。バスは一応あるのだが、通常時は本数が少なく、ペーロン祭の
期間は、臨時バスが頻繁に出てはいるものの、相生湾近辺は交通規制が
かかっていてバスは会場にはあまり近寄れず、また、混雑により渋滞と
なるので「歩いた方が早い」とのことである。
中央公園から海を挟んで対岸を見ると、”コスモマリーナ”がある、
いわゆるヨットハーバーだが、このあたりで見るヨットや船は漁船
ではなく、レジャー用がほとんどの模様。
・・・と、よくよくマリーナを見ると、そこに見慣れた「旗」が
あった。

そう、ドラゴンボートの超強豪チームの「磯風漕友会」(男子)と
「スーパードルフィン」(女子)のチーム旗である。
・・とは言え、驚く必要はなく、実のところ、今回の「ペーロン競漕」
の観戦は「磯風」のメンバーや監督さんに誘われてのことである。
なので、勿論「磯風」や「ドルフィン」が、ここ相生を本拠地として
いる事は知っていたのだが、どこで練習しているのかまでは聞いて
いなかった。
この場所からは、直線距離は近そうだが、行くには、ぐるりと海を
迂回して橋を渡っていかなくてはならない。まあ、「磯風」の
メンバーが居るかどうかはわからないが、あとでちょっと顔を出して
みることとしよう。

こちらは有名な、道の駅「相生白龍(ペーロン)城」である。
「海の駅」というサブタイトルもついていて、相生観光の拠点と
なっている。
ここで売られているお土産物にも、「ペーロン競漕」の写真が
使われていたりして、ここ相生が「ペーロン」を観光の目玉に
していることも良くわかった。
私は、「地ソース」を集める趣味があるので、白龍城に何か
珍しいソースが売っているかと思って見ていたが、残念ながら、
相生オリジナルの地ソースはなく、神戸あたりで良く見かける
種類の物が売っていたのみ。
まあ、相生に隣接する「たつの市」にある「ヒガシマル醤油」が
非常にポピュラーなので、このあたりは、ソースよりも醤油文化
なのかもしれない。
さて、白龍城を後にして、橋を渡り、ペーロン競漕会場へ向かう、
そこからは北上して駅方面に向かって歩く。
「確か(磯風の旗は)このあたりだったかなあ・・?」
海から見えた位置を頼りに、コンビニの横の細い道を海側に向かう、
巨大なクレーンを発見、これはマリーナでヨットなどを陸上から
上げ下ろしするものであろう、すると、このあたりか?

クレーンの支柱に描かれたドラゴンの絵、これは間違いなく
「磯風」だよね。
ただ、相生は「ペーロンの町」であり、「ドラゴンの町」では
ないとは思うのだが、それでも良いのだろうか?(汗)

「磯風」の監督さんを発見。
監「いやあ、匠さん、わざわざ相生までご苦労さん、
ちょうど良い、ちょっと会場の方まで出てみましょうか?」
匠「お、このモーターボートでですか?
へ~、これは”磯風”さんの持ち物ですか?」
監「はは、ちょっと古いものをほとんどタダ同然でね・・」
なるほど、これだけ海に「近い」環境だと、ボートなどは、ごく
ありふれた物として扱われているのであろう。
例えば、私は以前、楽器メーカーで働いていたことがあるが、
その時は、楽器などごくありふれた存在であり、同僚から
型遅れの「シンセサイザー」を譲ってもらうことなどしょっちゅうで
あった。私が「いくら?」と聞くと「じゃ、ウィスキー1本でいいよ」
などと、まあ、そんな感じであった。おかげでシンセサイザーが家の
中に10台以上あった事もあった。(シンセのみならず、他の楽器や
オーディオ機器も、同様にいくらでも家にあった)
ここ相生でも、恐らくそんな感じで「新しいボート買ったから、
古いの使う? ・・まあ、気にしないで。日本酒1本でいいよ」などと
いう会話が日常的に行われているのかも知れない(??)
そういえば、以前、琵琶湖で、知人の社長さんの所有するクルーザー
のレースに同乗させてもらった事があったが、その時に聞いた話でも、
「琵琶湖では中古のクルーザーは新品価格の10分の1程度の値段だ」
とのことであった。
環境とかでモノの価値や価格はずいぶん変わるという事なのだろう。

「磯風」のモーターボートで一通りペーロン会場を下見、だいたいの
距離感とかも見えてきた、撮影ポイントは2通り、相生湾北側の
「ポート公園」(注:ボート公園ではない)の観客席か、あるいは
相生湾南側IHI工場敷地内の選手村だ。
ただし、レースは基本4艘建ての模様だが、どちら側から撮っても、
遠い方のレーンはかなりの距離があり、今回持ってきている換算640mm
相当の望遠レンズでも距離的に厳しいということがわかった。
マリーナに戻って、さらに、監督に「磯風」「ドルフィン」の母体で
ある「相生看護専門学校」に案内してもらうことになった。
実は、先ほど「ここが磯風の母校だよなあ~」ということで、建物の
前まで行ってたのだが、さすがに学校の中まで勝手に入ることは
出来ずに引き返していたのだった。

思ったとおり、「相看」(相生看護専門学校)の中には、沢山の
トロフィーが・・ しかし、私が見ているだけでも「磯風」の
ドラゴンボート大会での優勝回数は数十回にもなる。
匠「あれ?これだけですか?」
監「いや、まだまだありますよ、展示しきれないので・・」
(まあそうでしょうねぇ・・)
監「じゃあ、こっちが職員室になります。」
匠「あ、なるほど、監督さんは、”相看”の先生なのですね」
監「はい、そうですよ」

確かに監督さんの机も職員室にある。
匠「でも、これだけペーロンやらドラゴンやらやっていて、
周りから色々言われたりしませんでしたか?
それに、噂によると”水槽”もあるとか・・」
監「まあ、いっぺんには揃わないですね、1つ1つ・・
例えば1回優勝して、水槽の場所だけ用意してもらって、
そこから水槽は皆での完全手作りですよ、最近ですらも、
また1つ勝って、やっと部室が出来たりですね・・
そんな感じでボチボチなんですよ」
匠「なるほど・・ ところで、その水槽はどちらに?」
監「こちらですよ」
・・と案内されたのは、学校を出たところの裏山の途中。

匠「ふむふむ、”bp”のものに似てますね、というか、
勿論こちらが本家でしたよね?」
監「はい、もう水槽を作ってから、10年くらいになりますかね、
これが出来てから、(チームが)ずいぶん強くなりました」
匠「”bp”さんも同じですね、”水槽”を作って強くなった。
”バナナ”さんも艇を買って強くなった。で、水槽は、そこまで
やるか?と少々大げさにも感じますが、実際のところは、そうまで
したから、本気でやらざるを得なくなる・・ やはりそういうこと
なのでしょうね・・」
監「でも、勝ち続けるというのは難しい事ですよ」
匠「勿論わかります、むしろ、ここまでくると、いかにして負けるか
が問題ですよね。”May-J”がカラオケで負けた時・・ ああ、
たとえが悪いか・・(汗)じゃあ”千代の富士”が”貴花田”に
負けた時のように、新鋭で将来の望みがある後進に負けるのは
良いけど、たまたま、とか、まぐれで負けるのはまずいですよね・・」
監「まあ、そういう事です、”bp”さんとかはある意味期待してますよ」
そんな感じで時間は過ぎていく・・ いったん”相看”を辞して、
JR相生駅前まで戻り、ホテルにチェックインすることにした。
監「匠さん、花火見るんでしょう? 6時過ぎに”マリーナ”に
来てくださいよ」
行ったりきたりになるが、ホテルに戻って5時半過ぎに再出発。
コンパクトカメラを1台持って・・というか、今日は、元々、旅行用の
その1台だけしか持って歩いていない。他の一眼レフ等の機材は、
重いのでコインロッカーに置いてきている。
6時過ぎ、再びマリーナに到着。

監「ああ、匠さん、こっち、こっち・・ ビールもあるよ」
相生名物(?)の「ホルモン焼きそば」や、「うまイカ」を
焼いている模様。あまりご馳走になりすぎないように、途中の
コンビニでおにぎりを軽く食べてきたので、BBQは軽くいただく。

匠「おっと、ビールサーバーまで用意しているのですか?
本格的ですね~」
実は、ビールはあまり得意ではないので(専門?はウィスキーとか
カクテルだ)、ビールもごく軽くいただく。

「磯風」や「ドルフィン」の知った顔の選手達も集まってきた、
しかし、思ったほど選手達は多く無い。聞くところによると、
選手達は、大会の前日は翌日に備えて静養しておく習慣とのこと。
まあ、そうだよね、どこかの大会だったか、前日の交流会で飲みすぎて
大会当日、2日酔いで漕げなくなった選手もいたようだ(汗)
選手達の代わりというわけではないが、長崎のペーロン協会の
役員さん達が招待されているようだ。長崎ペーロンと「磯風」とは
仲が良く、いろいろ交流がある様子だ。
午後7時半過ぎ、予定では花火が始まる時刻だが、とりあえず
ポツポツと花火が上がっている状態で、本格開始は7時50分頃
とのことだ。この時間、すでに花火大会の会場である「ポート公園」
周辺は人がいっぱいだ。それに、このマリーナに来る時でも相生駅
から会場までの約2kmは花火の観覧客でいっぱいの状態だった、
数千、いや数万のオーダーの来場者数であろう。
(一説には8万人とも・・)
どうやら、近畿圏では、この相生の花火が一番早い時期に行われるので
近隣の市町村からも沢山の人が集まってくる模様だ。
地元の人たちは、朝からすでに会場の場所取り、とはいっても、
ブルーシートを広げているだけで、人が待っているわけではない。
それにカメラ関連も酷い、午後2時ごろからすでに会場周辺には
三脚を立てて場所取りをしているアマチュアカメラマンが多数見られる、
こういう状況はあまり気分良く見れるというものではない、
「そこまでして見たいか、撮りたいか?」と、ちょっと不快になるし
おまけにブルーシートや三脚だけ置いておくくらいで場所取りの権利を
主張するというのも酷いものだ。こういう輩の居る場所に不用意に近づく
と、「そこどけ」とか言われて「なんやそれ!?」と、トラブルになる
こと必至なので、もとより近づくつもりはなかったのだが、今日に関して
言えば、その人ごみに行く事もなく、まったく人のこないマリーナで
花火見物できたので非常によかった。「磯風」監督に大感謝である。
せっかくなので花火の写真も・・・

とは言え、B(バルブ)モードすら無い、Panasonic LUMIX DMC-LX3
コンパクト・デジカメでの撮影なので、本格的なものでも何もない。
「匠さん、そんな普通のデジカメで花火が撮れるの?」
と監督や選手達が次々に聞いてくる。
匠「ちょっとコツ(設定)が色々あるんですが、まあ、一応撮れますよ。
しかし、電池が・・(汗) さすがに丸一日これで撮っていたら、
バッテリーがもうからっぽです」
花火撮影のカメラ設定については、過去の花火関連記事で何度も
書いているので、ここでは割愛することとしよう。
(例えば昨年末の、大阪での
花火撮影の記事を参照のこと)
ちなみに、B(バルブ)モードが無い場合は、単発花火が予想される
状況ではシャッター速度を2秒前後にし、複数の花火が上がる場合は、
予想されるトータルの明るさに応じ、1/2秒~1/15秒程度にセットして
から撮ることになる。そのあたりの予想は難しいが、まあ、一般的な
花火大会では、最初は少し多目、中盤は単発、最後に非常に多数の花火
と、だいたいの流れは決まっているので、それを考えてみれば良い。
・・という事で夜もふけていき、「ペーロン祭」前日の様子は
このあたりで終了、早めホテルに帰ってゆっくりするとしよう、
明日はいよいよ「ペーロン競漕」だ。
おっと、カメラの充電を忘れてはいけなかったよね!
次回 【熱い季節2014】「ペーロン競漕」編に続く・・