2014年5月5日、大阪・南港の商業施設ATCにて、開業20周年記念
「第一回大阪南港ATCドラゴンボート大会」が行われた。
前日5月4日の、前日祭(親子体験乗船会、公式練習会)に続いての
2日目のメイン・イベントだが、天候はあいにくの雨。
写真は、今回ドラゴン初出場の「ATC混合チーム」、ATC内の
カヤックショップ「コウノトリ」の店舗スタッフや、ATCの職員さん
達が乗っている。
GWのど真ん中、子供の日に行われたこの大会だが、元々の企画では
大阪で初の親子ドラゴンボート大会を実施するというものであった。
だから、それにちなんで子供の日に大会を行うことが早々に決定して
あったのだが、実際のところ、大阪で親子のドラゴンチームを集める
のは初の試みであって極めて厳しい。よって、頼りにしていたのは、
すでに「ドラゴンキッズ大会」を毎年実施して実績のある、滋賀県の
各チームであるが、あいにくと、滋賀県のチーム達は、この日に地元
滋賀のイベントがあるということで、参加不能とのこと。なので、
企画内容を途中で変更し、通常の成人チームによるドラゴン大会を
実施する事となった、という経緯がある。
しかし、今度は、GWは家族サービスとか、旅行とか、レジャー等、
ライフスタイルの多様化により、通常のドラゴン専業チームであっと
しても募集は難しい・・・ さらに言えば、この前週、大阪では北港
スプリント大会・春が行われ、この翌週は、京都の宇治ドラゴンボート
大会が行われる予定となっている。3週連続は選手達にもキツイのだが
既に動き出したATC企画であるため、日程を変更するのも困難な状況に
陥っていた。こうした経緯のため、レギュレーションを12人艇に
変更し、さらに、大阪地区を中心に多くのチームに声をかけて、少々
無理を言って参加いただくこととなった。
ただ、そうした厳しい状況にもかかわらず、16チームのエントリーが
あり、当初予定の20~25チームは満たなかったが、なんとか大会と
いう形になった事は、参加各チームに感謝の意をここで述べておきたい。
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さて、雨の中の開会式、
今日の大会のメインMCは、アナウンサーの「田名部真理」嬢、
こちらも昨日の「開高明日香」嬢と同様、途中でドラゴンの体験乗船を
行うかも知れないという事である。
ATCの社長さんの挨拶や、大会実行委員長からのルール説明があり
次いで、恒例の「入魂式」
A「”ニュー、こんしき?(婚式?)”それっていったい何ですか?」
とは、今回のドラゴン大会実施会議の際に、ATC側担当者さん達から
出た言葉。まあ、それはそうであろう、一般には「入魂式」という単語
を日常聞くことはまず無く、まあ仏教の世界などでは使われることもある
言葉なのだろうが、ドラゴンでの場合とは、また意味が違ってくる。
ドラゴンボート協会の方が、ATC担当者達に説明を行う。
協「ドラゴンボートの目に朱を入れる儀式ですよ」
A「シュ??(酒?呪?主?種?)ですか?」
協「そして、その船に乗っている人たちが、太鼓を叩いて騒ぐ」
A[・・??? それって、誰がシュー?を入れるんですか?」
協「朱は、筆につけて・・そう、誰かお偉いさんが入れると良いですね」
A「ああ、筆に”朱”ですね? ううむ・・わかったような、わからない
ような・・やっているところが想像しにくいです・・」
まあ、なんとか理解していただいた模様だが、ともかく、実際に
やってみるのが一番。ATCの社長さんとかが朱を入れて、ドンドンドン
という太鼓の音とともに、選手達も盛り上がり、「入魂式」は無事終了。
地方の大会では、最近は「入魂式」を省略するケースも多いのだが、
大阪の大会では、何故か、どの大会でも必ず行っている。
まあ、伝統的でおごそこな雰囲気とか、大会前の盛り上がりとか、
長所も多いので、特に反対する理由は無い、今後もこうした伝統は
継続して行うのが良いであろう。
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それにしても、雨が酷い、降水確率60%だから、降ったりやんだり
という感じだろうか?と勝手に思っていたのだが、予想は外れ、
結構しっかりした雨が、止むことなく継続して降り続けている。
「入魂式」の段階、すなわちまだ開会式のあたりで、すでにカメラの
レンズは水滴がたっぷりとついていて、↑の写真のように、画面の
ところどころに水滴が写ってしまっている。
1日の大会で、カメラは(壊れずに)持つのだろうか?やや気が重い・・
各チームのボートが予選に向けてスタート地点に進んでいく、
今日のレースは20分間隔でのスタートだ、現在の時刻は午前10時
ちょっと前、第一レースは10時開始予定となっている。
雨を予想して、撮影機材は雨仕様、すなわち万が一浸水、冠水などで
動作不良となったとしても惜しくない、旧型の機種ばかりである。
趣味で高価なカメラを買っているマニアの人達だと、雨が降ったら
一切撮影はしないだろう。大事なカメラを水に濡らしたくないだろうし、
勿論壊したくも無いであろう。また仕事で撮るカメラマンでも、会社の
支給のカメラとかなら、壊れても自分の懐が痛む訳ではない。
しかし、私の場合、自前の機材であるから、壊れたら即それは損失だ。
万が一壊れても修理する必要も無いような、減価償却済みの古い
カメラを今日は持ってきている。加えて合羽と傘、まあ、傘は撮影には
非常に邪魔になるので、最悪、望遠などで撮影する瞬間は傘は
手に持たない場合も多い。
雨が降ると、機材の故障問題のみならず、撮った写真もまた問題点が
多々出てくる、まずは、入魂式の写真のように、レンズについた水滴が
そのまま写ってしまったり、あるいは、2枚上の黒Tシャツのチームの
写真のように、コントラストが低い状態で、パンチが無い”眠い”画になる。
低コントラストは、長距離の被写体で望遠を使うと顕著に出る、つまり、
その距離までの間の雨の粒が全部、被写体のクリアな写りを邪魔するのだ。
そして機材故障の問題が早々に出てきた。
初代「GR Digital」 が、10枚ほど撮った時点で早くもダウン、
レンズバリアー、つまり、電源の入り切りで、開いたり閉じたりする
レンズの前の蓋が、完全に開かない(閉じない)状態になってしまった。
蓋が途中で止まって、写真の画面の一部が蓋に遮られて影が出てしまう。
これは、このカメラでは、今に始まった訳ではなく、雨など水分の影響、
ホコリや砂などの粒子でも同様に中途半端な状態となる。長期の使用で
レンズバリアーの開閉機構の隙間などに余裕がなくなってしまった事が
原因と思われ、まあ、高齢のこのカメラの「持病」であるともいえる。
この状態になると、経験的には、乾くまで治らないので、これで「GRD」
は、早くもカメラバッグにお蔵入りとなってしまった。
これで残るカメラは2台、いずれも古いデジタル一眼だ・・
雨にもかかわらず、報道メディアは、いくつかが取材に来ている、
ベイコムさんなどでは、この大会で1時間番組を作るという事だが、
雨の中の取材で1時間の番組が作れるのだろうか? 彼らも単純に
レースの模様の紹介だけでは内容的に少ないと見たのか、各チームへの
直接取材に入っている。
動画、すなわちTV系のマスコミの場合、音声が入る必要から、
チームや選手などの取材は、まあ当たり前のように行う事が多いが、
静止画、つまり、新聞、WEBなどのメディアで用いる写真の場合は、
選手への直接の取材は省略するケースが多いように見受けられる。
ただ、静止画だから声が入らないから選手達と話す必要が無いかと
言うとそうではなく、選手達の表情とか、レースにおける各々の
チームや選手の抱える、あるいは関わる状況、レースの結果など、
そうした背景をちゃんと知っておかないと、報道のプロカメラマンで
あっても、とんちんかんな写真を撮ってしまうリスクもある。
(例えば、敗退したチームが前面に出てくるなど)
特にそのあたりの状況がつかめていないのは、アマチュアの
カメラマンで、ドラゴン大会を撮りにくるアマチュアは多いが、
過去10年以上、各大会を見ていて、アマチュアrカメラマンが
選手達に声をかけて撮っているケースを見ることは皆無である。
それだけ被写体との距離が(心理的に)遠いと、写真にならないと
思うのだが・・それに、勝手に撮っているようだと、選手達に
失礼でもある。実際のところ、皆、機材は良いものを使う時代に
なってきていても、そのあたりの意識は、まだまだな模様。
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さて、雨模様でちょっと会場は寂しい雰囲気・・と思いきや、まあ、
こんな事もあろうか、ということで、実は、今回の大会には超強力な
助っ人を呼んである。
それが、こちら「DJ西尾」さん、だ。
東京からわざわざお越しいただいたのは訳がある、彼は元々が
ドラゴンボートの選手であり、レース模様の解説はもとより、
選手達の心理状況などに極めて精通していて、ドラゴン大会の
解説者としては最適任者だ。
滋賀の大会などで過去何度も解説を行っており、その軽妙な語り口、
会場を盛り上げるトークの技術、どれをとっても申し分無いMCだ。
彼が来てくれたからには、雨など何ら問題は無い、レースの模様を
最大限のテンションのトークで解説、見事に盛り上げてくれている。
課題は、東京在住の方ゆえに、関西(大阪地区中心)のチームの
内情にさほど詳しくないところだが、まあ事前に各チームの紹介文章は
お渡ししているので、その情報を元にうまく話を膨らませて解説して
下さっているし、そうして何度か関西の大会MCを経験していけば、
自然に各チームの事にも詳しくなっていくだろうから、そのあたりは
あまり問題にならない。 ATC大会が継続していけるならば
また是非、解説をお願いしていきたいところである。
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さて、雨模様であるが、それでも昨日の前日祭に引き続き体験乗船会
は行われている、今日は大会ということで、前日祭のように、任意の
時間帯に体験乗船を行うわけにはいかない、予選終了後、昼食休憩時、
決勝直前、の都合3回のみの予定となっている。
酷い雨なので相当集まりにくいかな?と思いきや、それでも各回の
体験乗船にはお客さんが集まって下さっていたので、ありがたい限り
である。
体験乗船には、アナウンサーの「田名部」さんも乗り込む事となった。
それにしても、スタッフのH氏、可愛い女性と見ると、乗り降りに
手を貸してあげたり、一緒に記念撮影をせがんだりと、なかなか
「好き者」ですなあ・・(笑)
報道のTVカメラも乗り込んでいる、この位置、2番のポジション
にして、その前の1番に漕ぎ手を2人配置するのは、ある意味正解
だったかも知れない。まあ体験乗船なのでパドラーを置かざるを
得ないのだが、仮に、最前列の1番ポジションに座ると、カメラの
撮影が安定しないのは、昨日私も経験した通りであるからだ。
そして、体験乗船者には、”子供の日”ということで「ちまき」が
配られている。
私も1本いただいたのだが、量産品ではなくて、神戸かどちらかの
和菓子屋さんで作られた高級品だと聞く、なかなか上品で美味で
あった。
さて、予選もだいたい終わったころであるが、いまのところ、
例によって「bp」が速い模様だ、それに続くは、
「DDT](道頓堀ドラゴンボート大会 Comming Soon!)と、
「大阪市立都島工業高等学校 M's Power」の2チーム、
後ろ2つは聞きなれないチームであるが、要は「bp」チームが
中心となって集めた兄弟チームである、ということで、
旧来の「bpジュニア」のようなものだ。
彼らの戦力は平均的に分散している模様で、どのチームも速い。
この「bp」軍団の牙城を崩せとばかり、ベテラン「Rスポーツンマン」
「吹田龍舟」、そして、和歌山の「もっこり」&「熊野水軍」プラス
滋賀の「GPO」などの連合である「チームみやこ」、さらには、
「チームバナナ」「常翔喜龍」などがタイムを詰めてきているのだが、
「bp軍団」とは少々水をあけられている様子だ。
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昼休み、昼食をとりながらの休憩。
ここATCは商業施設であるから、食事をする場所はいくらでもある、
ただ、逆に、GW期間中のATC施設内は、来場者で非常に混雑する、
なのでまあ、今回はスタッフには弁当が用意されている。
弁当だとATCの売り上げに悪影響があるか?といえばそうではなく、
これはATC内部で作られている仕出し弁当とのこと。
時刻は午後1時、
休憩時間中のその時、ATC岸壁から転落する男性が!!
男「うわ~!! 助けてくれ~!」
なんだこれは? 大丈夫か? 誰か助けるのか?
と色々考えるのだが、心配はいらない、こちらは海上保安庁の
「転落救助」デモンストレーションである。
海保といえば、ドラゴンの世界では静岡の「海猿火組」が強豪チーム
として名高い、大阪の海保の方にも、静岡にそうしたチームがある
と伝えておいたので、もしかすると、大阪でもいずれチームを組んで
大会に参加して下さるかもしれない。
あ、それより、落ちた人は大丈夫なのか?
次いでもう1人の男性が飛び込む、ただ、これは”ダメな例”という事だ。
海の中で、転落者2名、お互いが協力して救助されるのかと言うと
さにあらず、お互いの動きが邪魔になって共倒れ状態だ(汗)
海「これは悪い例でした、このように、焦って他の人が飛び込んでも
うまく救助できません。では、今から正しい救助の例を行います」
こちらは「ペットボトル救助」方式だ、1.5リットルのペット
ボトルに紐をつけて、転落者に向けて投げる。転落者はそれをつかんで
浮力を得ることができるという仕組み、ただし、空のペットボトルでは
距離を遠くまで投げることが難しいので、できれば少し水を入れてから
投げると良いということだ。 2~3本も投げて、持たせてあげれば
それだけもライフジャケットに匹敵するような浮力を得ることができる。
もっと単純には、このように長い棒を用意して、陸や船の上から、
転落者に差し伸べる。シンプルだが、有効な救助手法とのこと。
さらには、ロープを使った救助、舟に持ち上げる際の注意点、
海辺での活動時には、「ライフジャケット常時着用」など、
色々とためになるデモンストレーションがおよそ15分にわたって
行われた。
最近韓国でおきた海難事故の例とか、あるいは国内でもたまにある
レジャー船の転覆事故とか、水上や海での事故は後を絶たない。
そんな場合にも安全で身を守る盾となるのは、単純には「ライフ
ジャケット」(=ライフベスト、救命胴衣)の着用がある。
ちょうどそのタイミングを見計らって、するすると沖から近づいて
きた海上保安庁の巡視艇のLED電光掲示板にも「ライフジャケット
着用」などのメッセージが表示されていた。
そんな感じで、海上保安庁のデモンストレーションも終了。
ATC大会では、実に色々と、「商業イベント的」な、試みが
行われている事が、わかっていただけるだろうか・・?
ちなみに、今日は天気がよければ、TV番組さんまのまんまの
キャラクター「まんまちゃん」の着ぐるみがドラゴン会場を闊歩する
予定だったのだが、雨なので、屋内に変更されている。
さて、昼休みも終わり、午後のレースの召集が始まった。
しかし、この記事、殆どレースの事を書くこともなく、イベントを
紹介しているだけで前編が終わってしまった。続く後編では、
レースの模様を主に紹介していくとしよう。
ちなみに、優勝賞品は、チーム全員「焼肉食べ放題&飲み放題」だ、
結構こういうのはドラゴンの選手達にはウケると思うのだが・・
(以下、後編に続く)