2014年5月11日に、京都・宇治で行われたドラゴンボート大会
「第2回宇治川・源平・龍舟祭」の模様より、後編。
写真は名古屋から参戦の「東海龍舟」
今日の大会は、10人漕ぎスモール艇で、コース全長は220m(公表値)
~230m(推測値)と、やや中途半端な長さであるが、「東海」は
予選1回戦では、1分8秒台の好タイムで上位につけている。
宇治・塔の島のドラゴン選手村を廻っていると、チームの選手や
協会の役員さんやら、何人もが、私に声をかけてくる。
選「匠さん、今日の大会の予想は?」
これは、私が色々なチームの選手達と直接話しをしているので、
各チームのコンディションなどを良く知っているからなのだが・・
匠「う~ん、まずは”bp”3兄弟ですね、前週のATCでも3つ
とも決勝に残ったし、5月末のアジア大会への遠征に向けて
磐石、という感じかな・・・あと準決勝は1チームですか?
安定した実力と言うなら”東海龍舟”ですかね・・それか、
滋賀の”池の里”、あるいは前週のATC決勝の”吹田龍舟”、
実力派の”もっこり”、それと予選で好タイムを出した”しげる”、
このあたりが準決勝の残り1つの枠を争う感じですかね(?)」
↑写真が、和歌山の「もっこりドラゴンボート部」、とは言え、
今日は、同じく和歌山の強豪「熊野水軍」との合同編成で、
いわゆる「くまもっこり」バージョンだ、この編成のときは、
皆さん「くまもん」のTシャツなどを着ているのですぐわかる。
(というか、変装していても、体型でバレる選手もいる!)
予選で「くまもっこり」と対戦した「パイレーツ」いわく、
パ「こんなふざけたチームに負けたくないなぁ(笑)」
匠「まあねぇ、でも、”くまもっこり”は強豪ですからねえ・・」
ベテランチーム「パイレーツ」も奮戦したのだが、ふざけた(笑)
「くまもっこり」に、3秒差をつけられてしまった。
「くまもっこり」のタイムはかなり良い、1分8秒ジャストだ、
が、このタイムはとても微妙なところだ。今日の大会は、2回戦の
ベストタイム制、恐らく準決勝に残れるのは、1分7秒台を出した
チームであろうが、現時点ではそのタイムで4チームが揃っていない。
なので、1分8秒でも残れる可能性はある、準決勝の残りの椅子は、
このように、コンマ差の熾烈な戦いになるに違いない。
ちなみに、↑写真が、"ふざけた"「くまもっこり」に、惜しくも
敗れてしまった「パイレーツ」だ。
さて、ベストタイム制というのも、結構面白いもので、隣のレーンで
漕いでいるチームは基本的には関係ないのだ。ライバルは、本部に、
張り出された成績表に書かれた、チーム名とそのタイムだ。
仮想の相手の漕ぎを想定しつつ、ピッチを計算していく、この漕ぎで
ライバルチームよりコンマ1秒でも早くゴールするのだと・・
ただ、そう言いつつも、速いチームと一緒に漕ぐと、自分のチームも
ひっぱられて速くなるというケースは往々にしてある。
2週間前に、大阪・北港で行われた「北港スプリント大会」でも、
「bp」にひっぱられた「打艇龍舟倶楽部」が、好タイムを出し準優勝。
でも、「打艇(だちょう)」いわく・・
打「ウチら、1度も相手チームの前に出ていないのに準優勝だって!?」
まあ、「北港スプリント」も、ここ宇治と同じ、2回戦ベストタイム制
だったので、ずっと負け続けても準優勝というケースはありえるのだ。
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私が、準決勝候補として推している「東海龍舟」の様子はどうだろうか?
2回戦の前に「東海」の女性選手に、ちょっと話を聞いてみよう・・
匠「東海さん、今日は(準決勝に)勝ち残れるのでは?という
評判が多いですよ。(それを言っているのは自分なのだが・笑)」
東「そうですか!、それは嬉しいですね」
匠「まあ、東海さんは安定しているからなあ・・過去に出てる大会でも、
ほとんど全てに決勝まで残っているでしょう? 優勝があまり無い
ので、強い印象には残らないと思うけど、準優勝や3位はいくらでも
あるし、優勝も・・・え~と、確か5年ほど前の”琵琶湖ペーロン”
で勝ってましたよね? 関西では、他にもあったかな・・」
東「へえ、匠さん、よくそんな昔の事まで覚えてますねえ・・」
匠「まあ、ドラゴンはずっと見てますしね、自然に詳しくなりますよ」
東「ところで、今日の”DDT”とか、あれ、何処のチームですか?」
匠「ああ、”道頓堀ドラゴン大会 Comming Soon”ですね、あれは、実は
”bp”なんですよ、今月末のアジア大会への代表遠征選手が30人
いますでしょう? その30人を、”bp”、”DDT”、”都島”
と分けています、”DDT”は、平均年齢30歳オーバーのベテラン、
”都島”が、平均20歳ほどの若手中心。奇しくも、ベテランの
技術と、若手のパワーとがうまく釣りあって、3チームとも、ほぼ
同等の強さを発揮します、先週のATC大会でも、決勝で3チーム
ほぼ同時に、ズドーン!って、54秒台で揃ってゴール、凄かった
ですよ~」
東「・・ぐっ、匠さん、とっても詳しいですねえ。」
匠「あはは、まあ、色々情報は入ってきていますから・・
(女性選手に褒められて、ちょっと調子に乗ってきた)
で、東海さん、2回戦は何処とあたるんですか?」
東「確か、”吹龍”の”ソース”だったかなぁ? そのチームって?」
匠「あ、”吹田龍舟”さんは、今回は、”タイラー”と”ソース”の
2チームですね、で、タイラーは、エアロスミスのスティーヴン・
タイラー(以前の記事の”イーゼル芸術工房”に出てきました)
にかけているのかと思いきや、なんと、平家(へいけ)の
”タイラー”だそうですよ、そうなると、”ソース”も
醤油とソースではなくて、源氏の、源(みなもと)の英語訳の
”Souce”という事です。で、”タイラー”の方は、オリジナルの
”吹田龍舟”なので速いです、前週のATCでも決勝に残ってます。
ただ、”ソース”の方は、今回が初漕ぎのビギナー中心のチーム
なので、あまりタイムは出ないと思いますよ」
東「ふうぅ・・ほんと、匠さん、ドラゴンは何でもご存知ですねぇ」
匠「ほいほい、何でも聞いてください(さらに調子に乗る・・汗)」
寄り道が長くなった(汗)
なにせ、今回の宇治大会は44チームも出ているので、こんな調子で
1チームづつの話を書いていたら、とても書ききれない、
残念ながら、割愛せざるを得ないチームも出てくるのだが、
それはまあ止むを得ないということで、あしからず御了承ください。
・・ということで、印象に残っているチームを順次紹介していこう。
↑写真は、静岡より参戦の「鈴与龍舟」、今回最も遠方よりの参加だ、
私は、静岡で行われる御前崎大会(6月)、ツナカップ大会(10月)
のいずれも毎年撮影に行っているので、その記事でも「鈴与龍舟」は
おなじみだと思う。そう、静岡の巨大企業「鈴与」のチームであり、
清水エスパルスのスポンサー企業である「鈴与」であるから、
オレンジ色のドラゴンのユニフォームの中に、たまに、同じ色の
エスパルスのユニフォームを着ている人が混じっていたりもする。
「鈴与龍舟」のドラマーは、元「鈴与のマドンナ」と呼ばれた美人、
超巨大企業の「マドンナ」であるから、掛け値なしの美人だ。
何故「元」マドンナであるかといえば、一昨年だったか、結婚して
退職、神戸に移り住んでいるからだ。旦那さんは、同じくドラゴンの
選手だ。良く知らないが、恐らくは、鈴与時代は、相当に各部署の
社員達に迫られたことであろう、しかし、結局マドンナのハートを
射止めたのは、同じドラゴンボートの選手、なるほど、この話を聞くと、
「ドラゴン婚活」などという、無茶な企画を上げたくなってくる(笑)
チーム「DDT」の希望する”道頓堀大会”は、まだ実体も企画も
何も無いという話だが、「道頓堀ドラゴン婚活」、略して「ドラ婚」
という風に企画書でも書いてみるか(笑)(それを何処に出すのか?汗)
どんどん話がそれてきて、ちっともレースの紹介ができない(汗)
まあ、基本的に、レースの結果は、JDBA(日本協会)のHPとかにも
載っているので、それを参照してもらえれば良い話だ、と開き直って、
このまま好き勝手に書いていくことにしようか(笑)
↑写真は、久々の「関空飛龍」、何故久々かと言えば、彼らのホーム
グラウンドである”関空大会”、その昨年の大会が、豪雨と強風で中止に
なってしまったからだ。元々関空大会に出場するために作られたチーム
しかし、その関空大会も10年を迎え、当初の目的であった2期島の振興
も、現在は、LCC(格安航空会社)がすでにポジションを占めている。
また、旧来、関空大会は、夏休み最終週の日曜に「KIXフェスタ」と
ともに開催されていたのだが、現在では、小中学校の夏休みの最終週を
削り、秋休みに割り当てる自治体も増えており、また、そうでないと
しても、夏休み最後の日曜は、宿題に追われる子供達も勿論多い。
そうした大会のコンセプトを再編成するため、今年の大会開催は
「調整中」であるとも聞いている。
そんな状況の中、「関空飛龍」として、どのように活動すべきか?
彼らは、一昨年の静岡のツナカップ大会に遠征し、見事B優勝を
果たしたのが、私自身、印象に残っている。
まあ、単に関空大会のために結成したチームも、10年を経過し、
現在では、中規模大会で入賞できるほとの強豪チームに成長してきている。
今日の宇治大会でも、予選で1分9秒台の好タイムをたたき出している。
周囲をとりまく状況は色々あるとは思うのだが、チーム自体も様々な
意味で転機を迎えている事は確かだ、そんな中、状況に流されていって
しまうのは、非常に勿体無い話なので、うまく生き残って欲しいと思う。
こちらが、噂の(笑)「DDT」だ。
2回戦、1分10秒台と、ややタイムを落としたのたが、
1回戦でたたき出した総合2位の、1分7秒台のベストタイムが効いて、
見事準決勝進出となった。
しかし、道頓堀でドラゴン大会を本当にやろうとするならば、
そこには、必ず「ビジネス」の要素が必要ですぞ、
大阪の中心地、ミナミの道頓堀、そこで何か仕掛けるならば、
大胆なコンセプトやアイデアが必須でしょうね。
それこそ、前述の「ドラゴン婚活」あたりが意外に面白いかと思うけど、
そのあたり、どんなもんでしょうかねえ?
こちらは「吹田龍舟倶楽部 タイラー」の美人ドラマー嬢、
前週のATC大会に引き続き好調の「吹龍」は、2回戦で1分8秒19
と、かなり良いタイムを出したのだが、これはほんの僅かに準決勝進出
には満たないタイムであった。このあたり、ほんのコンマ1、2秒差が
運命の分かれ道となる。
さて、準決勝に向け「bp」の秘密練習(?笑)が始まった、
NHKでも紹介された彼らの「秘密基地」の水槽といえ、
「bp」の練習方法は、”先進的”と言えるかも知れない。
「bp」の練習にオールドスタイルの精神論はほとんど無いが、
それにしても、練習そのものが非常にキツそうに見える、
彼らのモチベーションは、日本一のチームになるという
目標にあるそうだが・・
そして、こちらは、その日本代表チーム「bp」が目をかけた、
市内ビギナーチームの「よゆうちからこぶ」だ。
このチームは、市内一回戦で、いきなり市内チーム予選トップの
1分12秒台を叩き出した。
ほぼ初めてドラゴンボートを漕いだのに、そのタイムは凄い。
市内の部の昨年優勝の「チーム賑やかし」の予選タイムを1秒
上回り、ドラゴン専業チームの中堅クラス、たとえば、2週間前の
北港スプリント大会の準優勝チームの「打艇龍舟倶楽部」と同等の
タイムである。
「bp」がこれを見逃す訳が無い、”ちょっとコツをつかめば
もっと速くなるよ”、と彼らを直接コーチする。
なにせ「bp」ときたら、練習場近くのコンビニで、体格の良い
若い男性を見かけたらbpにスカウトする、という噂を聞いた事が
あるくらいだ・・
「よゆうちからこぶ」は、2回戦でさらにタイムを上げて
1分11秒台、初出場にして見事に準決勝に進出した。
その準決勝では、市内の部昨年準優勝の「EMBLEM JAPAN」と当たる。
このレースは大接戦であった。当初は「よゆうちからこぶ」が
リードしているように見えたが150mを過ぎたあたりから、
チームの息が微妙に乱れる、パドルの動きが合っていないのだ。
結局ほぼ同着でゴール、「審議」となったが、僅か0.1秒差で
「EMBLEM JAPAN」が勝ち抜け、市内の部決勝進出となった。
競り合いになると「やはりEMBLEM JAPAN」に一日の長があった
ということだろうか・・
市外の部、すなわちドラゴン専業チームの方の2回戦も終了した。
ベストタイム制なので、全レースのタイムをくまなく見ないと
自身のチームが勝ち残っているかどうかはわからない。
2回戦までで40レース以上行っているので、貼りだしてある
その結果を全部見て、どこが上位か調べるのは容易ではない・・
準決勝に進めるのは4チーム、当然のごとく入ってきる「bp」
3兄弟の他、何処がもう1つのチームとなるか?は、選手達の
興味の的であったのだが、ほんの僅かの差でベストタイム戦を
勝ち抜いたのは、鳥取から来た「しげる」であった。
しかし、準決勝では、「しげる」は、「bp」の若手チームである
「都島」に僅差で破れてしまう。また、「bp」と「DDT」も
兄弟チームで潰し合い。こちらも大接戦であったが「bp」の方が
決勝進出となった。
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さて、市内の部の決勝戦は、昨年と同じ「チーム賑やかし」と
「EMBLEM JAPAN」との一騎打ち、毎年同じチームで戦っていくと
ライバル心が生まれ、良い結果をもたらす可能性がある、
まあ、たとえば、あのチームには負けたくないから、と必死に
練習する可能性があるからだ。
市内の部の決勝の結果もまったく昨年と同じで「賑やかし」の
優勝となった。
市外の部の決勝は、「bp」と「都島」、これは勿論兄弟対決、
両者ほぼ同着の大接戦であったが、ほんの0.09秒差で「bp」が
勝利、まあ、ここは兄貴分の「bp」に花を持たせた格好になった。
ということで、今年の宇治大会の全レースは無事終了。
全50レースと多かったが、ほぼスケジュール通りに進んだのは
さすがに大会運営に手馴れた、JDBA,ODBA(大阪),SDBA(滋賀)の
スタッフ達の好プレー・好連携ならではの結果だと思う。
午後5時半、表彰式と閉会式。
陽はずいぶん傾いたが、5月中旬では、まだまだ日没の時間まで
余裕がある時刻だ。
ちなみに、副賞の賞品の中身は宇治のスイーツだと聞く、
私も、いただいたスイーツ券で宇治のスイーツを頂いて帰ったのだが
あえて入賞チームの賞品と同じものを貰ってみた。
こちらがそのスイーツ、まあまあ美味しかったので、
あっと言うまに無くなってしまったが・・
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さて、今日は、前週のATC大会とうってかわって、天候に恵まれた
ので、私も半袖で過ごしたのだが、この時期から、すでに紫外線が
かなり強いのか?肌がヒリヒリしている、早くも日焼けしてしまった
様子だ。
まだまだ「熱い季節」は始まったばかり。これから真夏にかけ、
もっともっと熱いドラマが待っていることだろう・・
(宇治大会の記事終了、次の大会編に続く・・)